JP4851082B2 - 不織布及び不織布の製造方法、並びに不織布を用いた電気二重層キャパシタ用セパレータ、リチウムイオン二次電池用セパレータ、電気二重層キャパシタ又はリチウムイオン二次電池 - Google Patents

不織布及び不織布の製造方法、並びに不織布を用いた電気二重層キャパシタ用セパレータ、リチウムイオン二次電池用セパレータ、電気二重層キャパシタ又はリチウムイオン二次電池 Download PDF

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Description

本発明は不織布及び不織布の製造方法、並びに不織布を用いた電気二重層キャパシタ用セパレータ、リチウムイオン二次電池用セパレータ、電気二重層キャパシタ又はリチウムイオン二次電池に関する。
従来から不織布は、繊維の種類、繊維ウエブの形成方法、繊維ウエブの結合方法、及び後加工を適宜選択し、組み合わせることによって、各種特性をもつことができるため、様々な用途に適用されている。
例えば、不織布の特性の1つである電気絶縁性能を利用した1つの用途として、電気二重層キャパシタのセパレータ用途がある。つまり、電気二重層キャパシタはイオン性溶液中に1対の電極が浸漬された構造を有し、電極に電圧を印加すると、電極と反対符号のイオンが電極の近傍に分布してイオンの層を形成する一方で、電極の内部にイオンと反対符号の電荷が蓄積される。そのため、電極間に負荷をつなげば、電極内部の電荷が放電されるとともに、電極近傍に分布していたイオンは電極近傍から離れて中和状態に戻る。このような電気二重層キャパシタにおいて、1対の電極同士が接触してしまうと、電極近傍においてイオンの層を形成することが困難になるため、1対の電極間にセパレータが配置されている。
このような不織布からなる電気二重層キャパシタ用セパレータとして、「融点または熱分解温度が250℃以上で、平均繊維長0.3mm〜2mm、少なくとも一部が繊維径1μm以下にフィブリル化された液晶性高分子繊維を含有してなる不織布であって、空隙率が68%〜85%である不織布からなる電気二重層キャパシタ用セパレータ」が提案されている(特許文献1)。この電気二重層キャパシタ用セパレータは、実際にはポリエステル芯成分と変性ポリエステル鞘成分からなる芯鞘複合繊維を含む湿式繊維ウエブを形成した後に、加熱ドラムと接触させることによって製造している。このセパレータは電気絶縁性能が優れているものの、芯鞘複合繊維が加圧融着していることによって皮膜が形成されているため、内部抵抗が高く、イオン透過性の悪いものであった。
このような不織布からなる電気二重層キャパシタ用セパレータに対して、本願出願人は「フィブリルを有する繊維と、繊度が0.45dtex(デシテックス)以下の細ポリエステル繊維とを含む、面密度が20〜40g/mで、厚さが30〜50μmで、見掛密度が0.5g/cmを越え、0.8g/cm以下の不織布からなる電気二重層キャパシタ用セパレータ」を提案した(特許文献2)。この電気二重層キャパシタ用セパレータは、実際には湿式繊維ウエブを細ポリエステル繊維の融点よりも低い温度の熱カレンダーによって加熱加圧することによって製造していた。この電気二重層キャパシタ用セパレータは細ポリエステル繊維が溶融しておらず、皮膜を形成していないため、特許文献1の電気二重層キャパシタよりも内部抵抗が低く、イオン透過性に優れるものであったが、内部抵抗が更に低く、イオン透過性の更に優れる電気二重層キャパシタ用セパレータが待望されていた。
特開2002−266281号公報(請求項1、請求項7、請求項12、実施例など) 特開2002−270471号公報(請求項1、請求項4、実施例など)
そこで、本願出願人は「融点又は炭化温度が300℃以上の樹脂からなる耐熱性繊維が、繊維交点に非繊維状態で凝固した、200℃以上、かつ耐熱性繊維の融点又は炭化温度よりも低い融点をもつ熱可塑性樹脂によって固定された湿式不織布からなる電気二重層キャパシタ用セパレータ」を提案した。このセパレータは非繊維状態で凝固した熱可塑性樹脂が繊維交点で耐熱性繊維を固定しているため、イオン透過性、気体透過性、或いは液体透過性等に優れるものであったが、電極の膨張及び収縮によって引裂かれてしまい、本来必要な電気絶縁性能を損なう場合があった。
このように、イオン透過性、気体透過性、或いは液体透過性等の性能に優れ、しかも外力によって切断されない機械的強度(特に引裂き強さ)を有する不織布が待ち望まれていた。このような不織布は上記のような電気二重層キャパシタ用セパレータ用途以外にも、リチウムイオン二次電池用セパレータ用途、気体又は液体濾過材用途、アルカリ二次電池用セパレータ用途、積層板用基材用途、電極支持材用途、ワイピング材用途、医療用基材用途、複写機等の定着部用クリーニングシート用途に適用する場合にも、上記同様の性能を満足する不織布が望まれていた。
本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、イオン透過性、気体透過性、或いは液体透過性等に加えて、機械的強度の優れることによって、各種用途に適用できる不織布、及び不織布の製造方法、並びにこの不織布からなる電気二重層キャパシタ用セパレータ、リチウムイオン二次電池用セパレータ、この不織布を備えた電気二重層キャパシタ、又はリチウムイオン二次電池を提供することを目的とする。
本発明の請求項1にかかる発明は、「単一樹脂成分から構成される熱可塑性樹脂繊維と、前記熱可塑性樹脂繊維の融点よりも高い融点又は炭化温度を有する樹脂からなる耐熱性繊維とを含む不織布であり、前記不織布構成繊維が前記熱可塑性樹脂繊維に由来する、熱可塑性樹脂繊維構成熱可塑性樹脂と同じ組成の熱可塑性樹脂により、皮膜を形成していない状態で融着固定されており、しかも不織布の任意の場所における厚さ方向断面の電子顕微鏡写真を撮影した時に、2本以上の熱可塑性樹脂繊維同士が融着した融着断面が観察されることを特徴とする不織布。」である。
本発明の請求項にかかる発明は、「不織布の通気度が140s/100ml以下であることを特徴とする、請求項1に記載の不織布。」である。
本発明の請求項にかかる発明は、「熱可塑性樹脂繊維が200℃以上、かつ耐熱性繊維の融点又は炭化温度よりも低い融点をもつ熱可塑性樹脂からなることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の不織布。」である。
本発明の請求項にかかる発明は、「耐熱性繊維を構成する樹脂が、融点又は炭化温度が300℃以上の樹脂からなることを特徴とする、請求項1〜請求項のいずれかに記載の不織布。」である。
本発明の請求項にかかる発明は、「耐熱性繊維として、フィブリルを有する耐熱性繊維を含んでいることを特徴とする、請求項1〜請求項のいずれかに記載の不織布。」である。
本発明の請求項にかかる発明は、「不織布を示差走査熱量測定して描いたDSC曲線に結晶化ピークが描かれないことを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載の不織布。」である。
本発明の請求項にかかる発明は、「不織布の目付が5〜30g/m、厚さが17〜55μm、かつ見掛密度が0.32〜0.6g/cmであることを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載の不織布。」である。
本発明の請求項にかかる発明は、「不織布の少なくとも一方向における、単位目付あたりの引裂き強さが0.02N/g以上であることを特徴とする、請求項に記載の不織布。」である。
本発明の請求項にかかる発明は、「不織布の少なくとも一方向における伸度が3%以上であることを特徴とする、請求項又は請求項に記載の不織布。」である。
本発明の請求項10にかかる発明は、「請求項1〜のいずれかに記載の不織布からなる電気二重層キャパシタ用セパレータ。」である。
本発明の請求項11にかかる発明は、「請求項1〜のいずれかに記載の不織布からなるリチウムイオン二次電池用セパレータ。」である。
本発明の請求項12にかかる発明は、「請求項1〜のいずれかに記載の不織布をセパレータとして備えている電気二重層キャパシタ。」である。
本発明の請求項13にかかる発明は、「請求項1〜のいずれかに記載の不織布をセパレータとして備えているリチウムイオン二次電池。」である。
本発明の請求項14にかかる発明は、「単一樹脂成分から構成される熱可塑性樹脂繊維と、前記熱可塑性樹脂繊維の融点よりも高い融点又は炭化温度を有する樹脂からなる耐熱性繊維とを用いて繊維ウエブを形成する繊維ウエブ形成工程、この繊維ウエブに対して熱処理を実施し、前記熱可塑性樹脂繊維の一部が繊維形態を残すように、前記熱可塑性樹脂繊維の一部を溶融させ、溶融した熱可塑性樹脂を凝集させて、凝集繊維ウエブを形成する凝集工程、前記凝集した熱可塑性樹脂を無圧下で凝固させ、皮膜を形成していない状態で融着固定する凝固工程、を備えていることを特徴とする不織布の製造方法。」である。
本発明の請求項15にかかる発明は、「凝集工程の後に、熱処理をして熱可塑性樹脂を結晶化させる結晶化工程、を更に備えていることを特徴とする請求項14記載の不織布の製造方法。」である。
本発明の請求項16にかかる発明は、「凝集工程における熱処理が、熱風吹き付け、赤外線照射、レーザー照射の中から選ばれる熱処理であることを特徴とする、請求項14又は請求項15記載の不織布の製造方法。」である。
本発明の請求項17にかかる発明は、「熱可塑性樹脂繊維の繊度が0.45dtex以下であることを特徴とする、請求項14〜請求項16のいずれかに記載の不織布の製造方法。」である。
本発明の請求項1にかかる発明によれば、単一樹脂成分から構成される熱可塑性樹脂繊維を含むとともに、熱可塑性樹脂繊維も熱可塑性樹脂繊維に由来する、熱可塑性樹脂繊維構成熱可塑性樹脂と同じ組成の熱可塑性樹脂(以下、「同組成熱可塑性樹脂」と表記することがある)によって融着固定されており、熱可塑性樹脂繊維と同組成熱可塑性樹脂との相溶性が高く強固に融着固定されているため、引裂き強さ等の機械的強度に優れている。また、不織布構成繊維が同組成熱可塑性樹脂によって皮膜を形成していない状態で融着固定されており、皮膜を形成した状態にはないため、イオン透過性、気体透過性、或いは液体透過性等にも優れている。
また、不織布の任意の場所において2本以上の熱可塑性樹脂繊維同士が融着した融着断面が観察されるということは、熱可塑性樹脂繊維同士の融着部が多数存在していることを意味するため、不織布の機械的強度(特に引裂き強さ)のより優れるものである。
本発明の請求項にかかる発明によれば、不織布の通気度が140s/100ml以下であるため、同組成熱可塑性樹脂によって皮膜を形成していない状態で融着固定されたものである。
