JP4853079B2 - 流体継手を備えた車両の車両重量検出装置 - Google Patents

流体継手を備えた車両の車両重量検出装置 Download PDF

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本発明は、エンジンと変速機との間に流体継手を備えた車両において、車両の重量を検出するための車両重量検出装置に関するものである。
近年の車両の動向として、車両運転の容易化あるいは運転者の疲労軽減のため、いわゆるオートマ車(AT車)に代表される、イージードライブを目的とした車両用動力伝達装置の普及が進んでいる。AT車は、トルクコンバータと遊星歯車機構とを組み合わせた自動変速機を有しており、コンピュータ等の車両電子制御装置から出力される変速指令信号により、車両の走行状態に応じて変速段を切り替える。
最近では、イージードライブのための車両用動力伝達装置として、いわゆるマニュアル車(MT車)と同様な平行軸歯車機構式変速機を使用し、エンジンと変速機との間に流体継手(フルードカップリング)を介在させた動力伝達装置が実用化されており、こうした動力伝達装置は、例えば特開2001−241546号公報に開示されている。流体継手は、トルクコンバータと同じく流体伝動装置であるがステータを備えておらず、トルク増幅機能はないもののその分簡素な装置となっている。流体継手を介在させると、車両の発進時において、流体継手のポンプとタービンの間の滑りを利用した発進が可能となる。つまり、MT車の発進時のごとき微妙なクラッチ操作が不要となって、スムースな発進が容易に行えると同時に、アイドル時等におけるエンジンのトルク変動が吸収され、振動、騒音も軽減される。エンジンと平行軸歯車機構式変速機との間に流体継手を介在させた車両用動力伝達装置においては、平行軸歯車機構式変速機を操作するアクチュエータを設置し、車両電子制御装置からの変速指令信号により、車両の走行状態に応じて自動的に変速段を切り替えるよう構成されたものが多い。
車両電子制御装置によって自動的に変速段を切り替えるときは、車両の走行状態を監視しながら最適の時点で切り替える必要があり、通常、自動的な変速装置では車速とアクセルペダルの踏み込み量に対応して変速段が決定される。しかし、貨物の積載量に応じて走行時の車両重量が大きく変化するトラック等においては、最適な変速時を決定するパラメータとして車両重量を考慮することが望ましい。車両重量は、自動的な変速段の制御装置のみならず、例えば、走行安定性の向上を目的とする車両のロール制御あるいはヨー制御などでも、良好な制御のために考慮すべきパラメータである。
車両重量を検出するには、車両のサスペンションに備えられたばねの変位を測定する方法がある。この方法は車両重量を直接検出する方法ではあるが、変位を測定するストロークセンサを必要とする。また、サスペンションのばねには不可避的なばね特性のばらつきが存在すること、トラック等の荷台では貨物の積載場所によってばねの変位量が異なること等の理由により、測定結果には誤差が含まれる場合があり、サスペンションのばねの変位を測定する方法は必ずしも満足できるものではない。
車両重量を検出する方法として、車両に働く前後方向の力と車両の加速度によって車両重量を演算する方法が知られており、一例として特開2001−304948号公報に示されている。この公報の車両重量検出装置では、エンジンの出力トルクを、エンジン回転数及び燃料噴射ポンプラック位置に応じてマップを用いて求め、エンジンによる車両の駆動力を算出する。そして、車両に働く空気抵抗、転がり抵抗等の抗力に関連する因子、例えば、車速、路面勾配等を検出するとともに、車速の微分等により車両の加速度を算出し、運動方程式(車両に働く力=車両質量×車両加速度)を利用して車両質量又は重量を演算するものである。
また、特開2002−39847号公報には、トルクコンバータを有する自動変速機を装備した車両において、やはり運動方程式を用い車両重量を求める方法が示されている。この公報には、エンジンによる車両の駆動力を算出するにあたり、トルクコンバータの特性を利用し、トルクコンバータの入力軸回転数と出力軸回転数の速度比から動力伝達系の駆動トルクを算出する手段も開示されている。
特開2001−241546号公報 特開2001−304948号公報 特開2002−39847号公報
