JP4857459B2 - 水熱反応方法および装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、廃棄物分解、エネルギー生成または化学物質製造を行うための水熱反応方法および装置、特に水の超臨界または亜臨界状態下で水熱反応を行うのに好適な水熱反応方法および装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
水熱反応は水の超臨界または亜臨界状態で、被反応物を酸化反応や加水分解反応させて廃棄物を分解したり、エネルギーを生成したり、化学物質を製造したりする方法である。
特に近年、水の超臨界または亜臨界状態で有機物を含む被反応物と、酸化剤を反応させることにより酸化反応を生じさせ、被反応物中の有機物を短時間で、ほぼ完全に分解する水熱反応が注目されている。
【0003】
このように水熱反応して被反応物中の有機物を酸化分解する場合、被反応物、酸化剤、水が、374℃以上の温度で22MPa以上の圧力の超臨界状態、あるいは374℃以上の温度で2.5MPa以上で22MPa未満の圧力の亜臨界状態で反応する。この場合、被反応物に予め適性量の水を含む場合は、水を供給する必要はない。
反応の結果、有機物は酸化分解され、水と二酸化炭素からなる高温高圧の流体と、乾燥またはスラリー状態の灰分や塩類等の固体を含む反応生成物が得られる。反応生成物のうち固体は固体分離装置によって分離される。固体を分離した流体はエネルギー回収されるか、冷却、減圧され、ガス分と液分とに分離される。
【0004】
このような水熱反応方法として、分解対象の有機廃液等の被処理物および酸化剤を高圧ポンプで加圧し、混合した状態で噴射機構により反応器に上部から噴射し、反応器の上部に逆流を伴う混合区画を形成し、下部に栓流区画を形成して水熱反応を行う方法が提案されている(特開平11−156186号)。
上記の方法では上部に逆流を伴う混合区画を形成し、下部に栓流区画を形成することにより、効率よく水熱反応を行うことができるが、小型の装置でさらに効率よく水熱反応を行うことが要望されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、反応器に導入する被処理物および酸化剤を導入直後に均一に分散させることができ、これにより反応効率を高くでき、小型の装置により高効率で被反応物を分解することが可能な水熱反応方法および装置を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、次の水熱反応方法および装置である。
(1) 実質的に垂直方向に配置され内径の6倍以上の長さを有する筒状の反応器に、
被反応物と酸化剤の混合物を反応器の上部から噴射機構により、反応器内径の1/15〜1/200の内径を有する噴射口を通して、10m/sec以上の噴射速度で噴射し、
これにより反応器内に実質的な完全混合域およびその下にプラグフロー域を形成して、水の超臨界または亜臨界状態で水熱反応を行う
ことを特徴とする水熱反応方法。
(2) 被反応物は窒素含有物質である上記(1)記載の方法。
(3) 水の超臨界または亜臨界状態で水熱反応を行う実質的に垂直方向に配置された筒状の反応器と、
反応器の上部へ被反応物を供給する被反応物供給路と、
反応器の上部へ酸化剤を供給する酸化剤供給路と、
被反応物供給路から供給される被反応物および酸化剤供給路から供給される酸化剤を混合状態で反応器の上部から噴射する噴射機構と、
反応器の下部から反応物を取り出す反応物取出路とを備え、
前記反応器は内径の6倍以上の長さを有し、
前記噴射機構は反応器の内径の1/15〜1/200の内径を有する噴射口から被反応物と酸化剤の混合物を10m/sec以上の噴射速度で反応器内に噴射することにより反応器内に実質的な完全混合域およびその下にプラグフロー域を形成するように構成されている
ことを特徴とする水熱反応装置。
(4) 反応器の内壁に耐腐食性ライナーを有する上記(3)記載の装置。
(5) 反応器の内壁から付着物を除去する手段を備えている上記(3)または(4)記載の装置。
(6) 反応器の反応物を冷却する手段を備えている上記(3)ないし(5)のいずれかの装置。
【0007】