本発明の請求項にかかる発明によれば、熱可塑性樹脂繊維が耐熱性に優れているため、各種用途に適用できる。
本発明の請求項にかかる発明によれば、耐熱性繊維が耐熱性に優れているため、各種用途に適用できる。
本発明の請求項にかかる発明によれば、フィブリルを有する耐熱性繊維を含んでいることによって、不織布は緻密な構造であることができるため、電気絶縁性、分離性能、液体保持性能、払拭性、隠蔽性などの各種性能に優れている。
本発明の請求項にかかる発明によれば、DSC曲線に結晶化ピークが描かれないということは、同組成熱可塑性樹脂が結晶化していることを意味するため、高温下においても機械的強度が優れており、熱安定性に優れている。
本発明の請求項にかかる発明によれば、薄いばかりでなく、空隙が多いことによって、イオン透過性、気体透過性、或いは液体透過性等に優れている。
本発明の請求項にかかる発明によれば、目付が比較的低くしかも見掛密度が比較的低いにもかかわらず、優れた引裂き強さをもつため、各種用途に適用できる。
本発明の請求項にかかる発明によれば、目付が比較的低くしかも見掛密度が比較的低いにもかかわらず、優れた伸度をもつため、各種用途に適用できる。例えば、電気二重層キャパシタ用セパレータとして使用した場合には、電極の膨張及び収縮に追従できるため、より引裂かれにくく、電気絶縁性能を維持することができる。
本発明の請求項10にかかる発明によれば、内部抵抗が低く、イオン透過性に優れる電気二重層キャパシタ用セパレータである。この電気二重層キャパシタ用セパレータを使用すれば、使用時に破断しにくく、長期間にわたって使用できる電気二重層キャパシタを製造できる。
本発明の請求項11にかかる発明によれば、内部抵抗が低く、イオン透過性に優れるリチウムイオン二次電池用セパレータである。このリチウムイオン二次電池用セパレータを使用すれば、使用時に破断しにくく、長期間にわたって使用できるリチウムイオン二次電池を製造できる。
本発明の請求項12にかかる発明によれば、使用時に破断しにくく、長期間にわたって使用できる電気二重層キャパシタである。
本発明の請求項13にかかる発明によれば、使用時に破断しにくく、長期間にわたって使用できるリチウムイオン二次電池である。
本発明の請求項14にかかる発明によれば、請求項1又は請求項2の不織布、つまり、引裂き強さ等の機械的強度に優れ、しかもイオン透過性、気体透過性、或いは液体透過性等にも優れる不織布を製造できる。
本発明の請求項15にかかる発明によれば、請求項の不織布、つまり、高温下においても機械的強度が優れており、熱安定性に優れている不織布を製造できる。
本発明の請求項16にかかる発明によれば、不織布構成繊維が同組成熱可塑性樹脂により皮膜を形成していない状態で融着固定された不織布を製造しやすい。
本発明の請求項17にかかる発明によれば、熱可塑性樹脂繊維の一部が溶融することによって空間を形成することによる繊維の均一分散性を損なわず、また、不織布全体にわたって均一に凝固した不織布を製造することができる。

本発明の不織布は繊維形態を維持し、機械的強度を不織布に付与できるように、後述のような熱可塑性樹脂繊維の融点よりも高い(好ましくは10℃以上高い、より好ましくは20℃以上高い)融点又は炭化温度を有する樹脂からなる耐熱性繊維を含んでいる。この耐熱性繊維は1本の繊維から枝分かれした微細繊維であるフィブリルを有するものであって良いし、フィブリルを有しないものであって良い。前者のフィブリルを有する耐熱性繊維であると、緻密な構造の不織布であることができ、電気絶縁性、分離性能、液体保持性能、払拭性、隠蔽性などの各種性能に優れている。他方で、後者のフィブリルを有しない耐熱性繊維であると、機械的強度の優れる不織布であることができる。
耐熱性繊維を構成する樹脂は熱可塑性樹脂繊維との関係で決まるため特に限定するものではないが、汎用性に優れる不織布であるように、耐熱性に優れているのが好ましいことから、融点又は炭化温度が300℃以上の樹脂からなるのが好ましい。好適な耐熱性繊維構成樹脂としては、「融点が300℃以上の樹脂」として、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフェニレンサルファイドなどを挙げることができ、また、「炭化温度が300℃以上の樹脂」として、メタ系全芳香族ポリアミド、パラ系全芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、芳香族ポリエーテルアミド、ポリベンズイミダゾール、全芳香族ポリエステルなどを挙げることができる。これらの中でも、全芳香族ポリアミド(メタ系全芳香族ポリアミド、パラ系全芳香族ポリアミド)又は全芳香族ポリエステルは、特に耐熱性に優れているため好適である。
この好適である全芳香族ポリアミド耐熱性繊維及び/又は全芳香族ポリエステル耐熱性繊維は、耐熱性に優れているように、耐熱性繊維の50mass%以上を占めているのが好ましく、70mass%以上を占めているのがより好ましく、90mass%以上を占めているのが更に好ましく、100mass%を占めているのが最も好ましい。
本発明における「融点」は、JIS K 7121に規定されている示差熱分析により得られる示差熱分析曲線(DTA曲線)から得られる融解温度をいい、「炭化温度」は、JIS K 7120に規定されている熱重量測定を行い、試験片の質量が5%減量した時点での温度とする。
なお、耐熱性繊維がフィブリルを有さない場合には、緻密な構造をもつ不織布で、電気絶縁性、分離性能、液体保持性能、払拭性、隠蔽性などの各種性能に優れているように、繊度は1dtex以下であるのが好ましく、0.8dtex以下であるのがより好ましい。また、耐熱性繊維がフィブリルを有さない場合には、緻密な構造をもつ不織布で、電気絶縁性、分離性能、液体保持性能、払拭性、隠蔽性などの各種性能に優れているように、繊維長は0.1〜15mmであるのが好ましく、0.1〜10mmであるのがより好ましく、0.1〜5mmであるのが更に好ましい。
本発明における「繊度」はJIS L 1015に規定されているA法により得られる値をいい、「繊維長」はJIS L 1015のB法(補正ステープルダイヤグラム法)により得られる長さをいう。
他方、耐熱性繊維がフィブリルを有する場合には、緻密な構造をもつ不織布で、電気絶縁性、分離性能、液体保持性能、払拭性、隠蔽性などの各種性能に優れているように、濾水度は300mlCSF以下であるのが好ましく、200mlCSF以下であるのがより好ましく、100mlCSF以下であるのが更に好ましい。なお、濾水度は50mlCSF以上であるのが好ましい。このような濾水度のフィブリルを有する耐熱性繊維は、例えば、リファイナー、パルパー、ビーター、ミル、或いは高圧ホモジナイザー等によりフィブリル化して、又はフィブリル化を促進させて得ることができる。本発明における「濾水度」はJIS P8121 カナダ標準ろ水度試験方法により測定した値をいう。
このような耐熱性繊維は不織布に機械的強度を付与できるように、不織布中、50mass%以上含まれているのが好ましく、60mass%以上含まれているのがより好ましい。他方、後述の熱可塑性樹脂繊維及び同組成熱可塑性樹脂との関係から、80mass%以下であるのが好ましく、70mass%以下であるのが好ましい。
なお、耐熱性繊維として、フィブリルを有する耐熱性繊維とフィブリルを有しない耐熱性繊維の両方を含んでいても良く、その場合には、耐熱性繊維中、(フィブリルを有する耐熱性繊維)対(フィブリルを有しない耐熱性繊維)が60〜95:5〜40であるのが好ましく、80〜90:10〜20であるのがより好ましい。更に、フィブリルを有する耐熱性繊維であっても、樹脂組成及び/又は濾水度の点で異なる2種類以上のフィブリルを有する耐熱性繊維を含んでいても良いし、フィブリルを有しない耐熱性繊維であっても、樹脂組成、繊度、及び/又は繊維長の点で異なる2種類以上のフィブリルを有しない耐熱性繊維を含んでいても良い。このように混在する場合には、その合計質量が前記範囲内にあるのが好ましい。
本発明の不織布は上述のような耐熱性繊維に加えて熱可塑性樹脂繊維を含んでいる。上述のような耐熱性繊維は耐熱性であるが故に融着させて耐熱性繊維同士を融着固定することが困難であるため、耐熱性繊維よりも融点の低い熱可塑性樹脂によって融着固定することになるが、耐熱性繊維のみが融着固定されていると、引裂き強さなどの機械的強度が劣る傾向があるため、熱可塑性樹脂繊維を含み、しかも熱可塑性樹脂繊維構成熱可塑性樹脂と同じ組成の同組成熱可塑性樹脂によって熱可塑性樹脂繊維も強固に融着固定されていることによって、引裂き強さなどの機械的強度を高めている。
本発明の熱可塑性樹脂繊維は耐熱性繊維の炭化温度又は融点よりも融点の低い(好ましくは10℃以上低い、より好ましくは20℃以上低い)樹脂から構成されていれば良く、特に限定するものではないが、例えば、ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートなど)、ポリアミド樹脂(ナイロン6、ナイロン66など)、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂(ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ−4−メチルペンテン−1など)、ポリ塩化ビニリデン樹脂、などを挙げることができる。これら熱可塑性樹脂繊維の中でも、耐熱性に優れているように、200℃以上(好ましくは210℃以上、より好ましくは220℃以上)の融点をもつ樹脂からなる熱可塑性樹脂繊維からなるのが好ましく、このような200℃以上の融点をもつ熱可塑性樹脂として、例えば、ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートなど)、ポリアミド樹脂(ナイロン6、ナイロン66など)、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ−4−メチルペンテン−1、などを挙げることができ、これらの中でも、耐熱性に優れているポリエステル樹脂が好適である。
本発明の熱可塑性樹脂繊維の繊度は特に限定するものではないが、電気絶縁性、分離性能、液体保持性能、払拭性、隠蔽性などの各種性能に優れているように、繊度は0.45dtex以下であるのが好ましく、0.35dtex以下であるのがより好ましく、0.25dtex以下であるのが更に好ましく、0.15dtex以下であるのが更に好ましい。熱可塑性樹脂繊維の繊度の下限は特に限定するものではないが、機械的強度を向上させることができるように、0.00000001dtex程度であるのが好ましい。また、熱可塑性樹脂繊維の繊維長は緻密な構造をもつ不織布で、電気絶縁性、分離性能、液体保持性能、払拭性、隠蔽性などの各種性能に優れているように、0.1〜15mmであるのが好ましく、0.1〜10mmであるのがより好ましく、0.1〜5mmであるのが更に好ましい。
