JP4841909B2 - 窒化物系半導体発光素子 - Google Patents
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Description
サファイア単結晶基板は、GaNとは格子定数が10%以上も異なるが、AlNやAlGaNなどのバッファ層を形成することにより、その上に良好な窒化物半導体を形成することができ、一般的に広く用いられている。サファイア単結晶基板を用いた場合、n型半導体層、発光層、p型半導体層が、この順で積層される。サファイア基板は絶縁体であるので、その素子構造は一般的に、p型半導体層上に形成された正極とn型半導体層上に形成された負極が存在することになる。ITOなどの透明電極を正極に使用してp型半導体側から光を取り出すフェイスアップ方式、Agなどの高反射膜を正極に使用してサファイア基板側から光を取り出すフリップチップ方式の2種類がある。
第一に、負極を形成するために発光層をエッチングなどにより除去してn型半導体層を露出させることから負極の部分だけ発光層の面積が減ってしまい、その分、出力が低下する。
第二に、正極と負極が同一面にあるために電流の流れが水平方向になってしまい、局部的に電流密度の高いところができ、素子が発熱してしまう。
第三に、サファイア基板の熱伝導率は低いので、発生した熱が拡散せず素子の温度が上昇してしまう。
また、導電性基板を接着させるのではなく、メッキによって作製する方法が開示されている(例えば、特許文献2)。
また、メッキによって基板を作製する際に、p型半導体層とメッキとの密着性を向上させるため、中間層を成膜する手段も開示されている(例えば、特許文献3)。
GaN系化合物半導体素子のように短波長光を発光する場合、特許文献4に記載されたような反射膜にAgを使用することで、最も反射率を高めることができる。
しかしながら、Agはマイグレーションを極めて起こしやすいので、信頼性のある素子として使用するためのマイグレーション防止策として、Agを覆うようにして、Pt,Pd,Niからなる金属保護膜を設けたものが開示されている(例えば、特許文献5)。
しかしながら、この特許文献5に記載の窒化物系半導体発光素子では、オーミック接触層の上に反射層を成膜しているために、厚膜のメッキ金属基板を形成した際の密着性が問題となる。
また、本発明の窒化物系半導体発光素子は、オーミック接触層に仕事関数の大きいPt,Ru,Os,Rh,Ir,Pd,Agを用い、かつ、密着層としてTi,V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wの単体金属またはそれらの合金を採用した構成とした場合には、電子線照射や高温アニール、又は酸素雰囲気下での合金化熱処理等を行わない場合であっても、密着性に優れ、且つ良好な透光性を有し、低接触抵抗を有する電流拡散性に優れた正極を備えた窒化ガリウム系化合物半導体発光素子を提供することができる。
即ち本発明は以下に関する。
(2)前記密着層が、Ti,V,Cr,Zr,Nb,Mo,Hf,Ta,Wの単体金属、及び/又は、それらの合金からなることを特徴とする(1)に記載の窒化物系半導体発光素子。
(3)前記密着層の膜厚が0.1nm〜20nmであることを特徴とする(1)又は(2)に記載の窒化物系半導体発光素子。
(4)前記反射層がAg合金からなることを特徴とする(1)〜(3)の何れかに記載の窒化物系半導体発光素子。
(5)前記反射層の膜厚が0.1nm〜200nmであることを特徴とする(1)〜(4)の何れかに記載の窒化物系半導体発光素子。
(6)前記保護層が酸化ケイ素,窒化珪素からなることを特徴とする(1)〜(5)の何れかに記載の窒化物系半導体発光素子。
(7)前記保護層の膜厚が10nm〜500nmであることを特徴とする(1)〜(6)の何れかに記載の窒化物系半導体発光素子
(8)前記保護層の光透過率が、300〜600nmの波長範囲において、80%以上であることを特徴とする(1)〜(7)の何れかに記載の窒化物系半導体発光素子。
(9)前記金属板の膜厚が10μm〜200μmであることを特徴とする(1)〜(8)の何れかに記載の窒化物系半導体発光素子。
