JP4843895B2 - 水溶液の処理方法および装置 - Google Patents

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Description

本発明は、電気透析法等を利用した、水溶液の処理方法に関する。
ステンレス鋼の板等を製造する際に、圧延後の焼きなまし処理によって表面に生成した酸化スケールを除去するために、硝ふっ酸(硝酸とふっ化水素酸の混酸)で酸洗する工程が行われている。酸洗によって、硝ふっ酸中には鉄やクロム等の金属が金属イオンとなって溶け込むと共に、有効な硝酸やふっ化水素酸の濃度が低下するので、ある程度使用した段階で、廃酸として処理される。
従来は、この廃酸を水酸化カルシウム等を用いて中和し、金属イオンを水酸化物、ふっ素をふっ化カルシウムとして沈殿分離して埋め立て廃棄すると共に、硝酸カルシウムを含む溶液を下水へ排出してきた。しかし、このような処理方法は公害防止や省資源の観点から問題があり、改善が望まれてきた。
前記の問題を解決する技術が「産業機械」誌の472号(1990年1月号)の52〜54ページに紹介されている。この技術においては、廃酸の中和のために水酸化カリウムを用い、生成した金属水酸化物を分離して得られる硝酸カリウムおよびふっ化カリウムの水溶液をバイポーラ膜を用いた電気透析法で処理して、硝ふっ酸および水酸化カリウム水溶液を得ている。
このようにして得られた水酸化カリウム水溶液は廃酸の中和に再使用され、硝酸とふっ化水素酸の混合水溶液(すなわち、硝ふっ酸)はステンレス鋼の酸洗に再使用される。
一方、中和処理によって生成する金属水酸化物に含まれる不純物のふっ素が多いと、これを金属資源として利用する際に支障が生じるが、中和時のpHを14付近にまで高めると、ふっ素含有量の少ない金属水酸化物が得られることがわかっている。
前述のように、ステンレス鋼の酸洗廃液を中和処理して、ふっ素含有量の少ない金属水酸化物を得ることができる。しかし、このためには中和時のpHを14付近にまで高める必要があり、生成した金属水酸化物を分離した水溶液には濃厚なアルカリ(水酸化カリウム)が含まれるので、これを電気透析処理して硝ふっ酸と水酸化カリウム水溶液を得る際に、無駄な電力が必要となる。また、得られる硝ふっ酸の濃度が低下するという不都合も生じる。
また、本発明者の研究によれば、金属チタンや金属シリコンを硝ふっ酸で酸洗した廃液を同様に水酸化カリウムで中和処理しても、ふっ素含有量の少ない金属水酸化物は得られない。
一方、金属水酸化物を分離して得られる水溶液を処理するためのバイポーラ膜を用いた電気透析法は理論的には優れた方法であり、塩の水溶液から酸およびアルカリを回収することができる。しかし、実用面から見ると、バイポーラ膜は通常のイオン交換膜に比べて寿命が大幅に短く、ランニングコストおよび電気透析装置のメンテナンス費用が大きいという問題がある。
本発明の課題は、金属チタンや金属シリコン、あるいはステンレス鋼を硝ふっ酸で酸洗した廃液のように、チタンやシリコン、あるいは鉄のふっ化物を含む水溶液からこれらの金属成分をふっ素含有量の少ない水酸化物として回収すると同時に、水酸化物を分離した後の水溶液から酸を生成させて回収するためのより安価で効率的な方法を提供することである。
本発明者は、チタン、シリコンまたは鉄の水酸化物に含まれるふっ素を少なくするために、添加するアルカリ性薬品の種類や添加量(すなわち、添加後の水溶液のpH)を種々に変えた試験を行った結果、下記の知見を得た。
(1)沈殿物中のふっ素含有率は、一般に、アルカリ性薬品の添加量を増し、pHを高めるほど低くなる。
(2)アルカリ性薬品として、水酸化ナトリウムを添加すると、pHを10〜14に高めても、沈殿物中のふっ素含有率が高くなる(金属元素に対して、50〜100mol%)。
(3)アルカリ性薬品として、水酸化カリウムを添加し、pHを13〜14まで高めると、鉄の水酸化物沈殿中のふっ素含有率は低くなる(鉄に対して、10mol%未満)。しかし、チタンおよびシリコンの水酸化物沈殿中のふっ素含有率はpH14においても高い(金属元素に対して、30〜100mol%)。
(4)アルカリ性薬品として、アンモニア(アンモニア水または/およびアンモニアガス)を添加し、pHを9〜10まで高めると、チタンの水酸化物沈殿中のふっ素含有率は低くなる(チタンに対して、5mol%未満)。また、シリコンの水酸化物沈殿中のふっ素含有率はpHが8〜10の範囲で、十分に低い(5mol%未満)。一方、pH9〜10における鉄の水酸化物沈殿中のふっ素含有率は、上記(3)の鉄の水酸化物沈殿中のふっ素含有率より高くなる(10〜30mol%)。
(5)アルカリ性薬品としてアンモニアを添加し、pHを10付近にした後、さらに水酸化カリウムを添加してpHを12〜13にまで高めると、鉄の水酸化物沈殿中のふっ素含有率は、上記(2)の鉄の水酸化物沈殿中のふっ素含有率と同程度まで低くなる(10mol%未満)。
一方、本発明者は上記の水酸化物沈殿の収率と沈殿物の分離性についても調査した結果、下記の知見を得た。
(6)アルカリ性薬品としてアンモニアと水酸化カリウムの両方、または水酸化カリウムのみを添加し、pHを12〜14まで高めて得られる鉄の水酸化物沈殿の収率はほぼ100%であり、沈殿物の分離性は良好である(ろ過や遠心分離が容易である)。
(7)アルカリ性薬品としてアンモニアを添加し、pHを9〜10まで高めて得られるチタンの水酸化物沈殿の収率はほぼ100%であり、沈殿物の分離性は良好である。
(8)アルカリ性薬品としてアンモニアを添加して得られるシリコンの水酸化物沈殿の分離性はpH8以下で極端に悪くなる。一方、収率は、pHが8より高くなるにつれて低下する。
以上の知見により、チタン、シリコンまたは鉄のふっ化物を含む水溶液から、金属成分を水酸化物として沈殿・分離するために添加する最適なアルカリ性薬品とその添加量(すなわち、添加後の水溶液のpH)は下記の通りであることがわかった。
(a)金属がチタンの場合は、アルカリ性薬品としてアンモニアを添加し、pHを9〜10とする。ただし、経済性を犠牲にしても、純度を高めることを望むならば、pHを10〜11としてもよい。
(b)金属がシリコンの場合も、アルカリ性薬品としてアンモニアを添加し、pHを8〜9とする。ただし、収率や経済性を犠牲にしても、純度を高めることを望むならば、pHを9〜11としてもよい。
(c)金属が鉄の場合は、アルカリ性薬品としてアンモニアを添加し、pHを10付近にした後、さらに水酸化カリウムを添加してpHを12〜13とする。
さらに、本発明者は、得られた水酸化物沈殿のふっ素含有量を減少させるため、該水酸化物沈殿を水洗後に加熱して、ふっ素を金属ふっ化物として揮散させる方法を検討した結果、約300℃以上に加熱することによって、ふっ素を四ふっ化チタンまたは四ふっ化シリコンとして揮散させて、ほぼ完全に除去できることがわかった。ただし、当然のことではあるが、これらのふっ化物が揮散することによって、チタンやシリコンの収率は低下するので、収率を高めるためには水酸化物沈殿中のふっ素含有率を十分に低くしておくことが必要である。
前述のように、チタンやシリコンの水酸化物沈殿のふっ素含有率を十分に低めるためには、アンモニアを添加した後の水溶液のpHを8〜11とする必要がある。しかし、アンモニアは弱アルカリであり、pHをこのように高めるためにはかなり過剰のアンモニアを添加する必要がある。従って、水酸化物沈殿を分離した後の水溶液中にはふっ化アンモニウム等のアンモニウム塩以外に多量のアンモニアが含まれる。そして、これをそのまま電気透析処理すると、電気透析のための電力が多く消費されるばかりでなく、電気透析によって生成する酸の濃度が低下する。
そこで、前述のアンモニアを含むアンモニウム塩の水溶液を80〜100℃程度に加熱しながら、キャリヤガスとして水蒸気や空気を吹き込むと、アンモニアはキャリヤガスによって水溶液から追い出されるので、これを冷却器に導き、10〜20℃程度に冷却することによってアンモニア水が得られる。このようにして得られたアンモニア水は、前述のアルカリ性薬品として再利用することができる。また、冷却せずに、ガス状で利用することもできる。
上述の蒸留操作によれば、アンモニアのみが水溶液から追い出されて、アンモニウム塩は残留するが、この水溶液に水酸化カリウム等の強アルカリを添加した後、80〜100℃程度に加熱しながら、キャリヤガスとして水蒸気や空気を吹き込むと、アンモニアが水溶液から追い出されると同時に、水溶液中のふっ化アンモニウム(NHF)や硝酸アンモニウム(NHNO)等のアンモニウム塩が下記の(1)式や(2)式のように強アルカリと反応して生じたアンモニアも水溶液から追い出される。
