JP4844847B2 - 中空バルブ - Google Patents

中空バルブ Download PDF

Info

Publication number
JP4844847B2
JP4844847B2 JP2008067823A JP2008067823A JP4844847B2 JP 4844847 B2 JP4844847 B2 JP 4844847B2 JP 2008067823 A JP2008067823 A JP 2008067823A JP 2008067823 A JP2008067823 A JP 2008067823A JP 4844847 B2 JP4844847 B2 JP 4844847B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
temperature
valve
hollow
hollow hole
melting point
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2008067823A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009221974A (ja
Inventor
与志彦 伊藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP2008067823A priority Critical patent/JP4844847B2/ja
Publication of JP2009221974A publication Critical patent/JP2009221974A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4844847B2 publication Critical patent/JP4844847B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Temperature-Responsive Valves (AREA)

Description

本発明は中空バルブに関し、詳しくは内燃機関の排気バルブに適用して好適な中空バルブに関する。
近年、ガソリンエンジン等の内燃機関においては、高出力化や低燃費化が強く要求されてきている。しかし、高出力化や低燃費化の要求に応えるべくエンジン性能の改善を行うと、燃焼室の温度が高くなる。このため、特に排気バルブへの熱負荷が増大する。
従来、傘部から軸部(ステム部)にかけて中空孔を形成し、この中空孔内にNa、Sn−Bi合金やSn−Bi−Zn合金等の低融点金属よりなる冷媒を封入した中空バルブが知られている(例えば、特許文献1参照)。
この中空バルブでは、Na等の低融点金属が融点以上の高温時に融解する。このため、中空孔内の温度が低融点金属の融点以上となるバルブの高温作動時に、液状金属が中空孔内で撹拌されるので、大きな熱交換作用によりバブルを冷却することができる。
特開平9−184404号公報
ところで、エンジン始動時や低負荷運転時においては、特に直噴式エンジンの場合、燃料の気化促進のために燃焼室を速やかに昇温させたい。燃焼室の温度が低すぎると、燃料が燃焼せずに未燃焼ガスになる場合があり、HCエミッションや燃費の悪化を招くことがある。
ところが、上記した従来の中空バルブでは、以下に説明するように、エンジン始動時などに、燃焼室を速やかに昇温させることが困難である。
一般に、金属は液相のときの熱伝導率よりも固相のときの熱伝導率の方が高くなる。そして、冷媒として主に用いられるNaの融点は純粋なNaで約98℃である。このため、エンジン始動時には、冷媒としてのNaは固相として傘部から軸部にかけての中空孔内に存在している。固相のNaの熱伝導率は132〜137W/m・K程度であり、バルブに用いられる耐熱鋼の熱伝導率よりも高い。そうすると、エンジン始動後から数十秒間は燃焼室内の温度がNaの融点よりも低いため、熱伝導率の高い固相Naを介する高熱伝導作用によりバルブからの放熱が大きくなる。したがって、燃焼室を速やかに昇温させることが困難である。
仮に、もっと融点が低く、かつ固相で熱伝導率の低い低融点合金を冷媒として用いた場合、エンジン始動直後において固相冷媒を介する高熱伝導作用を小さくすることができる。しかし、固相で熱伝導率の低い低融点合金を冷媒として用いると、一般に液相でさらに熱伝導率が低くなるため、燃焼室の温度が高温になる高負荷時にバルブを冷却するという冷媒本来の機能を損なうおそれがある。また、この場合であっても、融点以上に加熱されて液化した冷媒が中空孔内で撹拌されることにより、燃焼室、バブルの傘部、液相冷媒、バルブの軸部、軸部の上端側が接触するバルブガイド及びヘッド冷却水へと順に続く大きな熱流が発生する。このため、やはりエンジン始動後に燃焼室内を速やかに昇温させることが困難である。