(10)前記金属板が無電解メッキ法により形成されたメッキからなることを特徴とする(1)〜(9)の何れかに記載の窒化物系半導体発光素子。
(11)前記金属板がNiP合金からなることを特徴とする(1)〜(10)の何れかに記載の窒化物系半導体発光素子。
(12)前記第2の金属膜層と金属板との間にメッキ密着層が形成されていること特徴とする(1)〜(11)の何れかに記載の窒化物系半導体発光素子。
(13)前記メッキ密着層が、前記金属板をなすメッキの50重量%以上を占める主成分と同一の組成を50重量%以上含有することを特徴とする(12)に記載の窒化物系半導体発光素子。
(14)前記メッキ密着層がNiP合金からなることを特徴とする(12)又は(13)の何れかに記載の窒化物系半導体発光素子。
(15)前記オーミック接触層が、Pt、Ru、Os、Rh、Ir、Pd、Agの単体金属、及び/又は、それらの合金からなることを特徴とする請求項1〜14の何れかに記載の窒化物系半導体発光素子。
(16)前記オーミック接触層の膜厚が0.1nm〜30nmであることを特徴とする(1)〜(15)の何れかに記載の窒化物系半導体発光素子。
(18)前記積層工程は、前記n型半導体層を、バッファ層を介して基板上に取り付けて行われ、前記積層工程終了後に、前記基板およびバッファ層を除去することにより、前記n型半導体層を露出させることを特徴とする(17)に記載の窒化物系半導体発光素子の製造方法。
(19)前記保護層をCVD法によって形成することを特徴とする(17)又は(18)に記載の窒化物系半導体発光素子の製造方法。
(20)前記金属板を形成した後、100℃〜300℃の温度で熱処理することを特徴とする(17)〜(19)の何れかに記載の窒化物系半導体発光素子の製造方法。
(21)前記密着層をスパッタ法によって形成することを特徴とする(17)〜(20)の何れかに記載の窒化物系半導体発光素子の製造方法。
(22)前記反射層と前記金属板との間に、スパッタ法によってメッキ密着層を形成すること特徴とする(17)〜(21)に記載の窒化物系半導体発光素子の製造方法。
ただし、本発明は以下の各実施形態に限定されるものではなく、例えばこれら実施形態の構成要素同士を適宜組み合わせても良い。
本実施形態の窒化物系半導体発光素子1は、n型半導体層103、発光層104、p型半導体層105、オーミック接触層106(第1の金属膜層)、メッキ基板110(金属板)が、この順序で積層(図1の上下方向)されてなる。また、窒化物系半導体発光素子1は、保護層107が、n型半導体層103、発光層104、及びp型半導体層105の各側面を覆うように形成されており、保護層107の各側面には、密着層108及び反射層109(第2の金属膜層)、メッキ基板110(金属板)の延出部110aが、この順で積層されている。そして、本実施形態の窒化物系半導体発光素子1は、n型半導体層103の下面に負電極112が形成され、メッキ基板110の上面に正電極111が形成されることにより、上下電極配置型に概略構成されている。
密着層108は、保護層107と同様に、上端(先端)108aがp型半導体層105の上面の一部及び保護層107を覆うように形成されるとともに、下部108bも保護層107と同様に、下部107bに積層される形で窒化物系半導体発光素子1の周囲方向へ延びて形成されている。
反射層109は、該密着層108を、該密着層108の下部108bの先端部(窒化物系半導体発光素子1の周囲方向へ延びた部分)を除いて覆うとともに、オーミック接触層106とp型半導体層105の上面の一部を覆うようにして形成されている。
メッキ基板110は、上記反射層109の上面及び側面を覆うとともに、密着層108の下部108bの先端部(窒化物系半導体発光素子1の周囲方向へ延びた部分)を覆うように形成されている。
本発明の窒化物系半導体発光素子は、上述のような積層工程によって図2に示すような各層が形成され、最終的に、サファイア基板201及びバッファ層202を除去して、メッキ基板210を素子単位で分割することにより、図1に示すような窒化物系半導体発光素子が形成される。
また、ドーパントとしては、n型にはSi原料としてモノシラン(SiH4)またはジシラン(Si2H6)を、Ge原料としてゲルマン(GeH4)を用い、p型にはMg原料としては例えばビスシクロペンタジエニルマグネシウム(Cp2Mg)またはビスエチルシクロペンタジエニルマグネシウム((EtCp)2Mg)を用いる。
