JP4839021B2 - 白血球及び/又は造血幹・前駆細胞動員剤 - Google Patents

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Description

本発明はN−アセチルノイラミン酸硫酸エステルの新規用途に関する。具体的には、前記物質を有効成分として含む、白血球及び/又は造血幹・前駆細胞の動員剤、いいかえると白血球増加剤及び/又は造血幹・前駆細胞の骨髄から末梢血への動員剤に関する。
白血球増加剤及び造血幹・前駆細胞の末梢血への動員剤として、顆粒球コロニー刺激因子 (granulocyte colony−stimulating factor:G−CSF)製剤が知られており、同種及び自家末梢血幹細胞の採取や、免疫不全患者の感染症や抗癌剤投与時の白血球減少症及び再生不良性貧血の治療に使用される。臨床においては、G−CSFが、白血球増加剤(特許文献1)や造血幹細胞動員剤(非特許文献1)として使用されることが報告されている。また、CXCR4アンタゴニストであるAMD3100が、G−CSFによる造血幹細胞動員効果を増強させることが報告されている(非特許文献2)。マウスを使用した研究レベルにおいては、硫酸化多糖の一種、フコイダンが急速な造血幹細胞動員効果を示すことが報告されている(非特許文献3、4)。
遺伝子組換G−CSF製剤として、グラン(麒麟麦酒株式会社)、ノイトロジン(中外製薬株式会社)、ノイアップ(協和発酵工業株式会社)等がすでに市販されている。また、白血球減少症治療剤として、ロイコプロール(協和発酵工業株式会社)、イノチン(東和薬品株式会社)、ロイコン(三共株式会社)等が既に販売されている。
G−CSFは、分子量は約18,000〜22,000で、ヒトの場合174個(まれに178個)、マウスで178個のアミノ酸で構成され、血液成分の白血球の一種である好中球の分化増殖を誘導する糖タンパク質である。G−CSFは、成熟好中球の生存の延長や機能の亢進作用を有するが、エリスロポエチンによる赤芽球、インターロイキン3による芽球コロニーの形成も増強する。このようなG−CSFを産生する細胞としては、マクロファージ、ストローマ細胞、単球、Tリンパ球、繊維芽細胞、血管内皮細胞などが挙げられる。
G−CSF製剤はタンパク質製剤であるため、経済的に負担が大きい。また、造血幹・前駆細胞の骨髄から末梢血への動員剤としてG−CSF製剤を使用する場合、入院で連日最低4日間の投与が必要であり、骨痛、発熱、頭痛等の副作用が報告されている。また、健常人ドナーの約10%で造血幹・前駆細胞の動員効果が低いといわれており、移植に十分な造血幹・前駆細胞を採取するのは困難である。さらに、白血球増加剤としての使用は、頻回投与が必要であり、患者及び医師は苦痛と負担を強いられてきた。
一方、N−アセチルノイラミン酸硫酸エステル等については、多く報告されており、天然のN−アセチルノイラミン酸ホモポリマーの混合物であるコロミン酸を原料として生産することができる(特許文献2,3)。コロミン酸は、1957年にバリー等により発見された物質で、シアル酸(アセチルノイラミン酸)を構成単位とし、α2→8で結合した分子量3万程度の高分子ポリマーである。大腸菌、髄膜炎双球菌などの血清型分類において非常に重要である。また、医薬品や化粧品の原料としても重要である。医薬品としては、例えば抗HIV剤(特許文献2,3)、抗ロタウイルス剤(特許文献4)、抗炎症剤(特許文献5)、抗血栓剤(特許文献6)、線維芽細胞増殖因子(特許文献7)等が開示されている。
しかしながら、N−アセチルノイラミン酸硫酸エステル等について、白血球及び/又は造血幹・前駆細胞の動員剤、詳しくは白血球増加剤や造血幹・前駆細胞の骨髄から末梢血への動員剤については報告はない。
特許第2718426号公報 特開平6-279503号公報 特許第3062906号公報 特開平9-278660号公報 特開平9-25576号公報 特開平10-158174号公報 特開平10-310602号公報 Blood, 89, 7, p.2233-2258, 1997 Transfusion, 45, p.295-300, 2005 Blood, 96, 7, P.2460-2468, 2000 PNAS, 97, 12, p.6544-6549, 2000 Leuk Lymphoma, 31, p.61-69, 1998 Cytokine, 8, p.702-709, 1996