NHF+KOH→KF+NH+HO (1)式
NHNO+KOH→KNO+NH+HO (2)式
このようにして、水溶液中の過剰のアンモニアを除去すると同時に、アンモニウム塩を全てカリウム塩に変えることができる。
なお、前述のように、鉄のふっ化物を含む水溶液にアルカリ性薬品としてアンモニアと水酸化カリウムを添加してpHを12〜13とした場合には、水酸化物沈殿を分離した後の水溶液をそのまま蒸留しても、過剰のアンモニアだけでなく、アンモニウム塩が水酸化カリウムと上記の(1)式や(2)式のように反応して生じたアンモニアも水溶液から追い出される。
次に、本発明者は、塩を主成分とする水溶液(すなわち、経済的に利用可能な濃度の塩を含む水溶液)から酸を生成させて回収するための電気透析装置の修理頻度を減少させる手段を種々検討した結果、寿命の短いバイポーラ膜を電気透析装置に組み込んで使用する代わりに、通常の陽イオン交換膜を通して酸の水溶液から水素イオンを供給する方法を考案した。
すなわち、前述のバイポーラ膜を用いた電気透析法では、バイポーラ膜を用いて水素イオンを発生させて供給しているが、本発明法では、陽極と陰極の間に複数のイオン交換膜を配列した構造を有する電気透析装置またはそのユニットにおいて、陽極側の陽イオン交換膜と陰極側の陰イオン交換膜の間に形成されるセルの陽極側に隣接するセルから陽イオン交換膜を通して水素イオンを供給し、前記セルの陰極側に隣接するセルからは陰イオン交換膜を通して陰イオンを供給することによって酸を生成させる。
ここで、陰イオンを供給するセルには、前述の塩を主成分とする水溶液を入れ、水素イオンを供給するセルには酸を主成分とする水溶液(すなわち、経済的に利用可能な濃度の酸を含む水溶液)を入れる。
以上の考えに基づいて考案した電気透析装置の一例(側面図)を模式的に図3に示す。
同図に示すように、本装置の電気透析装置は2枚の陽イオン交換膜と2枚の陰イオン交換膜で区切られた5個のセル(室)から成り、陽極3−1から陰極4−1方向に向かって、陽イオン交換膜1−1、陰イオン交換膜2−1、陽イオン交換膜1−2、陰イオン交換膜2−2の順に配列された構造を有する。
ここで、陽極3−1を備えた陽極セル7−1と陰極4−1を備えた陰極セル7−2には硫酸(HSO)等の酸の水溶液を入れ、両方のセルを導管12−1で接続して、ポンプ13−1を用いて硫酸水溶液を循環させる。また、陽イオン交換膜1−2と陰イオン交換膜2−1との間に形成されるセル8−1には硝酸アンモニウム(NHNO)やふっ化アンモニウム(NHF)等の塩の水溶液を入れる。さらに、陽イオン交換膜1−1と陰イオン交換膜2−1との間に形成されるセル5−1には水(または、低濃度の硝酸または/およびふっ化水素酸の水溶液)を入れ、陽イオン交換膜1−2と陰イオン交換膜2−2との間に形成されるセル6−1には水(または、低濃度の硫酸アンモニウムの水溶液)を入れる。
この状態で、陽極3−1と陰極4−1に直流電源10−1から導線11−1を通して直流電圧を加えると、セル8−1の水溶液中の塩が解離して生じた硝酸イオン(NO )やふっ素イオン(F)等の陰イオンは電気的な力によって陽極方向へ移動し、陰イオン交換膜2−1を通ってセル5−1へ入る。同時に陽極セル7−1中の硫酸が解離して生じた水素イオン(H)は電気的な力によって陰極方向へ移動し、陽イオン交換膜1−1を通ってセル5−1へ入る。
このようにして、陽イオン交換膜1−1と陰イオン交換膜2−1との間に形成されるセル5−1では、陰極側に隣接するセル8−1から入った硝酸イオンやふっ素イオンと陽極側に隣接する陽極セル7−1から入った水素イオンが結合して、硝酸(HNO)やふっ化水素酸(HF)が生成するので、適当な濃度に達したら、これを金属の酸洗等に再利用することができる。
一方、セル8−1の水溶液中の塩が解離して生じたアンモニウムイオン(NH )イオンは電気的な力によって陰極方向へ移動し、陽イオン交換膜1−2を通ってセル6−1へ入る。同時に陰極セル7−2中の硫酸が解離して生じた硫酸イオン(SO 2−)は電気的な力によって陽極方向へ移動し、陰イオン交換膜2−2を通ってセル6−1へ入る。
このようにして、陽イオン交換膜1−2と陰イオン交換膜2−2との間に形成されるセル6−1では、陰極側に隣接する陰極セル7−2から入った硫酸イオンと陽極側に隣接するセル8−1から入ったアンモニウムイオンが結合して、硫酸アンモニウムが生成するので、これを窒素肥料として利用できる。
なお、陽極セル7−1や陰極セル7−2中の硫酸水溶液、あるいはセル8−1中の塩を主成分とする水溶液の濃度は電気透析処理が進むにつれて低下するので、必要に応じて、高濃度の溶液を補充する。
次に、図3に示した電気透析装置より陽イオン交換膜と陰イオン交換膜を各1枚多くした構造の電気透析装置の例(側面図)を模式的に図4に示す。同図に示すように、本装置には塩を主成分とする水溶液を供給するセルが2つあり、陰極はその一つ(セル8−3)に備えられている。
図4では、塩としてふっ化アンモニウム(NHF)のみを含む水溶液を供給しているが、各セルにおけるイオンまたは化合物の種類とそれらの挙動は、図3に示した電気透析装置の場合と同様なので、説明は省略する。
前述の二つの電気透析装置の例では、酸を補給することによって水素イオン(および硫酸イオン)を供給する方法を採用したが、次に、電解反応によって水素イオンを発生させて供給する方法を採用した電気透析装置の一例(側面図)を模式的に図5に示す。
同図に示すように、本装置の電気透析装置は2枚の陽イオン交換膜と1枚の陰イオン交換膜で区切られた4個のセル(室)から成り、陽極3−3から陰極4−3方向に向かって、陽イオン交換膜1−6、陰イオン交換膜2−6、陽イオン交換膜1−7の順に配列された構造を有する。
ここで、陽極3−3を備えた陽極セル7−5には硫酸(HSO)等の酸の水溶液を入れ、陰極4−3を備えた陰極セル6−3には水酸化カリウム(KOH)等のアルカリの水溶液を入れる。また、陽イオン交換膜1−7と陰イオン交換膜2−6との間に形成されるセル8−4には硝酸カリウム(KNO)やふっ化カリウム(KF)等の塩の水溶液を入れる。さらに、陽イオン交換膜1−6と陰イオン交換膜2−6との間に形成されるセル5−4には水(または、低濃度の硝酸または/およびふっ化水素酸の水溶液)を入れる。
この状態で、陽極3−3と陰極4−3に直流電源10−3から導線11−3を通して直流電圧を加えると、セル8−4の水溶液中の塩が解離して生じた硝酸イオン(NO )やふっ素イオン(F)等の陰イオンは電気的な力によって陽極方向へ移動し、陰イオン交換膜2−6を通ってセル5−4へ入る。同時に陽極セル7−5中の硫酸が解離して生じた水素イオン(H)は電気的な力によって陰極方向へ移動し、陽イオン交換膜1−6を通ってセル5−4へ入る。
このようにして、陽イオン交換膜1−6と陰イオン交換膜2−6との間に形成されるセル5−4では、陰極側に隣接するセル8−4から入った硝酸イオンやふっ素イオンと陽極側に隣接する陽極セル7−5から入った水素イオンが結合して、硝酸(HNO)やふっ化水素酸(HF)が生成するので、適当な濃度に達したら、これを金属の酸洗等に再利用することができる。
また、セル8−4の水溶液中の塩が解離して生じたカリウムイオン(K)等の陽イオンは電気的な力によって陰極方向へ移動し、陽イオン交換膜1−7を通って陰極セル6−3へ入る。この時、陰極4−3を備えた陰極セル6−3では、陰極表面で下記の(3)式に示す電極反応によって水酸イオン(OH)が生成する(同時に水素ガスが発生する)ので、これがセル8−4から入ってきたカリウムイオン等の陽イオンと結びついて、水酸化カリウム(KOH)等のアルカリが生成する。
2HO+2e→2OH+H (3)式
このようにして、陰極セル6−3の水溶液中のアルカリ濃度は電気透析が進むにつれて高くなるので、必要に応じて、その一部を抜き出して水を補充し、抜き出したアルカリ水溶液は前述の中和処理やアンモニア蒸留処理等に再利用することができる。
一方、陽極3−3を備えた陽極セル7−5では、陽極表面で下記の(4)式に示す電極反応で水素イオンが生成し(同時に酸素ガスが発生し)、セル5−4へ入った水素イオンが補充される。
2HO→4H+O+4e (4)式
このように、図3に示した電気透析装置においては、陽極3−3および陰極4−3は電気透析用電極として機能すると同時に、水素イオンや水酸イオンを生成させるための電解用電極としても機能している。
次に、電気透析用電極とは別に、電解用電極を設置した電気透析装置の例(側面図)を模式的に図6に示す。
