JP4843839B2 - シクロペンタジエン系重合体およびその製造方法 - Google Patents
シクロペンタジエン系重合体およびその製造方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、分子量分布が狭く、高分子量のシクロペンタジエン系重合体とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
シクロペンタジエン等のシクロペンタジエン系モノマーの重合体は、高分子化学,27巻,97〜109(1970)に記載のように、ハロゲン化金属等のルイス酸等を触媒とした、同モノマーのカチオン重合によって合成されている。シクロペンタジエン重合体に関しては、モノマーの1,2−付加単位と1,4−付加単位からなる重合体である.しかし、重合反応における活性種はカルボニウムイオンであり、その反応性のコントロールが難しいため、重合体の分子量、分子量分布、末端構造またはモノマーの付加形式等が制御された重合体は存在しなかった。
【0003】
一方、Catalysis in Precision Polymerization,Chapter 7,Wiley,New York,1997に記載のように、プロトン酸とルイス酸からなる触媒等を用いたカチオン重合で、構造が制御された重合体が得られることが知られている。しかし、これらはビニルエーテル、イソブテン、スチレン系モノマーおよびN−ビニルカルバゾール等のモノマーの重合体であり、シクロペンタジエン系重合体に関しては報告されていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、分子量分布が狭く、高分子量のシクロペンタジエン系重合体を提供すると共に、その製造方法も提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の目的に対して鋭意検討した結果、見出されたものである。すなわち、本発明は、下記一般式(1)
【0006】
【化2】
【0007】
(式中、Rは各々独立して水素原子または炭素数1〜50の炭化水素基である。)
で表されるシクロペンタジエン系モノマーを重合してなる、(A)数平均分子量(Mn)が1×103以上1×106以下であり、(B)重量平均分子量(Mw)と数平均分子量との比(Mw/Mn)が1.0以上2.6以下であることを特徴とするシクロペンタジエン系重合体を提供するものである。さらに、本発明は、その重合体の製造方法を提供するものである。
【0008】
本発明におけるシクロペンタジエン系モノマーとしては、シクロペンタジエン、1−メチルシクロペンタジエン、2−メチルシクロペンタジエン、1−エチルシクロペンタジエン、2−エチルシクロペンタジエン、5−メチルシクロペンタジエン、1,2−ジメチルシクロペンタジエン、1,3−ジメチルシクロペンタジエン、2,3−ジメチルシクロペンタジエン、3−エチル−1−メチルシクロペンタジエン、1−メチル−3−プロピルシクロペンタジエン、5,5−ジメチルシクロペンタジエン等を例示することができる。
【0009】
また、上記シクロペンタジエン系モノマーは2種類以上混合して用いることもできる。
【0010】
本発明におけるMn、MwおよびMw/Mnは、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)で測定された値であり、分子量既知のポリスチレン試料で校正された値である。
【0011】
本発明におけるシクロペンタジエン系重合体のMnは1×103以上1×106以下であるが、好ましくは2×103以上1×106以下である。さらに好ましくは3×103以上1×106以下である。
【0012】
本発明におけるシクロペンタジエン系重合体のMw/Mnは1.0以上2.6以下であるが、好ましくは1.0以上2.0以下である。さらに好ましくは1.0以上1.4以下である。
【0013】
本発明において、シクロペンタジエン系重合体が、シクロペンタジエン単独の重合体である場合は、前記(A)および(B)以外に、(C)脂肪族プロトン量に対するオレフィンプロトン量の比が45%以上50%以下であり、(D)1,2−付加単位が20mol%以上100mol%以下であることを特徴とすることが好ましい。
【0014】
本発明における脂肪族プロトン量に対するオレフィンプロトン量の比{[H(不飽和)/H(飽和)]%}は、高分子化学,27巻,97〜109(1970)に記載の方法に従い、重合体のプロトン核磁気共鳴分光法(1H−NMR)によって得られたピーク積分比を下記式(2)に代入して算出した値である。
