JP4844642B2 - スクロール圧縮機 - Google Patents

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Description

本発明は、スクロール圧縮機、特に吸入容積を調整可能であるスクロール圧縮機に関する。
過去に、「固定スクロールの鏡板内に吸入容積調整機構が組み込まれたスクロール圧縮機」が提案されている(例えば、特許文献1(特開2007−154761号公報)参照)。
この吸入容積調整機構は、主に、固定スクロールの鏡板を貫通し固定スクロールの渦巻溝の底面に開口する貫通孔と、貫通孔に連通する流体導入路と、貫通孔に挿入されるピストンと、貫通孔内においてピストンを流体導入路側に付勢する付勢部材と、ピストンの環状溝に嵌め込まれる直角合口の金属製ピストンリングとから構成されており、「固定スクロールのラップの内周面と可動スクロールのラップの外周面との間に形成される第1圧縮室」と「固定スクロールのラップの外周面と可動側ラップの内周面との間に形成される第2圧縮室」とを連通させる調整運転状態と、第1圧縮室と第2圧縮室とを遮断させる通常運転状態(吸入容積が100%となる状態)を切り換えることにより、スクロール圧縮機構の吸入容積を調整する。具体的には、付勢部材の単位面積当たりの付勢力よりも高圧の流体が流体導入路に導入されると、ピストンが押し下げられて貫通孔下端の空間が閉塞され、第1圧縮室と第2圧縮室とが遮断される状態、つまり通常運転状態となる。一方、付勢部材の単位面積当たりの付勢力よりも低圧の流体が流体導入路に導入されると、ピストンが押し上げられて貫通孔下端の空間が開放され、第1圧縮室と第2圧縮室とが連通される状態、つまり調整運転状態となる。
ところで、このような吸入容積調整機構では、貫通孔とピストンとの間には僅かな隙間が存在する。このため、高圧流体が流体導入路に導入されると、その高圧流体が、その隙間を通って圧縮室内に流れ込み、通常運転時のスクロール圧縮機の能力を低下させてしまうおそれがある。このおそれを取り除くために、この吸入容積調整機構では、ピストンの環状溝に直角合口の金属製ピストンリングを嵌め込んでいる。このピストンリングは、自らの弾性力で貫通孔の壁面に密着して流体導入路に導入される高圧流体が圧縮室に流れ込むのを防いでいる。しかし、直角合口の金属製ピストンリングには、ピストンと共に貫通孔に挿入された状態において、合口の部分に僅かな隙間が生じるため、流体導入路に導入される高圧流体の圧縮室への流れ込みを完全に防げる訳ではない。
本発明の課題は、固定スクロールの鏡板内に吸入容積調整機構が組み込まれたスクロール圧縮機において、流体導入路に導入される高圧流体の圧縮室への流れ込みをより抑制し、通常運転時のスクロール圧縮機の能力低下を抑制することにある。
第1発明に係るスクロール圧縮機は、第1スクロール部材、第2スクロール部材、ケーシング、流体導入管、ピストン及び段付合口のピストンリングを備える。第1スクロール部材は、第1平板部、第1渦巻壁部、流体吸入口、第1貫通孔及び第3貫通孔を有する。第1渦巻壁部は、第1平板部の第11板面から第11板面に略垂直な方向に向かって渦巻形状を保持しながら延びる。流体吸入口は、第1渦巻壁部の巻き終わり端の近傍に形成される。なお、この流体吸入口は、第1平板部に設けられてもよい。第1貫通孔は、第1渦巻壁部の最外壁と最外壁に対向する内周壁とに挟まれる第11板面部分のうち流体吸入口から所定長さ離れた位置に位置する第11板面部分に開口する第1開口から第1平板部を貫通するように延びる。第3貫通孔は、第1貫通孔に連通する。第2スクロール部材は、第2平板部及び第2渦巻壁部を有する。第2渦巻壁部は、第2平板部の第21板面から第21板面に略垂直な方向に向かって渦巻形状を保持しながら延びる。そして、この第2渦巻壁部は、第1渦巻壁部と噛み合う。ケーシングは、第1スクロール部材及び第2スクロール部材を収容する。流体導入管は、第1貫通孔の第1開口の反対側に形成されている開口からケーシングを貫通して延びる。そして、この流体導入管は、内部空間が第1貫通孔に連通する。ピストンは、環状溝及び第2貫通孔を有する。環状溝は、ピストンの側面に形成される。第2貫通孔は、流体導入管側のピストンの端面及び環状溝の底面に開口する。なお、第2貫通孔において、流体導入管側のピストンの端面に開口する開口の数や配置、環状溝の底面に開口する開口の数及び配置については、適宜決定することができる。また、第2貫通孔の断面積はピストンと第1貫通孔との隙間の断面積以上となるのが好ましい。そして、このピストンは、第1貫通孔内において付勢部材により流体導入管側に付勢されている。そして、このピストンは、付勢部材の単位面積当たりの付勢力よりも大きな圧力を付与する流体が流体導入管内部に導入される場合に第3貫通孔と第1貫通孔とが連通したままの状態で第1開口を遮蔽する状態となり、流体導入管内部に付勢部材の単位面積当たりの付勢力よりも小さな圧力を付与する流体が導入される場合に第1開口の上部に隙間空間を形成するとともに隙間空間と第3貫通孔とを連通させる状態となる。段付合口のピストンリングは、ピストンの環状溝に嵌め込まれる。