このような熱可塑性樹脂繊維は不織布の機械的強度に優れているように、不織布の20mass%以上を占めているのが好ましく、30mass%以上を占めているのがより好ましい。他方、耐熱性繊維や同組成熱可塑性樹脂との関係から、50mass%以下を占めているのが好ましく、40mass%以下を占めているのがより好ましい。なお、不織布の伸度を大きくして、引裂き強さをより高めたい場合には、熱可塑性樹脂繊維は、不織布の35〜50mass%を占めているのが好ましく、40〜45mass%を占めているのがより好ましい。また、熱可塑性樹脂繊維は樹脂組成、繊度及び/又は繊維長の点で異なる2種類以上の熱可塑性樹脂繊維を含んでいても良い。2種類以上の熱可塑性樹脂繊維を含んでいる場合には、その合計質量が前記範囲内にあるのが好ましい。
上述のように、熱可塑性樹脂繊維の繊度は0.45dtex以下であるのが好ましいが、このような熱可塑性樹脂繊維は、例えば、海島型繊維の海成分を除去することにより製造された島成分繊維、メルトブロー法により製造されたメルトブロー繊維、静電紡糸法により製造された静電紡糸繊維から構成することができる。
より具体的には、海島型繊維の海成分を除去することにより製造された島成分繊維は繊度0.1dtex以下であることができ、好ましくは0.05dtex以下であることができる。なお、島成分繊維の繊度の下限は0.0000001dtex程度が適当である。
このような島成分繊維は、島成分繊維を構成する樹脂を島成分とし、この島成分を除去できない溶媒によって除去できる樹脂を海成分とする海島型繊維を用意し、この海島型繊維の海成分を前記溶媒で除去することによって製造することができる。例えば、熱可塑性樹脂繊維を構成する樹脂として好適なポリエステル、つまりポリエステルからなる島成分繊維は、例えば、ポリスチレンからなる海成分中に、ポリエステルからなる島成分を備えた海島型繊維を常法の複合紡糸法により製造した後、ジメチルホルムアミド(DMF)中に浸漬し、海成分であるポリスチレンを抽出除去して、ポリエステルからなる島成分繊維を製造することができる。
別の熱可塑性樹脂繊維であることができるメルトブロー繊維はメルトブロー法により製造されたもの、つまり、ダイから溶融押し出しした樹脂に対して空気などの気体を吹きつけて細径化したものであるため、メルトブロー繊維の繊度はバラツキが比較的大きい。しかしながら、メルトブロー繊維の平均繊度(メルトブロー繊維100本の算術平均値)は0.3dtex以下であることができ、好ましくは0.05dtex以下であることができる。なお、メルトブロー繊維の平均繊度の下限は0.0001dtex程度が適当である。
このようなメルトブロー繊維は常法のメルトブロー法によって製造することができる。なお、メルトブロー法によって製造したメルトブロー繊維をコンベアなど捕集体上に集積させると、メルトブロー繊維同士が融着した状態となりやすいため、集積させた後に、水中に投入し、リファイナー、パルパー、ビーター、ミル、或いは高圧ホモジナイザー等で個々のメルトブロー繊維に分離させるのが好ましい。
更に別の熱可塑性樹脂繊維として、静電紡糸法により製造された静電紡糸繊維を使用することができる。この静電紡糸繊維の繊度は0.01dtex以下であることができ、好ましくは0.007dtex以下であることができる。なお、静電紡糸繊維の繊度の下限は0.00000001dtex程度が適当である。
このような静電紡糸繊維は常法の静電紡糸法によって製造することができる。なお、静電紡糸法によって製造した静電紡糸繊維は一般的に繊維が連続した長繊維であるため、耐熱繊維繊維と一緒に均一に分散した不織布であることができるように、コンベアなどの捕集体上に集積させた後に、切断するのが好ましい。また、静電紡糸法によって製造した静電紡糸繊維をコンベアなど捕集体上に集積させると、静電紡糸繊維同士が融着した状態となりやすいため、集積した後(好ましくは切断した後)に、水中に投入し、リファイナー、パルパー、ビーター、ミル、或いは高圧ホモジナイザー等で個々の静電紡糸繊維に分離させるのが好ましい。このようなリファイナー、パルパー、ビーター、ミル、或いは高圧ホモジナイザー等を使用することによって、静電紡糸繊維を切断することもできる。
本発明の不織布においては、上述のような耐熱性繊維、熱可塑性樹脂繊維以外にガラス繊維を含んでいることができる。このようなガラス繊維を含んでいることによって、加圧によって潰れにくく、空隙を維持できるため、イオン透過性、気体透過性、或いは液体透過性等に優れている。
このようなガラス繊維の繊維径(円形断面に換算した値)は特に限定するものではないが、緻密な構造を有する不織布であることができ、電気絶縁性、分離性能、液体保持性能、払拭性、隠蔽性などの各種性能に優れているように、3μm以下であるのが好ましく、2μm以下であるのがより好ましく、1μm以下であるのが更に好ましい。他方、0.001μm以上であるのが好ましく、0.01μm以上であるのがより好ましい。また、ガラス繊維の繊維長は特に限定するものではないが、緻密な不織布であることができるように、0.1〜15mmであるのが好ましく、0.1〜10mmであるのがより好ましく、0.1〜5mmであるのが更に好ましい。
このような繊維径の小さいガラス繊維は、例えば、静電紡糸法により製造することができる。より具体的には、特開2003−73964号に開示されている方法により製造することができる。つまり、(1)テトラエトキシシランを主体とするゾル溶液を形成する工程、(2)前記ゾル溶液をノズルから押し出すとともに、押し出したゾル溶液に電界を作用させることにより細くして、ゲル状細繊維を形成し、支持体上にゲル状細繊維を集積させる工程、(3)前記集積させたゲル状細繊維を乾燥して、乾燥ゲル状細繊維を形成する工程、及び(4)前記乾燥ゲル状細繊維を焼結する工程、によってガラス繊維を製造することができる。なお、このような静電紡糸法によって製造したガラス繊維は一般的に繊維が連続した長繊維であるため、耐熱性繊維や熱可塑性樹脂繊維と混合できるように、ゲル状細繊維、乾燥ゲル状細繊維、或いはガラス繊維を切断するのが好ましい。また、静電紡糸法によって製造したゲル状細繊維をコンベアなど支持体上に集積させると、ゲル状細繊維同士が接着した状態となりやすく、また、焼結することによっても接着した状態となりやすいため、焼結後(好ましくは切断した後)に、水中に投入し、リファイナー、パルパー、ビーター、ミル、或いは高圧ホモジナイザー等で個々のガラス繊維に分離させるのが好ましい。なお、リファイナー、パルパー、ビーター、ミル、或いは高圧ホモジナイザー等を使用することによって、ガラス繊維を切断することもできる。
このようなガラス繊維の不織布全体における質量比率は、耐熱性繊維、熱可塑性樹脂繊維及び後述の同組成熱可塑性樹脂との関係から、30mass%以下であるのが好ましい。
本発明の不織布は耐熱性繊維、熱可塑性樹脂繊維、場合により含むガラス繊維などの不織布構成繊維が、熱可塑性樹脂繊維構成熱可塑性樹脂と同じ組成の同組成熱可塑性樹脂により融着固定されており、熱可塑性樹脂繊維を介する耐熱性繊維の融着固定点が多いため、引裂き強さなどの機械的強度の優れる不織布である。また、同組成熱可塑性樹脂は繊維のように長く伸びる直線状又は曲線状の皮膜を形成していないため、イオン透過性、気体透過性、或いは液体透過性等にも優れている。
なお、同組成熱可塑性樹脂は熱可塑性樹脂繊維に由来しているのが好ましい。このように熱可塑性樹脂繊維に由来していると、同組成熱可塑性樹脂による熱可塑性樹脂繊維の融着固定が強固であるばかりでなく、熱可塑性樹脂繊維に由来しているということは熱可塑性樹脂繊維が細くなることを意味するため、イオン透過性、気体透過性、或いは液体透過性等の各種性能がより優れているためである。このように同組成熱可塑性樹脂による熱可塑性樹脂繊維の融着固定が強固であるように、熱可塑性樹脂繊維は単一樹脂成分から構成されているのが好ましい。
この同組成熱可塑性樹脂は前述のような熱可塑性樹脂繊維と同じ組成の熱可塑性樹脂から構成されていれば良い。このような同組成熱可塑性樹脂は、例えば、上述のように熱可塑性樹脂繊維の一部を溶融させることによって、又は熱可塑性樹脂繊維を適当な溶媒に溶解させた溶液から溶媒を除去することによって形成することができる。
なお、同組成熱可塑性樹脂は不織布の厚さ方向において、偏在していないのが好ましい。偏在していないことによって、同組成熱可塑性樹脂量が同じであれば、イオン透過性、気体透過性、或いは液体透過性等に優れているためである。このような状態はエマルジヨン型接着剤又は溶液型接着剤によって耐熱性繊維及び熱可塑性樹脂繊維を接着した場合には困難である。つまり、エマルジョン型接着剤又は溶液型で接着するために乾燥した場合、液体の揮発に伴って接着剤も不織布表面へ移動(いわゆるマイグレーション)するためである。
本発明の不織布は不織布構成繊維が同組成熱可塑性樹脂によって皮膜を形成していない状態で融着固定されたものであるが、その状態は通気度に反映される。つまり、皮膜を形成していると、通気性が低くなるが、本発明のように皮膜が形成されていない状態で融着固定されていると、通気性が高くなるのである。より具体的には、本発明の不織布の通気度は140s/100ml以下であるのが好ましく、130s/100ml以下であるのがより好ましい。この「通気度」はJIS P8117に規定するガーレー試験機(B型)に、直径5mmのアダプターをガスケットの先に装着した状態で測定した値をいう。
本発明の不織布は上述のような耐熱性繊維、熱可塑性樹脂繊維を含むものであるが、不織布の任意の場所における厚さ方向断面の電子顕微鏡写真を撮影した時に、2本以上の熱可塑性樹脂繊維同士が融着した融着断面が観察されるのが好ましい。任意の場所において2本以上の熱可塑性樹脂繊維同士が融着した融着断面が観察されるということは、熱可塑性樹脂繊維同士の融着部が多数存在していることを意味し、不織布の機械的強度(特に引裂き強さ)がより優れているためである。なお、熱可塑性樹脂繊維同士の融着本数は2本以上であれば良く、その本数は限定するものではないし、耐熱性繊維が混在していても構わない。また、厚さ方向断面の電子顕微鏡写真は2000倍の倍率で撮影する。
