JP4843234B2 - 被記録材の画像形成物質除去装置 - Google Patents
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Description
特に、熱可塑性を有する画像形成物質で画像を形成する電子写真方式の画像形成装置で画像が形成された被記録材から画像形成物質を除去するための装置に関する。
但し、原理から明らかなように、本発明は、電子写真法により形成された画像だけではなく、熱可塑性と適当な粘弾性を有する画像形成物質を用いるあらゆる画像形成方法で形成された画像を被記録材から除去する場合に適用が可能である。すなわち、本発明は、熱転写法やグラビア印刷、インクジェット記録方法、特にホットメルトインクを使用するインクジェット記録方法、オフセット印刷などの方法によって形成されたものであっても、適当な物性に制御された画像形成物質を用いることにより、本発明の画像除去装置が有効に使用できる。
また、本発明は、枚葉のシート状被記録材から画像形成物質を除去する装置だけではなく、ウェブ状、エンドレスベルト状の被記録材を用い、該被記録材上への画像の記録と消去繰り返すディスプレーにも応用することができる。
これらの問題に対処するため、不要になった情報記録用紙を回収し、回収された紙を製紙工場で、一旦、パルプの状態まで離解し、再利用する方法が、従来より行なわれている。しかしながら、この方法では、回収のための運送やパルプの再生、再抄紙のために多くのエネルギーを使用し、更に、再生パルプを使用した紙では剛度や白色度が低下する、印字した時ににじみが生じるなど、品質上の問題もある。また、白色度が高い上質の情報記録紙を製造するためには、新しい原料を用いるよりも割高になる場合もある。更に、情報が記録された被記録材を回収、再生することは、情報が記録された被記録材が社外や家庭外に流通することなり、機密やプライバシーの保守という観点からも、問題がある。
また、剥離部材上の画像形成物質の除去を行わないと、単に、熱容量や熱伝導が悪くなるばかりではなく、剥離部材の表面に画像形成物質が転写することにより剥離部材表面に段差が生じ、この段差のために被記録材上の画像形成物質に剥離部材が接触することができない個所が生じてしまい、同一剥離部材を繰り返して使用して転写する場合には、例え1回のみの被記録材からの画像形成物質処理を行っただけでも、次回の画像形成物質除去処理において、被記録材上に画像形成物質が残留してしまう場合が生じてしまう。このために、少なくとも剥離部材の表面を平滑にする処理は、画像形成物質除去処理をするたびに、行う必要がある。平滑化処理は、熱溶融性あるいは熱可塑性層の温度を比較的高くして流動性の高い状態で行う必要があり、平滑化操作または画像形成物質除去操作を被記録材からの画像形成物質除去処理のたびに行うには多くのエネルギーを投入することが必要であり、このことも熱溶融性あるいは熱可塑性層を有する剥離部材を使用する画像除去装置の実用化を阻んでいる一つの要素であった。
例えば、特許文献3には、水を主体とする不安定化液を被記録材に付与して、被記録材上の造形性物質の被記録材への付着力を低下せしめた後、2つの剥離部材を用いて、剥離部材と被記録材の当接、分離を繰り返して被記録材上の画像形成物質を除去する方法、装置が開示されている。特許文献3に開示されている技術は、大きなべた画像を一度で転写・剥離すると、水で膨潤し、紙のセルロース繊維間の結合力が弱まり、紙層内で剥離を生じてしまうため、これを防止するのに、上流側の剥離部材表面には画像形成物質と接着する部分と接着しない部分とを設けて、上流側ではべた画像の一部のみを転写し、下流側においては全面が画像形成物質に対して接着性を有する剥離部材を使用して残留する画像形成物質を除去するものである。
この文献には、剥離部材の表面にトナーと同一またはトナーと類似の樹脂成分を用いることができることも記されているが、2つの剥離部材を設けた場合に接着面積を変えることが記されているのみで、熱可塑性表面層を有する剥離部材と熱可塑性の無い剥離部材を使い分けることに関する記述は無く、更に、2つの剥離部材を設けた場合に剥離部材上に転写された画像形成物質を除去するためのクリーニング手段を各段の剥離部において変えることに関する記述は何らなされていない。
