JP4859473B2 - グリセリンカルボン酸ジエステルの製造方法 - Google Patents
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Description
また、グリセリンと(メタ)アクリル酸エステルによるエステル交換による製造方法が挙げられる(例えば、特許文献3参照。)。これは、下記化学反応式(2);
また、グリセリンと(メタ)アクリル酸ハライドによるエステル化による製造方法も開示されている(例えば、特許文献4参照。)。これは、下記化学反応式(3);
これらの方法は、上述したように、グリセリンジ(メタ)アクリレートの選択率が低く、その上、生成したジ(メタ)アクリレートが自己重合する場合があることから、収率を向上させる点において、改善の余地があった。また、(メタ)アクリル酸ハライドについては、非常に反応性が高いため取り扱いに厳重な注意を要することから、簡易な製造方法とする点においても、改善の余地があった。
以下に本発明を詳述する。
なお、本明細書中において、アルカリ金属元素としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等が好ましく、より好ましくはナトリウム、カリウムである。更に好ましくはカリウムである。また、アルカリ土類金属元素としては、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ストロンチウム等が好ましく、より好ましくはマグネシウム、カルシウム、バリウムである。更に好ましくはマグネシウムである。
上記不飽和結合を有する有機基としては、特に限定されず、具体的には、ビニル基、アリル基、α−メチルビニル基等の、炭素数が1〜20の不飽和脂肪族炭化水素基;フェニル基、ナフチル基等に不飽和脂肪族が結合したスチレン基、アリルベンゼン基等の炭素数が1〜20の芳香族−不飽和脂肪族炭化水素基;上記不飽和炭化水素基、上記芳香族−不飽和脂肪族炭化水素基の水素原子のひとつ以上が、水酸基で置換された基;上記不飽和炭化水素基、上記芳香族−不飽和脂肪族炭化水素基の水素のひとつ以上が、カルボキシル基で置換された基;上記不飽和炭化水素基、上記芳香族−不飽和脂肪族炭化水素基の水素のひとつ以上が、エーテル基で置換された基;上記不飽和炭化水素基、上記芳香族−不飽和脂肪族炭化水素基の水素のひとつ以上が、エステル基で置換された基であることが好ましい。すなわち、炭素数が1〜20の不飽和脂肪族炭化水素基、炭素数が1〜20の芳香族−不飽和脂肪族炭化水素基、又は、これらの基の少なくともひとつ以上が、水酸基、カルボキシル基、エーテル基、若しくは、エステル基で置換された基であることが好ましい。より好ましくは、ビニル基、又は、α−メチルビニル基である。
上記第四級アンモニウム塩としては、例えば、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラフェニルアンモニウムクロライド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド、オクチルトリメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラフェニルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリエチルアンモニウムブロマイド、オクチルトリメチルアンモニウムブロマイド等が挙げられる。好ましくはテトラエチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラフェニルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラフェニルアンモニウムブロマイドであり、より好ましくはテトラブチルアンモニウムクロライド、テトラフェニルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラフェニルアンモニウムブロマイドである。
上記相間移動触媒は、1種又は2種以上を併用することができる。
上記溶媒の割合としては、上記一般式(1)で表される化合物と上記一般式(2)で表される化合物の合計質量に対して50〜500%であることが好ましい。
上記N−オキシラジカル系重合禁止剤としては、例えば、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−アセトアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル等が挙げられる。好ましくは4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−アセトアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシルである。
上記芳香族アミン系重合禁止剤としては、例えば、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−ナフチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジナフチル−p−フェニレンジアミン、フェノチアジン等が挙げられる。好ましくはN,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、フェノチアジンである。
上記フェノール系重合禁止剤としては、例えば、ヒドロキノン、メトキシフェノール、2,5−ジ−tert−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−tert−アミルヒドロキノン、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、6−tert−ブチル−2,4−キシレノール等が挙げられる。好ましくはメトキシフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールである。