したがって、上記従来の中空バルブでは、エンジン始動時などで未燃焼ガスが増大してHCエミッションや燃費の悪化を招くおそれがある。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、内燃機関の始動時や低負荷運転時には燃焼室を速やかに昇温させることができ、かつ内燃機関の高負荷運転時にはバルブが過度に高温になることを防ぐことのできる中空バルブを提供することを目的とする。
(1)上記課題を解決する本発明の中空バルブは、軸部と軸部の下端に設けられた傘部とからなり、該傘部から該軸部にかけて中空孔を有する中空バルブであって、前記中空孔内に封入され、低融点物質よりなる冷媒と、前記中空孔内に配設され、該中空孔内を上室と下室とに区画するとともに、該中空孔内の温度に応じて開動作及び閉動作することにより該上室と該下室との連通口を開放及び閉鎖する温度感応開閉弁装置と、を備え、前記温度感応開閉弁装置は、前記中空孔内が昇温する過程で開動作を行い、かつ該中空孔内が降温する過程で閉動作を行い、前記温度感応開閉弁装置が開動作を行う開動作設定温度及び該温度感応開閉弁装置が閉動作を行う閉動作設定温度が、前記中空孔内の温度変化範囲内の温度で、かつ前記低融点物質の融点よりも高い温度に設定されていることを特徴とする。
ここに、中空孔内の温度変化範囲とは、中空バルブの作動中における中空孔内の温度変化範囲のことである。
この中空バルブでは、中空孔内の温度が温度感応開閉弁装置の開動作設定温度よりも低く、かつ冷媒を構成する低融点物質の融点よりも低いときは、温度感応開閉弁装置が中空孔内の上室と下室との連通口を閉鎖しており、また、中空孔内に封入された冷媒は固相として中空孔内の下室に存在する。そして、中空孔内の温度が冷媒を構成する低融点物質の融点よりも高くなると、冷媒が液化する。このとき、中空孔内の温度が開動作設定温度に達していなければ、温度感応開閉弁装置は中空孔内の上室と下室との連通口を未だ閉鎖している。このため、中空孔内の下室に存在する液相の冷媒が連通口を介して中空孔内の上室に移動することはなく、液相の冷媒が中空孔内全体で撹拌されることはない。したがって、液相冷媒の撹拌を介する熱流はバルブの軸部の上端側へ続くことがなく途中で遮断される。その結果、液相冷媒を介して、バルブの軸部の上端側が接触するバルブガイドからヘッド冷却水へ放熱されることを防ぐことができる。
よって、内燃機関の始動時などで燃焼室の温度が低く、そのため中空孔内の温度が温度感応開閉弁装置の開動作設定温度よりも低いときは、液相冷媒を介してバルブの軸部の上端側からバルブガイド及びヘッド冷却水へ放熱されることがない。その結果、内燃機関の始動時や低負荷運転時には燃焼室を速やかに昇温させることができる。
一方、中空孔内の温度が上昇して温度感応開閉弁装置の開動作設定温度に到達すると、温度感応開閉弁装置は中空孔内の上室と下室との連通口を開放する。そうすると、既に液化しており中空孔内の下室に在った液相冷媒が連通口の開放と同時に連通口を介して中空孔内の上室に移動し、液相の冷媒が中空孔内全体で撹拌される。したがって、燃焼室、バブルの傘部、液相冷媒、バルブの軸部、軸部の上端側が接触するバルブガイド及びヘッド冷却水へと順に続く大きな熱流が速やかに発生する。
よって、内燃機関の高負荷運転時などで燃焼室の温度が高く、そのため中空孔内の温度が温度感応開閉弁装置の開動作設定温度よりも高いときは、中空孔の全体で撹拌される液相冷媒を介してバルブの軸部の上端側からバルブガイド及びヘッド冷却水へ放熱される。また、中空孔内の温度が温度感応開閉弁装置の開動作設定温度よりも高くなれば、速やかに上記放熱が起こる。その結果、内燃機関の高負荷運転時にはバルブが過度に高温になることを確実に防ぐことができる。
(2)本発明の中空バルブは、上記(1)項に記載の中空バルブにおいて、前記温度感応開閉弁装置が、少なくとも一部が形状記憶合金よりなり前記連通口を開閉する弁体と、該弁体を閉方向に付勢するバイアスばねと、を備え、前記弁体が、前記バイアスばねの付勢力に抗する前記形状記憶合金の形状回復により開動作を行い、かつ、少なくとも一部の結晶構造がマルテンサイト相に相変態している該形状記憶合金が該バイアスばねの付勢力によって変形することにより閉動作を行うことに特徴がある。
