JP4860049B2 - 圧着原紙 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、三つ折り圧着葉書用カット判帳票の原紙として適した圧着原紙に係り、特に、プリンタ内で紙詰まりが起こらず搬送性が良好であり、かつ接着剤組成物層同士の接着強度が良好である圧着原紙に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、郵便法の改正や葉書作成システムの普及により、剥離して情報記載面を見ることができる親展葉書やダイレクトメール等が、情報のセキュリティ性や情報記載量の多さから、一般に普及されている。この用途に使用される葉書等の圧着紙、圧着紙用帳票、圧着原紙に関しては、多くの提案がなされている。
【0003】
圧着紙用連続帳票には、ロール状もしくは帯状の連続帳票と、A4・A3などの規格サイズに加工された枚葉紙状のカット判帳票とがあり、連続帳票は高速大量処理に適しており、カット判帳票は給料明細書や町や村の公共団体の通知書等、連続帳票ほどの処理量を必要としない比較的少量の処理に適している。
【0004】
カット判帳票より圧着葉書を作成する方法としては、カット判帳票用の圧着葉書作成システムを用いる方法か、もしくは電子写真方式の卓上プリンタなどの小規模の電子写真方式プリンタで印字した後シーラーで処理する方法が一般的である。
【0005】
カット判帳票から圧着葉書を作成するシステムでは、プリント後の処理として、カット判帳票の不要部をカッティングして、接着面同士を積層圧着を行う。カット判帳票を使用した場合連続帳票の場合と比べて、スプロケット加工、断裁等の作業が不要であり、手間が省ける。
【0006】
小規模プリンタとシーラーを用いる方法は、カット判帳票用圧着葉書作成システムを用いる方法よりも、より少量の処理向けであり、既に電子写真方式のプリンタを所有している場合、シーラーとカット判帳票を購入するだけで圧着葉書を作成することができ、コスト的にも有利である。
【0007】
圧着葉書作成用のカット判帳票に関しては、例えば、A3カット判に所定の印刷及び印字を施して4つ折りとして葉書を2通作成する特開平10−76778号公報、A4カット判に所定の印刷及び印字を施して三つ折りして葉書を作成する特開平10−86558号公報、A4カット判に所定の印刷及び印字を施して4つ折りとして葉書を作成する特開平11−235555号公報、A3カット判に所定の印刷及び印字を施して3つ折りして葉書を3通作成する特開平11−245558号公報、などが開示されている。
【0008】
圧着紙は自着性の感圧接着剤基剤を使用しており、しかもロール状に巻き取られた状態で保管されるため、自着性の感圧接着剤基剤によりブロッキングが生じる可能性がある。このようなブロッキングの発生を防止するため、感圧接着剤基剤中には無機粒子等の微粒子充填剤が添加され、圧着紙表面に凹凸が生じるように設計されている。圧着紙表面に凹凸を設けることによりブロッキング防止には効果があるが、その一方で圧着紙表面の凹凸により走行に対する摩擦抵抗が大きくなり、プリンタ内で紙詰まりを生じやすくなる。
【0009】
特に、カット判帳票においては、幅方向の少なくとも一端に設けられたスプロケット穴でプリンタ内を誘導される連続帳票と比べて紙詰まりが起こりやすく、より高い搬送性・走行性が求められる。
【0010】
紙詰まりなどを防止するために搬送性・走行性を改善した提案は、連続帳票については多数なされている。例えば、特開平9−193571号公報には、透気度と動摩擦係数を特定して、プレヒータ板を備えた熱定着式のノンインパクトプリンタにおいて、安定なシート走行ができる搬送性に効果のある再剥離性感圧接着シートが開示されている。
【0011】
特開平11−34208号公報には、合成樹脂を主成分とするエマルジョン中に熱可塑性がある平均粒径1乃至30μmの粒子が含有されている接着剤を原紙に塗工することにより、印刷性やノンインパクト方式の印字に優れた圧着記録原紙が、開示されている。
【0012】
特開平11−115348号公報には、感圧接着性樹脂100重量部に、0.1μm乃至50μmの熱可塑性樹脂を1乃至200重量部を配合することにより、粉落ち等の現象を抑制でき、耐ブロッキング性と共に、耐熱性、耐摩耗性に優れる感圧接着性シートが開示されている。
【0013】
特開平11−279503号公報には、変性天然ゴム系ラテックスとこれに親和性を有する合成樹脂の微粒子を含有する感圧性接着剤組成物を支持体上に設けることにより、充填剤である微粒子が脱落することなく、フォーム印刷機やノンインパクトプリンタ等による印刷や印字が鮮明である上、印刷機やプリンタのロール汚れが少ない記録シートが開示されている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの提案は全て連続帳票に関するものであり、既に述べたようにカット判帳票においては連続帳票よりも高い搬送性・走行性が求められるため、これら従前の技術ではカット判帳票の搬送性・走行性改善に十分な効果が得られない。
【0015】
例えば、感圧接着剤基剤に粒径の大きい滑性のある合成樹脂粒子を添加することにより圧着紙表面に凹凸を作成してプリンタ内の走行性を改善させるという技術を用いた場合、カット判帳票をシーラーで接着して圧着葉書を作成した際に良好な接着力を発現しにくい、という問題がある。