本発明は、G−CSF製剤の投与に比べて経済的であり副作用の軽減化された白血球及び/又は造血幹・前駆細胞動員剤、詳しくは白血球増加剤及び/又は造血幹・前駆細胞の骨髄から末梢血への動員剤を提供することを課題とする。とりわけ、G−CSF製剤を造血幹・前駆細胞の動員剤として使用する場合の頭痛、発熱、骨痛等の副作用が軽減化された製剤を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、N−アセチルノイラミン酸の硫酸エステル及びN−アセチルノイラミン酸ホモポリマー酸硫酸エステル等が、造血幹・前駆細胞の末梢血への動員作用及び白血球増加作用を有することを見いだし、本発明を完成した。
すなわち本発明は以下よりなる。
1.N−アセチルノイラミン酸硫酸エステルを有効成分として含有することを特徴とする白血球及び/又は造血幹・前駆細胞の動員剤。
2.白血球の動員剤が、白血球増加剤である前項1に記載の動員剤。
3.造血幹・前駆細胞の動員剤が、造血幹・前駆細胞の骨髄から末梢血への動員剤である前項1に記載の動員剤。
4.前記N−アセチルノイラミン酸硫酸エステルは、下記一般式(I):
Figure 0004839021
[式中、Rは、同一又は異なって水素原子又はSOHを示し、nは1〜1000の整数を示す。但し、N−アセチルノイラミン酸残基1分子あたりのSOH基の数は0.1〜3である。]
で表されるN−アセチルノイラミン酸ホモポリマー硫酸エステル、又はその薬学的に許容される塩である、前項1〜3のいずれか一に記載の動員剤。
本発明のN−アセチルノイラミン酸硫酸エステルを有効成分として含む製剤は、単剤で投与しても、末梢血でのコロニーの形成細胞(CFU−C)の増加及び白血球の増加が認められ、造血幹・前駆細胞の骨髄から末梢血への動員作用及び白血球増加作用を有するという効果が確認された。また、G−CSF製剤投与後に、上記本発明の動員剤を併用して投与すると、G−CSF製剤単独使用の場合に比べて、コロニーの形成細胞の増加が有意に認められた。これにより、本発明の動員剤は、G−CSF製剤の代替品又は併用製剤として優れている。
本発明の「N−アセチルノイラミン酸硫酸エステル」は、N−アセチルノイラミン酸硫酸エステル及びN−アセチルノイラミンホモポリマー硫酸エステルを含み、さらにこれらの薬学的に許容できる塩をも含む概念で使用される。
本発明の「白血球及び/又は造血幹・前駆細胞の動員剤」において、「動員」なる用語は、本明細書において、細胞の種類に限らず他の部位から細胞が集積するという意味で使用する。例えば白血球が末梢血に集積したり、造血幹・前駆細胞が骨髄から末梢血に集積することを白血球及び/又は造血幹・前駆細胞が動員するという意味で使用される。本発明における白血球及び/又は造血幹・前駆細胞の動員剤は、いいかえれば白血球増加剤及び/又は造血幹・前駆細胞の骨髄から末梢血への動員剤である。本発明の白血球及び/又は造血幹・前駆細胞の動員剤(以下、単に「本発明の動員剤」という場合もある。)は、N−アセチルノイラミン酸硫酸エステルを有効成分として含み、いいかえればN−アセチルノイラミン酸ホモポリマー硫酸エステル、又はその薬学的に許容できる塩を有効成分として含む。
本発明において、N−アセチルノイラミン酸硫酸エステルは、例えば特許文献2〜7に記載のものを使用することができる。原料は特に限定されるものではないが、重合度(n)が一定の数であるホモポリマーを用いても良く、例えばコロミン酸のような天然のN−アセチルノイラミン酸ホモポリマーの混合物を用いても良い。また取得の由来も特に限定されず、天然から抽出、精製したものでも良く、化学的手法により合成したものであっても良い。
本発明のN−アセチルノイラミン酸硫酸エステルは、N−アセチルノイラミン酸残基1分子あたりのSOH基の数が0.1〜3であることが好ましい。このような化合物として、具体的には以下に示す一般式(I)で表すことができる。ここにおいて、式中Rは、同一又は異なって水素原子、又はSOHを示し、nは1〜1000の整数、好ましくは3〜200の整数、より好ましくは6〜100の整数を示す。本発明のN−アセチルノイラミン酸硫酸エステルは、nが1種のみである単一化合物であっても良く、また、5〜1000の範囲内でnの値が異なる複数のN−アセチルノイラミン酸ホモポリマーの硫酸エステルの混合物であってもよい。好ましい分子量としては、平均分子量が5,000〜50,000であり、より好ましくは8,000〜30,000である。分子量は、プルラン、シアル酸オリゴマーなどを標準物質とし、HPLCにより測定することができる。