本発明の不織布は、目付が5〜30g/m、厚さが17〜55μm、かつ見掛密度が0.32〜0.6g/cmであるのが好ましい。不織布がこのような物性を同時に満足すると、薄くしかも空隙が多いことによって、イオン透過性、気体透過性、或いは液体透過性等に優れているためである。つまり、不織布の目付が5g/m未満であると、不織布の均一性が損なわれる傾向があり、30g/mを越えると、厚さが厚くなりやすく、イオン透過性、気体透過性、或いは液体透過性等が悪くなる傾向がある。また、不織布の厚さが17μm未満であると、基本的性能である電気絶縁性能、分離性能、液体保持性能、払拭性、隠蔽性などの各種性能が悪くなる傾向にあり、厚さが55μmを越えると、不織布の利点を生かすことができない傾向があるためで、より好ましい厚さは20〜50μmである。更に、不織布の見掛密度が0.32g/cm未満であると、機械的強度が弱くなり、取り扱いにくくなる傾向があり、見掛密度が0.6g/cmを越えると、緻密な構造となりすぎて、イオン透過性、気体透過性、或いは液体透過性等が悪くなる傾向がある。この「目付」はJIS P 8124(紙及び板紙−坪量測定方法)に規定する方法に基いて得られる坪量をいい、「厚さ」はJIS B 7502に規定する方法による測定値、すなわち、5N荷重時の外側マイクロメーターによる測定値をいい、更に、「見掛密度(D、単位:g/cm)」は目付(W、単位:g/cm)を厚さ(T、単位:cm)で除した商、つまり、次の式から得られる値をいう。
D=W/T
本発明の不織布は上述のような目付、厚さ、見掛密度を有する、目付が比較的小さく、空隙の多いものであるにもかかわらず、少なくとも一方向における引張り強さが7N/15mm幅以上(より好ましくは9N/15mm幅以上)と引張り強さが高く、取り扱いやすいものであるのが好ましい。このような引張り強さをもつ方向はどの方向であっても良いが、不織布はその長手方向に対して張力をかけながら取り扱う場合が多いため、不織布の長手方向における引張り強さが7N/15mm幅以上であるのが好ましい。なお、「引張り強さ」は、不織布から長方形の試料(幅:15mm、長さ:200mm)を採取した後に、JIS P−8113に準じ、引張り試験機((株)オリエンテック社製、UCT−500)を使用して、つかみ間隔100mm、引張り速度50mm/min.で測定した引張り強さをいう。
また、少なくとも一方向における単位目付あたりの引張り強さが0.2N/g以上(より好ましくは0.3N/g以上、更に好ましくは0.4N/g以上)の引張り強さが高く、取り扱いやすいものであるのが好ましい。このような引張り強さをもつ方向はどの方向であっても良いが、不織布はその長手方向に対して張力をかけながら取り扱う場合が多いため、不織布の長手方向における単位目付あたりの引張り強さが0.2N/g以上であるのが好ましい。なお、「単位目付あたりの引張り強さ」は前記引張り強さを目付で除した商をいう。
本発明の不織布は、不織布使用時における外力によっても破断しにくいように、例えば、不織布を電気二重層キャパシタ用セパレータに使用した場合には、充放電時における電極の膨張及び収縮の繰り返しによる不織布への圧力によっても破断しにくいように、少なくとも一方向における、単位目付あたりの引裂き強さが0.02N/g以上であるのが好ましく、0.03N/g以上であるのがより好ましく、0.04N/g以上であるのが更に好ましく、0.05N/g以上であるのが更に好ましい。このような引裂き強さをもつ方向はどの方向であっても良いが、長尺状の不織布を使用する場合が多いため、下記試験における試験片の長手方向と不織布の長手方向とが一致する時の試験片(不織布)の単位目付あたりの引裂き強さが0.02N/g以上であるのが好ましい。

(単位目付あたりの引裂き強さ)
1.不織布から長方形の試験片(幅:50mm、長さ:100mm)を5枚採取する。
2.JIS L−1096 8.15.4(C法)に準じ、引張速度200mm/分で引裂く時の最大荷重を測定する。
3.5枚の試験片の最大荷重を算術平均して、引裂き強さを算出する。
4.引裂き強さを不織布の目付で除して、単位目付あたりの引裂き強さを算出する。
本発明の不織布は、不織布使用時における外力によっても破断しにくいように、例えば、不織布を電気二重層キャパシタ用セパレータに使用した場合には、充放電時における電極の膨張及び収縮の繰り返しによる不織布への圧力によっても破断しにくいように、少なくとも一方向における伸度が3%以上であるのが好ましく、5%以上であるのがより好ましく、7%以上であるのが更に好ましく、9%以上であるのが更に好ましい。このような伸度をもつ方向はどの方向であっても良いが、長尺状の不織布を使用する場合が多いため、不織布の長手方向における伸度が3%以上であるのが好ましい。なお、「伸度」は、不織布から長方形の試料(幅:15mm、長さ:200mm)を採取した後に、JIS P−8113に準じ、引張り試験機((株)オリエンテック社製、UCT−500)を使用して、つかみ間隔100mm、引張り速度50mm/min.で測定した伸度をいう。つまり、次の式から得られる値をいう。
L=(D/Li)×100=D
ここで、Lは伸度(%)、Dは破断時の伸び(mm)、Liはつかみ間隔(=100mm)をそれぞれ意味する。
本発明の不織布は、目付が5〜30g/mかつ平均流量孔径が1.1μm以下であるのが好ましい。このように、目付が低く、繊維絶対量が少ないにもかかわらず平均流量孔径が小さいということは、耐熱性繊維及び熱可塑性樹脂繊維が均一に分散していることを意味し、分離性能、液体保持性能、払拭性、隠蔽性などの各種性能に優れ、各種用途に適用できるためである。より好ましくは、目付が10〜30g/mかつ平均流量孔径が1μm以下である。なお、「平均流量孔径」は、ASTM−F316に規定されている方法により得られる値をいい、例えば、ポロメータ(Polometer、コールター(Coulter)社製)を用いて、バブルポイント法により測定できる。
本発明の不織布は上述のような耐熱性繊維及び熱可塑性樹脂繊維を含むものであるが、高温下においても機械的強度が優れており、熱安定性に優れているように、本発明の不織布は、不織布を示差走査熱量測定してDSC曲線を描いても、結晶化ピークが描かれないものであるのが好ましい。つまり、結晶化ピークが描かれないということは同組成熱可塑性樹脂が十分に結晶化していることを意味するため、高温下においても外力に抵抗して耐熱性繊維及び熱可塑性樹脂繊維の融着固定状態を維持し、不織布の構造変化を抑制して、所望の性能(引張り強度、引裂き強さなど)を発揮できる、熱安定性の優れるものであるためである。
なお、示差走査熱量測定はJIS K 7121(熱流束示差走査熱量測定)に準じ、次の条件下で行なってDSC曲線を描く。
1.試験片(不織布)の形状、大きさ及び質量;試験片として、直径6.4mmの円形の不織布を使用する。試験片の質量は電子天秤で5mgを目安として、小数点第2位まで計量する。
2.窒素ガスの流入速度;50ml/min.
3.加熱速度;10.0deg/min.
4.測定開始温度;室温(25℃)
本発明の不織布は、不織布の基本的な性能である電気絶縁性能、分離性能、液体保持性能、払拭性、或いは隠蔽性等に優れているばかりでなく、相反する性能であるイオン透過性、気体透過性、或いは液体透過性等にも優れているため、各種用途に使用できるものである。例えば、電気二重層キャパシタ用セパレータ用途、リチウムイオン二次電池用セパレータ用途、アルカリ二次電池用セパレータ用途、気体又は液体濾過材用途、積層板用基材用途、電極支持材用途、ワイピング材用途、医療用基材用途、電子写真装置における定着ロールのクリーニングシート用途、などに好適に使用することができる。
特に、本発明の不織布を電気二重層キャパシタ用セパレータとして用いた場合には、(1)電気絶縁性に優れているため、漏れ電流が発生しにくい安定した電気二重層キャパシタを製造することができる、(2)機械的強度が高いため、電気二重層キャパシタ製造時等における取り扱い性に優れており、ラウンド型の電気二重層キャパシタも製造しやすい、(3)引裂き強さ等の機械的強度が高く(特に融着繊維束が存在する場合)、伸度の大きい不織布であることができるため、電気二重層キャパシタの充放電時に破断するなどして電気絶縁性能を損なうことがない、(4)耐熱性繊維及び熱可塑性樹脂繊維が同組成熱可塑性樹脂により皮膜を形成していない状態で融着固定されていることによって空隙が多く、イオン透過性に優れているため、内部抵抗が低く、容量の大きい電気二重層キャパシタを製造できる、(5)目付が低く、厚さが薄い不織布からなることができるため、一定体積におけるエネルギー密度の高い電気二重層キャパシタを製造できる、(6)耐熱性繊維が全芳香族ポリアミド又は全芳香族ポリエステルのように耐熱性に優れている場合には、電気二重層キャパシタ用セパレータ、集電極、及び電極を組み立てた後に、温度150℃以上の高温で一緒に乾燥できるため、耐電圧の高い電気二重層キャパシタやエネルギー密度の高い電気二重層キャパシタを製造しやすい、など、様々な効果を奏するため、本発明の不織布は電気二重層キャパシタ用セパレータとして好適に使用できる。なお、ガラス繊維を含む不織布を電気二重層キャパシタ用セパレータとして使用した場合には、水系電解液、有機系電解液のいずれに対しても、不織布の親和性が高く、内部抵抗を下げる効果がある。
また、本発明の不織布を電気二重層キャパシタ用セパレータとして使用する場合には、見掛密度が0.32〜0.6g/cmであるのが好ましい。見掛密度が0.32g/cm未満であると、機械的強度が弱くなり、取り扱いにくくなる傾向があり、見掛密度が0.6g/cmを越えると、緻密な構造となりすぎて、イオン透過性が悪くなり、容量の大きい電気二重層キャパシタを製造するのが困難になる傾向があるためである。
本発明の不織布をリチウムイオン二次電池用セパレータとして用いた場合には、内部抵抗が低く、イオン透過性に優れているため、ハイレート特性に優れるリチウムイオン二次電池を製造することができる。そのため、このリチウムイオン二次電池は電動バイクや工具などのパワーを必要とする用途の電池として好適に使用できる。また、耐熱性繊維が全芳香族ポリアミド又は全芳香族ポリエステルのように耐熱性に優れている場合には、温度が180℃を超えるような高温になったとしても、セパレータ(不織布)に孔が開いたり、収縮せず、電極同士の接触による短絡を生じにくい、安全性の高いリチウムイオン二次電池を製造することができる。
なお、本発明の不織布をリチウムイオン二次電池用セパレータとして使用する場合には、見掛密度が0.5〜0.6g/cmであるのが好ましい。見掛密度が0.5g/cm未満であると、脱落した電極活物質がセパレータを貫通したり、機械的強度が弱くなり、取り扱いにくくなる傾向がある。他方、見掛密度が0.6g/cmを越えると、緻密な構造となりすぎて、イオン透過性が悪くなり、ハイレート特性に優れるリチウムイオン二次電池を製造するのが困難になる傾向があるためである。
