JP4844376B2 - 溶融金属の連続鋳造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、溶融金属の連続鋳造の過程で、溶融金属中に金属元素を高い歩留りで添加し、鋳片内に均一に安定して分散させることができる連続鋳造方法に関する。
溶融金属中に金属元素を添加するには、塊状の金属元素を溶融金属の湯面に投入するか、あるいは金属元素単味で作製したワイヤー、それらの金属元素をアルミニウムや鋼などで被覆したワイヤー、それらの金属元素を含有する合金で作製したワイヤーにより添加する方法などが採用されている。しかしながら、これらの方法を用いてマグネシウム、ビスマス、カルシウム、希土類元素、テルル、鉛などのように蒸気圧が高く、融点の低い金属元素を精度良く添加することは困難である。その理由は、蒸気圧が高い金属元素が溶融金属中に添加されると、溶融金属の湯面近傍において、金属元素が気化して大気中に放散されるため、溶融金属中への添加量を制御することが難しく、添加歩留りも低下して、均一に添加することが困難だからである。
また、金属元素が気化する際の体積膨張が大きいことから、溶融金属の湯面近傍で気化した場合には、溶融金属の飛散が激しく、操業上の安全の確保が困難である。さらに、添加金属元素の融点が低い場合には、添加前に溶融金属の輻射熱により軟化あるいは溶融し、所定量を添加することが困難となる。溶融金属よりも密度の小さい金属元素を添加する場合には、添加された金属が溶融金属の表層部のみに偏在し、溶融金属の内部にまで侵入しない。密度の大きな金属元素を添加する場合には、添加位置から溶融金属内部に沈降するのみで溶融金属全体に均一に混合させることは困難である。
近年、製品の機械的特性の向上のために、結晶粒の微細化および析出物の微細化が積極的に進められている。結晶粒および析出物の微細化には微小な化合物の晶出および析出によるピン止あるいは不均質核生成が有効である。このような効果を得るためには、適正量の金属元素を適正位置において添加することが重要である。
特許文献1には、取鍋を出てタンディッシュ内溶鋼浴面へ移動中の溶鋼流にビスマスを添加する方法が開示されている。しかし、ビスマスは沸点が低く、溶鋼流と接触すると爆発的に反応し、蒸気となって雰囲気中に飛散するため、添加歩留まりが低く、溶鋼中に均一に添加できず、したがって、連続鋳造鋳片内に均一に分散しない。
特許文献2には、取鍋内の溶鋼にランスを用いてインジェクションにより鉛、ビスマス、または鉛およびビスマス含有物質を添加するとともに、取鍋底部のポーラスプラグからガスを噴出させて攪拌する方法が開示されている。同文献で開示された方法においても、融点あるいは沸点の低い鉛およびビスマスを添加する場合には、これらの金属が溶鋼と接触すると爆発的な反応が生じ、溶鋼中への金属の添加が不均一になるとともに歩留りが低く、金属が連続鋳造鋳片内に均一に分散しない。また、溶鋼中に添加した鉛やビスマスの反応生成物を任意に調整することは難しい。
特開2001−1116号公報(特許請求の範囲および段落[0013]) 特開平9−13119号公報(特許請求の範囲および段落[0004]および[0005]) 特開2004−249315号公報(特許請求の範囲および段落[0011]〜[0015]) 特開2005−169404号公報(特許請求の範囲および段落[0012]〜[0015]) 特開2005−219072号公報(特許請求の範囲および段落[0014]〜[0017])
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その課題は、低融点または低沸点の金属元素の適正量を溶融金属中に添加でき、連続鋳造鋳片内に上記金属元素を均一にしかも安定して分散させることが可能な連続鋳造方法を提供することにある。
