ところで、車両の盗難防止の観点から特にステアリングロックが必要となる場合として、乗員が車両外に出てしまって車両を駐車しておく場合等が考えられるが、この場合、乗員は通常、イグニッションスイッチを切った後(つまりオフ状態にした後)にドアを開閉して車両外に出ることとなる。従って、上記のようにステアリングロック用アクチュエータを駆動してステアリングのロック/アンロック状態を切り換えるようにする盗難防止装置では、ステアリングをロックするタイミングを、イグニッションスイッチがオフ状態になった後にドアの開閉状態の変化を検知したときとすることが考えられる。そうすることで、盗難の可能性が高い状況において確実にステアリング用アクチュエータを作動させてステアリングをロックすることができるとともに、該アクチュエータが不必要に作動してその作動音により乗員が不快感を感じるのを防止することができる。
しかし、上記盗難防止装置を例えばルーフが開閉可能なオープンカー等に搭載するようにした場合、乗員は、ルーフが開いた状態にあればたとえドアが閉じられていても車両外からイグニッションスイッチを操作することが可能となり、このため、例えば、乗員が車両から降車した後にイグニッションスイッチの切り忘れに気づいてドアを閉じたままの状態で車両外からイグニッションスイッチを切った場合に、上記のようなロック状態への切換えタイミングでは、イグニッションがオフ状態となり且つドアが閉じられて車室内に乗員が残っていないにも拘わらずステアリングをロック状態に切り換えることができず、この結果、車両盗難の危険性が増大するという問題が生じる。しかもこの場合には、ルーフが開状態にあって車両盗難の危険性が特に高い状況にあることから考えても改良の必要性が高い。
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、オープンカー等のルーフを開閉可能な車両に搭載される盗難防止装置に対して、その構成及び制御方法に工夫を凝らすことで、ステアリングロック用アクチュエータの不必要な作動を防止してその作動音等による乗員の不快感を低減しつつ、ルーフが開状態にある場合(盗難の可能性が特に高い場合)における、盗難防止のためのステアリングロックを確実に実行しようとすることにある。
上記の目的を達成するために、この発明では、車両のルーフが閉状態にある場合においては、イグニッションスイッチがオフ状態になった後にドアの開閉状態が変化したときに、ステアリング用アクチュエータを作動させてステアリングをロックする一方、車両のルーフが開状態にある場合においては、ドアの開閉状態の変化に拘わらずイグニッションスイッチがオフ状態になったときにステアリング用アクチュエータを作動させてステアリングをロックするようにした。
具体的には、請求項1の発明では、ステアリング操作に連動する可動部材に対して係脱して該ステアリングをロック状態とアンロック状態とに択一的に切り換えるロック部材と、該ロック部材を、上記ステアリングのロック/アンロック状態が切り換わるように駆動するステアリングロック用アクチュエータと、該アクチュエータの駆動を制御する駆動制御手段とを備えた、ルーフを開閉可能な車両の盗難防止装置を対象とする。
そして、上記駆動制御手段は、上記ステアリングがアンロック状態にあり且つ上記ルーフ開閉状態検知手段により上記ルーフの閉状態が検知された場合には、上記イグニッションスイッチがオフ状態になった後に上記ドア開閉状態検知手段により上記ドアの開閉状態の変化が検知されたときに、上記ステアリングロック用アクチュエータを駆動して上記ステアリングをロック状態に切り換える一方、上記ステアリングがアンロック状態にあり且つ上記ルーフ開閉状態検知手段により上記ルーフの開状態が検知された場合には、上記イグニッションスイッチがオフ状態になったときに、その後に上記ドア開閉状態検知手段により上記ドアの開閉状態の変化が検知されるか否かに拘わらず上記ステアリングロック用アクチュエータを駆動して上記ステアリングをロック状態に切り換えるように構成されているものとする。