【0016】
また、カット判帳票特有の問題として、印字後に排紙されたカット判帳票は、続けて排紙された帳票によって印字表面上が擦られ、印字が欠落したりする場合がある。
【0017】
本発明は、前述の問題点に着目してなされたものであり、その目的とするところは、小規模の電子写真方式プリンタや高速電子写真方式のプリンタなどのカット判帳票に対応しうるプリンタに使用した場合、プリンタ内で紙詰まりを生じることなく、しかもシーラー後は良好な接着力を発現する、圧着葉書用カット判帳票の原紙として適した圧着原紙を提供することにある。
【0018】
本発明の他の目的は、印字適性、特にトナー定着性が良好である、圧着葉書用カット判帳票の原紙として適した圧着原紙を提供することにある。
【0019】
本発明のさらに他の目的乃至作用効果については、以下の記述を参照することにより、当業者であれば容易に理解されるであろう。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明の圧着原紙は、圧着葉書用カット判帳票の原紙として適した圧着原紙において、前記圧着原紙は、紙基材の両面に感圧接着剤基剤を含む接着剤組成物層が設けられ、一方の面が剥離面、他方の面が非剥離面とされており、JIS P 8117による透気度が300秒以下、かつJIS P 8147による静摩擦係数が0.75以下、かつ含有水分が圧着原紙の重さ100重量%に対して3.5乃至6.5重量%である。
【0021】
このような構成によれば、静摩擦係数が0.75以下であることと、透気度が300秒以下であることとの相乗効果により、カット判帳票の抵抗が少なくなり、プリンタ内での走行系において紙詰まりが発生することを防止できる。
【0022】
加えて、含有水分が3.5乃至6.5%であることにより、カット判帳票の印字後のカールを防止でき、また良好な接着強度を有する圧着葉書が得られる。
【0023】
次に、本発明の圧着原紙用の接着剤組成物層は、前記感圧接着剤基剤中に、少なくとも、合成樹脂粒子と、水溶性高分子と、微粒子充填剤と、を含むものであることを特徴とする。
【0024】
また、感圧接着剤基剤に添加される合成樹脂粒子は、前記感圧接着剤基剤100重量部に対して、30乃至80重量部添加されることを特徴とする。
【0025】
このような構成によれば、感圧接着剤基剤に添加される合成樹脂の添加量が適切な量であるため、接着剤組成物層同士の接着力を好ましく保つことができる。
【0026】
ここで、前記合成樹脂粒子は、粒径分布範囲の異なる2種類の粒子を含むものであってもよい。
【0027】
このような構成によれば、接着剤組成物層中の粒径分布範囲の異なる合成樹脂粒子により圧着原紙表面に凹凸が生じ、圧着原紙のブロッキング防止に効果が得られる。
【0028】
前記粒径分布範囲の異なる2種類の合成樹脂粒子は、粒径3乃至15μmの粒子と、熱可塑性をもつ粒径20乃至50μmの粒子とであってもよい。
【0029】
このような構成によれば、圧着原紙表面に凹凸が生じ、しかも粒径20乃至50μmの粒子は熱可塑性を有するため印字後のヒートロール定着時に加熱によりつぶされ、シーラーで圧着される際に、粒径が大きい粒子により接着力が低下するという悪影響を及ぼさない。
【0030】
前記熱可塑性をもつ粒径20乃至50μmである合成樹脂粒子が、融点120乃至160℃であるアミド系化合物であってもよい。
【0031】
このような構成によれば、粒径20乃至50μmである合成樹脂粒子が滑り適正に優れたアミド系化合物であるため、圧着原紙表面の静摩擦係数を好適な値とすることに寄与する。
【0032】
また、上記アミド系化合物としては融点が120乃至160℃のものを選択しているため、コーター等で接着剤組成物が塗工された後の乾燥工程においてアミド系化合物に熱変形が起こりにくく、しかもカット判帳票に対応しうるプリンタの一般的なトナー定着温度である180乃至200℃の温度においてはアミド系化合物がつぶされ、接着力を低下させることがない。
【0033】
本発明の接着剤組成物層は、片面当たり固形分で2乃至10g/m2の塗工層により構成されていることを特徴とする。
【0034】
このような構成によれば、紙基材に塗工される接着剤組成物層の厚さは、5乃至10μmとなり、合成樹脂粒子が接着剤組成物層表面に凹凸を作成した状態となり、カット判帳票に加工する前の巻取原紙の段階でのブロッキング防止に効果を有する。
【0035】
好ましい実施の形態においては、感圧接着剤基剤としては、天然ゴム系ラテックスを用いてもよい。
【0036】
このような構成によれば、天然ゴム系ラテックスは通常の状態では粘着性を生じず、また自着性にも優れているため、扱いやすく適度な接着力を持った圧着原紙が得られる。
【0037】
好ましい実施の形態においては、水溶性高分子としては、変性ポリビニルアルコールを用いてもよい。
【0038】
このような構成によれば、変性ポリビニルアルコールを添加したことにより接着剤組成物層の被膜強度が向上し、また、トナー定着性も向上する。
【0039】
好ましい実施の形態においては、微粒子充填剤として、シリカとでんぷんを添加し、かつシリカは剥離面の接着剤組成物層に非剥離面側の接着剤組成物層よりも多く添加してもよい。
【0040】
このような構成によれば、でんぷんは圧着原紙表面を滑らかにすることから静摩擦係数の調整に寄与し、シリカは透気度の調整に寄与することから、所定の効果を得るために必要な静摩擦係数と透気度を実現しやすくなる。