保護層107は、表面に反射層109が形成されることから、300〜600nmの波長範囲、特に350〜550nmの範囲において透過率が高いことが好ましく、80%以上の透過率を持つことがより好ましい。
なお、本発明で述べる透光性とは、300〜600nmの波長領域の光に対する透光性を意味する。
保護層107の厚さは、良好な絶縁性を得るために0.1nm以上とすることが好ましい。さらに好ましくは1nm以上であり、良好な絶縁性が得られる。保護層107の厚さに特に上限はないが、生産性の観点から1μm以下にすることが好ましい。
保護層107の成膜方法については、特に制限されることはなく公知のCVD法やスパッタ法や蒸着法を用いることができる。保護層107は半導体層の側面に形成する必要があるため、側面への被覆性に優れたCVD法を用いることが特に好ましい。
また、保護層107は、その目的からすれば窒化物系半導体発光素子の側面にのみ形成されればよいが、マスキングの精度を考慮した場合、図1に示すように、p型半導体層105にも一部被覆されるように形成することが好ましい。
密着層108の厚さは、良好な密着性を得るために0.1nm以上とすることが好ましい。さらに好ましくは1nm以上であり、均一な密着性が得られる。密着層108が厚くなりすぎると光を吸収してしまうので、20nm以下とすることが好ましい。
密着層108の成膜方法については、特に制限されることはなく公知のスパッタ法や蒸着法を用いることができる。スパッタ法は、スパッタ粒子が高エネルギーを持って基板表面に衝突して成膜されるので、密着性の高い膜を得ることができる。したがって、スパッタ法を用いることがより好ましい。
反射層109の膜厚は、良好な反射率を得るためには0.1nm以上とすることが好ましい。さらに好ましくは1nm以上であり、良好な反射率が得られる。また、Ag合金はマイグレーションを起こしやすいので、メッキにより保護するとはいえ、より薄い方が好ましい。したがって、膜厚は200nm以下とすることがより好ましい。
反射層109の成膜方法については、特に制限されることはなく公知のスパッタ法や蒸着法を用いることができる。スパッタ法はスパッタ粒子が高エネルギーを持って基板表面に衝突して成膜されるので、密着力の高い膜を得ることができる。したがって、スパッタ法を用いることがより好ましい。
オーミック接触層106の材料としては、p型半導体層105との接触抵抗の観点から、Pt、Ru、Os、Rh、Ir、Pd等の白金族、またはAgを用いることが好ましい。さらに好ましくは、Pt,Ir,Rh及びRuであり、Ptが特に好ましい。
オーミック接触層106にAgを用いることは、良好な反射を得るためには好ましいが、接触抵抗はPtよりも大きい。したがって、接触抵抗がそれほど要求されない用途にはAgを用いることも可能である。
また、オーミック接触層106上には、Ag合金等からなる反射層109を設けても良い。Pt、Ir、Rh、Ru、OS、Pd等は、Ag合金と比較すると可視光から紫外領域の反射率が低い。したがって、発光層104からの光が十分に反射せず、発光出力の高い素子を得ることが難しい。この場合、オーミック接触層106を、光が十分に透過するように薄く形成し、Ag合金などの反射層109を形成して反射光を得る方が、良好なオーミック接触が得られ、かつ出力の高い素子を作製することができる。この場合のオーミック接触層106の膜厚は30nm以下とすることが好ましい。さらに好ましくは10nm以下である。
オーミック接触層106および反射層109の成膜方法については、特に制限されることはなく公知のスパッタ法や蒸着法を用いることができる。
また、メッキ基板110にNiPメッキを用いる場合、メッキ密着層にはNi系合金を用いることが好ましい。さらに好ましくはNiP合金を用いることである。また、メッキ基板110にCuメッキを用いる場合、メッキ密着層にはCu系合金を用いることが好ましい。さらに好ましくはCuを用いることである。
メッキ密着層の厚さは、良好な密着性を得るために0.1nm以上とすることが好ましい。さらに好ましくは1nm以上であり、均一な密着性が得られる。メッキ密着層の厚さに特に上限はないが、生産性の観点から2μm以下にすることが好ましい。
