JP4868731B2 - 哺乳動物培養細胞由来の無細胞タンパク質合成システム - Google Patents

哺乳動物培養細胞由来の無細胞タンパク質合成システム Download PDF

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Description

本発明は、無細胞系におけるタンパク質の製造方法に関し、さらに詳細には、哺乳動物培養細胞由来の抽出液を用いた無細胞タンパク質合成システムに関する。
哺乳動物細胞由来の無細胞タンパク質合成システムは、真核生物遺伝子産物の解析や、翻訳の制御の研究に重要である。最も一般的には、ウサギ網状赤血球の抽出液(reticulocyte lysate)が用いられており、この系で発現された多くのタンパク質は正しいフォールディングやプロセシングが起こり、正常なインビボでの活性が発現される(例えば、非特許文献1参照)。例えば、アセチル化、イソプレニル化、リン酸化などの翻訳後の修飾がタンパク質の機能や活性に必要な場合がある。また、シグナルペプチドの切断や糖鎖の付加のような翻訳後修飾(プロセッシング)は、上記翻訳反応液にイヌのミクロゾーム膜を添加することによって行われている(例えば、非特許文献2参照)。
一方、真核生物におけるタンパク質の合成反応、特に、翻訳反応は、原核生物よりはるかに多くの翻訳開始因子が関与しており、その相互作用も複雑であることが知られている。真核生物のタンパク質合成系の開始には少なくとも10種類の真核生物開始因子(eukaryotic initiation factor:eIF)が必要である。最初のステップはプレ開始複合体の形成で、eIF2のGTP型は40Sリボソーム小サブユニットのところに開始tRNA(Met−tRNAi)を運ぶ。次にプレ開始複合体が真核生物mRNAの5’末端に結合する。このステップには、eIF4F(キャップ結合複合体とも呼ばれ、eIF4E、eIF4A及びeIF4Gからなる)とeIF3が必要である。この複合体が5’末端に最も近いAUGを探す。Met−tRNAiが開始AUGと結合した後で、開始因子eIF5がeIF2とeIF3を解離させる。最後に開始tRNA、mRNA、40Sサブユニットからなる複合体に60Sサブユニットが結合して80S開始複合体が形成される。真核生物細胞では翻訳反応の制御は、ほとんどの場合このような開始因子が行っていると考えられる(例えば、非特許文献3〜5参照)。
真核生物細胞において、タンパク質合成の鋳型となるmRNAは、5’末端のリン酸に7−メチルグアノシンがピロリン酸を介して結合するキャップ構造(m7GpppN)を有することが知られている。この構造はmRNAの酵素分解に対する保護作用だけでなく翻訳開始機構にも重要な役割を果たす。キャップ構造には、キャップ結合因子(eIF4E)が結合することにより翻訳を促進している。また、mRNAの3’末端には、80〜100のポリアデニル酸が連結されたポリA構造を有し、mRNAを安定化しているが、ポリA結合因子(PABP)を介して翻訳開始複合体とも相互作用している。このキャップ構造は無細胞タンパク質合成系でも翻訳を促進することが知られている。試験管内においてmRNAの5’末端にキャップを付けるためには、キャップアナログと呼ばれるキャップ類似体を基質にして、RNAポリメラーゼの酵素反応でキャップを持ったmRNAを合成することが出来る。しかし、このキャップ化mRNAを用いてタンパク質を合成する場合、キャップアナログがタンパク質合成に対して阻害作用を持つため、mRNAからキャップアナログを除く操作が別に必要になる。更に、キャップアナログを用いた場合、合成されるmRNAの量が減少するという問題もある。
Pelham, HR. and Jackson, RJ. "An efficient mRNA-dependent translation system from reticulocyte lysates." (1976) Eur J Biochem. Vol. 67, pp. 247-256. Walter, P. and Blobel, G. (1983) Method. Enzymol., Vol. 96, pp.84 Imataka, H. et al., (1997) EMBO J. Vol.16, pp.817-825 Imataka, H. et al., (1998) EMBO J. Vol.17, pp.7480-7489 Svitkin, YV. et al. (2001) RNA Vol.7, pp.1743-1752
ウサギ網状赤血球の抽出液は、複数の市販品が存在するが、高価であり、動物を使用していることが原因でロット間による活性のばらつきが認められる。動物の殺傷を行わずかつ安定したタンパク質合成活性を維持するためにHeLa細胞等の培養細胞由来の系が開発されているが、一般的にはウサギ網状赤血球の抽出液の方がタンパク質合成活性が高いと信じられている。したがって、本発明は、哺乳動物の培養細胞抽出液を用いた無細胞タンパク質合成系において、タンパク質合成能力の改善された抽出液組成物を作製することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、哺乳動物の培養細胞の抽出液に、ある種の翻訳開始因子又は翻訳制御因子を添加することにより、ウサギ網状赤血球の抽出液の能力に匹敵するか、あるいはこれを超えるタンパク質合成能を得ることに成功した。また、添加する翻訳開始因子や翻訳制御因子の種類を種々検討することにより、キャップ構造を有しないmRNAを用いた場合においても高い翻訳能力が得られることを見出し、これらの知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、第一の視点において、本発明のタンパク質の製造方法は、哺乳動物の培養細胞から調製された抽出液に、鋳型mRNAと、真核生物の翻訳開始因子とを添加することを特徴とする。前記翻訳開始因子は、翻訳開始因子4E(eIF4E)、翻訳開始因子2(eIF2)、及び翻訳開始因子2B(eIF2B)からなる群より選択される一種又は二種以上であることが好ましい。
1つの実施形態において、前記鋳型mRNAは、5’末端にキャップ構造が付加されたmRNAである。