車両のイージードライブあるいは走行時の安全性向上に向け各種の車両制御技術が採用される近年の車両では、車両重量を正確に検出することは重要な課題となっている。このとき、サスペンションのばねの変位を測定する車両重量検出装置では、前述のとおり、ストロークセンサを要し部品点数が増加するとともに、特に、荷台に重量の大きな貨物を積載するトラック等では測定結果に誤差が含まれる可能性があり、正確な車両重量の検出には不適である。
運動方程式を利用して車両重量を演算するものにおいては、正確な車両重量の検出のためには、エンジンの出力トルクや各種の抗力を精度良く算出する必要がある。しかし、エンジンの出力トルクは、エンジンの燃料供給量が変化する過渡状態などでは変動が大きく、マップを使用して求めた結果と実際の出力トルクとの誤差が大きい場合があり、正確な算出が困難な面がある。
特許文献3のように、トルクコンバータの特性を利用して駆動トルクを算出するものでも、トルクコンバータにはトルクの増幅機能があるので入力トルク(エンジンの出力トルク)と出力トルク(機械式変速機への入力トルク)の差が大きい。そのため、動力伝達系の駆動トルク、すなわちトルクコンバータの出力トルクを高精度で算出するのはやはり困難である。特許文献3には、トルクコンバータの比入力トルクの特性(特許文献3においては「容量係数」と表現)及びトルク比の特性を用いて、入力回転数(エンジン回転数)と速度比から出力トルクを算出することも記載されている。しかし、比入力トルクの特性は、出力回転数が入力回転数に近い部分、つまり速度比が1に近い部分ではその変化が急峻であるとともに、出力トルクは、比入力トルクにトルク比を乗じたものであって速度比に対する変化率が大きい。そのため、トルクコンバータの特性を利用する駆動トルクの算出では、速度比の僅かな誤差が出力トルクの大きな誤差に繋がる結果となる。
このような事情に鑑み、本発明者らは、エンジンと変速機との間に流体継手を備えた車両における車両重量の検出装置について鋭意検討したところ、流体継手の特性を用いて動力伝達系の駆動トルクを算出した場合には、正確な駆動トルクを算出することが可能であることを見出し、本発明を完成したものである。つまり、本発明は、動力伝達装置に流体継手が配置された車両において、部品点数の増加を伴うことなく車両重量を精度よく検出することを課題とする。
上記の課題を解決するため、本発明は、エンジン動力を車両の駆動輪に伝達する動力伝達装置に流体継手を配置した車両において、流体継手のトルク特性を用い、その入力回転数と出力回転数から駆動トルクを求めて車両の駆動力を演算するものである。すなわち、本発明は、
「車両の重量を検出する車両重量検出装置であって、
前記車両は、前記車両を駆動するエンジンと、前記エンジンの動力を駆動輪に伝達する動力伝達装置とを備え、
前記動力伝達装置には流体継手が配置され、前記流体継手のポンプがエンジンの出力軸に接続されるとともに、前記流体継手のタービンが前記駆動輪に接続されており、
前記車両重量検出装置は、前記車両に作用する駆動力を検出する駆動力検出手段と、前記車両に作用する抗力に関する因子を検出する抗力因子検出手段と、車両の加速度を検出する加速度検出手段とを有し、かつ、検出された駆動力、抗力に関する因子及び加速度により車両重量を演算する重量演算手段を備え、さらに、
前記駆動力検出手段が、前記流体継手のポンプの回転数及びタービンの回転数を検出する回転数検出手段と、両方の回転数から車両の駆動トルクを演算する駆動トルク演算手段とを有し、
前記抗力因子検出手段が、抗力に関する因子である路面の勾配θを、前記車両の停車時に検出するとともに、前記重量演算手段が、駆動力F、転がり抵抗CMgcosθ(C:定数、M:車両質量、g:重力の加速度)を含む抗力R及び加速度αの間に成立する運動方程式Mα=F−Rを用いて車両重量Mgを演算する」
ことを特徴とする車両重量検出装置となっている。ここで、上記の各種「検出」手段は、各々の量を直接測定して検出するものであっても、また、例えば測定された車速の微分演算により車両加速度を検出するもののように、測定された量から演算やマップ等の手段により求めるものであってもよい。
請求項2に記載のように、前記重量演算手段には、前記車両の車速を検出する車速検出手段と、車速が所定車速を越えたときは車両重量の演算を禁止する車速制限手段とを設けることが好ましい。