この構成によると、弁体の少なくとも一部を構成する形状記憶合金が、マルテンサイト変態開始温度(Ms点:オーステナイト相からマルテンサイト相への変態が開始する温度)よりも低くなるまで冷却されると、オーステナイト相からマルテンサイト相への相変態によって、柔らかくなって変形し易くなる。このため、中空孔内の温度がマルテンサイト変態開始温度よりも低くなる降温過程で、少なくとも一部の結晶構造がマルテンサイト相に相変態した形状記憶合金がバイアスばねの付勢力によって変形することにより、弁体が閉動作を行う。
一方、形状記憶合金は、マルテンサイト相からオーステナイト相への逆変態によって、変形前の形状に戻り硬くなる。このため、中空孔内の温度が逆変態開始温度(As点:マルテンサイト相からオーステナイト相への逆変態が開始する温度)よりも高くなる昇温過程で、バイアスばねの付勢力に抗して、弁体の少なくとも一部を構成する形状記憶合金が形状回復することにより、弁体が開動作を行う。
(3)本発明の中空バルブは、上記(1)〜(2)項のいずれか一つに記載の中空バルブにおいて、前記低融点物質の融点が65℃未満であることに特徴がある。
この構成によると、中空孔内の温度が65℃以上になれば、冷媒が液体状態となる。このため、中空孔内の温度が65℃以上になっても尚、熱伝導率の高い固相冷媒を介する高熱伝導作用によりバルブからの放熱が大きくなるようなことはない。
(4)本発明の中空バルブは、上記(1)〜(3)項のいずれか一つに記載の中空バルブにおいて、前記低融点物質がNa−K合金よりなることに特徴がある。
この構成によると、Na−K合金中のK含有量を多くすれば、低融点物質の融点を下げることができる。したがって、Na−K合金中のK含有量の変更により、低融点物質の融点を容易に調整することができる。
(5)本発明の中空バルブは、上記(4)項に記載の中空バルブにおいて、前記低融点物質の融点が40℃以上であることに特徴がある。
上述のとおり、Na−K合金中のK含有量が多くなれば、低融点物質の融点が下がる。一方、Na−K合金中のK含有量が多くなれば、Na−K合金が液体状態となったときの熱伝導率が下がる。そうすると、Na−K合金よりなる低融点物質を冷媒として採用した場合、低融点物質の融点を下げるべく、Na−K合金中のK含有量を多くすれば、液相冷媒の撹拌による熱交換作用が小さくなる。その点、Na−K合金よりなる低融点物質の融点が40℃以上であれば、液相冷媒の撹拌による十分な熱交換作用が発揮される。
(6)本発明の中空バルブは、上記(1)〜(5)項のいずれか一つに記載の中空バルブにおいて、前記開動作設定温度及び前記閉動作設定温度が70℃±5℃であることに特徴がある。
この構成によると、中空孔内の温度が70℃±5℃の範囲にあるときに、温度感応開閉弁装置が開動作及び閉動作を行う。このため、中空孔内の温度が少なくとも65℃以上になれば、温度感応開閉弁装置が開動作を行い、液相冷媒の撹拌による熱交換作用が発揮される。
したがって、本発明の中空バルブによると、内燃機関の始動時や低負荷運転時には燃焼室を速やかに昇温させることができ、かつ内燃機関の高負荷運転時にはバルブが過度に高温になることを防ぐことができる。
よって、エンジン始動時などで未燃焼ガスが増大することによるHCエミッションや燃費の悪化を抑えることが可能になる。また、バルブの熱損傷を抑えることが可能になる。
以下、本発明の中空バルブの実施形態について詳しく説明する。なお、説明する実施形態は一実施形態にすぎず、本発明の中空バルブは、下記実施形態に限定されるものではない。本発明の中空バルブは、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態にて実施することができる。
(実施形態1)
図1〜図3に示される本実施形態の中空バルブは、軸部1と軸部1の下端に連設された傘部2とからなり、傘部2から軸部1にかけて形成された中空孔3を有している。
この中空バルブは、軸部1の上端部及び中間部を構成するステム体10と、軸部1の下端部及び傘部2を構成する傘体20と、傘体20の下端面を構成する蓋体30と、中空孔3内に収容された温度感応開閉弁装置40と、中空孔3内に封入された冷媒50とを構成要素とする。
ステム体10、傘体20及び蓋体30は、いずれも耐熱鋼よりなる。ステム体10は、ステム体10の下端面からステム体10の上端部付近まで延びる孔10aが形成されている。また、ステム体の下端部の内周面には孔10aの内径よりも大きな内径を有する凹段部10bが形成されている。傘体20には、下端面から上端面まで貫通する貫通孔20aが形成されている。
ステム体10と傘体20とは、ステム体10の凹段部10bに温度感応開閉弁装置40を保持させてから、溶接により接合される。傘体20と蓋体30とは、ステム体10と傘体20とを接合し、かつ中空孔3内に冷媒50を投入してから、溶接により接合される。