本発明の不織布は、例えば、熱可塑性樹脂繊維と、前記熱可塑性樹脂繊維の融点よりも高い融点又は炭化温度を有する樹脂からなる耐熱性繊維とを用いて繊維ウエブを形成する繊維ウエブ形成工程、この繊維ウエブに対して熱処理を実施し、前記熱可塑性樹脂繊維の一部が繊維形態を残すように、前記熱可塑性樹脂繊維の一部を溶融させ、溶融した熱可塑性樹脂を凝集させて、凝集繊維ウエブを形成する凝集工程、前記凝集した熱可塑性樹脂を無圧下で凝固させ、皮膜を形成していない状態で融着固定する凝固工程、によって製造することができる。
繊維ウエブ形成工程においては、まず、前述のような耐熱性繊維及び熱可塑性樹脂繊維とを用意する。なお、熱可塑性樹脂繊維の繊度は0.45dtex以下であるのが好ましい。これは、熱可塑性樹脂繊維の一部が溶融し、凝集して凝固するが、熱可塑性樹脂繊維が細ければ、熱可塑性樹脂繊維が細くなることによって形成される空隙が小さいため繊維分散の均一性を損なわず、また、不織布全体にわたって均一に融着固定した不織布を製造することができるためで、より好ましい繊度は0.35dtex以下であり、更に好ましい繊度は0.25dtex以下であり、最も好ましい繊度は0.15dtex以下である。熱可塑性樹脂繊維の繊度の下限は特に限定するものではないが、0.00000001dtex程度であるのが好ましい。
このような耐熱性繊維と熱可塑性樹脂繊維とを混合して繊維ウエブを形成するが、耐熱性繊維と熱可塑性樹脂繊維との混合比率は耐熱性に優れ、汎用性に優れているとともに、熱可塑性樹脂繊維から発生させる同組成熱可塑性樹脂によって強固に融着固定できるように、50〜80:20〜50であるのが好ましく、60〜70:30〜40であるのがより好ましい。特に伸度を必要とする場合には、耐熱性繊維と熱可塑性樹脂繊維との混合比率は50〜65:35〜50であるのが好ましく、55〜60:40〜45であるのがより好ましい。
このような耐熱性繊維及び熱可塑性樹脂繊維を用いて繊維ウエブを形成する方法は特に限定されるものではなく、従来公知の方法で形成できる。例えば、エアレイ法、カード法などの乾式法、或いは湿式法により形成できる。特に湿式法により形成した繊維ウエブは緻密で繊維の均一分散性に優れる不織布を製造できるため好適である。この好適である湿式法としては、例えば、水平長網方式、傾斜ワイヤー型短網方式、円網方式、順流円網・逆流円網コンビネーション方式、順流円網・円網フォーマーコンビネーション方式、逆流円網・円網フォーマーコンビネーション方式、短網・円網コンビネーション方式、又は長網・円網コンビネーション方式等を挙げることができる。
なお、繊維配向が同じ又は異なる繊維ウエブを2枚以上積層した、積層繊維ウエブ(特には、隣接する繊維ウエブの繊維配向が異なる積層繊維ウエブ)を形成するのが好ましい。このような積層繊維ウエブは電気絶縁性能、分離性能、液体保持性能、払拭性、隠蔽性などの各種性能が更に優れる不織布を製造できるためである。例えば、湿式法により繊維ウエブを形成する場合には、同じ種類の網によって抄造した湿式繊維ウエブを積層したり、異なる種類の網(例えば、短網と円網、長網と円網)によって抄造した湿式繊維ウエブを積層して、積層湿式繊維ウエブを製造することができ、異なる種類の網によって抄造した湿式繊維ウエブを積層すると、繊維配向の異なる積層湿式繊維ウエブを形成できる。なお、抄き上げた湿潤状態の湿式繊維ウエブを乾燥する際には、熱可塑性樹脂繊維が溶融しない温度で乾燥するのが好ましい。
次いで、凝集工程を実施する。この凝集工程は、繊維ウエブに対して熱処理を実施し、熱可塑性熱可塑性樹脂繊維の一部を溶融させて、熱可塑性樹脂繊維の一部を残して繊維形態を維持させるとともに、溶融した同組成熱可塑性樹脂を凝集させて、凝集繊維ウエブを形成する工程である。
この工程においては、同組成熱可塑性樹脂が凝集しやすいように、無圧下で熱可塑性樹脂繊維を溶融させるのが好ましい。また、このように無圧下で溶融させることによって、同組成熱可塑性樹脂に由来する皮膜が形成されない。つまり、この段階で圧力を作用させると、同組成熱可塑性樹脂の凝集が妨げられ、繊維状態に近い状態、つまり、直線状又は曲線状に同組成熱可塑性樹脂が連続した皮膜の状態で融着固定されたり、構成繊維の交点の周囲に皮膜の状態で融着固定され、イオン透過性、気体透過性、或いは液体透過性などの各種性能を悪くする傾向があるが、圧力を作用させないと、イオン透過性、気体透過性、或いは液体透過性などの各種性能に優れた不織布を製造できる。このような熱可塑性樹脂繊維の無圧下での溶融は、例えば、赤外線を照射する方法、熱風を吹き付ける方法、レーザーを照射する方法、を単独で、或いは組み合わせて実施することができる。
例えば、赤外線(特に波長が5.6〜1000μmの遠赤外線が好ましい)を照射した場合には、繊維ウエブの外側に存在する繊維(耐熱性繊維及び熱可塑性樹脂繊維)の表面及び内部ばかりでなく、繊維ウエブの内側に存在する繊維(耐熱性繊維及び熱可塑性樹脂繊維)の表面及び内部も加熱し、瞬時に熱可塑性樹脂繊維の一部を溶融させることができ、溶融した同組成熱可塑性樹脂を凝集させることができる。
赤外線を照射する場合、熱可塑性樹脂繊維の一部のみが溶融する条件下で加熱する。つまり、熱可塑性樹脂繊維が、熱可塑性樹脂繊維の融点以上、耐熱性繊維の融点又は炭化温度よりも低い温度となるまで照射するものの、照射時間を短くする、出力を低くするなどして、熱可塑性樹脂繊維が完全に溶融するまでは照射しない。このような条件は熱可塑性樹脂繊維及び耐熱性繊維の種類によって変化するため、特に限定するものではない。この赤外線の照射条件は、実験を繰り返すことによって適宜設定することができる。このように熱可塑性樹脂繊維の一部が溶融した同組成熱可塑性樹脂を凝集させるが、この段階で圧力を作用させると、同組成熱可塑性樹脂の凝集が妨げられ、繊維状態に近い状態、つまり、直線状又は曲線状に同組成熱可塑性樹脂が連続した皮膜の状態で融着固定され、イオン透過性、気体透過性、或いは液体透過性などの透過性を悪くするため、無圧下で行なうのが好ましい。なお、熱可塑性樹脂繊維のガラス転移温度以上の温度の熱風を吹き付けたり、循環させることによって、繊維ウエブ内部の熱可塑性樹脂繊維の一部を溶融させやすくするのが好ましい。このように熱風を吹き付けたり、循環させると、風圧によって同組成熱可塑性樹脂が繊維ウエブ構成繊維の交点に凝集しやすいため、イオン透過性、気体透過性、或いは液体透過性などの透過性が更に向上する。本発明における「ガラス転移温度」は、JIS K 7121-1987に規定されるガラス転移温度の求め方により得られる値をいう。
また、熱風を吹き付けて熱可塑性樹脂繊維の一部を溶融させても、溶融した同組成熱可塑性樹脂の皮膜を形成させることなく凝集させることができる。この場合、熱可塑性樹脂繊維の一部は溶融するものの、耐熱性繊維が溶融又は炭化しない温度の熱風を吹き付ける。つまり、熱可塑性樹脂繊維の融点以上、耐熱性繊維の融点又は炭化温度よりも低い温度の熱風を吹き付けるものの、吹き付け時間を短くする、吹付け風量を少なくするなどして、熱可塑性樹脂繊維が完全に溶融するまでは吹き付けない。このように熱風の作用により熱可塑性樹脂繊維の一部を溶融させた同組成熱可塑性樹脂は、熱風を吹き付けた際の風圧も作用して、繊維ウエブ構成繊維の交点で凝集しやすいが、この段階で熱風吹き付け以外に圧力を作用させると、繊維状態に近い状態、つまり、直線状又は曲線状に同組成熱可塑性樹脂が連続した皮膜の状態で融着固定されたり、繊維ウエブ構成繊維の交点の周囲に皮膜の状態で融着固定され、イオン透過性、気体透過性、或いは液体透過性などの各種性能を悪くする傾向があるため、熱風吹き付け以外に圧力を作用させないのが好ましい。なお、この凝集工程において、熱風を吹き付けることにより繊維ウエブ中の熱可塑性樹脂繊維の一部を溶融させているが、繊維ウエブ内部における熱可塑性樹脂繊維の一部も溶融しやすく、また、繊維ウエブ構成繊維の交点に凝集して、イオン透過性、気体透過性、或いは液体透過性などの透過性に優れているように、熱風が繊維ウエブを透過するように熱風を吹き付けるのが好ましい。
また、繊維ウエブにレーザーを照射して、繊維ウエブの外側に存在する繊維の表面及び内部ばかりでなく、繊維ウエブの内側に存在する繊維の表面及び内部も均一に加熱し、熱可塑性樹脂繊維の一部を溶融させて、溶融した同組成熱可塑性樹脂の皮膜を形成させることなく凝集させることができる。
このレーザーは熱可塑性樹脂繊維の一部のみを溶融させることができれば良く、特に限定するものではないが、例えば、気体レーザー(主に炭酸ガスレーザー、He−Neレーザー、Arイオンレーザー)や固体レーザー(主にルビーレーザー、Nd:YAGレーザー、Nd:ガラスレーザー)や液体レーザー(主に色素レーザー)を使用することができる。なお、レーザーの照射は熱可塑性樹脂繊維の一部のみが溶融するように行なうが、その照射条件(波長、出力、照射時間など)は熱可塑性樹脂繊維及び耐熱性繊維の種類によって異なるため、実験を繰り返して適宜設定する。また、レーザーを繊維ウエブ全体に対して照射するには、例えば、光ファイバーで分岐したり、また、拡散用レンズ(ZnSeレンズ等)と光ファイバーとを組み合わせて使用するなどして実施できる。
なお、レーザーを照射する場合、熱可塑性樹脂繊維の一部を効率的に溶融させるとともに、溶融した同組成熱可塑性樹脂が繊維の交点に凝集しやすいように、熱風が繊維ウエブを透過するように熱風を吹き付けるのが好ましい。イオン透過性、気体透過性、或いは液体透過性などの透過性により優れているためである。なお、熱風の温度は特に限定されるものではないが、溶融した同組成熱可塑性樹脂の凝集を妨げないように、熱可塑性樹脂繊維のガラス転移温度以上、かつ融点より10℃以上低い温度であるのが好ましい。
次いで、凝固工程、つまり凝集した同組成熱可塑性樹脂を無圧下で凝固させ、皮膜を形成していない状態で融着固定する工程を実施して、本発明の不織布を製造することができる。この凝固工程は凝集した同組成熱可塑性樹脂が凝固するのであればどのような方法であっても良く、特に限定するものではないが、例えば、同組成熱可塑性樹脂のガラス転移温度未満の気体を吹き付けたり、循環させる方法、或いは同組成熱可塑性樹脂のガラス転移温度未満の気体中に放置する方法などがある。なお、この凝固工程においても、未だ溶融状態にある同組成熱可塑性樹脂に対して圧力を加えると、繊維状ではないものの、広い範囲にわたって皮膜が形成され、イオン透過性、気体透過性、或いは液体透過性などの透過性を悪くするため、無圧下で行なう。以上の説明からわかるように、本発明における「無圧下」とは、気体の吹き付け圧力、及び気体の循環圧力以外に圧力を作用させないことをいう。
本発明の不織布は上述のようにして製造することができるが、熱可塑性樹脂繊維の一部が瞬時に溶融すると、結晶化度が低く、耐熱性に劣る傾向があるため、凝集工程の後に、熱処理をして同組成熱可塑性樹脂を結晶化させる結晶化工程を実施し、高温下で外力が加わる用途に使用したとしても、構造変化が生じにくく所望の性能を発揮できる、熱安定性に優れる不織布とするのが好ましい。なお、この結晶化工程は凝固工程を実施した後に実施しても良いし、凝固工程と同時に実施することもできる。