【0041】
好ましい実施の形態においては、微粒子充填剤として、非剥離面側にタルクを添加してもよい。
【0042】
このような構成によれば、接着剤組成物層の接着強度を適切な値に調整することができる。
【0043】
好ましい実施の形態においては、水溶性高分子として、剥離面側に合成ゴム系ラテックスを添加してもよい。
【0044】
このような構成によれば、目標とする透気度を実現するためにシリカを多量に配合しても、合成ゴム系ラテックスにより接着剤組成物層の表面強度が向上し、シリカが接着剤組成物層から脱離しない。
【0045】
本発明の圧着原紙に設けられた接着剤組成物層同士の接着強度は、剥離面側が0.5乃至1.5N/25mmであり、かつ、非剥離面側の接着剤組成物層同士の接着強度は、前記剥離面側の接着剤組成物層同士の接着強度よりも0.35N/25mm以上高いものであることを特徴とする。
【0046】
このような構成によれば、接着強度が適切な値であるため、圧着原紙より作成された圧着葉書が配送中に剥離するという事故を防止でき、また受取人に配達された後においては剥離面を剥離する際に紙面が破れ記載情報が損なわれるという問題が起こらない。
【0047】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の好適な実施の一形態を、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0048】
先に述べたように、本発明の圧着原紙は、圧着葉書用カット判帳票の原紙として用いるのに好適なものである。カット判帳票は、A4・A3などの規格サイズで提供されるのが一般的であり、このようなカット判帳票の一例が図1に示されている。同図において、1はカット判帳票、2は上紙片、3は中紙片、4は下紙片、2a、3a、4aはそれぞれ上紙片2、中紙片3、下紙片4の剥離面(印字面)、2b、3b、4bはそれぞれ上紙片2、中紙片3、下紙片4の非剥離面(非印字面)、5は折り目線、6は切り離し線、7は切り離し紙片である。
【0049】
尚、図1に示された例においては、カット判帳票1はA4サイズに設計されており、上紙片の剥離面2aに宛名情報、中紙片の剥離面3aと下紙片の剥離面4aとに隠蔽情報が記載されるようにされている。また、各紙片の境界線である折り目線5にはミシン目加工が施されており、不要な切り離し片7を切り離すための切り離し線6には非剥離面側からハーフカット加工が施されている。
【0050】
図1に示されたカット判帳票1から切り離し紙片7が切り離され、上紙片2、中紙片3、下紙片4よりなる紙片が折り目線5により折り畳まれた状態が、図2に示されている。同図において、8は圧着葉書片、2a、3a、4aは剥離面(印字面)、2b、3b、4bは非剥離面(非印字面)であり、剥離面2aには宛名情報、剥離面3aと4aとには隠蔽情報がそれぞれ記載されている。
【0051】
圧着葉書片8は、宛名情報や隠蔽情報などの情報が印字された後に、同図に示されるようにN字状に折り畳まれ、シーラーで圧着される。
【0052】
さて、本発明の圧着原紙はロール上に巻き取られた状態で提供され、この圧着原紙にコンバータにおいてプレ印刷やミシン目加工が施されることにより、図1に示されるようなカット判帳票へと加工されるものである。このような圧着原紙のロール上に巻き取られた状態が、図3に示されており、同図において、9は剥離面(印字面)、10は非印字面(非剥離面)である。
【0053】
圧着原紙は、図3に示されるようにロール状に巻き取られた状態で保管されるため、圧着原紙表面に設けられた接着剤組成物層に含まれた自着性を持つ感圧接着剤基剤により、ブロッキングを起こすことがある。このようなブロッキングを起こさないためには、圧着原紙表面に凹凸が生じるように設計するのが一般的であるが、圧着原紙表面に凹凸を生じさせることにより搬送性乃至走行性は悪化し、紙詰まりが生じやすくなる。
【0054】
先に述べたように、本発明の圧着原紙は、透気度と静摩擦係数と含有水分とを調整することにより、搬送性乃至走行性が改善され、圧着葉書に加工したときの接着力も良好な圧着原紙である。
【0055】
本発明においては、圧着原紙の静摩擦係数を0.75以下にすることにより、カット判帳票のプリンタ内での走行系における抵抗が少なくなり、紙詰まりの発生を防止できる。但し、静摩擦係数が0.75以下であるだけでは、走行性の改善に十分な効果は得られない。静摩擦係数を0.75以下にし、更に透気度を300秒以下にすることによる相乗効果で、走行性の改善が達成されることを見出した。
【0056】
尚、圧着原紙の含有水分が3.5重量%より少ないと、接着力が低下し、圧着葉書に加工したときに十分な接着力が得られない。逆に含有水分が6.5重量%を超えると、接着力については問題ないが、カット判帳票の印字前後での含有水分の変化が大きくなり、カット判帳票にカールが生じ紙詰まりが起こることがある。
【0057】
さて、本発明の圧着原紙の両面に設けられている接着剤組成物層は感圧接着剤基剤中に、少なくとも合成樹脂粒子と、水溶性高分子と、微粒子充填剤とが添加されたものである。
【0058】
感圧接着剤基剤としては、例えばアクリル樹脂等の合成樹脂にタッキファイアを添加したものがある。この感圧接着剤基剤は、安定性があり経時変化による劣化が少ない点で優れているが、本発明において用いられる感圧接着剤基剤としては、通常の状態で粘着性を生じなくて自着性にも優れることから、天然ゴム系ラテックスが好ましい。