本発明者らは、上述の課題を解決するために、低融点または低沸点の金属元素の適正量を溶融金属中に添加し、連続鋳造鋳片内に均一にしかも安定して分散させることが可能な連続鋳造方法を検討し、下記の(a)〜(c)に示す知見を得た。
(a)タンディッシュ内の溶融金属に浸漬した浸漬ランス内に添加金属元素を含有するワイヤーまたはロッドを挿入することにより、溶融金属中に金属元素を添加するに際して、タンディッシュ内への単位時間当たりの溶融金属供給量に応じて、浸漬ランス内への前記金属ワイヤーまたはロッドの供給速度を制御することにより、溶融金属中に添加する金属元素の濃度を一定にすることができる。
(b)タンディッシュ内の溶融金属の深さに応じて、前記金属ワイヤーの供給の際に用いるキャリアーガス(不活性ガス)の供給流量および/または圧力を制御することにより、溶融金属の飛散(スプラッシュ)の発生を防止することができる。
(c)上記(a)および(b)の方法は、溶鋼中にマグネシウム、ビスマス、銀、カルシウム、テルル、鉛、マンガン、リチウム、イッテビウム、ネオジム、ランタン、セリウム、バリウム、ストロンチウムおよびタリウムから選ばれた1種以上を添加する場合に有効である。
本発明は、上記の知見に基づいて完成されたものであり、その要旨は、下記の(1)および(2)に示す溶融金属の連続鋳造方法にある。
(1)タンディッシュ内の溶融金属に浸漬させた浸漬ランス内に、溶融金属に添加する金属元素を含有するワイヤーまたはロッドを挿入し、浸漬ランス内部の下部先端近傍において、金属元素の蒸気および/または粒子を発生させ、発生した金属蒸気および/または金属粒子を不活性ガスとともに溶融金属中に添加する連続鋳造方法であって、タンディッシュ内への単位時間当たりの溶融金属供給量に応じて浸漬ランス内へのワイヤーまたはロッドの供給速度を制御するとともに、タンディッシュ内の溶融金属の深さに応じて不活性ガスの供給流量および/または圧力を制御することを特徴とする溶融金属の連続鋳造方法。
(2)前記の溶融金属が溶鋼であり、溶融金属に添加する前記金属元素がマグネシウム、ビスマス、銀、カルシウム、テルル、鉛、マンガン、リチウム、イッテビウム、ネオジム、ランタン、セリウム、バリウム、ストロンチウムおよびタリウムから選ばれた1種以上を含む金属であることを特徴とする前記(1)に記載の溶融金属の連続鋳造方法。
本発明において、「金属蒸気および/または金属粒子」とは、金属蒸気および/または、蒸発が不十分なために存在する金属粒子、もしくは金属蒸気が凝縮して形成される金属粒子を意味する。また、「金属」とは、純金属および金属の合金を含む。
また、「不活性ガス」とは、周期律表の18属元素のヘリウム、ネオン、アルゴンなどのガスを意味する。
本発明の溶融金属の連続鋳造方法によれば、タンディッシュ内における溶融金属の飛散の発生量が著しく低減されるとともに、鋳片内の添加金属元素の濃度変動が極めて低く抑制されるので、低融点または低沸点の金属元素の適正量を溶融金属中に安定して歩留まり良く添加でき、連続鋳造鋳片内に均一に分散させることができる。
(1)発明の基本構成
蒸気圧が高い金属元素または融点が低い金属元素を溶融金属中に添加する場合、それらの添加金属は、溶融金属と接触するかまたは溶融金属からの輻射熱を受けて溶融するかまたは気化する。溶融金属中に添加する以前、あるいは添加した瞬間に金属元素が溶融または気化すると、これらの金属元素を溶融金属中に均一に歩留り良く添加することは困難である。また、連続鋳造鋳片内に金属元素を均一に添加するには、連続鋳造鋳型に近いタンディッシュ内、または連続鋳造鋳型内の溶融金属に添加する方法が最適である。