この文献に開示された技術では、比較的大きな粒径を有する画像形成物質粉体を用いた画像や、モノクロ画像では、被記録材上の画像形成物質を比較的良好に除去することができる。しかしながら、昨今、画像品質を良好にする目的などのために、体積平均粒径が8μm以下の粉体画像形成物質を用いることが一般的になってきているが、体積平均粒径が8μm以下の粉体画像形成物質で画像が形成された場合や、多色で画像が形成された場合、低濃度の中間調画像がある場合には、特に、開示された技術では画像を良好に除去することが困難である。多色画像では、高さの高い2次色、3次色などの画像と高さの低い低濃度の階調画像が混在し、特に両者が接近して存在する画像においては、高さの高い画像が、高さの低い画像の剥離部材との接触を妨げる。特に、剥離部材としてポリエチレンテレフタレート等の比較的ガラス転移温度や溶融温度が高い樹脂、金属等、画像を除去するための加熱・加圧温度で塑性とならない剥離部材を使用する場合には、画像の段差が画像形成物質と剥離部材との接触を妨げ、粒径の小さな粉体画像形成物質で形成した画像や多色画像を剥離することは困難である。
上記の被記録材に単独で独立して存在する画像形成物質についても、特に、体積平均粒径が8μm以下の粉体画像形成物質で画像が形成された場合や、多色で画像が形成された場合、剥離部材との接触・接着が一層困難となり、被記録材の繰り返し使用により、蓄積されてしまう。
本発明の他の目的は、被記録材上の画像形成物質を完全に除去できる簡素な構成の画像除去装置を提供することである。本発明の他の目的は、メンテナンス性に優れ、長期間使用が可能な画像除去装置を提供することである。
本発明は、主として、電子写真方法などにより画像が形成された被記録材から画像形成物質を除去する装置に関するものであるが、本発明が適用できるのは、被記録材に形成されている画像形成物質が被記録材上である程度の厚みを有し、且つ、熱可塑性を有していることが要件であり、この条件を満足すれば他の方式の画像形成装置で画像が形成された被記録材にも適用が可能である。現状で市販されている殆どすべての粉体トナーを使用する電子写真装置は、上記の要件を満足する画像を形成する。ここで、電子写真装置とは、最も一般的に使用されている、感光体上に形成され静電潜像を粉体トナーにより現像し、感光体上の粉体画像を被記録材に静電的に転写した後、熱定着処理する装置だけを意味しているのではない。静電記録体に針電極で静電荷像を形成したり、電極でイオン流を制御することにより静電荷像を形成した後、粉体トナーで現像する場合、電極によりトナー粒子の流れを制御して被記録材上に画像を形成する場合も、一般的には熱可塑性のトナーが用いられ、本発明は好適に適用される。電子写真装置により画像が形成された場合のみならず、磁気記録方法や熱転写記録方法、中間画像形成体からの熱転写を伴うホットメルトインクを用いるインクジェット記録方法においても一般的には、熱可塑性の画像形成物質が使用され本発明は好適に適用される。グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷などの印刷方法でも、画像形成物質の設計を転写に適した粘弾性のものとすることにより、本発明が適用できる。
本発明に使用できる被記録材は、特に制限を受けるものではなく、セルロース繊維を主体とした紙の他、ポリエチレンテレフタレートフィルムをベースとするオーバーヘッドプロジェクター用のフィルム、マイクロフィルムなどの紙以外の被記録材であっても良い。紙としては、一般事務用や印刷用に使用されている、所謂、普通紙や印刷用紙、アート紙などのコート紙であっても良い。ただし、本発明は、表面に画像形成物質の接着性を低下せしめる化合物が塗布された、所謂、リユーザブル・ペーパーまたは、リユーザブル・メディアを用いることが最も好ましい。
普通紙や印刷用紙などの一般用途用紙の上に形成された画像形成物質を除くには、画像形成物質除去工程を行う前に、画像除去促進液の付与等の前処理を行わなければ、一般的には、良好に被記録材から画像形成物質を除去することはできない。画像除去促進液を付与しても、一般的な多色画像のように紙の上に画像形成物質が隙間の無い膜を形成する場合には、画像除去促進液は画像形成物質と被記録材との界面に達し難い。
上記工程において、2)の当接・加圧・接着工程と3)の分離工程は、原理的に前者を先に行う必要があるが、1)の加熱工程と2)の当接・加圧・接着工程については、画像形成物質が加熱され、塑性を示す状態で加圧して被記録材上の画像形成物質を剥離部材に接着する必要があるが、加熱と当接の順序は任意であり、当接前に加熱することもできるし、当接後加熱しても良い。
また、アナログ書き込みの階調画像も理想的には、均一な画像形成物質の膜厚を有するものであるが、画像濃度から要求される画像形成物質の膜厚に対して、画像形成に使用する粉体粒子の径が比較的大きいため、実際には均一な膜厚ではなく、階調画像は厚みが厚い部分、薄い部分、全く画像形成物質が付着していない部分で構成される。