同図に示すように、本装置においては、硫酸等の酸の水溶液を入れたセル7−6中に、電気透析用の陽極3−4と電解用の陽極3−5を備え、水酸化カリウム等のアルカリの水溶液を入れたセル6−4に、電気透析用の陰極4−4と電解用の陰極4−5を備えている。また、電気透析用の導線11−4と電解用の導線11−5を別々に備え、それぞれに電気透析用直流電源10−4と電解用直流電源10−5を備えている。
このように、電気透析用と電解用の電極、導線および直流電源を別々に備えることによって、電気透析速度と水素イオンおよび水酸イオンの供給速度を最適に調節することが容易にできる。
ここで、電解用電極(陽極および陰極)としては、ガス拡散電極を用いることが望ましい。ガス拡散電極の機能、構造あるいは製法については、例えば、「鉄と鋼」誌、第78年(1992年)第3号、354〜359ページ、あるいは、「ソーダと塩素」誌、第47巻(1996年)第2号、45〜59ページに開示されているが、図9にその構造例(断面図)を模式的に示す。
同図に示すように、気室18には、ガス拡散電極19を陽極として使用する場合には水素ガス(H)、陰極として使用する場合には酸素ガス(O)を供給するが、これらのガスはガス拡散電極のガス拡散層16−1および16−2、および集電体17(金属網)を通って反応層15に達すると、下記の(5)式または(6)式に示す反応によって、水素イオン(H)または水酸イオン(OH)を生成する。
→2H+2e (5)式
+2HO+4e→4OH (6)式
ガス拡散電極を用いることにより、比較的低い電圧で効率的に水素イオンや水酸イオンを生成させることができるので、電力費が節約できる。
なお、図6に示した電気透析装置の各セルにおけるイオンまたは化合物の種類とそれらの挙動は、図5に示した電気透析装置の対応するセルの場合と同じなので、説明は省略する。
次に、電気透析のユニットを複数個(この場合は5個)組み合わせた電気透析装置を用いる酸製造装置の例(側面図)を図7に示す。
同図に示すように、この電気透析装置9−5の1ユニットは、陽極、陽イオン交換膜、陰イオン交換膜、陽イオン交換膜、陰極の順(またはその逆の順)に配列した構造を有しており、電気透析装置の両端の電極以外の電極は、隣り合う2つのユニットで共用されている。
また、この電気透析装置とは別に、ガス拡散電極の陽極3−9および陰極4−9を備えた電解装置14を設け、陽極を備えたセル7−10と電気透析装置9−5の陽極を備えたセル7−7、7−8および7−9を導管12−4(往路のみを図示)で連結し、セル内に入れた硫酸等の酸水溶液をポンプ13−4を用いて循環させる。
同様に、電解装置14の陰極を備えたセル6−8と電気透析装置9−5の陰極を備えたセル6−5、6−6および6−7を導管12−5(往路のみを図示)で連結し、セル内に入れた水酸化カリウム等のアルカリ水溶液をポンプ13−5を用いて循環させる。
なお、電解装置14のガス拡散電極(陽極)3−9には水素ガスを供給し、ガス拡散電極(陰極)4−9には酸素ガスを供給する。
次に、電気透析装置9−5の3枚の陽極3−6、3−7および3−8と3枚の陰極4−6、4−7および4−8には電気透析用直流電源10−6から導線11−6を通して並列に直流電圧が加えられる。また、電解装置14の陽極3−9および陰極4−9には電解用直流電源10−7から導線11−7を通して直流電圧が加えられる。
なお、図7に示した電気透析装置と電解装置の各セルにおけるイオンまたは化合物の種類とそれらの挙動は、図6に示した電気透析装置の対応するセルにおけるそれと同じなので、説明は省略する。
ところで、本発明法で処理される水溶液に多量の酸が含まれる場合には、これにアルカリを添加して中和処理することによって水が生成し、得られる塩を主成分とする水溶液の濃度が低下することになる。また、中和処理時の発熱が大きく、アルカリの消費量も多い等の不都合も生じる。従って、このような場合には、アルカリを添加する前に水溶液中の酸を分離することが望ましいが、このためには拡散透析法やイオン交換法などの、公知の分離方法を適用することができる。
また、図8に示すような電気透析装置を用いて金属のふっ化物を含む水溶液中の酸を分離することも可能である。同図に示すように、この電気透析装置9−6は前述の図5に示した装置の中央部に、陽イオン交換膜と陰イオン交換膜を各1枚増設して、セルを二つ増やした構造を有している。
ここで、陽極3−10を備えた陽極セル7−11には硫酸(HSO)等の酸の水溶液を入れ、陰極4−10を備えた陰極セル6−9には水酸化カリウム(KOH)等のアルカリの水溶液を入れる。また、陽イオン交換膜1−21と陰イオン交換膜2−13との間に形成されるセル7−12には硝酸(HNO)やふっ化水素酸(HF)等の遊離酸、および6ふっ化チタン酸(HTiF)等の金属ふっ化物を含む水溶液を入れ、陽イオン交換膜1−22と陰イオン交換膜2−14との間に形成されるセル8−11には硝酸カリウム(KNO)やふっ化カリウム(KF)等の塩の水溶液を入れる。ただし、陰イオン交換膜2−13として、1価陰イオン選択透過膜を用いる。
さらに、陽イオン交換膜1−20と陰イオン交換膜2−13との間に形成されるセル5−11、および陽イオン交換膜1−21と陰イオン交換膜2−14との間に形成されるセル5−12には水(または、低濃度の硝酸または/およびふっ化水素酸の水溶液)を入れる。
この状態で、陽極3−10と陰極4−10に直流電源10−8から導線11−8を通して直流電圧を加えると、セル7−12の水溶液中の硝酸やふっ化水素酸が解離して生じた硝酸イオン(NO )やふっ素イオン(F)等の1価の陰イオンは陽極方向へ移動し、陰イオン交換膜2−13(1価陰イオン選択透過膜)を通ってセル5−11へ入る。しかし、6ふっ化チタン酸が解離して生じた6ふっ化チタン酸イオン(TiF 2−)等の2価の陰イオンは陰イオン交換膜2−13を透過することができずに、セル7−12に残留する。
一方、陽極セル7−11中の硫酸が解離して生じた水素イオン(H)は陽イオン交換膜1−20を通ってセル5−11へ入り、セル7−12から入った硝酸イオンやふっ素イオンと結合して、硝酸(HNO)やふっ化水素酸(HF)が生成する。
また、セル5−12においても、セル8−11から陰イオン交換膜2−14を通って入った硝酸イオンやふっ素イオンとセル7−12から陽イオン交換膜1−21を通って入った水素イオンが結合して、硝酸やふっ化水素酸が生成する。
一方、セル8−11の水溶液中の塩が解離して生じたカリウムイオン(K)等の陽イオンは陽イオン交換膜1−22を通って陰極セル6−9へ入り、前記の(3)式に示す電極反応によって生じた水酸イオン(OH)と結びついて、水酸化カリウム(KOH)等のアルカリを生成する。
このようにして、陰極セル6−9の水溶液中のアルカリ濃度は電気透析が進むにつれて高くなる。一方、陽極セル7−11では、前述の(4)式に示す電極反応で水素イオンが生成し、セル5−11へ入った水素イオンが補充される。
上述の図8に示した電気透析装置およびそれを用いた処理によって、金属のふっ化物を含む水溶液中の酸を分離することができ、同時に、塩を主成分とする水溶液から酸やアルカリを生成させて回収することが可能となる。
なお、上述の図8に示した電気透析装置は、図5に示した電気透析装置と同様に、電気透析用と電解用を兼ねた電極を有するタイプの装置であるが、当然のことながら、図示は省略したが、図6または図7のように、電気透析用と電解用の電極、直流電源および導線を別々に設けたり、電気透析のユニットを複数個組み合わせたりした装置を用いることも可能である。
本発明は、以上の検討に基づいて完成した発明であって、下記(1)〜()の水溶液の処理方法を要旨としている。
(1)チタン、シリコンおよび鉄それぞれのふっ化物を下記(a)、(b)または(c)の条件で含む水溶液の処理方法において、
(工程A)水溶液中に含まれる酸を分離する工程
(工程B)前記工程Aを経た後の水溶液にアルカリを添加する工程
(工程C)前記工程Bによって生じた「沈殿物」と「塩を主成分とする水溶液」を分離する工程
(工程D)前記工程Cで分離した塩を主成分とする水溶液に、強アルカリを添加した後、アンモニアを蒸留分離する工程
(工程E)前記工程Dでアンモニアを蒸留分離した後の塩を主成分とする水溶液を電気透析処理する工程および
(工程F)前記工程Cによって分離した沈殿物を洗浄した後、加熱、焼成する工程の一連の工程を経る際に、
前記工程Bで添加するアルカリの量を下記(a)、(b)または(c)のように制御することを特徴とする水溶液の処理方法。
(a)処理される水溶液がチタンのふっ化物を含み、鉄のふっ化物を含まない場合は、該水溶液のpHが9〜11になるようにアンモニアを添加する。