【0015】
[H(不飽和)/H(飽和)]%=W/(X+Y+Z)×100 (2)
(式中、Xは1,4−付加単位のメチレンプロトンに対応するピークの積分比であり、Yは1,2−付加単位のメチレンプロトンに対応するピークの積分比であり、Zは1,4−付加単位のメチンプロトンおよび1,2−付加単位のメチンプロトンに対応するピークの積分比であり、Wは1,4−付加単位のオレフィンプロトンおよび1,2−付加単位のオレフィンプロトンに対応するピークの積分比である。)
また、1,2−付加単位の量{[1,2−付加単位]mol%}は、前記文献に記載の方法に従い、1H−NMRによって得られたピーク積分比を下記式(3)または(4)に代入して2つの方法で算出した値である。
【0016】
方法1:
[1,2−付加単位]mol%=(Y+Z−X)/(X+Y+Z)×100 (3)
方法2:
[1,2−付加単位]mol%=(1−X/W)×100 (4)
本発明において、上記シクロペンタジエン系重合体は、(a)カチオン重合性モノマーのプロトン酸付加体と(b)ルイス酸からなる触媒を用いて、シクロペンタジエン系モノマーを重合することによって製造される。
【0017】
本発明における成分(a)は、カチオン重合性モノマーとプロトン酸との反応生成物である。
【0018】
ここで、成分(a)を得るためのカチオン重合性モノマーは、カチオン重合が可能なモノマーであり、前記シクロペンタジエン系モノマー、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、2−アセトキシエチルビニルエーテル等のビニルエーテルまたはスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−クロロスチレン、ビニルナフタレン等のスチレン系モノマーを例示することができる。また、これらは2種類以上混合して用いることもできる。
【0019】
成分(a)を得るためのプロトン酸としては、塩化水素、フッ化水素、臭化水素、ヨウ化水素、硫酸、酢酸、メチルスルホン酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメチルスルホン酸または過塩素酸を例示することができる。また、これらは2種類以上混合して用いることもできる。
【0020】
本発明における成分(b)のルイス酸としては、四塩化錫、四臭化錫、四塩化チタン、四臭化チタン、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、塩化亜鉛、臭化亜鉛、三塩化ホウ素、三フッ化ホウ素、エチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライド、イソプロポキシチタントリクロライド、ジイソプロポキシチタンジクロライド、フェノキシチタントリクロライド、ジフェノキシチタンジクロライド、ビス(2,6−ジクロロフェノキシ)チタンジクロライド、ビス(2,6−ジイソプロピルフェノキシ)チタンジクロライドを例示することができる。これらは2種類以上混合して用いることもできる。
【0021】
本発明における成分(a)と成分(b)からなる触媒は、得られる重合体の分子量をより制御することを目的に、好ましくは、成分(a)としてシクロペンタジエンの塩化水素付加体を用い、成分(b)として四塩化錫または塩化亜鉛を用いた組み合わせを用いることができる。
【0022】
さらに、本発明のシクロペンタジエン系重合体は、分子量をより制御することを目的に、好ましくは上記成分(a)と成分(b)からなる触媒にさらに(c)ルイス塩基および/または塩類を加えて、シクロペンタジエン系モノマーを重合することによっても製造される。
【0023】
成分(c)に用いられるルイス塩基としては、酢酸エチル、p−メトキシ安息香酸エチル等のエステル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル、2,6−ジメチルピリジン、2,4,6−トリメチルピリジン、2,6−ジ−tert−ブチルピリジン、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルピリジン等のピリジン誘導体、ジメチルスルフィド、テトラヒドロチオフェン等のスルフィド、1−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジエチルアセトアミド、1−ブチルイミダゾール、ジメチルスルフォキシドを例示することができる。
【0024】
