JP4836382B2 - 発光素子 - Google Patents

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Description

【0001】
(発明の分野)
本願は半導体の構造及びプロセスに関し、特に、青色または紫外線レーザダイオード及びその他類似の半導体に使用されるようなIII族窒化物4元及び5元材料系と方法に関する。
【0002】
(発明の背景)
青色レーザ光源の開発は、ディスク記憶装置、DVD等、次世代の高密度光デバイスを先導してきた。図1は、従来技術の半導体レーザ装置の断面図を示す。(S.ナカムラ、MRSブリティン(MRS BULLETIN)第23冊5号37〜43ページ、1998年)。サファイア基板5上に、窒化ガリウム(GaN)緩衝層10が形成され、その次にn型GaN層15が形成され、さらに、0.1μm厚の二酸化ケイ素(SiO2)層20がパターン形成されてGaN<1-100>方向に12μmの周期性で4μm幅のストライプ状のウィンドウ25が形成されている。その後、n型GaN層30、n型窒化インジウムガリウム(In0.1Ga0.9N)層35、n型窒化アルミニウムガリウム(Al0.14Ga0.86N)/GaNMD−SLS(変調ドープ歪層超格子)クラッド層40、及びn型GaNクラッド層45が形成されている。次に、In0.02Ga0.98N/In0.15Ga0.85NMQW(多重量子井戸)活性層50が形成された後、p型Al0.2Ga0.8Nクラッド層55、p型GaNクラッド層60、p型Al0.14Ga0.86N/GaNMD−SLSクラッド層65、及びp型GaNクラッド層70が形成されている。p型Al0.14Ga0.86N/GaNMD−SLSクラッド層55には、リッジストライプ構造が形成されて、そのリッジ導波構造内を水平横方向に伝搬する光の場を閉じ込めるようになっている。p型GaNクラッド層70及びn型GaNクラッド層30の上には、電極が形成されて電流を注入するようになっている。
【0003】
図1に示す構造において、n型GaNクラッド層45及びp型GaNクラッド層60は光導波層である。n型Al0.14Ga0.86N/GaNMD−SLSクラッド層40及びp型Al0.14Ga0.86N/GaNMD−SLSクラッド層65は、InGaNMQW層50の活性領域から放出されたキャリアと光を閉じ込めるクラッド層として作用する。n型In0.1Ga0.9N層35は、厚いAlGaN膜を成長させ亀裂の発生を防止する緩衝層として作用する。
【0004】
図1に示す構造を利用することにより、電極を通じてInGaNMQW活性層50内にキャリアが注入され、400nm波長領域の光が放出される。リッジストライプ領域下方ではリッジストライプ領域外よりも実効屈折率が大きいので、p型Al0.14Ga0.86N/GaNMD−SLSクラッド層65に形成されたリッジ導波構造のために、光の場が活性層内の水平横方向に閉じ込められる。他方、活性層の屈折率はn型GaNクラッド層45及びp型GaNクラッド層60の屈折率、さらに、n型Al0.14Ga0.86N/GaNMD−SLSクラッド層40、及びp型Al0.14Ga0.86N/GaNMD−SLSクラッド層60の屈折率よりも大きいので、n型GaNクラッド層45、n型Al0.14Ga0.86N/GaNMD−SLSクラッド層40、p型GaNクラッド層60、及びp型Al0.14Ga0.86N/GaNMD−SLSクラッド層55により、光の場が活性層内の横方向に閉じ込められる。したがって、基本横モード発振が得られる。
【0005】
しかしながら、図1に示す構造の場合、AlGaN、InGaN及びGaNの格子定数の間には、n型In0.1Ga0.9N層35、In0.02Ga0.98N/In0.15Ga0.85NMQW活性層50、n型Al0.14Ga0.86N/GaNMD−SLSクラッド層40、p型Al0.14Ga0.86N/GaNMD−SLSクラッド層65、及びp型Al0.2Ga0.8Nクラッド層55の全体の厚さが臨界厚を越えたときは常に歪のエネルギーを解放させる手段として構造内に欠陥を発生させるのに十分な相違が互いに存在するので、108cm-2より小さい桁まで欠陥密度を低減させることは困難である。欠陥は相分離に起因し、レーザ光の吸収の中心として作用するので、発光効率の低下と閾値電流の上昇を引き起こす。その結果、動作電流が大きくなり、ひいては信頼性を損なうことになる。
【0006】
さらに、InGaNの3元合金系は、図1の構造では活性層として利用されている。この場合、バンドギャップエネルギーはInNの1.9eVからGaNの3.5eVまで変化する。したがって、3.5eVより高いエネルギー準位の紫外光は、InGaN活性層を利用して得ることはできない。このことは、紫外光が、例えば、さらに高密度の光ディスク記憶装置やその他の装置内の光ピックアップ装置用光源として魅力的であることから、問題点となる。
【0007】
従来の3元材料系における相分離に起因する欠陥をさらに詳しく理解するため、InN、GaN及びAlN間の格子定数の不整合を理解する必要がある。InNとGaN間、InNとAlN間及びGaNとAlN間の格子不整合は、それぞれ11.3%、13.9%及び2.3%である。したがって、InN、GaN及びAlN間で等価結合距離が互いに異なっていることからInGaAlN層の等価格子定数が基板と同じであっても、内部歪エネルギーがInGaAlN層内に蓄積する。内部歪エネルギーを低減するために、InGaAlN格子不整合材料系内で相分離が発生する組成範囲が存在し、その場合、InGaAlN層内にIn原子、Ga原子及びAl原子が不均一に分布する。相分離の結果は、InGaAlN層内の In原子、Ga原子及びAl原子が各構成層内の原子モル分率に従って均一に分布されないことになる。このことは、相分離を含むどの層のバンドギャップエネルギー分布も不均一になることを意味する。相分離された部分のバンドギャップ領域は、光吸収中心として不均衡に作用するか、あるいは導波光の散乱を発生させる。上述したように、これらの問題に対する一般的な従来技術の対策は駆動電流を上昇させることであり、それによって半導体装置の寿命を短縮させていた。
【0008】
その結果、相分離に起因する格子欠陥を最小限に抑え、例えば、青色光または紫外光を高効率に発するレーザダイオードとして、さらに、トランジスタ等の他の半導体構造用に使用可能な半導体構造に対する要望が長い間切実に感じられていた。
【0009】
(発明の概略)
本発明は、半導体構造の層間の相分離を物質面で抑制することにより欠陥密度を大幅に低減させる半導体構造及び方法を提供することによって従来技術の限界を実質的に克服するものである。これにより、ひいては、発光効率を大幅に向上させることができる。一般に、本発明は、x、y及びzが全てゼロではないとき、化学式In1-x-yGaxAlyN1-zPz によって総括的に記述されるIII族窒化物4元及び5元材料系及び方法を利用する。x、yまたはzのうちの1つがゼロであれば、4元系となることが分かる。しかしながら、x、y、zのいずれもがゼロではなく、xとyの合計が1にならないときは、5元材料系となる。
【0010】
相分離を抑制するためには、各層のP含有分の分布が均一であることのみならず、Al含有分の分布が均一なIn1-x-yGaxAlyN1-zPz層を有する半導体装置を提供すれば可能であることが分かっている。これにより、発光素子の場合、光吸収損失及び導波散乱損失を低減することができ、高効率の発光素子が実現される。Al及びPの量を周到に選択することにより、少なくとも2つの一般的なバンドギャップの領域を有する素子が生成され、赤外線と青色/紫外線の両方の領域の発光素子を開発することができる。
【0011】
本発明にかかるGaAlNP4元材料系の第1の実施形態の例によれば、xで示すAl含有率及びyで示すP含有率が3.18(1-x)(1-y)+3.86(1-x)y+3.11x(1-y)+3.85xyがほぼ一定の値に等しいという条件を完全に満たす場合には、相分離を回避するのに充分な均一性があることが分かっている。発光素子の典型的な実施形態では、上記一定の値は3.18であってもよい。上記構造の構成層の格子定数が欠陥の発生を抑制するのに充分なだけ互いに近く、多くの場合、ほぼ等しいので、相分離がない。
【0012】
本発明にかかる装置は、一般に、順次積層形成された第1導電型の最初のGaAlNP材料層と、GaAlNP活性層と、逆の導電型のGaAlNP材料層を備えている。3.18(1-x)(1-y)+3.86(1-x)y+3.11x(1-y)+3.85xyがほぼ一定の値に等しい、例えば、およそ3.18あるいは3.18にほぼ等しいという数式に原則的にしたがってモル分率を維持することにより、構成層の格子定数が互いにほぼ等しい状態を維持し、欠陥の発生を低減させることになる。
【0013】
別の実施形態では、相分離を解消して層境界前後間の均一性を促進させる4元材料系を使用することにより、半導体構造を基本的に上述のとおりに製造する。したがって、既に述べたように、最初のクラッド層は第1の導電型かつ第1の組成のGaAlNPであり、活性層は第2の組成のGaAlNPであり、2番目のクラッド層は最初の層の組成を有する逆の導電型のGaAlNPである。しかしながら、さらに、2番目のクラッド層はリッジ構造を有している。既に述べたように、光吸収損失と導波散乱損失が低減され、より高い効率がもたらされるとともに、光の場をリッジ構造下方の活性層内の水平横方向に閉じ込めることができるという利点もさらにもたらされる。この構造は、基本横モード発振も可能にする。
【0014】
レーザダイオードの形での実施に特に適している本発明の第3の実施形態では、半導体構造は、それぞれ前の層の上に順次形成された、Ga1-x1Alx1N1-y1Py1材料からなる第1導電型の最初のクラッドと、Ga1-x2Alx2N1-y2Py2材料からなる活性層と、Ga1-x3Alx3N1-y3Py3材料からなる逆の導電型のもう1つのクラッド層を備えている。このような材料系において、x1、x2及びx3はAl含有率を示し、y1、y2及びy3はP含有率を示す。さらに、x1、y1、x2、y2、x3及びy3は、EgGaN、EgGaP、EgAlN及びEgAlPがそれぞれGaN、GaP、AlN、及びAlPのバンドギャップエネルギーであるとき、0<x1<1、0<x2<1、0<x3<1、0<y1<1、0<y2<1、0<y3<1、-0.225x1+25y1<=1、-0.225x2+25y2<=1、-0.225x3+25y3<=1、EgGaN(1-x1)(1-y1) + EgGaP(1-x1)y1 + EgAlNx1(1-y1) + EgAlPx1y1 > EgGaN(1-x2)(1-y2) + EgGaP(1-x2)y2 + EgAlNx2(1-y2) + EgAlPx2y2、及びEgGaN(1-x3)(1-y3) + EgGaP(1-x3)y3 + EgAlNx3(1-y3) + EgAlPx3y3 > EgGaN(1-x2)(1-y2) + EgGaP(1-x2)y2 + EgAlNx2(1-y2) + EgAlPx2y2の関係を有している。
【0015】
上記の材料系にしたがって再現可能な半導体構造を提供するため、GaAlNP層の例示的な実施形態は0<x<1、0<y<1及び-0.225x+25.0y<=1の関係を満たすAl含有率x、P含有率yを有している。既に述べたように、この材料系により、光吸収損失及び導波散乱損失の低減が可能になり、高効率発光素子が実現する。さらに、x1、y1、x2、y2、x3及びy3が、0<x1<1、0<x2<1、0<x3<1、0<y1<1、0<y2<1、0<y3<1、-0.225x1+25y1<=1、-0.225x2+25y2<=1、-0.225x3+25y3<=1、EgGaN(1-x1)(1-y1) + EgGaP(1-x1)y1 + EgAlNx1(1-y1) + EgAlPx1y1 > EgGaN(1-x2)(1-y2) + EgGaP(1-x2)y2 + EgAlNx2(1-y2) + EgAlPx2y2、及びEgGaN(1-x3)(1-y3) + EgGaP(1-x3)y3 + EgAlNx3(1-y3) + EgAlPx3y3 > EgGaN(1-x2)(1-y2) + EgGaP(1-x2)y2 + EgAlNx2(1-y2) + EgAlPx2y2の関係を有するとき、活性層のGaAlNPのバンドギャップエネルギーは最初のクラッド層及びもう1つのクラッド層のバンドギャップエネルギーより小さくなる。このような条件下では、注入キャリアが活性層内に閉じ込められる。少なくとも一部の実施形態では、第3の発光素子は、全構成層のAl含有率xw及びP含有率ywが0<xw<1、0<yw<1及び-0.225xw+25yw<=1の関係を満たすGaAlNP単一あるいは多重量子井戸活性層を有していることが好ましい。
【0016】
上記の構造の利点の1つは、レーザダイオードの閾値電流密度を低減させることである。このことは、単一または多重量子井戸構造を使用することによって実現可能であり、それにより、活性層の状態密度が低減される。これにより、反転分布に必要なキャリア密度が小さくなり、閾値電流密度が低下した、あるいは低いレーザダイオードが実現する。
