JP4844642B2 - スクロール圧縮機 - Google Patents
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Description
第1実施形態に係る高圧ドーム型スクロール圧縮機1は、蒸発器や、凝縮器、膨張機構などと共に冷媒回路を構成し、その冷媒回路中の低圧ガス冷媒を圧縮し高圧ガス冷媒を生成する役割を担うものであって、図1に示されるように、主に、密閉ドーム型のケーシング10、スクロール圧縮機構20、吸入容積調整機構30、駆動モータ45、クランク軸40、下部主軸受48、吸入管14及び吐出管15から構成されている。以下、この高圧ドーム型スクロール圧縮機1の構成部品についてそれぞれ詳述していく。
(1)ケーシング
ケーシング10は、図1に示されるように、主に、略円筒状の胴部11と、胴部ケーシング部11の上部を覆う椀状の蓋部12と、胴部ケーシング部11の下部を覆う椀状の底部13とから構成される。なお、胴部11と蓋部12、及び胴部12と底部13はガス冷媒が漏れ出さないように気密に溶接されて一体化されている。そして、このケーシング10には、主に、ガス冷媒を圧縮するスクロール圧縮機構20と、スクロール圧縮機構20の下方に配置される駆動モータ45とが収容されている。なお、このスクロール圧縮機構20と駆動モータ45とは、ケーシング10内を上下方向に延びるように配置されるクランク軸40によって連結されている。
スクロール圧縮機構20は、図1に示されるように、主に、ハウジング23と、ハウジング23の上方に密着して配置される固定スクロール21と、固定スクロール21に噛合する可動スクロール22と、可動スクロール22の自転運動を防止するオルダムリング24とから構成されている。以下、このスクロール圧縮機構20の構成部品についてそれぞれ詳述していく。
ハウジング23は、図1に示されるように、主に、フランジ部23a、本体部23b及び軸受部23cから構成されており、本体部23bがケーシング10の胴部11に嵌合して接合されている。フランジ部23aは、本体部23bの上端において本体部23bから径方向外側に突出している。軸受部23cは、本体部23bよりも小径に形成され、本体部23bの下面から下方へ突出している。この軸受部23cは、滑り軸受23dを介してクランク軸40の主軸部41を回転自在に支持する。
固定スクロール21は、図1に示されるように、主に、略円板状に形成される鏡板21aと、鏡板21aの下面に形成された渦巻き状(インボリュート状)のラップ21bと、縁部21cとから構成されている。
可動スクロール26は、図1に示されるように、主に、略円板状に形成される鏡板22aと、鏡板22aの上面に形成された渦巻き状(インボリュート状)のラップ22bと、鏡板22aの下面に形成された軸受部22cと、鏡板22aの両端部に形成される溝部22eとから構成されている。
オルダムリング24は、上述したように、可動スクロール22の自転運動を防止するための部材であって、ハウジング23に形成されるオルダム溝(図示せず)に嵌め込まれている。なお、このオルダム溝は、長円形状の溝であって、ハウジング23において互いに対向する位置に配設されている。
吸入容積調整機構30は、圧縮機構20の吸入行程における圧縮室25a,25bの吸入閉じ切り位置(吸入行程が完了し、圧縮行程が開始される位置)を調節することにより吸入容積を調整する機構であって、図3に示されるように、主に、固定スクロール21の鏡板21aに形成される連通孔32と、内部空間が連通孔32と連通するガス冷媒導入管50と、ガス冷媒導入管50の端部を受容する開口を有するとともにガス冷媒導入管50を支持し連通孔32の上側を覆う蓋体27と、連通孔32に挿入されるピストン33と、ピストン33をガス冷媒導入管側に向かって付勢する圧縮コイルバネ35と、「ガス冷媒導入管50を通じてピストン33に低圧圧力を印加する状態」と「ガス冷媒導入管Xを通じてピストン33に圧縮コイルバネ35の単位面積当たりの付勢力に抗して高圧圧力を印加する状態」とを切り換える切換弁36とから構成されている。