熱転写法により被記録材上の画像形成物質を除去するためには、剥離部材と被記録材とが接触し、画像形成物質が剥離部材に接着することが必須条件であるが、発明者の研究によれば、図1のように、ほぼ完全な平面を形成する被記録材を用いたとしても、被記録材上の画像形成物質に段差があるために、現実的な転写条件では、1回の画像形成物質除去処理操作では、完全には画像形成物質を除去することができない。多色画像では、更に、べた画像が重ねられる2次色、3次色があり、2次色、3次色のべた画像や文字画像は、モノクロのべた画像よりも更に高さが高くなり、階調画像も含めた画像間の段差は著しいものになり、剥離部材は画像形成物質と接触し難くなる。2次色べた画像に挟まれた階調画像が剥離部材と接触し難くなる様子を図1(e)に示した。4、5は2次色を形成する各色の画像形成物質を示し、7は剥離部材を示している。このような被記録材上の画像の段差は、画像形成物質が加熱され塑性となった状態で加圧されることにより、高さの高い画像は押しつぶされ画像周辺に流動し、画像形成物質を被記録材に転写する時には小さくなるが、前述のように現実的な加熱と処理速度では、被記録材上の画像形成物質を完全に除去するまで小さくならない。特に、表面に塑性の無い剥離部材を用いる場合には、低濃度階調画像、特に高次色に隣接する低濃度階調画像は、画像高さの段差があることより、加圧・転写時に剥離部材に接着することが困難となる。
下流側の塑性を示す表面層を有する剥離部材には、わずかな量の画像形成物質しか転写されないため、シート状の被記録材の画像形成物質除去処理をする毎あるいは連続的に剥離部材からの画像形成物質除去処理をする必要は無い。被記録材上で高さの高い画像を形成している画像形成物質は、上流側で除去されているため、下流側では高さの低い画像形成物質のみが転写される。このために、下流側の剥離部材には、被記録材上の画像形成物質を転写した後も画像形成物質の剥離を阻害するにような段差が生じ難い。
図2において、加圧ローラ211、加熱ローラ212、加熱ヒータ213、剥離部材217、分離ブロック214、テンション・ローラ215、クリーニングバックアップ・ローラ216、クリーニングブレード310、画像形成物質回収容器219は、上流側の加熱時に被記録材と接する表面層が加圧時の温度では塑性を示さない剥離部材を使用した基本の画像形成物質除去処理部を構成している。加圧ローラ211は、例えば、直径35mm、厚み3mmのアルミニウムやステンレスからなるローラであり、表面近くに例えば厚み3mmのシリコンゴムなどの耐熱性弾性層を有していて、加熱ローラ212との間に図示していないバネ、水圧、空気圧などの加圧手段を有し、画像形成物質除去する被記録材200と剥離部材217が重ねられた状態で加圧されるように構成されている。加熱ローラ212は、例えば、直径35mm、厚み3mmのアルミニウムやステンレスからなるローラであり、その表面は、画像形成物質やごみが付着しないようにフッ素樹脂などで加工されていることが好ましい。加圧ローラ211の表面も画像形成物質やごみや汚れが付着し難いようにフッ素樹脂などで加工されていることが好ましい。加熱ローラ212の内部にはハロゲンランプ、赤外線ランプなどから構成される加熱ヒータ213が内蔵され、図示していない加熱ローラ212の表面温度検知手段により加熱ローラ212表面の温度が検知され、検知された温度を図示していない制御手段に入力し、該制御手段により加熱ヒータ213への出力を制御して、加熱ローラ212の表面温度は一定の設定値に保持されるように構成されている。
下流側の画像形成物質除去処理部で画像形成物質除去処理された被記録材は搬送ローラ対205、206により、排出トレー209に蓄積される。
図4は、他の画像形成物質除去装置の構成例である。図2と共通する構成部分は図2と同じ番号を付している。図4において、アルミニウムやステンレスなどの金属部材で作ることができる加熱・分離用ブロック423の内部には、ハロゲンランプ、赤外線ランプなどから構成される加熱ヒータ424が内蔵され、図示していない加熱・分離用ブロック423の表面温度検知手段により加熱・分離用ブロック423表面の温度が検知され、検知された温度を図示していない制御手段に入力し、該制御手段により加熱ヒータ424への出力を制御して、加熱・分離用ブロック423の表面温度は一定の設定値に保持されるように構成されている。