【0059】
天然ゴム系ラテックスとしては、天然ゴムにスチレン、メチルメタクリレートの合成樹脂及びクロロプレンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエンゴムを混合したもの、もしくは天然ゴムと上記の各物質との変性体が好適である。これらの変性体または混合物は配合割合を調整することにより、天然ゴム系ラテックスの基材との密着性を調整することができる。
【0060】
次に合成樹脂粒子としては、圧着原紙表面に凹凸を形成するという点から、粒径分布範囲の異なる粒子を数種類用いることが好ましく、より好ましくは粒径分布範囲の異なる粒子として、粒径3乃至15μmの粒子と熱可塑性を有する粒径20乃至50μmの粒子とを用いる。
【0061】
ここで、熱可塑性を有する粒径20乃至50μmの粒子としては、滑り性が良好であるアミド系化合物が望ましく、さらにアミド系化合物の中でも、脂肪酸アミドがより好適である。脂肪酸アミドは、真球状に近い一次粒子であり、それ自体滑り適性が良好であるため、所定の静摩擦係数を得るために好適である。
【0062】
また、粒径が20乃至50μmの合成樹脂粒子の融点は、120乃至160℃であることが望ましい。融点が120℃より低いと、接着剤組成物を紙基材に塗工後ドライヤで乾燥した際に粒子に熱変形が生じ、変形した粒子が接着剤組成物層表面から突出することにより静摩擦係数が上がってしまい、プリンタ内の定着ロールまでの走行性を損なってしまう。逆に融点が160℃より高いと、カット判帳票対応のプリンタの一般的なトナー定着温度である180乃至200℃程度の温度で粒子が十分につぶされず、20乃至50μmの粒子が接着剤層表面に突出したままであるため、シーラーで圧着する際に良好な接着力が得られない。
【0063】
粒径が3乃至15μmである合成樹脂粒子としては、樹脂自体が滑り性が良好なものが好ましく、滑り性及び耐摩耗性の点から、ポリエチレン樹脂やポリスチレン樹脂がより好ましい。
【0064】
本発明の圧着原紙より得られるカット判帳票の熱定着前後の接着剤組成物層表面の変化の様子が、図4に模式的に示されている。同図において、11はカット判帳票、12は接着剤組成物層、13は紙基材、14は粒径20乃至50μmの熱可塑性を有する合成樹脂粒子、15は粒径10乃至30μmの合成樹脂粒子、16は粒径20乃至50μmの合成樹脂粒子がつぶれた状態である。尚、図4においては感圧接着剤基剤中に合成樹脂のみ示されているが、これは合成樹脂の変化を表すためであり、実際には微粒子充填剤など他の物質も含まれている。
【0065】
粒径の異なる合成樹脂粒子を混合し感圧接着剤基剤に添加すると、図4(a)に示されるように、接着剤組成物層表面に凹凸が形成されこの凹凸により、カット判帳票に加工前の巻取原紙段階における圧着原紙の接着剤組成物層同士のブロッキング発生が防止される。
【0066】
加えて、このように接着剤組成物層表面に適正な凹凸を形成することにより、印字面に印字されたトナーの定着性が向上され、オフセット印刷機等によるプレ印刷においても、良好な印刷適正を示す。ここで、プレ印刷としては、例えば明細書の枠線、記号、図形、葉書の剥離性を向上させるスポットのベタ等の共通の印刷がある。
【0067】
さらに熱可塑性がある合成樹脂粒子はその塑性により、接着剤組成物層を乾燥する際に接着剤組成物層の皮膜強度の向上を促進させていると思われる。粒径の異なる合成樹脂粒子は、強固に接着剤組成物層に固着され、圧着原紙から加工されたカット判帳票がプリンタ内を走行する際に接着剤組成物層表面からの脱落が防止される。
【0068】
図4に戻って、図4(a)には、熱定着前の接着剤組成物層表面が示されており、この時点では粒径20乃至50μmの合成樹脂粒子が大きく突出している。この粒子の滑り適性が、プリンタ内の定着ロール部までの走行性の向上に寄与し、この粒子が接着剤組成物層表面に形成する凹凸が、巻き取り状態の原紙のブロッキング防止に寄与している。一方、熱定着後の接着剤組成物層の状態が図4(b)に示されており、熱定着後においては粒径20乃至50μmの合成樹脂粒子が熱定着によりつぶれてしまっている。
【0069】
同図に示されたカット判帳票は、プリンタ内の定着ロールで熱が与えられるまでは、粒径が20乃至50μmの合成樹脂粒子の突出部の良好な滑り適性によりプリンタ内を搬送される。この粒径が20乃至50μmの合成樹脂粒子は、定着ロールの熱圧によりつぶされるため、その後は、カット判帳票は粒径3乃至15μmの合成樹脂粒子の滑り適性によりプリンタ内を搬送される。
【0070】
カット判帳票の表面がヒートロールによる熱定着後に図4(b)に示されるような状態になり、粒径が20乃至50μmの合成樹脂粒子が接着剤組成物層表面に突出しなくなると、シーラー時に良好な接着力を発現することができる。
【0071】
合成樹脂粒子としては、上述のように粒径の異なる合成樹脂粒子が望ましく、その配合量としては、感圧接着剤基剤100重量部に対して、30乃至80重量部を配合することが望ましい。
【0072】
配合量が30重量部より少ないと、接着剤組成物層表面に突出する合成樹脂粒子が少なくなりすぎて、滑り適性が悪くなる。逆に80重量部を越えると、接着剤組成物層に突出する合成樹脂粒子が多くなり、定着ロールで熱圧によりつぶされたアミド系化合物の接着剤組成物層に占有する表面積が大きくなり、カット判帳票の接着力の低下を生じる。