【0017】
第3の発光素子では、xsとysが各構成層においてそれぞれAl含有率とP含有率であるとき、3.18(1-xs)(1-ys)+3.86(1-xs)ys+3.11xs(1-ys)+3.85xsysが一定の値にほぼ等しい(およそ3.18または3.18に近い)という条件が満たされることが好ましい。既に述べたように、これにより、各構成層の格子定数が互いにほぼ等しくなり、ひいては、相分離に起因する欠陥がほぼ最小限に抑えられる。
【0018】
本発明の第4の実施形態では、半導体構造は、それぞれ前の層の上に順次形成された、Ga1-x1Alx1N1-y1Py1材料からなる第1の導電型の最初のクラッド層と、Ga1-x2Alx2N1-y2Py2活性層と、Ga1-x3Alx3N1-y3Py3材料からなる逆の導電型のもう1つのクラッド層を備えていてもよい。さらに、このもう1つのクラッド層はリッジ構造を有している。上述の材料系の場合、x1、x2及びx3はAl含有率を示し、y1、y2及びy3はAs含有率を示し、x1、y1、x2、y2、x3及びy3は、EgGaN、EgGaP、EgAlN及びEgAlPがそれぞれGaN、GaP、AlN、及びAlPのバンドギャップエネルギーであるとき、0<x1<1、0<x2<1、0<x3<1、0<y1<1、0<y2<1、0<y3<1、-0.225x1+25y1<=1、-0.225x2+25y2<=1、-0.225x3+25y3<=1、EgGaN(1-x1)(1-y1) + EgGaP(1-x1)y1 + EgAlNx1(1-y1) + EgAlPx1y1 > EgGaN(1-x2)(1-y2) + EgGaP(1-x2)y2 + EgAlNx2(1-y2) + EgAlPx2y2、及びEgGaN(1-x3)(1-y3) + EgGaP(1-x3)y3 + EgAlNx3(1-y3) + EgAlPx3y3 > EgGaN(1-x2)(1-y2) + EgGaP(1-x2)y2 + EgAlNx2(1-y2) + EgAlPx2y2の関係を有している。
【0019】
先の実施形態の場合と同様に、各GaAlNP層はAl含有分とP含有分の分布が均一であり、各GaAlNP層のAl含有率x及びP含有率yが0<x<1、0<y<1及び-0.225x+25y<=1の関係を満たすときは、それを再現可能に得ることができる。x1、y1、x2、y2、x3及びy3が、0<x1<1、0<x2<1、0<x3<1、0<y1<1、0<y2<1、0<y3<1、-0.225x1+25y1<=1、-0.225x2+25y2<=1、-0.225x3+25y3<=1、EgGaN(1-x1)(1-y1) + EgGaP(1-x1)y1 + EgAlNx1(1-y1) + EgAlPx1y1 > EgGaN(1-x2)(1-y2) + EgGaP(1-x2)y2 + EgAlNx2(1-y2) + EgAlPx2y2、及びEgGaN(1-x3)(1-y3) + EgGaP(1-x3)y3 + EgAlNx3(1-y3) + EgAlPx3y3 > EgGaN(1-x2)(1-y2) + EgGaP(1-x2)y2 + EgAlNx2(1-y2) + EgAlPx2y2の関係を有するとき、GaAlNP活性層のバンドギャップエネルギーは第1のクラッド層及び第2のクラッド層のバンドギャップエネルギーより小さくなる。先の実施形態と同様に、注入キャリアが活性層内に閉じ込められ、光の場がリッジ構造下方の活性層内の水平横方向に閉じ込められて、基本横モード発振が発生する。
【0020】
先の実施形態と同様に、第4の実施形態は、一般に、全構成層のAl含有率xw及びP含有率ywが0<xw<1、0<yw<1及び-0.225xw+25yw<=1の関係を満たすGaAlNP単一あるいは多重量子井戸活性層を有している。また、xsとysが各構成層においてそれぞれAl含有率とP含有率であるとき、3.18(1-xs)(1-ys)+3.86(1-xs)ys+3.11xs(1-ys) +3.85xsysがほぼ一定の値に等しい、例えば、およそ3.18または3.18に近いという条件が一般的に満たされる。同様のパラメータは、サファイア、炭化珪素等の他の基板にも当てはまる。
【0021】
III族窒化物材料の中では、相対的に大きなバンドギャップであり、かつ直接バンドギャップを有することから、InNも可視光発光素子、可視光検出器及び高出力トランジスタ素子への適用に魅力的である。GaAlNAs材料に対する構造設計概念と同じ概念をInGaNP、AlInNP等の他の材料系を用いた半導体装置にも適用可能である。
【0022】
InGaNP材料系を用いた半導体装置の場合、各InGaNP層はIn含有分とGa含有分とN含有分とP含有分との分布が均一であり、各InGaNP層のGa含有率x及びP含有率yが0<x<1、0<y<1、及び4.93x+12.8y<=1または1.28x-7.0y>=1の関係を満たすときは、それを再現可能に得ることができる。
【0023】
AlInNP材料系を用いた半導体装置の場合、各AlInNP層はAl含有分とIn含有分とN含有分とP含有分との分布が均一であり、各AlInNP層のIn含有率x及びP含有率yが0<x<1、0<y<1、及び9.62x+32.3y<=1または1.12x-1.54y>=1の関係を満たすときは、それを再現可能に得ることができる。
【0024】
上記の結果は、従来の処理温度及び時間、通常、500℃ないし1000℃の範囲内で実現可能である。アプライド・フィジックス・レターズ(Appl. Phys. Lett.) 58(5)、1991年2月4日、526ページ以下「低圧有機金属化学蒸着を用いた光学的電気的高品質GaN層の成長(Growth of high optical and electrical quality GaN layers using low-pressure metalorganic chemical vapor deposition)」参照。
【0025】
本発明は、添付の図面とともに次の発明の詳細な説明によってより深く理解できるであろう。
【0026】
(発明の詳細な説明)
まず、図2では、本発明の第1の実施形態にかかる半導体構造を断面図で示す。本発明は複数の素子タイプに適用されるが、例示のため、図面の多くにおいて示す半導体構造はレーザダイオードとする。特に図2に示すように、n型GaN基板100が設けられており、その上には、n型GaN第1クラッド層105(通常0.5μm厚)が形成されている。その後、通常およそ1.5μm厚のn型Ga0.75Al0.25N0.99P0.01材料からなる第2のクラッド層110が形成された後、典型的な構成ではおよそ35オングストローム厚のGa0.8Al0.2N0.98P0.02材料からなる4つの障壁層と3対の形で構成されるおよそ35オングストローム厚のGa0.85Al0.15N0.97P0.03材料からなる3つの量子井戸層とから構成された多重量子井戸活性層115が形成される。次に、p型Ga0.75Al0.25N0.99P0.01(通常およそ1.5μm厚)の第3のクラッド層120が形成された後、p型GaN第5クラッド層125(通常およそ0.5μm厚)が形成される。p型GaN第4クラッド層125上には、1個のストライプ状ウィンドウ領域135(3.0μm幅)を有するSiO2層130が形成される。n型GaN基板100上には第1の電極140が形成される一方、SiO2層130及びウィンドウ領域135上には第2の電極145が形成される。
【0027】
活性層115から410nmの波長領域を有する紫色光を放出させるために、全ての層のAl含有率x及びP含有率yが、3.18(1-x)(1-y)+3.86(1-x)y+3.11x(1-y)+3.85xyがほぼ一定の値に等しく、少なくとも第1の実施形態の場合はおよそ3.18であるという条件を一様に満たしている。相分離に起因する欠陥を回避するため、様々な構成層のそれぞれにおいてAl含有率x及びP含有率yを3.18(1-x)(1-y)+3.86(1-x)y+ 3.11x(1-y)+3.85xyが一定の値にほぼ等しい、第1の実施形態の場合はおよそ3.18±0.05であるという条件を満たすように設定することによって、様々な構成層の格子定数を互いに一致させ、各層の等価格子定数がGaNの格子定数にほぼ等しくなるようにしている。
【0028】
材料を適正に選択することにより、n型第2クラッド層110及びp型第3クラッド層120のバンドギャップエネルギーが3対の多重量子井戸活性層115のバンドギャップエネルギーより大きくなる。これにより、n型第2クラッド層110及びp型第3クラッド層120からの注入キャリアが活性層115内に閉じ込められ、キャリアが再結合して紫外光を放出する。さらに、n型第2クラッド層110及びp型第3クラッド層120の屈折率が多重量子井戸活性層115の屈折率より小さいので、光の場が横方向に閉じ込められる。
【0029】
電極145からの注入電流は閉じ込められてウィンドウ領域135を流れるので、ウィンドウ領域135下方の活性層115内の領域が強く活性化される。これにより、ウィンドウ領域6a下方の活性層内の局部モード利得がSiO2層下方の活性層内の局部モード利得より高くなる。したがって、第1の実施形態の構造内に、レーザ発振をもたらす利得導波による導波路を形成することができる。
【0030】
図3は、第1の実施形態に従って構成されたレーザダイオードの放出光対駆動電流の図を示す。レーザダイオードはデューティサイクル1%のパルス電流で駆動される。閾値電流密度は6.0kA/cm2であることが分かる。
【0031】
図4Aないし図4Dは、第1の実施形態にかかる典型的なレーザダイオードを構成するのに必要な製造工程の概要を順に示す。図4Aないし図4Dから得られる構造は図2に示すものと類似しているので、可能な場合には要素に同じ参照番号を使用することとする。最初に図4Aに示すように、n型GaN基板100が設けられており、その上には、n型GaN第1クラッド層105が成長している。第1クラッド層105は通常およそ0.5μm厚である。その後、通常およそ1.5μm厚のn型Ga0.75Al0.25N0.99P0.01第2クラッド層110が形成される。
【0032】
次に、およそ35オングストローム厚のGa0.8Al0.2N0.98P0.02材料からなる4つの障壁層と、それぞれおよそ35オングストローム厚の3層のGa0.85Al0.15N0.97P0.03材料からなる3つの量子井戸を形成することにより、多重量子井戸活性層115が形成される。その後、およそ1.5μm厚のp型Ga0.75Al0.25N0.99As0.01材料からなる第3クラッド層120が形成された後、およそ0.5μm厚のp型GaNからなる第4クラッド層125が形成される。通常、各層は有機金属化学蒸着(MOCVD)法あるいは分子線エピタキシ(MBE)法のどちらかによって形成される。
【0033】
その後、図4Bに示すように、p型GaN第4クラッド層125上に、例えば化学蒸着(CVD)法によって二酸化珪素(SiO2)層130が形成される。フォトリソグラフィとエッチングまたは他の適切な方法とを用いて、図4Cに示すように、ウィンドウ領域135が形成される。ウィンドウ領域135は、少なくとも一部の実施形態ではストライプ状であってもよい。最後に、図4Dに示すように、蒸着あるいは他の適切な方法により、n型GaN基板100とSiO2層130上にそれぞれ第1の電極140と第2の電極145が形成される。
【0034】
次に、図5を参照することにより、本発明にかかる半導体構造の第2の実施形態をより深く理解することができる。第1の実施形態と同様に、第2の実施形態の典型的な適用例はレーザダイオードの作成である。第2の実施形態の構造により、実屈折率導波を有する導波路機構を構造内に組み込むことができる。これにより、基本横モードで動作可能な低閾値電流レーザダイオードが提供される。
【0035】
さらに図5に基づいて、参照しやすくするため、同じ要素を同じ参照番号で示す。n型GaN基板100に、およそ0.5μm厚のn型GaNから第1クラッド層105が形成されている。続いて、およそ1.5μm厚のGa0.75Al0.25N0.99P0.01材料からn型第2クラッド層110が形成されている。その後、およそ35オングストローム厚のGa0.8Al0.2N0.98P0.02材料からなる4つの障壁層とおよそ35オングストローム厚のGa0.85Al0.15N0.97P0.03材料からなる3つの井戸層とを備えた多重量子井戸活性層115が形成されている。次に、およそ1.5μm厚のGa0.75Al0.25N0.99P0.01材料からなる第3のp型クラッド層120が形成されている。その後、第3クラッド層120のリッジ構造500全体に、およそ0.5μm厚のp型GaN第4クラッド層125が形成されている。そして、第3及び第4クラッド層が部分的に除去されてリッジ構造500が形成されている。その後、第3クラッド層120の残存する露出部分と第4クラッド層125を覆うように二酸化珪素(SiO2)層130が形成されている。第4及び第3クラッド層125、120の上方には、それぞれSiO2層を介して、およそ2.0μm幅のストライプ状のウィンドウ領域135が形成されている。第1の実施形態と同様に、n型GaN基板100上には第1の電極140が形成され、SiO2層130上には第2の電極145が形成されている。
【0036】
第1の実施形態と同様に、活性層115から410nm領域の波長を有する紫外光を放出させるために、井戸層内のAl含有率x及びP含有率yがそれぞれ0.15、0.03に設定されている。同様に、各構成層の格子定数を一致させて相分離に起因する欠陥を回避するため、全ての層のAl含有率x及びAs含有率yが、3.18(1-x)(1-y) +3.86(1-x)y+3.11x(1-y)+3.85xyがほぼ一定の値に等しい、例えば、3.11±0.05であるという条件を満たしている。同様に、クラッド層のバンドギャップエネルギーが活性層のバンドギャップエネルギーより大きい値に維持され、紫外光の放出が可能になっている。また、材料の屈折率は第1の実施形態に関連して述べたとおりであり、光の場を横方向に閉じ込められるようになっている。
【0037】
第1の実施形態の動作と同様に、SiO2層が注入電流を拘束するので、活性層115のウィンドウ領域135下方の領域が強く活性化される。その結果は、やはり、ウィンドウ領域135下方の活性層内の局部モード利得がSiO2層130下方の活性層内の局部モード利得より高くなる。これにより、リッジストライプ領域の外側と比較して内側において横方向の実効屈折率が相対的に高くなることと相俟って、実効屈折率ステップが得られる(n)。これにより、実屈折率導波からなる組込み式の導波路機構を有する構造が得られる。したがって、第2の実施形態の構造により、基本横モードで動作可能な低閾値電流レーザダイオードが提供される。
【0038】
図6は第2の実施形態にかかるレーザダイオードの放出光対駆動電流特性をグラフ形式で示す。レーザダイオードは持続波電流で駆動される。閾値電流は36mAであることが分かる。
【0039】
次に、図7Aないし図7Eに、第2の実施形態にかかる半導体レーザダイオードの典型的な素子の主要製造工程の概要を示す。
【0040】
まず、図7A及び図7Bに示すように、n型GaN基板100上への第1及び第2クラッド層105、110及び3対の多重量子井戸活性層115の形成は第1の実施形態と同じである。その後、第3及び第4のクラッド層120、125が形成された後、通常はエッチングにより、一部が除去されてリッジ構造500が形成される。既に述べたように、典型的な実施形態では、MOCVD法あるいはMBE法のどちらかにより様々な層が順次形成される。
【0041】
その後、図7Cないし図7Eに示すように、第5及び第3クラッド層125、120上にそれぞれ、通常はCVD法により二酸化珪素層130が形成され、その後、第1の実施形態と同様に、ウィンドウ領域135が形成される。その後、電極140、145が構造体に蒸着されるかあるいは接合される。
【0042】
次に、図8を参照することにより、本発明の第3の実施形態をより深く理解できる。第3の実施形態はモル分率がわずかに異なることによって紫外光の放出を可能にするが、その他の点では第1の実施形態と同様である。したがって、n型GaN基板100をn型GaN第1クラッド層105とともに依然として使用する。しかしながら、第2クラッド層810が一般におよそ1.5μm厚のn型Ga0.4Al0.6N0.99P0.01材料からなる一方、3対の量子井戸活性層815が一般にGa0.6Al0 .4N0.99P0.01材料からなる4つの障壁層とGa0.7Al0.3N0.99P0.01材料からなる3つの井戸層とを備えている。第3クラッド層820が一般にp型Ga0.4Al0.6N0.99P0.01材料からなる一方、第4クラッド層125が、第1の実施形態と同様に、p型GaN材料である。各層の厚さは第1の実施形態の場合とほぼ同じである。SiO2層130、ウィンドウ領域135、第1及び第2の電極140、145が構造体を完成させる。
【0043】
活性層24から310nmの波長領域で紫外光を放出させるため、井戸層815内のAl含有率及びP含有率がそれぞれ0.3及び0.01に設定されている。構成層の格子定数を一致させて相分離誘因性欠陥の発生を回避するため、各層のAl含有率x及びP含有率yが、3.18(1-x)(1-y)+3.86(1-x)y+3.11x(1-y)+3.85xyがほぼ一定の値に等しいという条件を満たすように設定されている。第3の実施形態を例示すれば、その一定の値はおよそ3.18±0.05であってもよい。
【0044】
第1の実施形態が青色光を放出する一方で、第3の実施形態は紫色光を放出するが、クラッド層のバンドギャップエネルギーは依然として3対の多重量子井戸活性層815のバンドギャップエネルギーよりも高く設定されている。既に述べたように、これにより、活性層815内でのキャリアの閉じ込めと再結合が可能になる。第1の実施形態と同様に、第2及び第3のクラッド層の屈折率は、意図的に、活性層よりも小さく、その結果、光の場を横方向に閉じ込めている。同様に、ウィンドウ領域135の下方に電流を強く注入することにより、活性層のSiO2層130下方の部分に対して比較的に高い活性層内局部モード利得が発生し、その結果、やはり、レーザ発振をもたらす導波路が得られる。
【0045】
図9は第3の実施形態にかかるレーザダイオードの放出光対駆動電流特性の図を示す。レーザダイオードはデューティサイクル1%のパルス電流で駆動される。閾値電流密度は7kA/cm2であることが分かる。
【0046】
図10Aないし図10Dは、第3の実施形態の一実施例における半導体レーザダイオードの一連の製造工程を示す。製造工程は図4Aないし図4Dに関連して説明したものと同じであるので、さらに説明は行わない。
【0047】
次に、図11を参照することにより、本発明の第4の実施形態をより深く理解することができる。第4の実施形態は、第3の実施形態と同様に、紫外光を放出するよう構成され、したがって、第3の実施形態と同じAl及びP含有率を有している。しかしながら、第4の実施形態は、第2の実施形態と同様に、導波路として作用するリッジ構造を提供するよう構成されている。Al及びP含有率が図8のものと同様であるので、同様の要素は図8で使用した参照番号を使って説明する。
【0048】
引き続き図11を見れば、第4の実施形態の構造がGaN基板100を有し、その上に、第1クラッド層105が形成され、その後に第2クラッド層810が形成されていることが分かる。それらの上方には、3対の多重量子井戸活性層815が形成され、その後に、第3クラッド層820が形成されている。既に述べたように、第4クラッド層125、二酸化珪素層130、ウィンドウ135及び電極140、145も全て形成されている。Al含有率及びP含有率を含む材料は、図8に示すとおりである。同様に、各層のAl含有率x及びP含有率yは、第3の実施形態と同様、3.18(1-x)(1-y) +3.86(1-x)y+3.11x(1-y)+3.85xyがおよそ3.18±0.05の一定の値にほぼ等しいという条件を満たすように設定されている。バンドギャップエネルギー、屈折率、及び電流注入時のモード利得はすべて第3の実施形態に関連してほぼ記述したとおりであり、さらに説明はしない。
【0049】
図12は第4の実施形態に従って構成されたレーザダイオードの駆動電流対放出光を図示している。レーザダイオードは持続波電流で駆動される。閾値電流は40mAであることが分かる。
【0050】
図13は、第4の実施形態にかかる半導体レーザダイオードの製造工程の概要を示す。これらの工程は、図7Aないし図7Eに関連して記述したものと基本的に同一であり、さらに説明はしない。
【0051】
次に、図14を参照することにより、Al含有率x及びP含有率yの選択と、GaAlNP構成層の場合の両含有率の関係をより深く理解できる。特に、AlとPの相対含有率は、0<x<1、0<y<1、-0.225x+25y<=1の関係をほぼ満足させることが必要である。
【0052】
GaAlNP材料系の場合、GaN、AlN、GaP及びAlPの格子定数はそれぞれ異なる。例えば、GaNとGaP間、AlNとAlP間、及びGaNとAlN間の格子不整合は、それぞれ21.2%、23.9%及び2.3%である。したがって、GaN、AlN、GaP及びAlP間で等価結合距離が互いに異なっていることからGaAlNP層の等価格子定数が基板と同じであっても、内部歪エネルギーがGaAlNP層内に蓄積する。図14は、様々な成長温度に対してグラフ化された相分離領域の境界を示す。図14の線は様々な温度に関して組成的に不安定な(相分離)領域と安定した領域との間の境界を示している。相分離が発生する場合には、GaAlNP層内のGa原子、Al原子、N原子及びP原子が各構成層内の原子含有率に従って均一に分布されない。別の言い方をすれば、相分離された層のバンドギャップエネルギー分布もその層内で不均一になる。相分離された層内の相対的に小さなバンドギャップ領域は、光吸収中心として作用するか、あるいは導波光の散乱を発生させる。このことは、高効率の発光素子を得るためには相分離現象を回避する必要があることを意味する。
【0053】
さらに図14によれば、相分離領域が温度とともに変化することが分かる。図14の線は様々な温度に関して組成的に不安定な領域、すなわち、相分離となる領域と安定した領域との間の境界を示している。GaP-GaN線と、AlP-AlN線と境界線とで囲まれた領域は相分離含有率領域を示す。3元合金AlNP及びGaNPは、AlNとAlPとの間及びGaNとGaPとの間の格子不整合が大きいために相分離領域が大きいことが分かった。他方、3元合金GaAlN及びGaAlPは、約1000℃の結晶成長温度では、AlNとGaNとの間及びAlPとGaPとの間の格子不整合が小さいために相分離領域がないことが分かった。
【0054】
したがって、通常結晶成長温度が約600℃ないし約1000℃の概算範囲内にあるGaAlNP材料系を提供できることが分かった。同様に、GaAlNPのAl含有率及びP含有率の相分離がおよそ600℃とおよそ1000℃の間の処理温度では大量には発生しないことが分かった。最後に、これら2つの点を結びつけることにより、約1000℃より低い結晶成長温度で相分離を回避するためのGaAlNPのAl含有率及びP含有率の含有率選択領域は、図15の斜線領域であり、2つの領域を分離する線が-0.225x+25y=1の関係によって近似的に定義されることがわかる。
【0055】
したがって、これまでに開示した4つの各構造的実施形態の場合、レーザダイオードの全構成層のAl含有率x及びP含有率yが0<x<1、0<y<1、-0.225x+25y<=1の関係をほぼ満たすとき、およそ600℃と約1000℃との間の結晶成長温度で動作することによって、GaAlNP材料系内で相分離現象を回避することができる。その結果、原子モル分率に従って各構成層内にGa原子、Al原子、N原子及びP原子がほぼ均一に分布する。
【0056】
図16は、約1000℃より低い成長温度で相分離現象を回避するとともにGaNにとって適切な格子整合を依然として確保するためのGaAlNP系のAl含有率x及びP含有率yの含有率選択線を示す。図16の線は3.18(1-x)(1-y)+3.86(1-x)y+3.11x(1-y) +3.85xy=3.18の例示的な線を示す。したがって、GaN基板上に形成されたレーザダイオードのGaAlNP構成層のAl含有率及びP含有率が、3.18(1-x)(1-y)+3.86(1-x)y+ 3.11x(1-y)+3.85xyがほぼ3.18に等しく、0<x<1、0<y<1及び-0.225x+25y<=1である関係を確実に有していることによって、欠陥密度が低く、相分離が全くないか非常に少ないレーザダイオードをGaN基板上に得ることができる。
【0057】
さらに、上述した材料系によって他の半導体構造を製造することも可能である。III族窒化物材料、特にGaNとAlNは高出力高温条件下で動作可能な電子デバイス、例えばマイクロ波パワートランジスタでの使用に有望である。これは、そのバンドギャップの広さ(GaNの場合3.5eV、AlNの場合6.2eV)、降伏電界の高さ、飽和速度の高さにある程度起因している。比較すると、AlAs、GaAs、Siのバンドギャップは、それぞれ、2.16eV、1.42eV、1.12eVである。このことは、そのような電界効果トランジスタ(FET)用にAlGaN/GaN材料を使用することの有意義な研究に繋がっている。しかしながら、既に述べたように、AlGaNとGaNの格子定数の違いから重大な欠陥が発生し、そのことが、結果得られる構造体内の電子の移動度とそのような材料系のFET用途での実用性に限界を与えている。
【0058】
本発明は、本発明のGaAlNP/GaN材料がGaNと等しい格子定数を有するという点で上記の限界をほぼ克服する。既に述べたように、Al含有率(x)及びP含有率(y)が0<x<1、0<y<1、-0.225x+25Y<=1、及び3.18(1-x)(1-y)+3.86(1-x)y+3.11x(1-y)+3.85xyが3.18に等しいという関係を満たすとき、Ga1-xAlxN1-yPyの4元材料系は3.5eVより大きいバンドギャップを持つだけでなく、GaNとほぼ等しい格子定数を有する。これにより、様々な層内でほぼ均一な原子含有率分布を有するFET等の半導体構造が製造可能になる。したがって、Alモル分率x及びPモル分率yが上記の関係を満たす本発明にかかるGaAlNP/GaN材料系を使用することにより、欠陥密度の低い高出力高温トランジスタを実現することができる。
【0059】
図17Aに、本発明にかかるGaAlNP/GaN材料を用いたヘテロ接合電界効果トランジスタ(HFET)の典型的な実施形態を示す。GaN基板520上には、0.5μm厚のi-GaN層525が形成され、その次に、薄い約10nm厚のGaN導電用チャンネル層530と10nm厚のGaAlNP層535が形成されている。ソース電極及びドレイン電極540A、540Bとゲート電極545が従来の方法で形成されている。この構造において、GaAlNP層のAl含有率x及びP含有率yはそれぞれ0.25及び0.01に設定されている。この場合、xとyの値は0<x<1、0<y<1、-0.225x+25Y<=1、及び3.18(1-x)(1-y)+3.86(1-x)y+3.11x(1-y)+3.85xy=3.18の関係を満たしている。これにより、実質的に相分離がなくGaNと等しい格子定数を有するGaAlNP層が得られる。ひいては、GaAlNP層とGaN層のヘテロ界面に形成された2次元電子ガスが(欠陥が存在する場合に発生するような)GaAlNP層の原子含有率の揺らぎによって散乱されることがないために、高い電子速度を達成することができる。さらに、GaAlNPのバンドギャップは4eVより大きいので、図17Aに示す構造を使用することにより信頼性のある高温動作を実現することができる。
【0060】
同様に、図17Bは本発明にかかるヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)の実施形態を示す。GaN基板550上には、400nm厚のn型GaAlNPコレクタ層555が形成され、その次に、50nm厚のp型GaNベース層560と300nm厚のn型GaAlNPエミッタ層565が形成されている。ベース電極570、コレクタ電極575及びエミッタ電極580が従来の方法で形成されている。図17Aと同様に、図17Bの実施形態では、GaAlNP層のAl含有率x及びP含有率yはそれぞれ0.25及び0.01に設定されており、xとyは上記と同じ関係を満たす必要がある。図17Aと同様に、大きな相分離がなくGaNと等しい格子定数を有するGaAlNP層が実現され、その結果、非常に高品質のGaAlNP/GaNヘテロ接合が得られる。さらに、GaAlNPエミッタ層のバンドギャップ(4eV)はGaNベース層のバンドギャップ(3.5eV)より大きいので、p型ベース層に発生した正孔がこのベース層内にうまく閉じ込められる。これは、GaNホモ接合バイポーラトランジスタにおいて発生するよりも大きな価電子帯不連続がGaNとGaAlNPとの間に発生することに起因する。このことは、ベース電流に比べて電流増幅が大きいコレクタ電流が得られるという利点をもたらす。さらに、上述したように、GaAlNPとGaN層のバンドギャップは大きいので、トランジスタを高温での用途に信頼性を持って利用することができる。
【0061】
次に、図18に、本発明のフォトトランジスタとしての実施例を示す。この点に関して、GaNとAlNは広いバンドギャップ(GaNの場合、200nmの光の波長に相当する3.5eV、AlNの場合、350nmの光の波長に相当する6.2eV)を有するので、GaNとAlGaNは紫外線(UV)領域の光検出器にとって魅力的な材料である。直接バンドギャップとAlN合金の組成範囲全体の中でのAlGaNの可用性のために、AlGaN/GaNによるUV光検出器は、高遮断波長が調整可能であるとともに、量子効率が高いという利点をもたらす。しかしながら、AlGaNの格子定数は欠陥が形成されやすいほどGaNと異なっており、漏れ電流を増加させることになる。Al含有率(x)及びAs含有率(y)が0<x<1、0<y<1及び-0.225x+25y<=1の関係を満たすGa1-xAlxN1-yPyは、2.5eVより大きいバンドギャップを提供するだけでなく、各層内に同じ原子含有率分布で形成することができるので、GaAlNP材料をUV光検出器用途に利用することも可能である。さらに、Al含有率x及びP含有率yが3.18(1-x)(1-y)+3.86(1-x)y+ 3.11x(1-y)+3.85xy=3.18の関係を満たすGa1-xAlxN1-yPyの4元材料は、GaNと等しい格子定数と3.5eVより大きいバンドギャップを有する。したがって、Al含有率x及びP含有率yが上記の関係を満たすGaAlNP/GaN材料を使用することにより、欠陥密度の低いUV光検出器を実現することができる。他の周波数、例えば青色光の検出が必要な場合には、わずかな変更しか必要としない。
【0062】
図18に示すように、本発明の半導体装置は、GaAlNP/GaN材料を使用してヘテロ接合フォトトランジスタ(HPT)の形で実施可能である。GaN基板700上には、n型GaAlNPコレクタ層705がおよそ500nm厚に形成され、その次に、200nm厚のp型GaNベース層710が形成されている。その後、およそ500nm厚のGaAlNPエミッタ層715が形成されている。エミッタ層の上には、光がベース層に当たるようにリング状の電極720が形成されている。
【0063】
典型的な構造では、GaAlNP層のAl含有率x及びP含有率yはそれぞれ0.25及び0.01に設定される。この場合、xとyの値は0<x<1、0<y<1、-0.225x+25Y<=1、3.18(1-x)(1-y)+3.86(1-x)y+3.11x(1-y)+3.85xy=3.18の関係を満たすので、GaAlNP層をGaNと等しい格子定数を持ちながら相分離をほぼ回避するように形成して、高品質のGaAlNP/GaNヘテロ接合を形成することが可能になる。GaAlNPエミッタ層のバンドギャップ(307nmの光の波長に相当する4eV)はGaNベース層のバンドギャップ(350nmの光の波長に相当する3.5eV)よりも大きい。光はエミッタ側に照射される。図示の実施形態の場合、307nmと350nmの間の波長範囲の照射光はエミッタ層を透過するので、GaNベース層に吸収されて電子と正孔の対を発生させる。GaNとGaAlNPとの間の価電子帯の不連続が従来のGaNホモ接合フォトトランジスタの場合よりも大きいので、p型ベース層の光吸収によって生成された正孔はベース層にうまく閉じ込められる。これにより、より大きなエミッタ電流が誘導されることになり、ホモ接合フォトトランジスタの場合よりも優れた電子中和がベース領域にもたらされる。したがって、高量子効率かつ高感度、及びその結果として入射光からコレクタ電流への高変換効率を有するUV光検出器が得られる。他の周波数を検出する場合には、GaNベース層は、例えば青色光の場合、InGaNに置き換えられる。
【0064】
図18のフォトトランジスタに加えて、本発明に従ってフォトダイオードを実現することも可能である。図19では、n型基板900が設けられており、その上にGa1-xAlxN1-yPy4元材料または等価物からなるn型層910が形成され、この層は図18に関連して上述した関係に従っている。その後、活性層915が形成され、その上方には、p型Ga1-xAlxN1-yPy4元材料からなる層920が形成されている。そして、この層920の上方に、p型第2クラッド層925が形成され、そこには、層920の一部を露出させるようにウィンドウ930が形成されている。ウィンドウ930は光を層920に当てることができる入口となって正孔を発生させる。従来の方法で一対の電極935、940が形成されてもよく、その場合、電極935は、通常、ウィンドウ930周りのリング状の電極である。第2クラッド層925のバンドギャップは層920のバンドギャップよりも大きいことが好ましく、さらに、層920のバンドギャップは活性層915のバンドギャップよりも大きいことが好ましいことが理解できる。そのような手法によれば、最大限広い範囲の光の波長に対して感度がよくなる。より狭い波長範囲が望ましい場合には、層920よりも小さなバンドギャップを有する材料を層925に対して使用してもよい。さらに、層910、915、920は、少なくともいくつかの場合には、適正な光電性pn接合を提供するので、全ての実施形態に層925を含ませる必要はない。
【0065】
図20には、本発明の第5の実施形態にかかる半導体構造が断面図で示されている。本発明は複数の素子タイプに適用されるが、例示のため、図面の多くにおいて示す半導体構造はレーザダイオードとする。特に図20に示すように、n型GaN基板200が設けられており、その上に、n型GaN第1クラッド層205(通常0.5μm厚)が形成されている。その後、通常およそ1.5μm厚のn型In0.001Ga0.999N0.999P0.001材料からなる第2クラッド層210が形成され、その次に、多重量子井戸活性層215が形成され、この多重量子井戸活性層215は、典型的な構成では、およそ35オングストローム厚のIn0.01Ga0.99N0.97P0.03材料からなる3つの量子井戸層と、およそ35オングストローム厚のIn0.001Ga0.999N0.975P0.025材料からなる4つの障壁層を3対の構成で備えている。次に、p型In0.001Ga0.999N0.999P0.001材料からなる第3クラッド層220(通常およそ1.5μm厚)が形成され、その次に、p型GaN第5クラッド層225(およそ0.5μm厚)が形成されている。p型GaN第4クラッド層225の上に、ストライプ状ウィンドウ領域235(3.0μm幅)を1つ有するSiO2層230が形成されている。n型GaN基板200の上には第1の電極240が形成されており、SiO2層230及びウィンドウ領域235の上には第2の電極245が形成されている。
【0066】
活性層215から440nmの波長領域を有する青色光を放出させるために、全ての層のGa含有率x及びAs含有率yが、3.54(1-x)(1-y)+4.15(1-x)y+3.18x(1-y)+3.86xyがほぼ一定の値に等しく、少なくとも第5の実施形態の場合はおよそ3.18であるという条件を一様に満たしている。相分離に起因する欠陥を回避するため、様々な構成層のそれぞれにおいてGa含有率x及びP含有率yを3.54(1-x)(1-y)+4.15(1-x)y+ 3.18x(1-y)+3.86xyが一定の値にほぼ等しい、第5の実施形態の場合はおよそ3.18±0.05であるという条件を満たすように設定することによって、様々な構成層の格子定数を互いに一致させ、各層の等価格子定数がGaNの格子定数にほぼ等しくなるようにしている。
【0067】
材料を適正に選択することにより、n型第2クラッド層210及びp型第3クラッド層220のバンドギャップエネルギーが3対の多重量子井戸活性層215のバンドギャップエネルギーより大きくなる。これにより、n型第2クラッド層210及びp型第3クラッド層220からの注入キャリアが活性層215内に閉じ込められ、キャリアが再結合して青色光を放出する。さらに、n型第2クラッド層210及びp型第3クラッド層220の屈折率が多重量子井戸活性層215の屈折率より小さいので、光の場が横方向に閉じ込められる。
【0068】
電極245からの注入電流は閉じ込められてウィンドウ領域235を流れるので、ウィンドウ領域235下方の活性層215内の領域が強く活性化される。これにより、ウィンドウ領域下方の活性層内の局部モード利得がSiO2層下方の活性層内の局部モード利得より高くなる。したがって、第5の実施形態の構造内にレーザ発振をもたらす、利得導波による導波路を形成することができる。
【0069】
図21Aないし図21Dは、第5の実施形態にかかる典型的なレーザダイオードを構成するのに必要な製造工程の概要を順に示す。図21Aないし図21Dから得られる構造は図20に示すものと類似しているので、可能な場合には要素に同じ参照番号を使用することとする。最初に図21Aに示すように、n型GaN基板200が設けられており、その上には、n型GaN第1クラッド層205が成長している。第1クラッド層205は通常およそ0.5μm厚である。その後、通常およそ1.5μm厚のn型In0.001Ga0.999N0.999P0.001第2クラッド層210が形成される。
【0070】
次に、およそ35オングストローム厚のIn0.001Ga0.999N0.975P0.025材料からなる4つの障壁層と、それぞれおよそ35オングストローム厚の3層のIn0.01Ga0.99N0.97P0.03材料からなる3つの量子井戸を形成することにより、多重量子井戸活性層215が形成される。その後、およそ1.5μm厚のp型In0.001Ga0.999N0.999P0.001材料からなる第3クラッド層220が形成された後、およそ0.5μm厚のp型GaNからなる第4クラッド層225が形成される。通常、各層は有機金属化学蒸着(MOCVD)法あるいは分子線エピタキシ(MBE)法のどちらかによって形成される。
【0071】
その後、図21Bに示すように、p型GaN第4クラッド層225上に、例えば化学蒸着(CVD)法によって二酸化珪素(SiO2)層230が形成される。フォトリソグラフィとエッチングまたは他の適切な方法とを用いて、図21Cに示すように、ウィンドウ領域235が形成される。ウィンドウ領域235は、少なくとも一部の実施形態ではストライプ状であってもよい。最後に、図21Dに示すように、蒸着あるいは他の適切な方法により、n型GaN基板200とSiO2層230上にそれぞれ第1の電極240と第2の電極245が形成される。
【0072】
次に、図22を参照することにより、本発明にかかる半導体構造の第6の実施形態をより深く理解することができる。第5の実施形態と同様に、第6の実施形態の典型的な適用例はレーザダイオードの作成である。第6の実施形態の構造により、実屈折率導波を有する導波路機構を構造内に組み込むことができる。これにより、基本横モードで動作可能な低閾値電流レーザダイオードが提供される。
【0073】
引き続き図22に基づいて、参照を容易にするため、同じ要素を同じ参照番号で示す。n型GaN基板200に、およそ0.5μm厚のn型GaNから第1クラッド層205が形成されている。続いて、およそ1.5μm厚のIn0.001Ga0.999N0.999P0.001材料からn型第2クラッド層210が形成されている。その後、およそ35オングストローム厚のIn0.001Ga0.999N0.975P0.025材料からなる4つの障壁層とおよそ35オングストローム厚のIn0.01Ga0.99N0.97P0.03材料からなる3つの井戸層を備えた多重量子井戸活性層215が形成されている。次に、およそ1.5μm厚のIn0.001Ga0.999N0.999P0.001材料からなる第3のp型クラッド層220が形成されている。その後、第3クラッド層220のリッジ構造1500全体に、およそ0.5μm厚のp型GaN第4クラッド層225が形成されている。そして、第3及び第4クラッド層が部分的に除去されてリッジ構造1500が形成されている。その後、第3クラッド層220の残存する露出部分と第4クラッド層225を覆うように二酸化珪素(SiO2)層230が形成されている。第4及び第3クラッド層225、220の上方には、それぞれSiO2層を介して、およそ2.0オm幅のストライプ状であるウィンドウ領域235が形成されている。第5の実施形態と同様に、n型GaN基板200上には第1の電極240が形成され、SiO2層230及びウィンドウ領域235の上には第2の電極245が形成されている。
【0074】
第5の実施形態と同様に、活性層215から440nm領域の波長を有する青色光を放出させるために、井戸層内のGa含有率x及びP含有率yがそれぞれ0.99、0.03に設定されている。同様に、各構成層の格子定数を一致させて相分離に起因する欠陥を回避するため、全ての層のGa含有率x及びP含有率yが、3.54(1-x)(1-y) +4.15(1-x)y+3.18x(1-y)+3.86xyがほぼ一定の値に等しい、例えば、3.18±0.05であるという条件を満たしている。同様に、クラッド層のバンドギャップエネルギーが活性層のバンドギャップエネルギーより大きい値に維持され、青色光の放出が可能になっている。また、材料の屈折率は第5の実施形態に関連して述べたとおりであり、光の場を横方向に閉じ込められるようになっている。
【0075】
第5の実施形態の動作と同様に、SiO2層が注入電流を拘束するので、活性層215のウィンドウ領域235下方の領域が強く活性化される。その結果は、やはり、ウィンドウ領域235下方の活性層内の局部モード利得がSiO2層230下方の活性層内の局部モード利得より高くなる。これにより、リッジストライプ領域の外側と比較して内側において横方向の実効屈折率が相対的に高くなることと相俟って、実効屈折率ステップが得られる。これにより、実屈折率導波からなる組込み式の導波路機構を有する構造が得られる。したがって、第6の実施形態の構造により、基本横モードで動作可能な低閾値電流レーザダイオードが提供される。
【0076】
次に、図23Aないし図23Eに、第6の実施形態にかかる半導体レーザダイオードの典型的な素子の主要製造工程の概要を示す。
【0077】
まず、図23A及び図23Bに示すように、n型GaN基板200上への第1及び第2クラッド層205、210及び3対の多重量子井戸活性層215の形成は第5の実施形態と同じである。その後、第3及び第4のクラッド層220、225が形成された後、通常はエッチングにより、一部が除去されてリッジ構造1500が形成される。既に述べたように、典型的な実施形態では、MOCVD法あるいはMBE法のどちらかにより様々な層が順次形成される。
【0078】
その後、図23Cないし図23Eに示すように、第5及び第3クラッド層225、220上にそれぞれ、通常はCVD法により二酸化珪素層230が形成され、その後、第5の実施形態と同様に、ウィンドウ領域235が形成される。その後、電極240、245が構造体に蒸着されるかあるいは接合される。
【0079】
次に、図24を参照することにより、Ga含有率x及びP含有率yの選択と、InGaNP構成層の場合の両含有率の関係をより深く理解できる。特に、GaとPの相対含有率は、0<x<1、0<y<1、4.93x+12.8y<=1または1.28x-7y>=1の関係をほぼ満足させることが必要である。
【0080】
InGaNP材料系の場合、GaN、InN、GaP及びInPの格子定数はそれぞれ異なる。例えば、GaNとGaP間、InNとInP間、及びGaNとInN間の格子不整合は、それぞれ21.2%、17.2%及び10.2%である。したがって、GaN、InN、GaP及びInP間で等価結合距離が互いに異なっていることからInGaNP層の等価格子定数が基板と同じであっても、内部歪エネルギーがInGaNP層内に蓄積する。図24は、様々な成長温度に対してグラフ化された相分離領域の境界を示す。図24の線は様々な温度に関して組成的に不安定な(相分離)領域と安定した領域との間の境界を示している。相分離が発生する場合には、InGaNP層内のGa原子、In原子、N原子及びP原子が各構成層内の原子含有率に従って均一に分布されない。別の言い方をすれば、相分離された層のバンドギャップエネルギー分布もその層内で不均一になる。相分離された層内の相対的に小さなバンドギャップ領域は、光吸収中心として作用するか、あるいは導波光の散乱を発生させる。このことは、高効率の発光素子を得るためには相分離現象を回避する必要があることを意味する。
【0081】
さらに図24によれば、相分離領域が温度とともに変化することが分かる。図24の線は様々な温度に関して組成的に不安定な領域、すなわち、相分離となる領域と安定した領域との間の境界を示している。InP-InN線と、GaP-GaN線と境界線とで囲まれた領域は相分離含有率領域を示す。3元合金InNP、InGaN及びGaNPは、InNとInPとの間、InNとGaNとの間及びGaNとGaPとの間の格子不整合が大きいために相分離領域が大きいことが分かった。他方、3元合金InGaPは、約1000℃の結晶成長温度では、InPとGaPとの間の格子不整合が相対的に小さいために相分離領域がないことが分かった。
【0082】
したがって、通常結晶成長温度が約600℃ないし約1000℃の概算範囲内にあるInGaNP材料系を提供できることが分かった。同様に、InGaNPのGa含有率及びP含有率の相分離がおよそ600℃とおよそ1000℃の間の処理温度では大量には発生しないことが分かった。最後に、これら2つの点を結びつけることにより、約1000℃より低い結晶成長温度で相分離を回避するためのInGaNPのGa含有率及びP含有率の含有率選択領域は、図25の斜線領域であり、2つの領域を分離する線が4.93x+12.8y=1及び1.28x-7y=1の関係によって近似的に定義されることがわかる。
【0083】
したがって、これまでに開示した2つの各構造的実施形態の場合、レーザダイオードの全構成層のGa含有率x及びP含有率yが0<=x<=1、0<=y<=1、かつ4.93x+12.8y<=1または1.28x-7y>=1の関係をほぼ満たすとき、およそ600℃と約1000℃との間の結晶成長温度で動作することによって、InGaNP材料系内で相分離現象を回避することができる。その結果、原子モル分率に従って各構成層内にGa原子、In原子、N原子及びP原子がほぼ均一に分布する。
【0084】
図26は、約1000℃より低い成長温度で相分離現象を回避するとともにGaNにとって適切な格子整合を依然として確保するためのInGaNP系のGa含有率x及びP含有率yの含有率選択線を示す。図26の線は3.54(1-x)(1-y)+4.15(1-x)y+3.18x(1-y) +3.86xy=3.2の例示的な線を示す。したがって、GaN基板上に形成されたレーザダイオードのInGaNP構成層のGa含有率及びP含有率が、3.54(1-x)(1-y)+4.15(1-x)y +3.18x(1-y)+3.86xyがほぼ3.18に等しく、0<=x<=1、0<=y<=1及び4.93x+12.8y<=1または1.28x-7y>=1である関係を確実に有していることによって、欠陥密度が低く、相分離が全くないか非常に少ないレーザダイオードをGaN基板上に得ることができる。
【0085】
さらに、上述した材料系によって他の半導体構造を製造することも可能である。III族窒化物材料、特にGaNとAlNは高出力高温条件下で動作可能な電子デバイス、例えばマイクロ波パワートランジスタでの使用に有望である。これは、そのバンドギャップの広さ(GaNの場合3.5eV、AlNの場合6.2eV)、降伏電界の高さ、飽和速度の高さにある程度起因している。比較すると、AlAs、GaAs、Siのバンドギャップは、それぞれ、2.16eV、1.42eV、1.12eVである。このことは、そのような電界効果トランジスタ(FET)用にAlGaN/GaN材料を使用することの有意義な研究に繋がっている。しかしながら、既に述べたように、AlGaNとGaNの格子定数の違いから重大な欠陥が発生し、そのことが、結果得られる構造体内の電子の移動度とそのような材料系のFET用途での実用性に限界を与えている。
【0086】
本発明は、本発明のInGaNP/GaN材料がGaNと等しい格子定数を有するという点で上記の限界をほぼ克服する。既に述べたように、Ga含有率(x)及びP含有率(y)が0<=x<=1、0<=y<=1、1.28x-7y>=1、3.54(1-x)(1-y)+4.15(1-x)y+3.18x(1-y)+3.86xyが3.18±0.02に等しいという関係を満たすとき、In1-xGaxN1-yPyの4元材料系は2.7eVより大きいバンドギャップを持つだけでなく、GaNとほぼ等しい格子定数を有する。これにより、様々な層内でほぼ均一な原子含有率分布を有するFET等の半導体構造が製造可能になる。したがって、Gaモル分率x及びPモル分率yが上記の関係を満たす本発明にかかるInGaNP/GaN材料系を使用することにより、欠陥密度の低い高出力高温トランジスタを実現することができる。
【0087】
図27Aに、本発明にかかるInGaNP/GaN材料を用いたヘテロ接合電界効果トランジスタ(HFET)の典型的な実施形態を示す。GaN基板1520上には、0.5μm厚のi-InGaNP層1525が形成され、その次に、薄い約10nm厚のInGaNP導電用チャンネル層1530と10nm厚のGaN層1535が形成されている。ソース電極及びドレイン電極1540A、1540Bとゲート電極1545が従来の方法で形成されている。この構造において、InGaNP層のGa含有率x及びP含有率yはそれぞれ0.999及び0.025に設定されている。この場合、xとyの値は0<=x<=1、0<=y<=1、1.28x-7y>=1、3.54(1-x)(1-y)+4.15(1-x)y+3.18x(1-y)+3.86xyがほぼ3.18に等しいという関係を満たしている。これにより、実質的に相分離がなくGaNとほとんど等しい格子定数を有するInGaNP層が得られる。ひいては、InGaNP層とGaN層のヘテロ界面に形成された2次元電子ガスが(欠陥が存在する場合に発生するような)InGaNP層の原子含有率の揺らぎによって散乱されることがないために、高い電子速度を達成することができる。さらに、InGaNPのバンドギャップは3eVより大きいので、図27Aに示す構造を使用することにより信頼性のある高温動作を実現することができる。
【0088】
同様に、図27Bは本発明にかかるヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)の実施形態を示す。GaN基板1550上には、400nm厚のn型GaNコレクタ層1555が形成され、その次に、50nm厚のp型InGaNPベース層1560と300nm厚のn型GaNエミッタ層1565が形成されている。ベース電極1570、コレクタ電極1575及びエミッタ電極1580が従来の方法で形成されている。図27Aと同様に、図27Bの実施形態では、InGaNP層のGa含有率x及びP含有率yはそれぞれ0.999及び0.025に設定されており、xとyは上記と同じ関係を満たす必要がある。図27Aと同様に、大きな相分離がなくGaNと等しい格子定数を有するInGaNP層が実現され、その結果、非常に高品質のInGaNP/GaNヘテロ接合が得られる。さらに、GaNエミッタ層のバンドギャップ(3.5eV)はInGaNPベース層のバンドギャップ(3eV)より大きいので、p型ベース層に発生した正孔がこのベース層内にうまく閉じ込められる。これは、GaNホモ接合バイポーラトランジスタにおいて発生するよりも大きな価電子帯不連続がGaNとInGaNPとの間に発生することに起因する。このことは、ベース電流に比べて電流増幅が大きいコレクタ電流が得られるという利点をもたらす。さらに、上述したように、InGaNPとGaN層のバンドギャップは大きいので、トランジスタを高温での用途に信頼性を持って利用することができる。
【0089】
次に、図28に、本発明のフォトトランジスタとしての実施例を示す。この点に関して、GaNとInNは広いバンドギャップ(GaNの場合、350nmの光の波長に相当する3.5eV、InNの場合、650nmの光の波長に相当する1.9eV)を有するので、GaNとInGaNは可視光領域の光検出器にとって魅力的な材料である。直接バンドギャップとInN合金の組成範囲全体の中でのInGaNの可用性のために、InGaN/GaNによる可視光検出器は、高遮断波長が調整可能であるとともに、量子効率が高いという利点をもたらす。しかしながら、InGaNの格子定数は欠陥が形成されやすいほどGaNと異なっており、漏れ電流を増加させることになる。Ga含有率(x)及びP含有率(y)が0<=x<=1、0<=y<=1、1.28x-7y>=1の関係を満たすIn1-xGaxN1-yPyは、2.7eVより大きいバンドギャップを提供するだけでなく、各層内に同じ原子含有率分布で形成することができるので、InGaNP材料を可視光検出器用途に利用することも可能である。さらに、Ga含有率x及びP含有率yが3.54(1-x)(1-y)+4.15(1-x)y+ 3.18x(1-y)+3.86xyがほぼ3.18±0.02に等しいという関係を満たすIn1-xGaxN1-yPyの4元材料は、GaNとほぼ等しい格子定数と2.7eVより大きいバンドギャップを有する。したがって、Ga含有率x及びP含有率yが上記の関係を満たすInGaNP/GaN材料を使用することにより、欠陥密度の低いUV光から青色光までの検出器を実現することができる。他の周波数の検出が必要な場合には、わずかな変更しか必要としない。
【0090】
図28に示すように、本発明の半導体装置は、InGaNP/GaN材料を使用してヘテロ接合フォトトランジスタ(HPT)の形で実施可能である。GaN基板1700上には、n型GaNコレクタ層1705がおよそ500nm厚に形成され、その次に、200nm厚のp型InGaNPベース層1710が形成されている。その後、およそ500nm厚のInGaNPエミッタ層1715が形成されている。エミッタ層の上には、光がベース層に当たるようにリング状の電極1720が形成されている。
【0091】
典型的な構造では、InGaNP層のGa含有率x及びP含有率yはそれぞれ0.999及び0.025に設定される。この場合、xとyの値は0<=x<=1、0<=y<=1、1.28x-7y>=1、3.54(1-x)(1-y)+4.15(1-x)y+3.18x(1-y)+3.86xyがほぼ3.18に等しいという関係を満たすので、InGaNP層をGaNと等しい格子定数を持ちながら相分離をほぼ回避するように形成して、高品質のInGaNP/GaNヘテロ接合を形成することが可能になる。GaNエミッタ層のバンドギャップ(350nmの光の波長に相当する3.5eV)はInGaNPベース層のバンドギャップ(410nmの光の波長に相当する3eV)よりも大きい。光はエミッタ側に照射される。図示の実施形態の場合、350nmと410nmの間の波長範囲の照射光はエミッタ層を透過するので、InGaNPベース層に吸収されて電子と正孔の対を発生させる。GaNとInGaNPとの間の価電子帯の不連続が従来のGaNホモ接合フォトトランジスタの場合よりも大きいので、p型ベース層の光吸収によって生成された正孔はベース層にうまく閉じ込められる。これにより、より大きなエミッタ電流が誘導されることになり、ホモ接合フォトトランジスタの場合よりも優れた電子中和がベース領域にもたらされる。したがって、高量子効率かつ高感度、及びその結果として入射光からコレクタ電流への高変換効率を有する青色光検出器が得られる。
【0092】
図28のフォトトランジスタに加えて、本発明に従ってフォトダイオードを実現することも可能である。図29では、n型基板1900が設けられており、その上にIn1-xGaxN1-yPy4元材料または等価物からなるn型層910が形成され、この層は図28に関連して上述した関係に従っている。その後、活性層1915が形成され、その上方には、p型In1-xGaxN1-yPy4元材料からなる層1920が形成されている。そして、この層1920の上方に、p型第2クラッド層1925が形成され、そこには、層1920の一部を露出させるようにウィンドウ1930が形成されている。ウィンドウ1930は光を層1920に当てることができる入口となって正孔を発生させる。従来の方法で一対の電極1935、1940が形成されてもよく、その場合、電極1935は、通常、ウィンドウ1930周りのリング状の電極である。第2クラッド層1925のバンドギャップは層1920のバンドギャップよりも大きいことが好ましく、さらに、層1920のバンドギャップは活性層1915のバンドギャップよりも大きいことが好ましいことが理解できる。そのような手法によれば、最大限広い範囲の光の波長に対して感度がよくなる。より狭い波長範囲が望ましい場合には、層1920よりも小さなバンドギャップを有する材料を層1925に対して使用してもよい。さらに、層1910、1915、1920は、少なくともいくつかの場合には、適正な光電性pn接合を提供するので、全ての実施形態に層1925を含ませる必要はない。
【0093】
本発明の好ましい実施形態と様々な代替物について説明したが、当業者であれば、本明細書中の教示を与えられると、本発明から逸脱することなく多数の代替物及び等価物が存在することが理解できるであろう。したがって、本発明は上記の説明によって限定されるものではなく、特許請求の範囲によってのみ限定されるものである。
【0094】
図30には、本発明の第7の実施形態にかかる半導体構造が断面図で示されている。本発明は複数の素子タイプに適用されるが、例示のため、図面の多くにおいて示す半導体構造はレーザダイオードとする。特に図30に示すように、n型GaN基板300が設けられており、その上に、n型GaN第1クラッド層305(通常0.5μm厚)が形成されている。その後、通常およそ1.5μm厚のn型Al0.99In0.01N0.99P0.01材料からなる第2クラッド層310が形成され、その次に、多重量子井戸活性層315が形成され、この多重量子井戸活性層315は、典型的な構成では、およそ35オングストローム厚のAl0.99In0.01N0.973P0.027材料からなる3つの量子井戸層と、およそ35オングストローム厚のAl0.99In0.01N0.975P0.025材料からなる4つの障壁層を3対の構成で備えている。次に、p型Al0.99In0.01N0.99P0.01材料からなる第3クラッド層320(通常およそ1.5μm厚)が形成され、その次に、p型GaN第5クラッド層325(およそ0.5μm厚)が形成されている。p型GaN第4クラッド層325の上に、ストライプ状ウィンドウ領域335(3.0μm幅)を1つ有するSiO2層330が形成されている。n型GaN基板300の上には第1の電極340が形成されており、SiO2層330及びウィンドウ領域335の上には第2の電極345が形成されている。
【0095】
活性層315から230nmの波長領域を有する紫外光を放出させるために、全ての層のIn含有率x及びP含有率yが、3.11(1-x)(1-y)+3.85(1-x)y+3.54x(1-y)+4.15xyがほぼ一定の値に等しく、少なくとも第7の実施形態の場合はおよそ3.11±0.05であるという条件を一様に満たしている。相分離に起因する欠陥を回避するため、様々な構成層のそれぞれにおいてIn含有率x及びP含有率yを3.11(1-x)(1-y)+3.85(1-x)y+ 3.54x(1-y)+4.15xyが一定の値にほぼ等しい、第7の実施形態の場合はおよそ3.18±0.05であるという条件を満たすように設定することによって、様々な構成層の格子定数を互いに一致させ、各層の等価格子定数がGaNの格子定数にほぼ等しくなるようにしている。
【0096】
材料を適正に選択することにより、n型第2クラッド層310及びp型第3クラッド層320のバンドギャップエネルギーが3対の多重量子井戸活性層315のバンドギャップエネルギーより大きくなる。これにより、n型第2クラッド層310及びp型第3クラッド層320からの注入キャリアが活性層315内に閉じ込められ、キャリアが再結合して紫外光を放出する。さらに、n型第2クラッド層310及びp型第3クラッド層320の屈折率が多重量子井戸活性層315の屈折率より小さいので、光の場が横方向に閉じ込められる。
【0097】
電極345からの注入電流は閉じ込められてウィンドウ領域335を流れるので、ウィンドウ領域335下方の活性層315内の領域が強く活性化される。これにより、ウィンドウ領域下方の活性層内の局部モード利得がSiO2層下方の活性層内の局部モード利得より高くなる。したがって、第1の実施形態の構造内に、レーザ発振をもたらす、利得導波による導波路機構を形成することができる。
【0098】
図31Aないし図31Dは、第7の実施形態にかかる典型的なレーザダイオードを構成するのに必要な製造工程の概要を順に示す。図31Aないし図31Dから得られる構造は図30に示すものと類似しているので、可能な場合には要素に同じ参照番号を使用することとする。最初に図31Aに示すように、n型GaN基板300が設けられており、その上には、n型GaN第1クラッド層305が成長している。第1クラッド層305は通常およそ0.5μm厚である。その後、通常およそ1.5μm厚のn型Al0.99In0.01N0.99P0.01第2クラッド層310が形成される。
【0099】
次に、およそ35オングストローム厚のAl0.99In0.01N0.975P0.025材料からなる4つの障壁層と、それぞれおよそ35オングストローム厚の3層のAl0.99In0.01N0.973P0.027材料とからなる3つの量子井戸を形成することにより、多重量子井戸活性層315が形成される。その後、およそ1.5μm厚のp型Al0.99In0.01N0.99P0.01材料からなる第3クラッド層320が形成された後、およそ0.5μm厚のp型GaNからなる第4クラッド層325が形成される。通常、各層は有機金属化学蒸着(MOCVD)法あるいは分子線エピタキシ(MBE)法のどちらかによって形成される。
【0100】
その後、図31Bに示すように、p型GaN第4クラッド層325上に、例えば化学蒸着(CVD)法によって二酸化珪素(SiO2)層330が形成される。フォトリソグラフィとエッチングまたは他の適切な方法とを用いて、図31Cに示すように、ウィンドウ領域335が形成される。ウィンドウ領域335は、少なくとも一部の実施形態ではストライプ状であってもよい。最後に、図31Dに示すように、蒸着あるいは他の適切な方法により、n型GaN基板300とSiO2層330上にそれぞれ第1の電極340と第2の電極345が形成される。
【0101】
次に、図32を参照することにより、本発明にかかる半導体構造の第8の実施形態をより深く理解することができる。第7の実施形態と同様に、第8の実施形態の典型的な適用例はレーザダイオードの作成である。第8の実施形態の構造により、実屈折率導波を有する導波路機構を構造内に組み込むことができる。これにより、基本横モードで動作可能な低閾値電流レーザダイオードが提供される。
【0102】
引き続き図32に基づいて、参照を容易にするため、同じ要素を同じ参照番号で示す。n型GaN基板300に、およそ0.5μm厚のn型GaNから第1クラッド層305が形成されている。続いて、およそ1.5μm厚のAl0.99In0.01N0.99P0.01材料からn型第2クラッド層310が形成されている。その後、およそ35オングストローム厚のAl0.99In0.01N0.975P0.025材料からなる4つの障壁層とおよそ35オングストローム厚のAl0.99In0.01N0.973P0.027材料からなる3つの井戸層を備えた多重量子井戸活性層315が形成されている。次に、およそ1.5μm厚のAl0.99In0.01N0.99P0.01材料からなる第3のp型クラッド層320が形成されている。その後、第3クラッド層320のリッジ構造2500全体に、およそ0.5μm厚のp型GaN第4クラッド層325が形成されている。そして、第3及び第4クラッド層が部分的に除去されてリッジ構造2500が形成されている。
【0103】
その後、第3クラッド層320の残存する露出部分と第4クラッド層325を覆うように二酸化珪素(SiO2)層330が形成されている。第4及び第3クラッド層325、320の上方には、それぞれSiO2層を介して、およそ2.0μm幅のストライプ状のウィンドウ領域335が形成されている。第7の実施形態と同様に、n型GaN基板300上には第1の電極340が形成され、SiO2層330及びウィンドウ領域335の上には第2の電極345が形成されている。
【0104】
第7の実施形態と同様に、活性層315から230nm領域の波長を有する紫外光を放出させるために、井戸層内のIn含有率x及びP含有率yがそれぞれ0.01、0.027に設定されている。同様に、各構成層の格子定数を一致させて相分離に起因する欠陥を回避するため、全ての層のIn含有率x及びP含有率yが、3.11(1-x)(1-y)+ 3.85(1-x)y+3.54x(1-y)+4.15xyがほぼ一定の値に等しい、例えば、3.13±0.05であるという条件を満たしている。同様に、クラッド層のバンドギャップエネルギーが活性層のバンドギャップエネルギーより大きい値に維持され、青色光の放出が可能になっている。また、材料の屈折率は第7の実施形態に関連して述べたとおりであり、光の場を横方向に閉じ込められるようになっている。
【0105】
第7の実施形態の動作と同様に、SiO2層が注入電流を拘束するので、活性層315のウィンドウ領域335下方の領域が強く活性化される。その結果は、やはり、ウィンドウ領域335下方の活性層内の局部モード利得がSiO2層330下方の活性層内の局部モード利得より高くなる。これにより、リッジストライプ領域の外側と比較して内側において横方向の実効屈折率が相対的に高くなることと相俟って、実効屈折率ステップが得られる。これにより、実屈折率導波からなる組込み式の導波路機構を有する構造が得られる。したがって、第8の実施形態の構造により、基本横モードで動作可能な低閾値電流レーザダイオードが提供される。
【0106】
次に、図33Aないし図33Eに、第6の実施形態にかかる半導体レーザダイオードの典型的な素子の主要製造工程の概要を示す。
【0107】
まず、図33A及び図33Bに示すように、n型GaN基板300上への第1及び第2クラッド層305、310及び3対の多重量子井戸活性層315の形成は第7の実施形態と同じである。その後、第3及び第4のクラッド層320、325が形成された後、通常はエッチングにより、一部が除去されてリッジ構造2500が形成される。既に述べたように、典型的な実施形態では、MOCVD法あるいはMBE法のどちらかにより様々な層が順次形成される。
【0108】
その後、図33Cないし図33Eに示すように、第5及び第3クラッド層325、320上にそれぞれ、通常はCVD法により二酸化珪素層330が形成され、その後、第7の実施形態と同様に、ウィンドウ領域335が形成される。その後、電極340、345が構造体に蒸着されるかあるいは接合される。
【0109】
次に、図34を参照することにより、In含有率x及びP含有率yの選択と、InAlNP構成層の場合の両含有率の関係をより深く理解できる。特に、InとAsの相対含有率は、0<=x<=1、0<=y<=1、9.62x+32.3y<=1または1.12x-1.54y>=1の関係をほぼ満足させることが必要である。
【0110】
InAlNP材料系の場合、AlN、InN、AlP及びInPの格子定数はそれぞれ異なる。例えば、AlNとAlP間、InNとInP間、及びAlNとInN間の格子不整合は、それぞれ23.9%、17.2%及び13.8%である。したがって、AlN、InN、AlP及びInP間で等価結合距離が互いに異なっていることからInAlNP層の等価格子定数が基板と同じであっても、内部歪エネルギーがInAlNP層内に蓄積する。図34は、様々な成長温度に対してグラフ化された相分離領域の境界を示す。図34の線は様々な温度に関して組成的に不安定な(相分離)領域と安定した領域との間の境界を示している。相分離が発生する場合には、InAlNP層内のAl原子、In原子、N原子及びP原子が各構成層内の原子含有率に従って均一に分布されない。別の言い方をすれば、相分離された層のバンドギャップエネルギー分布もその層内で不均一になる。相分離された層内の相対的に小さなバンドギャップ領域は、光吸収中心として作用するか、あるいは導波光の散乱を発生させる。このことは、高効率の発光素子を得るためには相分離現象を回避する必要があることを意味する。
【0111】
さらに図34によれば、相分離領域が温度とともに変化することが分かる。図34の線は様々な温度に関して組成的に不安定な領域、すなわち、相分離となる領域と安定した領域との間の境界を示している。InP-InN線と、AlP-AlN線と境界線とで囲まれた領域は相分離含有率領域を示す。3元合金InNP、InAlN及びAlNPは、InNとInPとの間、InNとAlNとの間及びAlNとAlPとの間の格子不整合が大きいために相分離領域が大きいことが分かった。他方、3元合金InAlPは、約1000℃の結晶成長温度では、InPとAlPとの間の格子不整合が小さいために相分離領域がないことが分かった。
【0112】
したがって、通常結晶成長温度が約600℃ないし約1000℃の概算範囲内にあるAlInNP材料系を提供できることが分かった。同様に、AlInNPのAl含有率及びP含有率の相分離がおよそ600℃とおよそ1000℃の間の処理温度では大量には発生しないことが分かった。最後に、これら2つの点を結びつけることにより、約1000℃より低い結晶成長温度で相分離を回避するためのAlInNPのAl含有率及びP含有率の含有率選択領域は、図35の斜線領域であり、2つの領域を分離する線が9.62x+32.3y<=1及び1.12x-1.54y>=1の関係によって近似的に定義されることがわかる。
【0113】
したがって、これまでに開示した2つの各構造的実施形態の場合、レーザダイオードの全構成層のIn含有率x及びP含有率yが0<=x<=1、0<=y<=1、かつ9.62x+32.3y<=1または1.12x-1.54y>=1の関係をほぼ満たすとき、およそ600℃と約1000℃との間の結晶成長温度で動作することによって、AlInNP材料系内で相分離現象を回避することができる。その結果、原子モル分率に従って各構成層内にAl原子、In原子、N原子及びP原子がほぼ均一に分布する。
【0114】
さらに、上述した材料系によって他の半導体構造を製造することも可能である。III族窒化物材料、特にGaNとAlNは高出力高温条件下で動作可能な電子デバイス、例えばマイクロ波パワートランジスタでの使用に有望である。これは、そのバンドギャップの広さ(GaNの場合3.5eV、AlNの場合6.2eV)、降伏電界の高さ、飽和速度の高さにある程度起因している。比較すると、AlAs、GaAs、Siのバンドギャップは、それぞれ、2.16eV、1.42eV、1.12eVである。このことは、そのような電界効果トランジスタ(FET)用にAlGaN/GaN材料を使用することの有意義な研究に繋がっている。しかしながら、既に述べたように、AlGaNとGaNの格子定数の違いから重大な欠陥が発生し、そのことが、結果得られる構造体内の電子の移動度とそのような材料系のFET用途での実用性に限界を与えている。
【0115】
本発明は、本発明のAlInNP/AlN材料がAlNとほぼ等しい格子定数を有するという点で上記の限界をほぼ克服する。既に述べたように、In含有率(x)及びP含有率(y)が0<=x<=1、0<=y<=1、9.62x+32.3y<=1、3.11(1-x)(1-y)+3.85(1-x)y+3.54x(1-y)+4.15xyがほぼ3.11に等しいという関係を満たすとき、Al1-xInxN1-yPyの4元材料系は5eVより大きいバンドギャップを持つだけでなく、AlNとほぼ等しい格子定数を有する。これにより、様々な層内でほぼ均一な原子含有率分布を有するFET等の半導体構造が製造可能になる。したがって、Inモル分率x及びPモル分率yが上記の関係を満たす本発明にかかるAlInNP/AlN材料系を使用することにより、欠陥密度の低い高出力高温トランジスタを実現することができる。
【0116】
図36Aに、本発明にかかるAlInNP/AlN材料を用いたヘテロ接合電界効果トランジスタ(HFET)の典型的な実施形態を示す。AlN基板2520上には、0.5μm厚のi-AlInNP層2525が形成され、その次に、薄い約10nm厚のAlInNP導電用チャンネル層2530と10nm厚のAlN層2535が形成されている。ソース電極及びドレイン電極2540A、2540Bとゲート電極2545が従来の方法で形成されている。この構造において、AlInNP層のIn含有率x及びP含有率yはそれぞれ0.01及び0.027に設定されている。この場合、xとyの値は0<=x<=1、0<=y<=1、9.62x+32.3y<=1、3.11(1-x)(1-y)+3.85(1-x)y+3.54x(1-y)+4.15xyがほぼ3.11に等しいという関係を満たしている。これにより、実質的に相分離がなくAlNとほぼ等しい格子定数を有するAlInNP層が得られる。ひいては、AlInNP層とAlN層のヘテロ界面に形成された2次元電子ガスが(欠陥が存在する場合に発生するような)AlInNP層の原子含有率の揺らぎによって散乱されることがないために、高い電子速度を達成することができる。さらに、AlInNPのバンドギャップは5.2eVより大きいので、図36Aに示す構造を使用することにより信頼性のある高温動作を実現することができる。
【0117】
同様に、図36Bは本発明にかかるヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)の実施形態を示す。AlN基板2550上には、400nm厚のn型AlNコレクタ層2555が形成され、その次に、50nm厚のp型AlInNPベース層2560と300nm厚のn型AlNエミッタ層2565が形成されている。ベース電極2570、コレクタ電極2575及びエミッタ電極2580が従来の方法で形成されている。図36Aと同様に、図36Bの実施形態では、AlInNP層のIn含有率x及びP含有率yはそれぞれ0.01及び0.027に設定されており、xとyは上記と同じ関係を満たす必要がある。図36Aと同様に、大きな相分離がなくAlNとほぼ等しい格子定数を有するAlInNP層が実現され、その結果、非常に高品質のAlInNP/GaNヘテロ接合が得られる。さらに、AlNエミッタ層のバンドギャップ(6.2eV)はAlInNPベース層のバンドギャップ(5.2eV)より大きいので、p型ベース層に発生した正孔がこのベース層内にうまく閉じ込められる。これは、AlNホモ接合バイポーラトランジスタにおいて発生するよりも大きな価電子帯不連続がAlNとAlInNPとの間に発生することに起因する。このことは、ベース電流に比べて電流増幅が大きいコレクタ電流が得られるという利点をもたらす。さらに、上述したように、AlInNPとAlN層のバンドギャップは大きいので、トランジスタを高温での用途に信頼性を持って利用することができる。
【0118】
次に、図37に、本発明のフォトトランジスタとしての実施例を示す。この点に関して、GaNとAlNは広いバンドギャップ(GaNの場合、350nmの光の波長に相当する3.5eV、AlNの場合、200nmの光の波長に相当する6.2eV)を有するので、GaNとAlNは紫外光領域の光検出器にとって魅力的な材料である。直接バンドギャップとAlN合金の組成範囲全体の中でのAlGaNの可用性のために、AlGaN/GaNによる可視光検出器は、高遮断波長が調整可能であるとともに、量子効率が高いという利点をもたらす。しかしながら、AlGaNの格子定数は欠陥が形成されやすいほどGaNと異なっており、漏れ電流を増加させることになる。In含有率(x)及びAs含有率(y)が0<=x<=1、0<=y<=1、9.62x+32.3y<=1の関係を満たすAl1-xInxN1-yPyは、5eVより大きいバンドギャップを提供するだけでなく、各層内に同じ原子含有率分布で形成することができるので、AlInNP材料を可視光検出器用途に利用することも可能である。さらに、In含有率x及びP含有率yが3.11(1-x)(1-y)+3.85(1-x)y+3.54x(1-y) +4.15xyがほぼ3.11に等しいという関係を満たすAl1-xInxN1-yPyの4元材料は、AlNとほぼ等しい格子定数と5eVより大きいバンドギャップを有する。したがって、In含有率x及びP含有率yが上記の関係を満たすAlInNP/AlN材料を使用することにより、欠陥密度の低いUV光検出器を実現することができる。他の周波数の検出が必要な場合には、わずかな変更しか必要としない。
【0119】
図37に示すように、本発明の半導体装置は、AlInNP/AlN材料を使用してヘテロ接合フォトトランジスタ(HPT)の形で実施可能である。AlN基板2700上には、n型AlNコレクタ層2705がおよそ500nm厚に形成され、その次に、200nm厚のp型AlInNPベース層2710が形成されている。その後、およそ500nm厚のAlNエミッタ層2715が形成されている。エミッタ層の上には、光がベース層に当たるようにリング状の電極2720が形成されている。
【0120】
典型的な構造では、AlInNP層のIn含有率x及びP含有率yはそれぞれ0.01及び0.027に設定される。この場合、xとyの値は0<=x<=1、0<=y<=1、9.62x+32.3y<=1、3.11(1-x)(1-y)+3.85(1-x)y+3.54x(1-y)+4.15xyがほぼ3.11に等しいという関係を満たすので、AlInNP層をAlNと等しい格子定数を持ちながら相分離をほぼ回避するように形成して、高品質のAlInNP/AlNヘテロ接合を形成することが可能になる。AlNエミッタ層のバンドギャップ(200nmの光の波長に相当する6.2eV)はAlInNPベース層のバンドギャップ(230nmの光の波長に相当する5.2eV)よりも大きい。光はエミッタ側に照射される。図示の実施形態の場合、200nmと230nmの間の波長範囲の照射光はエミッタ層を透過するので、AlInNPベース層に吸収されて電子と正孔の対を発生させる。AlNとAlInNPとの間の価電子帯の不連続が従来のAlNホモ接合フォトトランジスタの場合よりも大きいので、p型ベース層の光吸収によって生成された正孔はベース層にうまく閉じ込められる。これにより、より大きなエミッタ電流が誘導されることになり、ホモ接合フォトトランジスタの場合よりも優れた電子中和がベース領域にもたらされる。したがって、高量子効率かつ高感度、及びその結果として入射光からコレクタ電流への高変換効率を有する青色光検出器が得られる。
【0121】
図37のフォトトランジスタに加えて、本発明に従ってフォトダイオードを実現することも可能である。図38では、n型基板2900が設けられており、その上にAl1-xInxN1-yPy4元材料または等価物からなるn型層2910が形成され、この層は図37に関連して上述した関係に従っている。その後、活性層2915が形成され、その上方には、p型Al1-xInxN1-yPy4元材料からなる層2920が形成されている。そして、この層2920の上方に、p型第2クラッド層2925が形成され、そこには、層2920の一部を露出させるようにウィンドウ2930が形成されている。ウィンドウ2930は光を層2920に当てることができる入口となって正孔を発生させる。従来の方法で一対の電極2935、2940が形成されてもよく、その場合、電極2935は、通常、ウィンドウ2930周りのリング状の電極である。第2クラッド層2925のバンドギャップは層2920のバンドギャップよりも大きいことが好ましく、さらに、層2920のバンドギャップは活性層2915のバンドギャップよりも大きいことが好ましいことが理解できる。そのような手法によれば、最大限広い範囲の光の波長に対して感度がよくなる。より狭い波長範囲が望ましい場合には、層2920よりも小さなバンドギャップを有する材料を層2925に対して使用してもよい。さらに、層2910、2915、2920は、少なくともいくつかの場合には、適正な光電性pn接合を提供するので、全ての実施形態に層2925を含ませる必要はない。
【0122】
本発明の好ましい実施形態と様々な代替物について説明したが、当業者であれば、本明細書中の教示を与えられると、本発明から逸脱することなく多数の代替物及び等価物が存在することが理解できるであろう。したがって、本発明は上記の説明によって限定されるものではなく、特許請求の範囲によってのみ限定されるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来の3元材料系を用いた従来技術のレーザダイオード構造を示す。
【図2】 本発明の第1の実施形態にかかる半導体構造を断面図で示す。
【図3】 図1の構造にかかるレーザダイオードの光−電流特性のグラフを示す。
【図4】 本発明の第1の実施形態にかかる半導体構造に関する典型的な一連の製造工程を示す。
【図5】 第2の実施形態にかかる半導体構造を断面図で示す。
【図6】 図4の構造にかかるレーザダイオードの光−電流特性のグラフを示す。
【図7】 本発明の第1の実施形態にかかる半導体構造に関する典型的な一連の製造工程を示す。
【図8】 第3の実施形態の半導体レーザダイオードの断面図である。
【図9】 第3の実施形態のレーザダイオードの光−電流特性を示す。
【図10】 第3の実施形態の一実験例における半導体レーザダイオードの一連の製造工程を示す。
【図11】 第4の実施形態の半導体レーザダイオードの断面図である。
【図12】 第4の実施形態のレーザダイオードの光−電流特性を示す。
【図13】 第4の実施形態の一実験例における半導体レーザダイオードの一連の製造工程を示す。
【図14】 様々な成長温度において相分離領域と相分離のない領域との間の境界をプロット形式で示す。
【図15】 約1000℃より低い成長温度で相分離を回避するためのGaAlNPにおけるGa含有率とP含有率の含有率選択領域を示す。
【図16】 GaNの格子定数とほぼ等価のGaAlNPの格子定数を生じると同時に、約1000℃より低い成長温度での相分離を回避するためのGaAlNPにおけるGa含有率とP含有率の含有率選択線を示す。
【図17】 (A)及び(B)は本発明の材料系にしたがって構成されたバイポーラ及びFETトランジスタの図を示す。
【図18】 フォトトランジスタとしての本発明の実施例を示す。
【図19】 フォトダイオードとしての本発明の実施例を示す。
【図20】 本発明の第5の実施形態にかかる半導体構造を断面図で示す。
【図21】 本発明の第5の実施形態にかかる半導体構造に関する典型的な一連の製造工程を示す。
【図22】 第6の実施形態にかかる半導体構造を断面図で示す。
【図23】 本発明の第5の実施形態にかかる半導体構造に関する典型的な一連の製造工程を示す。
【図24】 様々な成長温度において相分離領域と相分離のない領域との間の境界をプロット形式で示す。
【図25】 約1000℃より低い成長温度で相分離を回避するためのInGaNPにおけるGa含有率とP含有率の含有率選択領域を示す。
【図26】 GaNの格子定数とほぼ等価のInGaNPの格子定数を生じると同時に、約1000℃より低い成長温度での相分離を回避するためのInGaNPにおけるGa含有率とP含有率の含有率選択線を示す。
【図27】 (A)及び(B)は本発明の材料系にしたがって構成されたバイポーラ及びFETトランジスタの図を示す。
【図28】 フォトトランジスタとしての本発明の実施例を示す。
【図29】 フォトダイオードとしての本発明の実施例を示す。
【図30】 本発明の第7の実施形態にかかる半導体構造を断面図で示す。
【図31】 本発明の第7の実施形態にかかる半導体構造に関する典型的な一連の製造工程を示す。
【図32】 第8の実施形態にかかる半導体構造を断面図で示す。
【図33】 本発明の第8の実施形態にかかる半導体構造に関する典型的な一連の製造工程を示す。
【図34】 様々な成長温度において相分離領域と相分離のない領域との間の境界をプロット形式で示す。
【図35】 約1000℃より低い成長温度で相分離を回避するためのAlInNPにおけるIn含有率とP含有率の含有率選択領域を示す。
【図36】 (A)及び(B)は本発明の材料系にしたがって構成されたバイポーラ及びFETトランジスタの図を示す。
【図37】 フォトトランジスタとしての本発明の実施例を示す。
【図38】 フォトダイオードとしての本発明の実施例を示す。

Claims (9)

  1. 第1導電型のGa 1-x1 Al x1 N 1-y1 P y1 材料(x1はAl含有率、y1はP含有率)からなる第1のクラッド層と、
    GaAlNP活性層と、
    記第1導電型とは逆の導電型のGa 1-x3 Al x3 N 1-y3 P y3 材料(x3はAl含有率、y3はP含有率)からなる第2のクラッド層とを、順次積層形成された状態で備え、
    前記第1のクラッド層は、0<x1<1、0<y1<1、-0.225x1+25y1<=1の関係を満たし、
    前記第2のクラッド層は、0<x3<1、0<y3<1、-0.225x3+25y3<=1の関係を満たし、
    前記活性層は、Al含有率xwおよびP含有率ywが0<xw<1、0<yw<1、および-0.225xw+25yw<=1の関係を満たす、GaAlNP単一あるいは多重量子井戸活性層であり、
    前記第1クラッド層、前記活性層および前記第2のクラッド層のそれぞれについて、Al含有率をxs、P含有率をysとしたとき、3.18(1-xs)(1-ys)+3.86(1-xs)ys+3.11xs(1-ys)+3.85xsysの値が3.18±0.05の範囲内にある
    ことを特徴とする発光素子。
  2. 請求項1記載の発光素子において、
    前記第1のクラッド層、前記活性層および前記第2のクラッド層の結晶成長温度は、600℃から1000℃までの間である
    ことを特徴とする発光素子。
  3. 請求項1または2記載の発光素子において、
    前記第2クラッド層は、リッジ構造を有する
    ことを特徴とする発光素子。
  4. 第1導電型のIN 1-x1 Ga x1 N 1-y1 P y1 材料(x1はGa含有率、y1はP含有率)からなる第1のクラッド層と、
    InGaNP活性層と、
    記第1導電型とは逆の導電型のIn 1-x3 Ga x3 N 1-y3 P y3 材料(x3はGa含有率、y3はP含有率)からなる第2のクラッド層とを、順次積層形成された状態で備え、
    前記第1のクラッド層は、0<=x1<=1、0<=y1<=1、4.93x1+12.8y1<=1または1.28x1-7y1>=1の関係を満たし、
    前記第2のクラッド層は、0<=x3<=1、0<=y3<=1、4.93x3+12.8y3<=1または1.28x3-7y3>=1の関係を満たし、
    前記活性層は、Ga含有率xwおよびP含有率ywが0<xw<1、0<yw<1、および4.93xw+12.8yw<=1または1.28xw-7yw>=1の関係を満たす、InGaNP単一あるいは多重量子井戸活性層であり、
    前記第1クラッド層、前記活性層および前記第2のクラッド層のそれぞれについて、Ga含有率をxs、P含有率をysとしたとき、3.54(1-xs)(1-ys)+4.15(1-xs)ys+3.18xs(1-ys)+3.86xsysの値が3.18±0.05の範囲内にある
    ことを特徴とする発光素子。
  5. 請求項4記載の発光素子において、
    前記第1のクラッド層、前記活性層および前記第2のクラッド層の結晶成長温度は、600℃から1000℃までの間である
    ことを特徴とする発光素子。
  6. 請求項4または5記載の発光素子において、
    前記第2クラッド層は、リッジ構造を有する
    ことを特徴とする発光素子。
  7. 第1導電型のAl 1-x1 In x1 N 1-y1 P y1 材料(x1はIn含有率、y1はP含有率)からなる第1のクラッド層と、
    AlInNP活性層と、
    記第1導電型とは逆の導電型のAl 1-x3 In x3 N 1-y3 P y3 材料(x3はIn含有率、y3はP含有率)からなる第2のクラッド層とを、順次積層形成された状態で備え、
    前記第1のクラッド層は、0<=x1<=1、0<=y1<=1、9.62x1+32.3y1<=1または1.12x1-1.54y1>=1の関係を満たし、
    前記第2のクラッド層は、0<=x3<=1、0<=y3<=1、9.62x3+32.3y3<=1または1.12x3-1.54y3>=1の関係を満たし、
    前記活性層は、In含有率xwおよびP含有率ywが0<xw<1、0<yw<1、および9.32xw+32.3yw<=1または1.12xw-1.54yw>=1の関係を満たす、AlInNP単一あるいは多重量子井戸活性層であり、
    前記第1クラッド層、前記活性層および前記第2のクラッド層のそれぞれについて、In含有率をxs、P含有率をysとしたとき、3.11(1-xs)(1-ys)+3.85(1-xs)ys+3.54xs(1-ys)+4.15xsysの値が3.13±0.05の範囲内にある
    ことを特徴とする発光素子。
  8. 請求項7記載の発光素子において、
    前記第1のクラッド層、前記活性層および前記第2のクラッド層の結晶成長温度は、600℃から1000℃までの間である
    ことを特徴とする発光素子。
  9. 請求項7または8記載の発光素子において、
    前記第2クラッド層は、リッジ構造を有する
    ことを特徴とする発光素子。
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