駆動モータ45は、本実施の形態においてインバータ制御により回転速度を可変に調整することが可能なブラシレスDCモータであって、主に、ケーシング10の内壁面に固定された環状のステータ46と、ステータ46の内側に僅かな隙間(エアギャップ通路)をもって回転自在に収容されたロータ47とから構成されている。そして、この駆動モータ45は、ステータ46の上側に形成されているコイルエンド46aの上端がハウジング23の軸受部23cの下端とほぼ同じ高さ位置になるように配置されている。
クランク軸40は、上下方向に延びるように胴部11の軸心に配置されている。このクランク軸40は、主に、主軸部41及び偏心部42から構成されている。偏心部42は、主軸部41よりも小径に形成され、主軸部41の上端面に形成されている。そして、この偏心部42は、主軸部41の軸心に対して所定寸法だけ偏心している。
下部主軸受48は、駆動モータ45の下方の下部空間に配設されている。この下部主軸受45は、ケーシング10の胴部11に固定されるとともに滑り軸受48aを介してクランク軸40の主軸部41の下端部を回転自在に支持している。
吸入管14は、冷媒回路の冷媒をスクロール圧縮機構15に導くためのものであって、ケーシング10の蓋部12を貫通して固定スクロール21に嵌入されている。
吐出管15は、ケーシング10内の冷媒をケーシング10外に吐出させるためのものであって、ケーシング10の胴部11を貫通して胴部11に取り付けられている。なお、この吐出管15は、端部がケーシング10内の圧縮機構20と駆動モータ45の間に位置するように配置されている。
駆動モータ45が駆動されると、クランク軸40が回転し、可動スクロール22が固定スクロール21に対して公転運動を行う。その際、可動スクロール22は、オルダムリング24によって自転が阻止される。そして、可動スクロール22の公転運動に伴って、圧縮室25a,25bの容積が周期的に増減を繰り返す。圧縮室25a,25bでは、吸入ポート29に連通した部分の容積が増大するときに冷媒回路の冷媒が吸入管14から吸入ポート29を通って圧縮室25a,25bに吸い込まれ、吸入側が閉じ切られた部分の容積が減少するときに冷媒が圧縮される。なお、このとき、第1圧縮室25a及び第2圧縮室25bは、それぞれに間欠的に吸入ポート29に連通する。また、第1圧縮室25a及び第2圧縮室25bは、それぞれに間欠的に吐出通路26に連通する。そして、圧縮された冷媒は、吐出通路26を通って吐出空間28に吐出される。吐出室28に吐出された冷媒は、その後、図示しないガス通路を通じてハウジング23の下方の高圧空間16に流入し、吐出管15から冷媒回路の凝縮器に供給される。
ここでは、通常運転時の圧縮機構20の冷媒吸入動作及び冷媒圧縮動作について、図11から図16を参照して説明する。通常運転では、ピストン33が閉鎖位置にあって連通孔32を閉鎖しており、第1圧縮室25aと第2圧縮室25bとが遮断状態となっている。なお、図11から図16では、圧縮機構20の動作状態が6つの段階に分けられて示されている。なお、これらの図では、可動スクロール22が時計回り方向に所定の角度間隔で公転している様子が表されている。
ここでは、調整運転時の圧縮機構20の冷媒吸入動作及び冷媒圧縮動作について、同じく図11から図16を参照して説明する。調整運転では、ピストン33が開放位置にあって連通孔32の小径部32bが開放されており、第1圧縮室25aと第2圧縮室25bとが連通状態となっている。