メッキ密着層の成膜方法については、特に制限されることはなく公知のスパッタ法や蒸着法を用いることができる。スパッタ法は、スパッタ粒子が高エネルギーを持って基板表面に衝突して成膜されるので、密着性の高い膜を得ることができる。したがって、スパッタ法を用いることがより好ましい。
メッキ基板110の厚さは、基板としての強度を保つために10μm以上とすることが好ましい。また、メッキ基板110が厚すぎるとメッキの剥離が起こりやすくなり、かつ生産性も低くなるので200μm以下とすることが好ましい。
メッキを実施する際は、窒化物系半導体発光素子の表面を、汎用の中性洗剤等を用いて、予め脱脂洗浄しておくことが好ましい。また、硝酸などの酸を用いてメッキ密着層等の表面に化学エッチングを施すことにより、メッキ密着層上の自然酸化膜を除去するのが好ましい。
NiPメッキ等のメッキ処理方法としては、メッキ浴として、例えば、硫酸ニッケル、塩化ニッケルなどのニッケル源と、次亜リン酸塩などのリン源を含むものを用いた無電解メッキ処理法を採用することができる。無電解メッキ法に用いられるメッキ浴として好適な市販品としては、上村工業製のニムデンHDXなどがある。無電解メッキ処理を行う際のメッキ浴のpHは4〜10、温度は30〜95℃とすることが好ましい。
また、表面を平滑化させるためにレベリング剤を添加することがより好ましい。レベリング剤に用いられる市販品としては、例えば上村工業製のETN−1−AやETN−1−Bなどが用いられる。
サファイア基板101を剥離した後、研磨法、エッチング法などによりバッファ層102を除去し、n型半導体層103を露出させ、該n型半導体層103上に図示略の負極を形成する。負極としては、公知の各種組成及び構造のものを、何ら制限なく用いることが出来る。
また、正極としては、Au、Al、Ni及びCu等の材料を用いた各種構造が公知であり、これら公知の材料を何ら制限なく用いることが出来る。
(作製方法)
本実施例では、図1の断面模式図に示すような窒化物系半導体発光素子を作成した。
まず、サファイア基板101上に、AlNからなるバッファ層102(厚さ10nm)を介して、厚さ5μmのSiドープn型GaNコンタクト層、厚さ30nmのn型In0.1Ga0.9Nクラッド層、厚さ30nmのSiドープGaN障壁層および厚さ2.5nmのIn0.2Ga0.8N井戸層を5回積層し、最後に障壁層を設けた多重井戸構造の発光層、厚さ50nmのMgドープp型Al0.07Ga0.93Nクラッド層、厚さ150nmのMgドープp型GaNコンタクト層を順に積層した。
そして、窒化物系半導体のp型コンタクト層(p型半導体層105)上に、厚さ1.5nmのPt層を、オーミック接触層106として、図1に示すようにスパッタ法により成膜した。
保護層107は、p型半導体層105、発光層104、n型半導体層103を覆うために、ドライエッチング部とp型半導体表面の外周部に100nm成膜した。保護層107上にCrを10nmスパッタ法により成膜した後、保護層107、オーミック接触層106を覆うようにして、Agを20nmスパッタ法により成膜した。Pt、Cr及び保護層107のパターンは、公知のフォトリソグラフィー技術およびリフトオフ技術を用いた。
保護層107の成膜には、SiH4とO2を用いたCVD法を用いた。
次いで、メッキ浴(上村工業製、ニムデンHDX−7G)を用いて、NiP合金膜上に、50μmのNiP合金からなる無電解メッキ層を形成し、メッキ金属基板(メッキ基板110)を得た。この際の処理条件はpH4.6、温度90℃、時間3時間とした。次いで、このメッキ金属基板を水洗、乾燥した後、クリーンオーブンを用いて250℃の条件下で1時間処理した。
次いで、n型半導体層103の表面に、ITO(SnO2:10wt%)を400nm、蒸着により成膜した。次いで、ITO表面上の中央部に、Cr(40nm)、Ti(100nm)、Au(1000nm)からなる図示略の負極を、蒸着法により成膜した。負電極のパターンは、公知のフォトリソグラフィー技術及びリフトオフ技術を用いた。
また、p型半導体表面上には、Au(1000nm)からなる図示略の正極を、蒸着法により成膜した。