上記の構成により、ステアリングがアンロック状態にあり且つ上記ルーフ開閉状態検知手段によりルーフの閉状態が検知された場合には、イグニッションスイッチがオフ状態になった後にドア開閉状態検知手段によりドアの開閉状態の変化が検知されたときに、駆動制御手段がステアリングをロックするべくステアリングロック用アクチュエータを作動させる。
これにより、乗員が、車両を駐車して車両外に出るために、イグニッションスイッチをオフ状態にしてドアを開閉するという通常の動作を行うと、ステアリング用アクチュエータが作動してステアリングがロックされることとなる。一方、乗員が、休息等のために車室内に居残る場合には、イグニッションスイッチをオフ状態にした後に、半ドア等によりドアを閉め直したりしない限りドアの開閉を行わないので、ドア開閉状態検知手段によりドアの開閉状態の変化が検知されず、このため、駆動制御手段がステアリング用アクチュエータを作動させてステアリングをロック状態に切り換えることもない。
従って、乗員が車両の車室内に居る場合等、比較的盗難の可能性が低い場合においてまで、ステアリング用アクチュエータが作動してその作動音により乗員が不快感を感じるのを防止することができるとともに、乗員が車両外に出ていて比較的盗難の可能性が高い状況においては、ステアリング用アクチュエータを作動させてステアリングを確実にロックさせることができ、車両の盗難を確実に防止することが可能となる。
一方、ルーフ開閉状態検知手段によりルーフの開状態が検知された場合には、イグニッションスイッチがオフ状態になったときに、その後にドア開閉状態検知手段によりドアの開閉状態の変化が検知されたか否かに拘わらず、駆動制御手段がステアリングをロックするべくステアリング用アクチュエータを作動させる。
これにより、ルーフが開状態にあって車両の車室内への侵入が容易であるが故に車両の盗難危険性がより一層高まる状況において、乗員が車両を駐車して車両外に出ている場合に、ステアリングアクチュエータを確実に作動させてステアリングをロックすることができる。すなわち、乗員は、ルーフが開いた状態にあればドアが閉じられていても車両外からイグニッションスイッチを操作することができるので、ステアリング用アクチュエータの作動タイミングを、上述のルーフが閉状態の場合と同じにしてしまうと、例えば、乗員が車両から降車してドアを閉じた後に車両外からイグニッションスイッチを切った場合(つまりオフ状態にした場合)に、ステアリング用アクチュエータが作動せず、この結果、乗員が車両外に出ているにも拘わらずステアリングがロックされず、車両盗難の危険性が増大することとなる。しかしながら、本発明によれば、イグニッションスイッチをオフ状態にすれば、その後にドアの開閉がなされなくとも、ステアリング用アクチュエータが作動してステアリングがロックされる。従って、ルーフが開状態にある場合におけるステアリングロックを該ルーフが閉状態にある場合に比べてより一層確実に行うことができて、車両盗難を確実に防止することが可能となる。
請求項2の発明では、請求項1の発明において、請求項1記載の車両の盗難防止装置において、上記車両の車室内の乗員の存在を検知する乗員検知手段をさらに備え、上記駆動制御手段は、上記ステアリングがアンロック状態にあり且つ上記ルーフ開閉状態検知手段により上記ルーフの開状態が検知された場合においては、上記イグニッションスイッチがオフ状態になり且つ上記乗員検知手段により上記車両の車室内の乗員が検知されなかったときに、上記ステアリングロック用アクチュエータを駆動して上記ステアリングをロック状態に切り換えるように構成されているものとする。
この構成により、ルーフ開閉状態検知手段により上記ルーフの開状態が検知された場合には、上記イグニッションスイッチがオフ状態になり且つ乗員検知手段により乗員が検知されたときに、駆動制御手段がステアリングロック用アクチュエータを駆動してステアリングをロック状態に切り換える。従って、イグニッションスイッチがオフ状態であっても、乗員検知手段により車両の車室内の乗員が検知された場合には、駆動制御手段によるステアリング用アクチュエータの駆動は行われず、従って、ステアリングがロック状態に切り換わることもない。このため、車室内に乗員が居るにも拘わらず、つまり車両盗難の可能性が比較的低いにも拘わらずステアリング用アクチュエータが不必要に作動して、その作動音等により乗員が不快感を感じるのをより一層確実に防止することが可能となる。