【0073】
より好ましくは、前記粒径の異なる合成樹脂粒子が粒径3乃至15μmの粒子と粒径20乃至50μmの粒子とであり、粒径が20乃至50μmの合成樹脂粒子は、感圧接着剤基剤100重量部に対して20乃至50重量部、粒径3乃至15μmの合成樹脂粒子は、感圧接着剤基剤100重量部に対して10乃至30重量部を配合される。
【0074】
次に、本発明においては、接着剤組成物層は紙基材の表面に、片面当たり固形分で2乃至10g/m2の範囲で設けられることが望ましい。塗工量が2g/m2より少ないと十分な接着力が得られない。また逆に、塗工量が10g/m2を超えると、接着力が強くなりすぎ、さらに圧着原紙の透気度が300秒を超えやすくなり、カット判帳票に加工したときのプリンタ内での走行性が悪化する。
【0075】
接着剤組成物の塗工量を上述の範囲とすることにより、接着剤組成物層の厚みが5乃至10μmとなり、粒径3乃至15μmの粒子と粒径20乃至50μmの粒子とを添加した場合に圧着原紙表面に凹凸が形成され、ブロッキング防止に効果がある。
【0076】
本発明の圧着原紙に用いられる紙基材としては、フォーム用紙、上質紙、中質紙、OCR用紙等の情報用紙の他、各種コート紙を使用することができる。また、基材の繊維原料には環境面を考慮して、工程で発生する損紙、古紙パルプ及びケナフ、バガス、竹等の非木材原料を使用することができる。
【0077】
ここで、紙基材の透気度は、JIS P 8117による測定で20乃至40秒であることが好ましい。紙基材自体の透気度が40秒を越えると、接着剤組成物を塗工後の透気度を300秒以下に設定するのが困難になる。逆に20秒未満になると、接着剤層の塗工適性や印字適性が悪化する。
【0078】
接着剤組成物の塗工方法としては、既知の様々な塗工方法を用いることができるが、エアーナイフコーター、ブレードコーター、カーテンコーター、バーコーター、フレキソ印刷、スクリーン印刷等の塗工・印刷方式による塗工が好適である。
【0079】
次に、本発明の微粒子充填剤としては、既知のものを一種または二種以上組み合わせて用いることができるが、剥離面側にはシリカとでんぷん、非剥離面側にはシリカとでんぷんとタルクが用いられることが望ましい。でんぷんは、接着剤組成物層に耐ブロッキング性、緩衝性を与えると共に、接着剤組成物層表面になめらかさを与える。また、シリカは接着剤組成物層の透気度の調整に効果があり、タルクは非剥離面の接着剤組成物層の接着力の調整に効果がある。
【0080】
でんぷんとしては、粒子形状が真球状の小麦粉でんぷんで粒径が4乃至20μmであるものが望ましい。でんぷんの粒径が4μm未満になると、耐ブロッキング性の効果が劣り、逆に粒径が20μmを超えると、印刷面同士の接着力が弱くなってしまう。
【0081】
シリカは、粒径1乃至5μmであることが望ましい。シリカの粒径が1μm未満になると、接着剤組成物の調整の際、塗料粘度が上昇して、塗工適性が悪化する。逆に5μmを越えると電子写真方式の感光体ドラムを傷つける要因となる。
【0082】
タルクは、粒径2乃至5μmであることが望ましい。タルクの粒径が2μm未満になると、接着剤組成物の調整の際、塗料粘度が上昇して、塗工適性が悪化する。逆に5μmを越えると電子写真方式の感光体ドラムを傷つける要因となる。
【0083】
微粒子充填剤の配合量としては、それぞれ感圧接着剤基剤100重量部に対して、澱粉は50乃至100重量部、シリカは50乃至150重量部、タルクは50乃至100重量添加されることが望ましい。
【0084】
次に、本発明の圧着原紙においては、水溶性高分子として変性ポリビニルアルコールが用いられることが好ましい。変性ポリビニルアルコールを用いることにより、接着剤組成物層の被膜が向上し、またトナー定着性も向上する。
【0085】
また、水溶性高分子として、印字面側にはさらに合成ゴム系ラテックスが添加されることが好ましい。微粒子充填剤としてシリカを用いた場合、シリカは接着剤組成物層から脱離しやすいため、粉塵によるプリンタ汚染の原因となる。そのため、より多くのシリカを配合する圧着原紙の剥離面側の接着剤組成物層には、接着剤組成物層の強化のために、合成ゴム系ラテックスが添加されることが好ましい。
【0086】
本発明で用いることができる合成ゴム系ラテックスとしては、例えば、スチレン−ブタジエン系ラテックス、メタクリレート−ブタジエン系ラテックス、アクリロニトリル−ブタジエン系ラテックス、アクリル−スチレン系ラテックス等が挙げられるが好ましくはスチレン−ブタジエン系ラテックスであり、特に好ましくは、ガラス転移点が10乃至30℃のスチレン−ブタジエン系ラテックスである。
【0087】
スチレン−ブタジエン系ラテックスのガラス転移点が、10℃未満になると接着剤組成物層の硬化強度が弱くなり、シリカ等の粉塵によるプリンタの汚染を防止することができなくなる。逆に30℃を越えると接着剤組成物層の硬化強度が強くなりすぎて剥離面(印字面)接着剤組成物層同士の接着強度を低下させる。
【0088】
また、合成ゴム系ラテックスは、感圧接着剤基剤100重量部に対して、10乃至30重量部を配合されることが望ましい。合成ゴム系ラテックスの配合量が10重量部未満になると、接着剤組成物層の強度向上の効果が弱くなり、シリカ等の粉塵によるプリンタへの汚染を防止できなくなる。逆に30重量部を越えると剥離面(印字面)接着剤組成物層同士の接着強度を低下させる。
