JP4839704B2 - 交流交流電力変換器 - Google Patents
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Description
マトリクスコンバータは、交流電源電圧から大型のエネルギーバッファを介さずに、任意の大きさ及び周波数の交流電圧を直接得ることができる電力変換器であり、長寿命、省スペースであって入力電流が制御できるために電力回生可能であり、電源高調波を抑制できる等の特徴がある。なお、図12において、1は三相交流電源、Smnはマトリクスコンバータ3を構成するスイッチとして、IGBT等の半導体スイッチング素子を備えた双方向スイッチ、R,S,Tは電源1側の入力端子、U,V,Wは負荷側の出力端子である。
図13は、エネルギーバッファとしての大型の電解コンデンサ22、ダイオードブリッジからなる整流器24及びインバータ23を備えたインバータ装置を示している。このインバータ装置は、交流入力端子R,S,Tに加えられた交流電源電圧を整流器24により整流して電解コンデンサ22に蓄積し、電解コンデンサ22の直流電圧をインバータ23により任意の大きさ、周波数の交流電圧に変換している。
図13において、交流電源を入力端子R,S,Tではなく誤って出力端子U,V,Wに接続すると、インバータ装置では還流ダイオードを介して直流電圧が上昇する。通常、インバータ装置では直流電圧から制御装置の電源を供給することが多いため、この場合、制御装置は異常なく運転準備状態となり得る。
一方、マトリクスコンバータの場合には、別系統から制御装置の電源が供給されていれば、同様に運転準備状態となり得る。
マトリクスコンバータの場合もインバータ装置と同様に、入力端子R,S,T同士を短絡するスイッチングパターンは存在しないが、出力端子U,V,W同士を短絡するスイッチングパターンが存在するので、例えば図14に矢印で示すような短絡経路が形成される。
この場合、電力変換器が過電流保護回路を有していたとしても、過電流保護回路は短絡が発生した後に動作するため、スイッチング素子の破壊を防ぐことはできない。
この先行技術文献の請求項1に記載された従来技術は、交流電源が正常に印加されていることを検出する電源電圧検出回路を設け、その出力信号によりオンするインターロックスイッチと運転信号スイッチとのアンド条件によってインバータ部のスイッチング素子を駆動する駆動回路を動作させるものであり、インバータ装置の入出力端子逆接続時には、前記インターロックスイッチをオフさせることで駆動回路の動作を不能にし、インバータ部のスイッチング素子の遮断状態を維持して相間の短絡を防止するものである。
また、先行技術文献の請求項3〜6に記載された従来技術は、インバータ装置の直流電圧(平滑コンデンサの電圧)を所定値と比較する電圧比較回路を備え、入出力端子が逆接続されたことによって前記直流電圧が確立していない状態では制御装置の電源電圧が不足するため、この動作不能な制御装置によってスイッチング素子の遮断状態を維持することにより、相間の短絡を防止するものである。
従って、人為的な誤接続か電源電圧異常かを判別するための原因究明に多くの時間や労力を要するという問題があり、逆接続を検出する専用の検出回路を別に設けるとすれば、装置のコスト上昇や大形化を招く原因となる。
前記変換器の正規の入力端子に印加されている交流電圧を検出する入力端電圧検出手段と、
前記変換器の正規の出力端子に印加されている交流電圧を検出する出力端電圧検出手段と、
前記入力端電圧検出手段及び出力端電圧検出手段により検出した交流電圧の周波数または位相を用いて、前記変換器の正規の出力端子が交流電源側に接続され、かつ、正規の入力端子が負荷側に接続された逆接続状態を検知する逆接続検知手段と、
この検知手段により逆接続状態を検知した際に、正常接続時における前記半導体スイッチング素子の駆動信号を逆接続時の駆動信号に入れ替えてなるスイッチングパターンを生成する制御手段と、を備えたものである。
前記変換器の正規の入力端子を流れる交流電流を検出する入力端電流検出手段と、
前記変換器の正規の出力端子を流れる交流電流を検出する出力端電流検出手段と、
前記入力端電流検出手段及び出力端電流検出手段により検出した電流情報を用いて、前記変換器の正規の出力端子が交流電源側に接続され、かつ、正規の入力端子が負荷側に接続された逆接続状態を検知する逆接続検知手段と、
この検知手段により逆接続状態を検知した際に、正常接続時における前記半導体スイッチング素子の駆動信号を逆接続時の駆動信号に入れ替えてなるスイッチングパターンを生成する制御手段と、を備えたものである。