このスクロール圧縮機では、ピストンに環状溝及び第2貫通孔が形成されており、さらに、環状溝には段付合口のピストンリングが嵌め込まれている。このため、このスクロール圧縮機では、付勢部材の単位面積当たりの付勢力よりも大きな圧力を付与する流体が流体導入管内部に導入され第1開口がピストンによって遮蔽されるとき、高圧流体がピストンの第2貫通孔を通り段付合口のピストンリングを第2貫通孔の壁に押しつける。なお、このとき、ピストンリングは、わずかに広がるが、合口が段付構造を有しているため、ピストンリングに隙間は生じず高圧流体の漏れを有効に防ぐことができる。また、このとき、高圧流体はピストンと第2貫通孔とのわずかな隙間を流れる。このため、ピストンリングは、第1開口側に押しつけられる。このため、このスクロール圧縮機では、付勢部材の単位面積当たりの付勢力よりも大きな圧力を付与する流体が流体導入管内部に導入される場合に、その高圧流体が、第1スクロール部材及び第2スクロール部材によって形成される圧縮室に流れ込むのを有効に抑制することができる。したがって、このスクロール圧縮機では、通常運転時(吸入容積が100%となる運転時)の能力低下を抑制することができる。
第2発明に係るスクロール圧縮機は、第1発明に係るスクロール圧縮機であって、ピストンリングは、樹脂製である。
本発明に係るスクロール圧縮機では、付勢部材の単位面積当たりの付勢力よりも大きな圧力を付与する流体が流体導入管内部に導入される場合に、その高圧流体が、第1スクロール部材及び第2スクロール部材によって形成される圧縮室に流れ込むのを有効に抑制することができる。したがって、このスクロール圧縮機では、通常運転時(吸入容積が100%となる運転時)の能力低下を抑制することができる。
第1実施形態に係るスクロール圧縮機の縦断面図である。 図1のII−II断面図である。 吸入容積調整機構の縦断面図である。 固定スクロールの底面図である。 固定スクロールのサブアセンブリを示す縦断面図である。 吸入容積調整機構を構成する圧縮コイルバネの縦断面図である。 (a)吸入容積調整機構を構成するピストンの縦断面図である。(b)(a)に示されるピストンのIII−III断面図である。 ピストンリングの外観斜視図である。 調整運転時のピストンの状態を示す縦断面図である。 通常運転時のピストンの状態を示す縦断面図である。 圧縮機構の第1段階の状態を示す横断面図である。 圧縮機構の第2段階の状態を示す横断面図である。 圧縮機構の第3段階の状態を示す横断面図である。 圧縮機構の第4段階の状態を示す横断面図である。 圧縮機構の第5段階の状態を示す横断面図である。 圧縮機構の第6段階の状態を示す横断面図である。 第1実施形態の変形例に係る圧縮機構の横断面図である。 第2実施形態に係る吸入容積調整機構の縦断面図である。 第3実施形態に係る圧縮機構の第1段階の状態を示す横断面図である。 第3実施形態に係る圧縮機構の第2段階の状態を示す横断面図である。
−第1実施形態−
第1実施形態に係る高圧ドーム型スクロール圧縮機1は、蒸発器や、凝縮器、膨張機構などと共に冷媒回路を構成し、その冷媒回路中の低圧ガス冷媒を圧縮し高圧ガス冷媒を生成する役割を担うものであって、図1に示されるように、主に、密閉ドーム型のケーシング10、スクロール圧縮機構20、吸入容積調整機構30、駆動モータ45、クランク軸40、下部主軸受48、吸入管14及び吐出管15から構成されている。以下、この高圧ドーム型スクロール圧縮機1の構成部品についてそれぞれ詳述していく。
<高圧ドーム型スクロール圧縮機の構成部品の詳細>
(1)ケーシング
ケーシング10は、図1に示されるように、主に、略円筒状の胴部11と、胴部ケーシング部11の上部を覆う椀状の蓋部12と、胴部ケーシング部11の下部を覆う椀状の底部13とから構成される。なお、胴部11と蓋部12、及び胴部12と底部13はガス冷媒が漏れ出さないように気密に溶接されて一体化されている。そして、このケーシング10には、主に、ガス冷媒を圧縮するスクロール圧縮機構20と、スクロール圧縮機構20の下方に配置される駆動モータ45とが収容されている。なお、このスクロール圧縮機構20と駆動モータ45とは、ケーシング10内を上下方向に延びるように配置されるクランク軸40によって連結されている。
(2)スクロール圧縮機構
スクロール圧縮機構20は、図1に示されるように、主に、ハウジング23と、ハウジング23の上方に密着して配置される固定スクロール21と、固定スクロール21に噛合する可動スクロール22と、可動スクロール22の自転運動を防止するオルダムリング24とから構成されている。以下、このスクロール圧縮機構20の構成部品についてそれぞれ詳述していく。
a)ハウジング
ハウジング23は、図1に示されるように、主に、フランジ部23a、本体部23b及び軸受部23cから構成されており、本体部23bがケーシング10の胴部11に嵌合して接合されている。フランジ部23aは、本体部23bの上端において本体部23bから径方向外側に突出している。軸受部23cは、本体部23bよりも小径に形成され、本体部23bの下面から下方へ突出している。この軸受部23cは、滑り軸受23dを介してクランク軸40の主軸部41を回転自在に支持する。
