JP4836795B2 - 核酸プロセシング方法、キット、及び装置 - Google Patents

核酸プロセシング方法、キット、及び装置 Download PDF

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    • C12Q1/6806Preparing nucleic acids for analysis, e.g. for polymerase chain reaction [PCR] assay

Description

技術分野
本発明は、1つ又は複数の核酸分子、即ち、DNA又はRNAのいずれかを、結合タンパク質から遊離されており且つその後の、検出、修飾、及び/又は前記核酸分子内の配列の介在的な増幅をともなう又はともなわない操作を含む用途のために利用可能な鋳型として調製することに関する。
背景
細胞性試料と非細胞性試料の両方に存在する核酸分子、即ち、RNA及びDNAは、しばしば、タンパク質または他の高分子と会合しており、その結合は、核酸の検出又は酵素的操作を妨害する。この理由で、核酸を検出又は利用するために設計された多くのプロトコルは、1つ又は複数の精製及び/又は単離ステップから開始されるのであり、そのステップは、特定の標的配列の増幅やレポーター配列の複製のような後続の操作に先立って行われる。
核酸を調製するために用いられる方法は、その後の生化学的なステップと適合するものでなければならない。加えて、精製は、損失を低減するために、最少の信頼できるステップ及び可能な限り最小の数の容器によって行うことが好ましい。定量的な正確さ及び使用の簡便性は、アッセイの重要な特質である。アッセイは、多数の少量試料、例えば、たった1つの細胞や比較的少数の細胞からなる試料、或いは、小さな組織片や、細胞1個の画分、又は少量の細胞抽出物又はホモジネートよりなる試料、或いは、核酸の非細胞性試料、に対して行われることもある。特に少量試料の取り扱いとプロセシングは、前記試料の又はそのような試料中の核酸の損失、分解又は汚染という結果になるべきではない。
細胞及び組織からDNA及びRNAを精製又は単離すること及びDNA分子をRNA分子から分離することのための伝統的な方法は、典型的には、下記のものを含むが、これに限定されない:a)グアニジン塩、尿素、界面活性剤、強アルカリのような強力な変性剤又はそれらの組合せの存在下で試料を破壊/変性すること;b)フェノール:クロロホルムのような非水性液を用いた抽出(全RNA及びDNA分離のために用いられる)によって、又はマトリックス、樹脂、ビーズ又は線維への吸収(mRNAの選択的抽出のため及び他の適用のために用いられる)によって、又はアルカリ性バッファーによる中和と遠心分離と(プラスミドDNA単離のために用いられる)によって、目的の核酸を変性タンパク質及び/又は他の核酸から分離すること;c)アルコール或いは塩化リチウム又はアンモニウム又はナトリウムのような一価の陽イオンによる沈殿、および適宜少量体積へ再懸濁するか、又は代わりに適宜少量体積中に核酸を溶出させることによって核酸を回収すること。精製核酸が含有される体積が、一回のアッセイで解析することができる核酸の画分を決定する。体積は、解析が、一個の細胞や非常に少数の細胞のように非常に少量の試料に対して行われるときには特に重要なことである。ある種の出発試料は、細胞を破壊するためにより苛酷な条件を用いることを要求することが、当技術分野において知られている。条件は、DNA又はRNAを選択的に分解又は消化して他方を回収するために選定することができる。RNA分子は、アルカリ性条件に対する、及び高温に対する、及びRNアーゼの広範な存在に対する感受性により、DNA分子よりも分解に対してずっと感受性が高い。このように、RNAの単離のための多くのプロトコルは、より穏やかな条件を要求し、RNアーゼを阻害するように設計された薬剤の存在を含む。
ゲノムDNA又はRNAの精製、単離又は分離のための既知の方法の例は、下記のものの使用を含む:臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)と高塩濃度、(Jones,A.S.(1963年),Use of Alkyltrimethylammonium Bromides for the Isolation of Ribo- and Deoxyribo-Nucleic Acids,Nature 199:280〜282頁);高圧の静水圧下の低塩濃度(米国特許第6,111,096号);穏やかな塩析(及び随意のプロテアーゼ消化);酸化アルミニウム被覆マトリックスへの不可逆的結合(米国特許第6,291,166号);グアニジニウムチオシアネート溶解とそれに続くCsClクッションを通した遠心分離によるRNAの調製(Chirgwin,J.M.ら(1979年),Isolation of Biologically Active Ribonucleic Acid from Sources Enriched in Ribonuclease,Biochemistry 18:5294〜5299頁);酸グアニジニウムチオシアネート-フェノール-クロロホルム法の多様な改変と改良(Chomczynski,P.and Sacchi,N.(1987年),Single-Step Method of RNA Isolation by Acid Guanidinium Thiocyanate-Phenol-Chloroform Extraction,Anal.Biochem.162:156〜159頁)、これは後にDNA単離を含むように拡大された(Chomczynski,P.(1993年),A Reagent for the Single-Step Simultaneous Isolation of RNA,DNA and Proteins from Cell and Tissue Samples,Biotechniques 15:532〜537頁);全RNA又はDNAの、ガラス繊維フィルター、シリカゲル膜、磁気ビーズ又はセルロース系マトリックスのようなマトリックスへの結合。
mRNA分子のみの特異的抽出は、該分子のポリ(A)テールと、ストレプトアビジン複合体を含有するセルロース又は樹脂に付着させたオリゴ(dT)との相互作用、及びポリT PNAプローブとストレプトアビジンとによるmRNA分子の選択的沈殿によって行われる。無傷のポリ(A)テールというものは、たぶん、特にXist mRNAのような非常に長いRNA分子の場合には、いつも存在しているわけではない(Hong,Y.K.ら(1999年),A New Structure for the Murine Xist Gene and its Relationship to Chromosome Choice/Counting During X-Chromosome Inactivation,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 96:6829〜6834頁)。
蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)は、in situでの単離と精製の一例である。典型的には、手順に試料の固定が含まれ、この際に、結合したタンパク質が変性され、その後に、少なくとも幾らかのタンパク質を取り除く界面活性剤の存在下での洗浄ステップが行われる。これらの全ての操作は、多大な時間と労力の投資を必要とする。さらに、それらは全て、精製/抽出手順の際の核酸分子の損失に、又は標的配列の乏しい検出につながりうる。後者は、FISHプローブが非常に少ない数の標的分子を認識し、バックグランドより上に視覚化する必要があるので、問題になりうる。
近年、リアルタイム標的増幅方法、例えば、リアルタイムPCR手法が、RNAコピー数の正確な定量化のための強力な手段を提供しており、遺伝子発現レベルの精細なモジュレーションの研究を可能にしている。しかしながら、前述のように、RNA単離は、この種の分子の物理的/化学的特性と、細胞内に存在するか、又は環境汚染によって簡単に入り込む多くのRNアーゼの作用に対する該分子の感受性との両方が原因で、大変に困難なことである。典型的には、DNAをRNA調製物から化学的、物理的又は酵素的方法によって取り除く。上記操作の全ては、利用可能なプロトコルで得られたRNAコピー数の推定値の信頼性が疑われる原因になっているが、それは、特にごく少量の試料を解析する際に当てはまる(Klein,C.A.ら(2002年),Combined Transcriptome and Genome Analysis of Single Micrometastatic Cells,Nat.Biotechnol.20:387〜392頁を参照されたい)。
同じ容器内でmRNA捕獲、逆転写及びPCR増幅を達成するために、幾つかの戦略が工夫されており、これによって、精製中の核酸分子の損失や損傷を限定している。例えば、オリゴ(dT)被覆マルチウェルプレート、又はビオチン標識オリゴ(dT)20とともに用いられるストレプトアビジン被覆PCRチューブが、捕獲に用いられる。そのような方法では、核酸の剪断が減少する可能性があり、新たな容器に移すことによる材料の損失が避けられるが、RNA定量化の正確さはなお上記捕獲分子に対するmRNA結合の効率に依存しているだろう。