この同組成熱可塑性樹脂を結晶化させる熱処理は、同組成熱可塑性樹脂が結晶化する熱処理である限り、特に限定するものではないが、同組成熱可塑性樹脂の融点よりも低い温度の熱風を吹き付けたり、循環させる方法を挙げることができる。なお、熱処理温度は同組成熱可塑性樹脂が結晶化する熱処理である限り、特に限定するものではなく、同組成熱可塑性樹脂の組成によって異なるため、実験により適宜設定する。例えば、同組成熱可塑性樹脂が好適であるポリエステルからなる場合には、130〜230℃であるのが好ましい。ポリエステルの場合、130℃未満では結晶化が不十分になる傾向があり、230℃を超えると、補外溶解開始温度(樹脂が溶け始める温度)に近くなり、ポリエステルが再溶融しはじめ、不織布におけるポリエステルの凝固状態が変わってしまうためで、より好ましくは150〜220℃である。また、この結晶化工程における熱処理は、同組成熱可塑性樹脂が直線状又は曲線状に連続した皮膜を形成しないように、どの段階で実施する場合にも、無圧下で実施するのが好ましい。なお、「結晶化させる」とは、製造した不織布を示差走査熱量測定して描いたDSC曲線に結晶化ピークが描かれない状態とすることをいう。
なお、任意の場所における厚さ方向断面の電子顕微鏡写真を撮影した時に、2本以上の熱可塑性樹脂繊維同士が融着した融着断面が観察される不織布は、赤外線を照射したり、レーザーを照射するなど、瞬時に熱可塑性樹脂繊維の一部を溶融させて同組成熱可塑性樹脂を発生させた場合に形成することができ、特に、瞬時に熱可塑性樹脂繊維の一部を溶融させる凝集工程を実施する前に、繊維ウエブ構成繊維(熱可塑性樹脂繊維、耐熱性繊維)の密着性を高める緻密化工程を実施すると、熱可塑性樹脂繊維から発生した同組成熱可塑性樹脂の自由度が低く、近くに存在する熱可塑性樹脂繊維との相溶性が高いこともあり、熱可塑性樹脂繊維同士の間で凝集しやすいため、前記不織布を製造しやすい。なお、緻密化工程としては、例えば、熱可塑性樹脂繊維の軟化温度よりも低い温度で、繊維ウエブの厚さがもとの厚さの95%以下となるように加圧(例えば、カレンダーにより加圧)して実施するのが好ましい。
また、凝固工程後の不織布に厚さのバラツキがある場合、見掛密度が好適である0.32〜0.6g/cmの範囲内にない場合、少なくとも一方向における引張り強さが7N/15mm幅以上ない場合、少なくとも一方向における単位目付あたりの引張り強さが0.2N/g以上ない場合、或いは少なくとも一方向における単位目付あたりの引裂き強さが0.02N/g以上ないような場合には、熱可塑性樹脂繊維の軟化温度よりも低い温度で加圧処理(例えば、カレンダー処理)を行って、前記問題点を解決するのが好ましい。好ましくは、熱可塑性樹脂繊維の軟化温度よりも20℃以上低い温度で加圧処理(例えば、カレンダー処理)を行う。なお、この加圧処理(例えば、カレンダー処理)における圧力は、厚さのバラツキの程度、所望見掛密度、所望引張り強さ、所望引裂き強さ等によって異なるため特に限定するものではない。この圧力は、実験を繰り返すことによって、適宜設定することができる。
少なくとも一方向における伸度が3%以上である不織布は、熱可塑性樹脂繊維量を35〜50mass%(好ましくは40〜45mass%)とすること、瞬時に熱可塑性樹脂繊維の一部を溶融させる凝集工程を実施する前に、前述と同様の緻密化工程を実施すること、熱可塑性樹脂繊維の溶融量を適正化すること、などを適宜組み合わせることによって製造することができる。
なお、平均流量孔径が1.1μm以下である不織布は、湿式法により繊維ウエブを形成すること、耐熱性繊維としてフィブリルを有する耐熱性繊維を使用すること、繊度が0.05dtex以下の熱可塑性樹脂繊維を使用すること、凝固工程後に加圧処理(例えば、カレンダー処理)を行うこと、などを単独で又は併用することによって、製造することができる。
また、本発明の不織布を各種用途へ適用するにあたり、各用途への適合性を高める後加工を実施しても良い。例えば、電気二重層キャパシタ用セパレータ用途、リチウムイオン二次電池用セパレータ用途、アルカリ二次電池用セパレータ用途に用いる場合には電解液との親和性をもたせるために、親水化処理などの親和性付与処理、気体又は液体濾過材用途或いはワイピング用途に用いる場合には、塵埃等の捕捉性を高めるためのエレクトレット化処理、積層板用基材用途に用いる場合には、ワニスとの親和性を高めるための親和性付与処理、電極支持材用途に用いる場合には、金属膜との密着性を高めるための親和性付与処理、医療用基材用途に用いる場合には、汚染液体の透過を抑制するための撥水・撥油処理、定着部用クリーニングシート用途に用いる場合には、シリコーンオイルなどの離型剤の付与処理、などを実施することができる。
以上、耐熱性繊維及び熱可塑性樹脂繊維が同組成熱可塑性樹脂によって融着固定された不織布の製造方法について説明したが、ガラス繊維も含み、ガラス繊維も同組成熱可塑性樹脂によって融着固定された不織布は、繊維ウエブを形成する工程において、上述と同様の耐熱性繊維と熱可塑性樹脂繊維に加えて、ガラス繊維を用いて繊維ウエブを形成すること以外は、上述と同様にして製造することができる。
本発明の電気二重層キャパシタは、前述のような不織布をセパレータとして用いていること以外は、従来の電気二重層キャパシタと全く同様であることができる。なお、電気二重層キャパシタのセル構造は特に限定するものではなく、積層型、円筒型、角型、コイン型などであることができる。
例えば、集電極としては、例えば、アルミニウム薄板、白金薄板などの金属薄板を使用することができ、電極としては、例えば、粒状活性炭に導電剤と接着剤とを混ぜ合わせ、圧粉法、圧延法、塗布法、或いはドクターブレード法によって作製されたものを使用することができる。また、電解液としては、例えば、プロピレンカーボネートでテトラエチルアンモニウム・テトラフルオロボーレイトを溶解させた有機電解液や、プロピレンカーボネートでテトラエチルフォスフォニウム・テトラフルオロボーレイトを溶解させた有機電解液などを使用することができる。
この電気二重層キャパシタの製造方法について簡単に述べると、まず、前述のような集電極、電極、及び前述のような不織布からなるセパレータを用意する。次いで、例えば、集電極、電極、セパレータ、電極、集電極の順に積み重ねることを繰り返したり、このように積み重ねた積層体を巻き上げて電極群を形成する。
次いで、電極群と前記のような有機電解液とをケースに挿入した後、前記ケースを封緘してキャパシタを製造することができる。なお、セパレータである不織布を構成する耐熱性繊維が融点又は炭化温度が300℃以上の樹脂からなる場合には、電極群を形成した後に、電極群を150℃以上の温度で、集電極、電極及びセパレータを同時に乾燥し、ケースに挿入することができる。セパレータである不織布を構成する耐熱性繊維が融点又は炭化温度が300℃未満の樹脂からなる場合には、予め個別に乾燥した後に電極群を形成する。
本発明のリチウムイオン二次電池は、前述のような不織布をセパレータとして用いていること以外は、従来のリチウムイオン二次電池と全く同様であることができる。例えば、正極として、リチウム含有金属化合物のペーストを集電材に担持させたもの等を使用し、負極として、リチウム金属やリチウム合金、及びリチウムを吸蔵、放出可能なカーボンまたはグラファイトを含む炭素材料(例えばコークス、天然黒鉛や人造黒鉛などの炭素材料)、複合スズ酸化物を集電材に担持させたもの等を使用し、電解液として、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートの混合溶媒にLiPFを溶解させた非水電解液等を使用できる。なお、リチウムイオン二次電池のセル構造も特に限定するものではなく、積層型、円筒型、角型、コイン型などであることができる。
リチウムイオン二次電池の製造方法は、特に限定されないが、例えばアルミパック型リチウムイオン二次電池は、以下の方法により製造できる。
まず、負極として、負極活物質をPvdf−NMP(ポリフッ化ビニリデン−N−メチルピロリドン)などの溶液に混合して形成した負極合剤のペーストを、銅箔上に塗布、乾燥し、加圧成型した後に、加熱処理して負極を調製する。また、正極として、リチウム複合酸化物、導電剤、及びPvdf−NMPなどの溶液に混合して形成した正極合剤のペーストを、アルミニウム箔上に塗布、乾燥し、加圧成型した後に、加熱処理して正極を調製する。次いで、本発明の不織布からなるセパレータを負極と正極との間に介在させた複数のユニットと、有機溶媒に電解質を溶解させた非水電解液とをアルミパック内に装填し、封印して、アルミパック型のリチウムイオン二次電池を作製できる。
以下に、本発明の実施例を記載するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
パラ系全芳香族ポリアミドからなるフィブリルを有する耐熱性繊維(登録商標:トワロン1094、帝人製、炭化温度:500℃以上、濾水度(CSF):150ml)、及びポリエチレンテレフタレートからなる、繊度0.11dtex、繊維長3mmのポリエステル繊維(登録商標:テピルス、帝人製、融点:260℃、軟化温度:253℃、ガラス転移温度:90℃)を用意した。
次いで、前記フィブリルを有する耐熱性繊維をリファイナーによりフィブリル化を促進させた耐熱性繊維(濾水度(CSF):90ml)とポリエステル繊維とを65:35の質量比率で分散させたスラリーを形成した。
その後、順流円網、傾斜ワイヤー型短網、順流円網、及びヤンキードライヤーを備えた抄紙機に、前記スラリーを各網へ供給し、それぞれ湿潤繊維ウエブを形成し、それぞれの湿潤繊維ウエブを積層した積層湿潤繊維ウエブを形成し、続いて、この積層湿潤繊維ウエブを温度120℃に設定したヤンキードライヤーにより乾燥して、繊維配向が一方向、ランダム、一方向の三層湿式繊維ウエブを形成した(以上、繊維ウエブ形成工程)。この三層湿式繊維ウエブ表面の電子顕微鏡写真を図1に示すように、フィブリルを有する耐熱性繊維とポリエステル繊維とが混在した状態にあった。
次いで、温度490℃に設定した遠赤外線セラミックヒータ(Ryoka製)を、上下にそれぞれ12基づつ備えた遠赤外線照射装置の遠赤外線セラミックヒータ間を、速度30m/min.で前記三層湿式繊維ウエブを通過させることにより、ポリエステル繊維の一部のみを溶融させるとともに凝集させ、凝集繊維ウエブを形成した。なお、いずれの遠赤外線セラミックヒーターとも50mm離間させて通過させた。また、移動する三層湿式繊維ウエブに対して、温度220℃の熱風を吹き付けた(以上、凝集工程)。
次いで、凝集繊維ウエブを無圧下、室温で空冷して、凝集した同組成ポリエステル樹脂を凝固させて、凝固不織布を製造した(以上、凝固工程)。