(b)処理される水溶液がシリコンのふっ化物を含み、鉄およびチタンのふっ化物を含まない場合は、該水溶液のpHが8〜11になるようにアンモニアを添加する。
(c)処理される水溶液が鉄のふっ化物を含む場合は、該水溶液のpHが12〜13となるようにアンモニアと水酸化カリウムを添加する。
)前記工程Eにおいて、電気透析処理を下記の処理を施すことによって行うことを特徴とする(1)の水溶液の処理方法。
陽極と陰極の間に、複数のイオン交換膜を配列した構造を有する電気透析装置またはそのユニットを用い、陽極側の陽イオン交換膜と陰極側の陰イオン交換膜の間に形成されるセルへ、該セルの陽極側に隣接するセルから陽イオン交換膜を通して水素イオンを供給し、該セルの陰極側に隣接するセルから陰イオン交換膜を通して陰イオンを供給することによって、該セル中に酸を生成させる。この時、該セルの陰極側に隣接するセルには前記工程Cによって分離された塩を主成分とする水溶液を入れ、該セルの陽極側に隣接するセルには硫酸などの酸を主成分とする水溶液を入る。
)前記工程Eの電気透析処理において、酸を生成させるために必要な水素イオンを新酸の補給または電解反応によって供給することを特徴とする()の水溶液の処理方法。
)前記工程Eの電気透析処理によって生成する酸がふっ化水素酸および/または硝酸であり、酸とは別に、硫酸アンモニウムまたは水酸化カリウムが生成することを特徴とする(2)または(3)の水溶液の処理方法。
前記(a)、(b)の水溶液を処理対象とする場合、前記工程Cによって分離される沈殿物がチタンまたは/およびシリコンの水酸化物であり、これを前記工程Fによって加熱、焼成し、該水酸化物に含まれるふっ素を四ふっ化チタンまたは/および四ふっ化シリコンとして揮散させることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかの水溶液の処理方法。
)前記工程Aにおいて、水溶液中の酸の分離を下記の処理を施すことによって行うことを特徴とする(1)〜()のいずれかの水溶液の処理方法。
陽極と陰極の間に、複数のイオン交換膜を配列した構造を有する電気透析装置またはそのユニットを用い、陽極側の陰イオン交換膜と陰極側の陽イオン交換膜の間に形成されるセルから、該セルの陽極側に隣接するセルへ、陰イオン交換膜または1価陰イオン選択透過性を有する陰イオン交換膜を通して1価の陰イオンを供給し、該セルの陰極側に隣接するセルへ、陽イオン交換膜または水素イオン選択透過性を有する陽イオン交換膜を通して水素イオンを供給することによって、該セル中に入れた水溶液中の酸を減少させる。
(7)(2)の水溶液の処理方法における前記工程Eで処理を行うに際し、
陽極、陽イオン交換膜1、陰イオン交換膜1、陽イオン交換膜2、陰イオン交換膜2、陽イオン交換膜3、陰極の順に配列した構造を有し、陰イオン交換膜1として1価陰イオン選択透過性を有する陰イオン交換膜を用いることと、陽イオン交換膜2として水素イオン選択透過性を有する陽イオン交換膜を用いることの一方または両方を採用した電気透析装置またはそのユニットを用いて、前記工程Aと前記工程Eの処理を同時に行うことを特徴とする水溶液の処理方法。
(8)(6)の水溶液の処理方法における前記工程Aで処理を行うに際し、
陽極、陽イオン交換膜1、陰イオン交換膜1、陽イオン交換膜2、陰イオン交換膜2、陽イオン交換膜3、陰極の順に配列した構造を有し、陰イオン交換膜1として1価陰イオン選択透過性を有する陰イオン交換膜を用いることと、陽イオン交換膜2として水素イオン選択透過性を有する陽イオン交換膜を用いることの一方または両方を採用した電気透析装置またはそのユニットを用いて、前記工程Aと前記工程Eの処理を同時に行うことを特徴とする水溶液の処理方法。
本発明の水溶液の処理方法によれば、金属の酸洗に用いた廃酸などの廃液から、不純物の少ない金属の水酸化物や酸化物を回収して、有用な資源として再利用できるばかりでなく、酸やアルカリなどの薬剤を生成させて回収することもできる。これにより、産業廃棄物の発生量を大幅に削減でき、環境に対する負荷が軽減されるなど、工業的、社会的な効果が大きい。
本発明の課題は、前述のように、チタンやシリコン、あるいは鉄のふっ化物を含む水溶液からこれらの金属成分をふっ素含有量の少ない水酸化物として回収すると同時に、水酸化物を分離した後の水溶液から酸を生成させて回収するためのより安価で効率的な方法および装置を提供することである。
ここで、本発明が対象としている水溶液として、金属チタン(工業用純チタン等)や金属シリコン(集積回路用シリコン基板等)あるいはステンレス鋼を硝ふっ酸で酸洗した廃液が代表例としてあげられる。
金属チタンや金属シリコンを硝ふっ酸で酸洗すると、チタンおよびシリコンはいずれも+4価のイオンとして溶出し、その多くがふっ素と結合して、6ふっ化チタン酸イオン(T 2−)や6ふっ化珪酸(珪ふっ化水素酸)イオン(SiF 2−)のような錯イオンを形成するといわれる。また、ステンレス鋼を硝ふっ酸で酸洗すると、鋼中の鉄は+3価のイオンとして溶出するが、実際にはその多くが鉄とふっ素が結合した、FeF2+やFeF のような錯イオンとして酸洗液中に存在するといわれる。
また、頻度は少ないが、ステンレス鋼や金属チタンはふっ化水素酸単独の酸またはふっ化水素酸と硫酸や塩酸との混酸で酸洗されることがある。このような場合には、鉄は+2価、チタンは+3価のイオンとして溶出する。また、これらの酸洗廃液中には、通常、多かれ少なかれ、未反応の酸(遊離酸とも呼ばれる)が含まれる。
図1は、金属チタンまたは金属シリコンを硝ふっ酸で酸洗した廃液から、本発明法によって酸水溶液や硫酸アンモニウム水溶液または水酸化カリウム水溶液、あるいは金属酸化物を得る処理工程の一例を示したものである。
金属チタンまたは金属シリコンを酸洗した廃液中にはそれぞれチタンまたはシリコンのふっ化物と遊離酸(ふっ化水素酸および硝酸)が含まれる。なお、本図およびステンレス鋼の酸洗廃液の処理行程を示す後述の図2においては、廃液中の主要成分を括弧書きで示したが、ふっ化物の形態は溶液の条件(濃度等)によっても複雑に変化するので、便宜上、単純なふっ化物の形(TiF、SiF、FeF等)で表示した。
これらの廃液中に含まれる遊離酸を分離するためには、拡散透析法やイオン交換法などが適用できるが、前述の図8に示す電気透析装置を用いて分離する方法が推奨される。
すなわち、廃液を図8に示した電気透析装置のセル7−12に入れて電気透析処理することにより、廃液中のふっ化水素酸や硝酸がイオンに解離してセル5−11とセル5−12に移動する。一方、チタンやシリコンのふっ化物はいずれも2価の陰イオン(TiF 2−、SiF 2−)なので、陰イオン交換膜2−13として1価陰イオン選択透過膜を用いればセル7−12中に残留させることができる。
なお、図8では、セル8−11に入れる塩の水溶液を硝酸カリウムとふっ化カリウムの混合水溶液とし、陰極セル6−9に入れるアルカリを水酸化カリウムとした例を示したが、これらの塩やアルカリとしては種々のものが適用できる。例えば、セル8−11に塩化ナトリウム水溶液、陰極セル6−9に水酸化ナトリウム水溶液を入れて電気透析処理すれば、セル5−12には塩酸水溶液が生成し、陰極セル6−9には水酸化ナトリウムが生成する(濃度が上昇する)。
前述の電気透析処理によって酸を分離するか、含まれる遊離酸が少ない場合には、図1の点線(a)で示したように、酸の分離工程を省略した後、この水溶液(脱酸水溶液)を撹拌しながらアルカリ性薬品として3〜5規定程度の濃度のアンモニア水を徐々に添加すると、最初に遊離酸(ふっ化水素酸および硝酸)が中和され、その後、pHが上昇するにつれて金属の水酸化物が生成する。アンモニア水の代わりにアンモニアガスを吹き込んでもよいが、水溶液のpHが上昇するにつれてアンモニアの吸収率が低下するので、水溶液が酸性の時に使用するのがよい。
なお、本図および図2においては、アルカリ性薬品を添加して金属の水酸化物を沈殿させる上記の操作を「中和処理」という言葉で表し、中和処理に伴う化学反応(中和反応)の式を図の下方に示した。
アンモニアの添加量は、金属チタンを酸洗した廃液のようにチタンのふっ化物を含む場合は、pHが9〜11になる程度とする。また、金属シリコンを酸洗した廃液のようにシリコンのふっ化物を含む場合には、pHが8〜11になる程度とする。チタンとシリコンのふっ化物を含む場合には、pHが9〜11になる程度とする。いずれにしても、pHが高いほど、生成する水酸化物沈殿中のふっ素量は少なくなるが、多くのアンモニアを必要とするなどの点で、経済的には不利である。pHの測定にはpHメータを使用することが望ましいが、pH試験紙を用いてもよい。