加圧ローラ411は、例えば、直径50mm、厚み3mmのアルミニウムやステンレスからなるローラであり、表面近くに例えば厚み3mmのシリコンゴムなどの耐熱性弾性層を有していて、加熱・分離用ブロック423との間に図示していないバネ、水圧、空気圧などの加圧手段を有し、画像形成物質除去する被記録材200と剥離部材217が重ねられた状態で加圧されるように構成されている。
上流側の画像形成物質除去処理部に使用される剥離部材417、クリーニングバックアップ・ローラ216、クリーニングブレード310、画像形成物質回収容器219は、図2の場合と同様に構成され、図2の装置例と同様の条件で剥離部材上の画像形成物質の除去処理がなされ、クリーニング操作は、被記録材を画像形成物質除去処理するごとに実施するように制御される。
また、比較的安価であり、使用後、必ずしも再使用できるように処理しなくとも、焼却処理や離解処理して再生紙にする処理を行っても、環境負荷が過度に大きくならない利点がある。
ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフチレート、ポリイミド、ポリサルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイドなどの高分子フィルムを使用して画像形成物質除去装置内でクリーニングを行わない場合には、使用済みの剥離部材をユーザーより回収し、剥離部材上に蓄積した画像形成物質を除去し、剥離部材を再使用することが好ましい。
また、剥離部材の上に転写された画像形成物質の量を検知して、剥離部材の交換を促すような表示をするように制御するように制御することもでき、これらの手段により、剥離部材の交換時期をユーザーに表示し、メンテナンスされることにより、画像形成物質除去装置は長期間安定した剥離特性が得られる。
本発明には、被記録材は、その種類を問わずに使用できる。普通紙に記録された画像形成物質を除去する場合には、図2、図4のような装置において、画像形成物質除去処理部に至る前に、例えば、水と界面活性剤とを含む画像除去促進液を付与する手段を設けることにより、画像形成物質の除去が可能となる。水と界面活性剤とを含む画像除去促進液が紙に付与されると、水は紙のセルロース繊維を膨潤し、膨潤しない画像形成物質との間に剪断力が生じ、画像形成物質と紙との接着力を弱めることができ、被記録材から画像形成物質の除去が可能になる。画像除去促進液を被記録材に付与する手段を設けた画像除去装置や画像除去促進液については、既に多くの発明が公開されているので、これらの発明の中から適宜選択し、本発明の画像除去装置や画像形成物質除去方法に付加することができる。普通紙を用いた場合にも本発明を用いることにより、画像形成物質の除去水準を高める効果が得られる。
しかしながら、近年のように画像形成物質に使用する粉体の粒径が小さくなったり、多色印字が多用されるようになると、普通紙上の画像形成物質を完全に除去するのは困難になってきている。すなわち、体積平均粒径が8μm以下の画像形成物質粒子を用いると、特に、球形に近い形状を有する、懸濁重合、分散重合などの化学的な方法で造粒された画像形成物質を用いると、普通紙のような多孔質な構造をもつ被記録材では、紙の表面近傍の孔部に画像形成物質粉体が入り込むため、塑性層を有する剥離部材を用いたとしても、孔部に入り込んだ画像形成物質を除去しきれない。繰り返し使用により、この孔部に入り込む画像形成物質が蓄積したりするため、普通紙を用いる場合には、繰り返し使用回数は制限される。また、孔部に入り込む画像形成物質粒子の数は画像部で多くなるため、画像形成物質除去処理した後の普通紙の上に残る孔部に落ち込んだ画像形成物質は、画像と対応していて、画像の判読が可能である。それ故、機密情報が記録された被記録材の場合、画像形成物質除去処理しても情報漏洩の可能性が残される。更に、多色画像が形成されると、多色画像においては、色再現を良くするために、画像形成物質を被記録材に加熱定着する際に、モノクロ画像よりも大きなエネルギーを投入して、画像形成物質の粘度を低くし、被記録材上に膜状の画像形成物質が形成する。画像除去促進液、特に、水を主媒体とする画像除去促進液は、被記録材上に形成された画像形成物質の膜を透過するこことができないため、多色画像が形成された普通紙に、紙の表面から画像除去促進液を付与しても、画像と被記録材との境界部には、画像除去促進液は浸透せず、普通紙と画像形成物質との接着力は弱くならない。このために、普通紙を使用する場合、画像除去促進液を付与しても画像形成物質を除去することは困難となる。画像が形成されている面と反対の面より画像除去促進液を付与すると画像除去促進液は紙と画像の界面に達することが可能となるが、この場合には、紙に大量の画像除去促進液を付与せねばならず、画像形成物質除去処理により、紙が伸びてしまう、処理された紙の再使用時に皺やカールが発生してしまうなどの問題が生じる。また、大量に付与した画像除去促進液を乾燥するために多くのエネルギーを投入する必要が生じる。