その後、前記凝固不織布を、無圧下、温度220℃に加熱したドライヤー内を3秒間かけて通過させ、同組成ポリエステル樹脂を結晶化させ、結晶化不織布を製造した(以上、結晶化工程)。
次いで、この結晶化不織布を室温のカレンダーにより押圧(線圧力:180N/cm)して、目付30g/m、厚さ50μm、見掛密度0.6g/cmの湿式不織布を製造した。この湿式不織布表面の電子顕微鏡写真を図2に示す。このように、ポリエステル樹脂繊維と耐熱性繊維とが混在し、同組成ポリエステル樹脂によって、皮膜を形成していない状態で融着固定された状態にあった。また、無作為に選んだ5点における、厚さ方向断面の電子顕微鏡写真(2000倍)をそれぞれ撮影し、観察したところ、同組成ポリエステル樹脂は湿式不織布の厚さ方向において偏在しておらず均一に分布しており、また、ポリエステル樹脂繊維同士が融着した融着断面がいずれの電子顕微鏡写真でも観察された。代表的な厚さ方向断面の電子顕微鏡写真を図3に示す。更に、この湿式不織布の示差走査熱量測定したところ、図4に示すようなDSC曲線を描き、結晶化ピークが描かれなかった。
(実施例2)
実施例1と同じフィブリル化を促進させた耐熱性繊維とポリエステル繊維とを55:45の質量比率で分散させたスラリーを使用したこと以外は、実施例1と同様にして、フィブリルを有する耐熱性繊維とポリエステル繊維とが混在した三層湿式繊維ウエブを形成した(以上、繊維ウエブ形成工程)。
次いで、この三層湿式繊維ウエブを温度60℃のカレンダーロール間(線圧:160N/cm)を通過させ、三層湿式繊維ウエブのもとの厚さの64%とした緻密化繊維ウエブを形成した(以上、緻密化工程)。
次いで、温度450℃に設定した遠赤外線セラミックヒータ(Ryoka製)を、上下にそれぞれ12基づつ備えた遠赤外線照射装置の遠赤外線セラミックヒータ間を、速度20m/min.で前記緻密化繊維ウエブを通過させることにより、ポリエステル繊維の一部のみを溶融させるとともに凝集させ、凝集繊維ウエブを形成した。なお、いずれの遠赤外線セラミックヒーターとも50mm離間させて通過させた。また、移動する緻密化繊維ウエブに対して、温度220℃の熱風を吹き付けた(以上、凝集工程)。
次いで、凝集繊維ウエブを無圧下、室温で空冷して、凝集した同組成ポリエステル樹脂を凝固させて、凝固不織布を製造した(以上、凝固工程)。
その後、前記凝固不織布を、無圧下、温度220℃に加熱したドライヤー内を3秒間かけて通過させ、同組成ポリエステル樹脂を結晶化させ、目付21g/m、厚さ38μm、見掛密度0.55g/cmの湿式不織布を製造した(以上、結晶化工程)。
この湿式不織布においては、ポリエステル樹脂繊維と耐熱性繊維とが混在し、同組成ポリエステル樹脂によって、皮膜を形成していない状態で融着固定された状態にあった。また、無作為に選んだ5点における、厚さ方向断面の電子顕微鏡写真(2000倍)をそれぞれ撮影し、観察したところ、同組成ポリエステル樹脂は湿式不織布の厚さ方向において偏在しておらず均一に分布しており、また、ポリエステル樹脂繊維同士が融着した融着断面がいずれの電子顕微鏡写真でも観察された。更に、この湿式不織布の示差走査熱量測定し、DSC曲線を描いたところ、結晶化ピークが描かれなかった。
(実施例3)
繊維ウエブ形成工程において、フィブリル化を促進させた耐熱性繊維とポリエステル繊維とを60:40の質量比率で分散させたスラリーを使用したこと、緻密化工程において、カレンダーの温度を90℃としたこと、及び凝集工程において、緻密化繊維ウエブを16m/min.の速度で通過させたこと以外は、実施例2と全く同様にして、目付28g/m、厚さ47μm、見掛密度0.61g/cmの湿式不織布を製造した。この湿式不織布においては、ポリエステル樹脂繊維と耐熱性繊維とが混在し、同組成ポリエステル樹脂によって、皮膜を形成していない状態で融着固定された状態にあった。また、無作為に選んだ5点における、厚さ方向断面の電子顕微鏡写真(2000倍)をそれぞれ撮影し、観察したところ、同組成ポリエステル樹脂は湿式不織布の厚さ方向において偏在しておらず均一に分布しており、また、ポリエステル樹脂繊維同士が融着した融着断面がいずれの電子顕微鏡写真でも観察された。更に、この湿式不織布の示差走査熱量測定し、DSC曲線を描いたところ、結晶化ピークが描かれなかった。
(比較例1)
実施例1と同じフィブリル化を促進させた耐熱性繊維、実施例1と同じポリエステル繊維、及び芯鞘型複合ポリエステル繊維(登録商標:メルティ、ユニチカ製、芯部の融点:255℃、鞘部の融点:110℃、繊度1.1dtex、繊維長:3mm)を用意した。
次いで、耐熱性繊維、ポリエステル繊維、及び芯鞘型複合ポリエステル繊維を50:20:30の質量比率で分散させたスラリーを形成した。その後、順流円網、傾斜ワイヤー型短網、順流円網、及びヤンキードライヤーを備えた抄紙機に、前記スラリーを各網へ供給し、それぞれ湿潤繊維ウエブを形成し、それぞれの湿潤繊維ウエブを積層した積層湿潤繊維ウエブを形成し、続いて、この積層湿潤繊維ウエブを温度120℃に設定したヤンキードライヤーにより乾燥するとともに芯鞘型複合ポリエステル繊維を融着させ、繊維配向が一方向、ランダム、一方向の三層湿式繊維ウエブを形成した。
次いで、この三層湿式繊維ウエブの両面を、温度200℃に加熱した直径が1.2mのシリンダードライヤーにテンポ20m/min.で接触させて熱処理し、目付20g/m、厚さ55μm、見掛密度0.36g/cmの湿式不織布を製造した。この湿式不織布は、芯鞘型複合ポリエステル繊維が繊維の状態で融着し、直線状又は曲線状に皮膜を形成した、面的に融着した状態にあった。
(比較例2)
実施例1と同じ耐熱性繊維及びポリエステル繊維を用意した。次いで、リファイナーによりフィブリル化を促進させた耐熱性繊維(濾水度(CSF):90ml)とポリエステル繊維とを70:30の質量比率で分散させたスラリーを形成した。その後、順流円網、傾斜ワイヤー型短網、順流円網、及びヤンキードライヤーを備えた抄紙機に、前記スラリーを各網へ供給し、それぞれ湿潤繊維ウエブを形成し、それぞれの湿潤繊維ウエブを積層した積層湿潤繊維ウエブを形成し、続いて、この積層湿潤繊維ウエブを温度120℃に設定したヤンキードライヤーにより乾燥して、繊維配向が一方向、ランダム、一方向の三層湿式繊維ウエブを形成した。
次いで、この乾燥した三層湿式繊維ウエブを温度220℃に設定した一対の熱カレンダーにより押圧(線圧力:50N/cm)して、目付30g/m、厚さ50μm、見掛密度0.6g/cmの湿式不織布を製造した。この湿式不織布は、ポリエステル繊維の幅が広がった繊維の状態で圧着した状態にあった。
(比較例3)
温度490℃に設定した遠赤外線セラミックヒータ(Ryoka製)を、上下にそれぞれ12基づつ備えた遠赤外線照射装置の遠赤外線セラミックヒータ間を、速度8m/min.で、実施例1と同様にして形成した三層湿式繊維ウエブを通過させることにより、ポリエステル繊維を完全に溶融させるとともに凝集させて、凝集繊維ウエブを形成した。なお、いずれの遠赤外線セラミックヒーターとも50mm離間させて通過させた。また、移動する三層湿式繊維ウエブに対して、温度220℃の熱風を吹き付けた(以上、凝集工程)。
次いで、凝集繊維ウエブを無圧下、室温で空冷して、凝集したポリエステル樹脂を凝固させて、凝固不織布を製造した(以上、凝固工程)。
その後、前記凝固不織布を、無圧下、温度220℃に加熱したドライヤー内を3秒間かけて通過させ、ポリエステル樹脂を結晶化させ、結晶化不織布を製造した(以上、結晶化工程)。
次いで、この結晶化不織布を室温のカレンダーにより押圧(線圧力:170N/cm)して、目付30g/m、厚さ50μm、見掛密度0.6g/cmの湿式不織布を製造した。この湿式不織布表面の電子顕微鏡写真を図5に示す。このように、ポリエステル樹脂によって、皮膜を形成していない状態で融着固定された状態にあった。また、無作為に選んだ5点における、厚さ方向断面の電子顕微鏡写真(2000倍)をそれぞれ撮影し、観察したところ、同組成ポリエステル樹脂は湿式不織布の厚さ方向において偏在しておらず均一に分布しているものの、ポリエステル樹脂繊維は存在していなかった。代表的な厚さ方向断面の電子顕微鏡写真を図6に示す。更に、この湿式不織布の示差走査熱量測定したところ、図7に示すようなDSC曲線を描き、結晶化ピークが描かれなかった。
(内部抵抗の測定)
電極として、粒状活性炭、カーボンブラック、及びポリテトラフルオロエチレンを混ぜて練り上げたもの、集電極としてアルミ箔、セパレータとして各実施例及び各比較例の湿式不織布、及び電解液としてテトラエチルアンモニウム・テトラフルオロボーレイトをプロピレンカーボネートに溶解させたものを用意した。
次いで、集電極、電極、実施例1〜3又は比較例1〜比較例3のセパレータ、電極、集電極の順に積み重ねることを繰り返した積層体からなる電極群をそれぞれ形成した。次いで、この電極群を200℃の温度で乾燥した。次いで、この乾燥した電極群と前記電解液とをケースに挿入した後、ケースを封緘して、コインセル型のキャパシタをそれぞれ100個づつ作製した。
その後、各キャパシタの内部抵抗を、充放電試験機により測定した充放電カーブから求めた。すなわち、1Aの定電流で2分間、2.5Vまで充電した後、2分間で放電する操作により得られた充放電カーブから求めた。この結果は表1に示す通りであった。この内部抵抗は2Ω以下であれば、イオン透過性に優れるものと判断できるが、表1から明らかなように、本発明の湿式不織布からなるセパレータは1.8〜1.9Ωの優れたイオン透過性を示すものであった。これは湿式不織布に皮膜が形成されておらず、空隙の多い構造に起因すると予測された。
(短絡防止性の評価)
上記(内部抵抗の測定)で用いたコインセル型のキャパシタをそれぞれ100個づつ作製した時に、短絡してしまい、不良品となったキャパシタの百分率(不良率)を算出した。この結果は表1に示す通りであった。本発明の湿式不織布からなるセパレータを用いた場合、不良品のキャパシタを生じず、短絡防止性に優れるものであった。これは湿式不織布構成繊維が均一に分散しているとともに、引張強さ、引裂き強さ等の機械的強度に優れているためであると予測された。
(引張強さの測定)
各実施例及び各比較例の湿式不織布から長方形の試料(幅:15mm、長さ(長手方向):200mm)を採取した後に、JIS P−8113に準じ、引張り試験機((株)オリエンテック社製、UCT−500)を使用して、つかみ間隔100mm、引張り速度50mm/min.で引張り強さを測定した。この結果は表1に示す通りであった。この引張強さは7N/15mm幅以上あれば、コイン型およびラウンド型のいずれのキャパシタにおいても支障なく使用することができる。表1から明らかなように本発明の湿式不織布は8.2N/15mm以上の優れた引張強さを有する、取り扱い性の優れるものであった。