請求項3に記載のように、前記重量演算手段には、検出された駆動力、抗力に関する因子及び加速度の検出値を所定範囲で積分する積分演算手段を設けることができる。
また、請求項4に記載のように、前記重量演算手段は、前記駆動トルク演算手段によって演算された駆動トルクが所定トルク以下であるときは車両重量の演算を禁止する駆動トルク制限手段を設けることが好ましい。
本発明の対象となる車両は、エンジンと変速機の間等、動力伝達装置に流体継手が配置され、これを介してエンジン動力が車両の駆動輪に伝達される。車両の発進時においては、流体継手のポンプとタービンとは独立して回転し、変速機の入力軸に接続されるタービンの回転数は、エンジンの出力軸と接続されたポンプの回転数よりも小さく、ポンプとタービンとの間には滑りが存在する。そして、流体継手のトルク伝達量Tfは、ポンプの回転数と速度比e(ポンプの回転数に対するタービンの回転数の比)とによって決定される。この特性は、比入力トルクを表す係数τ(又は、その平方根の逆数である容量係数K)として周知のものであって、個々の流体継手に応じて一義的に決定され、図5に示すように、速度比eの減少に応じて増加する特性となっている。流体継手のトルク伝達量Tfは比入力トルク係数τから次式によって求められる。
Tf=τ×(ポンプ回転数)
したがって、ポンプ回転数と速度比eを測定すると、流体継手のトルク伝達量、つまり車両の駆動輪に伝達される駆動トルクを決定することが可能であり、このトルク伝達量と変速機等の減速比や車輪の有効径などの因子とによって、車両重量の演算に必要な車両の駆動力を算出することができる。流体継手の特性を利用する駆動力の算出は、車両駆動系の伝達トルクを直接算出するものであるから、エンジンの燃料供給量等のパラメータからエンジン出力トルクを求める算出法と比べ、車両の駆動力を正確に算出可能である。
ちなみに、特許文献3には、トルクコンバータの特性を用い、トルクコンバータの出力トルクとして駆動トルクを算出する方法が記載されている。しかし、トルクコンバータにはトルク増幅機能があって、出力トルクは比入力トルクτにトルク比tを乗じたものとなり、図6に示すように、速度比eに対する変化率が大きい。そのため、速度比eの測定に誤差があると駆動トルクの算出の誤差も増幅され、精度の良い駆動トルクの算出が困難であり、また、トルクコンバータの比入力トルクτの特性は、速度比eが1に近い継手範囲の部分では勾配が急峻であって、車両の車速によっては事実上出力トルクの算出が不能となる。これに対し、本発明で利用する流体継手では、出力側のタービントルクは常に入力側のポンプトルクと等しくトルク増幅作用がないことから、伝達トルクTf(駆動トルク)の算出については精度の高い算出が可能となる。さらに、流体継手においては速度比eが1に近い部分でも比入力トルクの変化率が比較的小さいから、車両の車速の広い範囲に亘って精度の良い算出が可能となる。
請求項2の発明のように、重量演算手段に車速制限手段を設け、車速が所定車速を越えたときは車両重量の演算を禁止して、車両の低速走行状態で車両重量を演算すると、流体継手の速度比eに対する特性の安定した部分で伝達トルクを算出することとなり、その精度がより向上する。また、車速が小さいと車両に作用する空気抵抗が僅かな量となり、車両に作用する抗力の算出誤差も減少させることができる。
請求項3の発明のように、重量演算手段に、検出された駆動力、抗力に関する因子及び加速度の検出値を所定範囲で積分する積分演算手段を設けたときは、各々の検出値がいわば平均化されて個々の検出値に含まれる誤差が相殺されるので、この面から演算結果の信頼性が向上する。
また、流体継手の特性を利用して駆動トルクを求めた際に、算出された流体継手の伝達トルクが小さい場合は、特性の変化が大きい部分での算出であり、また、誤差が相対的に大きくなる。請求項4の発明のように、重量演算手段に駆動トルク制限手段を設け、駆動トルク演算手段によって演算された駆動トルクが所定トルク以下であるときは車両重量の演算を禁止すると、車両重量の演算精度を向上させることができる。
