JP4846202B2 - 艶消しフィルム - Google Patents
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Description
艶消し性フィルム又はシートに関しては、例えば、特許文献1(特許第3172559号公報)には無機フィラーを1重量%以上含有するエチレン−ビニルアルコール系共重合体からなる光沢度60%以下の壁紙用艶消しフィルム、特許文献2(特開2002−200724号公報)には特定粒径の無機又は有機粒子などの不活性粒子を1重量%以上含有する光沢度35%以下で曇り度80%以下の包装用艶消し二軸延伸ポリエステルフィルム、特許文献3(特許第3175306号公報)にはアニ−リングされた光沢度30%以下で曇り度18%以下の艶消しポリプロピレンフィルムが開示されている。
OP=|[L]−[D]| ,但し、[L]+[D]=100
(ここで、[L]はポリ乳酸系樹脂を構成するL−乳酸の重量%、[D]はポリ乳酸系樹脂を構成するD−乳酸の重量%、||は計算値の絶対値を表す。)
光学純度が80%以上と高いものは結晶性、光学純度が80%未満と低いものは非晶性となる性質を持ち、他の生分解性樹脂に比べて、曇り度(ASTM−D1003−95に準拠)が低く透明性の良好で、光沢度(ASTM−D2457−70に準拠:45度)が130%以上、引張弾性率(ASTM−D882−95aに準拠)が約2〜5GPaと透明性と光沢性と剛性に優れている一方で、ガラス転位温度Tgは約60℃で、他の生分解性樹脂に比べて特別に高いことから、室温(23℃)では脆性であり、艶消し性に劣る性質を持つ。
ポリ乳酸系樹脂と不活性粒子の混合物を主体としてなるポリ乳酸系樹脂からなるポリ乳酸系延伸フィルム及びシートに関しては、例えば、特許文献5(特開2001−49003号公報)には平均粒径0.6μmの炭酸カルシウム20重量%又はポリスチレン樹脂15重量%と酸化チタン5重量%(いずれも不活性粒子として20重量%)含有するポリ乳酸延伸フィルムが開示されているが、艶消し性の向上に関する開示が無い上に、更には不活性粒子が1重量%以上含有されていることから、生分解時や廃棄燃焼時に不活性粒子による残渣となる量が多くなる為、廃棄に関わる問題が未だある。
本発明者は、前記課題を解決するため、鋭意研究を重ねた結果、ポリ乳酸系樹脂(A)と澱粉(B)と可塑剤(C)との特定の比率の混合物とする事で良好な製膜安定性と艶消し性を有するフィルム又はシートが得られることを見出し本発明を完成した。
1)ポリ乳酸系樹脂(A)65〜86重量%、澱粉(B)9〜25重量%および可塑剤(C)4〜10重量%の混合物からなり、
前記可塑剤(C)が、脂肪族多価アルコールを含むことを特徴とする、単層の艶消しフィルムまたはシート。
2)ASTM−D2457−70に準拠して測定した、少なくとも片面の表面光沢度(Gloss:45度)が10%以下であることを特徴とする1)に記載の艶消しフィルムまたはシート。
4)2)または3)に記載の艶消しフィルムまたはシートを、表面光沢度10%以下の面が少なくとも1外表面になるように積層されたことを特徴とする多層の艶消しフィルムまたはシート。
6)1)〜4)のいずれかに記載の艶消しフィルムまたはシートからなる農業用資材。
7)1)〜4)のいずれかに記載の艶消しフィルムまたはシートを表面に積層してなる壁紙。
8)1)〜4)のいずれかに記載の艶消しフィルムまたはシートを表面に積層してなるスクリーン。
9)1)〜4)のいずれかに記載の艶消しフィルムまたはシートを表面に積層してなる室内装飾品。
10)1)〜4)のいずれかに記載の艶消しフィルムまたはシートを表面に積層してなる日用品、学用品、文具、または手帳。
11)1)〜4)のいずれかに記載の艶消しフィルムまたはシートを表面に積層してなる紙製品または紙容器。