次いで、ダイシングにより分割し、350μm角の窒化物系半導体素子1とした。
得られた窒化物系半導体発光素子について、TO−18缶パッケージに実装して、テスターによって印加電流20mAにおける発光出力を測定した。
密着性を評価するため、メッキ金属板(メッキ基板110)を作製して熱処理をした後に膜剥離試験を実施した。剥離試験はJISに規定された方法(JIS H8062−1992)に、ヒートショック試験を組み合わせた加速試験を採用した。
まず、金属膜層、メッキ金属板にカッターナイフを用いて直線状の引っかき傷を1mm間隔の碁盤目状に入れた。この引っかき傷の深さは、サファイア基板101表面に到達する深さとした。次いで、これを400℃のオーブン内で30分加熱した後に、温度20℃に水中で急冷、乾燥させた。
次いで、引っかき傷を入れたメッキ金属板表面部分に粘着テープ(ニチバン製、セロハンテープ、幅12mm)を貼り付け、これを隙間無く密着させた後、テープをメッキ金属板表面から引き剥がした。この際、引っかき傷によって区画された1mm四方のメッキ金属板表面区画100個の内、引き剥がされずに残った区画を計数した。即ち、残った区画が100個であれば、膜剥がれが無いものと判断できる。
密着層、反射層の組成、膜厚をそれぞれ表1に示す条件で変化させた以外は、実施例と同様にして窒化物系半導体発光素子を作製し、評価した。
密着層としてNiP合金膜の代わりにCuをスパッタ法より30nm成膜し、また、メッキ基板としてNiP合金膜の代わりにCuを電解メッキで50μm成膜した以外は実施例1と同様の処理を施した。
Cuのメッキ条件としては、CuSO4:80g/L、硫酸:200g/L、レベリング剤(上村工業製ETN−1−A:1.0mL/L,ETN−1−B:1−mL/L)を使用し、電流密度2.5A/dm2で常温にてメッキを実施した。メッキ時間は3時間とし、50μmのCu膜を成膜した。また陽極には含リン酸銅を使用した。
表1に示すように、密着層および反射層からなる金属膜層を有する本発明の窒化物系半導体発光素子(実施例1〜7)は何れも高い発光出力を有するともに、剥離が全く発生せず、高い評価が得られた。また、密着層にCr以外のTi,V,Cr,Zr,Nb,Mo,Hf,Ta,Wを用いた本発明の窒化物系半導体発光素子(実施例8〜15)でも、剥離が全く発生せず、高い評価が得られた。さらに、メッキ基板にCuを用いた本発明の窒化物系半導体発光素子(実施例16:表1には記載せず)でも、発光出力15mW、残留区画数100と剥離が全く発生せず、高い評価が得られた。
また、比較例に示す従来の窒化物系半導体発光素子は、反射層が設けられておらず、剥離は発生しなかったものの、発光出力が12mWと低い結果となった。
Claims (22)
- 少なくともn型半導体層、発光層、p型半導体層、金属膜層、金属板が、この順序で積層されてなる窒化物系半導体発光素子において、
保護層が、前記n型半導体層、発光層、及びp型半導体層の側面を覆い、さらに、前記保護層の上端部が前記p型半導体層の上面の周縁部を覆うように形成され、
前記p型半導体層に接して形成される第1の金属膜層がオーミック接触層からなり、
前記保護層に接して形成される第2の金属膜層が密着層からなり、前記密着層の上端部が、前記保護層の上端部に接して前記p型半導体層の上面の一部を覆うように形成され、前記反射層が、前記密着層の側面及び上面と、前記オーミック接触層と、前記p型半導体層の上面における前記保護層、密着層及びオーミック接触層以外の部分を覆うように形成されてなり、
前記金属板がメッキからなり、前記反射層を覆うように形成されていることを特徴とする窒化物系半導体発光素子。 - 前記密着層が、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wの単体金属、及び/又は、それらの合金からなることを特徴とする請求項1に記載の窒化物系半導体発光素子。
- 前記密着層の膜厚が0.1nm〜20nmであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の窒化物系半導体発光素子。