【0089】
次に、本発明の圧着原紙の接着剤組成物層同士の接着強度は、剥離面側が0.5乃至1.5N/25mmであり、かつ非剥離面側の接着強度が剥離面側の接着強度よりも、0.35N/25mm以上高いことが望ましい。
【0090】
圧着原紙の剥離面側の接着剤組成物層同士の接着強度が0.5N/25mmより低くなると、受取人が受け取る前、例えば配送中などに圧着葉書の剥離面(印字面)が剥離してしまう。また逆に、接着強度が1.5N/25mmを越えると、圧着葉書を剥離する際に印字面の破れを生じる。
【0091】
さらに非剥離面側の接着剤組成物層同士の接着強度は、剥離面側の接着剤組成物層同士の接着強度よりも0.35N/25mm以上高いことが好ましい。両面の接着強度の差が0.35N/25mmより低くなると、剥離面側を剥離する際に非剥離面側も剥離してしまい、剥離面のみの剥離が良好でなくなる。
【0092】
非剥離面側の接着剤組成物層同士は、原則的に剥離しないことが法的条件となるため、1.80N/25mm以上の接着強度とすることが望ましい。
【0093】
また、本発明の圧着原紙は、圧着葉書、圧着封書、圧着カタログ、給料明細書等の圧着通知書、圧着配送伝票等を含む広い用途で使用されるものである。本発明においては、三つ折りに加工する葉書を主たる目的としているが、カット判帳票のサイズや葉書の取り方により、二つ折り等のタイプの違う折り方にも適用可能である。
【0094】
さらに、本発明の剥離面(印字面)用の接着剤組成物は、剥離可能である印字面側の接着剤として好適であるから、三つ折りタイプの6面使用圧着葉書、二つ折りタイプの圧着葉書用のカット判帳票に加工される圧着葉書にも適用可能である。
【0095】
【実施例】
以下、実施例において、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明する。
【0096】
<実施例1>
剥離面(印字面)の接着剤組成物層として、天然ゴムにメタクリル酸メチルを混合した天然ゴム系ラテックス100重量部に、水に分散させた粒径40μmの脂肪酸アミド粒子40重量部(融点130℃)、粒径13μmのポリエチレン系ワックスエマルジョン15部と、水に分散させたシリカ135重量部及び澱粉85重量部を添加して混合後、さらにガラス転移点15℃のスチレン−ブタジエン系ラテックス20重量部、珪素変性ポリビニルアルコール20重量部、消泡剤等の添加剤を添加して塗料を作成した。作成した塗料を93g/m2のフォーム用紙の片面に、コーターのエアーナイフ方式において塗工量が固形分で、4.5g/m2となるように塗工した。
【0097】
非剥離面(非印字面)の接着剤組成物層として、天然ゴムにメタクリル酸メチルを混合した天然ゴム系ラテックス100重量部に、水に分散させた粒径40μmの脂肪酸アミド粒子40重量部(融点130℃)、粒径13μmのポリエチレン系ワックスエマルジョン15重量部と、水に分散させたシリカ50重量部、タルク80重量部及び澱粉70重量部を添加して混合後、さらに珪素変性ポリビニルアルコール15重量部、消泡剤等の添加剤を添加して塗料を作成した。作成した塗料を上記で作成した塗工紙の反対面に、コーターのエアーナイフ方式において塗工量が5.0g/m2となるように塗工した。
【0098】
上述の工程により作成された、実施例1の圧着原紙のJIS P8117による透気度は180秒、含有水分は5.5%、JIS P8147による静摩擦係数は0.585であった。
【0099】
<比較例1>
剥離面(印字面)の接着剤組成物層として、天然ゴムにメタクリル酸メチルを混合した天然ゴム系ラテックス100重量部に、水に分散させたシリカ120重量部及び澱粉70重量部を添加して混合後、更にガラス転移点15℃のスチレン−ブタジエン系ラテックス30重量部、消泡剤等の添加剤を添加して塗料を作成した。作成した塗料を93g/m2のフォーム用紙の片面に、コーターのエアナイフ方式において塗工量が5.0g/m2となるように塗工した。
【0100】
非剥離面(非印字面)の接着剤組成物として、天然ゴムにメタクリル酸メチルを混合した天然ゴム系ラテックス100重量部に、水に分散させたシリカ28重量部、タルク56重量部及び澱粉49重量部を添加して混合後、消泡剤等の添加剤を添加して塗料を作成した。作成した塗料を、上記で作成した塗工紙の反対面に、コーターのエアーナイフ方式において塗工量が固形分で5.0g/m2となるように塗工した。
【0101】
上述の工程により作成された、比較例1の圧着原紙のJIS P8117による透気度は140秒、含有水分は6.7%、JIS P8147による静摩擦係数は1.027であった。
【0102】
<比較例2>
剥離面(印字面)の接着剤組成物層として、天然ゴムにメタクリル酸メチルを混合した天然ゴム系ラテックス100重量部に、水に分散させたタルク120重量部及び澱粉50重量部を添加して混合後、更にガラス転移点15℃のスチレン−ブタジエン系ラテックス15重量部、エステル化澱粉3重量部、消泡剤等の添加剤を添加して塗料を作成した。作成した塗料を93g/m2のフォーム用紙の片面に、コーターのエアーナイフ方式において塗工量が5.0g/m2となるように塗工した。
【0103】