成分(c)の塩類としては、テトラブチルアンモニウムクロライド、過塩素酸テトラブチルアンモニウム、テトラフルオロホウ酸テトラブチルアンモニウム、ヘキサフルオロリン酸テトラブチルアンモニウム等のテトラアルキルアンモニウム塩、テトラブチルホスホニウムクロライド、酢酸テトラブチルホスホニウム等のテトラアルキルホスホニウム塩、トリフェニルメチルクロライドを例示することができる。
【0025】
本発明における重合は、溶媒中で、成分(a)と成分(b)からなる触媒または成分(a)と成分(b)と成分(c)からなる触媒と、シクロペンタジエン系モノマーを接触させることにより行うが、その接触方法については特に限定はない。
【0026】
重合溶媒としては、一般に用いられる有機溶剤であればいずれでもよく、具体的には、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカリン等の脂肪族炭化水素、四塩化炭素、クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエチレン等のハロゲン化炭化水素を例示することができる。また、これらは2種類以上混合して用いることもできる。
【0027】
重合溶媒の使用量は特に限定はないが、シクロペンタジエン系モノマーの濃度が1×10-6mol/l〜10mol/lの範囲になる量を用いることができる。
【0028】
成分(a)の使用量は特に制限はないが、シクロペンタジエン系モノマー1mol当たり1×10-5mol〜1mol、好ましくは1×10-4mol〜0.5molの範囲である。
【0029】
成分(b)の使用量についても特に制限はないが、成分(a)1mol当たり1×10-1mol〜1×104mol、好ましくは5×10-1mol〜1×103molの範囲である。
【0030】
成分(c)の使用量についても特に制限はないが、成分(a)1mol当たり0mol〜1×103mol、好ましくは1×10-4mol〜1×103mol、さらに好ましくは1×10-3mol〜1×102molの範囲である。
【0031】
重合温度は特に制限はないが、−200℃〜300℃、好ましくは−100℃〜200℃の範囲である。
【0032】
本発明のシクロペンタジエン系重合体は、公知の方法により水素添加して用いることができる。1,4−付加単位あるいは1,2−付加単位が高度に制御されたシクロペンタジエン系重合体の水素添加物は、耐熱性に優れ、各種成形材料に用いることができる。
【0033】
また、本発明のシクロペンタジエン系重合体は、カチオン重合性モノマーとのブロック共重合に用いることができる。
【0034】
【実施例】
以下実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0035】
シクロペンタジエンの精製、重合溶媒の精製および重合反応は、全て乾燥窒素雰囲気下で行った。また、重合反応に用いた溶媒、ジエチルエーテルおよび酢酸エチルは、全て予め公知の方法で脱酸素、乾燥、精製を行ったものを用いた。シクロペンタジエンは、ジシクロペンタジエンを160℃で熱分解し、−78℃で捕集した後、使用直前に水素化カルシウム上で蒸留し、再度−78℃で捕集して重合に用いた。シクロペンタジエン、イソブチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、スチレン、α−メチルスチレンの塩化水素付加体およびシクロペンタジエンの臭化水素付加体は、Macromolecules,32,6407−6411(1999)に記載の方法により合成、同定したものを用いた。四塩化錫、塩化亜鉛、臭化亜鉛、四塩化チタン、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルピリジンおよび三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体は、アルドリッチ製をそのまま用いた。テトラブチルアンモニウムクロライドおよびトリフェニルメチルクロライドは、東京化成工業(株)製をそのまま用いた。トリフルオロ酢酸は、和光純薬工業(株)製をそのまま用いた。メチルスルホン酸は、ナカライテスク(株)製をそのまま用いた。ジイソプロポキシチタンジクロライドおよびイソプロポキシチタントリクロライドは、Macromolecules,28,5671−5675(1995)に記載の方法により合成、再結晶したものを用いた。
【0036】
また、実施例および比較例のシクロペンタジエンの重合における転化率は、内部標準として四塩化炭素を用いたガスクロマトグラフィーで測定した残存モノマー量から決定した。
【0037】
ガスクロマトグラフィーの方法としては、装置として島津製作所(株)製 GC8Aを用い、カラムとしてはPEG1500を用い、キャリアガスとしてはヘリウムを用いた。インジェクション温度は120℃、カラム温度は80℃に設定した。
【0038】
さらに、実施例および比較例におけるシクロペンタジエン重合体の構造評価は、以下に示す方法で行った。
【0039】
数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)およびMwとMnの比(Mw/Mn)は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によって測定した。GPC装置としてはJasco製 PU−980とJasco製 930−RIを用い、カラムとしてはShodex製 K−805Lを3本用い、溶離液としてクロロホルムを用い、カラム温度を40℃に設定して測定した。分子量の検量線は、ユニバーサルキャリブレーション法により、分子量既知のポリスチレン試料(Mn=580〜1,547,000の範囲、Mw/Mn≦1.1)を用いて校正されている。
【0040】
脂肪族プロトン量に対するオレフィンプロトン量の比{[H(不飽和)/H(飽和)]%}は、重合体のプロトン核磁気共鳴分光法(1H−NMR)によって得られたピーク積分比を式(2)に代入して算出した。
【0041】
1,2−付加単位の量は、前記方法1と方法2の2つの方法で算出した。方法1による1,2−付加単位の量{[1,2−付加単位]mol%(方法1)}は、重合体の1H−NMRによって得られたピーク積分比を式(3)に代入して算出した。また、方法2による1,2−付加単位の量{[1,2−付加単位]mol%(方法2)}は、重合体の1H−NMRによって得られたピーク積分比を式(4)に代入して算出した。
【0042】
重合体の1H−NMR測定は、装置としてはJEOL製 LNM−LA500を用い、測定溶媒としては重水素化クロロホルムを用い、室温で行った。
【0043】
実施例1
ガラス容器に、シクロペンタジエン0.165ml(2.0mmol)と四塩化炭素0.165mlを含むトルエン溶液3.2mlを入れ、−78℃に冷却した後、シクロペンタジエンの塩化水素付加体2.05mg(0.02mmol)を含むトルエン溶液0.4mlを加え、続いて四塩化錫52.1mg(0.2mmol)を含むトルエン溶液0.4mlを添加して重合を開始した。重合開始時のシクロペンタジエン濃度は500mmol/lであり、シクロペンタジエンの塩化水素付加体濃度は5.0mmol/lであり、四塩化錫濃度は50mmol/lであった。−78℃で30分間攪拌した後、アンモニアを含むメチルアルコール2.0mlを添加し、重合を停止した。転化率は95%であった。得られた反応混合物を希塩酸で洗浄した後、水酸化ナトリウム水溶液および水で洗浄し、触媒残差を除去した。得られた固体を減圧下で乾燥し、重合体を得た。
【0044】
得られた重合体のMnおよびMw/Mnは以下の通りであった。
【0045】
Mn=7,800
Mw/Mn=1.59
また、得られた重合体の1H−NMRによる分析から、1.6ppmに1,4−付加単位のメチレンプロトン、2ppmに1,2−付加単位のメチレンプロトン、2.3〜2.9ppmに1,4−付加単位のメチンプロトンおよび1,2−付加単位のメチンプロトン、5.7ppmに1,4−付加単位のオレフィンプロトンおよび1,2−付加単位のオレフィンプロトンが認められた。これらの積分比を、それぞれX、Y、ZおよびWとして式(2)、(3)および(4)に代入して以下の値を得た。
【0046】
[H(不飽和)/H(飽和)]%=49.3
[1,2−付加単位]mol%(方法1)=45.8
[1,2−付加単位]mol%(方法2)=45.0
以上の結果を表1に示す。また、この重合体の1H−NMR測定結果を図1に示す。
【0047】
実施例2〜6
重合条件を表1に示したように変更した以外は、実施例1と同様にして重合を行った。結果を表1に示す。
【0048】
比較例1
シクロペンタジエンの塩化水素付加体を用いなかったことと、重合時間を1,140分にしたこと以外は、実施例3と同様にして重合を行った。転化率は33%であった。
【0049】
得られた重合体の構造解析結果は以下の通りであり、Mw/Mnが2.6より大きい重合体であった。
【0050】
Mn=11,500
Mw/Mn=2.85
以上の結果を表1に示す。
【0051】
比較例2
シクロペンタジエンの塩化水素付加体の代わりにトリフルオロ酢酸を用いたことと、重合時間を30分にしたこと以外は、実施例3と同様にして重合を行った。転化率は91%であった。
【0052】
得られた重合体の構造解析結果は以下の通りであり、Mw/Mnが2.6より大きい重合体であった。
【0053】
Mn=16,300
Mw/Mn=2.97
以上の結果を表1に示す。
【0054】
実施例7〜10
重合条件を表1に示したように変更した以外は、実施例1と同様にして重合を行った。結果を表1に示す。
【0055】
実施例11〜21
重合条件を表2に示したように変更した以外は、実施例1と同様にして重合を行った。結果を表2に示す。
【0056】
実施例22〜26
重合条件を表3に示したように変更した以外は、実施例1と同様にして重合を行った。結果を表3に示す。
【0057】
実施例27
ガラス容器に、シクロペンタジエン0.165ml(2.0mmol)と四塩化炭素0.165mlを含むトルエン溶液3mlを入れ、−78℃に冷却した後、シクロペンタジエンの塩化水素付加体2.05mg(0.02mmol)を含む塩化メチレン溶液0.5mlを加え、続いて四塩化錫5.21mg(0.02mmol)とテトラブチルアンモニウムクロライド2.22mg(0.008mmol)を含む塩化メチレン溶液0.5mlを添加して重合を開始した。重合開始時のシクロペンタジエン濃度は500mmol/lであり、シクロペンタジエンの塩化水素付加体濃度は5.0mmol/lであり、四塩化錫濃度は5mmol/lであり、テトラブチルアンモニウムクロライド濃度は2.0mmol/lであった。−78℃で1分間攪拌した後、アンモニアを含むメチルアルコール2.0mlを添加し、重合を停止した。転化率は28%であった。得られた反応混合物を希塩酸で洗浄した後、水酸化ナトリウム水溶液および水で洗浄し、触媒残差を除去した。得られた固体を減圧下で乾燥し、重合体を得た。結果を表3に示す。
【0058】
実施例28〜30
重合条件を表3に示したように変更した以外は、実施例27と同様にして重合を行った。結果を表3に示す。
【0059】
実施例31〜46
重合条件を表4に示したように変更した以外は、実施例27と同様にして重合を行った。結果を表4に示す。
【0060】
実施例47〜52
重合条件を表5に示したように変更した以外は、実施例27と同様にして重合を行った。結果を表5に示す。
【0061】
実施例53〜66
重合条件を表6に示したように変更した以外は、実施例27と同様にして重合を行った。結果を表6に示す。
【0062】
実施例67〜80
重合条件を表7に示したように変更した以外は、実施例27と同様にして重合を行った。結果を表7に示す。
【0063】
実施例81〜92
重合条件を表8に示したように変更した以外は、実施例1と同様にして重合を行った。結果を表8に示す。
【0064】
比較例3
シクロペンタジエンの塩化水素付加体を用いなかったことと、四塩化錫を四塩化チタンに代えたことと、重合時間を3分にしたこと以外は、実施例3と同様にして重合を行った。転化率は80%であった。
【0065】
得られた重合体の構造解析結果は以下の通りであり、Mw/Mnが2.6より大きい重合体であった。
【0066】
Mn=10,100
Mw/Mn=2.84
[H(不飽和)/H(飽和)]%=48.1
[1,2−付加単位]mol%(方法1)=48.1
[1,2−付加単位]mol%(方法2)=46.0
以上の結果を表8に示す。
【0067】
比較例4
シクロペンタジエンの塩化水素付加体を用いなかったことと、四塩化錫を三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体に代えたことと、重合時間を240分にしたこと以外は、実施例1と同様にして重合を行った。転化率は0%であった。
【0068】
実施例93〜98
重合条件を表9に示したように変更した以外は、実施例27と同様にして重合を行った。結果を表9に示す。
【0069】
実施例99
ガラス容器に、シクロペンタジエンの臭化水素付加体2.94mg(0.02mmol)と四塩化炭素0.165mlを含む塩化メチレン溶液3.2mlを入れ、−78℃に冷却した後、臭化亜鉛90.1mg(0.4mmol)とジエチルエーテル285mg(3.84mmol)を加え、続いてシクロペンタジエン0.165ml(2.0mmol)を含む塩化メチレン溶液0.4mlを添加して重合を開始した。重合開始時のシクロペンタジエン濃度は500mmol/lであり、シクロペンタジエンの臭化水素付加体濃度は5.0mmol/lであり、臭化亜鉛濃度は100mmol/lであり、ジエチルエーテル濃度は960mmol/lであった。−78℃で240分間攪拌した後、アンモニアを含むメチルアルコール2.0mlを添加し、重合を停止した。転化率は40%であった。得られた反応混合物を希塩酸で洗浄した後、水酸化ナトリウム水溶液および水で洗浄し、触媒残差を除去した。得られた固体を減圧下で乾燥し、重合体を得た。