以下、図面に基づいて、本発明の車両重量検出装置について説明する。図1には、本発明の対象となる、エンジンと変速機との間に流体継手が配置された車両における動力伝達装置の概略図を示し、図2には、流体継手の近傍の拡大図を示す。この実施例のエンジンはディーゼルエンジンであって低速時の出力トルクが比較的大きく、これと流体継手を組み合わせたときは、流体継手にトルク増大機能がなくとも、車両の発進時に十分な駆動トルクが発生し円滑な発進が可能となる。
図1、図2において、ディーゼルエンジン1の後方には流体継手2が配置され、さらに、湿式多板クラッチ3を介して変速機4が接続されている。湿式多板クラッチ3の入力軸31と出力軸32との間には多数の摩擦板が置かれ、入力軸31は流体継手2の出力軸24に、出力軸32は変速機4の入力軸41にそれぞれスプライン嵌合される。湿式多板クラッチ3は、変速機4の変速段を切り替える際に切断されるものであって変速時以外においては締結状態を保ち、したがって、流体継手2の出力軸24は、変速機4の入力軸41と直結された状態となっている。変速機4は、歯車と一体形成されたギアスプライン(ドグ歯)に変速スリーブを噛合わせる通常の平行軸歯車機構式変速機であり、シンクロナイザリング等からなる周知のシンクロ機構を備えている。この変速機4では、車両電子制御装置6からの変速の指令に応じて変速アクチュエータ43により変速が行われ、車両の走行状態に応じた最適の変速段が選択される。変速段の切り替えを、運転者の操作する変速レバーによりマニュアル操作で行うよう構成することもできる。変速機4の出力軸42はプロペラシャフトに結合され、ファイナルギヤ5を経て車両の駆動輪を駆動する。
流体継手2は、流体継手のケーシング23(図2)内に収容されたポンプ21とタービン22とを備えている。ケーシング23はディーゼルエンジン1の出力軸に固着されるとともに、流体継手のポンプ21はケーシング23と一体的に結合されているので、ポンプ21は、ディーゼルエンジン1の出力軸と接続され一体となって回転する。また、タービン22は流体継手の出力軸24とスプライン嵌合されており、出力軸24は湿式多板クラッチ3の入力軸31と一体的にスプライン嵌合されているため、湿式多板クラッチ3が締結されているときは、流体継手のタービン22は変速機4の入力軸41に直結されることとなる。
さらに、流体継手2は、ポンプ21とタービン22とを締結するためのロックアップクラッチ機構を備え、ロックアップクラッチ機構は、タービン22に嵌め込まれたクラッチ板25とこれに固着される摩擦ライニング26とから構成される。車両が発進した後車速が所定値を越えると、クラッチ板25に作用する油圧を制御して摩擦ライニング26をケーシング23に密着させ、タービン22とポンプ21とを直結することにより、流体継手2の滑りに伴う動力損失を回避する。
車両の発進時等の低速走行時においては、ロックアップクラッチ機構は切り離されており、ディーゼルエンジン1の出力軸と一体のポンプ21は、車両の駆動輪に接続されるタービン22と独立して回転することが可能であって、ポンプ21とタービン22との間の滑りによって車両はスムースに発進する。このとき、ポンプ21の回転数はタービン22の回転数よりも低く、ポンプ回転数に対するタービン回転数の比である速度比eは1以下となる。そして、両者の間の伝達トルクTfは、ポンプ21の回転数と速度比eとに基づき、図5に示される流体継手の比入力トルクτの特性から決定されることとなる。本発明の車両重量検出装置は、このときの伝達トルクTfによって車両に作用する駆動力を演算するものである。
ここで、車両電子制御装置6内に組み込まれた本発明の車両重量検出装置61について説明する。車両重量検出装置61は、運動方程式を利用して車両重量を演算し検出するものであるから、車両に作用する駆動力F、車両に作用する抗力Rに関する因子及び車両の加速度αをそれぞれ検出する必要がある。車両重量検出装置61には、図3に示すように、駆動力検出手段、抗力因子検出手段及び加速度検出手段が備えられ、それぞれに入力される信号を処理して駆動力等を検出する。さらに、車両重量検出装置61は、検出された駆動力F、抗力Rに関する因子及び加速度αにより車両重量を演算する重量演算手段を備えており、演算された車両重量は、車両電子制御装置61における各種の制御のために使用される。
本発明の車両重量検出装置61における演算手順を図4のフローチャートに示す。