被記録材を膨潤させるのではなく、被記録材上の画像形成物質を膨潤させるような画像除去促進液を付与する技術もあるが、一般に電子写真法などに用いられる画像形成物質は親水性ではないので、画像除去促進液は有機溶媒を含むことになり、安全衛生上の問題を生じるばかりでなく、画像形成物質除去処理のコストも高くなり易いという問題がある。
本発明には、紙をベースとする被記録材ばかりでなく、ポリプロピレンなどからなる合成紙やポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、酢酸セルロースなどからなるプラスチックフィルムをベースとする被記録材をも用いることができる。合成紙やプラスチックフィルムをベースとする被記録材をも用いると、その表面平滑性が高いため、本発明により比較的容易に画像形成物質を完全に除去することが可能となる。しかしながら、合成紙やプラスチックフィルムはコストが高いばかりでなく、廃棄処理に難があり、また、電荷が逃げ難く、被記録材に触れることにより電撃を受け易いなどの問題がある。
これらの普通紙を用いるために生じる問題を解決するため、本発明においては、セルロース繊維を主体とする紙をベースとし、表面に画像形成物質との接着性を低下せしめる層を設けられるか、あるいは、画像形成物質との接着性を低下する化合物が含浸された被記録材、所謂、リユーザブルペーパを用いることが特に好ましい。
本発明に好ましく使用できる被記録材の例として次のようなものを挙げることができる。すなわち、シリコン化合物を表面に付与した被記録材の例は、特開平9−204060号公報、特開平9−204061号公報などに開示されている。紙に界面活性剤を付与した被記録材の例は、例えば、特開平10−74025号公報に開示されており、界面活性剤は、例えば、フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、分子中の直鎖や分岐のアルキル基の炭素数総数が一分子当たり八個以上の界面活性剤を付与した紙を用いることが好ましい。フッ素系界面活性剤の具体例は、フロロアルキルカルボン酸塩、フロロアルキルスルホン酸塩等のアニオン系、フロロアルキル導入ベタイン等の両性系、ノニオン系、カチオン系、等である。シリコン系界面活性剤の具体例は、例えば、エポキシ変性、アルキル変性、アラルキル変性、アミノ変性、カルボキシル変性、アルコール変性、フッ素変性、ポリエーテル変性、等のシリコンオイルである。分子中の直鎖や分岐のアルキル基の炭素数の総数が一分子当たり八個以上の界面活性剤の例は、カルボン酸塩、硫酸エステル塩、スルホン酸塩、リン酸エステル塩、等のアニオン系、アミン塩、アミン誘導体、4級アンモニウム塩、イミダゾリン、イミダゾリウム塩、等のカチオン系、ベタイン等の両性系、等である。これらの界面活性剤は紙などの被記録材の表面に塗布することにより、画像形成物質との接着力を低下せしめる。適当な界面活性剤の付着量は用いる界面活性剤の種類に著しく依存し、上記の分類に属する界面活性剤であっても、アルキル基の長さや枝分かれの構造や、HLBが適正でない場合には、必ずしも画像形成物質の被記録材に対する接着性を画像形成物質が除去できる程度に低下することができない。
カルナバワックス、蜜蝋、ポリエチレンワックスなどのワックス類を界面活性剤を用いて水に分散させたエマルジョンを付与した紙も本発明に好適に用いることができる。
また、発明者の研究によれば、炭素数14〜22程度のα−オレフィンと無水マレイン酸を重合させ、ケン化せしめた重合体をポリアクリル酸樹脂、ポリビニールアルコール、澱粉、酸化澱粉、天然あるいは合成ラテックス、酢酸ビニルエマルジョンなどバインダーとともに塗布した被記録材が、画像形成物質の除去が完全になされること、安価に得られること、安全性が高いことから最も好ましい。上記の塗布、含浸における塗布塑性物、含浸塑性物の付着量を、片面について固形分で2g/m2以上、好ましくは2〜6g/m2として、普通紙に付与することにより、普通紙表面の孔構造が無くなり、たとえ、体積平均粒径が8μm以下(たとえば3〜8μm)の画像形成物質を使用しても、本発明の画像形成物質除去方法、装置により、画像形成物質を完全に除去することが可能となる。また、このようにして製造されたリユーザブルペーパと本発明の画像形成物質除去方法、装置を使用することにより、画像の段差の大きな多色印刷された画像形成物質の完全除去も可能になる。