b)固定スクロール
固定スクロール21は、図1に示されるように、主に、略円板状に形成される鏡板21aと、鏡板21aの下面に形成された渦巻き状(インボリュート状)のラップ21bと、縁部21cとから構成されている。
鏡板21aには、固定スクロール21及び可動スクロール22によって形成される圧縮室に連通する吐出通路26と、吐出通路26に連通する拡大凹部21gと、吸入容積調整機構30を構成するのに必要な連通孔32とが形成されている。吐出通路26は、鏡板21aの中央部分において上下方向に延びるように形成されている。拡大凹部21gは、鏡板21aの上面に開口する凹部である。そして、固定スクロール21の上面には、この拡大凹部21gを塞ぐように蓋体27がボルト(図示せず)により締結固定されている。そして、拡大凹部21gに蓋体27が覆い被せられることにより吐出空間28が形成される。なお、鏡板21aと蓋体27とは、図示しないパッキンを介して密着させることによりシールされている。なお、上記吐出空間28に吐出されたガス冷媒は、固定スクロール21及びハウジング23に形成されたガス通路(図示せず)を通じてハウジング23の下方の高圧空間16に導かれ、吐出管15からケーシング10外へ吐出される。また、ケーシング10内において、ハウジング23の下方の空間は高圧空間16となっており、ハウジングの上方の空間(圧縮機構20の周囲の空間)は低圧空間17となっている。連通孔32は、鏡板21aの板厚方向に沿って鏡板21aを貫通する孔であって、大径孔部32a及び小径孔部32bから構成されている。大孔径部32aは鏡板21aの上面に開口し、小径孔部32bは固定スクロール21の渦巻溝21gの巻き終わり端から所定距離内側に入ったところに位置する渦巻溝21gの底面に開口している。なお、この小径部32bの渦巻溝底面の開口は、可動スクロール22のラップ22bの厚みよりも大きな直径を有する円形の穴である。なお、吸入容積調整機構30については後に詳述する。
ラップ21bは、可動スクロール22のラップ22bよりも約1/2巻き分だけ渦巻きの巻き数が長くなっている(つまり、非対称渦巻き構造となっている)。ただし、このラップ21bの最外周の一巻き分には外周面は形成されておらず、その範囲でラップ21bが固定スクロール21の縁部21cにつながっている。そして、固定側ラップ21bの巻き終わり端は、外周側端部とそれよりも一巻き分だけ長く巻かれたところに位置する内周側端部とが向き合った形で終結しており、その近傍に可動側ラップ22bの外周側端部(巻き終わり端)が位置している。
縁部21cは、鏡板21aの外周縁部から下方へ向かって延びる壁状の部分と、その壁上の部分の下端部から径方向外側に突出しハウジング23のフランジ部23aの上面にボルト締結されるフランジ状の部分とから構成されている。
また、この固定スクロール21には、ラップ21bの巻き終わり端近傍に吸入ポート29が形成されている。そして、この吸入ポート29には、吸入管14が嵌合されている。また、この吸入ポート29には、逆止弁(図示せず)が設けられている。この逆止弁は、固定スクロール21及び可動スクロール22によって形成される圧縮室への冷媒の流れ込みのみを許容し、逆向きの冷媒の流れを塞き止める。
c)可動スクロール
可動スクロール26は、図1に示されるように、主に、略円板状に形成される鏡板22aと、鏡板22aの上面に形成された渦巻き状(インボリュート状)のラップ22bと、鏡板22aの下面に形成された軸受部22cと、鏡板22aの両端部に形成される溝部22eとから構成されている。
鏡板22aは、ハウジング23の上端面に設けられた第1凹部23e内に位置する。
軸受部22cは、ハウジング23の本体部23bに設けられた第2凹部23f内に位置する。
ラップ22bは、固定スクロール21のラップ21bに噛合させられている。この結果、両ラップ21b,22bの接触部の間には、図2に示されるように、複数の圧縮室25a,25bが形成される。なお、本実施の形態では、説明の便宜上、固定スクロール21のラップ21bの内周面と可動スクロール22のラップ22bの外周面との間に形成される圧縮室25aを「第1圧縮室」と称し、固定スクロール21のラップ21bの外周面と可動側ラップ22bの内周面との間に形成される圧縮室25bを「第2圧縮室」を称する。なお、スクロール圧縮機構20では、第1圧縮室25a及び第2圧縮室25bは、それぞれ、複数形成される。また、本実施の形態では、ラップ21bの巻き数が可動スクロール22のラップ22bの巻き数よりも多い。このため、第1圧縮室25aの最大容積は、第2圧縮室25bの最大容積よりも大きい。そして、軸受部22cには、滑り軸受22dを介してクランク軸40の偏心部42が挿入される。溝部22eには、オルダムリング24が嵌め込まれる。なお、オルダムリング24はハウジング23に形成されるオルダム溝(図示せず)に嵌め込まれているので、可動スクロール22は、オルダムリング24を介してハウジング23に支持されていることになる。そして、可動スクロール22は、このようにスクロール圧縮機構20に組み込まれることによってクランク軸40の回転によって自転することなく主軸部41の軸心を中心としてハウジング23内を公転運動する。なお、可動スクロール22の公転半径は、偏心部42の偏心量、すなわち主軸部41の軸心から偏心部42の軸心までの距離に等しい。そして、圧縮室25a,25bは、可動スクロール22の公転に伴い、容積が中心に向かって収縮する。本実施形態に係る高圧ドーム型スクロール圧縮機1では、このようにしてガス冷媒を圧縮するようになっている。