Figure 0004839021
本発明におけるN−アセチルノイラミン酸硫酸エステルは、以下の方法に従い製造することができる。N−アセチルノイラミン酸若しくはN−アセチルノイラミン酸ホモポリマー1重量部に対し、溶媒の存在下又は不存在下に触媒0.5〜200重量部、硫酸化剤0.2〜30重量部を反応させる。反応時間は0.1〜48時間程度であり、反応温度は−40〜90℃程度である。
触媒としては、ピリジン、ジメチルアミノピリジン、トリエチルアミンなどが挙げられる。硫酸化剤としては、クロロスルホン酸、ピペリジン硫酸、サルファトリオキシド・トリメチルアミン錯体などが挙げられる。触媒としてピリジンなどを過剰量使用する場合には、溶媒を使用する必要はない。溶媒は、必ずしも使用する必要はないが、使用する場合には、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ホルムアミドなどを使用することができる。
硫酸化反応終了後は、公知の方法、例えば濃縮、ゲルろ過、イオン交換などの各種クロマトグラフィー、再沈殿、透析などの処理を行うことができる。
本発明において、薬学的に許容される塩とは、ナトリウム、カリウム、リチウムなどのアルカリ金属塩、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属塩などが挙げられる。これらの塩は、N−アセチルノイラミン酸若しくはそのホモポリマーの硫酸化反応液を水酸化ナトリウム、炭酸カリウムなどの塩で中和することで製造することもでき、また、いったん硫酸化糖の遊離の酸として得た後、それを用いて塩の形態としてもよい。更に、イオン交換樹脂、イオン交換ゲル、イオン交換セルロースカラムを用いて塩の形態にしても良い。
本発明のN−アセチルノイラミン酸硫酸エステルは、薬学的に許容される種々の添加剤とともに、白血球及び/又は造血幹・前駆細胞の動員剤として用いることができる。本発明の動員剤は、特に限定されるものではないが、例えば、注射剤や、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、細粒剤、乳剤などの経口剤などの種々の形態の医薬製剤として用いることができる。また、本発明の動員剤は、前記医薬製剤のほか、造血幹・前駆細胞の骨髄から末梢血への動員能又は白血球増加能を有する健康食品、健康飲料としても用いることができる。
本発明の動員剤を注射剤として調製する場合、添加剤としては、pH調整剤、緩衝剤、安定化剤、等張化剤を適宜配合することができる。該注射剤は、例えば静脈内、筋肉内又は皮下に投与される。また、経口剤として調製する場合は、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、結合剤、矯臭剤、矯味剤などを適宜配合することができる。
また、本発明の動員剤は、単剤で、又は既に市販されている製剤と併用して使用することができる。本発明の動員剤を単剤として使用する場合の投与量は、投与すべき患者の年齢、性別、体重、症状などにより変動するが、有効成分として含有されるN−アセチルノイラミン酸硫酸エステルは、一般的には、ヒト成人に対する1投与単位当たり、経口剤では0.1〜7000mg程度、好ましくは20〜1000mg、注射剤では0.1〜7000mg、好ましくは20〜2000mg程度の間から適宜選択することができる。また、既に市販されている製剤と併用して使用する場合は、症状ならびに併用される市販剤の種類、投与量との関係において、適宜決定することができる。本発明の動員剤の投与時期は、症状に応じて適宜選択することができ、また併用剤との関係において適宜決定することができる。例えば、市販のG−CSF製剤と併用する場合には、G−CSF製剤の投与後に本発明の動員剤を投与することができる。
本発明の造血幹・前駆細胞動員剤及び白血球増加剤としての薬理学的評価は、次のようにして行うことができる。
造血幹・前駆細胞動員剤としては、コロニー形成試験により評価することができる。例えば、造血幹細胞・前駆細胞の骨髄から末梢血への動員効果は、採血した血液を比重遠沈法にて末梢血を分離し、末梢血中のコロニー形成細胞の増加を確認することにより行うことができる。
白血球増加剤としては、末梢血中の白血球数を血球計算板によりカウントし、評価することができる。さらに公知の白血球数測定方法により評価してもよい。上記方法により、癌化学療法による好中球減少症、骨髄形成症候群に伴う好中球減少症、先天性・特発性好中球減少症、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症の治療に支障をきたす好中球減少症、免疫抑制療法(例えば腎移植)に伴う好中球減少症等の各種好中球減少症への適用を評価することができる。
以下実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではないことは明らかである。
(実施例1)
1)N−アセチルノイラミン酸ホモポリマー硫酸エステルの調製
ジメチルホルムアミド20mLに平均分子量約17,000のコロミン酸90mg、サルファトリオキシド・ピリジン複合体477mg及びジメチルアミノピリジン37mgを加え、30℃にて24時間撹拌した。反応後氷冷し、反応液を1M炭酸水素ナトリウム50mLに滴下し、中和した。中和後、濾過により固形物を分離し、透析チューブ(VISKASE SALES社製、分画分子量12,000〜14,000)を用いて、透析を行った。
透析後、ナトリウムイオン型のイオン交換樹脂(アンバーライトIR−120B、オルガノ(株)社製)カラムに通した。カラム流出液を減圧下で濃縮し、凍結乾燥により、平均分子量約22,000の標記化合物126mgを粉体として得た。
2)造血幹・前駆細胞の末梢血への動員効果及び白血球の増加効果の確認
上記調製したN−アセチルノイラミン酸ホモポリマー硫酸エステルをリン酸緩衝液(PBS)に10mg/mLの濃度で溶解した。C57BL/6マウスにN−アセチルノイラミン酸ホモポリマー硫酸エステルを100mg/kgの用量で、尾静脈より投与し、造血幹・前駆細胞の末梢血への動員効果及び白血球の増加効果を調べた。以下の実施例でも同様に、N−アセチルノイラミン酸ホモポリマー硫酸エステルの投与を行った。
造血幹・前駆細胞の末梢血への動員効果は、上記尾静脈投与後の一定時間経過後に採血し、比重遠沈法にて末梢血単核球を分離し、メチルセルロースによるコロニーアッセイ法にて、コロニー形成細胞(colony-forming unit in culture: CFU−C)を算定することにより確認した。
メチルセルロースによるコロニーアッセイは以下の手法により行った。STEMCELL TECHNOLOGIES INC.(バンクーバー、カナダ)のMETHOCULT GF M3534の測定キットを用いて、製品の使用方法に従いアッセイを行った。本製品には、造血前駆細胞を***・増殖させてコロニーを形成するのに必要な増殖因子が予めメチルセルロース半固形培地に添加されている。採血し、比重遠沈法にて分離した末梢血単核球を培養皿に加え、37℃5%COの条件で10日間培養し、40個以上の細胞で形成された細胞塊をコロニーと定義して、倒立顕微鏡下でカウントし、これをCFU−Cとした。
白血球の増加効果は、末梢血をPBSにて10倍希釈し、6%酢酸との等量希釈で赤血球を溶血させ、血球計算板にて白血球数を算定することにより確認した。
その結果を図1に示した。N−アセチルノイラミン酸ホモポリマー硫酸エステルを尾静脈投与すると、30分をピークとして、造血前駆細胞が末梢血に動員されることが確認された。また、白血球数は投与後1時間でピークとなり、5時間後には定常レベルに戻った。
(実施例2)
G−CSFによる造血幹・前駆細胞動員効果は、遺伝的背景に大きく左右され、C57BL/6マウスは動員されにくく、DBA/2マウスは比較的動員されやすいことが報告されている。C57BL/6マウス及びDBA/2マウスに、N−アセチルノイラミン酸ホモポリマー硫酸エステル(100mg/kg)を尾静脈投与した。対照として、同様にPBSを投与した。投与後30分で採血し、実施例1と同手法にてCFU−Cを算出した。
その結果を図2に示した。N−アセチルノイラミン酸ホモポリマー硫酸エステルを投与すると、G−CSFの結果と同様に、C57BL/6マウスに比べ、DBA/2マウスのほうがCFU−Cの動員効果が高かった。しかしながら、いずれのマウスにおいても、N−アセチルノイラミン酸ホモポリマー硫酸エステルを投与したほうが、対照と比較して高い動員効果が認められた。