オレフィン−無水マレイン酸重合物25重量%水溶液 1重量部、ポリビニルアルコール10重量%水溶液 10重量部を混合し、塗布液を調合した。この塗布液を片面の乾燥塗布量が3.5g/m2となるように、市販の普通紙(リコー コピー用紙 Type6200)の両面にワイヤバーを用いて塗布し、120℃、5分間の乾燥を行い、スーパーキャレンダで平滑化処理を行い、リユーザブルペーパを得た。
この被記録材を使用し、市販のカラー電子写真画像形成装置(商品名:リコー imagio Neo C385)を用いて、輝度が0%〜100%で輝度10%刻みの面積率の階調画像、2次色画像が隣接する面積率30%の階調画像、文字画像、べた画像を有するフルカラーパターンを印字した。印字画像は鮮明なものであった。
このプリンタ用の画像形成物質の体積平均粒径は、6.8μmである。
上記のようにして画像を形成した被記録材から、図2の装置を用いて画像形成物質を除去した。画像除去時の条件は下記のとおりとした。
プロセス線速(剥離部材搬送速度):40mm/sec
上流側画像形成物質除去処理部
剥離部材:100μmの厚みのポリイミドフィルム
画像形成物質除去ブレード:切削鋼よりなる4条スパイラル・クリーニング・
ブレード、径25mmφ
バックアップローラ表面材質:ウレタンスポンジ部材
ブレード回転方向(通常使用時):剥離部材搬送と逆方向
加熱ローラ設定温度:135℃
下流側画像形成物質除去処理部
剥離部材:100μmの厚みのポリイミドフィルム上に、リコー imagio
Neo C385黒色トナー(熱可塑性樹脂を含む)を厚み6μmと
なるように塗布し加熱定着したもの
クリーニング間隔:被記録材300枚処理毎
クリーニング時クリーニングバックアップ・ローラ設定温度: 165℃
画像形成物質加圧ローラ225:中央部の直径が端面に対して0.5mm大きい
中央部直径30mmのローラ
加熱ローラ設定温度:110℃
上記の条件で、被記録材から画像形成物質の除去を行ったところ、被記録材上の画像形成物質は完全に除去されていた。同一被記録材について、画像形成物質除去処理され再生された紙に、前記と同一パターンの画像を形成し、更に画像形成物質除去処理を行うサイクルを50回繰り返したが、得られる画像に変化は無く、且つ、画像形成物質除去処理された被記録材上の画像形成物質は完全に除去されていた。
図2の画像形成物質除去装置において下流側画像形成物質除去処理部の加熱ローラに内蔵されているヒータをオフにして、下流側画像形成物質除去処理部の動作を行わない状態にする以外は、実施例1と同様の処理を行った。排出された被記録材で、面積率30%以上の階調画像、文字画像、べた画像は除去されていたが、面積率20%、面積率10%の階調画像、2次色画像が隣接する面積率30%の階調画像、画像周辺の飛び散り画像形成物質が目視で確認でき、地肌を形成する画像形成物質は100倍の倍率の顕微鏡で観察することにより確認できた。
図2の画像形成物質除去装置において上流側画像形成物質除去処理部の加熱ローラに内蔵されているヒータをオフにして、上流側画像形成物質除去処理部の動作を行わない状態にする以外は、実施例1と同様の処理を行った。排出された被記録材で、階調画像、文字画像、べた画像は除去されていたが、2次色画像が隣接する面積率30%の階調画像が目視で確認できた。
図2の画像形成物質除去装置において上流側画像形成物質除去処理部の加熱ローラに内蔵されているヒータをオフにして、上流側画像形成物質除去処理部の動作を行わない状態にする以外は、実施例1と同様の処理を行った。被記録材上の画像形成物質が転写された下流側剥離部材を取り外し、被記録材から画像が転写された部分を切り取り、粘着テープで上流側剥離部材に貼り付けて、上流側剥離部材のクリーニング条件と同一の条件で、剥離部材上の画像形成物質の除去を行うことを試みたが、剥離部材上の画像形成物質は全く除去されなかった。このことから、熱可塑性表面層を有する剥離部材で画像形成物質を除去する場合、ブレードで摺動する方法では、被記録材上の画像形成物質は除去できないことが示された。