本発明者らは、先に特許文献3、特許文献4および特許文献5において、金属元素の蒸気または金属元素の化合物をタンディッシュ内または連続鋳造鋳型内の溶融金属中に添加する方法を提案した。これらの方法により、金属元素または金属元素の化合物を溶融金属中に均一に、しかも歩留り良く添加することが可能になった。
前記のとおり、さらに課題を解決し、改善された本発明は、タンディッシュ内への単位時間当たりの溶融金属供給量に応じて浸漬ランス内へのワイヤーまたはロッドの供給速度を制御するとともに、タンディッシュ内の溶融金属の深さに応じて不活性ガスの供給流量および/または圧力を制御することを特徴とする溶融金属の連続鋳造方法である。
図1は、本発明の連続鋳造方法の一例を示す図である。取鍋3からタンディッシュ2に供給された溶融金属1は、浸漬ノズル6を経由して鋳型8内に注入され、下方に引き抜かれながら凝固シェル7を形成して鋳片となる。添加金属元素を含有する金属ワイヤー50が、タンディッシュ2内の溶融金属1中に浸漬された浸漬ランス4内に挿入され、添加金属元素は最終的に金属蒸気となってタンディッシュ2内の溶融金属1中に供給される。
浸漬ランス4の上端部はワイヤー供給機5に接続されている。金属ワイヤー供給機5にはワイヤーリール51が装填されており、金属ワイヤー50は、ワイヤー繰出し速度制御装置11によりその繰出し速度を制御されたワイヤー繰出しロール52により、浸漬ランス4内に挿入される。金属ワイヤー供給機5にはキャリアーガス9が導入され、金属ワイヤー50とともに浸漬ランス4内に供給される。以下に、溶融金属1が溶鋼の場合を例にとり、さらに詳細に説明する。
(2)キャリアーガスの流量および圧力制御ならびに金属ワイヤーの供給速度制御
鋼の連続鋳造では、連続鋳造において取鍋3からタンディッシュ2に溶鋼1が供給され、所定の溶鋼量になった時に浸漬ノズル6を介して鋳型内に溶鋼1が供給されて連続鋳造が開始される。タンディッシュ2に溶鋼1が供給され始めてから所定量に達するまでの間に浸漬ランス6の高さ位置が固定されている場合には、浸漬ランス4内の圧力が上昇し、その結果、浸漬ランス4からの金属蒸気および/または金属粒子とキャリアーガス9の噴出量が変化する。溶鋼1が所定量に達するまでに浸漬ランス4の先端部に加わる静鉄圧(溶鋼のヘッドによる静圧)が上昇するからである。
浸漬ランス4に供給するキャリアーガス9の流量および圧力が予めに一定に設定されていると、タンディッシュ2内の溶鋼が所定量に達するまでは、浸漬ランス4の浸漬深さに対するキャリアーガス量が多過ぎて溶鋼1が飛散し、タンディッシュ2の側面や上面の耐火物に付着する。タンディッシュ2を熱間で再使用する場合には、このスプラッシュを除去する必要があり、これが操業能率を低下させる要因となる。また、溶鋼1が激しく攪拌されるため、タンディッシュ2内雰囲気ガス中の酸素と溶鋼1とが反応して酸化物を生成し、この酸化物が溶鋼1中に取り込まれる結果、溶鋼1の清浄性が著しく低下する。同様の現象は、連続鋳造終了前にタンディッシュ2内の溶鋼量が少なくなった場合においても起こる。
このような溶鋼1の飛散を防止するには、タンディッシュ内の溶鋼の深さに応じて、浸漬ランス4から溶鋼1中に供給されるキャリアーガス9の流量および/または圧力を適正に制御すればよい。具体的には、例えば、溶鋼レベル計21による溶鋼湯面位置の測定値または溶鋼重量測定装置22による測定値から算出される溶鋼深さ、ならびに圧力計55による圧力測定値および流量計54による流量測定値を流量圧力制御装置10に入力し、流量圧力制御装置10からの指令により流量制御弁53および/または圧力制御弁56の制御を行うことにより、浸漬ランス4から溶鋼1中に供給されるキャリアーガス9の流量および/または圧力を適正範囲内に制御すればよい。