d)オルダムリング
オルダムリング24は、上述したように、可動スクロール22の自転運動を防止するための部材であって、ハウジング23に形成されるオルダム溝(図示せず)に嵌め込まれている。なお、このオルダム溝は、長円形状の溝であって、ハウジング23において互いに対向する位置に配設されている。
(3)吸入容積調整機構
吸入容積調整機構30は、圧縮機構20の吸入行程における圧縮室25a,25bの吸入閉じ切り位置(吸入行程が完了し、圧縮行程が開始される位置)を調節することにより吸入容積を調整する機構であって、図3に示されるように、主に、固定スクロール21の鏡板21aに形成される連通孔32と、内部空間が連通孔32と連通するガス冷媒導入管50と、ガス冷媒導入管50の端部を受容する開口を有するとともにガス冷媒導入管50を支持し連通孔32の上側を覆う蓋体27と、連通孔32に挿入されるピストン33と、ピストン33をガス冷媒導入管側に向かって付勢する圧縮コイルバネ35と、「ガス冷媒導入管50を通じてピストン33に低圧圧力を印加する状態」と「ガス冷媒導入管Xを通じてピストン33に圧縮コイルバネ35の単位面積当たりの付勢力に抗して高圧圧力を印加する状態」とを切り換える切換弁36とから構成されている。
ピストン33は、図7に示されるように、主に、小径孔部32bと嵌合する寸法のプラグ部33aと、プラグ部33aよりも大径であり外周側に圧縮コイルバネ35が装着されるバネ受け部33bと、バネ受け部33bよりも大径のシール装着部33cと、シール装着部33cの外周に形成される円環状のシール装着溝33dと、シール装着部33cの上端面とシール装着溝33dの底面とに開口する貫通孔33fとから構成されている。なお、シール装着溝33dには、図8に示されるような樹脂製のピストンリング33eが装着される。また、このピストンリング33eの合い口は、図8に示されるように、直角合口ではなく段付合口になっている。そして、このピストン33は、圧縮コイルバネ35及び切換弁36により連通孔32を開放する開放位置と、連通孔32を閉鎖する閉鎖位置とに移動可能となっている。また、貫通孔33fは、図7に示されるように、ピストン33の中心軸に沿って形成される縦孔33gと、縦孔の下端から半径方向外周側に延びる4本の横孔33hとから構成されている。
この吸入容積調整機構30は、このような構成をとることにより第1圧縮室25aと第2圧縮室25bとを連通状態と遮断状態とに切り換え可能となっている。具体的には、切換弁36によりピストン33の後端面(上端面)に低圧圧力を印加した状態では、ピストン33を押し下げようとする力よりも圧縮コイルバネ35がピストン33を押し上げる力が勝って図3及び図9に示されるように上記連通孔32が開く結果、ピストン33下部に隙間空間SPが形成され、第1圧縮室25aと第2圧縮室25bとが連通状態になる(図3参照)。一方、切換弁36によりピストン33の後端面に高圧圧力を印加した状態では、ピストン33を押し下げる力が、圧縮コイルバネ35によりピストン33を押し上げようとする力よりも勝って図10に示されるように連通孔32が閉塞され、第1圧縮室25aと第2圧縮室25bとが遮断状態となる。なお、遮断状態では、設計値通りの吸入容積で冷媒が圧縮される。なお、以下、この状態での運転を「通常運転」と称する。また、連通状態では、設計値よりも少ない吸入容積で冷媒が圧縮される。なお、以下、この状態での運転を「調整運転」と称する。なお、本実施の形態では、調整運転が行われるとき、駆動モータ45の回転速度は通常運転時の駆動モータ45の回転速度よりも速められる。
(4)駆動モータ
駆動モータ45は、本実施の形態においてインバータ制御により回転速度を可変に調整することが可能なブラシレスDCモータであって、主に、ケーシング10の内壁面に固定された環状のステータ46と、ステータ46の内側に僅かな隙間(エアギャップ通路)をもって回転自在に収容されたロータ47とから構成されている。そして、この駆動モータ45は、ステータ46の上側に形成されているコイルエンド46aの上端がハウジング23の軸受部23cの下端とほぼ同じ高さ位置になるように配置されている。
ステータ46には、ティース部に銅線が巻回されており、上方および下方にコイルエンド46aが形成されている。
ロータ47は、上下方向に延びるように胴部11の軸心に配置されたクランク軸40を介してスクロール圧縮機構20の可動スクロール22に連結されている。そして、このロータ47が回転することによりクランク軸40が回転される。
(5)クランク軸