非剥離面(非印字面)の接着剤組成物として、天然ゴムにメタクリル酸メチルを混合した天然ゴム系ラテックス100重量部に、水に分散させたタルク65重量部、澱粉50重量部を添加して混合後、エステル化澱粉3重量部、消泡剤等の添加剤を添加して塗料を作成した。作成した塗料を、上記で作成した塗工紙の反対面に、コーターのエアーナイフ方式において塗工量が固形分で5.0g/m2となるように塗工した。
【0104】
上述の工程により作成された、比較例2の圧着原紙のJIS P8117による透気度は1000秒、含有水分は6.9%、JIS P8147による静摩擦係数は0.604であった。
【0105】
上記の実施例、比較例で作成したそれぞれの圧着原紙に、フォーム印刷機において紫外線硬化インキでプレ印刷を行なった後、ミシン目加工を行い断裁して、A4判のサイズにカットした。このA4サイズのカット判帳票にInfoprint 70プリンタ(日本IBM(株)製)において、剥離面(印字面)に印字を実施した。その後、シーラーでA4判カット紙から圧着葉書を作成した。
【0106】
<接着剤組成物層の接着強度>
実施例及び比較例で作成した圧着原紙を、23℃、50%RHにて調湿後、定型葉書サイズに断裁し1枚目の表と2枚目の表、2枚目の裏と3枚目の裏が合わさるように3枚重ね合わせ、ドライシーラーMS−9000(大日本印刷(株)製)にてロールギャップ190μmの設定で加圧接着し、25mm(巾)×100mm(長さ)の試験片に切った。この試験片についてTCM−2kNB(ミネベア(株)製)にて引張強度速度を300mm/minに設定して、T型剥離による接着強度の測定を行った。
【0107】
<接着剤組成物層の静摩擦係数>
実施例及び比較例で作成した圧着原紙を、摩擦係数試験装置を用いて水平法により静摩擦係数を測定した。幅60mm、長さ100mm、質量1000gのおもりに圧着原紙から作成した幅60mm、長さ100mmの試験片を、剥離面(印字面)接着剤組成物層が下向きとなるように貼付する。更に摩擦係数試験装置の水平板に圧着原紙から作成した幅100mm、長さ250mmの試験片を、非剥離面(非印字面)接着剤組成物層が上向きとなるように貼付する。剥離面(印字面)接着剤組成物層と非剥離面(非印字面)接着剤組成物層を組み合わせ、水平板のを移動速度10mm/minで約50mm移動して摩擦力を測定し、最初のピークを静摩擦力とした。
【0108】
<プリンタ内の走行性評価>
前述の通り作成したA4サイズのカット判帳票3000枚をプリンタの大容量フィーダ部にセットして印字を行い、1000枚の用紙に対し、紙詰まりの起こる回数を換算して、プリンタ内の走行性評価とした。
【0109】
<接着剤組成物層の表面状態評価>
プリンタで印字する前のA4サイズのカット判帳票の非剥離面(非印字面)及び剥離面(印字面)の接着剤組成物層表面と、プリンタで印字した後のA4サイズのカット判帳票の非剥離面(非印字面)及び剥離面(印字面)の接着剤組成物層表面を電子顕微鏡で1000倍に拡大して表面状態を観察した。
【0110】
表1には、実施例1、比較例1及び比較例2の上記試験についての評価結果を示す。
【表1】
Figure 0004860049
【0111】
表1で示したように、実施例1の圧着原紙から作成したA4サイズのカット判帳票では、プリンタにおける走行性が改善され紙詰まりが生じなくなった。これは、透気度が300秒以下の180秒、静摩擦係数が0.75以下の0.585、含有水分が3.5乃至6.5重量%の範囲内の5.5重量%と、必要な条件を三つとも満たしたからだと思われる。
【0112】
これに対して、比較例1の圧着原紙から作成したA4サイズのカット判帳票では、プリンタ内で紙詰まりが生じた。これは、透気度が300秒以下の140秒であるけれども、静摩擦係数が0.75を越える1.027であり、含有水分も3.5乃至6.5重量%の範囲外の6.7重量%であるからだと思われる。
【0113】
また、比較例2の圧着原紙から作成したA4サイズのカット判帳票でも、プリンタ内で紙詰まりが生じた。これは、静摩擦係数が0.75以下の0.604であるけれでも、透気度が300秒を越える1000秒であり、含有水分も3.5乃至6.5重量%の範囲外の6.9重量%であるからだと思われる。
【0114】
さらに、実施例1により作成された圧着原紙より得られた圧着葉書は、粒径40μmの脂肪酸アミド(融点130℃)という粒径の大きい粒子を含んでいるにも拘わらず、接着力は良好である。これは、電子写真方式のプリンタの定着ロールを構成するヒートロール部で、粒径40μmの脂肪酸アミドが熱圧され、つぶされているためであると思われる。
【0115】
実施例1によるカット判帳票の非剥離面のプリンタによる印字前後の表面の拡大状態が、図5に示されている。図5(a)はA4サイズカット板帳票の印字前の非剥離面の接着剤組成物層の表面状態を電子顕微鏡により1000倍に拡大したものであり、図5(b)はA4サイズカット板帳票の印字前後の非剥離面の接着剤組成物層の表面状態を、電子顕微鏡により1000倍に拡大したものである。
【0116】
印字前の図5(a)においては、粒子が球形の形状を保っているのが観察される。これに対して印字後の図5(b)においては、粒子がつぶれて球形のものがほとんどなくなっていることが観察される。すなわち、これら図5(a)及び図5(b)より、印字後には粒径の大きい粒子がつぶれていることが確認された。
【0117】