請求項3の発明では、請求項1又は2の発明において、上記車両の停止状態を検知する車両停止状態検知手段をさらに備え、上記駆動制御手段は、上記車両停止状態検知手段により上記車両の停止が検知されない限り、上記ステアリングをアンロック状態からロック状態に切り換えるためのステアリング用アクチュエータの駆動制御を行わないように構成されているものとする。
この構成によれば、車両停止状態検知手段により車両の停止が検知されない限り、ステアリングがアンロック状態からロック状態に切り換わることもなく、従って、車両が走行状態にあるにも拘わらずステアリングがロックされるのを防止することができる。具体的には、例えば、乗員が、イグニッションスイッチをオフ状態にして車両を坂道等に駐車して休息中にその自重により車両が動き出したときに、ドア開閉検知手段の誤作動等によりステアリング用アクチュエータが作動してステアリングがアンロック状態からロック状態に切り換わる、つまり車両のステアリング操作が不可能になるのを防止することができる。よって、上記盗難防止装置を車両に搭載することによりステアリング操作が必要な状況にあるにも拘わらずステアリングがロックされて車両の安全性が損なわれるのを防止することができる。
以上説明したように、本発明のルーフを開閉可能な車両の盗難防止装置によると、車両のルーフが閉状態にある場合には、イグニッションスイッチがオフ状態になった後にドアの開閉状態が変化したときに、ステアリング用アクチュエータを作動させてステアリングをロックする一方、車両のルーフが開状態にある場合においては、ドアの開閉状態の変化に拘わらずイグニッションスイッチがオフ状態になったときに、ステアリング用アクチュエータを作動させてステアリングをロックさせるようにしたことで、ステアリング用アクチュエータの不必要な作動を防止してその作動音等による乗員の不快感を低減しつつ、ルーフが開状態にあるが故に盗難の可能性が特に高い状況においては、盗難防止のためのステアリングロックを確実に行うことができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る車両の盗難防止装置1の構成を示す。この盗難防止装置1は、ルーフを開閉可能なオープンカー等に搭載されるものであって、メカニカルキーを使用しないでドアをロック/アンロックさせかつエンジン5を始動させることが可能なキーレスエントリ装置2と、ステアリング操作に連動する可動部材であるステアリングシャフト7を回動不能にしてステアリング操作を不能にするステアリングロック装置3とを備えている。ここで、上記エンジン5は、エンジン制御ユニット(ECU)6により制御される。尚、上記ルーフの開閉状態の切換えは、車両のインストルメントパネルに設けられたルーフ開閉スイッチ(図示省略)を乗員が操作することでルーフ開閉装置(図示省略)を作動させることによって行われる。
上記キーレスエントリ装置2は、第1制御ユニット10と第1ドライバ11とを有している。第1制御ユニット10は、情報処理を行うCPU10aと、プログラムやデータを記憶しているROM10bと、CPU10aの主記憶装置として機能するとともにCPU10aにワークエリアを提供するRAM10cと、EEPROM(electrically erasable
programable ROM)10dとを含んでいる。このEEPROM10dには、現在のステア
リングシャフト7のロック/アンロック状態が記憶されるとともに、所定の識別コードが予め記憶されている。
上記第1制御ユニット10は、上記第1ドライバ11、プッシュ式や回動式のイグニッションスイッチ22、上記ルーフの開閉状態を検知するルーフ開閉状態検知手段としての