また、他の1つの実施形態において、本発明のタンパク質の製造方法は、哺乳動物の培養細胞から調製された抽出液と、5’末端にピコルナウイルスの内部リボソーム侵入部位(IRES)を有する鋳型mRNAとを含む無細胞タンパク質合成系に、翻訳開始因子2(eIF2)、及び翻訳開始因子2B(eIF2B)の一方又は両方を添加することを特徴とする。特に、非キャップ付加mRNAがウイルス核酸由来のリボソーム侵入部位(IRES)を含むことが好ましい。また、翻訳開始因子が翻訳開始因子2(eIF2)、及び翻訳開始因子2B(eIF2B)であり、120mMから240mMのカリウムイオンを含むことが好ましい。
さらに他の1つの実施形態において、本発明のタンパク質の製造方法は、哺乳動物の培養細胞から調製された抽出液に、キャップ付加されていない鋳型mRNAと、真核生物の翻訳開始因子2(eIF2)、及び2B(eIF2B)、並びに真核生物の翻訳制御因子p97からなる群より選択される一種又は二種以上の因子を添加することを特徴とする。
本発明の異なる視点において、哺乳動物培養細胞の抽出液と、翻訳開始因子4E(eIF4E)、翻訳開始因子2(eIF2)、及び翻訳開始因子2B(eIF2B)からなる群より選択される一種又は二種以上の真核生物の翻訳開始因子とを含むことを特徴とする無細胞タンパク質合成用の組成物が提供される。
本発明の方法によれば、哺乳動物培養細胞から調製された抽出液に上記特定の真核生物の翻訳開始因子及び/又は翻訳制御因子を添加することによって高いタンパク質合成活性を有する無細胞タンパク質合成系を構築することができる。しかも、mRNAの5’末端へのキャップ付加を行わなくても高い翻訳活性を得ることができるから、鋳型mRNAを安価に製造することができる。
[定義]
本発明の方法において、「無細胞タンパク質合成系」とは、タンパク質の翻訳に必要なタンパク質因子を細胞抽出液として取り出し、試験管内でこの反応を再構成することで目的とするタンパク質を合成させる系である。さまざまな生物種に由来する抽出液を利用して無細胞系を構成することができ、例えば、大腸菌や好熱性細菌等の細菌、小麦胚芽、ウサギ網状赤血球、マウスL−細胞、エールリッヒ腹水癌細胞、HeLa細胞、CHO細胞及び出芽酵母等の、高いタンパク質合成活性の状態の真核細胞、及び原核細胞の抽出液を用いることができる(Clemens, M.J., Transcription and Translation - A Practical Approach, (1984), pp. 231-270, Henes, B.D. et al. eds., IRL Press, Oxford)。
用語「真核生物の翻訳開始因子(eIF)」とは、真核生物のタンパク質合成の開始に必要なタンパク質因子であって、10種類以上が知られている。真核生物の翻訳開始段階は、原核生物に比べてはるかに複雑な反応を含み、原核生物の開始因子が3つであるのと対照的である。これらの開始因子は、リボソームサブユニットへ結合するeIF3、eIF4C及びeIF6、mRNAへの結合に関与するeIF4B、eIF4E、eIF4A及びeIF4G、開始tRNAの運搬に関与するeIF2及びeIF2B、他の因子を解離させるeIF5等が含まれる。一方、真核細胞での翻訳開始に不可欠な因子ではないが、何らかの機構、例えば翻訳開始因子と相互作用することにより、翻訳を制御する因子の存在することが知られている。例えば、p97はeIF4AやeIF3と結合することにより、翻訳活性を抑制又は促進すると考えられる。本明細書においては、これらを「真核生物の翻訳制御因子」と称する。
用語「鋳型mRNA」とは、発現させたい所望のタンパク質をコードするmRNAである。また、「ピコルナウイルス」とは、一本鎖の正のRNAを持つ(ピコルナとは小さいRNAという意味である。)正二十面体対称の粒子ウイルスである。ピコルナウイルス科は、エンテロウイルス(enterovirus)とライノウイルス(rhinovirus)、動物の疾患に関係あるアフトウイルス(aphthovirus)、カルジオウイルス(cardiovirus)の4属に分けられる。
[真核生物の翻訳開始因子及び翻訳制御因子]
本発明の無細胞タンパク質合成系は、真核生物細胞である哺乳動物培養細胞の抽出液と、鋳型mRNAとを含み、さらに真核生物の翻訳開始因子及び/又は翻訳制御因子(以下「翻訳開始因子等(eIF等)」という。)が添加される。1つの実施形態において、上記無細胞タンパク質合成系に添加される翻訳開始因子等は、翻訳開始因子eIF2、eIF2B、及びeIF4E、並びに翻訳制御因子p97からなる群より選択される少なくとも1種である。eIF2は、開始tRNAを40Sリボソームサブユニットへ運搬するヘテロ三量体のGTP結合タンパク質である。ヒトeIF2の3つのサブユニットα:36kDa、β:38kDa、及びγ:52kDaをコードするmRNAの塩基配列はGenBankのデータベースにそれぞれAccession No. NM_004094, NM_003908, 及びNM_001415として登録されている。
eIF2Bは、eIF2に結合しているGDPをGTPに置換する反応を触媒し、5つの異なるサブユニットにより構成されている。夫々のサブユニットにFLAG−タグを付けたタンパク質をバキュロウイルスに感染したSf9細胞で発現させて精製し、グアニンヌクレオチド置換活性を有するeIF2Bとして再構成できることが報告されている(Fabian, J.R. et al., J. Biol. Chem. Vol.272, No.19, pp.12359-12365, 1997参照)。ヒトeIF2Bの各サブユニットをコードするmRNAの塩基配列はGenBankのデータベースにそれぞれAccession number: NM_001414 (eIF2B1)、NM_014239 (eIF2B2)、NM_020365 (eIF2B3)、Q9UI10 (eIF2B4)、XM_291076 (eIF2B5)として登録されている。
eIF4Eはキャップ結合複合体であるeIF4Fの構成成分であり、キャップ構造に直接結合する因子である。eIF4Eはキャップ依存的な翻訳開始に不可欠であり、NIH3T3細胞で過剰発現させると細胞が癌化することが知られている(Lazaris-Karatzas,A et.al. Nature (1990)345:544-547参照)。マウスeIF4EをコードするmRNAの塩基配列はGenBankのデータベースにAccession number:NM_007917として登録されている。eIF4Gは、eIF4EとeIF4Aの足場として働き、eIF4Fが形成される。eIF4Aは、RNA依存的なATP分解酵素であり、かつATP依存性RNAヘリカーゼでもある。mRNAの5’非翻訳領域の2次構造をまき戻し、リボソームが結合しやすくなるようにしていると考えられている。