結果を表9に示す。
【0070】
実施例100
重合条件を表9に示したように変更した以外は、実施例99と同様にして重合を行った。結果を表9に示す。
【0071】
比較例5
四塩化錫を用いなかったことと、シクロペンタジエンの塩化水素付加体をメチルスルホン酸に代えたことと、重合時間を20分にしたことと、重合溶媒を塩化メチレンに代えたこと以外は、実施例3と同様にして重合を行った。転化率は78%であった。
【0072】
得られた重合体の構造解析結果は以下の通りであり、Mw/Mnが2.6より大きい重合体であった。
【0073】
Mn=37,200
Mw/Mn=4.20
[H(不飽和)/H(飽和)]%=49.3
[1,2−付加単位]mol%(方法2)=49.0
以上の結果を表9に示す。
【0074】
比較例6
シクロペンタジエンの塩化水素付加体をメチルスルホン酸に代えたことと、重合時間を60分にしたこと以外は、実施例35と同様にして重合を行った。転化率は0%であった。
【0075】
以上の実施例、比較例における重合条件および重合結果を表1、表2、表3、表4、表5、表6、表7、表8および表9に示す。
【0076】
【表1】
【0077】
【表2】
【0078】
【表3】
【0079】
【表4】
【0080】
【表5】
【0081】
【表6】
【0082】
【表7】
【0083】
【表8】
【0084】
【表9】
【0085】
【発明の効果】
本発明のシクロペンタジエン系重合体は、分子量分布の狭い高分子量体であり、成形材料として用いた場合、高い耐熱性を示す。このシクロペンタジエン系重合体は、特定の触媒を用いて合成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、実施例1で得られた重合体の1H−NMRスペクトルを示す。
Claims (5)
- 下記一般式(1)
(A)数平均分子量(Mn)が1×10 3 以上1×10 6 以下であり、
(B)重量平均分子量(Mw)と数平均分子量との比(Mw/Mn)が1.0以上2.6以下であり、
(C)脂肪族プロトン量に対するオレフィンプロトン量の比が45%以上50%以下であり、
(D)重合体のプロトン核磁気共鳴分光法( 1 H−NMR)によって得られたピーク積分比を下記式(3)
[1,2−付加単位]mol%=(Y+Z−X)/(X+Y+Z)×100 (3)
(式中、Xは1,4−付加単位のメチレンプロトンに対応するピークの積分比であり、Yは1,2−付加単位のメチレンプロトンに対応するピークの積分比であり、Zは1,4−付加単位のメチンプロトンおよび1,2−付加単位のメチンプロトンに対応するピークの積分比である。)
に代入して算出した1,2−付加単位(方法1)が30.7mol%以上50.0mol%以下であることを特徴とするシクロペンタジエン系重合体。 - 下記一般式(1)
(A)数平均分子量(Mn)が1×10 3 以上1×10 6 以下であり、
(B)重量平均分子量(Mw)と数平均分子量との比(Mw/Mn)が1.0以上2.6以下であり、
(C)脂肪族プロトン量に対するオレフィンプロトン量の比が45%以上50%以下であり、
(D)重合体のプロトン核磁気共鳴分光法( 1 H−NMR)によって得られたピーク積分比を下記式(4)
[1,2−付加単位]mol%=(1−X/W)×100 (4)
(式中、Wは1,4−付加単位のオレフィンプロトンおよび1,2−付加単位のオレフィンプロトンに対応するピークの積分比である。)
に代入して算出した1,2−付加単位(方法2)が28.0mol%以上48.0mol%以下でることを特徴とするシクロペンタジエン系重合体。 - (a)カチオン重合性モノマーのプロトン酸付加体と(b)ルイス酸からなる触媒を用いて、シクロペンタジエン系モノマーを重合することを特徴とする請求項1または2に記載のシクロペンタジエン系重合体の製造方法。
- (a)カチオン重合性モノマーのプロトン酸付加体、(b)ルイス酸と(c)ルイス塩基および/または塩類からなる触媒を用いて、シクロペンタジエン系モノマーを重合することを特徴とする請求項1または2に記載のシクロペンタジエン系重合体の製造方法。
- (a)カチオン重合性モノマーのプロトン酸付加体がシクロペンタジエン系モノマーのプロトン酸付加体であることを特徴とする請求項3または4に記載のシクロペンタジエン系重合体の製造方法。
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