ルーフセンサ23、運転席のシートの内部に設けられて該運転席の乗員の存在を検知する乗員検知手段としてのシートセンサ24、上記ECU6、ドアロック制御ユニット41及び後述の第2制御ユニット30と電気的に接続されているとともに、上記第1制御ユニット10のEEPROM10dに記憶されたものと同じ識別コードを無線送信する携帯機21と無線通信可能に構成されている。そして、バッテリ20の電源(電力)が第1制御ユニット10と第1ドライバ11とに供給され、第1ドライバ11が第1制御ユニット10により制御されて、上記電源が第1ドライバ11からステアリングロック装置3における後述の第2制御ユニット30及び第2ドライバ31に供給停止可能に供給される。また、上記電源は、第1制御ユニット10からECU6及びアンチロックブレーキシステム(ABS)51に供給停止可能に供給される。さらに、上記電源は、第1制御ユニット10からドアロック制御ユニット41及び後述の各スイッチ43〜45に供給されるとともに、ドアロック制御ユニット41から、後述のドアロック用アクチュエータ42に供給停止可能に供給される。
上記ABS51は、当該車両の制動時の車輪ロックを抑制するように制動装置の制動力を制御するものであって、当該車両の走行速度を検出する車速検出部52を有している。この車速検出部52は、本実施形態では、車両の停止状態を検知する車両停止状態検知手段を構成しており、車速が0(厳密に0でなくても、所定速度(車速が実質的に0である
とすることが可能な最大値であり、例えば4km/h)以下であってもよい)であるとき、車両が停止状態にあることを検知する。上記車速検出部52は、一般的な車速センサで構成してもよく、各車輪の速度をそれぞれ検出する各車輪速センサにより検出される各車輪の速度から車速を推定するものであってもよい。
上記ドアロック制御ユニット41は、車両のドアをロック/アンロックするドアロック用アクチュエータ42の駆動を制御するものであって、第1制御ユニット10からの指令に基づいて、ドアロック用アクチュエータ42を、上記電源を供給することにより駆動する。また、ドアロック制御ユニット41には、ドアの開閉状態を検知するドア開閉状態検知スイッチ43と、ドアのロック/アンロック状態を検知するドアロック/アンロック状態検知スイッチ44と、ドアのアウタドアハンドル又はその近傍に設けられたドアロック/アンロックスイッチ45とが接続されていて、該各スイッチ43〜45からの情報がドアロック制御ユニット41に入力され、更にドアロック制御ユニット41から第1制御ユニット10に入力される。
上記ドアロック/アンロック状態検知スイッチ44は、車両のドアにおける車室側に設けられかつ該ドアをロック/アンロックするべく該車両の乗員により操作されるロックノブ又は該ロックノブに連動する連動部材(例えばロックノブとロック機構とを連結するリンク部材)の作動位置を検知することで、ドアのロック/アンロック状態を検知するようになっており、当該車両の乗員がロックノブを直接操作したときであっても、ドアロック用アクチュエータ42が駆動したときであっても、ロックノブ及び連動部材が作動して、ドアのロック/アンロック状態を検知することができる。
上記第1制御ユニット10は、車両に搭載されかつ上記携帯機21からの識別コードを受信する車載機を構成していて、第1制御ユニット10が受信した識別コードが、上記EEPROM10dに予め記憶された識別コードと一致したときにドアのロック/アンロックを可能にし、この状態で乗員が上記ドアロック/アンロックスイッチ45を操作すると、このドアロック/アンロックスイッチ45から第1制御ユニット10に、ドアをロックさせるロック指示又はアンロックさせるアンロック指示が送信されて、第1制御ユニット10がこの指示を受信して、その指示に応じてドアロック制御ユニット41を介してドアロック用アクチュエータ42を駆動してドアをロック/アンロックする。尚、ドアをロック/アンロックのための操作スイッチを有する携帯機から、乗員の操作スイッチの操作によりロック指示又はアンロック指示を第1制御ユニット10に送信するようにしてもよい。
また、第1制御ユニット10は、上記携帯機21が車室内に存在する状態で、第1制御ユニット10が受信した識別コードが、EEPROM10dに予め記憶された識別コードと一致したときには、上記イグニッションスイッチ22をオン状態にすることを可能にする。すなわち、エンジン5を含む車載制御機器を作動させることを可能にする。このように、第1制御ユニット10及び携帯機21は、第1制御ユニット10が受信した識別コードが、第1制御ユニット10に予め記憶された識別コードと一致したときに車両に搭載された車載制御機器の作動を可能にする所謂スマートキーレスエントリシステムを構成している。