冷媒50は、低融点物質よりなる。低融点物質としては、低融点合金又は低融点化合物を用いることができる。
冷媒50に用いる低融点物質としては、融点が65℃未満のものを用いることが好ましい。融点が65℃以上の低融点物質を冷媒50に用いると、中空孔3内の温度が65℃以上になっても尚、冷媒50が液相よりも高熱伝導となる固相であるため、熱伝導率の高い固相の冷媒50を介する高熱伝導作用によりバルブからの放熱が大きくなる。
融点が65℃未満の低融点合金として、例えば、Na−K合金、Bi−Pb系合金やBi−Sn系合金を挙げることができる。Bi−Pb系合金としては、Bi−Pb−Sn−Cd−In合金(例えば、融点が19℃のBi−23%Pb−8%Sn−5%Cd−19%In合金)やBi−Pb−Sn−Cd合金(例えば、融点が61℃のBi−25%Pb−13%Sn−13%Cd合金)を挙げることができ、Bi−Sn系合金としては、Bi−Sn−Pb−In合金(例えば、融点が60℃のBi−19%Sn−17%Pb−11%In合金)を挙げることができる。これらの合金の中では、K含有量の変更により融点を容易に調整することができるNa−K合金を用いることが好ましい。
Na−K合金におけるK含有量を、例えば17質量%としたとき融点が65℃となり、25質量%としたとき融点が50℃となり、32質量%としたとき融点が40℃となり、また44質量%としたとき融点が19℃となる。
このため、Na−K合金におけるK含有量は、融点を65℃未満にするべく17質量%よりも多くすることが好ましい。
一方、冷媒50に用いる低融点物質としては、融点が20℃(室温)以上のものを用いることが好ましい。内燃機関の始動前は冷媒50を構成する低融点物質が固相であり、かつ内燃機関が始動してから低融点物質が融解するようにするためである。
このため、Na−K合金におけるK含有量は、融点を20℃以上にするべく43質量%以下とすることが好ましい。
また、Na−K合金におけるK含有量が多すぎると、液相になったときに熱伝導率が低くなりすぎる。このため、液相になったときに熱伝導率を高く維持する観点より、Na−K合金におけるK含有量は、25質量%以下にすることがより好ましい。
中空孔3は、軸部1の下方域における中空孔3内に収容された温度感応開閉弁装置40により上室3aと下室3bとに区画されている。温度感応開閉弁装置40は、中空孔3内の温度に応じて開動作及び閉動作することにより、上室3aと下室3bとの連通口41aを開放及び閉鎖する。
温度感応開閉弁装置40は、有底筒状の筺体41と、弁本体42と、Ni−Tiばね43と、バイアスばね44と、座金45とを構成要素とする。なお、弁本体42とNi−Tiばね43とにより本発明における弁体が構成される。
筺体41及び弁本体42は、いずれも耐熱鋼よりなる。座金45はステンレス鋼(SUS304等)よりなる。バイアスばね44はステンレス鋼(SUS304等)やばね鋼(SWP−B等)よりなる。Ni−Tiばね43の一端は座金45に固定され、Ni−Tiばね43の他端は弁本体42に固定されている。バイアスばね44の一端は座金45に固定され、バイアスばね44の他端は弁本体42に固定されている。筺体41と座金44とは接着剤等により接合されている。
筺体41の上壁には、中空孔3の上室3aと下室3bとを連通する連通口41aが貫設されている。この連通口41aは、弁本体42により開閉される。弁本体42はバイアスばね44により常に閉方向(連通口41aを閉鎖する方向)に付勢されている。座金45には通孔45aが貫設されている。このため、連通口41aが開放されているときは、連通口41a及び座金45の通孔45aを介して、中空孔3内の上室3aと下室3bとが連通される。
Ni−Tiばね43は、形状記憶合金としてのNi−Ti合金よりなる。Ni−Ti合金は、Ni含有量を変更することにより相変態温度を調整することができる。
例えば、Ni−Ti合金におけるNi含有量を54.8〜55.1質量%とすることで、形状回復温度(Af点:マルテンサイト相からオーステナイト相への逆変態終了温度)を70℃とすることができる。また、Ni−Ti合金におけるNi含有量を54.9〜55.2質量%とすることで、形状回復温度を65℃とすることができ、Ni−Ti合金におけるNi含有量を54.7〜55.0質量%とすることで、形状回復温度(Af点)を75℃とすることができる。
ここに、温度感応開閉弁装置40が開動作を行う開動作設定温度及び温度感応開閉弁装置40が閉動作を行う閉動作設定温度は、この中空バルブの作動中における中空孔3内の温度変化範囲(室温(20℃)〜700℃程度の範囲)内の温度で、かつ冷媒50の低融点物質の融点よりも高い温度に設定されている。