(通気度の測定)
各実施例及び各比較例の湿式不織布の通気度を、JIS P8117に規定するガーレー試験機(B型)に、直径5mmのアダプターをガスケットの先に装着した状態で測定した。この結果は表1に示す通りであった。
(平均流量孔径の測定)
各実施例及び各比較例の湿式不織布の平均流量孔径を、ポロメータ(Polometer、コールター(Coulter)社製)を用いて、バブルポイント法により測定した。この結果は表1に示す通りであった。
(単位目付あたりの引裂強さの測定)
各実施例及び各比較例の湿式不織布から長方形の試験片(幅:50mm、長さ:100mm、試験片の長手方向と不織布の長手方向とが一致)を5枚づつ採取した。次いで、JIS L−1096 8.15.4(C法)に準じ、引張速度200mm/分で引裂く時の最大荷重を測定した。その後、5枚の試験片の最大荷重を算術平均して、引裂き強さを算出した。そして、引裂き強さを不織布の目付で除して、単位目付あたりの引裂き強さを算出した。この結果は表1から明らかなように本発明の湿式不織布は0.029N/g以上で、優れた引裂強さを有するものであった。
(伸度の測定)
各実施例及び各比較例の湿式不織布から長方形の試料(幅:15mm、長さ:200mm)を採取した後に、JIS P−8113に準じ、引張り試験機((株)オリエンテック社製、UCT−500)を使用して、つかみ間隔100mm、引張り速度50mm/min.で引張り、破断時の伸びから、次の式より伸度を算出した。
L=(D/Li)×100=D
ここで、Lは伸度(%)、Dは破断時の伸び(mm)、Liはつかみ間隔(=100mm)をそれぞれ意味する。この結果は表1から明らかなように、本発明の湿式不織布は4.8%以上で、優れた伸度を有するものであった。
Figure 0004851082
*:括弧内は単位目付あたりの引張り強さ(N/g)
#:総合評価
◎:内部抵抗が低く、引張強さ、引裂強さ等の機械的強度に優れ、不良品を発生させない、特に良好な湿式不織布(セパレータ)
×1:内部抵抗が高く、また引裂き強さが弱く、不良率が比較的高いため使用できない
×2:内部抵抗が高く、しかも引張強さや引裂き強さ等の機械的強度に劣り、不良率が非常に高いため使用できない
△:内部抵抗がやや高く、引裂き強さがやや弱く、不良品を発生させるため使用しずらい
(実施例4)
実施例1と全く同様にして、目付20g/m、厚さ33μm、見掛密度0.6g/cmの湿式不織布を製造した。この湿式不織布においては、ポリエステル樹脂繊維と耐熱性繊維とが混在し、同組成ポリエステル樹脂によって、皮膜を形成していない状態で融着固定された状態にあった。また、無作為に選んだ5点における、厚さ方向断面の電子顕微鏡写真(2000倍)をそれぞれ撮影し、観察したところ、同組成ポリエステル樹脂は湿式不織布の厚さ方向において偏在しておらず均一に分布しており、また、ポリエステル樹脂繊維同士が融着した融着断面がいずれの電子顕微鏡写真でも観察された。更に、この湿式不織布の示差走査熱量測定し、DSC曲線を描いたところ、結晶化ピークが描かれなかった。
(比較例4)
市販されているポリエチレン製微孔膜(セルガード社製、目付:15g/m、厚さ:25μm、見掛密度:0.6g/cm)を用意した。
(リチウムイオン二次電池の作製)
まず、メソフェーズ小球体を黒鉛化したものと、Pvdf−NMP(ポリフッ化ビニリデン−N−メチルピロリドン:13重量%)溶液を、固形分の質量比90:10で混合したペーストを、銅箔上に塗布・乾燥し、加圧成型した後に加熱処理した負極を4枚調製した。
また、LiCoO:アセチレンブラック:Pvdf−NMP溶液(12重量%)を、固形分の質量比85:5:10で混合したペーストを、アルミニウム箔上に塗布・乾燥し、加圧成型した後に加熱処理して正極を3枚調製した。
次いで、セパレータとして、実施例4及び比較例4の湿式不織布又は微孔膜をそれぞれ用い、負極と正極との間に介在させて複数のユニットを形成した。他方、エチレンカーボネート/ジエチルカーボネートを体積比で1:1で混合した溶媒に、1mol/LのLiPFを溶解させた非水電解液を用意した。その後、前記複数のユニットと非水電解液とをアルミパック内に装填して、アルミパック型リチウムイオン二次電池(セルサイズ:40×60mm、電池容量:180mAh)を作製した。
(リチウムイオン二次電池の電池特性評価)
作製したリチウムイオン電池を、定電流−定電圧(0.5C、3時間)で4.2Vまで充電し、放電終止電圧3.0Vで定電流放電を行った。0.2C電流値での放電容量を100%とした時の、各放電レート特性を算出した。この結果は表2に示す通りであった。表2から明らかなように、本発明の湿式不織布からなるセパレータを使用した電池は放電特性の優れるものであった。これは湿式不織布に皮膜が形成されておらず、空隙の多い構造であることによって、イオン透過性に優れていることに起因すると予測された。
(安全性試験)
作製した各リチウムイオン電池を満充電まで充電した後、ラミネートパックに釘を刺し、電池表面最高温度の測定と状態を観察した。この結果は表2に示す通りであった。表2から明らかなように、本発明の湿式不織布からなるセパレータを使用した電池は、セパレータ(湿式不織布)に孔が開いて短絡しても、収縮せず、電極同士の接触による短絡を防止できる、安全性の高いものであった。








Figure 0004851082
#1:発火、発煙ともになし
#2:発煙
*:単位目付あたりの引張り強さ(N/g)
◎:安全性が高く、放電レート特性(ハイレート)に優れている
×:安全性が低く、放電レート特性(ハイレート)にも劣る
(単位目付あたりの引裂強さの測定)
実施例4及び比較例4の湿式不織布又は微孔膜から長方形の試験片(幅:50mm、長さ:100mm、試験片の長手方向と湿式不織布又は微孔膜の長手方向とが一致)を5枚づつ採取した。次いで、JIS L−1096 8.15.4(C法)に準じ、引張速度200mm/分で引裂く時の最大荷重を測定した。その後、5枚の試験片の最大荷重を算術平均して、引裂き強さを算出した。そして、引裂き強さを目付で除して、単位目付あたりの引裂き強さを算出した。この結果は表2から明らかなように本発明の湿式不織布は0.025N/gで、優れた引裂強さを有するものであった。
(各種物性の測定)
実施例4及び比較例4の湿式不織布又は微孔膜の引張り強さ、通気度、平均流量孔径及び伸度を、実施例1〜3及び比較例1〜3の湿式不織布と同様にして測定した。これらの結果は表2に示す通りであった。
実施例1の三層湿式繊維ウエブ表面の電子顕微鏡写真 実施例1の湿式不織布表面の電子顕微鏡写真 実施例1の代表的な厚さ方向断面の電子顕微鏡写真 実施例1の湿式不織布のDSC曲線 比較例3の湿式不織布表面の電子顕微鏡写真 比較例3の代表的な厚さ方向断面の電子顕微鏡写真 比較例3の湿式不織布のDSC曲線
符号の説明
1 耐熱性繊維
2 ポリエステル繊維
3 融着断面

Claims (17)

  1. 単一樹脂成分から構成される熱可塑性樹脂繊維と、前記熱可塑性樹脂繊維の融点よりも高い融点又は炭化温度を有する樹脂からなる耐熱性繊維とを含む不織布であり、前記不織布構成繊維が前記熱可塑性樹脂繊維に由来する、熱可塑性樹脂繊維構成熱可塑性樹脂と同じ組成の熱可塑性樹脂により、皮膜を形成していない状態で融着固定されており、しかも不織布の任意の場所における厚さ方向断面の電子顕微鏡写真を撮影した時に、2本以上の熱可塑性樹脂繊維同士が融着した融着断面が観察されることを特徴とする不織布。
  2. 不織布の通気度が140s/100ml以下であることを特徴とする、請求項1に記載の不織布。
  3. 熱可塑性樹脂繊維が200℃以上、かつ耐熱性繊維の融点又は炭化温度よりも低い融点をもつ熱可塑性樹脂からなることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の不織布。
  4. 耐熱性繊維を構成する樹脂が、融点又は炭化温度が300℃以上の樹脂からなることを特徴とする、請求項1〜請求項のいずれかに記載の不織布。
  5. 耐熱性繊維として、フィブリルを有する耐熱性繊維を含んでいることを特徴とする、請求項1〜請求項のいずれかに記載の不織布。
  6. 不織布を示差走査熱量測定して描いたDSC曲線に結晶化ピークが描かれないことを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載の不織布。
  7. 不織布の目付が5〜30g/m、厚さが17〜55μm、かつ見掛密度が0.32〜0.6g/cmであることを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載の不織布。
  8. 不織布の少なくとも一方向における、単位目付あたりの引裂き強さが0.02N/g以上であることを特徴とする、請求項に記載の不織布。
  9. 不織布の少なくとも一方向における伸度が3%以上であることを特徴とする、請求項又は請求項に記載の不織布。
  10. 請求項1〜のいずれかに記載の不織布からなる電気二重層キャパシタ用セパレータ。
  11. 請求項1〜のいずれかに記載の不織布からなるリチウムイオン二次電池用セパレータ。
  12. 請求項1〜のいずれかに記載の不織布をセパレータとして備えている電気二重層キャパシタ。
  13. 請求項1〜のいずれかに記載の不織布をセパレータとして備えているリチウムイオン二次電池。
  14. 単一樹脂成分から構成される熱可塑性樹脂繊維と、前記熱可塑性樹脂繊維の融点よりも高い融点又は炭化温度を有する樹脂からなる耐熱性繊維とを用いて繊維ウエブを形成する繊維ウエブ形成工程、
    この繊維ウエブに対して熱処理を実施し、前記熱可塑性樹脂繊維の一部が繊維形態を残すように、前記熱可塑性樹脂繊維の一部を溶融させ、溶融した熱可塑性樹脂を凝集させて、凝集繊維ウエブを形成する凝集工程、
    前記凝集した熱可塑性樹脂を無圧下で凝固させ、皮膜を形成していない状態で融着固定する凝固工程、
    を備えていることを特徴とする不織布の製造方法。
  15. 凝集工程の後に、熱処理をして熱可塑性樹脂を結晶化させる結晶化工程、を更に備えていることを特徴とする請求項14記載の不織布の製造方法。
  16. 凝集工程における熱処理が、熱風吹き付け、赤外線照射、レーザー照射の中から選ばれる熱処理であることを特徴とする、請求項14又は請求項15記載の不織布の製造方法。
  17. 熱可塑性樹脂繊維の繊度が0.45dtex以下であることを特徴とする、請求項14〜請求項16のいずれかに記載の不織布の製造方法。
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