上記スマートキーレスエントリシステムにおいては、上記車両の乗員が該車両に乗り込むために上記携帯機21を所持しながらドアロック/アンロックスイッチ45を操作すると、ドアがアンロック状態となり、ドアを開けて車室内に入ると、イグニッションスイッチ22をオン状態にすることが可能になる。そして、イグニッションスイッチ22を操作してオン状態にすることで、エンジン5が始動する。
一方、車両が停止した後に乗員がイグニッションスイッチ22をオフ状態にして、携帯機21を所持しながら車両から降りてドアを閉め、ドアロック/アンロックスイッチ45を操作すると、ドアがロック状態となる。
尚、携帯機21の故障や電池切れ等に対応できるように、メカニカルキーを、車両のドアにおける外側に設けたキースロットに差し込んで回すことで、ドアのロック/アンロックが可能になっており、また、そのメカニカルキーを、ステアリングコラムに設けたキースロットに差し込んで回すことで、エンジン5を始動することが可能になっている。
上記ステアリングロック装置3は、第2制御ユニット30と、第2ドライバ31と、ステアリングロック用アクチュエータとしての電動モータ32を含む駆動機構33と、ロック部材34とを有している。第2制御ユニット30は、情報処理を行うCPU30aと、プログラムやデータを記憶しているROM30bと、CPU30aの主記憶装置として機能するとともにCPU30aにワークエリアを提供するRAM30cと、EEPROM30dとを含んでいる。このEEPROM30dには、現在のステアリングシャフト7のロック/アンロック状態が記憶される。
上記第2制御ユニット30は、第1制御ユニット10、第1ドライバ11及び第2ドライバ31と電気的に接続されており、第1制御ユニット10へ、EEPROM30dに記憶されているロック/アンロック状態の情報を送信する。第1制御ユニット10は、この情報をEEPROM10dに記憶する。上記第2ドライバ31は、第2制御ユニット30により制御されて、第2ドライバ31から電動モータ32に上記電源が供給停止可能に供給される。そして、上記電源が電動モータ32に供給されている間、電動モータ32が駆動されることになる。
上記ロック部材34は、上記ステアリングシャフト7に設けた被係合部7a(凹部)に係脱してステアリングシャフト7(つまりステアリング)をロック状態とアンロック状態とに択一的に切り換えるものであり、電動モータ32は、そのロック部材34を、ステアリングシャフト7のロック/アンロック状態が切り換わるように駆動するものである。尚、駆動機構33は、電動モータ32の出力をロック部材34に伝達するギヤ等を含むものである。
上記バッテリ20の電源は、イグニッションスイッチ22がオフ状態にあるときには、第1制御ユニット10、第1ドライバ11、ルーフセンサ23、シートセンサ24、ドアロック制御ユニット41及び各スイッチ43〜45に供給されるが、第2制御ユニット30、第2ドライバ31及びABS51には基本的に供給されない。但し、後述の如く上記電動モータ32を駆動するタイミングとなったときには、上記電源が第2制御ユニット30、第2ドライバ31及びABS51に供給され、更に第2ドライバ31が第2制御ユニット30により制御されて電動モータ32に上記電源が供給され、電動モータ32の駆動が完了すると、第1制御ユニット30は、その完了した旨の情報(後述のEEPROM10dの更新情報)を第2制御ユニット30から受信して、第2制御ユニット30、第2ドライバ31及びABS51への電源供給を停止する。尚、イグニッションスイッチ22がオフ状態にあるときには、上記電源はECU6には常に供給されず、イグニッションスイッチ22がオン状態になったときに供給される。また、イグニッションスイッチ22がオン状態になったときには、第2制御ユニット30、第2ドライバ31及びABS51に上記電源が供給される。
上記第1制御ユニット10は、後述のタイミングでステアリングシャフト7をロック状態及びアンロック状態のうちの一方から他方へ切り換える指令を第2制御ユニット30へ出力し、第2制御ユニット30は、その指令を受けて第2ドライバ31を介して電動モータ32を駆動して、ロック部材34を、被係合部7aに係合するロック位置及び被係合部