mRNAではなく全RNAの調製は、単一チューブ(又は、マイクロチップを用いる場合には単一容器)手法の代替法になるが、ただし、核酸に結合しているタンパク質の除去が、後の逆転写(RT)とPCRのステップを妨害せず、且つRNAの完全性に影響しない方法で達成されることが条件になる。
単純な凍結融解サイクルによる細胞溶解は、タンパク質を核酸から分離することもできないし、細胞のRNアーゼを不活性化することもできない。細菌細胞を煮沸することによる溶解は、間違いなくRNA加水分解につながる。
Ambion社(米国テキサス州オースチン)のCells-to-cDNA IIキットは、RT及びPCRと適合するCell Lysis IIバッファーを使っている。製造者によって提唱されるように、このように1つのチューブの中でDNアーゼ消化を介してDNAを分解しつつ、RNAコピーを増幅することができる。そしてRTとPCRを、溶解された試料に適宜のバッファーと試薬を加えることによって経時的に行う。しかしながら、該アッセイで許容されるCell Lysis IIバッファー/RT PCRバッファー比が低く、溶解試料のほんの一画分だけが各RT-PCRアッセイのために用いることができる。したがって、この手法は、ほんの数個または一個の細胞からなる極少量の試料の解析には適していない。Triton(登録商標)X-100又はNP-40のような非イオン性界面活性剤が、細胞原形質膜を溶解して細胞質RNAプールを遊離させるための数多くのプロトコルにおいて用いられている。これらの界面活性剤は、適切な濃度ならば、酵素的反応に適合しており、この方法で調製される細胞質試料は、RT-PCRアッセイ又は他のRNA分子の検出及び/又は定量を目的とした操作に直接用いることができる(Brady,G.とIscove,N.N.(1993年),Construction of cDNA Libraries from Single Cells,Methods Enzymol.225:611〜623頁;Hansis,C.ら(2001年),Analysis of Oct-4 Expression and Ploidy in Individual Human Blastomeres,Mol.Hum.Reprod.7:155〜161頁)。ゲノムDNA及び、Xist RNAのような核RNAは、しかしながら、これらの手順では調製することはできない。
本発明者らの研究室は、単一のマウス胚又は割球において目的の遺伝子のゲノムDNA及びmRNAコピーの両方を測定することが可能なアッセイを開発した(Hartshorn,C.,Rice J.E.,Wangh,L.J.(2002年),Developmentally-Regulated Changes of Xist RNA Levels in Single Preimplantation Mouse Embryos,as Revealed by Quantitative Real-Time PCR,Mol.Reprod.Dev.61:425〜436頁;Hartshorn,C.,Rice,J.E.,Wangh,L.J.(2003年),Differential Pattern of Xist RNA Accumulation in Single Blastomeres Isolated from 8-cell Stage Mouse Embryos Following Laser Zona Drilling,Mol.Reprod.Dev.64:41〜51頁;Hartshorn,C.,Rice,J.E.,Wangh,L.J.,Optimized Real-Time RT-PCR for Quantitative Measurements of DNA and RNA in Single Embryos and Blastomeres, In:Bustin S.A.,編,A-Z of Quantitative PCR,pages 675〜702頁,International University Line,印刷中)。極少量の試料においてゲノムDNAコピーを数えることは、核酸回収のため及びPCR効率のための理想的な内部標準を提供する。さらに、DNアーゼ及びそれに伴う該酵素の熱による不活性化を用いる必要はない。この操作中では、幾らかのRNAが加水分解されうる(RNA分解は、DNアーゼ活性に要求されるマグネシウムの存在によって増大される)。単一の胚/細胞からのRNA及びDNAのRT-PCRにAmbion Cells-to-cDNA IIキットを採用しようとした本発明者らの試みは、失敗したが、恐らくその理由は、検体のアリコートではなく検体の全体をアッセイするために用いなければならない、推奨量より多量の細胞溶解バッファーを用いたことである。RNAが高発現試料において予想されるレベルで測定された一方で、少ないコピー数で存在するゲノムDNAは検出されないことが非常によくあった。
DNA鋳型のみの調製を目的とし、同じ反応容器内でのPCR解析に適合する溶解バッファーの例は、既知であり、市販されている。一般的に、これらの方法では、同じ試料からのDNAとRNA分子の同時/並行解析ができない。その原因は、RNAが抽出手順中に分解されるからである。Release-IT(商標)(CPG,Inc.,米国ニュージャージー州リンカーンパーク)は、全血、細胞培養物、細菌コロニー、及び他の生物学的試料からDNAを遊離させる専売試薬である。溶解は、サーマルサイクラー上の増幅チューブ内で直接に達成され、その後にPCR試薬を該溶解物に加えて増幅を開始する。Release-IT(商標)は、PCRを阻害する虞のある細胞溶解産物を隔離する。上述した他の方法とは異なり、これにより、RNA回収及びRT-PCRのための小試料アリコートの逆転写が可能になる(試料全体はゲノムDNAのPCRのために用いることができる)。しかしながら、Release-IT(商標)作用のために必要とされる初めの加熱サイクルが、97℃での計4分と、80℃での保持ステップとを含むので、RNAに対して有害であると考えられている。さらに、Release-IT(商標)試薬は、細胞濃縮なしで少数のコピー数のDNAを増幅することのためには推奨されていない。
単一の細胞又は単一の細胞の一部を含む極少量の試料における核酸解析は、数多くの難題を提示する。幾つかの市販のキットが単一細胞レベルまでのRT-PCR感受性を提供する一方で、この主張は、より大量の試料を収集して、そのうちの一部のみをそれぞれのアッセイに用いることを暗示している。二、三のキットは、実際に単一の細胞からの効率的な核酸抽出を約束するが、個々の試料を集めること自体が、しばしば困難であり、RNA内容物を保存するために注意して行なわねばならない(Hartshorn,C.,Rice,J.E.,Wangh,L.J.(2003年))。最近では、レーザーキャプチャーマイクロダイセクション(LCM)及びレーザープレッシャーカタパルティング(LPC)が、単一の細胞又は単一の細胞の区画の正確な切除を可能にしている。さらに、単一細胞発現プロファイリングのために、細胞溶解物において、RNA精製を必要とせずに、mRNA分子のポリアデニル化に基づいて該分子を直接に検出する2つの手法が既に開発されている(3プライムエンド増幅(3 prime end amplification)、即ちTPEA、及び全てのポリアデニル化mRNAのcDNAコピーの包括的な増幅、即ちPo1yAPCR)(Brady,G.により総説(2000年),Expression Profiling of Single Mammalian Cells--Small is Beautiful,Yeast 17:211〜217頁)。両手法は、細胞質RNA測定に限定されており、DNAや核RNAまで拡張することはない。
本発明の一態様は、結合タンパク質から遊離したDNA及びRNA分子の混合物(そのような混合物は、遊離したDNA及びRNA分子、カオトロピック剤、並びに分解及び変性タンパク質を含む)の増幅及び検出のため又は他の酵素的プロセシングのためにDNAまたはRNA分子又は両方を調製するための方法であって、DNA及びRNA分子を互いから又は混合物の他の成分から除去または単離せずに、カオトロピック剤の濃度を0.05M未満、好ましくは0.01M未満に低減するように該混合物を希釈することを含む方法である。
本発明の別の態様は、上記混合物を、その希釈に先だって、タンパク質結合DNA及びRNA分子を含有する試料を、少なくとも2Mのカオトロピック剤を含有する濃縮破壊試薬とともにインキュベートすることによって調製することである。
本発明の別の態様は、上記希釈混合物からDNA及びRNA分子を物理的に分離することなく該希釈混合物において1つ又は複数のDNA及びRNA配列を増幅することである。
本発明のさらなる態様は、上記の希釈及び増幅を単一の容器内で行うこと及び、好ましくは、該容器内で上記混合物を調製することである。
