JP4843784B2 - 多点検出型呼吸モニター装置 - Google Patents
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Description
またこの発明の請求項3は装置を全体として機構的に構成しており、電気的回路がないため安価に製作でき、かつ装置の構造がシンプルであるゆえ保守性も向上し、ランニングコストも安くなるという効果がある。
以下この発明の多点検出型呼吸モニター装置の実施の形態を、図面に基いて詳細に説明する。
また、図8はこの発明の多点検出型呼吸モニター装置の第2の実施形態の全体を表わす斜視図、図9はそのスタンド部分を示す斜視図、図10は測定装置部分の斜視図、図11は図10を反対側から見た状態の斜視図、図12ないし図15は測定装置の動作原理を示すもので、図12は糸移動量と指針角度の関係を示す模式図、図13は測定アームのショートアームにおけるテコ比を示す模式図、図14は測定アームのロングアームにおけるテコ比を示す模式図、図15は完成状態の測定アームの模式図である。
また上記支持枠16の天板部に沿って天板部と直交するよう、位置調整板20が前記スライド孔19,19に取り付けた位置調整ねじ21によって保持されている。したがって、位置調整板20は位置調整ねじ21の操作に応じてスライド孔19,19の長さ方向に移動可能である。20−1は位置調整板20の先端に取り付けた角度ゲージである。
位置調整板20には軸棒22が吊下げるように取り付けられている。すなわち前記開口部18内に、軸棒22の上端に取付けた抜け止め部23が配置され、軸棒22の下端が支持枠16の内部に位置している。軸棒22の下端には支持アーム24が支持ポイントにおいて首振り可能に軸着され、また支持アーム24は前記軸着位置から所定の間隔で、連結アーム25をそのほぼ中間位置で軸支し、連結アーム25を支持ポイントにおいて首振り可能に支持している。特に連結アーム25の軸着部分は多少の遊びがあるよう遊嵌しておくことが望ましい。
このプローブ26,26間を連結する上記連結アーム25は、スライド孔28を備えた補助アーム27と位置調整ねじ29とを介して伸縮自在であり、被検者の体格等に応じてその長さを調節する。
またプローブ26は上部プローブ26−1と下部プローブ26−2とに分割できるようになっており、上部プローブ26−1の下部に設けた雌ねじ部30に、下部プローブ26−2の上端に設けた雄ねじ部31をねじ込むことにより、複数のサイズの下部プローブ26−2を適宜取り替えることができるようになっている。32はプローブ26を補助アーム27の先端に取り付けるための小ビスである。
さらに、上記支持アーム24の軸着部から支持アーム24とは反対の方向に延長して、変位量表示部33が設けられている。そして変位量表示部33の先端には指示針34が取り付けられている。
図において35は、支持アーム24を延長して設けたバランス棒で、変位量表示部33とのバランスをとってプローブ26,26の先端に過度の負荷がかからないようにするためのものである。
支持アーム24の軸支部分が昇降すると、前記支持アーム24とは反対の方向に延長して設けられた変位量表示部33先端の指示針34が首を振る(矢印d参照)。したがって、検出された呼吸による胸部および腹部のプローブ26,26の変異量を統合した支持アーム24における合成変位量が、位置調整板20の先端に取り付けた角度ゲージ20−1の目盛りを指す指示針34によって判定(表示)される。
前記支持アーム24と、支持アーム24とは反対の方向に延長して設けられた変位量表示部33とは、支持アーム24の軸支位置を中心としてその両側に配置されている。支持アーム24の軸支位置から連結アーム25を軸着している位置までの距離l−1と変位量表示部33の長さl−2の比は適宜決定することができるが、l−1:l−2=1:1〜10程度とすることが望ましく、指示針34の振幅の大きさ、指示針34の動きの見易さその他を勘案して決めることができる。
そうすることで表示装置42が点灯し、被検者の呼吸状態を遠隔で操作する術者に伝達することができる。また同時にスイッチ信号を平行して検査機器や治療装置に伝達することで、患者の呼吸に同期して装置の検査進行や治療照射の進行を制御する呼吸同期を実施できる。
なお、上記実施例においては角度ゲージ20−1を被検者側から見ることができる位置に設置しているが、位置調整板20の反対側端部にも取り付けることができる。そうすれば、撮像や治療照射を行なう術者においても、被検者の呼吸状態を見ながら、正確に操作することが可能となる。
胸部や腹部の放射線治療患者20名(胸部:腹部=13:7、平均年齢75歳)に対し、この発明の多点検出型呼吸モニター装置である胸腹部2点測定式呼吸モニタリング装置を用い、患者に自己呼吸停止を行なわせた。X線透視下で毎回の腫瘍の位置を測定し、誤差が5mm以内になるまで呼吸停止練習を行い、所要時間を測定した。その呼吸停止位置において、再現精度の測定用にメルクマール部分を2mm厚で、これと同じ呼吸停止期間中に、呼吸位置計測装置の体表設置位置を含んだ広範囲を7mm厚でCTスキャンした。