また、形状記憶合金としてのNi−Ti合金よりなるNi−Tiばね43が、Ni−Tiばね43が縮んで弁本体42が連通口41aを開放している状態を示す図3に示される形状で形状記憶されている。また、バイアスばね44は、外力が付与されていない自然状態で、バイアスばね44が伸びて弁本体42が連通口41aを閉鎖している状態を示す図2に示される形状よりも長いばね長を有する(図2に示される状態にあるバイアスばね44は所定量圧縮されている)。さらに、バイアスばね44のばね力は、Ni−Ti合金がマルテンサイト変態しているときのNi−Tiばね43のばね力よりも大きい。
このため、中空孔3内がNi−Ti合金の形状回復温度(Af点:例えば70℃)以上の温度になって、Ni−Ti合金がオーステナイト相に逆変態してNi−Tiばね43が形状記憶された形状に形状回復しているとき、このNi−Tiばね43は、バイアスばね44のばね力に抗して該バイアスばね44を圧縮し、弁本体42を開状態(連通口41aを開放している状態)に維持する(図3参照)。すなわち、中空孔3内の温度が昇温する過程でNi−Ti合金の形状回復温度(Af点:例えば70℃)以上の温度になると、Ni−Ti合金の逆変態によりNi−Tiばね43が形状回復し、これにより弁本体42が開動作して連通口41aを開放する。
一方、中空孔3内の温度がNi−Ti合金のマルテンサイト変態開始温度(Ms点:例えば48℃)以下であり、Ni−Ti合金がマルテンサイト変態してNi−Ti合金の少なくとも一部がマルテンサイト相となって柔らかくなっているときは、Ni−Tiばね43のばね力はバイアスばね44のばね力よりも小さく、Ni−Tiばね43はバイアスばね44により伸張される。その結果、弁本体42は、バイアスばね44により付勢されて閉状態(連通口41aを閉鎖している状態)に維持される(図2参照)。すなわち、中空孔3内の温度が降温する過程でNi−Ti合金のマルテンサイト変態開始温度(Ms点:例えば48℃)以下の温度になると、Ni−Ti合金のマルテンサイト変態によりNi−Tiばね43が柔らかくり、その結果バイアスばね44の付勢力により弁本体42が閉動作して連通口41aを閉鎖する。
なお、本実施形態では、Ni−Tiばね43を構成するNi−Ti合金の形状回復温度(Af点:例えば70℃)が温度感応開閉弁装置40の開動作設定温度となる。また、Ni−Tiばね43を構成するNi−Ti合金のマルテンサイト変態開始温度(Ms点:例えば48℃)が温度感応開閉弁装置40の閉動作設定温度となる。
したがって、本実施形態の中空バルブでは、中空孔3内の温度が温度感応開閉弁装置40の開動作設定温度よりも低く、かつ冷媒50を構成する低融点物質の融点より低いときは、温度感応開閉弁装置40が中空孔3内の上室3aと下室3bとの連通口41aを閉鎖しており、また、中空孔3内に封入された冷媒50は固相として中空孔3内の下室3b内に存在する。そして、中空孔3内の温度が冷媒50を構成する低融点物質の融点よりも高くなると、冷媒50が液化する。このとき、中空孔3内の温度が開動作設定温度に達していなければ、温度感応開閉弁装置40は連通口41aを未だ閉鎖している。このため、中空孔3内の下室3b内に存在する液相の冷媒50が連通口41aを介して中空孔3内の上室3aに移動することはなく、液相の冷媒50が中空孔3内全体で撹拌されることはない。したがって、液相の冷媒50の撹拌を介する熱流はバルブの軸部1の上端側へ続くことがなく途中で遮断される。その結果、液相の冷媒50を介して、バルブの軸部1の上端側が接触するバルブガイド6(図1参照)からヘッド冷却水へ放熱されることを防ぐことができる。
よって、エンジンの始動時などで燃焼室の温度が低く、そのため中空孔3内の温度が温度感応開閉弁装置40の開動作設定温度よりも低いときは、液相の冷媒50を介してバルブの軸部1の上端側からバルブガイド6及びヘッド冷却水へ放熱されることがない。その結果、エンジンの始動時や低負荷運転時には燃焼室を速やかに昇温させることができる。
一方、中空孔3内の温度が上昇して温度感応開閉弁装置40の開動作設定温度に到達すると、温度感応開閉弁装置40は連通口41aを開放する。そうすると、既に液化しており中空孔3内の下室3b内に在った液相の冷媒50が連通口41aの開放と同時に連通口41aを介して中空孔3内の上室3aに移動し、液相の冷媒50が中空孔3内全体で撹拌される。したがって、燃焼室、バブルの傘部2、液相の冷媒50、バルブの軸部1、軸部1の上端側が接触するバルブガイド6及びヘッド冷却水へと順に続く大きな熱流が速やかに発生する。