p97は、翻訳開始因子eIF4Gと相同性を有する翻訳制御因子である。ヒトp97タンパク質は、eIF4GのC末端側の3分の2と約28%の相同性を示す907個のアミノ酸残基からなる(前掲の非特許文献3参照)。その完全なmRNAのコード領域は、DDBJ/EMBL/GenBankのデータベースにAccession No.U73824として登録されている。当初は、生細胞中でキャップ付加mRNAの翻訳を抑制すると考えられたが、本発明において初めて非キャップ付加mRNAの翻訳を無細胞系で増強することが見出された。
これらの翻訳開始因子等のうちeIF2以外は、組換えDNA技術により容易に入手することができる。例えば、これらをコードする遺伝子をクローン化し、適当なベクターに連結(挿入)することにより発現ベクターを作製する。次いで、この発現ベクターを適当な宿主細胞に形質転換し、得られた形質転換細胞を培養することによってそれぞれの翻訳開始因子等を製造することができる。ここで、本発明の方法に用いる上記翻訳開始因子等は、哺乳動物由来のものであれば特に制限されないが、好ましくはヒト由来の翻訳開始因子等が用いられる。なお、上記の方法により得られた翻訳開始因子等のアミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ夫々の翻訳開始因子等としての活性を有するタンパク質もまた本発明の方法に用いられることは当然である。さらに、これらの翻訳開始因子等には精製しやすいようにヒスチジンタグやFLAGタグなどが付加されていてもよい。
宿主としては、上記発現ベクターを複製及び維持できるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、大腸菌(Escherichia coli)、枯草菌(Bacillus subtilis)等の細菌や、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)等の酵母、さらにCOS細胞、CHO細胞等の動物細胞、或いはSf9、Sf21等の昆虫細胞を用いることができる。
大腸菌等の細菌を宿主とする場合は、翻訳開始因子等の遺伝子を導入した組換えベクターが該細菌中で自律複製可能であると同時に、プロモーター、リボゾーム結合配列、翻訳開始因子の遺伝子、転写終結配列により構成されていることが好ましい。また、プロモーターを制御する遺伝子が含まれていてもよい。
大腸菌としては、例えばエッシェリヒア・コリ(Escherichia coli)K12、DH1などが挙げられ、枯草菌としては、例えばバチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)などが挙げられる。プロモーターとしては、大腸菌等の宿主中で発現できるものであればいずれを用いてもよい。例えばtrpプロモーター、lacプロモーター、Pプロモーター、Pプロモーターなどの、大腸菌やファージに由来するプロモーターが用いられる。tacプロモーターなどのように、人為的に設計改変されたプロモーターを用いてもよい。細菌への組換えベクターの導入方法としては、細菌にDNAを導入する方法であれば特に限定されるものではない。例えばカルシウムイオンを用いる方法(Cohen, S.N. et al. (1972) Proc. Natl. Acad. Sci., USA 69, 2110-2114)、エレクトロポレーション法等が挙げられる。
酵母を宿主とする場合は、例えばサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)などが用いられる。この場合、プロモーターとしては酵母中で発現できるものであれば特に限定されず、例えばgal1プロモーター、gal10プロモーター、ヒートショックタンパク質プロモーター、MFα1プロモーター、PHO5プロモーター、PGKプロモーター、GAPプロモーター、ADHプロモーター、AOX1プロモーター等が挙げられる。酵母への組換えベクターの導入方法としては、酵母にDNAを導入する方法であれば特に限定されず、例えばエレクトロポレーション法(Becker, D.M. et al. (1990) Methods. Enzymol., 194,182-187)、スフェロプラスト法(Hinnen, A. et al. (1978) Proc. Natl. Acad. Sci., USA 75, 1929-1933)、酢酸リチウム法(Itoh, H. (1983) J. Bacteriol. 153,163-168)等が挙げられる。
動物細胞を宿主とする場合は、サル細胞COS−7、Vero、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO細胞)、マウスL細胞、ラットGH3、ヒトFL細胞などが用いられる。プロモーターとしてSRαプロモーター、SV40プロモーター、LTRプロモーター、CMVプロモーター等が用いられ、また、ヒトサイトメガロウイルスの初期遺伝子プロモーター等を用いてもよい。動物細胞への組換えベクターの導入方法としては、例えばエレクトロポレーション法、リン酸カルシウム法、リポフェクション法等が挙げられる。
昆虫細胞を宿主とする場合は、Sf9細胞、Sf21細胞などが用いられる。昆虫細胞への組換えベクターの導入方法としては、例えばリン酸カルシウム法、リポフェクション法、エレクトロポレーション法などが用いられる。
動物細胞を宿主として得られた形質転換細胞を培養する培地としては、一般に使用されているRPMI1640培地、DMEM培地又はこれらの培地に牛胎児血清等を添加した培地が用いられる。培養は、通常5%CO存在下、37℃で1〜30日行う。培養中は必要に応じてカナマイシン、ペニシリン等の抗生物質を培地に添加してもよい。また、血清の共存が望ましくない場合には目的に応じた無血清培地を使用してもよい。
培養後、所望の翻訳開始因子等が細胞内に生産される場合には細胞を破砕することにより当該翻訳開始因子等を抽出する。また、所望の翻訳開始因子等が細胞外に生産される場合には、培養液をそのまま使用するか、遠心分離等により細胞を除去する。その後、当該翻訳開始因子等の単離精製に用いられる一般的な生化学的方法、例えば、硫酸アンモニウム沈殿、ゲルクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー等を単独で、又は適宜組み合わせて用いることにより、上記培養物中から当該翻訳開始因子等を単離精製することができる。