金属ワイヤー50または金属ロッドの供給速度が一定であって、連続鋳造の開始前または終了前におけるタンディッシュ2内の溶鋼量が少ない時には、溶鋼量に対して金属元素の添加量が相対的に多過ぎることになる。また、連続鋳造途中で鋳造速度が変化した場合に、金属ワイヤー50または金属ロッドの供給速度が一定であれば、鋳片内の金属元素の濃度が変化する。このような濃度の変化を防止するには、重量測定装置22または重量測定装置31による測定値に基づいて算出されるタンディッシュ2内への溶鋼供給質量速度をワイヤー繰り出し速度制御装置11に入力し、その溶鋼供給速度に応じてワイヤー繰り出し速度制御装置11からの指令により金属ワイヤー50または金属ロッドの供給速度を適正範囲内に制御すればよい。
本発明の連続鋳造方法および連続鋳造装置の効果を確認するため、以下に示す連続鋳造試験を実施して、その結果を評価した。
〔実施例1〕
1.鋳造試験条件
溶融金属:低炭素鋼(質量%で、C:0.16%、Si:0.15%、Mn:0.5%、P:0.02%、S:0.001%、Ti:0.15%)
溶融金属量:5トン/分で連続鋳造
添加金属:マグネシウム(Mg)または銀(Ag)を、それぞれ単独で添加
添加方法:直径3mmφの金属ワイヤー
ワイヤーの供給速度:基準値2m/分
添加位置:タンディッシュ内
キャリアーガス:アルゴンガス、基準値10L/分
圧力:基準値0.03MPa
図1に示す方法にしたがって、浸漬ランス内に金属ワイヤーを挿入することにより添加金属元素の蒸気を発生させ、これを不活性ガスとともに溶融金属中に供給する連続鋳造試験を行った。
図2に、本鋳造試験において採用した操業条件を示した。同図(a)は鋳造各期における溶鋼深さ(溶鋼量)の推移を、同図(b)は鋳造各期における鋳造速度(単位時間当たりの溶鋼供給量)の推移を、そして、同図(c)は鋳造各期における金属ワイヤー供給速度、キャリアーガス流量および圧力の推移を示している。
取鍋3からタンディッシュ2に供給された溶鋼1により浸漬ランス4が浸漬された時点で、金属ワイヤー50およびキャリアーガス9の供給を開始した。浸漬ランス4がタンディッシュ2内の溶鋼1に浸漬してから鋳造開始深さに達するまでは、溶鋼量が増加していくため、ワイヤー50の供給量を増大させる必要があり、また浸漬ランス4の浸漬深さが増大する結果、浸漬ランス4内の圧力が上昇するため、キャリアーガス9の圧力および流量も増大させる必要がある。タンディッシュ内の溶鋼量が所定量(所定深さ)に達した時点で、鋳造速度(単位時間当たりの溶鋼供給量)が基準値に達するため、金属ワイヤー50の供給速度、キャリアーガス9の流量および圧力も、その時点で基準値となるように制御した。
一方、鋳造末期においては、取鍋3からタンディッシュ2への溶鋼1の供給量が減少するか、または供給されなくなっている。したがって、タンディッシュ内溶鋼量(溶鋼深さ)は低下し、鋳造速度も低下させる必要があることから、それにともなって金属ワイヤー50の供給速度、キャリアーガス9の流量およびその圧力を低下させる必要がある。鋳造終了前には、浸漬ランス4が溶鋼1の上表面から露出するため、金属ワイヤー50およびキャリアーガス9の供給を停止した。なお、金属ワイヤー50を停止しても、金属ワイヤー50によるタンディッシュ2内の溶鋼1への金属元素の添加は、すでに行われていることになる。
2.鋳造試験結果
鋳造試験における制御条件および試験結果を表1に示した。
Figure 0004844376
同表において、スプラッシュ発生指数は、タンディッシュ内の側面および上面に付着したスプラッシュの付着面積を測定し、これを、キャリアーガスの流量制御、キャリアーガスの圧力制御および金属ワイヤーの供給速度制御をいずれも行わなかった比較例の試験番号4におけるスプラッシュ付着面積により除して指数化することにより求めた。