よって、エンジンの高負荷運転時などで燃焼室の温度が高く、そのため中空孔3内の温度が温度感応開閉弁装置40の開動作設定温度よりも高いときは、中空孔3の全体で撹拌される液相の冷媒50を介してバルブの軸部1の上端側からバルブガイド6及びヘッド冷却水へ放熱される。また、中空孔3内の温度が温度感応開閉弁装置40の開動作設定温度よりも高くなれば、速やかに上記放熱が起こる。その結果、エンジンの高負荷運転時にはバルブが過度に高温になることを確実に防ぐことができる。
(実施形態2)
図4〜図7に示される本実施形態の中空バルブは、実施形態1の中空バルブにおける温度感応開閉弁装置40の構造を変更したものである。
実施形態2における温度感応開閉弁装置40は、有底筒状の筺体41と、Ni−Ti弁体46と、バイアスばね44と、座金45とを構成要素とする。すなわち、実施形態2における温度感応開閉弁装置40では、実施形態1における温度感応開閉弁装置40の弁本体42及びNi−Tiばね43の代わりに、Ni−Ti弁体46を採用している。
Ni−Ti弁体46は、段階的に外径が縮小する略円錐台形状を呈している。Ni−Ti弁体46は、連通口41aを開閉する頂壁46aを有している。また、Ni−Ti弁体46は、Ni−Ti弁体46の内外(上下)を連通する複数の通孔46bを側壁に有している。このため、Ni−Ti弁体46の頂壁46aが連通口41aを開放しているときは、Ni−Ti弁体46の複数の通孔46b及び座金45の通孔45a並びに連通口41aを介して、中空孔3内の上室3aと下室3bとが連通する。
Ni−Ti弁体46を構成する形状記憶合金としては、実施形態1で説明したものと同様のものを用いることができる。
また、形状記憶合金としてのNi−Ti合金よりなるNi−Ti弁体46は、Ni−Ti弁体46が縮んで頂壁46aが連通口41aを開放している状態を示す図5に示される形状で形状記憶されている。また、バイアスばね44は、外力が付与されていない自然状態で、Ni−Ti弁体46が伸びて頂壁46aが連通口41aを閉鎖している状態を示す図4に示される形状よりも長いばね長を有する(図4に示される状態にあるバイアスばね44は所定量圧縮されている)。さらに、バイアスばね44のばね力は、Ni−Ti合金がマルテンサイト変態しているときのNi−Ti弁体46の発生力よりも大きい。
このため、中空孔3内がNi−Ti合金の形状回復温度(Af点:例えば70℃)以上の温度になって、Ni−Ti合金がオーステナイト相に逆変態してNi−Ti弁体46が形状記憶された形状に形状回復しているとき、このNi−Ti弁体46は、バイアスばね44のばね力に抗して、連通口41aを開放する(図5参照)。すなわち、中空孔3内の温度が昇温する過程でNi−Ti合金の形状回復温度(Af点:例えば70℃)以上の温度になると、Ni−Ti合金の逆変態によりNi−Ti弁体46が形状回復し、これによりNi−Ti弁体46が開動作して連通口41aを開放する。
一方、中空孔3の温度がNi−Ti合金のマルテンサイト変態開始温度(Ms点:例えば48℃)以下であり、Ni−Ti合金がマルテンサイト変態してNi−Ti合金の少なくとも一部がマルテンサイト相となって柔らかくなっているときは、Ni−Ti弁体46の発生力はバイアスばね44のばね力よりも小さく、Ni−Ti弁体46はバイアスばね44により伸張される。その結果、Ni−Ti弁体46は、バイアスばね44により付勢されて連通口41aを閉鎖する。すなわち、中空孔3内の温度が降温する過程でNi−Ti合金のマルテンサイト変態開始温度(Ms点:例えば48℃)以下の温度になると、Ni−Ti合金のマルテンサイト変態によりNi−Ti弁体46が柔らかくり、その結果バイアスばね44の付勢力によりNi−Ti弁体46が閉動作して連通口41aを閉鎖する。
その他の構成及び作用効果は前記実施形態1と同様であるため、その説明を援用して省略する。
実施形態1に係る中空弁の全体構成を模式的に示す断面図である。 実施形態1に係る中空弁における温度感応開閉弁装置の構成を示し、温度感応開閉弁装置が閉状態にあるときの断面図である。 実施形態1に係る中空弁における温度感応開閉弁装置の構成を示し、温度感応開閉弁装置が開状態にあるときの断面図である。 実施形態2に係る中空弁における温度感応開閉弁装置の構成を示し、温度感応開閉弁装置が閉状態にあるときの断面図である。 実施形態2に係る中空弁における温度感応開閉弁装置の構成を示し、温度感応開閉弁装置が開状態にあるときの断面図である。 実施形態2に係る中空弁における温度感応開閉弁装置の構成要素である、弁体を示す斜視図である。 実施形態2に係る中空弁における温度感応開閉弁装置の構成要素である、弁体を示す平面図である。
符号の説明
1…軸部 2…傘部
3…中空孔 3a…上室
3b…下室 40…温度感応開閉弁装置
50…冷媒 41a…連通口
42…弁本体(弁体) 43…Ni−Tiばね(弁体)
44…バイアスばね 46…Ni−Ti弁体