クランク軸40は、上下方向に延びるように胴部11の軸心に配置されている。このクランク軸40は、主に、主軸部41及び偏心部42から構成されている。偏心部42は、主軸部41よりも小径に形成され、主軸部41の上端面に形成されている。そして、この偏心部42は、主軸部41の軸心に対して所定寸法だけ偏心している。
なお、クランク軸40の内部には、上下方向へ延びる給油通路が形成されている。また、主軸部41の下端部には、給油ポンプ43が設けられている。この給油ポンプ43によってケーシング10の底部から冷凍機油が吸い上げられ、その冷凍機油は、クランク軸40の給油通路を通って圧縮機構20の摺動部やクランク軸40の軸受部へ供給される。
(6)下部主軸受
下部主軸受48は、駆動モータ45の下方の下部空間に配設されている。この下部主軸受45は、ケーシング10の胴部11に固定されるとともに滑り軸受48aを介してクランク軸40の主軸部41の下端部を回転自在に支持している。
(7)吸入管
吸入管14は、冷媒回路の冷媒をスクロール圧縮機構15に導くためのものであって、ケーシング10の蓋部12を貫通して固定スクロール21に嵌入されている。
(8)吐出管
吐出管15は、ケーシング10内の冷媒をケーシング10外に吐出させるためのものであって、ケーシング10の胴部11を貫通して胴部11に取り付けられている。なお、この吐出管15は、端部がケーシング10内の圧縮機構20と駆動モータ45の間に位置するように配置されている。
<高圧ドーム型スクロール圧縮機の運転動作>
駆動モータ45が駆動されると、クランク軸40が回転し、可動スクロール22が固定スクロール21に対して公転運動を行う。その際、可動スクロール22は、オルダムリング24によって自転が阻止される。そして、可動スクロール22の公転運動に伴って、圧縮室25a,25bの容積が周期的に増減を繰り返す。圧縮室25a,25bでは、吸入ポート29に連通した部分の容積が増大するときに冷媒回路の冷媒が吸入管14から吸入ポート29を通って圧縮室25a,25bに吸い込まれ、吸入側が閉じ切られた部分の容積が減少するときに冷媒が圧縮される。なお、このとき、第1圧縮室25a及び第2圧縮室25bは、それぞれに間欠的に吸入ポート29に連通する。また、第1圧縮室25a及び第2圧縮室25bは、それぞれに間欠的に吐出通路26に連通する。そして、圧縮された冷媒は、吐出通路26を通って吐出空間28に吐出される。吐出室28に吐出された冷媒は、その後、図示しないガス通路を通じてハウジング23の下方の高圧空間16に流入し、吐出管15から冷媒回路の凝縮器に供給される。
(1)通常運転時の圧縮機構の動作
ここでは、通常運転時の圧縮機構20の冷媒吸入動作及び冷媒圧縮動作について、図11から図16を参照して説明する。通常運転では、ピストン33が閉鎖位置にあって連通孔32を閉鎖しており、第1圧縮室25aと第2圧縮室25bとが遮断状態となっている。なお、図11から図16では、圧縮機構20の動作状態が6つの段階に分けられて示されている。なお、これらの図では、可動スクロール22が時計回り方向に所定の角度間隔で公転している様子が表されている。
先ず、第1段階(図11参照)では、可動スクロール22のラップ22bの巻き終わり端が固定スクロール21のラップ21bの間に位置しており、最外周の第1圧縮室25a−0と第2圧縮室25b−0との両方が吸入ポート29に連通しており、低圧側に開放された状態となっている。なお、図の中心線Y上のポイントP1で可動側ラップ22bの外周面と固定側ラップ21bの内周面とが実質的に接触しており(なお、ここにいう「接触」は、ミクロンオーダーの隙間はあるが、油膜が形成されるために冷媒の漏れが問題にならない状態を意味する)、その接触位置(シールポイント)P1よりも内周側(渦巻きの巻始め側)に位置する第1圧縮室25a−1は既に圧縮行程に入っている。
第1段階から可動スクロール22が更に時計回り方向に公転して第2段階(図12参照)に移ると、可動スクロール22のラップ22bの巻き終わり端の内周面が固定スクロール21のラップ21bの外周面に接触し、その接触位置(シールポイント)P2が第2圧縮室25b−1の吸入閉じ切り位置となる。このとき、最外周の第1圧縮室25a−0は容積が拡大する吸入行程の途中であり、まだ巻き終わり側のシールポイントは形成されていない。
第2段階から可動スクロール22が更に時計回り方向に公転して第3段階(図13参照)に移ると、第2圧縮室25b−1は容積が縮小し、冷媒の圧縮行程が始まり、最外周の第1圧縮室25a−0は容積がさらに拡大しし、冷媒の吸入行程が進む。
第3段階から可動スクロール22が更に時計回り方向に公転して第4段階(図14参照)に移ると、第2圧縮室25b−1の圧縮行程、及び最外周の第1圧縮室25a−0の吸入行程がさらに進む。なお、このとき、既に圧縮途中の第2圧縮室25b−1に対して渦巻きの巻き終わり側に新たな第2圧縮室25b−0が形成され、そこで吸入行程が開始される。
第4段階から可動スクロール22が更に時計回り方向に公転して第5段階(図15参照)に移ると、最外周の第2圧縮室25b−0の吸入行程がさらに進む一方、可動スクロール22のラップ22bの巻き終わり端の外周面が固定スクロール21のラップ21bの内周面に接触し、その接触位置(シールポイント)P1が第1圧縮室25a−1の吸入閉じ切り位置となる。