本発明のさらに別の態様は、結合タンパク質からDNA及びRNA分子を遊離させる際に有用な装置であって、チューブのキャップ又は多チャンバー容器内の表面のような容器の表面又は容器の一部に付着したカオトロピック試薬を含有する乾燥又は半乾燥破壊試薬を含む装置である。
本発明の別の態様は、希釈及び希釈混合物のさらなるプロセシング、例えば、増幅及び配列決定反応を行うための、上記の装置と追加の試薬及び材料とを含むキットである。
概要
本発明は、核酸を変性タンパク質から物理的に単離すること又は一方のタイプの核酸(デオキシリボ核酸(DNA)及びリボ核酸(RNA)分子)を他方から物理的に単離することなく、増幅及び検出又は他の酵素的プロセシングのためにDNAおよびRNA分子を調製するための方法、装置及び試薬を含む。本発明の調製方法は、試料含有材料のいかなる移動も伴わずに、単一の容器内で行うことができる。増幅及び検出のようなさらなるプロセシングは、試料含有材料のいかなる移動も伴わずに、上記調製された核酸を保持する容器内で行うことができる。本発明による方法は、単一の容器内、例えば、現行のサーマルサイクリング機器とともに使用することに適した200μlチューブ内、での核酸の調製、増幅及び検出を含む。本発明による方法は、核酸の移動、洗浄及び再懸濁を低減する又は無くすことによって核酸の剪断を低減又は最小限にし、以て、増幅反応、特にポリメラーゼ連鎖反応を利用した増幅におけるミスプライミングの問題を軽減する。
本発明の方法が適用できる核酸試料供給源は、単一の細胞、細胞の群(胚、組織試料)、細胞溶解物、又は核酸の他の供給源、例えば、細胞から吸い出した細胞質を含む。該供給源が1つ又複数の細胞である場合、調製は細胞溶解を含むが、これは、溶解物が供給源である場合には要求されない。本発明の方法が適用される試料は、タンパク質が結合されている核酸を含有する。
本発明による方法における第1ステップは、核酸を結合タンパク質から遊離させることと、ヌクレアーゼを不活性化することである。試料が細胞性である場合、第1ステップは、1つの細胞又は複数の細胞を溶解することも含む。第1ステップのために、試料は、便宜的に破壊試薬(Disruption Reagent)といわれる試薬で処理される。破壊試薬の必須成分は、ヌクレアーゼを含む全てのタンパク質を変性又は分解するためのカオトロピック剤である。好適なカオトロピック剤は、グアニジンイソチオシアネート又は塩酸グアニジンのようなグアニジウム塩、及びヨウ化カリウムを含む。本発明者らの好ましい薬剤は、グアニジンイソチオシアネートである。第1ステップは、少量、10μl未満の破壊試薬、好ましくは1μl未満の中で行い、単一チューブ内での増幅を含む実施形態では、さらに好ましくは20〜50nlとして、標準的な200μlチューブの容量を超えることなく連続希釈を行えるようにする。第1ステップはまた、少なくとも2Mの一価の陽イオン濃度を達成するのに十分に高いカオトロピック剤濃度で行う。室温で作業すると、グアニジンイソチオシアネートは高濃度では沈殿し(そしてナノリットルの量を分取するために適した小孔ピペットを目詰まりさせ)やすい。好ましい濃度である4Mのグアニジンイソチオシアネートでの作業を可能にするために、例えば、本発明者らは、沈殿を防ぎその後の乾燥ステップ中に蒸発させることができる水混和性溶媒であるジメチルスルホキシド(DMSO)を、1体積%以上で加える。該破壊試薬が、核酸のプロセシングにおいて用いられる前に乾燥されない場合には、ジメチルスルホキシドの存在は、カオトロピック剤のような外来の化学物質に対する細胞膜の透過性を増強するという追加された利点を有する。
先に示したように、試料が1つ又は複数の細胞である場合には第1ステップで溶解が必要である。破壊試薬は、この目的のために界面活性剤を含んでもよい。本発明者らは、界面活性剤として、米国カリフォルニア州ラホーヤのStratageneから得たサルコシルを用いてきた。破壊試薬に含まれてもよい付加的な成分は、還元剤、好ましくは、βメルカプトエタノールのように乾燥処理中に蒸発するもの、キレート剤、及びクエン酸ナトリウムのような中性バッファーを含む。
破壊試薬は、液体として用いられてもよく、又乾燥されて、使用中に再構成されてもよい。本発明者らは、首尾よく下記の破壊試薬を乾燥しその後もとの体積である20nlに再構成した:0.25%サルコシル(界面活性剤)、2Mグアニジンイソチオシアネート(カオトロピック剤)、1%(体積/体積)DMSO(溶媒)、100mMβメルカプトエタノール(還元剤)及び0.01Mクエン酸ナトリウム、pH7.0(バッファー)。
本発明による方法における第1ステップは、試料を、存在するタンパク質を恒久的に変性するのに十分な時間と温度で破壊試薬とともにインキュベートすることを含む。好ましい実施形態では、第1ステップは、上記混合物を蒸発によって濃縮するために加熱することを含む。これは、カオトロピック試薬の濃度を有意に上げ、以て恒久的なタンパク質変性を確実にする。好ましくはないが、カオトロピック試薬の初期濃度を下げてもよい。なぜなら、もし加熱が含まれていれば、蒸発によって薬剤が要求濃度の2M以上へと濃縮されるだろうからである。最も好ましくは、加熱は、試料と破壊試薬(乾燥されている場合は、もとの体積まで再構成する)とを混合した後で速やかに行う。加熱は、上記混合物を半乾燥(湿った固形物)又は乾燥生成物の状態まで蒸発させるのに十分なだけ行うことが好ましい。そのような加熱は、もしDMSO及びβメルカプトエタノールが存在していれば、それらを蒸発させるだろう。加熱の時間と強度は、アッセイの核酸標的配列の損失を防ぎ又は損失が25%を超えることを少なくとも防ぐように実験的に調節される。第1ステップからの乾燥及び半乾燥生成物は、直ぐに用いることもできるし、またはその後のプロセシングを決定せずに貯蔵することもできる。
本発明による方法における第2ステップは、第1ステップからの上記の液体又は乾燥又は半乾燥生成物を、該混合物中の核酸のさらなるプロセシングに先だって又はその一部として、希釈することである。例示の目的で、本発明者らは、逆転写(RT)で始まる遊離核酸のプロセシングを詳細に説明する。この第1の酵素的ステップに先だって又は少なくともそのステップによって、第1ステップの結果として得られた混合物の希釈が十分に行われ、そのため、この時点での混合物中の、特にカオトロピック剤を含めた試薬が、該プロセシングに有意の悪影響を及ぼすことのないほど低い濃度まで低減されることが重要である。全ての場合において、さらなるプロセシングのための希釈の量は、カオトロピック剤の濃度を0.05M未満にまで低下させるために十分なものでなければならない。逆転写の例示的なプロセシングとして、本発明者らは、希釈は、本発明者らの好ましいカオトロピック剤、グアニジンイソチオシアネートを0.05M未満、好ましくは有意に低く、さらに好ましくは0.01M未満にまで下げるべきであることを見出した。実施例から理解されるように、本発明者らは、グアニジンイソチオシアネート0.004Mにまで希釈を首尾よく利用することができた。特定のプロセシングのための希釈の要求程度は、実験的に容易に決定することができる。手作業で行った実施形態では、本発明者らは、少なくとも1μlの希釈体積を利用することを好む。より小さい体積はピペット操作を正確に行うことが難しいからである。それは、チップタイプの実施形態には当てはまらないであろう。このタイプの実施形態は、機械による正確な制御を含む場合があり、そのような実施形態では、本発明者らは、装置及び試薬のコストを実用的な程度まで下げるために体積を最小限にすることを好む。
示したように、第2ステップの希釈は、一回の希釈としてでも、または一連の希釈としてでもどちらでも行うことができる。例示のために、逆転写への進行は、2回の希釈によって行うことができる。まずは、逆転写のためのプライマーを含有する水を加え、加熱して二本鎖を融解し、そして冷やしてRTプライマーをアニールさせる。その後に、RTバッファー中で逆転写酵素で第2の希釈を行う。この手順を用いる場合、本発明者らは、上記第1の希釈自身が少なくとも50:1、より好ましくはより高く、例えば、少なくとも300:1であることと、及び逆転写酵素とRTバッファーを含む第2の希釈が、該希釈を完結することとを好む。また、下記にさらに詳しく述べるように、他の適した酵素処理(例えば、DNアーゼ、又はセルラーゼ、アミラーゼ、β-グルコシダーゼ又はリゾチームのようなグリコシダーゼ)は、希釈、即ち単一の希釈又は一連の希釈のどちらでも、とともに行うことができる。実施例では、本発明者らは、200:1と500:1の希釈で酵素活性を実証する。