車両重量の演算が指令されると、まず、その時点の車速を検出し車速が所定値以下であるか否かを判定する(S1)。車速が所定値以下である場合には、次のステップに進み演算が開始されるが、所定値を越えたときは演算を禁止する。これは、車速が所定値を越えたときは速度比eが1に近くなり、車両に作用する駆動力Fを検出するときの誤差が大きくなる虞れがあるとともに、空気抵抗の算出誤差も増大して車両重量の演算値の信頼性が低下するのを防止するためである。
車両に作用する駆動力Fは、流体継手2の伝達トルクTfを用いて算出する。流体継手の出力軸24は,変速時以外は変速機4の入力軸に直結されるから、車両の発進時等の低速走行時では、流体継手2の出力トルク、すなわち伝達トルクTfが車両の駆動トルクとなる。図1に示すように、車両動力伝達装置には回転数センサ62、63が装着されており、車両重量検出装置61には、回転数センサ62で測定されたポンプ21の回転数np(ディーゼルエンジン1の回転数)の信号と、回転数センサ63で測定されたタービン22の回転数nt(湿式多板クラッチ3の入力軸回転数)の信号とが入力され(S2,S3)、ステップS4において速度比eが算出される。また、駆動力検出手段の記憶部には、流体継手2の比入力トルクτの特性を表す図5に対応する特性図がマップとして格納されている。駆動力検出手段は、これらによって前述のTfの計算式を用いて流体継手2の伝達トルクを求め(S5,S6)、さらに、変速機4のその時点における変速段のギヤ比Gt、ファイナルギヤ5のギヤ比Gf、駆動輪のタイヤ動半径Drの各因子から、車両の駆動輪が路面に及ぼす駆動力Fを、次のとおり算出する(S7)。
F=Tf×Gt×Gf/Dr
ところで、S6で求められた伝達トルクTfの値が小さく所定トルク値を下回るときは、伝達トルクの特性が安定した領域から外れるとともに、誤差が相対的に増大することとなる。S6の後に算出された伝達トルクTfと所定トルク値とを比較するステップを加え、所定トルク値を下回る場合に車両重量の演算を禁止する駆動トルク制限手段を設けることにより、駆動力Fの検出値の信頼性を向上させることができる。
車両に作用する抗力Rは、転がり抵抗Rr、空気抵抗Rf及び勾配抵抗Riに分けることができる。このうち空気抵抗Rfは、車両重量と関係しない抗力であって車両の前面投影面積Aと車速Vの平方に比例し、次式で表される。
Rf=C×A×V :Cは空気摩擦係数に関連する定数
空気抵抗Rfは、車両発進時等、車速が非常に低いときは極めて小さな値となり、検出誤差があったとしても車両重量の演算に及ぼす影響は非常に小さい。
一方、転がり抵抗Rrと勾配抵抗Riは、車両重量の関数となる。車両が走行する路面の勾配をθ、車両の質量をM、重力加速度をgとすると、転がり抵抗Rr及び勾配抵抗Riは、それぞれ次式で表すことができる。
Rr=C×Mgcosθ :Cは転がり摩擦係数に関連する定数
Ri=Mgsinθ
この車両には、車速を検出する車速センサと加速度を検出する加速度センサとが装着されている。車両の加速度αは、車速センサで検出された車速を微分することによって算出される(S8)また、加速度センサでは、勾配に伴う加速度成分であるgsinθの値が加算された加速度が検出されるから、路面の勾配θは、車速センサで検出された車速を微分した加速度αと、加速度センサで検出された加速度とを対比することにより算出することができる。車両が停車中であると加速度センサの値はgsinθのみとなり、この場合でも勾配θの検出が可能であって、停車中に検出すると車両の振動等に起因する誤差を回避できる。
抗力因子検出手段の記憶部には、抗力の算出に必要な、前記の定数C1、2、車両の前面投影面積A等のデータが格納されており、抗力因子検出手段は、車速センサ及び加速度センサから転がり抵抗に関する因子θを算出し、さらに、これらのデータを用いて空気抵抗、転がり抵抗に関するその他の因子も算出する(S9)。
車両重量検出装置61の重量演算手段においては、これらの検出手段で算出された検出値に基づき、車両重量の演算が実行される(S10)。まず、車両の運動方程式は次式によって表される。
Mα=F−R=F−(CAV+CMgcosθ+Mgsinθ)
この式から、車両の質量Mは次のとおり演算することができ、得られたMの値に重力加速度gを乗じると車両重量が検出できる。
M=(F−CAV)/(α+Cgcosθ+gsinθ)