特に、電圧転流方式の交流交流直接変換器では、変換器を制御するために電圧情報を検出しているが、請求項1記載の発明によれば、接続状態の検知に用いる電圧検出手段と制御に用いる電圧検出手段とを兼用することが可能である。また、接続状態検知用の電圧情報は電圧の周波数、位相の何れか一つを検出できればよいので、ほとんどの電力変換器に対して、最小限の回路を追加するだけでよい。すなわち、請求項1に記載した発明は、電圧転流方式の交流交流直接変換器に対して非常に有効であると言える。
同様の理由により、請求項2に記載した発明は、変換器の制御に電流検出を行っている電流転流方式の交流交流直接変換器に対して特に有効である。
いずれにしても、請求項1または2に記載した発明によれば、入出力端子を誤って逆に接続した場合でも、装置を破壊せずに正常に運転できるという高い信頼性を有するばかりでなく、最小限の回路を追加するだけで利便性に優れた安価な電力変換器を提供することができる。
図1において、双方向スイッチSmn群からなるマトリクスコンバータ3と三相交流電源1との間には、リアクトル及びコンデンサ等からなる入力フィルタ2が接続され、マトリクスコンバータ3の出力端子U,V,Wには負荷4が接続されている。
逆接続状態は、入出力電圧の大きさ、周波数、位相の何れか一つに着目すれば検出可能であるが、ここでは参考例として、入出力電圧の大きさ(振幅)を用いた逆接続状態の検知方法について説明する。
入力端子R,S,T側の電圧vr,vs,vtを交流2軸成分vα,vβにより表すと、数式1となる。
しかしながら、このような入力端電圧の低下だけでは、図2のような逆接続によるものか、あるいは正常接続時における系統電圧の異常であるのかを判別することができない。そこで、本実施形態では、出力端電圧検出手段12による検出電圧から入力端電圧の低下原因を判別し、逆接続を正確に検知するようにした。
なお、出力端電圧検出手段12としては厳密な精度は必要ではなく、計器用変圧器及びコンパレータ等により構成できるため、複雑な追加回路は不要である。
各検出手段11,12により入力端及び出力端電圧を検出し(ステップS1,S2)、入力端電圧に関する数式2の電圧ベクトルの大きさが第1の異常検知規定値以上である場合(S3 NO)には、入出力端子が正常に接続されていると判断してマトリクスコンバータ3に運転許可を与え(S6)、運転待機状態へと移行する。
なお、ステップS1,S2における入力端及び出力端電流の検出処理は、後述する第3,第4実施形態に関するものである。
入力端子R,S,Tに電源1が正しく接続されている場合、入力端電圧検出手段11により電源周波数が検出されるが、電圧低下などの電源異常が発生すると電源周波数と異なる周波数が検出される。
一方、出力端子U,V,Wに電源1を接続すると、入力端電圧検出手段11により検出される電圧の周波数はゼロとなる。
また、入力端電圧周波数が規定値範囲外の場合(S13 YES)には、正常接続時であって電源異常、または、逆接続状態の何れかであることが推定されるため、ステップS12において検出した出力端電圧の周波数を参照する。この出力端周波数が規定範囲外であれば(S14 NO)、出力端子U,V,Wは電源1に接続されておらず、接続状態は正常であると考えられるので、電源系統の異常と判断し(S17)、運転を停止させる。
更に、出力端電圧の周波数が規定範囲内であれば(S14 YES)、出力端子U,V,Wは電源1に接続されていると見なせるので、逆接続フラグをオンし(S15)、後述する逆接続時の運転に移行する。
すなわち、電源1が接続されていない端子では電圧の位相変化がないことを利用し、入力端電圧の位相に変化がある場合は正常接続時と判断して運転を許可する(S23 NO,S26)。入力端電圧の位相変化がない場合であって出力端電圧の位相変化がない場合には(S23 YES,S24 NO)、正常接続時における電源系統の異常と判断して運転を停止させ(S27)、出力端電圧の位相変化がある場合には(S24 YES)、出力端子U,V,Wに電源1が接続されていると判断して逆接続フラグをオンし(S25)、下記の逆接続時の運転に移行する。
図6は、マトリクスコンバータ3の正常接続時の双方向スイッチの接続構成を示し、図7は逆接続時の双方向スイッチの接続構成を示している。これらの図において、入力端子Rと出力端子Uとを接続する双方向スイッチをSruと表記し、以下、同様に各スイッチを定義することとする。
従って、マトリクスコンバータ3が逆接続されているにもかかわらず、相間の短絡を防止しながら運転を行うことが可能になる。なお、この実施形態では、逆接続により電源1に接続される側の出力端電圧検出手段12により電圧位相を検出して入力電流指令を作成することも可能である。
また、双方向スイッチの接続構成は種々存在するが、同様にPWMパターン信号を入れ替えれば逆接続状態での運転を実現できることはいうまでもない。
また、図9はPWM整流器21及びインバータ23の構成図であり、S1r〜S6r,S1〜S6は還流ダイオードが逆並列接続されたIGBT等の半導体スイッチング素子を示す。
すなわち、第1実施形態と同様に、図8の制御装置10Bは、入力端電圧検出手段11、出力端電圧検出手段12及び逆接続検知手段13によりインバータ装置20の逆接続状態を検知する。逆接続状態の検出には、前記同様に入出力端電圧の周波数、位相の何れを用いてもよい。
この第3実施形態は、入力端電流及び出力端電流に基づいて電力変換器の逆接続状態を検出し、逆接続状態のままで変換器の運転を可能としたものである。
よって、第1の発明に係る第1実施形態は電圧転流方式の電力変換器に、第2の発明に係る第3実施形態は電流転流方式の電力変換器に対してより有効であると言える。
ここで、表4は、マトリクスコンバータ等の直接変換器及びインバータ装置に対する第1、第2の発明の適性をまとめたものである。
制御装置10C内の入力端電流検出手段16は入力端の電流情報を、出力端電流検出手段17は出力端の電流情報を検出する。逆接続検知手段13は、検出した入出力電流により逆接続状態、電源系統異常を検知するが、この検知手段13は、入出力端電圧情報を用いる第1,第2実施形態と全く同一の構成によって実現可能であり、入出力端電流の大きさ、周波数、位相の何れか一つを用いて逆接続状態、電源系統異常を検出すればよい。
マトリクスコンバータ制御手段14ではPWMパターンを演算し、検知したマトリクスコンバータ3の接続状態を示す信号に応じて、演算したPWMパターンを前述の表1のように双方向スイッチへ割り当てることにより、逆接続状態での運転を可能とする。
図11における制御装置10Dの構成は、インバータ装置制御手段15以外は実質的に図10の制御装置10Cと同一である。
インバータ装置20の接続状態はマトリクスコンバータ3の場合と同一の方法で検知することができ、インバータ装置制御手段15により演算したPWMパターンを、接続状態に応じて前述の表2または表3のように各スイッチング素子に割り当てるだけで逆接続状態での運転を実現することができる。
2:入力フィルタ
3:マトリクスコンバータ
4:負荷
10A,10B,10C,10D:制御装置
11:入力端電圧検出手段
12:出力端電圧検出手段
13:逆接続検知手段
14:マトリクスコンバータ制御手段
15:インバータ装置制御手段
16:入力端電流検出手段
17:出力端電圧検出手段
20:インバータ装置
21:PWM整流器
22:電解コンデンサ
23:インバータ
Smn:双方向スイッチ
R,S,T:入力端子
U,V,W:出力端子
Claims (5)
- 半導体スイッチング素子のオンオフにより交流電源電圧を任意の大きさ及び周波数の交流電圧に変換して出力する交流交流電力変換器において、
前記変換器の正規の入力端子に印加されている交流電圧を検出する入力端電圧検出手段と、
前記変換器の正規の出力端子に印加されている交流電圧を検出する出力端電圧検出手段と、
前記入力端電圧検出手段及び出力端電圧検出手段により検出した交流電圧の周波数または位相を用いて、前記変換器の正規の出力端子が交流電源側に接続され、かつ、正規の入力端子が負荷側に接続された逆接続状態を検知する逆接続検知手段と、
この検知手段により逆接続状態を検知した際に、正常接続時における前記半導体スイッチング素子の駆動信号を逆接続時の駆動信号に入れ替えてなるスイッチングパターンを生成する制御手段と、
を備えたことを特徴とする交流交流電力変換器。 - 半導体スイッチング素子のオンオフにより交流電源電圧を任意の大きさ及び周波数の交流電圧に変換して出力する交流交流電力変換器において、
前記変換器の正規の入力端子を流れる交流電流を検出する入力端電流検出手段と、
前記変換器の正規の出力端子を流れる交流電流を検出する出力端電流検出手段と、
前記入力端電流検出手段及び出力端電流検出手段により検出した電流情報を用いて、前記変換器の正規の出力端子が交流電源側に接続され、かつ、正規の入力端子が負荷側に接続された逆接続状態を検知する逆接続検知手段と、
この検知手段により逆接続状態を検知した際に、正常接続時における前記半導体スイッチング素子の駆動信号を逆接続時の駆動信号に入れ替えてなるスイッチングパターンを生成する制御手段と、
を備えたことを特徴とする交流交流電力変換器。 - 請求項2に記載した交流交流電力変換器において、
前記電流情報が交流電流の大きさであることを特徴とする交流交流電力変換器。 - 請求項2に記載した交流交流電力変換器において、
前記電流情報が交流電流の周波数であることを特徴とする交流交流電力変換器。 - 請求項2に記載した交流交流電力変換器において、
前記電流情報が交流電流の位相であることを特徴とする交流交流電力変換器。
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