第2ステップの完結に続いて、試料は、さらなるプロセシングのために調製されて、準備される。さらなるプロセシングは、増幅及び検出アッセイを含んでもよい。そのようなアッセイは、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)プロセス(米国特許第4,683,202号、4,683,195号、4,965,188号)、核酸配列に基づく増幅法(Heim,A.ら,(1998年),Highly Sensitive Detection of Gene Expression of an Intronless Gene:Amplification of mRNA,but not Genomic DNA by Nucleic Acid Sequence Based Amplification(NASBA),Nucleic Acids Res.26:2250〜2251頁,鎖置換増幅法(SDA)、転写介在増幅法(TMA)、ローリングサークル増幅法(RCA)(Daubendiek,S.L.とKool,E.T.(1997年),Generation of Catalytic RNAs by Rolling Transcription of Synthetic DNA Nanocircles,Nat.Biotechnol.15:273:273〜277頁)、及びラミフィケーション増幅法(ramification amplification methodology: RAM)のような当技術分野で知られる方法を利用した、標的分子又はレポーターの指数関数的な増幅を含んでもよい。PCRが最も広く用いられる増幅手法であるので、ここでは説明的な目的でそれを用いる。当業者は、その説明を他の増幅手法に適用することができるであろう。
第2ステップの生成する核酸、すなわちRNAとDNAの両方の選択された配列を、PCR増幅アッセイによってさらにプロセシングされてもよい。RNAを増幅するためには、RNAを先ず逆転写によってcDNAに変換する。その後で、DNA(ゲノムDNAとcDNAの両方)を増幅することができる。1つの好ましい方法は、第2ステップからの混合物を二本鎖核酸配列を融解するために加熱し、それから逆転写酵素を変性させないように該混合物を冷やす。それから、逆転写酵素とそのバッファーを第2ステップからの混合物に、プライマーが既に存在している状態でなければ、プライマーとともに、加える。逆転写を行う際には、上述の理由により、本発明者らは、生成物を必要以上にさらに希釈することはしないことを好み、好ましくは、6:1以下及び、さらに好ましくは、2:1以下とする。
この時点で、随意的に、該混合物からRNAを除去してもよい。RNA分子は、ゲノムDNA及びcDNAのある種のプロセシングを妨害する虞がある。この目的のために、本発明者らはRNアーゼHを混合物に加えて、RNA:cDNAハイブリッドからRNAを分解する。また本発明者らは、この添加による体積増加を最小限にすることを好み、本発明者らは、該増加を5%に制限することを好む。ハイブリッド内のRNA鎖のRNアーゼ消化に十分な時間と温度で混合物をインキュベートする。
次に、本発明者らは、その混合物に、1つ又複数の選択された標的配列をポリメラーゼ連鎖反応プロセスによって増幅するための、全てのプライマー、前駆体、ポリメラーゼ酵素、対照及びPCRバッファーを含む全ての必要な試薬を含有するPCR増幅混合物を加える。該ポリメラーゼ連鎖反応プロセスは、フォワードプライマーとリバースプライマーを等モル量利用する伝統的な対称PCR増幅、一方のプライマーを過剰に利用する非対称性のPCR増幅、又は2002年12月17日に出願された係属中の米国特許出願第10/320,893号及び公開国際特許出願WO 03/054233に開示されたようなLATE-PCR増幅でもよい。非対称性PCR及びLATE-PCRは両方とも指数関数的な増幅を含み、その後に線形増幅が続く。他のPCRに基づく増幅方法を用いてもよく、例えば、遺伝子発現の連続解析(SAGE)(Velculescu,V.E.ら,(1995年),Serial Analysis of Gene Expression,Science 270:484〜487頁)がある。当業者は、他の増幅システムのための試薬が本プロセスの適当なステップで加えられることを理解するであろう。例えば、ローリングサークル増幅では、第2ステップで混合物に1つ又複数のレポーター配列を加えてもよく、その後のステップにおいて逆転写の代わりに酵素的連結を行ってもよい。
増幅アッセイは、例えば、5'ヌクレアーゼアッセイのための末端標識線形プローブ(米国特許第5,538,848号)、分子ビーコンプローブ(米国特許第5,925,517号)、FRETプローブ対すなわち陰陽プローブ、Li,Q.ら,(2002年),"A New Class of Homogeneous Nucleic Acids Probes Based on Specific Displacement Hybridization,"Nuci.Acid.Res.30:(2)e5)のような二重標識蛍光ハイブリダイゼーションプローブ、又はSYBRグリーンのようなインターカレート色素のような少なくとも1つのレポーターが増幅混合物に含まれるエンドポイントアッセイ又はリアルタイムアッセイであってもよい。プローブはプライマーを兼ねてもよい(Nazarenko,I.ら,(1997年),A Closed Tube Format for Amplification and Detection of DNA Based on Energy Transfer,Nucl.Acids Res.15:2516〜2521)。
増幅方法はまた、さらなるプロセシング、例えば、配列決定、断片解析、又はオリゴヌクレオチド連結アッセイ(OLA)のようなアッセイにおける使用のための相当量の二本鎖又は一本鎖核酸生成物を作るために用いてもよい。
破壊試薬は、乾燥形態で、核酸の調製に用いられる容器又は容器の一部の表面上に、例えば、(本発明者らが「リゾドット(LysoDot)」と呼ぶ)スポット又は(本発明者らが「リゾフィルム(LysoFilm)」と呼ぶ)フィルムという形態で調製され供給されてもよい。破壊試薬のリゾドット又はリゾフィルムは、チューブ、ウェル、又は、容器の蓋又はトップ又はキャップのようなカバーに適用されうる。該容器は、例えば、PCRチューブ、マイクロ遠心管、マイクロタイタープレート、又はウェル付チップでもよい。破壊試薬は、好ましくはDMSOのような溶媒を含む液形態で、少量特にナノリットルの量を分取するのに適した細管ピペット内に、供給されてもよい。破壊試薬はまた、乾燥ペレットとして、又は不活性で核酸に結合しない繊維又はマトリックス又はビーズのような固体支持体上に乾燥付着させた組成物として供給されてもよい。
チップ又は他のマイクロフルイディック装置は、核酸調製の第1と第2ステップを異なるチャンバー内で行うために構成してもよく、そして、その後のプロセシングのために1つ又複数の付加的なチャンバーを含んでもよい。
試薬キットは、乾燥破壊試薬、好ましくは、リゾフィルム又はリソドット含有容器又は容器の一部を、少なくとも1つの酵素プロセスを実行するための全て又は幾つかの試薬と組み合わせて含んでもよい。キットは、例えば、幾つかの又は全てのRT試薬(プライマー、dNTP、バッファー、酵素、RNアーゼ阻害剤、還元剤)を含んでもよい。DNアーゼが含まれてもよい。同様に、幾つかの又は全ての増幅試薬が含まれてもよく(プライマー、dNTP、バッファー、ポリメラーゼ)、同様に、検出試薬(二重標識蛍光ハイブリダイゼーションプローブであってよいハイブリダイゼーションプローブ、又はインターカレート蛍光色素)又は増幅後プロセシング、例えば、配列決定のための試薬(酵素、配列決定プライマー)が含まれてもよい。他の酵素も適宜含まれてもよい。
本発明の1つ又複数の実施形態の詳細を、添付図面と下記の記載の中で述べる。本発明の他の特徴、目的及び利点は、該説明と図面、及び特許請求の範囲から明らかであろう。
図面の説明
図1は、本発明にしたがって調製した複製核酸試料について実行された第1の標的配列についてのPCRアッセイの結果のグラフである。
図2は、本発明にしたがって調製した複製核酸試料について実行された第2の標的配列についてのPCRアッセイの結果のグラフである。
図3は、標準量の核酸試料を用いた、配列及び第2標的配列についてのPCRアッセイの結果のプロットである。
図4は、リゾドットを含む容器の斜視図である。
図5は、本発明による調製の第1ステップを実行するための第1のチャンバーと、本発明による第2ステップを実行するための第2のチャンバーとを含むチップの横断面図である。
上記多様な図面における同様の参照記号は同様の要素を示す。
詳細な説明
本発明による破壊試薬は、カオトロピック剤、例えば、グアニジンイソチオシアネート又は塩酸グアニジンのようなグアニジウム塩、又はヨウ化カリウムを含む。水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムをDNA単独の調製についてのみ同等物として代用してもよい。なぜならば、その試薬はRNAを破壊するからである。本発明者らの好むカオトロピック剤であるグアニジンイソチオシアネートは、低温では、約2M以上の濃度で沈殿する傾向がある。試薬とピペットのような分取装置とを加熱するのではなく、ジメチルスルホキシド(DMSO)のような、プロセシング中に蒸発する非水性の水混和性溶媒を、破壊試薬中に少量、例えば1%(体積/体積)含めて、分取中の試薬液を保つようにすることができる。破壊試薬は、試料供給源が無傷の細胞を含みうる場合には、追加的に細胞溶解試薬を含有する。本発明者らは、0.25%サルコシル界面活性剤を利用するが、当業者に理解されるように、他のものを用いてもよい。追加的成分は、随意に破壊試薬に含めてもよい。示すように、本発明者らの現在の好ましい破壊試薬は、100mM還元剤、具体的にはβメルカプトエタノール、0.01M中性バッファー、具体的にはクエン酸ナトリウム、pH=7.0を含む。
示したように、破壊試薬は、液形態又は乾燥状態での使用のために供給されてもよく、ある好ましい実施形態では、容器の一部としてリゾドット又はリゾフィルムとしてでもよい。破壊試薬を液形態で分取することが好まれることもある実施形態の例は、マイクロタイタープレートのウェルで生育した細胞のような培養細胞を含む出発試料である。その例においては、該細胞に液体破壊試薬を加えて反応混合物を形成してもよい。該細胞が比較的多量であり、例えば、百又は千の位の数になる場合、破壊の後に該混合物を、少なくとも一個、好ましくは100個未満の細胞が存在する部分量に縮小してもよい。混合物のある量を取り除いて容器内にさらなるプロセシングのための所望の部分量を残してもよいし、あるいは該所望の部分量をさらなるプロセシングのための第2の容器に取り分けてもよい。使用しないほうの主要部分は、保存するか、または他のプロセシングに供することもできる。部分への縮小はどちらの手法であっても、核酸調製の第2ステップの後に行うことができる。
本発明による方法は、少数の細胞、例えば、1細胞から200細胞までの画分若しくは1〜100細胞の画分、又はそれらと同等量の非細胞性試料材料に特に適応可能である。本発明による方法は、核酸調製と核酸増幅及び検出とを単一の容器内で行うことを含む、試料含有混合物の物理的移動を最小限にするプロセシングに特に適応可能である。本発明による方法を設計するために、逆向きに計算することが便利である。リアルタイムアッセイを、例えば、100μlアッセイ容器(現在入手可能なサーマルサイクリング機器は典型的には、実際に100μlアッセイ容量を有する200μlチューブを利用する)内で、実行する場合には、実行される希釈、即ち単一の組み合わされた希釈又は少なくとも2回そして多くの場合3回の段階希釈を考慮する。上述の段階希釈方法において、最終希釈は、増幅及び検出試薬を加えるともに、少なくとも約9:1希釈で行われる。第1の希釈は、本発明による方法の第2ステップにおいて行われ、少なくとも50:1の希釈を含む。6:1までの、好ましくは2:1以下の希釈とともに行う逆転写のような重要な中間希釈が少なくとも1つあってもよい。逆向きに計算すれば、本方法の第1ステップのための破壊試薬の適正な小さい体積に到達する。破壊試薬の量は、例えばリゾドットを調製するためのいかなる乾燥操作にも先立つ液形態の破壊試薬の量である。上述の設計原理を200μlPCRチューブと100μlアッセイを用いた本発明者らの研究に適用して、本発明者らは、破壊試薬の適正な出発体積として20〜50nlの体積を選択した。もちろん、より小さい体積でも適している。濃度2Mのグアニジンイソチオシアネートとの併用の場合、20nlの破壊試薬は約100個までの細胞で十分である。
核酸を遊離させることは、少なくとも2Mのカオトロピック剤濃度で実行される。破壊試薬を液形態で加える場合には、本発明者らは、カオトロピック剤の濃度が破壊試薬中で2〜8Mであることを好む。破壊試薬が使用中に乾燥され、再水和される場合には、同じ濃度範囲に再構成される。反応の第1ステップの一部として蒸発を利用する場合には、蒸発の前に、液体として加えられる又は乾燥固体から再水和される破壊試薬の体積を増大させることができ、カオトロピック剤の濃度を減らすことができる。最低2Mの濃度は、DMSOやβメルカプトエタノールのような揮発性成分及び水の蒸発によって達成されてもよい。より好ましい実施形態は、蒸発のための加熱の時間を最小限にするために少なくとも2Mのカオトロピック剤を含有する破壊試薬とともに出発する。
好ましい方法では、上記第1ステップは、核酸を損失することのないように又は少なくとも損失を25%未満に保つように注意しながら、試料と破壊試薬の混合物を湿潤又は半乾燥固体又は乾燥固体へと減量するための加熱をともなってインキュベートすることを含む。そのような加熱は、3つの理由により好ましい。第一に、加熱は、カオトロピック剤を非常に高い濃度まで濃縮して、核酸の解離を確実にする。第二に、加熱は、必要とされるインキュベーション時間を短縮するとともに、解離が達成されたという視覚的な保証を提供する。第三に、加熱は、その後のプロセシングに有害な影響を与える虞のある揮発性の薬剤を取り除く。本発明者らの研究室調製では、本発明者らは、典型的には、点検のための顕微鏡下で、加熱ステップの終わりにチューブを開け、溶解試料を保持する蓋を付ける。該手順は、ヒト試料のプロセシングにおけるように汚染を避けることが特に重要な適用例では好まれないであろう。
本発明による方法における第2ステップは、主要希釈ステップである。ある種の好ましい実施形態では、これは同一の容器内で起きる。容器が、チップのような流路を含む実施形態では、第1ステップが行われるウェルのような第1のチャンバーからの混合物は、希釈のための別のチャンバー内へ流れてもよい。全ての場合において、第2ステップは、予め核酸を分解タンパク質から分離するということなく実行される。RNA又はDNAのどちらかを除去することを望むある実施形態を除いて、第2ステップは、DNA分子をRNA分子から分離することなく実行される。希釈の度合は、2Mカオトロピック剤を含有する破壊試薬の量の少なくとも50:1である。このように、第1ステップが、2Mカオトロピック剤を備えたある体積の液体破壊試薬とともに実行された場合、希釈は、体積比基準で少なくとも50:1である。第1ステップが、第1ステップ中に濃縮されるカオトロピック剤を1M備えたより大きな体積の液体破壊試薬で開始して実行された場合、希釈は、体積比基準で少なくとも25:1などのようになる。希釈に続いて、試料を調製する。該混合物は、分解タンパク質を除去することなく、さらに破壊試薬を除去することなく、核酸、すなわちRNA又はDNA又は両方のさらなるプロセシングに使用できる。用途の例示は実施例に記す。
破壊試薬は、上述したように、容器の一部として乾燥形態で供給してもよい。一実施形態を図4に表す。下記の実施例1を含む本発明者ら自身の研究室の調製では、本発明者らは、単純にリゾドットを空気中で乾燥させる。これは、図4に表した加熱ブロックを使用する場合よりもずっと遅い。そして、ラック上の溶解試料を、約75℃に維持した水浴中に置いた。図4は、容器41、すなわちPCRチューブ、より具体的には、200μlPCRチューブを示す。容器41は、本体42と密閉キャップ43とを含む。乾燥破壊試薬、本実施形態では、リゾドット44が、キャップ43に付着されている。リゾドット44が付着した容器の一部43の調製は下記のごとくであった。少量の、本発明者らの場合では20nlの破壊試薬を、ヒートブロック46の凹み45内に静置されたキャップ43に加えた。破壊試薬を、それが乾燥してリゾドット44となり、よってキャップ43に付着するまで、加熱した。リゾドット44は、同様に本体42内に置いてそこで乾燥することも可能であった。本発明者らがそれをキャップ43内に置いたのは、単にキャップ43の中心へ手で破壊試薬をピペット操作する際の容易性のためである。本発明者らは、本発明による方法の第1ステップをキャップ43内で次のように行った。すなわち、そこに試料、例えば、等張液、すなわちリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中の胚細胞を加え、それにより乾燥破壊試薬を再水和した。それからチューブ41を閉じて、該混合物をインキュベートして蒸発させて半乾燥又は乾燥固体としてもよい。この時点で、混合物を直ちに用いることができ、或いは凍結又は冷蔵することができる。加熱/蒸発は、試料の二次汚染を避ける条件の下で行う。チューブ41を閉じることは、上記の発生を避ける1つの方法である。他の方法は、当業者には明らかであろう。
次に、50倍希釈溶液を、必要ならばチューブ41を開いてから、キャップ43に加える。この時点で、チューブ41を上下正位置(right-side up)にして利用することが望ましいので、本発明者らは、該チューブを再密閉し、混合物をチューブ本体42へ移動させる。この移動を簡単にするために遠心分離を用いてもよい。その後のプロセシングは、直立位置にしたチューブ内で行う。
もう1つのリゾドット又はリゾフィルム含有装置を図5に示す。図5は、プロセシング中に試薬が制御下で通り抜ける装置50を示す。装置50は、例えば、ウェルとチャンバーとを有するチップでありうる。チップ50は、乾燥破壊試薬、この場合ではリゾフィルム518を含有するウェル59を含む。試料は、ウェル59に加えてもよく、その後でウェル59をキャップ52で閉じることができる。今や液化された破壊試薬を含有する該試料を、第2ステップでのインキュベーション、乾燥及び希釈のために、ポート57又は58を通じて印加する圧力によって、図示していない手段によって制御した状態で、チャネル519を通ってチャンバー510へ移動させることができる。チャンバー510は、チャネル54、56、514によって希釈試薬の供給源へ接続可能である。代わりに、インキュベーションと加熱(乾燥)をウェル59内で行うこともでき、その後、混合物を希釈試薬の全てまたは幾らかを使って液化してチャンバー510へ送達することができる。次いで、調製された混合物は、さらなるプロセシングのために、図示していない制御可能な手段によって、又はポート57又は58を通じて印加される圧力によって、1つ又複数のチャンバー511、512、又は513などへ送達することができる。チャンバー511、512、513は、追加的なチャネル、例えば、515、516によって試薬供給源へ接続可能である。チャンバー511内の上記材料の画分は、チャネル55によって除去することができる。本システムの正の気体圧力は、非気体分子の飛散を防ぐためのフィルター523を内蔵するチャネル517を通じて解放することができる。ある設計では、これらのチャネル及びウェルが形成されているブロック51は、急速に加熱及び冷却できる材料から構成され、最も好ましい場合では、異なるウェルやチャンバー毎に異なる様式で加熱及び冷却できる。もう1つの設計では、ブロック51は、容易には加熱及び冷却されない断熱材料で構成され、温度変化は、図示していない手段によって、各チャンバーの少なくとも1つの表面を通じて達成される。さらにもう1つの設計では、ブロック51全体が連続して冷却されており、温度は、図示していない手段によって、例えば、抵抗加熱によって、各チャンバーの表面を通じて、又は各チャンバー内に赤外光を通すことによって、上昇される。好ましい設計では、各チャンバーの少なくとも1つの表面が透明であり、該チャンバー内への光の透過を可能にしている。好ましい設計では、チャンバー内の全ての表面が核酸やその他の化学物質やタンパク質に結合しない不活性な材料から作られるか又はそのような材料で被覆されている。好ましい設計では、チャンバーとチャネルが、流れる液体の抵抗または乱流を最小限にするように設計されている。リゾドット調製物の多数の変形が本発明に含まれている。取り外し可能なキャップや蓋だけでなく、リゾドットは、第1方法ステップを行う際の使用に適したいかなる表面にも付着させることができ、例えば、PCRチューブの装着された蓋または本体、顕微鏡のスライド又はカバーガラス、多ウェルトレイのウェルなどに付着させることができる。破壊試薬は、乾燥ペレットとして、又は不活性で核酸に結合しない繊維又はマトリックス又はビーズのような固体支持体上で乾燥させた組成物として供給されてもよい。この適用目的のために、そのような固体支持体は、適正な使用のための容器又は容器の一部と考えられる。
本発明による方法における第1ステップに続いて多数の変形が可能である。第1ステップのインキュベーションは、混合物を乾燥するための加熱を含んでもよく、この後に、混合物を、例えば、-20℃で凍結して長期間保存でき、あるいは室温でかなりの期間保存することさえ可能である。さらに、調製の第1のインキュベーションステップの生成する混合物の使用は、上記概説したように一連の別々のステップで進行してもよく、又は2つ以上のステップを組み合わせてもよい。例えば、逆転写及び増幅試薬は、少なくとも約9倍に希釈される単一の試薬に含まれてもよい。少なくとも50倍の希釈である第2ステップは、適切な場合にはその後のステップと組み合わせてもよい。例えば、鎖融解に必要な高温でのプロセシングのために耐熱酵素が要求されることは理解されるであろう。
RNAのみを利用することが望まれる場合には、DNAを、DNAエンドヌクレアーゼ、例えば、DNアーゼIで分解することができる。分解は、精製の第2ステップの後に続いてもよく、又、DNAエンドヌクレアーゼを、第2ステップで用いられる希釈試薬に、使用されるDNAエンドヌクレアーゼの活性のために要求される塩とともに含めてもよい。DNAの除去に続いて、キレート剤を、RNAのマグネシウム依存性加水分解を防止するのに十分な濃度で加え、そして、該混合物を、例えば、10分65℃で加熱することで、RNAのcDNAへの逆転写に先だってエンドヌクレアーゼを不活性化する。
特に、マイクロアレイ分析のような適用例では、本発明者らは、下記実施例1に報告するXist/Sry解析のための単一チューブ様式における逆転写に先行するDNアーゼ消化ステップを利用した。本発明者らは、桑実胚期のマウス胚におけるゲノムDNAが分解されたときの効率を解析した。解析された15個のオスの試料において、本発明者らはDNAの96パーセントが分解されていたことを定量した。解析された10個のメスの試料において、RNA回収率は、非処理試料よりも低かった。DNアーゼステップによる幾らかのRNAの損失は予想されていた。しかしながら、本発明者らのRNA回収率は、Micro RNA Isolation Kit(Stratagene,米国カリフォルニア州ラホーヤ)又はDNアーゼ消化に組み合わせたRNeasy Mini Kit(Qiagen,Inc.,米国カリフォルニア州バレンシア)のいずれかを用いた伝統的なRNA抽出法によって本発明者らが得たよりもかなり高かった。他の酵素処理は、適切であれば第2ステップ中に含めてもよく又はそれに続いてもよい。例えば、グリコシダーゼ酵素を用いて植物細胞壁又は他の成分を消化してもよく、又はリゾチームを用いて細菌性細胞壁を消化してもよい。
もう1つのプロセシング変形例は、調製された混合物の全て又は一部の逆転写を避けることである。例えば、第2ステップの生成する混合物を2つの部分に分けてもよい。一方の部分は、全cDNAにゲノムDNAを加えたものを定量するためにRT-PCRによってさらにプロセシングしてもよい。他方の部分は、ゲノムDNAのみが増幅されるように逆転写なしでさらにプロセシングしてもよい。逆転写は、逆転写酵素を省くこと、又は逆転写のためのプライマーを省くこと、又はRNAをRNアーゼで破壊することを含むいかなる好適な態様でも、避けることが可能である。
第2ステップに続いて又はプロセシングのさらに後期における混合物の分割は、他の理由によって行ってもよい。例えば、複数のプライマー対及び複数のハイブリダイゼーションプローブを用いた多重アッセイを行うよりもむしろ、混合物を並行非多重アッセイのために分けてもよい。
プロセシングの他の変法を用いてもよい。例えば、RNAを、本発明にしたがって調製し、直接に又は逆転写cDNAとして標識付けし、固定化オリゴヌクレオチドのマイクロアレイ上でのハイブリダイゼーション及び解析に供してもよい。
実施例1.アッセイ
試料の調製を本発明にしたがって行い、その後に、リアルタイム多重PCRアッセイを行ったが、全て単一のチューブ内で行った。調製の後の、すなわち第2ステップに続くプロセシングには、Hartshorn,C.ら(2002年),Developmentally-Regulated changes of Xist RNA Levels in Single Preimplantation Mouse Embryos,as Revealed by Quantitative Real-Time PCR,Mol.Reprod.Dev.61:425〜436頁;及びHartshorn,C.ら(2003年),Differential Patterns of Xist RNA Accumulation in Single Blastomeres Isolated from 8-Cell Stage Mouse Embryos Following Laser Zona Drilling,Mol.Reprod.Dev.64:41〜51頁に報告されたアッセイ材料及び方法を利用した。上記文献は両方ともその全体がここに組み込まれる。6個のマウス胚を、上に引用した第1の論文に詳説されたように、上記胚盤胞段階まで生育させた。全ての実験手順は、上記両方の引用論文に説明されたように環境性のRNアーゼ汚染を回避又は破壊することを目的とした防止策に厳格にしたがって行った。リゾドットを、胚の収集の数日前に、破壊試薬の20nlアリコートを反応チューブの蓋に分配することによって調製した。液滴サイズの正確な測定値は、Wangh (Wangh,L.J.(1989年),Injection of Xenopus Eggs Before Activation,Achieved by Control of Extracellular Factors,Improves Plasmid DNA Replication after Activation,J.Cell Sci.93:1〜8頁)によって先に説明された方法にしたがって得た。破壊試薬組成は:
0.25%サルコシル
2Mグアニジンイソチオシアネート
100mM βメルカプトエタノール
1%(体積/体積)ジメチルスルホキシド
0.01M酢酸ナトリウム=pH7.0
であった。
無菌条件で開放チューブをフードの下に置くことによって、20nlのリゾドットを乾燥させた。ほとんどの液滴は一晩で乾燥したが、あるものは、結晶の発生に48時間を要した。これらの試料のあいだで、実験結果についての違いは観察されなかった。チューブを閉じ、使用時まで上下逆さにして室温で保存した。
収集の直前に、個々の胚を3mlのダルベッコPBS中に入れた。そして各胚を、0.2mmの内径を有し且つ端部が先細りしており該先細り先端部の内部体積が約20nlを内包するであろうガラス毛細管内に吸引した。先細り形状は、ガラス毛細管をマイクロピペット引っ張り機(Micro-Pipette Puller)(Industrial Science Associates,Inc.,ニューヨーク州リッジウッド)内で引っ張ることで得た。次いで、平滑円錐末端は、先端の最も細い部分を研磨石でやさしく除去することによって作製した。胚をリゾドットへ最適に送達するために、PBSをピッペット内の先細り端部を若干越えたところまで吸引した。該胚を、ピペットの先端に向かって移動させ、その後に、20nlに可及的に近い体積量のPBS(幾らかのPBSがピペット内に残った)とともに乾燥リゾドット上に直接にはき出した。この手順全体は顕微鏡下で行われたので、ピペット内での胚の位置を監視することができた。顕微鏡観察もまた、胚含有PBSの添加時に、リゾドット結晶の速やか且つ完全な溶解について確認することを可能にした。
チューブを上下逆さにして閉じ、この位置のまま、75〜77℃に加熱された閉鎖浴槽内に置かれたラックへ移動した。インキュベーションを5分間行った。このステップの後では、蒸発のために、試料含有混合物は殆ど乾燥又は部分的に乾燥していた。それら混合物を、次のステップまで-20℃で上下逆さにして保存した。
調製の第2ステップを次に行った。この場合、本実施例は逆転写を含むので、希釈試薬は、水に加えてオリゴヌクレオチドを含有していた。チューブを顕微鏡下で再び空け、そして、6μlのDEPC処理水中ランダムヘキサマー(Random Hexamers)(4.2ng/μl)の混合物(全ての試薬はThermoScript(商標)RT-PCR Systemキットからのもの,Invitrogen,Life Technologies,米国カリフォルニア州カールスバッド)を加えることで各乾燥液滴を再可溶化した。チューブを閉じて、短時間のあいだ、上下逆さ位置のままで、ボルテックス上に置いた。そして、試料を、遠心し、ボルテックスで再び混合し(上下正位置)、もう一度回転させた。
調製した核酸試料を含有する閉じたチューブを5分間65℃に加熱して二本鎖RNA分子を融解し、その後冷却してオリゴヌクレオチドプライマーをRNA分子内の配列にハイブリダイズさせた。そして、チューブを開け、4μlの逆転写酵素溶液を加えた。これにより、混合物は体積増加にして約1.7倍に希釈された。該溶液は、0.5μlのThermoScript逆転写酵素(15U/μl)、1μlの10mM dNTP Mix、0.5μlのRNaseOUT(商標)(40U/μl)及び2μlの5X cDNA Synthesis Buffer(250mMトリス-酢酸,pH8.4,375mM酢酸カリウム,40mM酢酸マグネシウム)を含有していた。チューブを閉じて、10分間25℃、続いて50分間55℃でインキュベートして、RNAのcDNAコピーを調製した。該反応は、閉じたチューブを5分間85℃に加熱することで逆転写酵素を変性させて終結させた。次に、チューブを氷上で冷却し、短時間遠心し、開けて、0.5μlの大腸菌RNアーゼH(2U/μl)を加えた。試料中に存在するRNA分子を分解するために、インキュベーションを20分間37℃で行った。試料を冷却し、再び遠心し、次のステップまで20℃で保存した。
1つの実験において、各試料の全体積を、PCRチューブに移し、そこで89.5μlの完全なPCR増幅及び検出試薬と混合した。該試料は、54.3μlのPCR級水、10μlの1Mトリス-塩酸、pH8.3、16μlの25mM塩化マグネシウム、4μlの10mM dNTP(2'-デオキシヌクレオシド5'-三リン酸)混合液、Xist遺伝子からのDNA及びRNAの配列の増幅のための上流及び下流プライマーとSry遺伝子の配列の増幅のための上流及び下流プライマーを含有する3μlの10μM混合液、Xist遺伝子のアンプリコンのため及びSry遺伝子のアンプリコンのための分子ビーコンプローブ(それぞれ0.3μlの100μM溶液)、及びPCR溶液への添加前の室温で5分間のインキュベーションによって白金Taq抗体(Invitrogen,カリフォルニア州カールスバッド)と複合体を形成したTaqポリメラーゼ(Promega,ウィスコンシン州マジソン)4Uを含有する混合液1.6μlを含んでいた。増幅と検出は、ABIプリズム7700シークエンスディテクターで行った。サイクリングプロフィールは:95℃で5分;下記3つのステップからなるサイクル10回:95℃(20秒)、57℃(60秒)、72℃(30秒);下記の3つのステップを有するサイクル45回:95℃(20秒)、53℃(60秒)、72℃(30秒)、であった。
アッセイ結果を図1と2に示す。図1を参照すると、3つの胚(円11)はSryシグナルを有しており、したがってオスであり、一方、他の3つの胚(円12)はSryシグナルを有しておらず、したがってメスであったことが理解できる。
メスの胚盤胞は、片方のX染色体の不活性化の原因となる高レベルのXistRNAを発現し、一方、オスの胚は事実上Xistを有さないことが知られている。本発明による調製にともなって得られた結果は、この予想を完全に裏付けた。図2を参照すると、全3つのメスの胚(円21)は、バックグラウンドを超えて検出可能なシグナルを、オスの胚(円22)よりも約6回のサーマルサイクル早く生成したことが理解できる。
上記に示したように、逆転写とPCRとの間には、試料のプロセシングを行わなかった。該結果は、増幅のための試料を直接調製する本発明の有効性を実証し、さらに、全てのプロセシングが単一のチューブ内で行うことができたことを実証する。他の実験では、全てのステップが、本発明者らが初めにリゾドットをキャップに加えたところの単一のPCRチューブ内で首尾よく行われた。例えば、本発明者らは下記の試料について該単一チューブアッセイを用いた:2、3、4及び8細胞のマウス胚及び胚盤胞期のマウス胚、4及び8細胞のマウス胚から単離された単一の割球、及びDNアーゼで処理したマウス胚(下記実施例3を参照されたい)。
実施例2.定量化
オスのマウスのゲノムDNAを減少させた量(10,000個のゲノムから10個のゲノムまで)を含有する対照反応を用いて、ゲノム個数対シグナルがバックグラウンドを超えて検出可能になるサーマルサイクルであるCTの線形プロットを構築した。結果を図3に示す。Xist(曲線31)シグナルとSry(曲線32)シグナルの両方についてのプロットは、実質的に重なる直線上にのっている。CT値が約19である図2の円21の曲線のCT値を図3の標準曲線31と比較し、CT値が約25である円22の曲線を図3の標準曲線31と比較することにより、各胚が約100個のゲノムを含有し、各メスの胚が数千コピーのXistRNA(cDNA)を含有すると計算することができる。これらの結果は、マウス胚からの核酸抽出物に対する伝統的手法に基づく、上記特定した論文で報告した本発明者らの以前の知見と非常によく類似している。
本発明の試料調製方法を用いた、単一チューブアッセイの一部としてアッセイされたオスの胚のうち、SryDNAのレベルより大きいXistDNAのレベルを有したものは無かった。これは、円11(図1)内の曲線のCT値を円22(図2)内の曲線のCT値と比較することによって理解される。この結果は、オスの胚におけるXist遺伝子発現の非存在、及び各オスの細胞において一本のX染色体(1つのXist遺伝子)と一本のY染色体(1つのSry遺伝子)との存在と首尾一貫している。オスの胚のうち2つは予想されたように約100個のゲノムを有し、一方、3つめのオスの胚は、おそらくより少数の細胞からなっていた(培養胚では珍しくない知見)。メスの胚においては、XistゲノムDNAに加えてXistRNAが存在することが、各試料における数千のXist鋳型コピーの検出につながる。
実施例3.DNアーゼ処理
本発明の方法で調製された試料におけるDNアーゼ処理の効率を下記のように試験した。
35個の桑実胚期のマウス胚(約16〜32細胞)を、実施例1で詳述したようにリゾドット上に個々に収集して破壊した。ここで、相違点は、胚を、2細胞期ではなく8細胞期の凍結状態で購入したことである。各アッセイは、初めから終わりまで同一の200μlPCR級チューブ(microAmpオプティカルチューブ,Applied Biosystems,カリフォルニア州フォスターシティー)内で行ったが、蓋(オプティカルキャップ,AppliedBiosystems)は、汚染を避けるためにチューブを開けるたびに交換した。10個の試料を、実施例1と全く同様にプロセシングしたので、これらはアッセイの終了時にはゲノムDNAとcDNAの両方を含有していた。これらを対照として指定した。残りの25個の試料において、下記に説明するように、調製の第2ステップを変更して、ゲノムDNA分解を可能にし、そして、このプロトコルにおいては、逆転写を調製の第3ステップとし、PCRを第4ステップとした。対照及びDNアーゼ処理群に同等の発生上及び形態的な特徴を持った胚を割り当てることに格別の注意を払った。
各破壊及び加熱された試料(乾燥又は部分的乾燥状態)を、下記の組成を有するDNアーゼ混合液4μlとともにリゾドットをもともと含有する蓋上で再懸濁した。
DNアーゼ混合液(10μl分の試薬割り当て):
1μlの、200mMトリス-HCl、pH8.4、20mM MgCl2及び500mM KClを含有する10 x 反応バッファー(Invitrogen,Life Technologies,カリフォルニア州カールスバッド)
0.5μlのDNアーゼI(2U/μl)(Ambion,Inc.,テキサス州オースチン)
8.5μlの、ヌクレアーゼを含まないH2O(Ambion)
リゾドットをもともと含む試薬の200倍希釈が、このようにこのステップで達成され、DNアーゼ消化ステップにおけるグアニジンの濃度を10mM(2Mが200:1に希釈)とした。この濃度では、酵素反応は阻害されなかった。
実施例1で説明したように、チューブを閉じて、上下逆さ位置でボルテックスし、反転させて遠心した。試料中のゲノムDNAの消化を、室温で20分間行い、その後、1μl/アッセイの10mM EDTA溶液(分子生物学級,Invitrogen)を加えて10分間65℃で加熱することで反応を終結させた。当業者に知られているように、加熱ステップ中のマグネシウム依存性RNA鎖切断を避けるために、キレート剤の添加が必要である。上記加熱ステップは、DNアーゼを変性させ、これによって、RNAの逆転写中におけるcDNAの生成の際にDNアーゼのさらなる活性を阻止する。
DNアーゼ処理の後、各試料は、下記のようにして調製したランダムヘキサマープライマー混合液2μlを受け入れた。
0.5μlのランダムヘキサマー(50 ng/μl)
0.5μlのDEPC-処理H2O
(実施例1中に説明したように、両試薬はInvitrogenから)
この時点での各アッセイの総体積は6μlであった。実施例1で詳説したようにプライマーをRNAとともにインキュベーションした後、逆転写試薬を4μlの体積として加え、残りの逆転写とPCRのステップ全てを実施例1で説明したように行った。
結果は、平均において、一個の胚あたり42.6コピーのゲノムXist+SryDNAがオスの対照試料から回収されたことを示し、これは、一個の胚あたりの平均細胞数21.3に対応し、一個のオスの細胞は上記の2つの遺伝子それぞれの1コピーを含有するという事実に基づく桑実胚期の胚の予想細胞数を裏付けた。DNアーゼ処理の後では、ゲノムXist+SryDNAの一個の胚あたり1.6コピーだけがオスの試料に残され、これは、対照の値の4%であり、10mMグアニジンの存在下且つ利用された実験条件下でのDNアーゼ活性が、最適であり、存在したDNAの96%を分解したことを示す。(並行実験では、20分ではなく15分間行ったDNアーゼインキュベーションの結果、オス試料においてゲノムDNAの90%の分解となった)。このレベルの有効性は非常に高いと判断された。なぜなら、DNアーゼIは低濃度ではDNAをかなり非効率に切断し、基質に対する親和性に乏しいことが知られているからである。
予想されなかったことではないが、RNA回収は、DNアーゼステップの存在によって部分的に影響された。文献で広く議論されているように、RNA回収量を変えることなく、完全なDNA消化を可能にする理想的な方法はないのである。
このアッセイでは、DNアーゼ処理したメスの試料からのXistRNA回収量の平均は、メスの対照からのXistRNA回収量よりも低かった。PCR中のDNA鋳型の増幅は、DNアーゼ混合試薬の存在によっては影響されないものであった。
本発明の多数の実施形態を説明してきた。それにもかかわらず、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく多様な変更をなすことができることは理解されるであろう。
図1は、本発明にしたがって調製した複製核酸試料について実行された第1の標的配列についてのPCRアッセイの結果のグラフである。 図2は、本発明にしたがって調製した複製核酸試料について実行された第2の標的配列についてのPCRアッセイの結果のグラフである。 図3は、標準量の核酸試料を用いた、配列及び第2標的配列についてのPCRアッセイの結果のプロットである。 図4は、リゾドットを含む容器の斜視図である。 図5は、本発明による調製の第1ステップを実行するための第1のチャンバーと、本発明による第2ステップを実行するための第2のチャンバーとを含むチップの横断面図である。

Claims (19)

  1. 逆転写酵素を用いて生物学的試料中のRNAからcDNAを合成し、そのcDNAの少なくとも1つの選択配列を増幅及び検出するための、単一容器内で行う方法であって、
    a) 前記生物学的試料を、タンパク質を変性または分解する少なくとも2Mの濃度を有するカオトロピック塩を含む破壊試薬と混合して、結合タンパク質から遊離したRNAを含有する破壊された試料を生成し、RNA損失を25%以下に保ちながらヌクレアーゼを不活性化する工程、
    b) 逆転写酵素を添加する前に、破壊された試料中のカオトロピック塩の濃度を、その破壊された試料を洗浄することなく、少なくとも1つの水性試薬で希釈することにより0.05M未満に低減する工程、
    c) 希釈した破壊された試料を、逆転写酵素と共にインキュベートして、前記RNAをcDNAに転写する工程、
    d) 前記cDNAの少なくとも1つの選択配列を増幅する工程、及び
    e) その少なくとも1つの増幅されたcDNA配列を検出する工程、
    を含み、ここで、工程b)〜e)は、分解されたタンパク質又は前記カオトロピック塩から前記RNAを最初に分離することなしに行われる、方法。
  2. 工程b)において、カオトロピック塩の濃度を0.01M未満に低減する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記破壊試薬が、細胞溶解界面活性剤を含む、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記生物学的試薬が、少なくとも1つの細胞を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 工程a)が、前記生物学的試料と破壊試薬との混合後に、加熱してカオトロピック塩を濃縮する工程をさらに含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. カオトロピック塩の初期濃度が少なくとも2Mである、請求項4に記載の方法。
  7. 前記加熱は、少なくとも半乾燥の破壊された試料を生成するのに十分なものである、請求項5または請求項6に記載の方法。
  8. 前記破壊試薬が、カオトロピック塩の沈殿を防ぐための水混和性溶媒を含み、また前記加熱の際に蒸発するものである、請求項5〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. カオトロピック塩が、生物学的試料に溶解される乾燥試薬である、請求項1に記載の方法。
  10. 前記溶媒がDMSOである、請求項8に記載の方法。
  11. 前記生物学的試料がリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 前記乾燥試薬が、前記単一容器の表面に付着されている、請求項9に記載の方法。
  13. 前記表面が、チューブ、チューブキャップ、マイクロタイタープレートの壁、又はマイクロタイタープレートカバーの内表面を含む、請求項12に記載の方法。
  14. 工程b)が、ランダムヘキサマーを含む水で希釈すること、加熱して二本鎖を変性すること、さらに冷却してランダムヘキサマーを前記RNAとアニーリングさせることを含む、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 工程c)が、逆転写酵素及びRTバッファーを、工程b)由来の希釈した破壊された試料を6倍以上にさらに希釈しない量で添加することを含む、請求項14に記載の方法。
  16. 工程d)において、増幅が、この工程で添加した増幅バッファー中で行われ、その添加が前記cDNAを少なくとも9倍に希釈するものである、請求項15に記載の方法。
  17. 工程b)が、以下の3つの水性溶液:DNアーゼを含む第1溶液、キレート剤を含む第2溶液、及びランダムヘキサマーを含む第3溶液、で徐々に希釈することを含み、ここで前記単一容器をキレート剤の添加後に加熱する、請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法。
  18. 増幅試薬及び検出試薬を工程c)で添加し、工程c)が希釈した破壊された試料を少なくとも9倍にさらに希釈する、請求項1に記載の方法。
  19. 変性又は分解された前記タンパク質がヌクレアーゼを含む、請求項1に記載の方法。
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