上記の演算手順では、駆動力等の算出にあたり検出された時点の検出値をそのまま用いて演算を実行しているが、演算過程に積分手段を設け、各検出値を所定範囲積分して演算を実行しても良い。積分手段を設けると、検出値が平均化される結果、車両重量の演算精度が向上する。
車両重量検出装置61によって求められた車両重量は、車両電子制御装置6において実行する種々の制御を最適化するために使用される。例えば、変速アクチュエータ43による変速機4の変速段の切り替えを、車両の走行状態のみならず車両重量のパラメータを加味して実行することにより、トラック等の車両重量の変化が激しい車両においても、より適切な変速段が選択されることとなる。また、走行安定性の向上のためロール制御等を行う車両では、車両重量のパラメータに応じて制御因子等を変更し、制御態様の最適化を図ることが可能となる。
以上詳述したように、本発明は、動力伝達装置に流体継手を配置した車両における車両重量の検出にあたり、流体継手の特性を用いて動力伝達系の駆動トルクを算出し、運動方程式から車両重量を演算するものである。したがって、本発明は、上述の実施形態のようなディーゼルエンジンを搭載した車両に限らず、ガソリンエンジンを備えた車両にも適用可能である。また、車両重量の演算の際に、必要に応じて動力伝達装置の回転慣性重量の影響を考慮し、これを加味した運動方程式に基づいて演算を実行するなど、実施形態に対し種々の変更が可能であることは明らかである。
本発明の重量検出装置が適用される車両用動力伝達装置の概略図である。 車両用動力伝達装置の流体継手を示す詳細図である。 本発明の重量検出装置の構成を示す図である。 本発明の重量検出装置の演算手順を示すフローチャートである。 流体継手の伝達トルクと速度比の特性を示す図である。 トルクコンバータのトルクと速度比の特性を示す図である。
符号の説明
1 ディーゼルエンジン
2 流体継手(フルードカップリング)
21 ポンプ
22 タービン
25 クラッチ板
26 摩擦ライニング
3 湿式多板クラッチ
4 変速機
43 変速アクチュエータ
5 ファイナルギヤ
6 車両電子制御装置
61 車両重量検出装置
62 回転数センサ(ポンプ回転数検出用)
63 回転数センサ(タービン回転数検出用)

Claims (4)

  1. 車両の重量を検出する車両重量検出装置であって、
    前記車両は、前記車両を駆動するエンジンと、前記エンジンの動力を駆動輪に伝達する動力伝達装置とを備え、
    前記動力伝達装置には流体継手が配置され、前記流体継手のポンプがエンジンの出力軸に接続されるとともに、前記流体継手のタービンが前記駆動輪に接続されており、
    前記車両重量検出装置は、前記車両に作用する駆動力を検出する駆動力検出手段と、前記車両に作用する抗力に関する因子を検出する抗力因子検出手段と、車両の加速度を検出する加速度検出手段とを有し、かつ、検出された駆動力、抗力に関する因子及び加速度により車両重量を演算する重量演算手段を備え、さらに、
    前記駆動力検出手段が、前記流体継手のポンプの回転数及びタービンの回転数を検出する回転数検出手段と、両方の回転数から車両の駆動トルクを演算する駆動トルク演算手段とを有し、
    前記抗力因子検出手段が、抗力に関する因子である路面の勾配θを、前記車両の停車時に検出するとともに、前記重量演算手段が、駆動力F、転がり抵抗CMgcosθ(C:定数、M:車両質量、g:重力の加速度)を含む抗力R及び加速度αの間に成立する運動方程式Mα=F−Rを用いて車両重量Mgを演算することを特徴とする車両重量検出装置。
  2. 前記重量演算手段は、前記車両の車速を検出する車速検出手段と、車速が所定車速を越えたときは車両重量の演算を禁止する車速制限手段とを有する請求項1に記載の車両重量検出装置。
  3. 前記重量演算手段は、検出された駆動力、抗力に関する因子及び加速度の検出値を所定範囲で積分する積分演算手段を有する請求項1又は請求項2に記載の車両重量検出装置。
  4. 前記重量演算手段は、前記駆動トルク演算手段によって演算された駆動トルクが所定トルク以下であるときは車両重量の演算を禁止する駆動トルク制限手段を有する請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の車両重量検出装置。
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