また、鋳片内濃度変動指数は、鋳片の鋳造方向の複数箇所において、添加金属元素であるマグネシウムまたは銀の濃度を測定し、マグネシウムまたは銀のいずれかの元素の最大濃度差を、キャリアーガスの流量制御、キャリアーガスの圧力制御および金属ワイヤーの供給速度制御をいずれも行わなかった同試験番号4における最大濃度差により除して指数化することにより求めた。ここで、鋳造初期における添加元素の濃度測定は、鋳片の先端から鋳造方法に500mm間隔で5箇所から、また、鋳造定常期における濃度測定は、鋳片の定常鋳造部分において鋳造方向に5000mm間隔で5箇所から、そして、鋳造末期における濃度測定は、鋳片の後端から鋳造方向と反対方向に500mm間隔で5箇所から、それぞれ分析用サンプルを採取し、これらの元素分析を行うことにより実施した。
試験番号1は、本発明で規定するとおり、キャリアーガスの供給流量および/または圧力を制御するとともに金属ワイヤーの供給速度を制御した本発明例についての試験であり、試験番号2〜4は、本発明で規定する制御条件の少なくとも一つを満足しない比較例についての試験である。
本発明例である試験番号1では、連続鋳造の初期および末期のいずれにおいても、スプラッシュの発生量が顕著に低減されるとともに、鋳片内における添加元素の濃度変動も極めて低くなり、良好な品質の鋳片が得られた。
これに対して、キャリアーガスの流量および圧力制御は行ったものの、金属ワイヤーの供給速度を制御しなかった比較例の試験番号2では、連続鋳造の初期および末期のいずれにおいても、スプラッシュの発生量は低減したが、鋳片内における添加元素の濃度変動は試験番号4の場合と同程度であり、全く改善されなかった。また、金属ワイヤーの供給速度は制御したが、キャリアーガスの流量および圧力を制御しなかった比較例の試験番号3では、鋳片内における添加元素の濃度変動は低減したものの、スプラッシュの発生量は試験番号4の場合と同程度であり、全く改善されなかった。
〔実施例2〕
1.鋳造試験条件
溶融金属:低炭素鋼(質量%で、C:0.12%、Si:0.13%、Mn:1.2%、P:0.018%、S:0.002%、Ti:0.12%)
溶融金属量:5トン/分で連続鋳造
添加金属:マグネシウムまたはストロンチウム(Sr)を、それぞれ単独で添加
添加方法:直径3mmφの金属ワイヤー
ワイヤーの供給速度:基準値2m/分
添加位置:タンディッシュ内
キャリアーガス:アルゴンガス、基準値10L/分
圧力:基準値0.03MPa
図1に示された方法にしたがって実施例1の場合と同様の方法で鋳造試験を行った。また、金属ワイヤーの供給速度ならびにキャリアーの流量および圧力の制御条件も、実施例1の場合と同様に、図2に示され条件にしたがった。
2.鋳造試験結果
鋳造試験における制御条件および試験結果を表2に示した。
Figure 0004844376
同表において、スプラッシュ発生指数は、実施例1の場合と同様に、各試験で得られたスプラッシュの付着面積を、キャリアーガスの流量制御、キャリアーガスの圧力制御および金属ワイヤーの供給速度制御をいずれも行わなかった比較例の試験番号8におけるスプラッシュ付着面積により除して指数化した値である。また、鋳片内濃度変動指数は、実施例1の場合と同様に、鋳片の鋳造方向の複数箇所において、添加金属元素であるマグネシウムまたはストロンチウムの濃度を測定し、各試験で得られたマグネシウムまたはストロンチウムのいずれかの元素の最大濃度差を試験番号8における最大濃度差により除して指数化した値である。
試験番号5は、本発明で規定するとおり、キャリアーガスの供給流量および/または圧力を制御するとともに金属ワイヤーの供給速度を制御した本発明例についての試験であり、試験番号6〜8は、本発明で規定する制御条件の少なくとも一つを満足しない比較例についての試験である。