次に、図2の画像形成物質除去装置において上流側画像形成物質除去処理部の加熱ローラに内蔵されているヒータをオフにして、上流側画像形成物質除去処理部の動作を行わない状態にし、それ以外は、実施例1と同様の処理条件として、下流側の剥離部材のクリーニング処理を行わず、連続して画像を印字した被記録材を5枚通紙したところ、3枚目、4枚目の被記録材の地肌部には、1枚目、2枚目で剥離した画像形成物質が逆転写した。5枚目の被記録材は、被記録材と剥離部材との分離不良によりジャムを生じた。このことから、熱可塑性表面層を有する剥離部材を用いて1段の画像形成物質を除去する場合、特に高さに段差がある画像を除いて、比較的良好に被記録材から画像形成物質は除去されるが(比較例2参照)、剥離部材のクリーニング処理無しで画像形成物質除去処理を続けると、すぐに剥離部材上に画像形成物質が被記録材に逆転写するようになることが示された。
図2の画像形成物質除去装置において下流側画像形成物質除去処理部の加熱ローラの設定温度を上流側設定温度と同じ、135℃に設定する以外は、実施例1と同様に、リユーザブルペーパの準備、画像印字、画像形成物質除去処理を行ったところ、処理された被記録材の地肌部には、下流側剥離部材の塑性層が逆転写し汚れが発生してしまった。
図2の画像形成物質除去装置において上流側画像形成物質除去処理部の加熱ローラの設定温度を下流側設定温度と同じ、110℃に設定する以外は、実施例1と同様に、リユーザブルペーパの準備、画像印字、画像形成物質除去処理を行った。処理された被記録材上の画像形成物質が完全に除去され、目視で地肌かぶりも観察できなかった。ここで、上流側画像形成物質除去処理部の設定温度を110℃に設定したまま、下流側画像形成物質除去処理部の加熱ローラに内蔵されているヒータをオフにして、下流側画像形成物質除去処理部の動作を行わない状態にして、同様に画像が形成されたリユーザブルペーパの処理を行った。排出された被記録材で、面積率60%以上の階調画像、文字画像、べた画像は除去されていたが、面積率50%以下の階調画像の画像形成物質は残存していた。また、2次色画像が隣接する面積率30%の階調画像の残存量も比較例1に比較して多かった。このことから、上流側画像形成物質除去処理部の加熱ローラの設定温度を下流側の適正条件とすると、上流側画像形成物質除去処理部で除去する画像形成物質量が減じ、頻繁に下流側画像形成物質除去処理部のクリーニング操作を行う必要が生じることが確認できた。
階調の無い文字画像とべた画像からなる画像パターンを市販のカラー電子写真画像形成装置(商品名:リコー imagio Neo C385)を用いて、実施例1で製造したリユーザブルペーパに印字した。
比較例2と同様に、図2の画像形成物質除去装置において下流側画像形成物質除去の加熱ローラに内蔵されているヒータをオフにして、文字画像とべた画像からなる画像パターンを印字したリユーザブルペーパの画像形成物質除去処理を行ったところ、階調画像や2次色画像が隣接する階調画像がないため、被記録材には画像周辺に飛び散った画像形成物質だけが目視で観察された。画像形成物質除去処理された被記録材に前記の文字画像とべた画像からなる画像パターンを印字し、下流側の画像形成物質除去処理を実行しない状態で画像形成物質除去処理するサイクルを15回繰り返したところ、画像形成物質除去されたリユーザブルペーパの地肌かぶりは目視でも顕著となり、画像周辺に飛び散った画像形成物質も各回の印字分が蓄積され、実用には耐えられないものとなってしまった。
比較例6において、15回の画像印字、画像形成物質除去を行った被記録材を、図2の装置を用いて、実施例1と同条件、すなわち、下流側の画像形成物質除去処理部が動作する状態で、処理したところ、被記録材上の画像形成物質は完全に除去され、地肌かぶりや画像周辺の飛び散り画像形成物質は無かった。このことから、被記録材を特定の設定回数使用するごとのみに上流側と下流側の両方の画像形成物質除去処理部を動作させることにより、比較的良好な剥離特性を保ちながら、下流側の画像形成物質除去処理部に消費するエネルギーを減じ、クリーニング部材や剥離部材の寿命を長くすることができることが確認できた。
オレフィン−無水マレイン酸重合物25重量%水溶液 16重量部、酸化澱粉12%水溶液 16重量部、スチレン−ブタジエンラテックス40重量%分散体 3重量部を混合し、塗布液を調合した。この塗布液を片面の乾燥塗布量が4.0g/m2となるように、市販の印刷用上質紙(王子製紙 エコGホワイト100)の両面にワイヤバーを用いて両面に塗布し、120℃、5分間の乾燥を行い、スーパーキャレンダで平滑化処理を行い、リユーザブルペーパを得た。
この被記録材を使用し、市販のカラー電子写真画像形成装置(商品名:リコー imagio Neo C240)を用いて、輝度は0%〜100%で輝度は10%刻みの面積率の階調画像、2次色画像が隣接する面積率30%の階調画像、文字画像、べた画像を有するフルカラーパターンを印字した。得られた画像は鮮明なものであった。