本発明では上記構成とすることにより、反応器の中に実質的な完全混合域を形成し、この部分において被反応物および酸化剤を反応器導入直後に均一に分散させ、その完全混合域の下にプラグフロー域を形成してさらに反応させて、望ましい水熱反応を生じさせるように意図されている。完全混合域は導入直後の被反応物および酸化剤がその領域内に一様に分散する完全混合流が生じる領域である。このように完全混合域では被反応物と酸化剤が導入直後に領域内の反応物と均一に混合するため、反応効率は高くなり、被反応物の大部分(例えば90〜99重量%)を完全混合域で分解することができる。
【0008】
このような実質的な完全混合領域で大部分の被反応物を処理した後の反応物は、反応器の長さを長くすることにより、完全混合域の下にプラグフロー域を形成し、この部分において水熱反応を継続することにより残余の被反応物を分解した反応物を得ることができる。
【0009】
本発明において水熱反応とは、超臨界または亜臨界状態の高温高圧の水の存在下に被反応物を酸化反応等させることを意味する。ここで超臨界状態とは374℃以上、22MPa以上の状態である。また亜臨界状態とは例えば374℃以上、2.5MPa以上22MPa未満あるいは374℃以下、22MPa以上の状態、あるいは374℃以下、22MPa未満であっても臨界点に近い高温高圧状態をいう。
【0010】
被反応物は水の超臨界または亜臨界状態で酸化反応、加水分解反応等の水熱反応の対象となる物質を含むものである。具体的な被反応物としては、工場等から排出される廃液中の有機物、PCB、ダイオキシンあるいはトリクロロエチレンに代表される有機塩素化合物や環境ホルモン等の有害物質およびそれらで汚染された水、油、土、汚泥などの物質、プラスチック、各種無機物、粒状物、それらの水溶液あるいは水との混合物、し尿、下水汚泥、活性汚泥からの余剰汚泥などがあげられる。下水汚泥、し尿、活性汚泥からの余剰汚泥、アミンやアミノ酸やタンパク質等の窒素含有有機物等の窒素を含む被反応物は、本発明の対象として好適である。なぜならそれらの窒素含有物を窒素ガスに分解するには、従来の水熱反応ではより高い反応温度とより長い反応時間を必要としたからである。このような被反応物は酸化剤と混合した状態で反応器に導入され、水熱反応を受ける。酸化剤としては、空気等の酸素含有ガス、過酸化水素等の過酸化物などがあげられる。
【0011】
被反応物を供給する場合、有機物や酸化物を別々にあるいは混合して反応器に供給して水熱反応が行われる。このような水熱反応系は被反応物のほかに水が存在し、さらに必要により触媒や中和剤等が添加される場合があるが、これらも被反応物と混合して、あるいは別々に反応器に供給することができる。
【0012】
本発明で用いられる反応器は超臨界または亜臨界状態で水熱反応を行うように、耐熱、耐圧材料により、実質的に垂直方向に配置した筒状容器で形成される。反応熱により超臨界または亜臨界状態に達しない場合には、被処理物を反応器に導入する前に予熱したり、補助燃料を被処理物に添加することができる。容器の形状は円筒、だ円筒、多角筒とすることができ、下端部はコーン状とするのが好ましい。このような反応器により超臨界または亜臨界状態で水熱反応を行うと、被反応物の有機物は酸化剤により酸化されて最終的に水と二酸化炭素に分解され、あるいは加水分解により低分子化する。反応生成物は冷却、減圧され、ガス分と液分に分離される。
【0013】
上記の超臨界または亜臨界状態で水熱反応を行う反応器に被反応物および酸化剤を供給するために、被反応物および酸化剤を供給する被反応物供給路および酸化剤供給路をそれぞれ高圧の供給ポンプを介して反応器の上部に連絡するように設ける。被反応物と酸化剤が混合されている場合には、共用の供給路を用いることができる。反応器における水熱反応を定常状態で行うためには、それぞれの供給ポンプは被反応物および酸化剤を一定流量で供給するように構成される。反応器の下部には反応物を取り出すための反応物取出路が連絡するように設けられる。
【0014】
噴射機構は被反応物供給路から供給される被反応物と酸化剤供給路から供給される酸化剤を混合した状態で反応器の上部から下向に噴射するように設けられる。噴射機構は噴射口を有する噴射ノズルにより形成されるが、噴射口は複数個であってもよい。噴射口は通常、噴射流が反応器の内壁に直接噴射されないように反応容器の上蓋中央付近に設置されるが、反応容器の上部の側壁から配管を導入して容器内部で下側に向けて噴射する形態でもよい。