中和処理によって生成する沈殿物の量が溶液の量に対して多すぎると撹拌が困難となり、中和反応が不十分になる等の不都合が生じる。この場合には、あらかじめ廃液に水を加えて、適当な濃度に希釈するのがよい。
中和処理によって生じた金属水酸化物の沈殿物は、ろ紙またはろ布を用いてろ過分離する。沈殿物は中和処理の過程で凝集し、通常、数μm〜数十μmの大きさになっているので、使用するろ紙またはろ布はこれを捕集できるものであればよい。また、ろ過分離の代わりに、遠心分離法を用いてもよく、いずれの分離法においても、市販の装置が利用できる。
沈殿物を分離した後の溶液には、中和反応によって生成したふっ化アンモニウム(NHF)と硝酸アンモニウム(NHNO)、および過剰に添加したアンモニア(NH)が含まれるが、これを次の工程Aまたは工程Bで処理する。
工程Aは強アルカリとしての水酸化カリウムを添加せずに蒸留した後、電気透析処理するか、点線(b)で示したように、蒸留を省略して電気透析処理する工程である。この場合には、上記のアンモニウム塩がそのまま水溶液中に残留するので、これを図3に示す電気透析装置のセル8−1に入れて電気透析処理すると、セル5−1には硝ふっ酸の水溶液が生成するので、その濃度がおよそ3規定以上になったら、これを金属チタンなどの酸洗に使用できる。また、セル6−1には硫酸アンモニウムの水溶液が生成するので、適当な濃度になったら肥料として使用できる。
工程Bは強アルカリの水酸化カリウムを添加して蒸留した後、電気透析処理する工程である。この場合には、水溶液中のアンモニウム塩が全てカリウム塩に変換されるので、これを図5に示す電気透析装置のセル8−4に入れて電気透析処理すると、セル5−4には硝ふっ酸の水溶液が生成するので、その濃度がおよそ3規定以上になったら、これを金属チタンなどの酸洗に使用できる。また、セル6−3では水酸化カリウムが生成して濃度が上昇するので、その濃度がおよそ3規定以上になったら、その一部を抜き出して水を補給し、抜き出した水酸化カリウム水溶液はアンモニア蒸留時の強アルカリとして使用することができる(図1の点線(d)で表示)。
なお、上記の強アルカリとして、水酸化ナトリウムを用いることも可能であるが、水溶液中のふっ素イオン濃度が高い場合には、アンモニウム塩との変換反応によって生成したふっ化ナトリウムの溶解度がふっ化カリウムに比べてかなり小さいので、これが析出する恐れがある。
また、図1には書かなかったが、工程Bの電気透析処理のために、図8に示す電気透析装置を用いることも可能であり、この場合には蒸留、冷却後の水溶液をセル8−11に入れ、同時に、セル7−12には遊離酸を多く含む廃液を入れて電気透析処理を行うことによって、廃液からの酸の分離と塩水溶液からの酸とアルカリの製造を同時に実施できる。
工程AおよびBの蒸留処理によってキャリヤガス(空気や水蒸気)と共に水溶液から追い出された(分離された)アンモニアは、常温付近まで冷却してアンモニア水とした後、中和処理用のアルカリとして利用できる(図1の点線(c)で表示)。冷却せずにそのままガス状で、利用することも可能である。
図10はアンモニアを蒸留するための装置の一例を模式的に示したものである。アンモニア蒸留槽31中に、沈殿物を分離した後の水溶液を導入管20から注入した後、バルブ26−1を閉じる。さらに、必要に応じて、水酸化カリウム水溶液(濃度:3〜5規定)を必要量だけ導入管21から注入した後、バルブ26−2を閉じる。
水酸化カリウムの必要量は、あらかじめ、上記の沈殿物を分離した後の溶液中のふっ素イオンと硝酸イオンの化学当量を定量分析し、その合量の1.05〜1.1倍程度の化学当量とすればよい。あるいは、撹拌機27を用いて上記の溶液を撹拌し、pHセンサー30を用いてpHを測定しながら、導入管21から水酸化カリウム水溶液を、pHが12〜13程度になるまで注入してもよい。
次に、溶液を撹拌し、温度センサー29を用いて液温を測定しながら、ヒーター28(電熱ヒーターまたは水蒸気ヒーター)を用いて加熱し、溶液の温度を60〜100℃に高めた後、空気導入管22または/および水蒸気導入管23から空気または/および水蒸気を吹き込んで、アンモニアを蒸留する。蒸留されたアンモニアガスおよび水蒸気の混合ガスは留出管24を通って冷却器32に送られ、常温付近にまで水冷されてアンモニア水34となり、容器33に蓄えられた後、廃液の中和処理等に利用される。留出管から出た上記の混合ガスを直接、中和処理に利用ことも可能である。
なお、上記のアンモニア蒸留時の溶液の温度は蒸留速度に大きく影響し、温度が高いほど蒸留速度が速いので、短時間の蒸留が必要な場合には、溶液をヒーターで加熱しながら高温(100℃以上)の水蒸気を吹き込めばよい。しかし、蒸留温度が高いと水の蒸発が多くなり、留出ガスを水冷して得られるアンモニア水の濃度が低くなるので、濃度の高いアンモニア水が必要な場合には、溶液の温度を60〜70℃程度にして、キャリヤガスとして空気を吹き込めばよい。
なお、キャリヤガスとして空気を用いると、溶液中の水分が水蒸気になって反応槽から留出するので、液量が減少する。一方、キャリヤガスとして水蒸気を用いると、これが溶液中で凝縮するので、液量は増加する。従って、空気と水蒸気を併用して、アンモニア蒸留槽中の液量を制御することができる。
水酸化カリウムを添加した蒸留において、アンモニウム塩が全てカリウム塩に変換され、アンモニアの蒸留が完了したかどうかを調べるには、アンモニア蒸留槽中の溶液の一部を採取して、アンモニウムイオン濃度を定量分析すればよい。アンモニアの蒸留が完了した溶液は、蒸留装置下部のバルブ26−3を開いて、排出管25から排出し、室温まで冷却した後、電気透析処理する。
工程Cは中和処理で分離された沈殿物(チタンやシリコンの水酸化物)を酸化物にする工程である。中和処理後にろ過分離または遠心分離して得られた沈殿物には塩類の溶液が含まれるので、数回の水洗によってこれを洗い流した後、300〜1000℃で加熱・焼成して酸化物に変えることができる。前述のように、金属がチタンまたはシリコンの場合には、この工程によってふっ素含有量を減らすことができる。また、加熱・焼成を省略したり、300℃以下の温度で加熱して利用することも可能である。
次に、図2は、ステンレス鋼を硝ふっ酸で酸洗した廃液から、本発明法によって硝ふっ酸水溶液や金属水酸化物を得る処理工程の一例を示したものである。ステンレス鋼を酸洗した廃液中には、鉄のふっ化物(FeF)と遊離酸(HF、HNO)が含まれる。このほかに、ステンレス鋼の成分であるクロムのふっ化物(CrF)やシリコンのふっ化物(SiF)などが含まれるが、普通のステンレス鋼であれば、それらの含有量は鉄よりはるかに少ない。
廃液中に遊離酸が多く含まれる場合には、前述の図1の場合と同様に、図8に示した電気透析装置を用いて分離することができる。ただし、ステンレス鋼を硝ふっ酸で酸洗した廃液中では、鉄のふっ化物はFeF2+やFeF のような陽イオンとして含まれるので、図8の電気透析装置の陽イオン交換膜1−21として、水素イオン選択透過膜を用いる必要がある。これにより、廃液をセル7−12に入れて電気透析処理する際に、廃液中の水素イオンのみが陽イオン交換膜1−21を通ってセル5−12へ入り、鉄のふっ化物はセル7−12に残留する。
一方、廃液中のふっ化水素酸や硝酸が解離して生じたふっ素イオン(F)や硝酸イオン(NO )は陰イオン交換膜2−13を通ってセル5−11へ入るが、もし、廃液中にチタンやシリコンの2価のふっ化物陰イオンが含まれない場合には、陰イオン交換膜2−13として、1価陰イオン選択透過膜を用いる必要はない。
次に、酸を分離した後の水溶液を撹拌しながらアルカリ性薬品として、3〜5規定程度の濃度のアンモニア水を徐々に添加すると、最初に遊離酸(ふっ化水素酸および硝酸)が中和され、その後、pHが上昇するにつれて鉄等の金属の水酸化物が生成する。水溶液のpHが10付近まで上昇したら、次に、3〜5規定程度の濃度の水酸化カリウム水溶液を添加し、pHを12〜13とする。
中和処理によって生じた鉄等の金属水酸化物の沈殿物は、図1に示したチタンやシリコンの沈殿物と同様に、ろ紙またはろ布を用いてろ過分離するか、遠心分離法で分離する。分離後の沈殿物には塩類の溶液が含まれるので、数回の水洗によってこれを洗い流した後、必要に応じて、100〜120℃程度の温度で乾燥した後、ステンレス鋼の原料として利用できる。