Claims (6)

  1. 軸部と軸部の下端に設けられた傘部とからなり、該傘部から該軸部にかけて中空孔を有する中空バルブであって、
    前記中空孔内に封入され、低融点物質よりなる冷媒と、
    前記中空孔内に配設され、該中空孔内を上室と下室とに区画するとともに、該中空孔内の温度に応じて開動作及び閉動作することにより該上室と該下室との連通口を開放及び閉鎖する温度感応開閉弁装置と、を備え、
    前記温度感応開閉弁装置は、前記中空孔内が昇温する過程で開動作を行い、かつ該中空孔内が降温する過程で閉動作を行い、
    前記温度感応開閉弁装置が開動作を行う開動作設定温度及び該温度感応開閉弁装置が閉動作を行う閉動作設定温度が、前記中空孔内の温度変化範囲内の温度で、かつ前記低融点物質の融点よりも高い温度に設定されていることを特徴とする中空バルブ。
  2. 前記温度感応開閉弁装置は、少なくとも一部が形状記憶合金よりなり前記連通口を開閉する弁体と、該弁体を閉方向に付勢するバイアスばねと、を備え、
    前記弁体は、前記バイアスばねの付勢力に抗する前記形状記憶合金の形状回復により前記開動作を行い、かつ、少なくとも一部の結晶構造がマルテンサイト相に相変態している該形状記憶合金が該バイアスばねの付勢力によって変形することにより前記閉動作を行うことを特徴とする請求項1に記載の中空バルブ。
  3. 前記低融点物質の融点が65℃未満であることを特徴とする請求項1〜2のいずれか一つに記載の中空バルブ。
  4. 前記低融点物質はNa−K合金よりなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の中空バルブ。
  5. 前記低融点物質の融点が40℃以上であることを特徴とする請求項4に記載の中空バルブ。
  6. 前記開動作設定温度及び前記閉動作設定温度が70℃±5℃であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の中空バルブ。
JP2008067823A 2008-03-17 2008-03-17 中空バルブ Expired - Fee Related JP4844847B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008067823A JP4844847B2 (ja) 2008-03-17 2008-03-17 中空バルブ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008067823A JP4844847B2 (ja) 2008-03-17 2008-03-17 中空バルブ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009221974A JP2009221974A (ja) 2009-10-01
JP4844847B2 true JP4844847B2 (ja) 2011-12-28