実施例1によるカット判帳票の剥離面のプリンタによる印字前後の表面の拡大状態が、図6に示されている。図6(a)はA4サイズカット板帳票の印字前の剥離面の接着剤組成物層の表面状態を電子顕微鏡により1000倍に拡大したものであり、図6(b)はA4サイズカット板帳票の印字前後の剥離面の接着剤組成物層の表面状態を、電子顕微鏡により1000倍に拡大したものである。
【0118】
印字前の図6(a)においては、粒子が球形の形状を保っているのが観察される。これに対して印字後の図6(b)においては、粒子がつぶれて球形のものがほとんどなくなっていることが観察される。
【0119】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、圧着葉書用カット判帳票の原紙として用いた場合に、高速電子写真方式のプリンタや卓上の電子写真方式プリンタにおいて紙詰まりを生じることなく、しかもシーラー後は良好な接着力を有する良好な圧着葉書用原紙を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の圧着原紙から作成されたカット判帳票の一例を示す図である。
【図2】カット判帳票が折り畳まれた状態の一例を示す図である。
【図3】圧着原紙がロール状に巻き取られた状態を示す図である。
【図4】本発明の圧着原紙の熱定着前後における表面の変化の様子を模式的に示す図である。
【図5】実施例1によるカット判帳票の非剥離面のプリンタによる印字前後の表面の拡大状態を示す図である。
【図6】実施例1によるカット判帳票の剥離面のプリンタによる印字前後の表面の拡大状態を示す図である。
【符号の説明】
1 カット判帳票
2 上紙片
2a 上紙片2の剥離面(印字面)
2b 上紙片2の非剥離面(非印字面)
3 中紙片
3a 中紙片3の剥離面(印字面)
3b 中紙片3の非剥離面(非印字面)
4 下紙片
4a 下紙片4の剥離面(印字面)
4b 下紙片4の非剥離面(非印字面)
5 折り目線
6 切り離し線
7 切り離し紙片
8 圧着葉書片
9 剥離面(印字面)
10 非剥離面(非印字面)
11 カット判帳票
12 接着剤組成物層
13 紙基材
14 粒径20乃至50μmの熱可塑性を有する合成樹脂粒子
15 粒径10乃至30μmの合成樹脂粒子
16 つぶれた粒径20乃至50μmの合成樹脂粒子

Claims (8)

  1. 圧着葉書用カット判帳票の原紙として適した圧着原紙において、前記圧着原紙は、紙基材の両面に感圧接着剤基剤を含む接着剤組成物層が設けられ、一方の面が剥離面、他方の面が非剥離面とされており、
    前記接着剤組成物層は、前記感圧接着剤基剤中に、少なくとも、合成樹脂粒子と、水溶性高分子と、微粒子充填剤と、を含み、
    前記合成樹脂粒子は、粒径分布範囲の異なる2種類の粒子を含み、
    前記粒径分布範囲の異なる2種類の合成樹脂粒子は、粒径3乃至15μmの粒子と、熱可塑性をもつ粒径20乃至50μmの粒子とからなり、
    前記熱可塑性をもつ粒径20乃至50μmの合成樹脂粒子は感圧接着剤基剤100重量部に対して20乃至50重量部、前記粒径3乃至15μmの合成樹脂粒子は感圧接着剤基剤100重量部に対して10乃至30重量部配合され、
    前記熱可塑性をもつ粒径20乃至50μmである合成樹脂粒子は、融点120乃至160℃であるアミド系化合物であって
    JIS P 8117による透気度が300秒以下、かつJIS P 8147による静摩擦係数が0.75以下、かつ含有水分が圧着原紙の重さ100重量%に対して3.5乃至6.5重量%である、ことを特徴とする圧着原紙。
  2. 前記接着剤組成物層は、片面当たり固形分で2乃至10g/m2の塗工層により構成されていることを特徴とする請求項1に記載の圧着原紙。
  3. 前記感圧接着剤基剤は、天然ゴム系ラテックスであることを特徴とする請求項1または2に記載の圧着原紙。
  4. 前記水溶性高分子として、変性ポリビニルアルコールが添加されていることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の圧着原紙。
  5. 前記微粒子充填剤として、シリカとでんぷんが添加されており、かつシリカは剥離面の接着剤組成物層に非剥離面の接着剤組成物層よりも多く添加されていることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の圧着原紙。
  6. 前記微粒子充填剤として、非剥離面側にタルクが添加されていることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の圧着原紙。
  7. 前記水溶性高分子として、剥離面側に合成ゴム系ラテックスが添加されていることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の圧着原紙。
  8. 剥離面側の接着剤組成物層同士の接着強度は0.5乃至1.5N/25mmであり、かつ、非剥離面側の接着剤組成物層同士の接着強度は、前記剥離面側の接着剤組成物層同士の接着強度よりも0.35N/25mm以上高いものであることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の圧着原紙。
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