このプリンタ用の画像形成物質の体積平均粒径は、6.8μmである。
上記のようにして画像を形成した被記録材から、図4の装置を用いて画像形成物質を除去した。画像除去時の条件は下記のとおりである。
プロセス線速(剥離部材搬送速度):60mm/sec
上流側画像形成物質除去処理部
剥離部材:100μmの厚みのポリイミドフィルム
画像形成物質除去ブレード:切削鋼よりなる4条スパイラル・クリーニング
・ブレード、径25mmφ
バックアップローラ表面材質:ウレタンスポンジ部材
ブレード回転方向(通常使用時):剥離部材搬送と逆方向
加熱ローラ設定温度:145℃
下流側画像形成物質除去処理部
剥離部材 :70μmの厚みの紙の両面に、リコー imagio Neo
C240用トナー(熱可塑性樹脂を含む)をマゼンタ、シアン、
イエロー、ブラックの順に重ね、全体で厚み約25μmとなるよう
に塗布し加熱定着したもの
加熱ローラ設定温度:120℃
上記の条件で、被記録材から画像形成物質の除去を行ったところ、被記録材上の画像形成物質は目視で見る限り完全に除去されていた。同一被記録材について、画像形成物質除去処理され再生された紙に、前記と同一パターンの画像を形成し、更に画像形成物質除去処理を行うサイクルを50回繰り返したが、得られる画像に変化は無く、且つ、画像形成物質除去処理された被記録材上の画像形成物質は完全に除去されていた。
2 べた画像を形成する画像形成物質
3 階調画像を形成する画像形成物質
4 2次色を形成する1つの色の画像形成物質
5 2次色を形成する他の色の画像形成物質
6 被記録材に定着している一つの画像形成物質粉末
7 剥離部材
200 被記録材
201 給紙カセット
202 ピックアップローラ
203 給紙ローラ対
204 給紙ローラ対
205 搬送ローラ対
206 搬送ローラ対
207 塑性層厚さセンサー
208 画像形成物質除去処理された被記録材
209 排出トレー
211 加圧ローラ
212 加熱ローラ
213 加熱ヒータ
214 分離ブロック
215 テンション・ローラ
216 クリーニングバックアップ・ローラ
217 剥離部材
219 画像形成物質回収容器
220 加熱ヒータ
221 加圧ローラ
222 加熱ローラ
223 加熱ヒータ
224 分離ローラ
225 画像形成物質加圧ローラ
226 クリーニングバックアップ・ローラ
227 剥離部材
228 カッティングブレード
229 画像形成物質回収容器
230 回収された画像形成物質
231 回収された画像形成物質
232 等倍画像ラインセンサー
233 エンドマーク検知手段
310 クリーニングブレード
311 カット面
411 加圧ローラ
412 加熱ヒータ
417 ウエッブ状剥離材
423 加熱、分離用ブロック
424 加熱ヒータ
425 巻芯
426 巻芯
428 分離・加圧ローラ
431 ガイド板
Claims (1)
- 少なくとも、画像が形成されている被記録材上に形成されている画像形成物質を加熱する手段(A)、該被記録材の画像が記録された面と剥離部材とを当接せしめる手段(B)、当接された該被記録材と剥離部材とを加圧する手段(C)、該加圧後、当接された該被記録材と剥離部材とを分離し被記録材上の画像形成物質を剥離部材に転写する手段(D)よりなる被記録材の画像形成物質除去装置において、前記(A)、(B)、(C)、(D)の各手段はそれぞれ複数設け、上流側では被記録材と接する表面層が加圧時の温度では塑性を示さない剥離部材を用い、下流側では被記録材と接する表面層が加圧時の温度で塑性を示す剥離部材を用いるとともに、表面層が加圧時の温度で塑性を示すがベース材料層は加熱・加圧温度では可塑性を示さない、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフチレート、ポリイミド、ポリサルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイドのいずれかの高分子化合物から構成される下流側の剥離部材のエンド近傍にエンドマークが記され、エンドマークが検知されると、分離・加圧ローラ間に印加されている圧力が解除されて剥離部材は巻芯に巻き戻されるように制御され、規定の回数だけ剥離部材を使用した時には、剥離部材の交換を促すような表示をするように制御し、画像形成物質除去処理した後の被記録材の残量をセンサーで検知し、残量が設定値を超えた時に剥離部材の交換を促す表示をする制御機構を備えていることを特徴とする被記録材の画像形成物質除去装置。
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