沈殿物を分離した後の溶液には、中和反応によって生成したふっ化アンモニウム(NHF)、ふっ化カリウム(KF)、硝酸アンモニウム(NHNO)、硝酸カリウム(KNO)と、過剰に添加したアンモニア(NH)、水酸化カリウム(KOH)が含まれるので、これを前述の図10に示したようなアンモニア蒸留槽に入れ、ヒーターを用いて溶液の温度を60〜100℃に高めつつ、空気および水蒸気を吹き込んで、アンモニアを蒸留する。これによって、過剰に添加したアンモニアだけでなく、前述の(1)式や(2)式の反応によってアンモニウム塩がカリウム塩に変換される際に生成するアンモニアも蒸留される。
次に、蒸留後の水溶液を冷却した後、図8に示す電気透析装置のセル8−11に移し入れ、同時に、セル7−12には遊離酸を多く含む廃液を入れて電気透析処理を行うことによって、廃液からの酸の分離と塩水溶液からの酸水溶液の製造を同時に実施できる。これによって、セル5−12に硝ふっ酸の水溶液が生成するので、その濃度がおよそ3規定以上になったら、これをステンレス鋼などの酸洗に使用できる。また、セル6−9では水酸化カリウムが生成して濃度が上昇するので、その濃度がおよそ3規定以上になったら、その一部を抜き出して水を補給し、抜き出した水酸化カリウム水溶液は中和処理用のアルカリとして使用することができる(図2の点線(b)で表示)。
一方、蒸留によって分離されたアンモニアガスは常温付近まで冷却してアンモニア水とするか、そのまま中和処理用のアルカリとして利用できる(図2の点線(b)で表示)。なお、図2には書かなかったが、電気透析処理のために、図5〜7に示す電気透析装置を用いることも可能である。
上述の図1および図2はいずれも、金属を硝ふっ酸で酸洗した廃液を処理する工程の例を示したものであるが、前述のように、ステンレス鋼や金属チタンはふっ化水素酸単独の酸またはふっ化水素酸と硫酸や塩酸との混酸で酸洗されることがある。このような場合には、鉄は+2価、チタンは+3価のイオンとして溶出するので、これらを含む廃液を中和処理すると、鉄は2価の水酸化物[Fe(OH)]、チタンは3価の水酸化物[Ti(OH)]として沈殿する。
しかし、これらの水酸化物は水溶液中の溶存酸素等によって徐々に酸化されて、鉄は3価の水酸化物[Fe(OH)]、チタンは4価の水酸化物[Ti(OH)]に変わる。この変化は速くないので、通常の中和処理によって、一旦、溶液のpHを9〜13に調節した後にも、上記の酸化反応が起きて、より多くのアルカリが消費されるので、溶液のpHは目標値より低下することになる。また、2価の鉄の水酸化物や3価のチタンの水酸化物より、3価の鉄の水酸化物や4価のチタンの水酸化物の方が溶解度が小さく、沈殿のろ過分離も容易である。
従って、上記の酸化反応を積極的に促進するために、中和処理と同時に空気や酸素ガスを水溶液に吹き込む方法が推奨される。これによって、比較的速やかに、鉄は3価の水酸化物、チタンは4価の水酸化物に変わるので、以後の処理は図1または図2に示した処理と同じく行うことができる。
本発明法に用いる電気透析装置には、従来、塩水溶液の脱塩や濃縮に使用されている電気透析装置と同様に、イオン交換膜として、強酸性陽イオン交換膜や強塩基性陰イオン交換膜(いずれも、膜厚0.10〜0.25mm程度)を使用することができる。ただし、前述のように、図8に示した電気透析装置の陰イオン交換膜2−13には1価陰イオン選択透過膜、陽イオン交換膜1−21には水素イオン選択透過膜が必要になることがある。これらのイオン交換膜はいずれも、市販のものが入手できる。
また、本発明の電気透析装置に用いられる電極のうち、陽極は耐酸性の優れた材質のものを用いる必要があり、酸化イリジウムを被覆したチタン、黒鉛、白金などが利用できる。
一方、陰極は、陰極セルにアルカリの水溶液を入れる場合(図5〜8の例)には、耐アルカリ性の優れた材質のものを用いる必要があり、ニッケルや白金が利用できる。また、陰極セルに酸の水溶液を入れる場合(図3の例)には、水素ガスの発生を少なくするために、水素過電圧が大きく、耐食性の良い材質のものが望ましいので、鉛製の陰極が推奨される。さらに、陰極セルにハロゲン系の塩水溶液を入れる場合(図4の例)には、耐食性の優れた材質のものが必要であり、チタン、ステンレス鋼、白金、黒鉛等が利用できる。
なお、前述の図5や図8に示した電気透析装置のように、電極が電気透析用と電解用を兼ねて使用される場合には、電極表面で前述の(3)式や(4)式の反応によって水素ガスや酸素ガスが発生するので、電力費を節約するためには、水素過電圧や酸素過電圧がなるべく小さい材質の電極が望ましい。この意味では、陽極として酸化イリジウムを被覆したチタンや白金黒を被覆した白金が推奨される。
また、電極の形状は、板、棒、線、網など種々のものが利用できるが、網のように表面積の大きいものの方が、水素イオンや水酸イオンの生成効率が高いので望ましい。また、このタイプの電気透析装置の場合には、ガス拡散電極を電気透析用と電解用を兼ねて使用してもよい。
一方、図3、図4、図6および図7に示した電気透析装置の場合には、電気透析用電極の表面での電解反応は起きない方が電流効率の面から好ましいので、単純な板状電極が適している。
なお、図3〜8に示した電気透析装置の説明においては、装置を槽の形態で示したが、これは必ずしも槽である必要はなく、例えば、陽極や陰極として金属箔を素材とした電極を用い、これと陽イオン交換膜や陰イオン交換膜を適当な間隔を保ちながら、図3〜8の装置と同じく配列したものを螺旋状に巻いた形態にしてもよい。これによって装置はコンパクトで運搬や設置が容易なものにすることができる。
本発明による電気透析装置の陽極セルまたは陰極セルに入れる酸またはアルカリの水溶液のために好ましい酸やアルカリの条件は、(1)強酸または強アルカリであること(解離度が大きいこと)、(2)電極に対する腐食性が弱いこと、(3)安価で入手しやすいこと、である。この意味で、酸としては硫酸が最適であり、硝酸も利用できる。
また、アルカリとしては、上記の3条件以外に、陰極セルに隣接するセルから、陽イオン交換膜を通って入ってくる陽イオンが、陰極セルに入れたアルカリの陽イオンと同じであることが必要条件となるので、水酸化カリウムが最適であり、場合によっては水酸化ナトリウムも使用できる。
本発明による電気透析装置の陽極セルまたは陰極セルに入れる酸またはアルカリの水溶液の濃度は、特に厳密に限定されるものではないが、0.5〜2規定程度が適当である。
本発明の実施において使用した廃液の種類と組成を表1に示す。これらの廃液は、同表中に示す被酸洗材を酸洗液で酸洗することによって生じたものである。なお、廃液cは、金属シリコンではなく、石英ガラスを硝ふっ酸で酸洗(溶解)したものであるが、含まれるふっ化物の種類は金属シリコンを酸洗した場合と同じである。
Figure 0004843895
(実施例1)表1の廃液a(金属チタンをふっ化水素酸で酸洗した廃液)および廃液b(金属チタンを硝ふっ酸で酸洗した廃液)の各500cmを別々の中和処理用容器に入れ、撹拌しながら濃度4N(規定)のアンモニア水を加えて、pHを6、8または10に調節した。このうち、廃液aについては、さらに撹拌しながら空気を毎分1000cmの流速で1時間吹き込んで、3価のチタンの水酸化物沈殿(紫色)を4価の水酸化物沈殿(白色)に変えた。
次に、これらの沈殿物を含む水溶液を、ろ紙を用いて吸引ろ過し、ろ液と沈殿物に分離した。沈殿物は純水300cmで洗浄する操作を10回繰り返した後、約10gを分析用とし、残部を350℃で10時間加熱した。ろ液は、前述の図10に示すようなアンモニア蒸留槽に入れ、電熱ヒーターで100℃に加熱した後、約25℃の空気と約110℃の水蒸気を各毎分800cmの流速で30分間吹き込んで、過剰に含まれていたアンモニアを留出させた。流出したアンモニアを含むガスは冷却器を用いて約15℃に冷やすことにより、アンモニア水として採取した。
アンモニア蒸留後の水溶液を室温まで冷却した後、廃液bを処理した水溶液については、その約200cmを前述の図3に構造を示した電気透析装置のセル8−1に入れ、陽極セル7−1および陰極セル7−2には濃度が2Nの硫酸、セル5−1およびセル6−1には純水を入れた。次に、酸化イリジウムを被覆したチタン板を陽極、鉛板を陰極とし、両極の間に2.3Vの直流電圧を加えて、1時間電気透析処理した。
一方、廃液aを処理した水溶液については、その約400cmを前述の図4に構造を示した電気透析装置のセル8−2および陰極セル8−3に入れ、陽極セル7−3およびセル7−4には濃度が2Nの硫酸、セル5−2、セル5−3およびセル6−2には純水を入れた。次に、酸化イリジウムを被覆したチタン板を陽極、チタン板を陰極とし、両極の間に3.1Vの直流電圧を加えて、1時間電気透析処理した。なお、本実施例で使用した電気透析処理装置には、陽イオン交換膜として、(株)トクヤマ製ネオセプタCM−1、陰イオン交換膜として、同AM−1(いずれも有効面積約100cm)を用いた。