上記銅系重合禁止剤としては、酸化第一銅、塩化第一銅、ジメチルジチオカルバミン酸銅等が挙げられる。
これらは、それぞれ単独でもしくは二種以上を混合して用いることができる。
上記工程における反応時間としては、3〜30時間であることが好ましい。
なお、上記工程は、後述するオキシラン系化合物とカルボン酸系化合物との反応工程の後に連続して行われることが好ましい。
上記オキシラン系化合物としては、例えば、1−クロロ−2,3−エポキシプロパン等の下記一般式(6);
本明細書において、ハロゲン元素としては、特に限定されない。
上記カルボン酸系化合物としては、下記一般式(7);
上記反応において、カルボン酸系化合物/オキシラン化合物=0.5〜2.0であることが好ましい。0.5未満であると、オキシラン化合物が、残存することになり、後述するように、上記工程を連続して行う場合に、グリセリンカルボン酸ジエステルの収率を充分に向上させることができないおそれがあり、2.0を超えると、グリセリンカルボン酸ジエステルの中間体の収率が低下するおそれがある。より好ましくは、0.7〜1.5である。
上記滴下は、反応により発熱するため、反応温度が120℃を超えないように適宜調整することが好ましい。より好ましくは110℃以下であり、更に好ましくは100℃以下である。
上記オキシラン化合物とカルボン酸系化合物との反応時間は、滴下終了から3〜30時間であることが好ましい。
実施例1
撹拌器、温度計、還流冷却管、空気吹込み口、滴下漏斗を備えたフラスコに、アクリル酸79.3g(1.1モル)、N−メチルピロリドン(NMP)180g、テトラブチルアンモニウムブロマイド(TBAB)3.2g(0.01モル)、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル(4H−TEMPO)0.093g、p−メトキシフェノール(MQ)0.093gを加えて、オイルバスにて反応温度60℃になるように撹拌し、乾燥空気を30ml/minの流量にてバブリングしながら、エピクロロヒドリン(ECH)92.5g(1モル)を、反応温度が60℃に保たれるように滴下した。滴下後60℃に保持したまま反応を進行させ、エピクロロヒドリンの転化率が95%を超えたところでアクリル酸カリウム126.6g(1.1モル)を加え、反応温度が110℃になるようにオイルバス温度を上昇した。反応温度が110℃に到達した後、撹拌しながら4時間反応を行った。反応後ガスクロマトグラフィーにより分析を行ったところ、グリセリンジアクリレートの対ECH収率は75%であった。
実施例1の内容において、アクリル酸を酢酸66.0g(1.1モル)に変更して同様の操作を行った。反応後ガスクロマトグラフィーにより分析を行ったところ、グリセリンアセテートアクリレートの対ECH収率は80%であった。
撹拌器、温度計、還流冷却管、空気吹込み口、ディーンスタークを備えたフラスコに、グリセリン92.1g(1モル)、アクリル酸288.2g(4モル)、ベンゼン200g、硫酸0.98g(0.01モル)、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル0.18gを加えて、オイルバスにて反応温度が80℃になるよう加熱、撹拌し、乾燥空気を30ml/minの流量にてバブリングしながら6時間反応を行った。反応中、ディーンスタークにトラップされた共沸水は適宜抜出した。反応後、ガスクロマトグラフィーにより分析を行ったところ、グリセリンジアクリレートの対グリセリン収率は27%であった。
撹拌器、温度計、還流冷却管、滴下漏斗、空気吹込み口、ディーンスタークを備えたフラスコに、グリセリン92.1g(1モル)、アクリル酸ブチル512.7g(4モル)、ジブチル錫オキシド2.49g(0.01モル)、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル0.29gを加えて、オイルバスにて反応温度が130℃になるよう加熱、撹拌し、乾燥空気を30ml/minの流量にてバブリングしながら15時間反応を行った。反応中、ディーンスタークにトラップされた留出液は適宜抜出し、同体積のアクリル酸ブチルを滴下した。反応後、ガスクロマトグラフィーにより分析を行ったところ、グリセリンジアクリレートの対グリセリン収率は47%であった。
比較例1と同様の実験装置において、グリセリン−1−アセテート134.1g(1モル)、アクリル酸144.2g(2モル)、シクロヘキサン235g、硫酸0.98g(0.01モル)、4−アセトアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル0.20gを加えて、オイルバスにて反応温度が90℃になるよう加熱、攪拌し、乾燥空気を30ml/minの流量にてバブリングしながら、5時間反応を行った。反応中、ディーンスタークにトラップされた留出液は適宜抜出した。反応後、ガスクロマトグラフィーにより分析を行ったところ、グリセリンアセテートアクリレートの対グリセリン−1−アセテート収率は45%であった。
比較例1と同様の実験装置において、グリセリン−1−アセテート134.1g(1モル)、アクリル酸ブチル256.4g(2モル)、チタンテトライソプロポキシド2.84g(0.01モル)、4−アセトアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル0.20gを加えて、オイルバスにて反応温度が120℃になるよう加熱、攪拌し、乾燥空気を30ml/minの流量にてバブリングしながら、8時間反応を行った。反応中、ディーンスタークにトラップされた留出液は適宜抜出した。反応後、ガスクロマトグラフィーにより分析を行ったところ、グリセリンアセテートアクリレートの対グリセリン−1−アセテート収率は55%であった。
Claims (3)
- 前記R1及びR2のうち少なくとも一つは、不飽和結合を有する有機基であることを特徴とする請求項1又は2記載のグリセリンカルボン酸ジエステルの製造方法。
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