- 前記反射層がAg合金からなることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の窒化物系半導体発光素子。
- 前記反射層の膜厚が0.1nm〜200nmであることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の窒化物系半導体発光素子。
- 前記保護層が酸化ケイ素,窒化珪素からなることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の窒化物系半導体発光素子。
- 前記保護層の膜厚が10nm〜500nmであることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の窒化物系半導体発光素子。
- 前記保護層の光透過率が、300〜600nmの波長範囲において、80%以上であることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の窒化物系半導体発光素子。
- 前記金属板の膜厚が10μm〜200μmであることを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の窒化物系半導体発光素子。
- 前記金属板が無電解メッキ法により形成されたメッキからなることを特徴とする請求項1〜9の何れかに記載の窒化物系半導体発光素子。
- 前記金属板がNiP合金からなることを特徴とする請求項1〜10の何れかに記載の窒化物系半導体発光素子。
- 前記第2の金属膜層と金属板との間にメッキ密着層が形成されていることを特徴とする請求項1〜11の何れかに記載の窒化物系半導体発光素子。
- 前記メッキ密着層が、前記金属板をなすメッキの50重量%以上を占める主成分と同一の組成を50重量%以上含有することを特徴とする請求項12に記載の窒化物系半導体発光素子。
- 前記メッキ密着層がNiP合金からなることを特徴とする請求項12又は請求項13に記載の窒化物系半導体発光素子。
- 前記オーミック接触層が、Pt、Ru、Os、Rh、Ir、Pd、Agの単体金属、及び/又は、それらの合金からなることを特徴とする請求項1〜14の何れかに記載の窒化物系半導体発光素子。
- 前記オーミック接触層の膜厚が0.1nm〜30nmであることを特徴とする請求項1〜15の何れかに記載の窒化物系半導体発光素子。
- 少なくともn型半導体層、発光層、p型半導体層、金属膜層、金属板を、この順序で積層する積層工程を有する窒化物系半導体発光素子の製造方法において、
保護層を、前記n型半導体層、発光層、及びp型半導体層の側面を覆い、更に、その上端部が前記p型半導体層の上面の周縁部を覆うように形成し、
前記p型半導体層に接する第1の金属膜層としてオーミック接触層を形成し、
前記保護層に接する第2の金属膜層として密着層を、その上端部が、前記保護層の上端部に接して前記p型半導体の上面の一部を覆うように形成し、前記密着層の側面及び上面と、前記オーミック接触層と、前記p型半導体層の上面の前記保護層、密着層及びオーミック接触層以外の部分を覆うように反射層を形成し、
前記金属板を、前記反射層を覆うようにしてメッキによって形成することを特徴とする窒化物系半導体発光素子の製造方法。 - 前記積層工程は、前記n型半導体層を、バッファ層を介して基板上に取り付けて行われ、
前記積層工程終了後に、前記基板およびバッファ層を除去することにより、前記n型半導体層を露出させることを特徴とする請求項17に記載の窒化物系半導体発光素子の製造方法。 - 前記保護層をCVD法によって形成することを特徴とする請求項17又は請求項18に記載の窒化物系半導体発光素子の製造方法。
- 前記金属板を形成した後、100℃〜300℃の温度で熱処理することを特徴とする請求項17〜19の何れかに記載の窒化物系半導体発光素子の製造方法。
- 前記密着層をスパッタ法によって形成することを特徴とする請求項17〜20の何れかに記載の窒化物系半導体発光素子の製造方法。
- 前記反射層と前記金属板との間に、スパッタ法によってメッキ密着層を形成すること特徴とする請求項17〜21に記載の窒化物系半導体発光素子の製造方法。
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