比較のために、中和処理用アルカリとして濃度4Nの水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムを用いてpHを10に調節し、その後は上記と同様に処理して得た沈殿物についても、成分濃度の分析を行った。表2および表3に、沈殿物中のチタンとふっ素の濃度(mass%)とふっ素/チタン比(mass%)、沈殿物を加熱・焼成処理して得た酸化物のふっ素/チタン比(mass%)、電気透析処理によって得られた酸水溶液および硫酸アンモニウム水溶液の濃度を示す。
表2は廃液bを処理した結果であるが、中和用アルカリとして4Nアンモニア水を用い、pHを10に調節した場合の沈殿物のふっ素含有量は非常に少なく、ふっ素/チタン比はわずかに0.3mass%であった。これに対して、中和時のpHが8または6の場合は、pHが低いほど沈殿物のふっ素含有量が多くなった。また、比較のために、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムを用いて中和したものも、ふっ素含有量が多かった。350℃で10時間加熱・焼成処理して得た酸化物のふっ素/チタン比は0.01mass%未満であり、他の比較例よりはるかに小さく、その収量も20.0gと、最も多かった。
Figure 0004843895
アンモニア蒸留後の水溶液を電気透析処理した結果、pH10で中和処理したものについては、0.38mol/dmふっ化水素酸−0.41mol/dm硝酸水溶液と0.38mol/dm硫酸アンモニウム水溶液が得られた。なお、記載は省略したが、中和時のpHが低いほど、得られた硝ふっ酸のふっ化水素酸濃度が低くなったが、これは沈殿物中に混入して失われたふっ素が多いためと推測される。
表3は廃液aを処理した結果であるが、表2と同様に、中和用アルカリとして4Nアンモニア水を用い、pHを10に調節した場合の沈殿物のふっ素含有量は非常に少なく、pHが低いほど沈殿物のふっ素含有量が多くなった。また、比較のために、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムを用いて中和したものも、ふっ素含有量が多かった。350℃で10時間加熱・焼成処理して得た酸化物のふっ素/チタン比は0.01mass%未満であり、他の比較例よりはるかに小さく、その収量も31.8gと、最も多かった。
Figure 0004843895
アンモニア蒸留後の水溶液を電気透析処理した結果、pH10で中和処理したものについては、0.85mol/dmふっ化水素酸水溶液と0.43mol/dm硫酸アンモニウム水溶液が得られた。なお、記載は省略したが、中和時のpHが低いほど、得られたふっ化水素酸水溶液の濃度が低くなったが、これは沈殿物中に混入して失われたふっ素が多いためと推測される。
(実施例2)表1の廃液b(金属チタンを硝ふっ酸で酸洗した廃液)または廃液c(石英ガラスを硝ふっ酸で酸洗した廃液)の各500cmを前述の図8に構造を示した電気透析装置のセル7−12に入れ、陽極セル7−11には濃度が1Nの硫酸、セル8−11には濃度が3mol/dmの塩化ナトリウム水溶液、陰極セル6−9には濃度が1Nの水酸化ナトリウム水溶液を入れ、セル5−11およびセル5−12には純水を入れた。次に、酸化イリジウムを被覆したチタン板を陽極、ニッケル板を陰極とし、両極の間に3.0Vの直流電圧を加えて、1時間電気透析処理した。これにより、表4に示すように、セル5−11には硝ふっ酸水溶液、セル5−12には塩酸水溶液が生成し、陰極セル6−9中の水酸化ナトリウム水溶液の濃度が上昇した。また、表4には示さなかったが、廃液bの遊離酸濃度が1.11Nから0.75Nに低下し、廃液cの遊離酸濃度が2.50Nから1.98Nに低下した。
Figure 0004843895
次に、電気透析後の廃液bおよびcを別々の中和処理用容器に入れ、撹拌しながら濃度4N(規定)のアンモニア水を加えて、pHを10に調節した。ただし、廃液cについてはpH8.5でも試験した。次に、これらの沈殿物を含む水溶液を、ろ紙を用いて吸引ろ過し、ろ液と沈殿物に分離した。沈殿物は純水300cmで洗浄する操作を10回繰り返した後、約10gを分析用とし、残部を350℃で10時間加熱した。ろ液は、ふっ素イオン濃度と硝酸イオン濃度を分析した後、前述の図10に示すようなアンモニア蒸留槽に入れた。
次に、アンモニア蒸留槽に入れたろ液に含まれるふっ素イオンと硝酸イオンの合計モル数より0.08モル多い量の水酸化カリウムを、4N水酸化カリウム水溶液によって添加した後、電熱ヒーターで100℃に加熱し、約25℃の空気と約110℃の水蒸気を各毎分800cmの流速で30分間吹き込んで、アンモニアを蒸留した。流出したアンモニアを含むガスは冷却器を用いて約15℃に冷やすことにより、アンモニア水として採取した。
アンモニア蒸留後の水溶液を室温まで冷却した後、その約200cmを前述の図5に構造を示した電気透析装置のセル8−4に入れ、陽極セル7−5には濃度が1Nの硫酸、陰極セル6−3には1Nの水酸化カリウム水溶液を入れ、セル5−4には純水を入れた。次に、酸化イリジウムを被覆したチタン板を陽極、ニッケル板を陰極とし、両極の間に3.2Vの直流電圧を加えて、1時間電気透析処理した。
なお、本実施例で使用した電気透析処理装置には、陽イオン交換膜として、(株)トクヤマ製ネオセプタCM−1、陰イオン交換膜として、同AM−1を用いたが、図8に示した構造の装置の陰イオン交換膜2−13および図5に示した装置の陰イオン交換膜2−6には、旭硝子(株)製の1価陰イオン選択透過膜セレミオンASV(いずれも有効面積約100cm)を用いた。
表5に、廃液cを処理して得た沈殿物および酸化物の分析結果や収量、電気透析処理によって得られた硝ふっ酸水溶液および水酸化カリウム水溶液の濃度を示す。中和用アルカリとして4Nアンモニア水を用い、pHを8.5または10に調節した場合の沈殿物(シリコンの水酸化物)のふっ素含有量は十分に少なかったが、後者の方がより少なかった。一方、酸化物の収量は後者の方が少なかったが、これはpHが高いと水酸化物沈殿の溶解量が多くなるためと推測される。これに対して、比較のために、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムを用いて中和したものは、ふっ素含有量が非常に多かった。
Figure 0004843895
水酸化カリウムを添加して行ったアンモニア蒸留後の水溶液を電気透析処理した結果、硝ふっ酸水溶液が得られ、陰極セルの水酸化カリウム濃度が上昇した。なお、記載は省略したが、廃液bについても中和時のpHが10の場合には、実施例1と同程度のふっ素含有量の低い沈殿物や酸化物が得られた。
(実施例3)表1の廃液d(ステンレス鋼を硝ふっ酸で酸洗した廃液)の500cmを前述の図8に構造を示した電気透析装置のセル7−12に入れ、陽極セル7−11には濃度が1Nの硫酸、セル8−11には別途、廃液dを前述の図2に示した工程に従って、中和、ろ過、アンモニア蒸留処理して調製したふっ化カリウム濃度が2.11mol/dm、硝酸カリウム濃度が1.76mol/dmの水溶液、陰極セル6−9には濃度が1Nの水酸化ナトリウム水溶液を入れ、セル5−11およびセル5−12にはふっ化水素酸と硝酸の濃度が共に0.01mol/dmの硝ふっ酸を入れた。
次に、酸化イリジウムを被覆したチタン板を陽極、ニッケル板を陰極とし、両極の間に3.0Vの直流電圧を加えて、1時間電気透析処理した。これにより、表6に示すように、セル5−11およびセル5−12には硝ふっ酸水溶液が生成し、陰極セル6−9中の水酸化ナトリウム水溶液の濃度が上昇した。また、表6には示さなかったが、廃液dの遊離酸濃度が0.76Nから0.43Nに低下した。
Figure 0004843895
次に、電気透析後の廃液dを中和処理用容器に入れ、撹拌しながら濃度4N(規定)のアンモニア水を加えて、pHを10に調節し、さらに4Nの水酸化カリウム水溶液を加えて、pHを12.5に調節した。ただし、比較のために、水酸化カリウム水溶液の添加を省略した試験と、濃度4Nの水酸化ナトリウム水溶液または水酸化カリウム水溶液でpH10に調節した試験も行った。次に、これらの沈殿物を含む水溶液を、ろ紙を用いて吸引ろ過し、ろ液と沈殿物に分離した。沈殿物は純水300cmで洗浄する操作を10回繰り返した後、成分分析した。