本実施の形態に係る高圧ドーム型スクロール圧縮機1では、吸入容積調整機構30において、ピストン33にシール装着溝33d及び貫通孔33fが形成されており、さらに、シール装着溝33dには段付合口のピストンリング33eが嵌め込まれている。このため、このスクロール圧縮機1では、ピストン33を付勢する圧縮コイルバネ35の単位面積当たりの付勢力よりも大きな圧力を付与するガス冷媒がガス冷媒導入管50内部に導入されると、高圧ガス冷媒がピストン33の貫通孔33fを通ってピストンリング33eを貫通孔33fの壁に押しつける。このとき、ピストンリング33eは、わずかに広がるが、合口が段付構造を有しているため、高圧流体の漏れを有効に抑制することができる。また、高圧ガス冷媒導入当初、高圧ガス冷媒はピストン33と固定スクロール21の連通孔32との僅かな隙間を流れる。このため、ピストンリング33eは、圧縮室側に押しつけられる。このため、このスクロール圧縮機1では、圧縮コイルバネ35の単位面積当たりの付勢力よりも大きな圧力を付与する高圧ガス冷媒がガス冷媒導入管50内部に導入される場合に、その高圧流体が、圧縮室25a,25bに流れ込むのを有効に抑制することができる。したがって、このスクロール圧縮機1では、通常運転時の能力低下を抑制することができる。
(A)
第1実施形態に係る高圧ドーム型スクロール圧縮機1では、固定スクロール21のラップ21bは、可動スクロール22のラップ22bよりも約1/2巻き分だけ渦巻きの巻き数が長くなっていたが、図17に示されるように、固定スクロール21のラップ21bの巻き数は、可動スクロール22のラップ22bの巻き数と等しくてもかまわない。なお、かかる場合であって、運転動作は図11〜図16の例と同一となる。
第1実施形態に係る高圧ドーム型スクロール圧縮機1では連通孔32の小径孔部32bの開口が固定スクロール21の渦巻き溝の外周側一巻き範囲内に一箇所のみ設けられていたが、連通孔32の開口は複数箇所に設けてもよい。また、かかる場合、その開口に対応する連通孔が複数形成されてもよい。このようにすると、圧縮機構20の吸入容積を段階的に調整することができる。したがって、冷媒回路の運転条件に応じて、より細かい制御を行うことが可能となる。
第1実施形態では固定スクロール21及び可動スクロール22が組み合わせられたスクロール圧縮機構20を有するスクロール圧縮機が一例として説明されたが、本発明は、両歯タイプのスクロール圧縮機や、両方のスクロール部材が旋回するタイプのスクロール圧縮機にも適用可能である。
第1実施形態に係る高圧ドーム型スクロール圧縮機1では固定スクロール21に形成される連通孔32は大径孔部32a及び小径孔部32bから構成されていたが、連通孔はこのような形状に限定されることはなく適宜適した形状に成形されてもかまわない。
第2実施形態に係る高圧ドーム型スクロール圧縮機1は、吸入容積調整機構を除いて第1実施形態に係る高圧ドーム型スクロール圧縮機1と同一である。したがって、ここでは、主に、吸入容積調整機構についてのみ説明を行う。
(A)
第2実施形態に係る高圧ドーム型スクロール圧縮機1では、リーク孔132により低圧空間17と大径孔部32aとが連通されたが、リーク孔は、圧縮機構20の吸入側の配管と小径孔部32bとを連通するように形成されてもよいし、吸入空間が設けられている場合にはその吸入空間と小径孔部32bとを連通するように形成されてもよい。
第2実施形態に係る高圧ドーム型スクロール圧縮機1では、調整運転時において第1圧縮室25aと第2圧縮室25bとが互いに連通するとともに第1圧縮室25a及び第2圧縮室25bが低圧空間17に連通するように連通孔32及びリーク孔132が形成されたが、調整運転時において第1圧縮室25a及び第2圧縮室25bの一方が低圧空間17に連通するように連通孔32及びリーク孔132が形成されてもよい。