【0015】
上記の構成において、反応器は内径(実質的に水熱反応が行われる領域の内径)の6倍以上の長さ、好ましくは6〜20倍、さらに好ましくは6〜15倍の長さとなるように形成される。本発明において内径は、反応器が円筒以外の形状の場合には、水力学的に等価な円筒の直径に相当する相当直径が用いられる。
【0016】
噴射装置は反応器の内径の1/15〜1/200、好ましくは1/20〜1/150、さらに好ましくは1/30〜1/100の内径(実質的に水熱反応が行われる領域の内径)を有する噴射口から、被反応物と酸化剤の混合物を10m/sec以上、好ましくは10〜500m/sec、さらに好ましくは15〜300m/secの噴射速度で反応器内に下向に噴射するように構成される。噴射口が複数個ある場合には、合計の断面積を有する円の直径に換算して内径比を求める。
【0017】
上記の反応器に噴射機構から被反応物と酸化剤の混合物を下向に噴射すると、反応器に実質的な完全混合域が形成される。実質的な完全混合域は、通常反応器の上端から内径の4〜8倍の長さの領域に形成される。実質的な完全混合領域では反応器の中心部が下向流、周辺部が上向流の均一な循環流が生じる。中心部の下向流の方向に被反応物と酸化剤の混合物を噴射すると、噴射流は循環流と混合されて循環し、循環流中に均一に分散する。このため実質的な完全混合域に噴射された被反応物と酸化剤の混合物は完全混合域内の流体中に噴射直後に均一に分散して反応物と混合され、これにより反応物中の熱を受けて、直ちに超臨界または亜臨界状態に達し、効率よく水熱反応が行われる。
【0018】
このような実質的な完全混合域では、被反応物の大部分(例えば90〜99重量%)が分解される。さらに分解率を高くするために、反応器内に実質的な完全混合域の下にプラグフロー域を設ける。プラグフロー域では、反応物の自重と、反応物取り出し路からの引抜き力により下向きの実質的な平行流が形成され、超臨界または亜臨界状態で移動するため水熱反応が進行し、残留する被反応物が分解される。実質的な完全混合域の下のプラグフロー域は、少なくとも内径の2倍の長さが必要と考えられる。それ故に、一つの反応器内に実質的な完全混合域とプラグフロー域を持つためには、少なくとも内径の6倍の長さが必要と考えられる。好ましい混合状態を得るためのこの反応器の長さ/内径の比は、流体力学解析で支持されている。
【0019】
反応器の内径と長さの比、反応器の内径と噴射口の内径の比、および噴射速度が前記範囲外の場合には、反応器内に逆流が生じる場合でも均一な実質的な完全混合域を得ることは非常に困難である。この場合、被反応物と酸化剤の混合流がこのような混合域に噴射されても、均一な分散を得ることは非常に困難である。このような混合域では、水熱反応は安定に継続できない。水熱反応が起こったとしても、反応効率は十分には高くなく、被反応物のほとんどを分解するのは非常に難しい。
【0020】
本発明では実質的な完全混合域とプラグフロー域で水熱反応を行うことにより、水熱反応を効率よく行うことができ、これにより小型の反応器により被反応物を高効率で分解することができる。大部分の被反応物を実質的な完全混合域で分解した反応物は実質的な完全混合域の下のプラグフロー域で継続処理を行うことにより、残余の被反応物を分解して高除去率で被反応物を分解除去することができる。
【0021】
上記の反応器を形成する材質としては、水熱反応に耐えるものであれば、材質は制限されないが、ハステロイ、インコネル、ステンレス等が使用できる。
【0022】
被反応物が酸のような腐食性物質を含む場合や、反応によって酸のような腐食性物質を生成する場合には、反応器は耐腐食性ライナーを設けることができる。耐腐食性ライナーは、特に限定されず、チタン、白金、イリジウム、ジルコニア、チタニア等の耐腐食性材料で反応器内面をコーティングしたもの、あるいは同様の材料からなるカバー状部材を反応器内面に直接または間隔を保って配置したものなどがあげられる。このようなライナーを設けることにより、反応器の腐食を防止し、長期にわたる水熱反応が可能である。