[鋳型mRNA]
本発明の方法に用いる鋳型mRNAは、発現したい所望のタンパク質をコードするものであれば特に限定されないが、細胞から直接mRNAを単離するか、前記タンパク質をコードするDNAをRNAポリメラーゼプロモータを有するベクターにクローン化してインビトロ転写反応を行うことにより合成することができる。ファージポリメラーゼプロモータの後ろにクローン化されたDNAのインビトロ転写方法が知られている(Krieq, P. and Melton, D., Nucl. Acids Res., Vol.12, p.7057, 1984)。この方法は、発現したい遺伝子を、SP6、T7、及びT3RNAポリメラーゼのいずれか1つのプロモーターを有するベクターにクローン化する。次いで、このベクターのクローン化された遺伝子の3’末端で制限酵素を使用して線状化され、インビトロ転写反応によってmRNAへの転写を行う。SP6、T7及びT3RNAポリメラーゼプロモータを有する多数のベクターは市販されており、容易に入手可能である。このようにして合成した鋳型mRNAは、5’末端にキャップ構造を有するか、又は有しないもののいずれでもよい。5’末端にキャップを付加する場合は、キャップアナログと呼ばれるキャップ類似体を基質にして、RNAポリメラーゼの酵素反応でキャップを持ったmRNAを合成することができる。
本発明の1つの実施形態において、鋳型mRNAの5’末端にピコルナウイルスの内部リボソーム侵入部位(IRES)が付加される。ピコルナウイルスのmRNAは内部リボソーム侵入部位(IRES)を使用して翻訳反応を開始することが知られている。ピコルナウイルスのIRESの構造は大きく2つに分けられ、1つは、エンテロウイルス(例えば、ポリオウイルス)やライノウイルスであり、他の1つは、カルジオウイルス(例えば、Encephalomyocarditis virus(EMCV))やアフトウイルス(例えば、***ウイルス)である。
好ましくは、鋳型mRNAの5’末端にEMCVの内部リボソーム侵入部位(IRES)が付加される。EMCVのゲノムは約7900塩基長の正のRNA鎖である。EMCVゲノムの完全な塩基配列は、例えばGenBank Accession No.NC_001497及びX87335等に登録されている。細胞内においてEMCVのRNAは自らのタンパク質を翻訳するための鋳型として働き、続いて負のRNA鎖の合成に使用される。EMCVのRNAは、翻訳開始因子eIF4Gの結合部位として作用する内部リボソーム侵入部位(IRES)の助けをかりてリボソームと結合する。このIRESは、EMCVのRNAゲノムの5’非翻訳領域に存在し、例えば、EMCVゲノムの281〜848番目の塩基配列をPCRにより増幅してクローン化することができる。
[無細胞タンパク質合成用組成物の調製]
本発明の方法に用いる哺乳動物の抽出液は、哺乳動物細胞を培養し、これを回収して破砕することにより抽出液を調製する。哺乳動物細胞としては特に制限されないが、タンパク質合成活性の高い細胞が好ましく、例えば、マウスL−細胞、エールリッヒ腹水癌細胞、HeLa細胞、CHO細胞などを用いることができる。HeLaS3細胞はHeLa細胞から派生した浮遊細胞であり、細胞培養が容易であり増殖しやすいため特に好ましい。また、培養した細胞は、例えばホモジナイザー等の公知の方法を用いて機械的に破砕することができる。抽出液はミクロコッカスヌクレアーゼ及びCaCl処理して内因性mRNAを破壊し、その結果バックグラウンド翻訳を減少させて最小にする。次いで、EGTAを加えてCaClをキレートさせ、それによってヌクレアーゼを不活化する。
本発明の1つの実施形態において、上記哺乳動物の培養細胞を圧縮した不活性ガス(例えば、窒素ガス)に接触させて圧力をかけ、続いて減圧(除圧)することによって破砕する。このための装置として、例えば、Mini−Bomb細胞破砕チャンバがKONTES社から販売されている。この方法は、機械的な方法や超音波処理の場合などに見られる温度の上昇を伴わず、細胞は膨張するガスによって冷却される。圧力や平衡時間を変えることによって細胞の破砕の程度を調節できる。例えば、中程度の圧力で短時間処理することによって細胞内の小器官を壊すことなく外部の細胞膜のみを破砕することもできる。この装置を用いて昆虫細胞の抽出液を調製することによって、高い糖タンパク質合成活性が得られることが報告されている(Tarui, H. et al., Appl. Microbiol. Biotechnol. Vol.55, pp.446-453, 2001参照)。
この抽出液はタンパク質合成に必要な成分を含有しており、例えばtRNA、rRNA、アミノ酸並びに開始因子、延長及び終結因子が含まれる。さらに、ホスホクレアチンキナーゼ及びホスホクレアチンからなるエネルギー再生系を添加することによってmRNA翻訳が最適化される。さらにアミノ酸混合物を添加してもよい。酢酸カリウム及び酢酸マグネシウムは翻訳反応に適した濃度となるように調整して添加される。本発明の方法によれば、これらの抽出液へ上記真核生物の翻訳開始因子を添加することによってmRNAの翻訳活性をさらに増強することができる。添加する各翻訳開始因子の濃度は適宜最適化することができるが、例えば、0.01〜10μM、好ましくは0.1〜1μMである。
これらの無細胞タンパク質合成用反応混合物又はアミノ酸混合物は、それぞれ別に、若しくはあらかじめ混合した状態で、使用しやすいように一定量ごと分注して製品として配送することができる。これらの製品は凍結又は乾燥状態で保存することができ、保存及び輸送に適した容器に収容してキットとして販売される。キットには取扱説明書や陽性コントロールDNA、ベクターDNA等を添付することができる。
本発明は、以下の実施例によりさらに詳細に説明されるが、これらの実施例は本発明の範囲を何ら限定するものではない。
[細胞培養]
シャーレを用いたHeLaS3細胞の培養は、炭酸ガスインキュベーター(CO濃度5%、37℃)内にて行った。培地は、イーグルMEM培地(SIGMA社製)に、加熱処理を施した10%子ウシ血清(ICN Biomedicals、Inc)、2mMのL−グルタミン溶液、1ユニット/mlペニシリン、0.1mg/mlストレプトマイシンを添加したものを用いた。