Family

ID=41239005

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008067823A Expired - Fee Related JP4844847B2 (ja) 2008-03-17 2008-03-17 中空バルブ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4844847B2 (ja)

Family Cites Families (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE2308127C3 (de) * 1973-02-19 1979-09-06 Walter 2105 Seevetal Franke Zweitaktbrennkraftmaschine mit zwei bzw. drei Kompressionsräumen
JPS60122507A (ja) * 1983-12-08 1985-07-01 株式会社ソノベ鞄製作所 ランドセル
JPS6314807A (ja) * 1986-07-04 1988-01-22 Toyota Motor Corp 中空軸部材へ圧粉成形体を直接成形および固定する方法
JP2577490B2 (ja) * 1990-07-03 1997-01-29 株式会社東芝 Fmフロントエンド部のagc回路
JPH04143406A (ja) * 1990-10-05 1992-05-18 Nissan Motor Co Ltd 排気動弁系のカム構造
JPH04339113A (ja) * 1991-02-18 1992-11-26 Mazda Motor Corp エンジンのバルブ温度制御装置
JPH09184404A (ja) * 1995-12-28 1997-07-15 Fuji Oozx Inc 内燃機関用中空弁
JP2000170507A (ja) * 1998-12-08 2000-06-20 Nissan Motor Co Ltd エンジンの可変動弁装置
US6263849B1 (en) * 1999-07-20 2001-07-24 Eaton Corporation Ultra light engine valve and method of welding cap thereto
JP2005036697A (ja) * 2003-07-18 2005-02-10 Fuji Heavy Ind Ltd 内燃機関
JP2006097499A (ja) * 2004-09-28 2006-04-13 Toyota Motor Corp 内燃機関用中空弁
JP4379297B2 (ja) * 2004-10-28 2009-12-09 トヨタ自動車株式会社 内燃機関のシリンダヘッド
JP4534147B2 (ja) * 2005-03-22 2010-09-01 アイシン精機株式会社 オイル供給装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2009221974A (ja) 2009-10-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5259980B2 (ja) 膨張バルブを制御する方法および、特に冷却剤としてco2で動作する車両用空調システム用の膨張バルブ
JP4841619B2 (ja) 開口するチャンバを備えたマルチスパークプラグ
JP5312235B2 (ja) オイルジェット
CN103201476A (zh) 内燃机的冷却装置
EP3374613B1 (fr) Circuit de refroidissement pour un véhicule automobile
JP2008138673A (ja) エンジン冷却システム用のサーモスタット組立体
US20150275739A1 (en) Exhaust gas heat recovery apparatus
US20120285149A1 (en) Valve for vehicle
US20070277769A1 (en) Valve Structure for Internal Combustion
JP4844847B2 (ja) 中空バルブ
KR102285017B1 (ko) 배기용 중공 포핏 밸브
WO1999051863A1 (en) Cooling control device of internal combustion engine
US10837570B2 (en) Valve for closing a fluid line
JP2011012619A (ja) オイルジェット
CN108916428B (zh) 一种余热回收***用的智能阀门及其工作方法
JP2008274779A (ja) 吸排気バルブ及びバルブ機構
JP2005220772A (ja) エンジンの冷却装置
JP6145904B2 (ja) 熱交換デバイス
JP2020180662A (ja) サーモアクチュエータ
JP2004270529A (ja) 燃料噴射弁の冷却構造
JP7486252B1 (ja) サーモエレメント
JPH0447106A (ja) バルブ
JP2007247460A (ja) シリンダブロック
JPH0319432B2 (ja)
JP2002161746A (ja) サーモスタットとエンジン冷却回路

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100806

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110908

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110915

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110928

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141021

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141021

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees