JP4839616B2 - 含フッ素ポリマーの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、高圧での含フッ素ポリマー重合法において問題であった組成分布が実質的に発生しない含フッ素ポリマーの製造方法に関する。さらに、この方法によって製造したポリマーであって、効率的に加硫でき、圧縮永久歪みが小さく、機械的特性にも優れた加硫フッ素ゴムを与える組成物に関する。さらに、組成分布が均一で、ムーニー粘度が極めて低い新規な含フッ素ポリマーおよびその製造法に関する。加えて、この低粘度ポリマーの加工助剤としての用途および加硫フッ素ゴムの製造方法に関する。
ビニリデンフルオライド(VdF)系エラストマーとしては、これまで多くの組成のものが提案されている。そうしたVdF系エラストマーとしては、VdFとヘキサフルオロプロピレン(HFP)(VdF/HFP=60〜15/40〜85(重量%))との2元共重合体(たとえば、特許文献1参照);テトラフルオロエチレン(TFE)とVdFとHFPとからなり、TFEが3〜35重量%であってVdF/HFPの重量比が2.33/1〜0.667/1である3元共重合体(たとえば、特許文献2参照);テトラフルオロエチレン(TFE)とVdFとHFPとからなり、TFEが10〜30重量%であってVdF/HFPの重量比が1.6/1.0〜4.0/1.0である3元共重合体(たとえば、特許文献3);VdF57〜61重量%とHFP27〜31重量%とTFE10〜14重量%からなる3元共重合体(たとえば、特許文献4)などが知られている。さらにVdF系の共重合体の製法としては、連鎖移動剤の存在下でVdFと、炭素原子と少なくとも同数のフッ素原子を含有する少なくとも1種の他のフッ素化エチレン性不飽和単量体を含むVdF系エラストマーを製造するといった方法も提案されている(たとえば、特許文献5参照)。
ところで含フッ素エラストマーの成形加工は、一般的なゴムの加工装置を用いて行なわれる。すなわち、練りロールやニーダーによる混練り、押出機やカレンダーロール、プレス機などによる成形、プレスインジェクションなどによる一次加硫、最後にオーブンによる二次加硫の順で通常行なわれる。
ところが、前記含フッ素エラストマーだけでは混練時のロール加工性や圧縮成形時の離型性がわるく、金型汚れを充分に防止できず、またインジェクション成形時の流れ性がわるいなどの成形加工上の問題があった。そこで、これらの成形加工上の問題を解消するために分子量分布を広くすることが提案された(たとえば、特許文献6、特許文献7参照)。
しかし低分子量成分を増やすことで今度は耐圧縮永久歪み性が低下し、伸びや引張強度などの機械的強度、さらには耐溶剤性までもわるくなるという傾向が出てきた。さらに、従来知られていなかったほど低粘度のエラストマーを得る目的に対しては、より低分子量成分が増加するため、加硫物性はさらに低下することは容易に想像できた。
このように耐圧縮永久歪み性や機械的特性などの物性と成形加工性とは相反する特性であると考えられており、現実には、物性と成形加工性とのバランスを取るために、用途に応じて重合体の分子量および分子量分布を調整したり、重合体末端の構造を変更したり、あるいはいずれかの特性を犠牲にしている。
さらにO−リングやガスケットなどのシール材用の含フッ素エラストマー組成物には、とくに低い圧縮永久歪みが求められ、さらに効率的な加硫性(速い加硫速度と高い架橋密度)が要求されている。圧縮永久歪みはシール性能を評価する際の重要なファクターであり、圧縮永久歪みが高いと短期間にシール能が喪失してしまう。加硫性は成形加工における生産性を大きく左右するファクターであり、要求される物性を満たす範囲で可能な限り加硫性が高いことが望まれている。また、とくにインジェクション成形では優れた流れ性が求められており、流れ性がわるいと金型への注入がしにくく必要以上に材料を使用しなければならなくなったり、また成形体の厚さが不均一になることもある。
加硫性を効率化するために、従来から重合開始剤として使用される過硫酸アンモニウムに起因するイオン性末端(または酸末端)を極力減少させることが提案されている。たとえば重合開始剤に油溶性の有機過酸化物を用いたり(たとえば、特許文献8、特許文献9参照)、フルオロアルキルスルフィネートと有機過酸化物とを組合せたりする方法(たとえば、特許文献10参照)がある。しかしこれらの方法では、加硫性以外の加工性の点で満足し得ない。
加硫効率と耐圧縮永久歪み性を同時に向上させる方法として、ホスホニウム化合物などを加硫促進剤として添加することが提案されている(たとえば、特許文献11参照)。しかし、この方法でも加工性の向上が果たせないという問題が残る。
さらに流れ性の改善は前述のように、分子量を低くすることで対応しようとしているが、やはり耐圧縮永久歪み性および加硫効率の点で不充分である。
以上の問題を解決する目的で、ポリマーの分岐鎖が少なく、高温での重量変化が少ない含フッ素エラストマー、およびその製造方法が開示された(たとえば、特許文献12参照)。この方法によって加硫効率、成形加工性、成形物の圧縮永久歪みなどに優れた含フッ素エラストマーが得られるが、反面、開示された重合方法ではポリマーに組成分布を持つため、目的とは異なる組成の成分を含むという問題が発生していた。さらに、組成分布を一定の幅以下に抑制するためには、空間量を必要以上に確保する必要があり、品質安定性、生産性の点で問題があった。組成分布が発生する原因は、高圧で重合した場合、空間部分に高濃度のモノマーが存在するため、重合の進行によって減少した空間分のモノマーが生成ポリマーに取りこまれるためと考えられる。
従来技術では、重合の進行にともなってポリマー中のHFP濃度が増えていく現象に対応するため、あらかじめ初期モノマーのHFP濃度をより減らした組成とすることで、平均値として目的組成のポリマーを得ていた。しかし、この方法では、重合前後の気相組成が大きく変動するため、ポリマーの組成分布が発生するだけでなく、反応終了後の後重合によって不都合な成分のポリマーが発生しやすい欠点を有していた。また、初期モノマーが組成分布のバッファーも兼ねる重合であるため、一定量の気相量を確保する必要があるため、1バッチあたりのモノマーブロー量が多く、生産性に問題があった。
一方、極めて低粘度のエラストマーを製造するにあたっての思想は開示されておらず、とくに分子量分布Mw/Mnをシャープにすることが重要である記述がないため、実質的に低粘度ポリマーの製造方法はこれまで知られていなかった。
特公昭33−7394号公報 特公昭36−3495号公報 特公昭48−18957号公報 特開昭53−149291号公報 特開昭47−5944号公報 特開昭52−62391号公報 特開平4−209643号公報 特開平6−302487号公報 特開平8−301940号公報 米国特許第5256745号明細書 特開昭62−54750号公報 国際公開第01/34666号パンフレット
本発明の目的は、分岐鎖が少なくかつ高温での重量変化の少ない(熱分解や揮発が少ない)含フッ素ポリマーの製造方法であって、実質的に組成分布がない新規な製造方法を提供することにある。
また本発明の別の目的は、前記製造方法を用いて、従来知られていないほど低粘度であるにもかかわらず加硫効率が高く、成形加工性に優れ、しかも圧縮永久歪みが低い加硫フッ素ゴムを与える含フッ素ポリマーおよびその組成物を提供することにある。また、上記組成物を、減圧下、脱泡処理しながら1次加硫する加硫フッ素ゴムの製造方法も提供する。
加えて、この低粘度ポリマーの加工助剤としての用途に関する。
すなわち本発明は、ビニリデンフルオライド:ヘキサフルオロプロピレンがモル比で9:1〜5:5であり、かつテトラフルオロエチレンが0〜40モル%であるビニリデンフルオライド系共重合体である含フッ素ポリマーを反応槽内の気相部分における各モノマーの臨界温度、臨界圧力、およびそれぞれの組成比からPeng−Robinson式を用いて算出した臨界定数の換算温度が0.95以上、換算圧力が0.80以上の条件下で行われるバッチ式共重合法により製造する方法であって、
目的ポリマーのモノマー成分数をn(nは2以上の整数)、各モノマーの成分名をA1、A2、…An、目的ポリマー組成の各モノマー成分A1、A2、…Anの重量百分率をそれぞれa1、a2、…an(%)(ただし、aは
Figure 0004839616
をみたす)、初期モノマー組成の各モノマー成分の重量百分率をそれぞれa’1、a’2、…a’n(%)(ただし、a’は
Figure 0004839616
をみたし、a’1、a’2、…a’nは設定した重合条件によって一義的に定められる)、重合時気相モノマーの比重/目的ポリマーの比重をBとしたときに、成分A1、A2、…Anの順に式:
(a1−a’1×B):(a2−a’2×B)…(an−a’n×B)
によって各モノマーの追加モノマー組成重量比を算出し、該追加モノマー組成重量比の追加モノマーを含有する追加モノマーを添加する含フッ素ポリマーの製造方法に関する。
重合時の圧力は共重合するモノマーの種類や組成比によるが、たとえば4MPa以上とすることができる。前記圧力は、たとえば得ようとする含フッ素ポリマーが、ビニリデンフルオライドおよびヘキサフルオロプロピレンからなる共重合体であって、ビニリデンフルオライド:ヘキサフルオロプロピレンがモル比で9:1〜5:5である場合に好適に用いうる。また、重合圧力はたとえば3MPa以上とすることができる。前記圧力は、たとえば得ようとする含フッ素ポリマーがビニリデンフルオライド、ヘキサフルオロプロピレン、およびテトラフルオロエチレンからなる共重合体であって、ビニリデンフルオライド:ヘキサフルオロプロピレンがモル比で9:1〜5:5であり、かつテトラフルオロエチレンが40モル%以下である場合に好適に用いうる。
また、前記含フッ素ポリマー、加硫剤および加硫促進剤からなる含フッ素ポリマー組成物に関する。
前記含フッ素ポリマーが、121℃におけるムーニー粘度が15以下、および実質的にヨウ素を含まない含フッ素ポリマーであり、加硫したときの圧縮永久歪みが25%以下であることが好ましい。
前記含フッ素ポリマーにおいて、GPCで測定した重量平均分子量/数平均分子量が3.0以下であることが好ましい。
ビニリデンフルオライドおよびヘキサフルオロプロピレンからなる共重合体であって、ビニリデンフルオライド:ヘキサフルオロプロピレンがモル比で9:1〜5:5であり、かつテトラフルオロエチレンを0〜40モル%含み、さらに重量平均分子量が14万以下、重量平均分子量/数平均分子量が3.0以下であり、実質的にヨウ素を含まず、加硫したときの圧縮永久歪みが30%以下である含フッ素ポリマーに関する。
前記含フッ素ポリマー、加硫剤、および加硫促進剤からなる含フッ素ポリマー組成物に関する。
また、前記製造方法により得られ、121℃におけるムーニー粘度が15以下、および実質的にヨウ素を含まない含フッ素ポリマーからなる加工助剤に関する。
また、前記加工助剤と、121℃におけるムーニー粘度が15以上である含フッ素ポリマーとからなる含フッ素ポリマー組成物に関する。
前記含フッ素ポリマーと加硫剤および加硫促進剤からなる含フッ素ポリマー組成物を、減圧下、脱泡処理しながら1次加硫する加硫フッ素ゴムの製造方法に関する。
本発明の製造方法によれば、分岐鎖が少なくかつ高温での重量変化の少ない(熱分解や揮発が少ない)含フッ素ポリマーであって、実質的に組成分布がない含フッ素ポリマーを得ることができる。
また、前記製造方法を用いて、従来知られていないほど低粘度であるにもかかわらず加硫効率が高く、成形加工性に優れ、しかも圧縮永久歪みが低い加硫フッ素ゴムを与える含フッ素ポリマーおよびその組成物を得ることができる。
本発明に使用する反応槽は、加圧下に重合を行なうので、耐圧容器を使用する。この反応槽内に乳化重合用の目的とするポリマーと同じ組成のポリマー粒子を含む水性媒体(通常は純水)を入れ、水相部分とする。反応槽はこの水相部分と気相部分とから構成されており、気相部分を窒素などで置換したのち重合性モノマーを導入する。ついで反応槽内、とくに水相部分を攪拌して重合性モノマーを気相部分から水相部分に供給する。水相部分に供給されたモノマーはポリマー粒子中に浸透し、ポリマー粒子内の重合性モノマー濃度を上げる。気相部分にモノマーを供給しつづけることにより、ポリマー粒子中のモノマー濃度が飽和状態となる(水相部分へのモノマー供給速度が平衡状態になるとも言える)ので、重合開始剤を投入して重合を開始する。
重合を継続していくとモノマーが消費され、生成ポリマー粒子中のモノマー濃度が低下していくため、ポリマー中に常にモノマー(追加モノマー)を供給し続ける。本発明の製造法の特徴は、前記追加モノマーを特定の組成で追加する点にある。
すなわち、下記の計算を行なうことにより、追加モノマーの組成重量比を決定し、供給する。

(1)目的ポリマーのモノマー成分数をnとする(nは2以上の整数)
(2)各モノマーの成分名をA1、A2、…Anとする(枝番は下記各成分の重量百分率の枝番に対応する)
(3)目的ポリマー組成の各モノマー成分の重量百分率をa1、a2、…an(%)とする(ただし、aは
Figure 0004839616
をみたす)
(4)初期モノマー組成の各モノマー成分の重量百分率をa’1、a’2、…a’n(%)とする(ただし、a’は
Figure 0004839616
をみたし、a’1、a’2、…a’nは設定した重合条件によって一義的に定められる)
(5)重合時気相モノマーの比重/目的ポリマーの比重=Bとする
(6)追加モノマー組成重量比は成分名A1、A2、…Anの順にそれぞれ
(a1−a’1×B):(a2−a’2×B)…(an−a’n×B)
とする。
ここで、モノマー成分数が2つの場合を例にあげる。
(1)モノマー成分数n=2である
(2)モノマーの成分名をA1、A2とする
(3)目的ポリマー組成の各モノマー成分の重量百分率をa1、a2(%)とする
(4)初期モノマー組成の各モノマー成分の重量百分率をa’1、a’2(%)とする
(5)重合時気相モノマーの比重/目的ポリマーの比重=Bとする
(6)追加モノマーA1:A2の組成重量比は
1:A2=(a1−a’1×B):(a2−a’2×B)
となる。
この添加方法による追加モノマー組成は、目的ポリマーの物性を損なわない程度の誤差であれば許容される。具体的には、計算値であるモル%に対して、±5モル%以内の誤差が好ましく、±1モル%以内がより好ましい。
具体的な例1として、目的ポリマー組成が、
VdF:HFP=60:40(重量比百分率)
=78:22(モル百分率)
である時の追加モノマー組成比計算方法をあげる。
(1)モノマー成分数n=2
(2)モノマーの成分名A1=VdF、A2=HFP
(3)目的ポリマー組成の各モノマー成分の重量百分率60、40(%)
(4)初期モノマー組成の各モノマー成分の重量百分率19、81(%)
(5)B=モノマー比重0.76/ポリマー比重1.80=0.42
(6)追加モノマーVdF:HFPの組成重量比は
VdF:HFP=(60−19×0.42):
(40−81×0.42)
=52:6
=90:10(重量百分率換算)
=95:5(モル百分率)
許容される範囲 VdF90〜100モル%、HFP0〜10モル%
具体的な例2として、目的ポリマー組成が、
VdF:TFE:HFP=50:20:30(重量比百分率)
=33:21:46(モル百分率)
である時の追加モノマー組成比計算方法をあげる。
(1)モノマー成分数n=3
(2)モノマーの成分名A1=VdF、A2=TFE、A3=HFP
(3)目的ポリマー組成の各モノマー成分の重量百分率
33、21、46(%)
(4)初期モノマー組成の各モノマー成分の重量百分率
6、5、90(%)
(5)B=モノマー比重0.69/ポリマー比重1.80=0.38
(6)追加モノマーVdF:TFE:HFPの組成重量比は
VdF:TFE:HFP=(33−6×0.38):
(21−5×0.38):(46−90×0.38)
=50:31:19(重量百分率換算)
=65:25:10(モル百分率)
許容される範囲 VdF60〜70モル%、TFE20〜30モル%、
HFP5〜15モル%
追加モノマーを前記の組成重量比とすることで、分岐鎖および高温での重量変化の少ない、実質的に組成分布が抑制されたポリマーを得ることができる。すなわち、後重合による物性劣化が少なく、任意の空間体積を設定できるなど生産性の高い条件による製造が可能で、さらに加硫物性の良好なポリマーを得ることが可能となる。
本発明の製造方法において、重合は、反応槽内の気相部分における各モノマーの組成比および臨界温度、臨界圧力からPeng−Robinson式を用いて算出した臨界定数から求めた、換算温度(TR)が0.95以上、好ましくは、0.97以上、換算圧力(PR)が0.80以上、好ましくは、0.85以上の条件下で行なわれる。気相部の混合モノマーが換算温度、換算圧力ともに上回ることにより、高いモノマー密度のもとでの重合が可能になり、重合速度が速くなることに加え、主鎖の分岐やイオン末端が少ないポリマーが得られるため、圧縮永久歪みが大幅に改善される。ここで、換算温度とは、
換算温度 TR=T/Tc
(式中、Tは重合時の実際の温度であり、TcはPeng−Robinson式を用いて算出した臨界温度である)
により決定されるものであり、同様に換算圧力とは、
換算圧力 PR=P/Pc
(式中、Pは重合時の実際の圧力であり、PcはPeng−Robinson式を用いて算出した臨界圧力である)
により決定されるものである。
ここで、臨界温度および臨界圧力を決定するPeng−Robinson式について説明する。一般に、重合槽内の初期モノマー密度が高いほど得られるポリマーに組成分布が生じやすいこと、および、特に初期モノマーが臨界点付近からモノマー密度が急激に上昇することが知られている。ところが2成分以上のモノマーを共重合する場合、気相モノマー混合物の臨界点はモノマーの種類と組成比によって変動する。これを各モノマー単独の臨界温度、臨界圧力および初期モノマー組成比から混合モノマーの臨界点を推算する方法として、Peng−Robinson式を採用した。同式の原理はD.Y.Peng and D.B.Robinson,”A New Two−Constant Equation of state,”Ind.Eng.Chem.Fundam.,Vol.15,(1976),pp.59.64.で述べられている。概要としては下記の式を原理としており、実際の計算にはAspen Plus(Aspen Tech社製)などのプロセスシュミレーターが使用できる。
Peng−Robinson式の概略は下記の通りである。
Figure 0004839616
ここで、上記式中のai、αi(T)、mi、biは、それぞれ以下のように定義する。
i=αi0.45724R2c 2/Pc
αi(T)=[1+mi(1−Tc 0.5)]2
i=0.37464+1.54226ωi−0.26992ωi 2
i=0.0778RTc/Pc
また、各パラメータは下記のことを表す。
P:圧力
T:温度
m:体積
R :気体定数
i:モノマー成分iの組成比
c:モノマー成分iの臨界温度
c:モノマー成分iの臨界圧力
ωi:モノマー成分iの偏心因子
具体的な計算例として、重合槽内組成がVdF/HFP=36/64(モル%)であるときのPeng−Robinson式による臨界温度、臨界圧力をAspen Plus Ver.11.1を用いて行なったところ、Tc=87.7℃、Pc=3.05MPaであった。前記換算温度TR=0.95、換算圧力PR=0.80による変換を行なうと、この場合の重合条件は、T=69.7℃以上、P=2.44MPa以上である。
換算圧力(PR)が、0.80未満または換算温度(TR)が、0.95未満であると、ポリマー粒子中のモノマー濃度が飽和に達せず、重合速度が低下するだけでなく、目的のポリマーが得られにくい傾向にある。また、前記式から算出される条件式を満たす温度および圧力の中でもさらに好ましい重合温度は、10〜120℃であり、特に好ましくは30〜100℃であり、さらに好ましい重合圧力は、3MPa以上であり、より好ましくは3.5MPa以上であり、さらに好ましくは4MPa以上である。また、圧力の上限値は、特に限定はないが、モノマーの取扱いや、反応設備コストなどを考慮すると15MPa以下が好ましく、12MPa以下がより好ましい。
さらに、攪拌することが好ましい。撹拌することによってポリマー粒子中のモノマー濃度Cpを重合を通して高く維持できるからである。重合中の気相部分のモノマー濃度としては、前記のとおり1.0モル/リットル以上が好ましく、より好ましくは1.5モル/リットル以上、とくに好ましくは2.0モル/リットル以上に維持することが好ましい。
攪拌手段としては、たとえばアンカー翼、タービン翼、傾斜翼なども使用できるが、モノマーの拡散とポリマーの分散安定性が良好な点からフルゾーンやマックスブレンドと呼ばれる大型翼による攪拌が好ましい。攪拌装置としては横型攪拌装置でも縦型攪拌装置でもよい。
本発明のポリマーとしては、二種以上のフルオロオレフィンモノマーの共重合体、またはフルオロオレフィンモノマーと非フルオロオレフィンモノマーの共重合体などが採用できる。
フルオロオレフィンモノマーとしては、テトラフルオロエチレン(TFE)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)、
Figure 0004839616
などのパーフルオロオレフィンモノマー;ビニリデンフルオライド(VdF)、トリフルオロエチレン、フッ化ビニル、トリフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、テトラフルオロプロピレン、ヘキサフルオロイソブテンなどの非パーフルオロオレフィンモノマーがあげられる。PAVEとしてはパーフルオロ(メチルビニルエーテル)(PMVE)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)(PEVE)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)などがあげられる。
また、官能基含有フルオロオレフィンモノマーも使用できる。官能基含有フルオロオレフィンとしては、たとえば式:
Figure 0004839616
(式中、Yは−CH2OH、−COOH、−SO2F、−SO3M(Mは水素、NH4基またはアルカリ金属)、カルボン酸塩、カルボキシエステル基、エポキシ基またはニトリル基、XおよびX1は同じかまたは異なりいずれも水素原子またはフッ素原子、Rfは炭素数0〜40の2価の含フッ素アルキレン基または炭素数0〜40のエーテル結合を含有する2価の含フッ素アルキレン基を表わす)
があげられ、具体例としては、たとえば
Figure 0004839616
Figure 0004839616
などがあげられる。
そのほか、非パーフルオロオレフィンモノマーとしてヨウ素含有モノマー、たとえば特公平5−63482号公報や特開昭62−12734号公報に記載されているパーフルオロ(6,6−ジヒドロ−6−ヨード−3−オキサ−1−ヘキセン)、パーフルオロ(5−ヨード−3−オキサ−1−ペンテン)などのパーフルオロビニルエーテルのヨウ素化物も共重合できる。
非フルオロオレフィンモノマーとしては、たとえばエチレン(ET)、プロピレン、ブテン、ペンテンなどの炭素数2〜10のα−オレフィンモノマー;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテルなどのアルキル基が炭素数1〜20であるアルキルビニルエーテルなどがあげられる。なかでも、ビニリデンフルオライドおよびヘキサフルオロプロピレンからなる共重合体、またはビニリデンフルオライド、ヘキサフルオロプロピレンおよびテトラフルオロエチレンからなる共重合体であることが、含フッ素ポリマーを製造する目的において好ましい。
また、このとき得られる含フッ素ポリマーの組成は、前記ビニリデンフルオライド:ヘキサフルオロプロピレンがモル比で9:1〜5:5であることが好ましく、より好ましくは8.5:1.5〜6:4であり、かつテトラフルオロエチレンが0〜40モル%を含むことが好ましく、0〜30モル%がより好ましい。
前記ビニリデンフルオライドのモル比が9以上であると、ポリマーとしての弾性に乏しくなる傾向にあり、5以下であると、低温性がわるくなる傾向にある。
前記テトラフルオロエチレンが、40モル%をこえると、同様にポリマーとしての弾性に乏しく、かつ低温性も悪くなる傾向にある。
本発明の製造法において、重合開始剤として油溶性の過酸化物も使用できるが、これらの代表的な油溶性開始剤であるジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート(IPP)やジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート(NPP)などのパーオキシカーボネート類は爆発などの危険性がある上、高価であり、しかも重合反応中に重合槽の壁面などにスケールの付着を生じやすいという問題があるので、本発明においては、水溶性ラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。水溶性ラジカル重合開始剤としては、たとえば過硫酸や過ホウ酸、過塩素酸、過リン酸、過炭酸のアンモニウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩などが好ましくあげられ、とくに過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウムが好ましい。
重合開始剤の添加量はとくに限定されないが、重合速度が著しく低下しない程度の量(たとえば、数ppm対水濃度)以上を、重合の初期に一括して、または逐次的に、または連続して添加すればよい。上限は装置面から重合反応熱を除熱できる範囲である。好ましくは50〜500ppmである。
本発明の製造法において、さらに乳化剤、分子量調整剤、pH調整剤などを添加してもよい。分子量調整剤は、初期に一括して添加してもよいし、連続的または分割して添加してもよい。
乳化剤としては、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤などが使用でき、とくにパーフルオロオクタン酸アンモニウムなどのフッ素系のアニオン性界面活性剤が好ましい。添加量(対重合水)は、好ましくは50〜5000ppmである。
分子量調整剤としては、たとえばマロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、コハク酸ジメチルなどのエステル類のほか、イソペンタン、イソプロパノール、アセトン、各種メルカプタン、四塩化炭素、シクロヘキサン、モノヨードメタン、1−ヨードメタン、1−ヨード−n−プロパン、ヨウ化イソプロピル、ジヨードメタン、1,2−ジヨードメタン、1,3−ジヨード−n−プロパンなどがあげられる。
そのほか緩衝剤などを適宜添加してもよいが、その量は本発明の効果を損なわない範囲とする。
本発明の含フッ素ポリマー組成物は、前記含フッ素ポリマーと加硫剤と加硫助剤とからなる。
本発明で使用可能な加硫剤としては、採用する加硫系によって適宜選定すればよい。加硫系としてはポリアミン加硫系、ポリオール加硫系、パーオキサイド加硫系のいずれも採用できるが、とくにポリオール加硫系で加硫したときに本発明の効果が顕著に発揮できる。
加硫剤としては、ポリオール加硫系ではたとえばビスフェノールAF、ヒドロキノン、ビスフェノールA、ジアミノビスフェノールAFなどのポリヒドロキシ化合物が、パーオキサイド加硫系ではたとえばα,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジクミルパーオキサイドなどの有機過酸化物が、ポリアミン加硫系ではたとえばヘキサメチレンジアミンカーバメート、N,N’−ジシンナミリデン−1,6−ヘキサメチレンジアミンなどのポリアミン化合物があげられる。しかしこれらに限られるものではない。
加硫剤の配合量はポリマー100重量部に対して0.01〜10重量部であり、好ましくは0.1〜5重量部である。加硫剤が、0.01重量部より少ないと、加硫度が不足するため、加硫フッ素ゴムの性能が損なわれる傾向にあり、10重量部をこえると、加硫密度が高くなりすぎるため加硫時間が長くなることに加え、経済的にも好ましくない傾向にある。
加硫助剤としては、各種の4級アンモニウム塩、4級ホスホニウム塩、環状アミン、1官能性アミン化合物など、通常エラストマーの加硫に使用される有機塩基が使用できる。具体例としては、たとえばテトラブチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリブチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウム硫酸水素塩、テトラブチルアンモニウムヒドロキシドなどの4級アンモニウム塩;ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド、トリブチルアリルホスホニウムクロリド、トリブチル−2−メトキシプロピルホスホニウムクロリド、ベンジルフェニル(ジメチルアミノ)ホスホニウムクロリドなどの4級ホスホニウム塩;ベンジルメチルアミン、ベンジルエタノールアミンなどの1官能性アミン;1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−ウンデク−7−エンなどの環状アミンなどがあげられる。
加硫助剤の配合量はポリマー100重量部に対して0.01〜10重量部であり、好ましくは0.1〜5.0重量部である。加硫助剤が、0.01重量部より少ないと、加硫時間が実用に耐えないほど長くなる傾向にあり、10重量部をこえると、加硫時間が速くなり過ぎることに加え、成形品の圧縮永久歪も低下する傾向にある。
さらに通常の添加剤である充填材、加工助剤、カーボンブラック、無機充填剤や、酸化マグネシウムのような金属酸化物、水酸化カルシウムのような金属水酸化物などを本発明の目的を損なわない限り使用してもよい。
本発明の組成物の調製法および加硫法はとくに制限はなく、例えば、圧縮成形、押出し成形、トランスファー成形、射出成形など、従来公知の方法が採用できる。
前記成形法において、成形の際、途中で減圧することによって脱泡することが好ましい。減圧で脱泡とは、含フッ素ポリマー組成物を成形する時に、0.10MPa(絶対圧力)以下の状態で脱泡を行うことであり、好ましくは0.05MPa以下、より好ましいのは0.01MPa以下で脱泡する。本発明の含フッ素ポリマー組成物は、非常に粘度が低いため、減圧を伴わない通常の成形法などでは組成物中の泡を成形中に除去することができず、結果として成形品が泡を含み発泡することが多い。また、成形操作全体を減圧下で行うことも可能である。
本発明の含フッ素ポリマー組成物は非常に粘度が小さいことが特徴であり、従来、液状シリコーンゴムにて採用されているMold−In−Place Gasket法、Cure−In−Place Gasket法、およびFoamed−In−Place Gasket法などの方法で加硫フッ素ゴムを作製することも可能である。
前記成形法においては、低温で硬化反応を実現できる官能基であるアルコキシシリル基を公知の方法にてポリマーに導入するなどの工夫を行うことも可能である。
また、本発明の組成物は、下記(1)〜(3)を満たすことが好ましい。
(1)使用する含フッ素ポリマーが、121℃におけるムーニー粘度が15以下であり、12以下がより好ましい。従来の含フッ素ポリマーは、非常に粘度が高いため専用の加工機を導入したり、生産性を犠牲にするなどの調整が必要であったが、ムーニー粘度が15以下であれば、汎用の加工機が使用でき、かつ高い生産性を有する。
(2)さらに、使用する含フッ素ポリマーが、実質的にヨウ素を含まないこと。
実質的にヨウ素を含まないとは、ポリマー中のヨウ素含有量が10ppm以下のことである。従来、ヨウ素を含む場合に重量平均分子量/数平均分子量が2.0以下のポリマーを容易に製造できることが知られているが、本発明によれば、ヨウ素を実質的に含まない場合においても、重量平均分子量/数平均分子量が3.0以下のポリマーを製造することができる。
(3)下記標準配合1または2、および標準加硫条件1または2で加硫したときの圧縮永久歪みが30%以下であること、さらには、12%以上、25%以下であることが好ましい。圧縮永久歪みが30%をこえるとシール性が低下し、連続使用可能温度が下がり、使用可能時間が短くなる傾向にある。

(標準配合1)
含フッ素ポリマー 100重量部
ビスフェノールAF 2.17重量部
ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド 0.43重量部
高活性酸化マグネシウム 3重量部
カーボンブラックMT−C 20重量部
水酸化カルシウム 6重量部
(標準配合2)
含フッ素ポリマー 100重量部
ビスフェノールAF 2.17重量部
ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド 0.77重量部
高活性酸化マグネシウム 3重量部
カーボンブラックMT−C 20重量部
水酸化カルシウム 6重量部
(標準加硫条件1)
混練方法 :ロール練り
プレス加硫 :170℃で10分間
[但し、プレス圧力2〜3MPaに達した時点で約1分間減圧(約0.01MPa)]
オーブン加硫:230℃で24時間
(標準加硫条件2)
混練方法 :ロール練り
プレス加硫 :180℃で15分間
[但し、プレス圧力2〜3MPaに達した時点で約1分間減圧(約0.01MPa)]
オーブン加硫:230℃で24時間
このような組成物とすることで、非常に低粘度であるにもかかわらず、加硫効率が高く、成形加工性に優れ、しかも圧縮永久歪みが低い加硫フッ素ゴムを与えることができる。
また、本発明の含フッ素ポリマーは、GPCで測定した重量平均分子量/数平均分子量が3.0以下であることが好ましい。より好ましくは、2.8以下、1.2以上である。重量平均分子量/数平均分子量が3.0をこえると、とくに低分子量成分が原因で満足に加硫し難くなる傾向にある。なお、GPCで測定した重量平均分子量(Mw)は、20,000〜600,000であることが好ましい。Mwが20,000より小さいと、加硫性が低下する傾向にあり、600,000をこえると、高粘度となるため通常の加工方法では成形しにくくなる傾向にある。
また、本発明の新規含フッ素ポリマーは、下記(4)〜(7)を満たすものである。
(4)含フッ素ポリマーの組成は、前記ビニリデンフルオライド:ヘキサフルオロプロピレンがモル比で9:1〜5:5であり、好ましくは8.5:1.5〜6:4であり、かつテトラフルオロエチレンが0〜40モル%を含むことが好ましく、0〜30モル%がより好ましい。
前記ビニリデンフルオライドのモル比が9以上であると、ポリマーとしての弾性に乏しくなる傾向にあり、5以下であると、低温性がわるくなる傾向にある。
前記テトラフルオロエチレンが、40モル%をこえると、同様にポリマーとしての弾性に乏しく、かつ低温性も悪くなる傾向にある。
(5)使用する含フッ素ポリマーの重量平均分子量が14万以下であり、12万以下がより好ましい。重量平均分子量が14万をこえると従来公知の含フッ素ポリマーと比べて圧縮永久歪など、物性面での差が小さくなる傾向にある。
また、重量平均分子量/数平均分子量が、3.0以下であり、好ましくは、2.8以下、1.2以上である。重量平均分子量/数平均分子量が3.0をこえると、低分子量成分が原因で充分な加硫ができない傾向にある。
本発明の重量平均分子量(Mw)が小さく、かつ重量平均分子量/数平均分子量が小さい含フッ素ポリマーは、加工性が良好かつ加硫物性の悪化を最小限に留めることができる。
(6)さらに、使用する含フッ素ポリマーが、実質的にヨウ素を含まないこと。
実質的にヨウ素を含まないとは、ポリマー中のヨウ素含有量が10ppm以下のことである。従来、ヨウ素を含む場合に重量平均分子量/数平均分子量が2.0以下のポリマーを容易に製造できることが知られているが、本発明によれば、ヨウ素を実質的に含まない場合においても、重量平均分子量/数平均分子量が3.0以下のポリマーを製造することができる。
(7)上記(3)と同様の標準配合および標準加硫条件で加硫したときの圧縮永久歪みが30%以下であり、12%以上、28%以下であることが好ましい。圧縮永久歪みが30%をこえるとシール性が低下し、連続使用可能温度が下がり、使用可能時間が短くなる傾向にある。
このような含フッ素ポリマーは、分子量分布がシャープであり、加硫しにくい低分子量成分が少ないため、圧縮永久歪が優れており、さらに高分子量成分が少ないことにより、加硫時のトルク上昇がシャープになり、スコーチ時間が長くなる傾向にある。
また、従来公知の含フッ素ポリマーと比べて大幅に分子量を下げたことにより、良好な流動性を必要とする成形加工が可能で、かつ物性面では従来品に近い、新規な加硫フッ素ゴムを与えることができる。
本発明の含フッ素ポリマー組成物は、前記含フッ素ポリマーと加硫剤と加硫助剤とからなる。
また、加硫剤および加硫助剤としては、上記加硫剤および加硫助剤と同様のものが用いられる。さらに、その配合量としても、前記配合量と同様でかまわない。
また、前記製造方法により得られ、121℃におけるムーニー粘度が15以下、または重量平均分子量14万以下であり、実質的にヨウ素を含まない含フッ素ポリマーは、それ自身が良好な加硫性、加硫物性を示すため、ブレンドによる物性低下が極めて少ない点で、加工助剤として好ましく使用できる。
また、本発明の他の組成物としては、前記加工助剤と、121℃におけるムーニー粘度が15以上である含フッ素ポリマーとからなることが、効果的にポリマーの粘度を低下させることができる点で好ましい。前記加工助剤は、組成物中に5重量%以上含有していることが好ましい。5重量%より少ないと、加工助剤としての効果を発揮しにくくなる傾向にある。
評価法
<ポリマー組成測定>
19F−NMR:Bruker社製AC300P型
日本電子(株)製FX100型
<Peng−Robinson式計算>
Aspen Plus Ver.11.1(Aspen Tech社製)を使用した。各モノマーの臨界温度、臨界圧力、パラメーターは全てソフトに内蔵の値を使用した。
c : VdF 29.65℃、
TFE 33.3 ℃、
HFP 85.0 ℃
c : VdF 4.46 MPa/SQCM、
TFE 3.94 MPa/SQCM、
HFP 3.21 MPa/SQCM
ω : VdF 0.136、
TFE 0.226、
HFP 0.382
<重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)>
装置:HLC−8000(東ソー(株)製)
カラム:TSK gel GMHXL−H 2本
TSK gel G3000HXL 1本
TSK gel G2000HXL 1本
検出器:示差屈折率計
展開溶媒:テトラヒドロフラン
温度:35℃
試料濃度:0.2重量%
標準試料:単分散ポリスチレン各種((Mw/Mn)=1.14(Max))、TSK standard POLYSTYRENE(東ソー(株)製)
<ムーニー粘度>
ASTM−D1646およびJIS K6300に準拠して測定する。
測定機器:(株)上島製作所製の自動ムーニー粘度計
ローター回転数:2rpm
測定温度:121℃
<圧縮永久歪み>
下記標準配合物1を下記標準加硫条件1で、また、下記標準配合物2を下記標準加硫条件2で、1次プレス加硫および2次オーブン加硫して0−リング(P−24)を作製し、JIS−K6301に準じて、1次プレス加硫後の圧縮永久歪みおよび2次オーブン加硫後の圧縮永久歪み(CS)を測定する(25%加圧圧縮下に200℃で72時間保持したのち25℃の恒温室内に30分間放置した試料を測定)
(標準配合1)
含フッ素ポリマー 100重量部
ビスフェノールAF 2.17重量部
ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド 0.43重量部
高活性酸化マグネシウム 3重量部
カーボンブラックMT−C 20重量部
水酸化カルシウム 6重量部
(標準加硫条件1)
混練方法 :ロール練り
プレス加硫 :170℃で10分間
[但し、プレス圧力2〜3MPaに達した時点で約1分間減圧(約0.01MPa)]
オーブン加硫:230℃で24時間
(標準配合2)
含フッ素ポリマー 100重量部
ビスフェノールAF 2.17重量部
ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド 0.77重量部
高活性酸化マグネシウム 3重量部
カーボンブラックMT−C 20重量部
水酸化カルシウム 6重量部
(標準加硫条件2)
混練方法 :ロール練り
プレス加硫 :180℃で15分間
[但し、プレス圧力2〜3MPaに達した時点で約1分間減圧(約0.01MPa)]
オーブン加硫:230℃で24時間
<100%モジュラス(M100)>
前記標準配合物1、2をそれぞれ前記標準加硫条件1、2で1次プレス加硫および2次オーブン加硫して厚さ2mmのシートとし、JIS−K6251に準じて測定する。
<引張破断強度(Tb)および引張破断伸び(Eb)>
前記標準配合物1、2をそれぞれ前記標準加硫条件1、2で1次プレス加硫および2次オーブン加硫して厚さ2mmのシートとし、JIS−K6251に準じて測定する。
<硬度(Hs)>
前記標準配合物1、2をそれぞれ前記標準加硫条件1、2で1次プレス加硫および2次オーブン加硫して厚さ2mmのシートとし、JIS−K6253に準じて測定する。
<加硫特性>
前記1次プレス加硫時にJSR型キュラストメータII型、およびV型を用いて170℃における加硫曲線を求め、最低粘度(ML)、加硫度(MH)、誘導時間(T10)および最適加硫時間(T90)を求める。
参考例1
(シードポリマー粒子の製造)
攪拌装置として電磁誘導式攪拌装置を有する内容積1.8リットルの重合槽に、純水720g、10重量%のパーフルオロオクタン酸アンモニウム水溶液290g、およびマロン酸ジエチル0.6gを仕込み、系内をチッ素ガスで充分置換したのち減圧した。この操作を3回繰返し、減圧状態でVdF20gとHFP51gを仕込み、攪拌下に80℃まで昇温した。ついで、純水0.6gに溶解した過硫酸アンモニウム塩(APS)0.02gをチッ素ガスにて圧入して重合を開始した。重合圧力を2MPaとし、重合時の圧力低下を補うためにVdF/HFP混合モノマー(78/22(モル%))を連続的に供給し、攪拌下に重合を行なった。30分後に攪拌を止め、モノマーを放出して重合を停止した。
参考例2
(シードポリマー粒子の製造)
攪拌装置として電磁誘導式攪拌装置を有する内容積1.8リットルの重合槽に、純水809g、10重量%のパーフルオロオクタン酸アンモニウム水溶液200g、系内を窒素ガスで充分置換したのち減圧にした。この操作を3回繰り返し、減圧状態でイソペンタン0.5mL仕込み、80℃での槽内組成がVdF/TFE/HFP=29.0/13.0/58.0モル%、槽内圧を1.4MPaになるよう各モノマーを仕込んだ。昇温終了後、純水20gに溶解した過硫酸アンモニウム塩(APS)0.67gを窒素ガスにて圧入して重合を開始した。重合圧力を1.4MPaとし、重合時の圧力低下を補うため、VdF/TFE/HFP混合モノマー(50/20/30(モル%))を連続的に供給し、攪拌下に重合を行った。重合終了までに、320gのモノマーを槽内に供給した。
得られた乳濁液の重量は1285g、ポリマー濃度が24.8重量%であり、ポリマー粒子の数は、1.0×1015個/水1gの乳化液を得た。360分後に攪拌を止め、モノマーを放出して重合を停止した。
実施例1
(含フッ素ポリマーの製造)
参考例1と同じ攪拌装置を有する内容積1.8リットルの重合槽に、純水1258g、参考例1で製造したシードポリマー粒子の水性分散液(濃度16.3重量%)26.65g、およびマロン酸ジエチル4.91gを仕込み、系内をチッ素ガスで充分置換したのち減圧した。この操作を3回繰返し、減圧状態でVdF76gとHFP323gを仕込み、攪拌下に80℃まで昇温した。ついで、純水20gに溶解したAPS0.195gをチッ素ガスにて圧入して重合を開始し、以下(a)〜(c)の条件で重合を継続し、3時間後に攪拌を止め、モノマーを放出して重合を停止した。
重合開始前の気相部モノマーVdF/HFP組成比(モル)は36/64、終了時は38/62であった。
(a)重合槽内組成VdF/HFP=36/64(モル%)に対するPeng−Robinson式による臨界温度・臨界圧力計算をAspen Plus Ver.11.1を用いて行ったところ、Tc=87.7℃、Pc=3.05MPaであった。さらに換算温度(TR)0.95、換算圧力(PR)0.80による変換を行なうと、T=69.7℃、P=2.44MPaとなり、本実施例の重合条件は、換算温度以上かつ換算圧力以上である。
(b)気相部分のモノマーの合計濃度を6モル/リットルに維持するためにVdF/HFP(95/5モル%)モノマー混合物を連続的に供給し、気相部分の圧力を6MPa(絶対圧力)に維持した。
(c)攪拌速度を570rpmで維持した。
得られた含フッ素ポリマーは408gであり、GPCで測定した重量平均分子量Mwは17.6万、数平均分子量Mnは8.7万、Mw/Mnは2.0であった。また19F−NMRで測定した重合体の組成はVdF/HFP=77.4/22.6(モル%)であった。
実施例2
参考例1と同じ攪拌装置を有する内容積1.8リットルの重合槽に、純水968g、参考例1で製造したシードポリマー粒子の水性分散液(濃度16.3重量%)17.4g、およびマロン酸ジエチル14.0gを仕込み、系内をチッ素ガスで充分置換したのち減圧した。この操作を3回繰返し、減圧状態でVdF117gとHFP508gを仕込み、攪拌下に80℃まで昇温した。ついで、純水17gに溶解したAPS0.3gをチッ素ガスにて圧入して重合を開始し、以下(a)および(b)の条件で重合を継続し、3時間後に攪拌を止め、モノマーを放出して重合を停止した。
重合開始前の気相部モノマーVdF/HFP組成比(モル)は36/64、終了時は37/63であった。
(a)気相部分のモノマーの合計濃度を6モル/リットルに維持するためにVdF/HFP(95/5モル%)モノマー混合物を連続的に供給し、気相部分の圧力を6MPa(絶対圧力)に維持した。
(b)攪拌速度を570rpmで維持した。
得られた含フッ素ポリマーは411gであり、GPCで測定した重量平均分子量Mwは10.7万、数平均分子量Mnは4.3万、Mw/Mnは2.5であった。また19F−NMRで測定した重合体の組成はVdF/HFP=76.9/23.1(モル%)であった。
実施例3
マロン酸ジエチルを8g、APSを0.25gとしたこと以外は実施例2と同様にして含フッ素ポリマーを製造した。
重合開始前の気相部モノマーVdF/HFP組成比(モル)は36/64、終了時は36/64であった。
得られた含フッ素ポリマーは429gであり、GPCで測定した重量平均分子量Mwは14.6万、数平均分子量Mnは6.8万、Mw/Mnは2.1であった。また19F−NMRで測定した重合体の組成はVdF/HFP=76.8/23.2(モル%)であった。
実施例4
マロン酸ジエチルを20g、APSを0.35gとしたこと以外は実施例2と同様にして含フッ素ポリマーを製造した。
重合開始前の気相部モノマーVdF/HFP組成比(モル)は36/64、終了時は36/64であった。
得られた含フッ素ポリマーは408gであり、GPCで測定した重量平均分子量Mwは7.2万、数平均分子量Mnは3.3万、Mw/Mnは2.2であった。また19F−NMRで測定した重合体の組成はVdF/HFP=76.1/23.9(モル%)であった。
比較例1
初期モノマー仕込をVdF125g、HFP450gとし、マロン酸ジエチルを4.0g、APSを0.15gとし、連続的に供給するモノマーの組成比をVdF/HFP(78/22モル%)としたこと以外は実施例1と同様にして含フッ素ポリマーを製造した。重合開始前の気相部モノマーVdF/HFP組成比(モル)は42/58、終了時は32/68であった。
得られた含フッ素ポリマーは320gであり、前記の方法で測定した重量平均分子量Mwは22万、数平均分子量Mnは9.6万、Mw/Mnは2.3であった。また19F−NMRで測定した重合体の組成はVdF/HFP=77.7/22.3(モル%)であった。
実施例5〜7および比較例2〜3
実施例1〜3、比較例1で得られた含フッ素ポリマー、およびG790(ダイキン工業(株)製、含フッ素ポリマー)を用い、下記の配合、加硫条件にしたがって、加硫フッ素ゴムを得た。
(標準配合1)
含フッ素ポリマー 100重量部
ビスフェノールAF 2.17重量部
ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド 0.43重量部
高活性酸化マグネシウム 3重量部
カーボンブラックMT−C 20重量部
水酸化カルシウム 6重量部
(標準加硫条件1)
混練方法 :ロール練り
プレス加硫 :170℃で10分間
[但し、プレス圧力2〜3MPaに達した時点で約1分間減圧(約0.01MPa)]
オーブン加硫:230℃で24時間
実施例8
実施例4で得られた含フッ素ポリマーを用い、実施例5〜7で記載した標準配合と比較してベンジルトリフェニルホスホニウムクロライドを0.50重量部にのみ変更し、その他は実施例5〜7と同一の配合、加硫条件にしたがって、加硫フッ素ゴムを得た。
得られた加硫フッ素ゴムを、前記評価法にしたがい評価した結果を表1に示す。
Figure 0004839616
実施例9〜10
実施例2で得られた含フッ素ポリマーを加工助剤として、含フッ素ポリマー(ダイキン工業(株)製、G716(100%)、ムーニ粘度65)にブレンドした。混合割合は、重量比でそれぞれ加工助剤:含フッ素ポリマー=1:4、1:1とした。また、加工助剤以外の配合割合、および加硫条件は、前記実施例5〜7と同様である。
得られた加硫フッ素ゴムを、前記評価法にしたがい評価した結果を表2に示す。
比較例4
含フッ素ポリマー(ダイキン工業(株)製、G716(100%)、ムーニ粘度65)を用いた以外は、実施例5〜7と同様の条件で加硫フッ素ゴムを得た。加工助剤は、用いなかった。
Figure 0004839616
本発明の加工助剤と含フッ素ポリマーを1:1(重量比)で配合することにより、コンパウンドムーニー粘度が104から50に低下したにもかかわらず、圧縮永久歪は15.7%から17.0%へわずかに低下するのみであった。
実施例11
(含フッ素ポリマーの製造)
参考例1と同じ攪拌装置を有する内容積1.8リットルの重合槽に、純水970g、参考例1で製造したシードポリマー粒子の水性分散液(濃度28.5重量%)27g、およびマロン酸ジエチル4gを仕込み、系内をチッ素ガスで充分置換したのち減圧した。この操作を3回繰返し、減圧状態でVdF17gとTFE21gとHFP536gを仕込み、攪拌下に80℃まで昇温した。ついで、純水15gに溶解したAPS0.2gをチッ素ガスにて圧入して重合を開始し、以下(a)〜(c)の条件で重合を継続し、3時間後に攪拌に初期の半量のAPSを追加した。4時間後に攪拌を止め、モノマーを放出して重合を停止した。
重合開始前の気相部モノマーVdF/TFE/HFP=6.0/4.6/89.4、終了時は、6.6/4.3/89.1であった。
(a)重合槽内組成VdF/TFE/HFP=6.0/4.6/89.4(モル%)に対するPeng−Robinson式による臨界温度・臨界圧力計算をAspen Plus Ver.11.1を用いて行ったところ、Tc=88℃、Pc=3.0MPaであった。さらに換算温度TR=0.95、換算圧力PR=0.80による変換を行なうと、T=70℃、P=2.4MPaとなり、本実施例の重合条件は、換算温度以上かつ換算圧力以上である。
(b)気相部分のモノマーの合計濃度を5モル/リットルに維持するためにVdF/TFE/HFP(67.5/24/8.5モル%)モノマー混合物を連続的に供給し、気相部分の圧力を3.5MPa(絶対圧力)に維持した。
(c)攪拌速度を570rpmで維持した。
得られた含フッ素ポリマーは367gであり、GPCで測定した重量平均分子量Mwは12万、数平均分子量Mnは6.6万、Mw/Mnは1.9であった。また19F−NMRで測定した重合体の組成はVdF/TFE/HFP=50.9/20.7/28.4(モル%)であった。
実施例12
実施例1と同じ攪拌装置を有する内容積1.8リットルの重合槽に、純水970g、参考例2で製造したシードポリマーの水性分散液(濃度28.5重量%)27g、および、マロン酸ジエチル8g仕込み、系内を窒素ガスで十分に置換したのち減圧した。この操作を3回繰返し、減圧状態でVdFを17gとTFE21gとHFP536gを仕込み、攪拌下に80℃まで昇温した。ついで、純水15gに溶解したAPS0.25gを窒素ガスにて圧入して重合を開始し、以下(a)〜(c)の条件で重合を継続し、重合開始後3時間後および6時間後に、初期の半量のAPSを追加した。7.3時間後に攪拌を止めモノマーを放出して重合を停止した。
重合開始前の気相部モノマーVdF/TFE/HFP=6.4/5.2/88.4、終了時は5.1/4.1/90.8であった。
(a)重合槽内組成VdF/TFE/HFP=6.4/5.2/88.4(モル%)に対するPeng−Robinson式による臨界温度・臨界圧力計算をAspen Plus Ver.11.1を用いて行ったところ、Tc=88℃、Pc=3.0MPaであった。さらに換算温度TR=0.95、換算圧力PR=0.80による変換を行なうと、T=70℃、P=2.4MPaとなり、本実施例の重合条件は、換算温度以上かつ換算圧力以上である。
(b)気相部分のモノマーの合計濃度を5モル/リットルに維持するためにVdF/TFE/HFP(67.5/24/8.5モル%)モノマー混合物を連続的に供給し、気相部分の圧力を3.5MPa(絶対圧力)に維持した。
(c)攪拌速度を570rpmで維持した。
得られた含フッ素ポリマーは397gであり、GPCで測定した重量平均分子量Mwは7.3万、数平均分子量Mnは4.2万、Mw/Mnは1.7であった。また、19F−NMRで測定した重合体の組成はVdF/TFE/HFP=50.6/20.1/29.4(モル%)であった。
実施例13
マロン酸ジエチルを11g、APSを0.45gにしたこと以外は実施例11と同様にして含フッ素ポリマーを製造した。
重合開始前の気相部モノマーVdF/TFE/HFP=5.6/4.9/89.6、終了時は6.2/4.4/89.4であった。
(a)重合槽内組成VdF/TFE/HFP=5.6/4.9/89.6(モル%)に対するPeng−Robinson式による臨界温度・臨界圧力計算をAspen Plus Ver.11.1を用いて行ったところ、Tc=88℃、Pc=3.0MPaであった。さらに換算温度TR=0.95、換算圧力PR=0.80による変換を行なうと、T=70℃、P=2.4MPaとなり、本実施例の重合条件は、換算温度以上かつ換算圧力以上である。
(b)気相部分のモノマーの合計濃度を5モル/リットルに維持するためにVdF/TFE/HFP(67.5/24/8.5モル%)モノマー混合物を連続的に供給し、気相部分の圧力を3.5MPa(絶対圧力)に維持した。
(c)攪拌速度を570rpmで維持した。
得られた含フッ素ポリマーは361gであり、GPCで測定した重量平均分子量Mwは6.7万、数平均分子量Mnは4.0万、Mw/Mnは1.7であった。また、19F−NMRで測定した重合体の組成はVdF/TFE/HFP=50.6/21.8/27.6(モル%)であった。
比較例5
槽内組成がVdF/TFE/HFP=9.7/5.1/85.2モル%、槽内圧を6.3MPa、またマロン酸ジエチルを3.0g、APSを0.3gとし、連続的に供給するモノマーの組成比をVdF/TFE/HFP=50.0/20.0/30.0(モル%)としたこと以外は実施例11と同様にして含フッ素エラストマーを製造した。重合終了時の組成は、VdF/TFE/HFP=3.6/3.4/93.0(モル%)であった。
得られた含フッ素エラストマーは260gであり、前記の方法で測定した重量平均分子量Mwは12.0万、数平均分子量Mnは5.5万、Mw/Mnは2.3であった。また、19F−NMRで測定した重合体の組成はVdF/TFE/HFP=49.1/18.9/32.0(モル%)であった。
実施例14および比較例6
実施例11、比較例5で得られた含フッ素ポリマーを用い、下記の標準配合2、加硫条件にしたがって、加硫フッ素ゴムを得た。
(標準配合2)
含フッ素ポリマー 100重量部
ビスフェノールAF 2.17重量部
ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド 0.77重量部
高活性酸化マグネシウム 3重量部
カーボンブラックMT−C 20重量部
水酸化カルシウム 6重量部
(標準加硫条件2)
混練方法 :ロール練り
プレス加硫 :180℃で15分間
[但し、プレス圧力2〜3MPaに達した時点で約1分間減圧(約0.01MPa)]
オーブン加硫:230℃で24時間
Figure 0004839616

Claims (5)

  1. ビニリデンフルオライド:ヘキサフルオロプロピレンがモル比で9:1〜5:5であり、かつテトラフルオロエチレンが0〜40モル%であるビニリデンフルオライド系共重合体である含フッ素ポリマーを反応槽内の気相部分における各モノマーの臨界温度、臨界圧力、およびそれぞれの組成比からPeng−Robinson式を用いて算出した臨界定数の換算温度が0.95以上、換算圧力が0.80以上の条件下で行われるバッチ式共重合法により製造する方法であって、
    目的ポリマーのモノマー成分数をn(nは2以上の整数)、各モノマーの成分名をA1、A2、…An、目的ポリマー組成の各モノマー成分A1、A2、…Anの重量百分率をそれぞれa1、a2、…an(%)(ただし、aは
    Figure 0004839616
    をみたす)、初期モノマー組成の各モノマー成分の重量百分率をそれぞれa’1、a’2、…a’n(%)(ただし、a’は
    Figure 0004839616
    をみたし、a’1、a’2、…a’nは設定した重合条件によって一義的に定められる)、重合時気相モノマーの比重/目的ポリマーの比重をBとしたときに、成分A1、A2、…Anの順に式:
    (a1−a’1×B):(a2−a’2×B)…(an−a’n×B)
    によって各モノマーの追加モノマー組成重量比を算出し、該追加モノマー組成重量比の追加モノマーを含有する追加モノマーを添加する含フッ素ポリマーの製造方法。
  2. 重合時の圧力が4MPa以上である請求項1記載の含フッ素ポリマーの製造方法。
  3. 重合時の圧力が3MPa以上である請求項1記載の含フッ素ポリマーの製造方法。
  4. ビニリデンフルオライドおよびヘキサフルオロプロピレンからなる共重合体であって、ビニリデンフルオライド:ヘキサフルオロプロピレンがモル比で9:1〜5:5であり、かつテトラフルオロエチレンを0〜40モル%含み、さらに重量平均分子量が14万以下、重量平均分子量/数平均分子量が3.0以下であり、実質的にヨウ素を含まず、以下の標準配合1または2、および標準加硫条件1または2で加硫したときの200℃×72時間での圧縮永久歪みが30%以下である含フッ素ポリマー。
    (標準配合1)
    含フッ素ポリマー 100重量部
    ビスフェノールAF 2.17重量部
    ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド 0.43重量部
    高活性酸化マグネシウム 3重量部
    カーボンブラックMT−C 20重量部
    水酸化カルシウム 6重量部
    (標準配合2)
    含フッ素ポリマー 100重量部
    ビスフェノールAF 2.17重量部
    ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド 0.77重量部
    高活性酸化マグネシウム 3重量部
    カーボンブラックMT−C 20重量部
    水酸化カルシウム 6重量部
    (標準加硫条件1)
    混練方法 :ロール練り
    プレス加硫 :170℃で10分間
    [但し、プレス圧力2〜3MPaに達した時点で1分間減圧(0.01MPa)]
    オーブン加硫:230℃で24時間
    (標準加硫条件2)
    混練方法 :ロール練り
    プレス加硫 :180℃で15分間
    [但し、プレス圧力2〜3MPaに達した時点で1分間減圧(0.01MPa)]
    オーブン加硫:230℃で24時間
  5. 請求項4記載の含フッ素ポリマー、加硫剤、および加硫促進剤からなる含フッ素ポリマー組成物。
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