第5段階から可動スクロール22が更に時計回り方向に公転して第6段階(図16参照)に移ると、第5段階において形成された第1圧縮室25a−1の圧縮行程が進むとともに、最外周の第2圧縮室25b−0の吸入行程が進む。そして、この段階から可動スクロール22が更に時計回り方向に公転すると、第1段階に戻って、圧縮途中の第1圧縮室25a−1の外周側(渦巻きの巻き終わり側)に新たな第1圧縮室25a−0が形成される。そして、第1圧縮室25a−2及び第2圧縮室25b−2は、最も内周側へ移動して容積が最小になったときに吐出ポート26と連通し、十分に圧縮された冷媒が圧縮機構20から吐出される。
(2)調整運転時の圧縮機構の動作
ここでは、調整運転時の圧縮機構20の冷媒吸入動作及び冷媒圧縮動作について、同じく図11から図16を参照して説明する。調整運転では、ピストン33が開放位置にあって連通孔32の小径部32bが開放されており、第1圧縮室25aと第2圧縮室25bとが連通状態となっている。
先ず、第1段階(図11参照)では、通常運転時と同様に、可動スクロール22のラップ22bの巻き終わり端が固定スクロール21のラップ21bの間に位置しており、最外周の第1圧縮室25a−0と第2圧縮室25b−0との両方が吸入ポート29に連通しており、低圧側に開放された状態となっている。しかし、調整運転では、この第1圧縮室25a−1は連通孔32を介して、吸入行程の途中にある最外周の第2圧縮室25b−0に連通している。したがって、第1圧縮室25a−1はまだ吸入閉じ切り位置の手前の状態であり、第2圧縮室25b−0と同様に吸入行程の途中の段階にある。
第1段階から可動スクロール22が更に時計回り方向に公転して第2段階(図12参照)に移ると、固定スクロール21のラップ21bの内周面と可動スクロール22のラップ22bの外周面との接触点P1が連通孔32を通過した直後の位置に変位する。したがって、このときの接触位置(シールポイント)P1が第1圧縮室25a−1の吸入閉じ切り位置となる。一方、この状態で、通常運転時には閉じ切られていた最外周の第2圧縮室25b−1は、圧縮行程に入った第1圧縮室25a−1の渦巻き外周側に形成されている最外周の第1圧縮室25a−0に連通孔32を通じて連通している。そして、この最外周の第1圧縮室25a−0が吸入行程の途中であるため、第2圧縮室25b−1は吸入閉じ切り前である。なお、この状態は、第3段階(図13参照)及び第4段階(図14参照)でも同様であり、第2圧縮室25b−1は吸入閉じ切り前の状態で、まだ巻き終わり側のシールポイントは形成されていない。また、このとき、最外周の第1圧縮室25a−0も吸入行程の途中である。なお、第4段階では、第2圧縮室25b−1の渦巻き外周側に、新たな第2圧縮室25b−0が形成され始める。
第4段階から可動スクロール22が更に時計回り方向に公転して第5段階(図15参照)に移ると、固定スクロール21のラップ21bの外周面と可動スクロール22のラップ22bの内周面との接触点P2が連通孔32を通過する。したがって、このときの接触点P2が第2圧縮室25b−1のシールポイントとなり、第2圧縮室25b−1の圧縮行程が開始される。なお、通常運転時にはこの状態で最外周の第1圧縮室25a−1が閉じ切られた状態になっていたが、調整運転時では最外周の第1圧縮室25a−1が最外周の第2圧縮室25b−0を通じて低圧側に連通している。このため、第1圧縮室25a−1は、まだ吸入行程の途中である。なお、この状態は、第6段階(図16参照)及び第1段階(図11参照)でも同様である。
このように、連通孔32が開放されると、第1圧縮室25a及び第2圧縮室25bの両方の吸入容積が通常運転時に比べて小さくなる。その結果、調整運転では、通常運転時よりもガス循環量が小さくなり、低能力運転となる。なお、本実施の形態では、調整運転が行なわれる場合、駆動モータ45の回転速度が通常運転時よりも速められるように設定されている。このため、調整運転時の能力を通常運転時の能力と同等に保つこともできる。
<第1実施形態に係る高圧ドーム型スクロール圧縮機の特徴>
本実施の形態に係る高圧ドーム型スクロール圧縮機1では、吸入容積調整機構30において、ピストン33にシール装着溝33d及び貫通孔33fが形成されており、さらに、シール装着溝33dには段付合口のピストンリング33eが嵌め込まれている。このため、このスクロール圧縮機1では、ピストン33を付勢する圧縮コイルバネ35の単位面積当たりの付勢力よりも大きな圧力を付与するガス冷媒がガス冷媒導入管50内部に導入されると、高圧ガス冷媒がピストン33の貫通孔33fを通ってピストンリング33eを貫通孔33fの壁に押しつける。このとき、ピストンリング33eは、わずかに広がるが、合口が段付構造を有しているため、高圧流体の漏れを有効に抑制することができる。また、高圧ガス冷媒導入当初、高圧ガス冷媒はピストン33と固定スクロール21の連通孔32との僅かな隙間を流れる。このため、ピストンリング33eは、圧縮室側に押しつけられる。このため、このスクロール圧縮機1では、圧縮コイルバネ35の単位面積当たりの付勢力よりも大きな圧力を付与する高圧ガス冷媒がガス冷媒導入管50内部に導入される場合に、その高圧流体が、圧縮室25a,25bに流れ込むのを有効に抑制することができる。したがって、このスクロール圧縮機1では、通常運転時の能力低下を抑制することができる。