(実施例3)
本発明の動員剤について、硫酸基の必要性について検討した。DBA/2マウスに、N−アセチルノイラミン酸ホモポリマー硫酸エステル(100mg/kg)を投与した。比較例として、実施例1に記載の硫酸基を含まないコロミン酸(100mg/kg)を、対照として、PBSを同様に投与した。投与後30分で採血し、実施例1と同手法にてCFU−Cを算出した。
その結果を図3に示した。硫酸基を含まないコロミン酸を投与した系では、造血前駆細胞の末梢血への動員作用は認められなかった。これにより、造血幹・前駆細胞の動員には、硫酸基の付加が必要であることが確認された。
(実施例4)G−CSF(フィルグラスチム:filgrastim)との併用効果
G−CSFを、PBS+0.1%ウシ血清アルブミン(BSA)で15μg/mLの濃度で溶解し、一回投与量125μg/kgの用量で、C57BL/6マウスに1日2回、12時間おきに投与した。最終回投与後2時間30分に、PBS又はN−アセチルノイラミン酸ホモポリマー硫酸エステル(100mg/kg)を投与し、さらに30分後に採血し、比重遠沈法にて末梢血単核球を分離し、メチルセルロースによるコロニーアッセイ法にて、CFU−Cを算定した。
その結果を図4に示した。G−CSF単独投与の場合は、2日間投与ではCFU−Cの動員は殆ど認められなかったが、4日間投与により、約2,000/mLのCFU−Cの動員が認められた。G−CSFの投与後にN−アセチルノイラミン酸ホモポリマー硫酸エステルを併用した系では、2日目で、G−CSF単独投与の4日目と同様の動員効果を観察した。また、G−CSFを4日間投与後にN−アセチルノイラミン酸ホモポリマー硫酸エステルを併用することにより、単独投与に比べて4倍以上のCFU−C動員効果が認められた。
以上説明したように、本発明のN−アセチルノイラミン酸硫酸エステルを有効成分として含む製剤は、単剤で投与しても、末梢血中の白血球の増加効果及びコロニー形成細胞(CFU−C)の増加が認められた。これにより白血球増加作用及び造血幹・前駆細胞の骨髄から末梢血へ動員作用を有するという効果が確認された。また、G−CSF製剤投与後に本発明の動員剤を併用して投与すると、G−CSF製剤単独使用の場合に比べて、すぐれたコロニーの形成細胞の増加が認められた。さらに、G−CSF製剤単独使用の場合に比べて早期にコロニー細胞の出現が確認された。つまり、本発明の動員剤は、G−CSF製剤の代替品としても有効であり、G−CSF製剤と併用使用とした場合は、G−CSF製剤の投与期間の短縮、使用量の軽減が図られることが示唆された。これにより本発明の動員剤の使用は、G−CSF製剤の単独使用に比べて患者負担が軽減化され、経済的にも優れており、産業上利用可能である。
N−アセチルノイラミン酸ホモポリマー硫酸エステルのコロニー形成能及び白血球増加効果を示す図である。(実施例1) マウスの種類(遺伝的な違い)によるコロニー形成細胞数の違いを示す図である。(実施例2) N−アセチルノイラミン酸ホモポリマーについて、硫酸基の有無によるコロニー形成細胞数の違いを示す図である。(実施例3) G−CSF単独の場合とN−アセチルノイラミン酸ホモポリマー硫酸エステルの併用とのコロニー形成細胞数の違いを示す図である。(実施例4)
符号の説明
PBS 対照(リン酸緩衝液)
SCA N−アセチルノイラミン酸ホモポリマー硫酸エステル
CA コロミン酸

Claims (4)

  1. N−アセチルノイラミン酸硫酸エステルを有効成分として含有することを特徴とする白血球及び/又は造血幹・前駆細胞の動員剤。
  2. 白血球の動員剤が、白血球増加剤である請求項1に記載の動員剤。
  3. 造血幹・前駆細胞の動員剤が、造血幹・前駆細胞の骨髄から末梢血への動員剤である請求項1に記載の動員剤。
  4. 前記N−アセチルノイラミン酸硫酸エステルは、下記一般式(I):
    Figure 0004839021
    [式中、Rは、同一又は異なって水素原子又はSOHを示し、nは1〜1000の整数を示す。但し、N−アセチルノイラミン酸残基1分子あたりのSOH基の数は0.1〜3である。]
    で表されるN−アセチルノイラミン酸ホモポリマー硫酸エステル、又はその薬学的に許容される塩である、請求項1〜3のいずれか一に記載の動員剤。
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