1Lスケールでの攪拌培養は、細胞培養コントローラーシステム(セルマスター モデル1700和研薬)を取り付けたスピンナーフラスコを用いて行った。温度、pH、溶存酸素濃度、及び攪拌スピードは、それぞれ37℃、pH7.2、6.7ppm、及び50rpmに設定した。
[細胞抽出液の調製]
細胞濃度が1.0〜1.5×10個/mlに達した時点で、培養液中のHeLaS3細胞を360×g、4℃、10分間の遠心によって回収した。培地は、アスピレーターを用いて除き、培養液1L分から得られた細胞に対して80mlの緩衝液(35mMのHEPES−KOH(25℃でのpH7.5)、140mMのNaCl、11mMグルコース)で軽く懸濁した後、2本の50mlチューブに移し替え、360×g、4℃、5分間の遠心を行った。この操作を3回繰り返した後、細胞容積の1.5倍量の抽出buffer(20mMのHEPES−KOH(25℃でのpH7.5)、135mM酢酸カリウム、30mMのKCl、1.65mM酢酸マグネシウム)を加え、細胞濃度が約2.5×10個/mlになるように懸濁したものをMini-Bomb cell disruption chamber (KONTES)に封入した。細胞の破砕は、窒素ガス圧1.0Mpa、氷中にて静置した状態で行った。30分後、アウトレットポートをゆっくりと開口し、流速約3〜10滴/秒にて細胞破砕液を回収した。得られた細胞破砕液は、10,000×g、4℃、5分間の遠心を2回繰り返し、沈澱画分を除いたもの(2〜2.5ml)を、予め25mlの抽出bufferにて平衡化しておいたPD−10カラム(Amersham)へ添加した。自然落下にてサンプルをカラム内に入り込ませた後、さらに抽出bufferを添加し、カラム下から落下している溶液が透明から乳白色に変わった時点で、約1.7〜2.0mlまで採取したものを細胞抽出液とした。得られた抽出液は均等に小分けし、液体窒素で瞬間凍結後、マイナス80℃にて保存した。
[プラスミドとmRNAの調製]
ルシフェラーゼをコードするmRNA、cap−Luc−poly−A及びLuc−poly−Aを合成するために、まず、ルシフェラーゼcDNAをプラスミドpSP72(プロメガ社)のT7RNAポリメラーゼプロモータの下流に挿入したプラスミドpSP72−Lucを作製し、続いて、ルシフェラーゼ遺伝子の下流にポリAストレッチ(85個のデオキシアデニン)を挿入してプラスミドpSP72−LUC−Aを作製した(前掲の非特許文献4参照)。また、EMCVのIRESを有するmRNA、EMCV−Luc−poly−Aを合成するためには、プラスミドpSP72−EMCV−Luc−A(前掲の非特許文献5参照)を用いた。このプラスミドは、pGemCAT−EMCV−LUC(Pause et al., Nature 371, 762-767参照)を鋳型とし、PCRにより増幅したEMCVゲノムの281〜848番目のヌクレオチドからなるDNA断片を、プラスミドpSP72−LUC−AのT7プロモータとルシフェラーゼ遺伝子の間にクローン化することにより作製した。各プラスミドの構造を概略的に図1に表わした。
Luc−poly−A、及びEMCV−Luc−poly−AのmRNAの合成は、上記各プラスミド内のポリA配列の3’側を制限酵素BamHIで切断したものを鋳型とし、T7RNAポリメラーゼを用いたRiboMAX Large Scale RNA Production Systems (Promega)の方法に従って行った。cap−Luc−poly−AmRNAの合成では、上記合成法で使用するGTP濃度を5.0mMから0.8mMに変更し、さらにキャップ構造アナログであるm7G(5’)ppp(5’)A(NEW ENGLAND BioLabs)を4mM加えた条件で行った。合成した各mRNAは、波長260nmの吸光度から濃度を定量した後、マイナス80℃にて保存した。
[無細胞タンパク質合成]
ルシフェラーゼをコードする各mRNAの翻訳反応を行う前に、抽出液に含まれている内因性のRNAの分解と除去を行った。方法については以下の通りである。抽出液100μl(タンパク質濃度14〜18mg/ml)に対し、1μlの7500ユニット/mlヌクレアーゼS7、100mMのCaClを添加し、5分間、20℃の処理を施した後、8μlの30mMのEGTAを加え反応を停止した。次にその抽出液110μlへ、エネルギーミックス溶液(184mMのHEPES−KOH(pH7.5)、13.2mMのATP、1.32mMのGTP、198mMクレアチンリン酸、3.3mMスペルミジン、13.2mM酢酸マグネシウム)を16.4μl、3.3mMアミノ酸溶液(20種)を1.64μl、3.3mg/ml牛肝臓由来t−RNAを4.92μl、6.0mg/mlのクレアチンリン酸キナーゼを1.8μlを加え混合液を調製した。さらに混合液を透析チャンバー(MWCO 50kDa、再生セルロース製)へ充填し、4.9mlの外部液(エネルギーミックス溶液600μl、3.3mMアミノ酸溶液(20種)60μl、抽出buffer3.5ml、100mM酢酸マグネシウム21μl、400mMのEGTA27μlを含む)に対し1.5〜6時間の透析を32℃にて行った。なお、外部液の酢酸カリウム濃度は、目的に応じて変更した。
翻訳反応はまず、透析中の混合液を必要量採取し、アイスボックス中に静置した。次に氷冷したその混合液4.5μlをエッペンドルフチューブに移し、そこへ酢酸カリウム溶液、mRNA溶液を順に添加した後(最終容量6μl)、反応を開始した。また、翻訳開始因子(eIF)の効果を調べる場合には、必要量のeIF、mRNA溶液を順に混合液へ添加してから反応を開始した。反応液に含まれる各組成の最終濃度は、9〜12mg/mlの抽出液由来タンパク質、27mMのHEPES−KOH(pH7.5)、30μMアミノ酸(20種)、1.2mMのATP、120μMのGTP、18mMクレアチンリン酸、0.3mMスペルミジン、1.2mM酢酸マグネシウム、16mMのKCl、1.65mMのEGTA、90μg/ml牛肝臓由来t−RNA、60μg/mlクレアチンリン酸キナーゼである。酢酸カリウムおよび各mRNA濃度は、条件に応じてそれぞれ44〜224mM、0〜0.72μg/6μlの範囲で変更した。1時間、32℃のインキュベーションの後、反応液を直ちに氷冷し、一部をルシフェラーゼ活性測定に用いた。活性測定にはLuciferase Assay System(プロメガ社製)を使用した。
その結果を図2〜7に示した。図2はcap−Luc−poly−A及びLuc−poly−Aを用いた無細胞系翻訳反応の特性を示す。(A)は、HeLaS3細胞抽出液のヌクレアーゼ処理を行い、カリウム濃度を80mMに調整した外部液に対し透析を行った後、グラフに示されたカリウム濃度の条件下で、各mRNA(濃度0.24μg/6μl)の翻訳を行った。32℃で1時間インキュベーションした後、反応液の一部を用いてルシフェラーゼ活性を測定した。(B)は、cap−Luc−poly−A及びLuc−poly−Aについて最適のカリウム濃度であるそれぞれ120mM、及び90mMの条件の下、グラフに示されたmRNA濃度(0〜0.72μg/6μl)にて翻訳反応を行い、上記と同様にルシフェラーゼ活性を測定した。(●):cap−Luc−polyA、(○):Luc−polyAを示す。図2(A)及び(B)に示したように、5’末端にキャップ構造を有するcap−Luc−poly−Aはカリウム濃度が120mM、及びmRNA濃度が0.24μg/6μlのときに最も高いルシフェラーゼ活性を示した。また、キャップ構造をもたないLuc−poly−Aはカリウム濃度が90mM、及びmRNA濃度が0.48μg/6μlのときに最大の活性を示した。
次に、図3はEMCV−Luc−poly−Aを用いた無細胞系翻訳反応の特性を示す。(A)は、ヌクレアーゼ処理を行ったHeLaS3細胞抽出液をカリウム濃度を120mMに調整した外部液に対し透析を行った後、グラフに示されたカリウム濃度の条件下で、mRNA(0.2μg/6μl)の翻訳を行った。32℃で1時間インキュベーションした後、反応液の一部を用いてルシフェラーゼ活性を測定した。(B)は、(A)の結果から得られたEMCV−Luc−poly−Aの翻訳における最適なカリウム濃度(180mM)の条件の下、グラフに示されたmRNA濃度(0〜0.6μg/6μl)にて翻訳反応を行い、上記と同様にルシフェラーゼ活性を測定した。図3(A)及び(B)に示したように、EMCVのIRESを有するLuc−poly−Aは、カリウム濃度が180mMのときに最大活性を示し、mRNAの濃度依存的に活性値が上昇した。
図4は、cap−Luc−poly−Aを用いた無細胞系翻訳反応における各因子(eIF)の効果を示す。ヌクレアーゼ処理を行ったHeLaS3細胞抽出液を、カリウム濃度を160mMに調整した外部液に対し透析を行った後、グラフに示された各因子を添加し、最適な条件の下(カリウム、mRNA濃度をそれぞれ120mM、0.24μg/6μl)、翻訳を行った。32℃で1時間インキュベーションした後、反応液の一部を用いてルシフェラーゼ活性を測定した。各反応は2回繰り返し、eIF無添加でのルシフェラーゼ活性値を1.0としたときの各反応の活性値を比率で算出し、その平均値を表した。バーの種類:白、ライトグレー、ダークグレーは、それぞれ0.5、1.0、2.0pmolのeIFが反応液に含まれていることを示す。黒は、eIF2、eIF2Bが各1.0pmol、eIF4Eが2.0pmol含まれている。図4より明らかなように、5’末端にキャップ構造を有するmRNA、cap−Luc−poly−Aの翻訳は、eIF2、eIF2B、及びeIF4Eのいずれか、又は夫々を共に添加したときに有意に高いルシフェラーゼ活性を示した。これら3種類の翻訳開始因子を共に添加した場合には、無添加の場合と比べて約3倍のタンパク質合成活性が得られることが分かる。
図5は、Luc−poly−Aを用いた無細胞系翻訳反応における各因子(eIF等)の効果を示す。ヌクレアーゼ処理を行ったHeLaS3細胞抽出液を、カリウム濃度を120mMに調整した外部液に対し透析を行った後、グラフに示された各因子を添加し、最適な条件の下(カリウム、mRNA濃度をそれぞれ90mM、0.48μg/6μl)、翻訳を行った。32℃で1時間インキュベーションした後、反応液の一部を用いてルシフェラーゼ活性を測定した。各反応は2回繰り返し、eIF等無添加でのルシフェラーゼ活性値を1.0としたときの各反応の活性値を比率で算出し、その平均値を表した。バーの種類:白、ライトグレー、ダークグレーは、それぞれ0.5、1.0、2.0pmolのeIFが反応液に含まれていることを示す。黒は、eIF2、eIF2Bが各1.0pmol、p97が2.0pmol含まれている。図5より、5’末端にキャップが付加されていないmRNA、Luc−poly−Aの翻訳は、eIF2、eIF2B、及びp97のいずれか、又は夫々を共に添加したときに有意に高いルシフェラーゼ活性を示した。これら3種類の翻訳開始因子等を共に添加した場合には、無添加の場合と比べて5倍以上のタンパク質合成活性が得られることが分かる。
図6は、EMCV−Luc−poly−Aを用いた無細胞系翻訳反応における各因子(eIF)の効果を示す。ヌクレアーゼ処理を行ったHeLaS3細胞抽出液を、カリウム濃度を240mMに調整した外部液に対し透析を行った後、グラフに示された各因子を添加し、最適な条件の下(カリウム、mRNA濃度をそれぞれ180mM、0.6μg/6μl)、翻訳を行った。32℃で1時間インキュベーションした後、反応液の一部を用いてルシフェラーゼ活性を測定した。各反応は2回繰り返し、eIF無添加でのルシフェラーゼ活性値を1.0としたときの各反応の活性値を比率で算出し、その平均値を表した。バーの種類:白、ドット、ライトグレー、ダークグレーは、それぞれ0.3、0.6、1.0、2.0pmolのeIFが反応液に含まれていることを示す。黒は、eIF2、eIF2Bが各1.5pmol、含まれている。図6より、5’末端にEMCVのIRESが付加されたmRNA、EMCV−Luc−poly−Aの翻訳は、eIF2、及びeIF2Bのいずれか、又は両方を添加したときに有意に高いルシフェラーゼ活性を示し、これら2種類の翻訳開始因子を共に添加した場合には、無添加の場合と比べて1.5倍以上のタンパク質合成活性が得られることが分かる。
図7は、HeLaS3、ウサギ網状赤血球抽出液を用いた無細胞系翻訳反応における各mRNAの翻訳活性を示す。図4〜6の結果から得られた、HeLaS3を用いた各mRNA翻訳の最適条件(eIF等無添加:ライトグレー)、およびeIF等の添加によって一番効果が見られた条件(eIF等添加:黒)で翻訳反応を行ったときのルシフェラーゼ活性値を比較した。すなわち、EMCV−Luc−poly−Aを鋳型としたときはeIF2、及びeIF2Bを各1.5pmol添加し、cap−Luc−poly−Aを用いたときはeIF2、eIF2Bを各1.0pmolと、eIF4E2.0pmolとを添加し、並びにLuc−poly−Aを用いたときはeIF2、eIF2Bを各1.0pmolと、p97を2.0pmol添加した。また、ウサギ網状赤血球の抽出液(Promega)を用いたときの各mRNA翻訳反応の結果も合わせて比較した。ウサギ網状赤血球の抽出液を用いた反応では、EMCV−Luc−poly−A、cap−Luc−poly−A、Luc−poly−Aの翻訳に酢酸カリウムをそれぞれ100、150、50mM補った上、添付されていた説明書に基づいて30℃で1時間のインキュベーションを行った。mRNA濃度は全て0.1μg/6μlに設定した。図7より、eIF等無添加の条件ではHeLaS3細胞よりもウサギ網状赤血球の抽出液の方がキャップ付加及び非キャップ付加のいずれの条件でも高いルシフェラーゼ活性を示したが、それぞれ所定の翻訳開始因子等を添加することによってHeLaS3細胞抽出液のタンパク質合成活性は著しく増強され、いずれの条件下でもウサギ網状赤血球の抽出液中での合成量を上回ることが分かった。
[参考例]eIF等の調製
上記実施例において翻訳増強効果のあったeIF等の調製は以下のとおりである。各々の最終標本のタンパク質濃度はBradford法によりBSAを標準物質に用いて定量した。また、SDS−PAGEの後、クーマシーブルー染色によって他のタンパク質が混入していない事を確認した。
[eIF2の調製]
HeLa細胞(ヒト)またはKrebs細胞(マウス)より内因性eIF2を精製して用いた(Trachsel et.al. (1979) Biochim. Bicphys. Acta 561:484-490参照)。
[eIF2Bの調製]
(1)eIF2BのcDNA、発現プラスミド、及び形質転換バキュロウイルスの作製:
各々のcDNAは逆転写PCR(RT−PCR)により得た。RT−PCR用のRNAはHeLa細胞より得た。eIF2B1(GenBank accession number: NM_001414)、eIF2B2(同NM_014239)、eIF2B3(同NM_020365)、eIF2B4(同Q9UI10)、eIF2B5(同XM_291076)に対応するプライマーDNAは各々GeneBankに登録されたシークエンスを参考にした。得られたすべてのcDNAは塩基配列の決定を行い、登録されている配列と一致していることを確認した。精製を容易にするためeIF2B3のC−末端にFLAG配列を、eIF2B4のN−末端に6×His配列を付加した。これらのcDNAをバキュロウイルス作製用のプラスミドpAcDB3(PharMingen)に挿入し、pAcDB3−2B1−2B2−His2B4、及びpAcDB3−2B3−FLAG−2B5を作製した。これらの作製したプラスミドとバキュロウイルスDNA BaculoGold(PharMingen)を昆虫細胞Sf9に同時導入させた。正しく組み換えを起こしたウイルスを選び出し、Baculo−2B1−2B2−his−2B4ウイルスとBaculo−2B3−FLAG−2B5ウイルスを増幅した。前者のウイルスはeIF2B1、eIF2B2そしてHis−eIF2B4を同時に発現するウイルスであり、後者はeIF2B3−FLAGと、eIF2B5を同時に発現するウイルスである。
(2)eIF2Bの発現と精製:昆虫細胞High Five(インビトロジェン社)を細胞培養コントローラーシステム(セルマスターモデル1700、和研薬)を取り付けたスピンナーフラスコを用いて、1Lの培養液Express FiveSFM(インビトロジェン社)にて培養した。温度、溶存酸素濃度、攪拌スピードは、それぞれ27℃、7.8ppm、50rpmに設定した。細胞濃度0.5〜0.8x10細胞/mlに達した時Baculo−2B1−2B2−his−2B4と、Baculo−2B3−FLAG−2B5を同時感染させた。50時間後、細胞を回収し−20℃にて凍結保存した。eIF2Bの精製は以下のように行った。この凍結保存してあった細胞を100mlのバッファー(0.5MのKCl、20mMのHEPES、pH7.5、10%グリセロール、5mMの2−メルカプトエタノール、0.2%TritonX−100、プロテナーゼ阻害剤「-EDTA Complete, Roche」)に懸濁し、20分間氷中に置き、10,000Xgにて20分遠心後、上澄み液を得た。それにイミダゾールを最終濃度20mMになるように加え、2mlのNi−NTA−アガロース樹脂(キアゲン社)と4℃にて混和した。一時間後、空のカラムに通して結合していないタンパク質を除いた。さらに、上のバッファー50mlで洗った後、高濃度のイミダゾールを含むバッファー(10ml)(0.25Mイミダゾール、0.15MのKCl、20mMのHEPES、pH7.5、10%グリセロール、5mMの2−メルカプトエタノール、0.02%TritonX−100)を用いて結合したタンパク質を溶出した。EDTAを1mMになるように加え、Amicon Ultra 30,000MWCO (MILLIPORE)によって2mlまで濃縮し、ゲル濾過カラムSuperdex 200 HiLoad 16/60 (Amersham)に添加した。バッファー(0.5MのKCl、20mMのHEPES、pH7.5、10%グリセロール、5mMの2−メルカプトエタノール、1mMのEDTA)にて分画(0.3ml/分、1ml/画分)し、クーマシーブルー染色とウエスタンブロッテイングにより各々のサブユニットが存在している画分を確認した。すべてのサブユニットが確認された画分を集め、バッファー(20mMのHEPES、pH7.5、10%グリセロール、5mMの2−メルカプトエタノール、1mMのEDTA)にて三倍に希釈した後、anti-FLAG-Agarose(シグマ社)カラム(0.2ml)に添加した。バッファー(5ml)(0.1MのKCl、20mMのHEPES、pH7.5、10%グリセロール、5mMの2−メルカプトエタノール、1mMのEDTA)にて洗浄した後、そのバッファー(0.7ml)にFLAG−peptide(シグマ社)(50μg/ml)を加えた溶出液を添加することによりeIF2Bを溶出した。溶出されたeIF2BはSlide-A-Lyzer Mini Dialysis unit (10,000 MWCO)(ピアス社)を用いて(0.1MのKCl、20mMのHEPES、pH7.5、10%グリセロール、5mMの2−メルカプトエタノール、0.1mMのEDTA)に対して透析し、Slide-A-Lyzer Concentrating solution(ピアス社)を用い濃縮した。
[eIF4Eの調製]
マウスeIF4EcDNA(Jaramillo et.al. (1991) J.Biol.Chem. 266:10446-10451)をpGEX−6P(アマーシャム社)に挿入し、pGEX−6P−eIF4Eを作製した。pGEX−6P−eIF4Eを大腸菌BL21(DE−3)(pLys)に導入し、600nmにおける吸光度が0.5から0.9に至るまで2LのLuria broth(LB)にて培養した。IPTGを(最終濃度0.1mM)加え、30℃にて12から16時間培養を行うことによりGST−eIF4Eの発現誘導を行った。このバクテリアを遠心によって回収し、一度、バッファー(0.15MのNaCl、20mMのTris)(50ml)にて洗浄した後、バッファー(0.1MのKCl、20mMのHEPES、pH7.5、10%グリセロール、1mMのDTT、0.1%TritonX−100、プロテナーゼ阻害剤「Complete, Roche」)(50ml)に懸濁した。超音波処理によって細胞を破壊した後、超遠心30,000rpm(Beckman 70Ti roter)(1時間)にて不溶性画分を除いた。上澄み液をGlutathione Sepharose 4B レジン(アマーシャム社)(0.5ml)と混合し、4℃にて一時間混和した。この混合液を空のカラムに流し込み、更にバッファー(0.1MのKCl、20mMのHEPES、pH7.5、10%グリセロール、1mMのDTT、0.1%TritonX−100、1mMのEDTA)(30ml)にて洗うことにより非結合タンパク質を除いた。この段階では、GST−eIF4Eがレジンに結合した状態であると考えられる。上のバッファー(0.5ml)にPreScission Protease (12 unit) (アマーシャム社)加え、レジンと混合し、4℃にて一晩混和することによりGST−eIF4EのGSTとeIF4Eの間を切断した。レジンから離れたeIF4Eを回収し、再度Glutathione Sepharose 4B レジン(0.3ml)に通すことにより、完全にGST−eIF4EとGSTを除いた。得られたeIF4E標本をさらに精製するため、バッファーのpHを7.0にした後SP-Sepharose(0.3ml)(ファルマシア)に結合させた。バッファー(0.1MのKCl、20mMのHEPES、pH7.0、10%グリセロール、5mMの2−メルカプトエタノール、0.1mMのEDTA)(10ml)にて洗った後、0.3MのKClの同バッファーにてeIF4Eを溶出した。
[P97(C−末端にFLAGを付加させてある)の調製]
p97のcDNA(Imataka et.al. (1997) EMBO J 17:6940-6947)のC−末端にFLAG配列を付加し、pGEX−6Pに挿入し、pGEX−6P−p97−FLAGを作製した。GST−p97−FLAGをGST−eIF4Eと同様に発現させた。超遠心の後の上澄み液をHeparin Sepharose CL-6B (0.5ml)(アマーシャム社)と混合し、4℃にて一時間混和した。非結合タンパク質をGST−eIF4E/Glutathione Sepharose 4Bの場合と同様に洗い流し、結合したタンパク質をバッファー(0.5MのKCl、20mMのHEPES、pH7.5、10%グリセロール、1mMのDTT、0.1%のTritonX−100、1mMのEDTA)(3ml)にて溶出した。溶出液をGlutathione Sepharose4Bレジン(0.5ml)と混合し、eIF4Eの場合と同様の処置をすることにより、p97−FLAGを得た。さらに、eIF2Bの場合と同様にanti-FLAG-resinを用いて精製を完全にした。
実施例で用いた各種ルシフェラーゼmRNAを調製するためのプラスミドの構造を概略的に示す。 cap−Luc−poly−A及びLuc−poly−Aを用いた無細胞系翻訳反応の特性(カリウム濃度及びmRNA濃度依存性)を示す。 EMCV−Luc−poly−Aを用いた無細胞系翻訳反応の特性(カリウム濃度及びmRNA濃度依存性)を示す。 cap−Luc−poly−Aを用いた無細胞系翻訳反応における各因子(eIF)の効果を示す。 Luc−poly−Aを用いた無細胞系翻訳反応における各因子(eIF等)の効果を示す。 EMCV−Luc−poly−Aを用いた無細胞系翻訳反応における各因子(eIF)の効果を示す。 HeLaS3、ウサギ網状赤血球抽出液を用いた無細胞系翻訳反応における各mRNAの翻訳活性を示す。

Claims (11)

  1. 哺乳動物の培養細胞から調製された抽出液に、非キャップ付加mRNAと、翻訳開始因子2(eIF2)、及び翻訳開始因子2B(eIF2B)からなる群より選択される少なくとも1つ以上の真核生物の翻訳開始因子とを添加することを特徴とする無細胞タンパク質合成系によるタンパク質の製造方法。
  2. 前記非キャップ付加mRNAにウイルス核酸由来のリボソーム侵入部位(IRES)を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 120mMから240mMのカリウムイオンを含むことを特徴とする請求項2に記載の方法。
  4. 哺乳動物の培養細胞から調製された抽出液に、非キャップ付加mRNAと、真核生物の翻訳開始因子2(eIF2)、及び2B(eIF2B)、並びに真核生物の翻訳制御因子p97を添加することを特徴とする無細胞タンパク質合成系によるタンパク質の製造方法。
  5. 前記哺乳動物の培養細胞が、ヒト培養細胞である請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記ヒト培養細胞が、HeLaS3培養細胞である請求項5に記載の方法。
  7. 哺乳動物培養細胞の抽出液と、
    非キャップ付加mRNAと、
    真核生物の翻訳開始因子2(eIF2)及び翻訳開始因子2B(eIF2B)を含むことを特徴とする無細胞タンパク質合成のための組成物。
  8. さらに真核生物の翻訳制御因子p97を含むことを特徴とする請求項7に記載の組成物。
  9. 前記哺乳動物培養細胞が、ヒト培養細胞である請求項7又は8に記載の組成物。
  10. 前記ヒト培養細胞が、HeLaS3培養細胞である請求項9に記載の組成物。
  11. 前記非キャップ付加mRNAがウィルス核酸由来のリボソーム侵入部位(IRES)を含み、さらに120mMから240mMのカリウムイオンを含むことを特徴とする請求項7に記載の組成物。
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