7aから離脱したアンロック位置のうちの一方から他方へ移動させる。このことで、第1及び第2制御ユニット10,30は、電動モータ32(ステアリングロック用アクチュエータ)の駆動を制御する駆動制御手段を構成する。そして、第2制御ユニット30は、ステアリングシャフト7のロック/アンロック状態の切換えが完了したとき、電動モータ32への電源供給を停止するとともに、EEPROM30dに記憶しているロック/アンロック状態の情報を更新し、その更新情報を第1制御ユニット10へ送信する。
上記第1及び第2制御ユニット10,30は、ステアリングシャフト7をアンロック状態からロック状態へ切り換える際には、以下の如く動作する。
すなわち、第1制御ユニット10は、上記ステアリングシャフト7がアンロック状態にあり、且つ上記ルーフセンサ23によりルーフの閉状態が検知された場合には、上記イグニッションスイッチ22のオフ状態が該制御ユニット10にて検知され且つ該検知後にドア開閉状態検知スイッチ43によりドアの開閉状態の変化が検知されたときに、ステアリングシャフト7をロック状態へ切り換えるロック指令を第2制御ユニット30へ出力し、第2制御ユニット30は、電動モータ32を駆動してステアリングシャフト7をアンロック状態からロック状態へ切り換える。
一方、第1制御ユニット10は、ルーフセンサ23によりルーフの開状態が検知された場合には、該制御ユニット10にてイグニッションスイッチ22のオフ状態が検知され且つ上記シートセンサ24により車両の車室内の乗員が検知されなかったときに、該検知後にドア開閉状態検知スイッチ43によりドアの開閉状態の変化が検知されるか否かに拘わらず、ステアリングシャフト7をロック状態へ切り換えるロック指令を第2制御ユニット30へ出力し、第2制御ユニット30は、電動モータ32を駆動してステアリングシャフト7をアンロック状態からロック状態へ切り換える。
尚、上述の如く車両の乗員が該車両に乗り込むために携帯機21を所持しながらドアロック/アンロックスイッチ45を操作すると、ドアがアンロック状態になるが、第1制御ユニット10は、このタイミングか、又は、その後にドアが閉状態から開状態になるのと略同時に、上記電源を第2制御ユニット30、第2ドライバ31及びABS51に供給するとともに、ステアリングシャフト7をロック状態からアンロック状態へ切り換える指示を第2制御ユニット30へ出力する。また、ステアリングシャフト7がロック状態にあるときにおいて、イグニッションスイッチ22がオン状態になったときには、上記電源を第2制御ユニット30、第2ドライバ31及びABS51に供給するとともに、ステアリングシャフト7をアンロック状態へ切り換える指示を第2制御ユニット30へ出力して、ステアリングシャフト7をアンロック状態へ切り換えるようにする。
また、第1制御ユニット10は、上記車速検出部52により車両の停止状態が検知されない限り、ステアリングシャフト7をロック状態へ切り換える上記ロック指令を第2制御ユニット30に出力しないようになっている。つまり、第1制御ユニット10は、該車速検出部52からの検出情報を基に、車両の停止状態の判定を行って、該車両が停止状態にあると判定しない限り第2制御ユニット30に対して上記ロック指令を出力しない。
尚、第1制御ユニット10は、イグニッションスイッチ22がオン状態からオフ状態になったときに、第2制御ユニット30、第2ドライバ31及びABS51への電源供給を停止し、この電源供給停止後においてイグニッションスイッチ22のオフ状態が維持されている状態で、ドア開閉状態検知スイッチ43によりドアの開閉状態が変化したこと(ドアが開状態から閉状態になったこと)が検知されたときに、上記バッテリ20の電源を第2制御ユニット30、第2ドライバ31及びABS51に供給する。そうして、ABS51が作動して車速検出部52によって車速が検出され、ABS51からの車速情報が第1制御ユニット10に入力されることになる。従って、例えばイグニッションスイッチ22がオフ状態でドアの開閉が長時間なされない場合には、ABS51等への電源供給を停止することができて、暗電流の増大によるバッテリ上がりを防止することができる一方、ドアの開閉状態の変化時にはABS51へ電源を供給して車速情報を入手することができ、上記車両停止状態の判定を適切に行うことができる。