【0023】
本発明では、被処理物に含まれる固体、反応により生成する無機塩や酸化物のような固体は、重力の作用で反応器内を下向きに移動して、反応物取出路から排出される。噴射供給された流体が、反応器内壁に直接接触しないようにすることは、固体の付着を防ぐために好適である。
固体の粘着性が著しい場合には、反応容器内壁に付着した固体を除去するための除去手段を設けることができる。固体除去手段としては機械的装置とすることができ、特に限定されないが、回転フレーム式のもの、あるいは特開平11−156186号に示された切欠窓部分を有する実質的に円筒状のスクレーパが好適である。このような固形物除去手段を設けることにより、反応器内面に付着する固形物を除去して長期にわたって水熱反応を続けることができる。
【0024】
本発明では、反応物を反応物取出路から排出する前に冷却するための冷却手段を設けることができる。冷却手段は、特に限定されないが、反応器の下部に水を導入して冷却し、無機塩を水に溶解してその排出を促進することができる。また、反応器内に酸やアルカリを含む水を導入して冷却するとともにアルカリや酸の中和を行うこともできる。このような冷却手段を設けることにより反応器内を冷却して液体を生成させ可溶性成分を溶解し、かつ中和によりpHが中性の状態で取り出すことができ、このとき固形物も分散して取り出すことができ、これらの排出が容易になる。
【0025】
【発明の効果】
本発明によれば、反応器に実質的な完全混合域を形成して水熱反応を行うようにしたので、被処理物および酸化剤を反応器導入直後に均一に分散させることができ、反応効率を高くできる。
さらに、実質的な完全混合域の下にプラグフロー域を設けて水熱反応を継続させるので、小さい反応器で高効率で分解できる。このように被処理物を高効率で小さい反応器で分解できる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は実施形態の水熱反応装置を示す垂直断面図である。
【0027】
図1において、1は反応器であって、耐熱、耐圧性材料により下部が円錐部1aとなった円筒状の容器からなり、上部に噴射機構2が設けられている。噴射機構2は下端部に噴射口3を有する小円筒状の噴射ノズル4と混合部5からなる。噴射ノズル4は反応器1の上部から噴射口3が反応器1内に下向に開口するように取付けられている。混合部5の上部と側壁部に設けられた被反応物導入部6および酸化剤導入部7に、それぞれ被反応物供給路8および酸化剤供給路9が連絡している。
【0028】
反応器1の内壁には耐腐食性のライナー11が形成されている。反応器1のライナー11の内側に間隔を保って下部が円錐部12aとなった円筒からなるスクレーパ12が回転可能に設けられており、反応器1の下端部の小径部1bに挿入された小径部12bに連絡する駆動機構13により回転させられるようになっている。反応器1の小径部1bの中央部を通して下から冷却水路14が立ち上がっている。反応器1下端部の小径部1bには反応物取出部15が設けられており、反応物取出路16が連絡している。
【0029】
上記の構成において、反応器1の長さ(反応器1において実質的に水熱反応が行われる有効長さ)Hは反応器1の内径(反応器1において実質的に水熱反応が行われる有効径)Rの6倍以上とされている。また噴射機構2の噴射ノズル4の噴射口3の内径rはRの1/15〜1/200とされ、噴射口3から噴射される噴射流aの噴射速度は10m/sec以上とされている。
【0030】
上記の装置における水熱反応は、被反応物供給路8から被反応物を供給し、酸化剤供給路9から酸化剤を供給して噴射機構2の混合部5で混合し、混合物を噴射ノズル4の噴射口3から反応器1内に下向流で噴射して、超臨界または亜臨界の状態で水熱反応を行う。この間駆動装置13によりスクレーパ12を回転させて、反応器1の内壁に付着する固形物を剥離し、冷却水路14から冷却水を反応器1の下部に吹き込んで冷却するとともに/または中和し、液化した液体に可溶性成分を溶解させ流下させる。反応物は流体および固体とともに反応物取出路16から取り出される。
【0031】
上記の水熱反応では反応器1の上部に実質的な完全混合域21、その下部にプラグフロー域22、さらにその下部に冷却域23が形成される。