<第1実施形態の変形例>
(A)
第1実施形態に係る高圧ドーム型スクロール圧縮機1では、固定スクロール21のラップ21bは、可動スクロール22のラップ22bよりも約1/2巻き分だけ渦巻きの巻き数が長くなっていたが、図17に示されるように、固定スクロール21のラップ21bの巻き数は、可動スクロール22のラップ22bの巻き数と等しくてもかまわない。なお、かかる場合であって、運転動作は図11〜図16の例と同一となる。
(B)
第1実施形態に係る高圧ドーム型スクロール圧縮機1では連通孔32の小径孔部32bの開口が固定スクロール21の渦巻き溝の外周側一巻き範囲内に一箇所のみ設けられていたが、連通孔32の開口は複数箇所に設けてもよい。また、かかる場合、その開口に対応する連通孔が複数形成されてもよい。このようにすると、圧縮機構20の吸入容積を段階的に調整することができる。したがって、冷媒回路の運転条件に応じて、より細かい制御を行うことが可能となる。
(C)
第1実施形態では固定スクロール21及び可動スクロール22が組み合わせられたスクロール圧縮機構20を有するスクロール圧縮機が一例として説明されたが、本発明は、両歯タイプのスクロール圧縮機や、両方のスクロール部材が旋回するタイプのスクロール圧縮機にも適用可能である。
(D)
第1実施形態に係る高圧ドーム型スクロール圧縮機1では固定スクロール21に形成される連通孔32は大径孔部32a及び小径孔部32bから構成されていたが、連通孔はこのような形状に限定されることはなく適宜適した形状に成形されてもかまわない。
−第2実施形態−
第2実施形態に係る高圧ドーム型スクロール圧縮機1は、吸入容積調整機構を除いて第1実施形態に係る高圧ドーム型スクロール圧縮機1と同一である。したがって、ここでは、主に、吸入容積調整機構についてのみ説明を行う。
第2実施形態に係る吸入容積調整機構130には、第1実施形態に係る吸入容積調整機構30の構成要素に加え更に、低圧空間17と大径孔部32aとを連通させるリーク孔132が設けられている(図18参照)。本実施の形態では、吸入容積調整機構130がこのように構成されることにより、調整運転時には第1圧縮室25aと第2圧縮室25bとが互いに連通するとともに第1圧縮室25a及び第2圧縮室25bが低圧空間17に連通する。なお、通常運転時には第1圧縮室25aと第2圧縮室25bとが遮断されるとともに第1圧縮室25a及び第2圧縮室25bが低圧空間17から遮断される。
<第2実施形態の変形例>
(A)
第2実施形態に係る高圧ドーム型スクロール圧縮機1では、リーク孔132により低圧空間17と大径孔部32aとが連通されたが、リーク孔は、圧縮機構20の吸入側の配管と小径孔部32bとを連通するように形成されてもよいし、吸入空間が設けられている場合にはその吸入空間と小径孔部32bとを連通するように形成されてもよい。
(B)
第2実施形態に係る高圧ドーム型スクロール圧縮機1では、調整運転時において第1圧縮室25aと第2圧縮室25bとが互いに連通するとともに第1圧縮室25a及び第2圧縮室25bが低圧空間17に連通するように連通孔32及びリーク孔132が形成されたが、調整運転時において第1圧縮室25a及び第2圧縮室25bの一方が低圧空間17に連通するように連通孔32及びリーク孔132が形成されてもよい。
−第3実施形態−
第3実施形態に係る高圧ドーム型スクロール圧縮機1は、連通孔を除いて第1実施形態に係る高圧ドーム型スクロール圧縮機1と同一である。したがって、ここでは、主に、連通孔についてのみ説明を行う。
第3実施形態に係る連通孔132a,132bは、図19に示されるように2つ形成されており、一方が第1圧縮室25a用に形成されており、もう一方が第2圧縮室25b用に形成されている。なお、ここで、符号132aで示される連通孔(以下「第1連通孔」という)が第1圧縮室25a用のものであり、符号132bで示される連通孔(以下「第2連通孔」という)が第2圧縮室25b用のものである。また、本実施の形態において、これらの連通孔132a,132bは互いに独立した孔となっている。また、これらの連通孔132a,132bの開口は図19に示されるように円弧形状となっており、第1連通孔132aの開口は固定スクロール21のラップ21bの内周面に沿っており、第2連通孔132bの開口は固定スクロール21のラップ21bの外周面に沿っている。
かかる場合、吸入容積調整機構は、第1実施形態に係る吸入容積調整機構30と同様のものであればよい。ただし、ピストン33の形状は、各連通孔132a,132bに適合するようにする必要がある。
本実施の形態において、通常運転では、第1実施形態及び第2実施形態と同様、渦巻きの巻き終わり側で離れていたラップ21b,22b同士が実質的に接触してシールポイントが形成された位置が吸入閉じ切り位置となり、その時点で、第1圧縮室25a及び第2圧縮室25bが形成される。