1)自発的呼吸停止下での、CTによる腫瘍位置の再現精度の三次元的検証
被検者 20人、測定回数 60回
頭尾方向 1.3mm
前後方向 1.6mm
左右方向 1.4mm
2)胸壁と腹壁のプローブ位置と腫瘍位置の再現精度の三次元的検証
被検者 10人、測定回数 20回
腹部プローブ最大位置差/腹壁の呼吸性移動幅 5.5mm/22mm
胸部プローブ最大位置差/胸壁の呼吸性移動幅 3.5mm/22mm
この発明の多点検出型呼吸モニター装置を用いた自発的呼吸停止下での、CTによる腫瘍位置の三次元的再現精度は2mm以内であり、高精度であることが照明された。また、繰り返す呼吸の分析結果により、胸式呼吸と腹式呼吸が混在し、従来型の1点式呼吸モニター装置を用いた場合の位置再現精度は呼吸性移動幅(10−40mm)の4−6分の1程度もずれる可能性が考えられ、本方法のように、多点検出型呼吸モニター装置を用いた自発的呼吸停止下での、腫瘍位置の三次元的再現精度が、従来型1点式呼吸モニター装置に比べて非常に良好であることが証明された。すなわち、胸式呼吸と腹式呼吸とが混在して不安定となる呼吸においても、この発明の多点検出型呼吸モニター装置を用いた自発的呼吸停止下での腫瘍位置の三次元的再現精度は従来型1点式呼吸モニター装置に比べて良好である。このように胸部と腹部の2点を同時に測定する方式の多点検出型呼吸モニター装置は従来になく、胸式呼吸と腹式呼吸とが混在して不安定となる呼吸においても対応できるメリットがある。
この発明の多点検出型呼吸モニター装置である胸腹部2点測定式呼吸モニタリング装置を用いた呼吸停止法は患者に理解が得られやすく、連取時間が大幅に短縮できるというメリットがある。
また、この発明の多点検出型呼吸モニター装置は、前記呼吸による体幹部の合成変位量を被検者が視覚的に確認し、呼吸による体幹部の合成変位量が特定の範囲にある場合に、遠隔で被検者に処置を行なう術者に通知する電気的信号発生機構を備えていることができる。そのような電気的信号発生機構としては被検者に処置を行なう術者の側に設置したモニタ、信号灯等がある。
図8および図9において、51は被検者の胸部および腹部等の体幹部に被せて被検者が横たわる寝台に装着するスタンドで、この発明の多点検出型呼吸モニター装置を被検者の胸部および腹部等の体幹部上に保持するためのものである。このスタンド51は開口部を下向きとしたコ字状をなし、両側に寝台等に設置可能な据え置き台52を備え、据え置き台52にはスライドガイド53が立設されている。このスライドガイド53には、コ字状スタンド51の脚部54を着脱自在に取り付けることにより、その高さを被検者に応じて変えることができる。55はスライドガイド53に外付けした高さ調節ねじである。
また、スタンド51の上部ブリッジ部56には、測定装置58を取り付けるための組付台57がスライド自在に取り付けられており、その側面には測定装置58を組み付けるためのブラケット59が取り付けられている。
測定装置のケーシング61の両側にはそれぞれ、先端にプローブ64を備えたロングアーム62およびショートアーム63が首振り自在に取り付けられている。65は、前記プローブ64の下端に回動自在に取り付けたローラである。
なおロングアーム62およびショートアーム63は、それぞれ先端に取り付けた前記プローブ64が被検者の体幹に沿って配置されるよう、測定装置のケーシング61に対して所定の角度で取り付けてある。
次に、71は測定装置のケーシング61の上部に取り付けられた角度ゲージで、扇型に形成されており、その円弧状の周縁部分に角度目盛り72が表示されている。73は角度目盛り72上の所定の角度を指し示す指針で、前記プローブ64の動きに応じて測定装置58により駆動されるようになっている。
図12の糸移動量と指針角度の関係を示す模式図において、θは指針の角度、dpは指針プーリの径、dyは糸の直径、Sは糸の移動量を指すものである。
ここにおいて、指針の角度θは次の式(1)で求められる。
ここにおいて、ショートアームテコ移動量S1は次の式(2)で求められる。
また図14の測定アームのロングアームにおけるテコ比を示す模式図において、ロングアームテコ移動量S2は次の式(3)で求められる。
1)表示は両プローブ高さ(移動量)の合計値であること。
2)測定高(入力)と表示(出力)の比率は両アームとも同一であること。
そのため、図15においてショート、ロングそれぞれのS値を計算してみる(図13,14も参考)。
式(2)および(3)により測定高10mm時のS値はそれぞれ、次式(4)および(5)で求められる。
ここで、 S1/S2 =0.5 となり前記条件2)を満たさない。
これを満たすには、 S1=2×S2 であればよいので、図15に示すようにロングアーム側テコ長に相当する点に滑車を設けることでS2の値を2倍にすることができる(注:ロングアーム長は設定により変わるので、S2値は多少変動する)。
なお、糸は1本で繋がっているので、指針プーリに伝わる糸の移動量Sは両プローブの合計となり、もうひとつの仕様も満たしている。
(1)スタンド51を構成する据え置き台52のスライドガイド53に、ブリッジ部56の脚部54をはめ込んで所定位置で高さ調節ねじ55をねじ付けて、組み立てる(図8、図9参照)。
(2)角度ゲージ71および指針73を測定装置のケーシング61に取り付け、ネジ止めする(図10、図11参照)。
(3)プローブ64を備えたロングアーム62およびショートアーム63を測定装置58に取り付ける(図10、図11参照)。
(4)完成した測定装置58をスタンド51にセットする。
(5)被検者体を診察台に配置し、呼吸モニタリング装置のモニター用指針73を被検者体が目視できるよう患者ミラー(図示せず)をセットする。
(6)プローブ64を位置決め位置にセットし、呼吸モニタリング装置の位置や高さ、幅等を調整する。
(7)被検者体呼吸等による体表面の動きでモニター用指針73の動きを測り、安定した振幅となるように呼吸を行わせ、指針73が特定位置で停止できるように試し動作を行う。
(8)指針73が特定位置で停止できるようになった段階で、CT、MR撮像及び照射を行う。
12 脚部
13 スライド孔
14 高さ調節
15 取付口
16 支持枠
17 取付ねじ
18 開口部
19,19 スライド孔
20 位置調整板
20−1 角度ゲージ
21 位置調整ねじ
22 軸棒
23 抜け止め部
24 支持アーム
25 連結アーム
26,26 プローブ
26−1 上部プローブ
26−2 下部プローブ
27 補助アーム
28 スライド孔
29 位置調整ねじ
30 雌ねじ部
31 雄ねじ部
32 小ビス
33 変位量表示部
34 指示針
35 バランス棒
41 押しボタンスイッチ
42 表示装置
51 スタンド
52 据え置き台
53 スライドガイド
54 脚部
55 高さ調節ねじ
56 ブリッジ部
57 組付台
58 測定装置
59 ブラケット
61 測定装置のケーシング
62 ロングアーム
63 ショートアーム
64 プローブ
65 ローラ
71 角度ゲージ
72 角度目盛り
73 指針
θ 指針の角度
dp 指針プーリの径
dy 糸の直径
S 糸の移動量
L1 ショートアーム長
L2 ロングアーム長
l1 ショートアームテコ長
l2 ロングアームテコ長
H1 ショートアーム測定高
H2 ロングアーム測定高
S1 ショートアームテコ移動量
S2 ロングアームテコ移動量
Claims (6)
- 被検者の胸部および腹部等の体幹部に被せて被検者が横たわる寝台に装着するハウジングと、前記ハウジングに取り付けられ、被検者体幹部の胸部および腹部の少なくとも2箇所の変異量を検出する先端にプローブを備えた接触式の変位量検出手段と、検出された呼吸による胸部および腹部の変異量を統合した合成変位量を判定する判定手段とを備えたことを特徴とする多点検出型呼吸モニター装置。
- 先端にプローブを備えた接触式の検出手段が、胸部および腹部の少なくとも2箇所に当接するプローブと、このプローブ間を連結する連結アームと、連結アームの中間で連結アームを首振り可能に支持し、かつ支持ポイントを首振り可能とした支持アームと、支持アームの軸着部から支持アームとは反対の方向に延長した変位量表示部とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の多点検出型呼吸モニター装置。
- 先端にプローブを備えた接触式の検出手段が、胸部および腹部の少なくとも2箇所に当接する2つのプローブと、各プローブをそれぞれ支持する長短2つのアームとを備え、各アームの動作を滑車とワイヤ類との連関で変位量表示部の角度変化に置き換えるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の多点検出型呼吸モニター装置。
- 呼吸による体幹部の合成変位量を被検者自身が視覚的に確認し、被検者自身が呼吸による体幹部の合成変位量が特定の範囲に収まるよう自立的に制御することを可能としたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の多点検出型呼吸モニター装置。
- 呼吸による体幹部の合成変位量を被検者自身が視覚的に確認し、呼吸に体幹部の合成変位量が特定の範囲にある場合に、遠隔で被検者に処置を行なう術者に通知する電気的信号発生機構を備えたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の多点検出型呼吸モニター装置。
- 呼吸による体幹部の合成変位量を被検者自身が視覚的に確認し、呼吸による体幹部の合成変位量が特定の範囲にある場合に、検査機器や治療装置に検査進行や治療進行の動作を停止または続行の同期信号を発生する信号発生機構を備えたことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の多点検出型呼吸モニター装置。
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