上記第1制御ユニット10におけるステアリングシャフト7のロック状態への切換え処理動作を図2のフローチャートに基づいて説明する。
最初のステップS1では、イグニッションスイッチがオフ状態であるか否かを判定し、このステップS1の判定がNOであるときには、ステップS1の処理を繰り返す一方、ステップS1の判定がYESになると、ステップS2に進む。
ステップS2では、ルーフセンサ23にてルーフの開状態が検知されたか否かを判定し、この判定がNOの場合にはステップS3に進み、YESの場合にはステップS9に進む。
ステップS3では、第2制御ユニット30、第2ドライバ31及びABS51への電源供給を停止する。
ステップS4では、ドア開閉状態検知スイッチ43により、ドアの開状態から閉状態への変化が検知されたか否かを判定し、この判定がYESの場合にはステップS5に進み、NOの場合にはステップS1に戻る。
ステップS5では、第2制御ユニット30、第2ドライバ31及びABS51へ上記電源を供給する。
ステップS6では、車両が停止状態にあるか否かを判定し、この判定がYESの場合にはステップS7に進み、NOの場合にはステップS10に進む。
ステップS7では、ステアリングシャフト7をロック状態へ切り換える指令を第2制御ユニット30へ出力する。
ステップS8では、第2制御ユニット30、第2ドライバ31及びABS51への電源供給を停止し、本切換え処理を終了する。
ステップS2でYESの場合に進むステップS9では、車両の車室内に乗員が残っていないか否かを判定し、この判定がYESの場合(車室内に乗員が残っていないと判定した場合)にはステップS5に進み、NOの場合にはステップS1に戻る。
ステップS6でNOの場合に進むステップS10では、上記ステップS5の電源供給開始から所定時間(イグニッションスイッチ22をオフ状態にして走行すると考えられる最大時間又はバッテリ20のダメージを抑制可能な時間であり、例えば30分程度)が経過したか否かを判定し、この判定がNOの場合には、上記ステップS6に戻る一方、YESの場合には上記ステップS3に戻る。
以上の如く上記実施形態では、第1制御ユニット10は、上記ステアリングシャフト7がアンロック状態にあり、且つ上記ルーフセンサ23によりルーフの閉状態が検知された場合(ステップS2の判定がNOの場合)には、上記イグニッションスイッチ22のオフ状態が該制御ユニット10にて検知され(ステップS1にてYESと判定され)且つ該検知後にドア開閉状態検知スイッチ43によりドアの開閉状態の変化が検知されたとき(ステップS4の判定がYESのとき)に、ステアリングシャフト7をロック状態へ切り換えるロック指令を第2制御ユニット30へ出力し、第2制御ユニット30は、電動モータ32を駆動してステアリングシャフト7をアンロック状態からロック状態へ切り換える(ステップS7の処理を実行する)。従って、乗員が、車両を駐車して車両外に出るために、イグニッションスイッチ22をオフ状態にしてドアを開閉するという通常の動作を行うと、第1制御ユニット10からの指令を受けた第2制御ユニット30により電動モータ32が駆動されて、ステアリングシャフト7がロックされることとなる。一方、乗員が、休息等のために車室内に居残る場合には、イグニッションスイッチ22をオフ状態にした後に、半ドア等によりドアを閉め直したりしない限りドア開閉状態検知スイッチ43によりドアの開閉状態の変化が検知されることも無く(ステップS4でNOと判定され)、このため、ステアリングシャフト7はロックされない(電動モータ32が駆動しない)。従って、乗員が車室内に居る場合等、比較的盗難の可能性が低い場合においてまで、電動モータ32が作動してその作動音(電動モータ32の作動に伴うロック部材34とステアリングシャフト7との当接音等)により乗員が不快感を感じるのを防止することができるとともに、乗員が車両外に出ていて比較的盗難の可能性が高い状況においては、電動モータ32を確実に作動させてステアリングシャフト7を確実にロックさせることができて、車両の盗難防止を図ることが可能となる。
また、上記実施形態では、第1制御ユニット10は、ルーフセンサ23によりルーフの開状態が検知された場合(ステップS2の判定がYESの場合)には、該制御ユニット10にてイグニッションスイッチ22のオフ状態が検知され(ステップS1にてYESと判定され)且つ上記シートセンサ24により車両の車室内の乗員が検知されなかったとき(ステップS9の判定がYESのとき)に、該検知後にドア開閉状態検知スイッチ43によりドアの開閉状態の変化が検知されるか否かに拘わらず(ステップS4の処理を実行せずに)、ステアリングシャフト7をロック状態へ切り換えるロック指令を第2制御ユニット30へ出力し、第2制御ユニット30は、電動モータ32を駆動してステアリングシャフト7をアンロック状態からロック状態へ切り換える(ステップS7の処理を実行する)。
これにより、ルーフが開状態にあって車室内への侵入が容易であるが故に車両の盗難危険性がより一層高まる状況において、車両盗難防止のためのステアリングシャフト7のロックを確実に行うことができる。すなわち、乗員は、ルーフが開状態にあればたとえドアが閉じられていても車両外からイグニッションスイッチ22を操作することが可能となり、このため、第1制御ユニット10から第2制御ユニット30に対して上記ロック指令を出力するタイミングを、上述のルーフが閉状態の場合と同じにしてしまうと、例えば、乗員が車両から降車した後にイグニッションスイッチ22の切り忘れに気づいてドアを閉じたままの状態で車両外からイグニッションスイッチ22をオフ状態にした場合(ステップS1の判定がYESの場合)に、その後のドアの開閉状態の変化が検知されないために(ステップS4の判定がYESとならないために)第1制御ユニット10から第2制御ユニット30に対してロック指令が出力されず、この結果、乗員が車両外に出ているにも拘わらずステアリングシャフト7をロックすることができず、車両盗難の危険性が増すこととなる。しかしながら、上記実施形態では、イグニッションスイッチ22がオフ状態になると、その後にドアの開閉がなされなくとも、第1制御ユニット10から第2制御ユニット30に対して上記ロック指令が出力され、ステアリングシャフト7をロックさせることができる。従って、ルーフが開状態にあるときのステアリングシャフト7のロックを確実に行って、車両の盗難をより一層確実に防止することが可能となる。
また、上記実施形態では、第1制御ユニット10は、上記車速検出部52により車両の停止状態が検知されない限り(ステップS6の判定がYESでない限り)、ステアリングシャフト7をロック状態へ切り換えるロック指令を第2制御ユニット30に出力しない(ステップS7の処理を実行しない)ようになっている。つまり、車速検出部52にて車両の停止状態が検知されない限り、ステアリングシャフト7はロック状態に切り換わらない。
これにより、車両が走行状態にあるにも拘わらずステアリングシャフト7がロックされるのを防止することができ、従って車両の安全性を十分に確保しつつ車両盗難防止のためのステアリングシャフト7のロック/アンロックの切り換えを行うことができる。
(他の実施形態)
本発明の構成は、上記実施形態に限定されるものではなく、それ以外の種々の構成を包含するものである。すなわち、上記実施形態では、上記車両の車室内の乗員を検知するためのシートセンサ24を設けるようにしているが、必ずしも設ける必要はない。この場合には、第1制御ユニット10において、ステップ9の処理を廃止して、ステップS2でYESと判定した場合(つまりルーフが開状態にあると判定した場合)にはステップS5に進むようにすればよい。そうすることで、該第1制御ユニット10における制御処理負担を軽減することができるとともに、シートセンサ24を廃止することにより部品点数を削減してコスト低減を図ることが可能となる。
また、上記実施形態では、ルーフの開閉の切換えを、乗員のルーフ開閉スイッチの操作を受けて作動するルーフ開閉装置によって行うようにしているが、これに限ったものではなく、例えばルーフ開閉スイッチ等を設けずに、乗員が手動でルーフを開閉可能にしてもよい。
また、上記実施形態では、第1制御ユニット10がスマートキーレスエントリシステムの車載機を構成しているが、必ずしも該システムを採用する必要はない。