次に、アンモニア水と水酸化カリウム水溶液でpHを12.5に調節した水溶液のろ液を、前述の図10に示すようなアンモニア蒸留槽に入れた後、電熱ヒーターで100℃に加熱し、約25℃の空気と約110℃の水蒸気を各毎分800cmの流速で30分間吹き込んで、アンモニアを蒸留した。流出したアンモニアを含むガスは冷却器を用いて約15℃に冷やすことにより、アンモニア水として採取した。
アンモニア蒸留後の水溶液を室温まで冷却した後、その約200cmを前述の図5に構造を示した電気透析装置のセル8−4に入れ、陽極セル7−5には濃度が1Nの硫酸、陰極セル6−3には1Nの水酸化カリウム水溶液を入れ、セル5−4にはふっ化水素酸と硝酸の濃度が共に0.01mol/dmの硝ふっ酸を入れた。次に、酸化イリジウムを被覆したチタン板を陽極、ニッケル板を陰極とし、両極の間に3.2Vの直流電圧を加えて、1時間電気透析処理した。
なお、本実施例で使用した電気透析処理装置には、陽イオン交換膜として、(株)トクヤマ製ネオセプタCM−1、陰イオン交換膜として、同AM−1を用いたが、図8に示した構造の装置の陽イオン交換膜1−21には、旭硝子(株)製の水素イオン選択透過膜セレミオンHSV(いずれも有効面積約100cm)を用いた。
表7に、中和処理によって得られた沈殿物の分析結果や収量、電気透析処理によって得られた硝ふっ酸水溶液および水酸化カリウム水溶液の濃度を示す。中和用アルカリとして4Nアンモニア水と4N水酸化カリウムを用い、pHを12.5に調節した場合の沈殿物のふっ素含有量は、他の比較例に比べて大幅に少なくなった。また、その沈殿物をろ過分離した水溶液を電気透析処理した結果、硝ふっ酸水溶液が得られ、陰極セルの水酸化カリウム濃度が上昇した。
Figure 0004843895
チタンまたはシリコンのふっ化物を含む廃液を処理する工程の一例を示した図である。 鉄やクロムのふっ化物を含む廃液を処理する工程の一例を示した図である。 酸と塩を製造するための5室型の電気透析装置の構造を模式的に示した図である。 酸と塩を製造するための7室型の電気透析装置の構造を模式的に示した図である。 酸とアルカリを製造するための4室・2電極型の電気透析装置の構造を模式的に示した図である。 酸とアルカリを製造するための4室・4電極型の電気透析装置の構造を模式的に示した図である。 酸とアルカリを製造するための5ユニト型の電気透析装置の構造を模式的に示した図である。 遊離酸の分離と酸・アルカリの製造を同時に行うための電気透析装置の構造を模式的に示した図である。 ガス拡散電極の構造を模式的に示した図である。 中和処理および沈殿分離後の水溶液からアンモニアを蒸留分離するための装置の構造を模式的に示した断面図である。
符号の説明
1−1〜22 陽イオン交換膜
2−1〜14 陰イオン交換膜
3−1〜10 陽極
4−1〜10 陰極
5−1〜12 酸が生成するセル
6−1〜9 塩またはアルカリが生成するセル
7−1〜12 酸を供給するセル
8−1〜11 塩を供給するセル
9−1〜6 電気透析装置
10−1〜8 直流電源
11−1〜8 導線
12−1〜5 導管
13−1〜5 ポンプ
14 電解装置
15 反応層
16 ガス拡散層
17 集電体
18 気室
19 ガス拡散電極
20 中和処理/沈殿分離後溶液導入管
21 強アルカリ導入管
22 空気導入管
23 水蒸気導入管
24 留出管
25 排出管
26 バルブ
27 撹拌機
28 ヒーター
29 温度センサー
30 pHセンサー
31 アンモニア蒸留槽
32 冷却器
33 容器
34 アンモニア水

Claims (8)

  1. チタン、シリコンおよび鉄それぞれのふっ化物を下記(a)、(b)または(c)の条件で含む水溶液の処理方法において、
    (工程A)水溶液中に含まれる酸を分離する工程、
    (工程B)前記工程Aを経た後の水溶液にアルカリを添加する工程、
    (工程C)前記工程Bによって生じた「沈殿物」と「塩を主成分とする水溶液」を分離する工程、
    (工程D)前記工程Cで分離した塩を主成分とする水溶液に、強アルカリを添加した後、アンモニアを蒸留分離する工程、
    (工程E)前記工程Dでアンモニアを蒸留分離した後の塩を主成分とする水溶液を電気透析処理する工程、および
    (工程F)前記工程Cによって分離した沈殿物を洗浄した後、加熱、焼成する工程の一連の工程を経る際に、
    前記工程Bで添加するアルカリの量を下記(a)、(b)または(c)のように制御することを特徴とする水溶液の処理方法。
    (a)処理される水溶液がチタンのふっ化物を含み、鉄のふっ化物を含まない場合は、該水溶液のpHが9〜11になるようにアンモニアを添加する。
    (b)処理される水溶液がシリコンのふっ化物を含み、鉄およびチタンのふっ化物を含まない場合は、該水溶液のpHが8〜11になるようにアンモニアを添加する。
    (c)処理される水溶液が鉄のふっ化物を含む場合は、該水溶液のpHが12〜13となるようにアンモニアと水酸化カリウムを添加する。
  2. 前記工程Eにおいて、電気透析処理を下記の処理を施すことによって行うことを特徴とする請求項1に記載の水溶液の処理方法。
    陽極と陰極の間に、複数のイオン交換膜を配列した構造を有する電気透析装置またはそのユニットを用い、陽極側の陽イオン交換膜と陰極側の陰イオン交換膜の間に形成されるセルへ、該セルの陽極側に隣接するセルから陽イオン交換膜を通して水素イオンを供給し、該セルの陰極側に隣接するセルから陰イオン交換膜を通して陰イオンを供給することによって、該セル中に酸を生成させる。この時、該セルの陰極側に隣接するセルには前記工程Cによって分離された塩を主成分とする水溶液を入れ、該セルの陽極側に隣接するセルには硫酸などの酸を主成分とする水溶液を入れる。
  3. 前記工程Eの電気透析処理において、酸を生成させるために必要な水素イオンを新酸の補給または電解反応によって供給することを特徴とする請求項2に記載の水溶液の処理方法。
  4. 前記工程Eの電気透析処理によって生成する酸がふっ化水素酸および/または硝酸であり、酸とは別に、硫酸アンモニウムまたは水酸化カリウムが生成することを特徴とする請求項2または3に記載の水溶液の処理方法。
  5. 前記(a)、(b)の水溶液を処理対象とする場合、前記工程Cによって分離される沈殿物がチタンまたは/およびシリコンの水酸化物であり、これを前記工程Fによって加熱、焼成し、該水酸化物に含まれるふっ素を四ふっ化チタンまたは/および四ふっ化シリコンとして揮散させることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の水溶液の処理方法。
  6. 前記工程Aにおいて、水溶液中の酸の分離を下記の処理を施すことによって行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の水溶液の処理方法。
    陽極と陰極の間に、複数のイオン交換膜を配列した構造を有する電気透析装置またはそのユニットを用い、陽極側の陰イオン交換膜と陰極側の陽イオン交換膜の間に形成されるセルから、該セルの陽極側に隣接するセルへ、陰イオン交換膜または1価陰イオン選択透過性を有する陰イオン交換膜を通して1価の陰イオンを供給し、該セルの陰極側に隣接するセルへ、陽イオン交換膜または水素イオン選択透過性を有する陽イオン交換膜を通して水素イオンを供給することによって、該セル中に入れた水溶液中の酸を減少させる。
  7. 請求項2に記載の水溶液の処理方法における前記工程Eで処理を行うに際し、
    陽極、陽イオン交換膜1、陰イオン交換膜1、陽イオン交換膜2、陰イオン交換膜2、陽イオン交換膜3、陰極の順に配列した構造を有し、陰イオン交換膜1として1価陰イオン選択透過性を有する陰イオン交換膜を用いることと、陽イオン交換膜2として水素イオン選択透過性を有する陽イオン交換膜を用いることの一方または両方を採用した電気透析装置またはそのユニットを用いて、前記工程Aと前記工程Eの処理を同時に行うことを特徴とする水溶液の処理方法。
  8. 請求項6に記載の水溶液の処理方法における前記工程Aで処理を行うに際し、
    陽極、陽イオン交換膜1、陰イオン交換膜1、陽イオン交換膜2、陰イオン交換膜2、陽イオン交換膜3、陰極の順に配列した構造を有し、陰イオン交換膜1として1価陰イオン選択透過性を有する陰イオン交換膜を用いることと、陽イオン交換膜2として水素イオン選択透過性を有する陽イオン交換膜を用いることの一方または両方を採用した電気透析装置またはそのユニットを用いて、前記工程Aと前記工程Eの処理を同時に行うことを特徴とする水溶液の処理方法。
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