【0032】
実質的な完全混合域21では下向流bと上向流cからなる均一な循環流が形成されており、噴射口3から噴射される噴射流aは循環する下向流bと混合して循環し、噴射直後に被反応物と酸化剤の混合物が実質的な完全混合域21の循環流中に均一に分散する。このため混合物は循環流の熱を受けて直ちに超臨界または亜臨界状態になるため水熱反応が進行し、実質的な完全混合域21中を循環する間に被反応物の大部分が分解する。
【0033】
実質的な完全混合域21の循環流のうち、噴射流aに相当する量はプラグフロー域22に移り、重力により下向流dを形成する。プラグフロー域22における下向流は実質的に平行流であり、緩速流として流下し、その間水熱反応は継続し、残余の被反応物は分解される。
【0034】
冷却域23では冷却水路14から吹込まれる冷却水eにより冷却されて超臨界温度以下になることにより反応物中の液成分が液化し、塩等の可溶性成分を溶解し、固形物を分散させた状態で反応物とともに反応物取出路16から取出される。
【0035】
上記の水熱酸化反応では、生成する反応熱が流体の顕熱上昇をもたらす。実質的な完全混合状態が形成されるため、有機廃液の熱量を適切に選ぶことにより、外部加熱なしで反応容器を所定の反応温度に保ち、安定した反応の継続を実現することが可能となる。なお、被反応物の供給は、間欠供給してもよい。有害物質を完全に分解する場合のように、高い反応率を得るためには、目標の反応率を得るためにプラグフロー域において必要な滞留時間を与えるように、反応器の長さを設定できる。
【0036】
反応器1に供給する被反応物は通常貯留タンクに保有され、高圧ポンプで加圧されて被反応物供給路8より供給される。被処理物が水を含まない場合には、予め水と混合して、水溶液あるいは水スラリーとして供給できる。また、被反応物供給路8の配管中で水と混合してもよい。水熱酸化反応の場合には、酸化剤も同様に高圧ポンプやコンプレッサーで加圧供給される。酸化剤は、空気、酸素、液体酸素、過酸化水素水、硝酸、亜硝酸、硝酸塩、亜硝酸塩を用いることができる。酸化剤は、被反応物あるいは被反応物を含む水と混合して供給してもよいし、噴射ノズル4を二重管ノズルにして複層流として供給してもよい。
【0037】
特に水熱酸化反応の場合、反応器1はできるだけ断熱状態として、反応によって生成する熱量で所定の反応温度に達するように、被反応物の熱量を調整することが好ましい。ただし、相対的に熱量の低い反応物に対して、被反応物および被反応物を含む流体を予備加熱してから供給すること、灯油、アルコール、廃有機溶剤等を添加して熱量を調整すること、あるいは反応温度を外部熱源で調整してもよい。
【0038】
反応開始の手順は特に限定されない。例えぱ、加圧された被反応物と酸化剤は予熱され、噴射機構2の混合部5を通って反応器1に導入される。予熱は、電気ヒーター、燃焼を伴う加熱手段、それらの組み合わせで達成される。反応混合物は十分に混合されているので、水熱反応が起こって反応熱が生成し、流体の温度が上昇する。いったん反応器1で定常状態が得られれば、被反応物が十分な熱量があれば予熱をやめてもよい。
【0039】
反応物取出路16から取出される反応物は通常、冷却、減圧される。冷却、減圧の過程で固体分離や気液分離の工程を行うことができる。最終的に生成した水、気体、固体は、そのまま、エネルギー回収されたり、物質として再利用されたり、そのまま、あるいは追加処理して廃棄される。
【0040】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明する。各例中、%は重量%である。
【0041】
実施例1
長さが1640mm、内径が108mmの垂直円筒状の反応器1の上蓋中央部の内径1.4mmの噴射口3を有する噴射ノズル4から、表1に示す組成の有機性廃棄物を、水、空気とともに噴射し、超臨界状態で水熱酸化反応を行い、反応物を下端部の反応物取出路16から取り出して気液分離し、分離液の水質と分解率を測定した。表2に運転条件と結果を示した。運転に際しては、あらかじめ、反応器1を反応温度まで外部熱源で予熱した。
表2に示すように、640℃、22.5MPa、滞留時間22秒で水熱酸化反応でき、有機物を完全分解できた。約3時間安定した反応が継続した。反応後に観察したが、生成する無機物によるスケール生成や閉塞は認められなかった。
【0042】
実施例2
実施例1と同じ反応器、有機性廃棄物を用いて、水、空気とともに亜臨界状態で水熱酸化反応を行い、表2に運転条件と結果を示した。
表2に示したように、650℃、14.8MPa、滞留時間19秒で水熱酸化反応でき、有機物を完全分解できた。約3時間安定した反応が継続した。また、反応後に観察したが、生成する無機物によるスケール生成や閉塞は認められなかった。
【0043】
実施例3
表3に示す組成の下水汚泥を、実施例1で使用した反応器を用いて、超臨界状態で水熱反応を実施した。下水汚泥は、予熱後、空気と水と一緒に噴射注入した。噴射ノズルは、開口部の直径を3.0mmに調整した。
表4に示すように、615℃、22.3MPa、滞留時間19秒で水熱反応を行い、有機性炭素(TOC)と窒素(TN)が完全に分解した。反応は、3時間、安定に継続した。反応後の観察では、生成する無機物によるスケール生成や閉塞は認められなかった。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】
【表3】
【0047】
【表4】
【0048】
比較例1
実施例1の反応器の噴射機構の噴射ノズルを、9mmの噴射口径を持つノズルに変更した。実施例1と同じ有機性廃薬物を用いて、水、空気とともに、超臨界状態で水熱酸化反応を行った。
被反応物供給量を0.12kg/min、水供給量を1.00kg/min、空気供給量を2.22kg/minと実施例1と同じ条件として水熱反応を開始したが、反応が継続せず、不完全燃焼で生成したチャーと思われる黒い物質を含む流体が排出された。
本比較例では、噴射口の内径は反応器内径の1/12、噴射速度は1.7m/secであり、被反応物と酸化剤を含む被処理流体が十分に混合されないために、反応熱による温度上昇と反応の進行、供給された被処理物の反応開始が満足に実現しなかったと判断される。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の水熱反応装置の断面図である。
【符号の説明】
1 反応器
2 噴射機構
3 噴射口
4 噴射ノズル
5 混合部
6 被反応物導入部
7 酸化剤導入部
8 被反応物供給路
9 酸化剤供給路
11 ライナー
12 スクレーパ
13 駆動機構
14 冷却水路
15 反応物取出部
16 反応物取出路
21 完全混合域
22 プラグフロー域
23 冷却域
Claims (6)
- 実質的に垂直方向に配置され内径の6倍以上の長さを有する筒状の反応器に、
被反応物と酸化剤の混合物を反応器の上部から噴射機構により、反応器内径の1/15〜1/200の内径を有する噴射口を通して、10m/sec以上の噴射速度で噴射し、
これにより反応器内に実質的な完全混合域およびその下にプラグフロー域を形成して、水の超臨界または亜臨界状態で水熱反応を行う
ことを特徴とする水熱反応方法。 - 被反応物は窒素含有物質である請求項1記載の方法。
- 水の超臨界または亜臨界状態で水熱反応を行う実質的に垂直方向に配置された筒状の反応器と、
反応器の上部へ被反応物を供給する被反応物供給路と、
反応器の上部へ酸化剤を供給する酸化剤供給路と、
被反応物供給路から供給される被反応物および酸化剤供給路から供給される酸化剤を混合状態で反応器の上部から噴射する噴射機構と、
反応器の下部から反応物を取り出す反応物取出路とを備え、
前記反応器は内径の6倍以上の長さを有し、
前記噴射機構は反応器の内径の1/15〜1/200の内径を有する噴射口から被反応物と酸化剤の混合物を10m/sec以上の噴射速度で反応器内に噴射することにより反応器内に実質的な完全混合域およびその下にプラグフロー域を形成するように構成されている
ことを特徴とする水熱反応装置。 - 反応器の内壁に耐腐食性ライナーを有する請求項3記載の装置。
- 反応器の内壁から付着物を除去する手段を備えている請求項3または4記載の装置。
- 反応器の反応物を冷却する手段を備えている請求項3ないし5のいずれかの装置。
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