本発明の艶消しフィルム又はシートは、最終的に微生物によって分解されるポリ乳酸系樹脂(A)と澱粉(B)と可塑剤(C)との混合物を主体とする。本発明の艶消しフィルム又はシートを得るためには、ポリ乳酸系樹脂(A)と澱粉(B)と可塑剤(C)の混合物の重量割合(合計100%)は、ポリ乳酸系樹脂(A)が45〜97.5重量%、澱粉(B)が2〜40重量%、可塑剤(C)が0.5〜15重量%の範囲内である事が必要である。好ましくは、ポリ乳酸系樹脂(A)が53〜95重量%、澱粉(B)が4〜35重量%、可塑剤(C)が1〜12重量%の範囲内であり、更に好ましくは、ポリ乳酸系樹脂(A)が59〜90重量%、澱粉(B)が8〜30重量%、可塑剤(C)が2〜11量%の範囲内であり、特に好ましくは、ポリ乳酸系樹脂(A)が65〜86重量%、澱粉(B)が9〜25重量%、可塑剤(C)が4〜10重量%の範囲内である。ポリ乳酸系樹脂(A)の割合が45重量%未満では得られるフィルム又はシートの機械物性が劣り、フィルム又はシートが脆くなり製膜安定性が低下する傾向にあり、97.5重量%を超えると澱粉(B)が2〜40重量%、可塑剤(C)が0.5〜15重量%の範囲内の組成は得られなくなる。
ポリ乳酸系樹脂(A)の重量平均分子量は10000〜1000000の範囲が好ましい。分子量が10000未満ではフィルムの機械的物性が不十分となる傾向があり、1000000を超えると溶融粘度が高くなり、通常の加工機械では物性の安定したフィルムが得られにくい。
脂肪族二塩基酸の例としてはコハク酸ジイソデシル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソデシル、アゼライン酸ジオクチル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジオクチル等がある。
ヒドロキシ多価カルボン酸エステルの例としては、アセチルクエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリ−2−エチルヘキシル、クエン酸トリブチル等がある。
多価アルコールエステルの例としては、グリセリントリアセテート、グリセリントリブチレート、アセチル化モノグリセライド系可塑剤、ジエチレングリコールジベンゾエート、ジペンタエリスリトールヘキサエステル、ペンタエリスリトールエステル等がある。
リン酸エステルの例としては、リン酸トリオクチル、リン酸トリクロロエチル等がある。エポキシ可塑剤の例としては、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシステアリン酸オクチル等がある。
脂肪族多価アルコールの例としては、分子内に水酸基を2個もつ多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール等があり、分子内に水酸基を3個以上もつ多価アルコールとしては、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、トリメチロールプロパンなどがあるが、特に好ましくはグリセリンである。
次に、本発明の艶消しフィルム又はシートの製造方法について述べる。
ポリ乳酸系樹脂(A)、澱粉(B)、可塑剤(C)等の混合方法や混合装置は、特に限定されないが、例えば、同一の単軸又は二軸押出混練機にそれぞれの原料を供給して溶融混合して行われ、そのまま口金(ダイリップ)より押出して直接にフィルム又はシートに加工する方法、或いはストランド形状に押出してペレットを作製した後に再度押出してフィルム又はシートに加工する方法が挙げられる。紛体である澱粉(B)の取り扱い性を良くするために第一に澱粉(B)を可塑剤と混錬して、加工性、取り扱い性を向上させた上でポリ乳酸系樹脂と混錬する方法が好ましい。
本発明の艶消しフィルム又はシートの製膜方法としては、Tダイより冷却ロールにキャストされる方法、インフレーション法やテンター法などの従来公知の製膜方法にて、無延伸、一軸延伸、或いは、同時又は逐次二軸延伸する方法がある。詳しくは、(1)押出されたチューブ状またはシート状の樹脂を溶融状態からインフレーション法又はキャスト法により溶融延伸して製膜する方法、(2)押出されたチューブ状又はシート状の樹脂を溶融状態から急冷して非晶状態に近い状態で固化させた後、続いてそのチューブ状又はシート状の樹脂をガラス転移温度以上融点以下に再加熱してインフレーション法又はロール・テンター法で延伸する冷間延伸法で製膜する方法、或いは、溶融延伸又は冷間延伸の後にフィルム又はシートの熱収縮性の抑制の為にフィルム又はシートを把持した状態等で熱処理を行ってフィルム又はシートを得る様な方法によって得られる。