一方、調整運転では、第1圧縮室25aと第2圧縮室25bのいずれにおいても、両ラップ21b,22bの接触位置が連通孔132a,132bの開口のある位置を通過するまでは圧縮室25a,25bが閉じ切られない。つまり、第1圧縮室25a及び第2圧縮室25bの一方は、接触位置が連通孔132a,132bの開口を通過するまで、接触位置の内周側の部分が外周側の部分を介して圧縮機構20の吸入側に連通した状態であり、接触位置が連通孔132a,132bの開口を通過した直後の位置が吸入閉じ切り位置となる。図19及び図20を用いてさらに具体的に説明すると、図19に示される段階において、通常運転では閉じ切られている第2圧縮室25b−1は、調整運転では閉じ切られていない。また、図20に示される段階において、通常運転では閉じ切られている第1圧縮室25a−1は、図19に示される段階と同様に、調整運転では閉じ切られていない。
このため、この本実施の形態に係るスクロール圧縮機においても吸入容積の大きさを調整することが可能となる。
<第3実施形態の変形例>
(A)
第3実施形態に係るスクロール圧縮機では、固定スクロールの鏡板に、第1圧縮室25a用の第1連通孔132aと、第2圧縮機25b用の第2連通孔132bとが設けられたが、第1圧縮室25aの吸入容積のみを小さくできるように第1圧縮室25a用の連通孔132aのみを形成するようにしてもよい。このようにすれば、第1圧縮室25aと第2圧縮室25bのガスの圧力差を小さくすることができる。したがって、ガス荷重のアンバランスや、渦巻きの自転トルクの変動による振動の影響を小さくすることが可能となる。
(B)
第3実施形態では特に言及しなかったが、ガス荷重のバランスは第1圧縮室25aと第2圧縮室25bの相対的な関係である。このため、第1圧縮室25aと第2圧縮室25bの両方の吸入容積を調整することができるように、第2圧縮室25bの吸入容積の調整位置を第1圧縮室25aの吸入容積の調整位置よりも渦巻きの外周側(巻き終わり側)にずらすようにしてもよい。
本発明に係るスクロール圧縮機は、付勢部材の単位面積当たりの付勢力よりも大きな圧力を付与する流体が流体導入管内部に導入される場合であっても、その高圧流体が、第1スクロール部材及び第2スクロール部材によって形成される圧縮室に漏れるのを有効に防止することができるという特徴を有し、特に更新需要向けのスクロール圧縮機として有用である。
1 スクロール圧縮機
10 ケーシング
20 圧縮機構
21 固定スクロール(第1スクロール部材)
21a 鏡板
21b ラップ
21c 縁部(最外壁)
22 可動スクロール(第2スクロール部材)
22a 鏡板
22b ラップ
29 吸入ポート(流体吸入口)
32 連通孔(第1貫通孔)
33 ピストン
33c 環状溝
33e ピストンリング
33f 貫通孔(第2貫通孔)
35 圧縮コイルバネ(付勢部材)
50 ガス冷媒導入管(流体導入管)
SP 隙間空間
特開2007−154761号公報

Claims (2)

  1. 第1平板部(21a)と、前記第1平板部の第11板面から前記第11板面に略垂直な方向に向かって渦巻形状を保持しながら延びる第1渦巻壁部(21b)と、前記第1渦巻壁部の巻き終わり端の近傍に形成される流体吸入口(29)と、前記第1渦巻壁部の最外壁(21c)と前記最外壁に対向する内周壁とに挟まれる第11板面部分のうち前記流体吸入口から所定長さ離れた位置に位置する第11板面部分に開口する第1開口から前記第1平板部を貫通するように延びる第1貫通孔(32)と、前記第1貫通孔に連通する第3貫通孔(132)とを有する第1スクロール部材(21)と、
    第2平板部(22a)と、前記2平板部の第21板面から前記第21板面に略垂直な方向に向かって渦巻形状を保持しながら延び前記第1渦巻壁部と噛み合う第2渦巻壁部(22b)とを有する第2スクロール部材(22)と、
    前記第1スクロール部材及び前記第2スクロール部材を収容するケーシング(10)と、
    前記第1貫通孔の前記第1開口の反対側に形成されている開口から前記ケーシングを貫通して延び、内部空間が前記第1貫通孔に連通する流体導入管(50)と、
    前記第1貫通孔内において付勢部材(35)により流体導入管側に付勢されており、側面に形成される環状溝(33d)と、前記流体導入管側の端面及び前記環状溝の底面に開口する第2貫通孔(33f)とを有し、前記付勢部材の単位面積当たりの付勢力よりも大きな圧力を付与する流体が前記流体導入管内部に導入される場合に前記第1貫通孔と第3貫通孔とが連通したままの状態で前記第1開口を遮蔽する状態となり、前記流体導入管内部に前記付勢部材の単位面積当たりの付勢力よりも小さな圧力を付与する流体が導入される場合に前記第1開口の上部に隙間空間(SP)を形成するとともに前記隙間空間と前記第3貫通孔とを連通させる状態となるピストン(33)と、
    前記ピストンの環状溝に嵌め込まれる段付合口のピストンリング(33e)と
    を備えるスクロール圧縮機(1)。
  2. 前記ピストンリングは、樹脂製である
    請求項1に記載のスクロール圧縮機。
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