第3実施形態に係る高圧ドーム型スクロール圧縮機1は、連通孔を除いて第1実施形態に係る高圧ドーム型スクロール圧縮機1と同一である。したがって、ここでは、主に、連通孔についてのみ説明を行う。
(A)
第3実施形態に係るスクロール圧縮機では、固定スクロールの鏡板に、第1圧縮室25a用の第1連通孔132aと、第2圧縮機25b用の第2連通孔132bとが設けられたが、第1圧縮室25aの吸入容積のみを小さくできるように第1圧縮室25a用の連通孔132aのみを形成するようにしてもよい。このようにすれば、第1圧縮室25aと第2圧縮室25bのガスの圧力差を小さくすることができる。したがって、ガス荷重のアンバランスや、渦巻きの自転トルクの変動による振動の影響を小さくすることが可能となる。
第3実施形態では特に言及しなかったが、ガス荷重のバランスは第1圧縮室25aと第2圧縮室25bの相対的な関係である。このため、第1圧縮室25aと第2圧縮室25bの両方の吸入容積を調整することができるように、第2圧縮室25bの吸入容積の調整位置を第1圧縮室25aの吸入容積の調整位置よりも渦巻きの外周側(巻き終わり側)にずらすようにしてもよい。
10 ケーシング
20 圧縮機構
21 固定スクロール(第1スクロール部材)
21a 鏡板
21b ラップ
21c 縁部(最外壁)
22 可動スクロール(第2スクロール部材)
22a 鏡板
22b ラップ
29 吸入ポート(流体吸入口)
32 連通孔(第1貫通孔)
33 ピストン
33c 環状溝
33e ピストンリング
33f 貫通孔(第2貫通孔)
35 圧縮コイルバネ(付勢部材)
50 ガス冷媒導入管(流体導入管)
SP 隙間空間
Claims (2)
- 第1平板部(21a)と、前記第1平板部の第11板面から前記第11板面に略垂直な方向に向かって渦巻形状を保持しながら延びる第1渦巻壁部(21b)と、前記第1渦巻壁部の巻き終わり端の近傍に形成される流体吸入口(29)と、前記第1渦巻壁部の最外壁(21c)と前記最外壁に対向する内周壁とに挟まれる第11板面部分のうち前記流体吸入口から所定長さ離れた位置に位置する第11板面部分に開口する第1開口から前記第1平板部を貫通するように延びる第1貫通孔(32)と、前記第1貫通孔に連通する第3貫通孔(132)とを有する第1スクロール部材(21)と、
第2平板部(22a)と、前記2平板部の第21板面から前記第21板面に略垂直な方向に向かって渦巻形状を保持しながら延び前記第1渦巻壁部と噛み合う第2渦巻壁部(22b)とを有する第2スクロール部材(22)と、
前記第1スクロール部材及び前記第2スクロール部材を収容するケーシング(10)と、
前記第1貫通孔の前記第1開口の反対側に形成されている開口から前記ケーシングを貫通して延び、内部空間が前記第1貫通孔に連通する流体導入管(50)と、
前記第1貫通孔内において付勢部材(35)により流体導入管側に付勢されており、側面に形成される環状溝(33d)と、前記流体導入管側の端面及び前記環状溝の底面に開口する第2貫通孔(33f)とを有し、前記付勢部材の単位面積当たりの付勢力よりも大きな圧力を付与する流体が前記流体導入管内部に導入される場合に前記第1貫通孔と第3貫通孔とが連通したままの状態で前記第1開口を遮蔽する状態となり、前記流体導入管内部に前記付勢部材の単位面積当たりの付勢力よりも小さな圧力を付与する流体が導入される場合に前記第1開口の上部に隙間空間(SP)を形成するとともに前記隙間空間と前記第3貫通孔とを連通させる状態となるピストン(33)と、
前記ピストンの環状溝に嵌め込まれる段付合口のピストンリング(33e)と
を備えるスクロール圧縮機(1)。 - 前記ピストンリングは、樹脂製である
請求項1に記載のスクロール圧縮機。
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