殊に、冷間延伸法において、溶融状態から急冷し非晶状態に近い状態で固化させたもの(本発明ではパリソンと呼ぶ)を再加熱後に冷間延伸する場合は、ポリ乳酸系樹脂を溶融状態にて押出し、口金(ダイリップ)間隔に対してパリソンの厚みが1/2倍〜1/20倍の範囲になる様に、面積倍率で2倍〜20倍になる様に少なくとも1軸方向に溶融延伸後に、パリソンに対してMD方向(フィルムの長手方向)及びTD方向(フィルムの幅方向)それぞれに1.5〜6倍冷間延伸して、最終的に、ダイリップ間隔に対して延伸フィルム又はシートの厚みが1/200倍〜1/40倍の範囲になる様に、ダイ出口からの面積倍率で40倍〜200倍の範囲になる様に少なくとも1軸方向に延伸することが好ましい。
本発明の艶消しフィルム又はシートの厚みは、好ましくは5〜500μm、より好ましくは7〜250μm、更に好ましくは7〜100μmである。
本発明の艶消しフィルムまたはシートの製造において、目的とするフィルムまたはシートを得るために、そのフィルムまたはシートと非接着性の樹脂を用いて多層ダイで共押出し、その後に非接着性の樹脂層を取り除くことによって目的とするフィルムを得る方法は、非接着性の樹脂で製膜安定性を向上できるので薄いフィルムを得る場合には好ましい。
充填剤としては、一般に合成樹脂分野において強度や耐久性などの諸性質を改善する目的で添加される物質であり、生分解時や廃棄燃焼時に残渣として廃棄時の問題にならない少量の範囲(例えば1重量%未満)で使用でき、マグネシウム、カルシウム、バリウム、亜鉛、ジルコニウム、モリブデン、珪素、アンチモン、チタン等の金属の酸化物、その水和物(水酸化物)、硫酸塩、炭酸塩、珪酸塩のごとき化合物、これらの複塩、これらの混合物を挙げることができる。
単体で用いる用途としては、被包装物に高級感を出すために本発明のフィルム又はシートを直接包装に用いた包装資材、および育成ハウスやマルチフィルムなどの農業用資材としての用途がある。また、他素材と積層された複合材料としての用途としては、壁紙の汚れ防止用のフィルムとして壁紙表面に積層され、且つ壁紙の持つ艶消し性を損なわない壁紙防汚用フィルムとしての用途、迷光を嫌うスクリーンの表面に積層する用途、家具、調度品、カーテンなどの室内装飾品の表面に積層して、汚れ防止と同時に艶消し性で高級感を出す用途、また、日用品、学用品、文具、手帳の表面に積層して艶消し性で革製品に似た高級感を出すために用いられる用途、紙製品、紙製容器の表面に積層されて、艶消し性による高級感を出すと同時に紙に防水効果を付与するフィルムとしての用途などがある。
実施例および比較例で用いた評価方法について以下に説明する。
(1)ポリ乳酸系樹脂(A)の光学純度OP
ポリ乳酸系樹脂(A)の光学純度(OP:単位%)は、前述の通り、構成するL−乳酸
及び/又はD−乳酸単量体単位の構成比率から下記式により計算される。
OP=|[L]−[D]| ,但し、[L]+[D]=100
ポリ乳酸系樹脂(A)を構成するL−乳酸及び/又はD−乳酸単量体単位の構成比率は、以下の測定条件で、試料を1N−NaOHでアルカリ分解後に1N−HClで中和して蒸留水で濃度調整した加水分解試料(液)について、光学異性体分離カラムを装着した島津製作所製の高速液体クロマトグラフィー(HPLC:LC−10A−VP)にて、紫外線UV254nmでのL−乳酸とD−乳酸の検出ピーク面積比(垂線法による面積測定)から、ポリ乳酸重合体(A)を構成するL−乳酸の重量比率[L](単位%)、ポリ乳酸重合体(A)を構成するD−乳酸の重量比率[D](単位%)を求め、1重合体当り3点の算術平均(四捨五入)をもって測定値とした。
径×25cm長]
移動相:1mM−CuSO4 水溶液
試料溶液濃度:25pg/μL [ポリ乳酸重合体としての濃度]
試料溶液注入量:10μL
溶媒流速:0.5〜0.8ml/分
カラム温度:40℃
東ソー製のゲルパーミエイションクロマトグラフィー装置(GPC:データ処理部GPC−8020、検出器RI−8020)を用いて、以下の測定条件で、標準ポリスチレンを用いてポリスチレン換算で分子量500以下のものを除く高分子物の分散の重量平均値として重量平均分子量Mwを求め、1試料当り3点の算術平均(有効数字2桁)をもって測定値とした。
溶離液:クロロホルム
試料溶液濃度:0.2wt/vol%
試料溶液注入量:200μL
溶媒流速:1ml/分
カラム・検出器温度:40℃
JIS−K7121に準拠して、樹脂の融点Tm、ガラス転移温度Tgを測定した。すなわち、標準状態(23℃65%RH)で状態調節(23℃1週間放置)した試料から試験片として長手方向(MD)及び幅方向(TD)に各々2点(2箇所)ずつ約10mgを切り出した後、パーキンエルマー(Perkin−Elmer)社製の示差走査熱量計(熱流速型DSC)、DSC−7型を用いて、窒素ガス流量25ml/分、10℃/分で室温(23℃)から200℃まで昇温し(1次昇温)、200℃で10分間保持して完全に融解させた後、30℃/分で−100℃まで降温させて−100℃で2分間保持し、更に上記昇温条件で2回目の昇温(2次昇温)する間に描かれるDSC曲線のうち、1次昇温時の融解(吸熱)ピーク頂点から融点Tm(℃)、2次昇温時の階段状変化部分曲線と各ベースライン延長線から縦軸方向に等距離にある直線との交点(中間点ガラス転移温度)をTg(単位℃)として測定し、1試料当り4点の算術平均(小数点以下四捨五入)をもって測定値とした。
フィルムの全層厚みは、JIS−K−7130に従い、マイクロメータを用いて測定、各層厚みは顕微鏡で多層フィルムの断面を観察して測定した。
(5)表面光沢度(Gloss:45度)(%)
標準状態(23℃65%RH)で状態調節(23℃1週間放置)したサンプルフィルム又はシートから試験片として50mm角の正方形状のサンプルに切り出した後、表面光沢度(Gloss:単位%)は、ASTM−D2457−70に準拠して、日本電色工業製の光沢計VGS−300A(商品名)を用い、標準状態下で測定し、1種フィルム又はシート当り6点の算術平均値(有効数字2桁)をもって測定値とした。
艶消し性は、フィルム又はシートを用いて包装体とした時における被包装物の照かり性の観点から以下のように評価した。
aa:最良の艶消し度で照かりが殆ど無い。
a :照かりがかなり抑えられ良好な艶消し性のレベル。
b :照かりが中程度抑えられ中程度の艶消し性のレベル。
c :照かりがある程度抑えられ実用できる最低限の艶消し性のレベル。
× :艶消し性に劣り、反射光が照かって見える。
フィルム製膜時の安定性で以下の基準で評価した。
aa:全く問題なく安定して製膜できる。
a :殆ど問題ないが、まれに不安定になることがある。
b :まれにフィルムの脆い部分が発生して、チューブ状フィルムの製膜時に中の空気が 抜けることがある。
c :時々フィルムの脆い部分が発生して、チューブ状フィルムの製膜時に中の空気が抜 けることがある。
× :フィルムが脆くて、チューブ状フィルムの製膜時に中の空気が抜けることが多く、
欠陥のないフィルムを連続して得る事が難しい。
170℃に予熱したポリ塩化ビニル樹脂壁紙とサンプルフィルムを160℃の熱ロール(ポリ塩化ビニル樹脂面と接触するロール)と30℃のエンボスロール(サンプルフィルムと接触するロール)で圧着し、エンボスロールの凹凸転写性および下地(ポリ塩化ビニル樹脂)とサンプルフィルムとの密着性を以下の基準で評価した。
aa:最高の凹凸転写性で最も美しいエンボス加工ができ、且つ下地との密着性も良好である。
a :凹凸転写性も下地との密着性も良好で美しい状態である。
b :凹凸転写性か下地との密着性のどちらかは良好であるが、どちらかは実用として許
容できる最低レベルである。
c :凹凸転写性も下地との密着性も両方とも実用として許容できる最低レベルである。
× :凹凸転写性か下地との密着性のどちらか少なくとも一方が実用として許容できるレ
ベルに達しない状態である。
以下の基準でブロッキング性を評価した。
aa:ブロッキングは全く問題ない。
a :殆ど問題ないが、まれにフィルムを巻き解く際に少し抵抗が生じる。
b :フィルムを巻き解く際に、時々、少し抵抗が生じる。
c :フィルムを巻き解く際に、時々、ブロッキングを生じるが、実用できる最低レベル である。
× :フィルムを巻き解く際に頻繁にブロッキングを生じ、フィルムが変形する(伸び る)まで力を加えないと巻き解けない状態である。
壁紙にラミした場合の汚れ防止機能(耐汚染性)を調べるために、日本壁紙協会のホームページに記載された方法に従い、フィルムに汚染物(コーヒー、醤油、クレヨン、水性サインペン)をそれぞれ付着させ、24時間後にコーヒーと醤油は水で、クレヨンと水性ペンは中性洗剤で汚れを拭き取ったものを目視で判定した。判定は汚れを拭き取った部分を元のフィルムと比較判定し、以下の5段階評価のどれに相当するかを目視で判定し、4
級以上を合格とした。
5級:汚れが残らない。
4級:ほとんど汚れが残らない。
3級:やや汚れが残る。
2級:かなり汚れが残る。
1級:汚れが濃く残る。
艶消し性、製膜安定性、凹凸追随性及び密着性、ブロッキング性の4項目の評価結果か
ら以下の様な基準で総合判定した。
AA:4項目の評価の全てがaaで、最良の艶消し性フィルム又はシートである。
A :4項目の評価の内、1項目以上がaで、残りは全てaaで、優れた艶消し性フィル ム又はシートである。
B :4項目の評価の内、1項目以上がbで、残りは全てaaかaで、良い艶消し性フィ ルム又はシートである。
C :4項目の評価の内、1項目以上がcで、残りは全てaaかaかbで、実用に耐える
最低限の艶消し性フィルム又はシートである。
× :4項目の評価の内、1項目以上が×で、艶消し性フィルム又はシートとして実用に
耐えないフィルム又はシートである。
の実施例に記載された方法に従って触媒量、重合条件、モノマー組成などをコントロールして重合し得られた、表1に示した重量平均分子量、光学純度、Tg、Tmを持つ結晶性ポリ乳酸(a1)、(a2)及び非晶性ポリ乳酸(a3)である。また、澱粉(B)としては、日本コーンスターチ社製のコーンスターチ、および株式会社 新進の小麦澱粉「浜の雪」(商品名)を用いた。また可塑剤(C)としては、脂肪族多価アルコールとして阪本薬品工業株式会社製のグリセリンを、ヒドロキシ多価カルボン酸エステルとして日精化学工業社のATBC(アセチルクエン酸トリブチル)、およびグリセリン酢酸脂肪酸エステルとして理研ビタミン社製のリケマールPL−019(いずれも商品名)、微粒子ポリマー(D)としては信越化学工業(株)製シリコーン樹脂粒子、KMP−590(商品名、平均粒径1.5μm)を用いた。また、非接着性の樹脂として旭化成ケミカルズ(株)製のサンテックLDF−1920(商品名)を用いた。ただし、本発明における樹脂の組成がこれに限定されるものではない。
実施例1〜3、参考例1〜5及び比較例1〜4においては、表1の結晶性ポリ乳酸(a1)、(a2)、非晶性ポリ乳酸(a3)、及び澱粉(B)としてコーンスターチ、および小麦澱粉、可塑剤(C)としてグリセリン、ATBC、リケマールPL−019および微粒子ポリマー(D)を用いて、以下の様にしてコンパウンドされた原料ペレットを得た。即ち、表2に示した組成になる様にポリ乳酸(A)、澱粉(B)、可塑剤(C)、および微粒子ポリマー(D)を同方向二軸押出機を用いて溶融ブレンドし、ポリ乳酸コンパウンドペレットを得た。
押出時には、外側ダイリップ直径110ミリ、内側ダイリップ直径108ミリ、リップクリアランス1.0ミリの円筒ダイを用い、ダイ温度を160℃に設定してチューブ状に押出された溶融樹脂に冷却リングより約25℃のエアーを吹き付けながらチューブ内へエアーを注入してバブルを形成し、得られたフィルムをピンチロールへ導きチューブ状のフィルムをフラット状2枚のフィルムとして巻き取った。次に、バブルが安定してから、樹脂押出速度、バブル中へのエアー注入量、ピンチロールにおけるフィルム巻き取り速度を微調整し、最終厚みが15μmのフィルムを得た。
実施例1〜3、参考例1〜5及び比較例1〜4で得られたフィルムの物性評価結果を表2に示した。
実施例4〜7及び参考例6においては、第一層(チューブ状フィルムの最外層)には、表3に示した組成になる様に実施例1〜3と同様にして同方向二軸押出機を用いて溶融ブレンドして得られたポリ乳酸コンパウンドペレットを用いて、第二層(中間層)には表3に示した組成になる様にポリ乳酸とビオノーレ#3001又はエコフレックスをドライブレンドするか単独で用いて、第三層(チューブ状フィルムの最内層)には、実施例4では第一層と同じポリ乳酸樹脂コンパウンドを用い、実施例5ではエコフレックスを、実施例6および7では第二層樹脂に非接着性樹脂である低密度ポリエチレンサンテックLDF−1920を用い、参考例6ではビオノーレ#3001を用いて、外側ダイリップ直径110ミリ、内側ダイリップ直径108ミリ、リップクリアランス1.0ミリの3層の円筒ダイよりダイ温度を160℃に設定して押出し、所定の厚みの多層フィルムを製膜した。
表4には実施例1〜7、参考例1〜6で得られたフィルムの防汚性テストの結果を示した。ただし、実施例4〜7および参考例6においては第一層側の表面を用いて防汚性テストを実施した。本発明のフィルムは防汚性にも優れたフィルムであることが分かる。また、シリコン樹脂の微粒子ポリマーを含む実施例1、実施例2、参考例3、参考例5、実施例6、実施例7のフィルムは更に防汚性に優れることが分かる。
Claims (11)
- ポリ乳酸系樹脂(A)65〜86重量%、澱粉(B)9〜25重量%および可塑剤(C)4〜10重量%の混合物からなり、
前記可塑剤(C)が、脂肪族多価アルコールを含むことを特徴とする、単層の艶消しフィルムまたはシート。 - ASTM−D2457−70に準拠して測定した、少なくとも片面の表面光沢度(Gloss:45度)が10%以下であることを特徴とする請求項1に記載の艶消しフィルムまたはシート。
- さらに、平均粒径10μm以下の微粒子ポリマー(D)を、ポリ乳酸系樹脂(A)、澱粉(B)および可塑剤(C)の合計100重量%に対して0.05重量%以上5重量%以下含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の艶消しフィルムまたはシート。
- 請求項2又は3に記載の艶消しフィルムまたはシートを、表面光沢度10%以下の面が少なくとも1外表面になるように積層されたことを特徴とする多層の艶消しフィルムまたはシート。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の艶消しフィルムまたはシートからなる包装用資材。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の艶消しフィルムまたはシートからなる農業用資材。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の艶消しフィルムまたはシートを表面に積層してなる壁紙。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の艶消しフィルムまたはシートを表面に積層してなるスクリーン。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の艶消しフィルムまたはシートを表面に積層してなる室内装飾品。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の艶消しフィルムまたはシートを表面に積層してなる日用品、学用品、文具、または手帳。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の艶消しフィルムまたはシートを表面に積層してなる紙製品または紙容器。
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