本発明例である試験番号5では、連続鋳造の初期および末期のいずれにおいても、スプラッシュの発生量が顕著に低下するとともに、鋳片内における添加元素の濃度変動も極めて小さくなり、良好な結果が得られた。
これに対して、キャリアーガスの流量および圧力制御は行ったが、金属ワイヤーの供給速度は制御しなかった比較例の試験番号6では、連続鋳造の初期および末期のいずれにおいても、鋳片内における添加元素の濃度変動が試験番号8における値と同程度であり、全く改善されなかった。また、金属ワイヤーの供給速度は制御したものの、キャリアーガスの流量および圧力制御を制御しなかった比較例の試験番号7では、スプラッシュの発生量が試験番号8における値と同程度であり、全く改善されなかった。
以上の実施例1および2に示された結果から、本発明の連続鋳造方法によれば、連続鋳造の初期および末期においてスプラッシュの発生量が著しく低減されるとともに、鋳片内の添加金属元素の濃度変動が極めて良好に抑制されるので、本発明は鋳造操業性の向上および鋳片品質の安定に大きく寄与できることが確認された。また、上記の実施例では、溶融金属が溶鋼の場合を例にとり説明を行ったが、本発明は他の溶融金属を用いた場合においても同様の効果を発揮する。
本発明の溶融金属の連続鋳造方法によれば、タンディッシュ内における溶融金属のスプラッシュの発生量が著しく低減されるとともに、鋳片内の添加金属元素の濃度変動が極めて低く抑制されるので、低融点または低沸点の金属元素を溶融金属中に安定して歩留まり良く添加でき、連続鋳造鋳片内に均一に分散させることができる。したがって、本発明の連続鋳造方法は、金属鋳片内における添加金属元素の分布をはじめとする鋳片品質の均一化、さらには鋳造および加工製品の品質向上に広範に適用できる。
本発明の連続鋳造方法の一例を示す図である。 本発明の連続鋳造方法の操業条件の一例を模式的に示す図であり、同図(a)は鋳造各期における溶鋼深さの推移を、同図(b)は鋳造各期における鋳造速度の推移を、同図(c)は鋳造各期における金属ワイヤー供給速度、キャリアーガス流量および圧力の推移を示す。
符号の説明
1:溶融金属、溶鋼、 2:タンディッシュ、 21:溶鋼レベル計、
22:重量測定装置、 3:取鍋、 31:重量測定装置、 4:浸漬ランス、
5:金属ワイヤー供給機、 50:金属ワイヤー、 51:ワイヤーリール、
52:ワイヤー繰出しロール、 53:流量制御弁、 54:流量計、 55:圧力計、 56:圧力制御弁、 6:浸漬ノズル、 7:凝固シェル、 8:連続鋳造鋳型、
9:不活性ガス、キャリアーガス、 10:流量圧力制御装置、
11:ワイヤー繰出し速度制御装置、

Claims (2)

  1. タンディッシュ内の溶融金属に浸漬させた浸漬ランス内に、該溶融金属に添加する金属元素を含有するワイヤーまたはロッドを挿入し、
    該浸漬ランス内部の下部先端近傍において、該金属元素の蒸気および/または粒子を発生させ、発生した該金属蒸気および/または該金属粒子を不活性ガスとともに該溶融金属中に添加する連続鋳造方法であって、
    該タンディッシュ内への単位時間当たりの溶融金属供給量に応じて浸漬ランス内への該ワイヤーまたはロッドの供給速度を制御するとともに、
    該タンディッシュ内の溶融金属の深さに応じて該不活性ガスの供給流量および/または圧力を制御することを特徴とする溶融金属の連続鋳造方法。
  2. 前記の溶融金属が溶鋼であり、溶融金属に添加する前記金属元素がマグネシウム、ビスマス、銀、カルシウム、テルル、鉛、マンガン、リチウム、イッテビウム、ネオジム、ランタン、セリウム、バリウム、ストロンチウムおよびタリウムから選ばれた1種以上を含む金属であることを特徴とする請求項1に記載の溶融金属の連続鋳造方法。
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