以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施の形態の組合せ計量装置の構成を示す概略模式図である。また、図2(a)は、この組合せ計量装置の供給ホッパと計量ホッパとメモリホッパを外側正面から視た模式図であり、図2(b)は、供給ホッパと計量ホッパとメモリホッパを側面から視た模式図である。
本実施の形態では、組合せ計量装置の前段の装置として、組合せ計量装置へ被計量物を供給するための供給装置1が備えられ、組合せ計量装置の後段の装置として、組合せ計量された被計量物を包装する包装機20が備えられている。供給装置1は、振動器1aを取付けたトラフ(trough:大型の細長い容器)であり、図示されていない他の装置から被計量物がトラフに供給されて、振動器1aによってトラフを適宜振動させることにより、組合せ計量装置の分散フィーダ3上に被計量物を送り出す。
この組合せ計量装置は、装置上部の中央に、振動器3aを備えた円錐形状の分散フィーダ3が設けられ、分散フィーダ3の上方には、分散フィーダ3上の被計量物の量を検出するために、例えば超音波式のレベルセンサ2が設けられている。分散フィーダ3は、供給装置1から供給される被計量物を振動器3aによる振動によって放射状に分散させる。分散フィーダ3の周囲には、振動器4aを備えた直進フィーダ4が放射状に複数設けられている。各直進フィーダ4は、分散フィーダ3から送られてきた被計量物を振動器4aによる振動によって各供給ホッパ5に送り出す。各直進フィーダ4の被計量物の送出側には供給ホッパ5が設けられ、各供給ホッパ5の下方には2つの収納室を有する計量ホッパ6が設けられている。各計量ホッパ6にはロードセル等の重量センサ7が取り付けられており、この重量センサ7により計量ホッパ6の各収納室内の被計量物の重量が計測される。また、各計量ホッパ6の斜め下方に2つの収納室を有するメモリホッパ8が設けられている。上記の直進フィーダ4と、供給ホッパ5と、計量ホッパ6と、メモリホッパ8と、重量センサ7とを有する計量ユニットが、複数備えられており、各直進フィーダ4の下方に、供給ホッパ5、計量ホッパ6及びメモリホッパ8がそれぞれ対応して設けられ、それぞれが円状に列設されている。また、計量ホッパ6及びメモリホッパ8の下方には、それらのホッパから排出された被計量物を集合させて下部の排出口から排出させる集合シュート9が設けられている。また、集合シュート9の下部の排出口には集合ファンネル10が配設されている。集合ファンネル10は、計量ホッパ6及びメモリホッパ8から排出された被計量物を集合させて包装機20へ排出するための集合シュートの一部を構成していると言える。計量ホッパ6及びメモリホッパ8から集合シュート9上へ排出された被計量物は、集合ファンネル10を通過して包装機20へ投入される。包装機20では、例えば、袋を製造しながら、この袋に組合せ計量装置から投入される被計量物を充填して包装する。
また、図2(a)、(b)に示すように、各計量ホッパ6は、それぞれに被計量物が供給される2つの収納室6a,6bを有し、各メモリホッパ8は、計量ホッパ6の計量室6a,6bと対応する2つの収納室8a,8bを有する。以下では、計量ホッパの収納室を計量室と言い、メモリホッパの収納室をメモリ室と言う。各計量ホッパ6の2つの計量室6a、6bは複数の計量ホッパ6の並び方向(列設方向)と略同方向に並んで配置され、各メモリホッパ8の2つのメモリ室8a、8bは複数のメモリホッパ8の並び方向(列設方向)と略同方向に並んで配置されている。
供給ホッパ5には、独立して駆動可能な2つのゲート51、52が設けられ、各ゲートを開くことにより、計量室6aと計量室6bへ選択的に被計量物を排出可能な構成である。ゲート51が開かれると計量室6bへ被計量物が排出され、ゲート52が開かれると計量室6aへ被計量物が排出される。
計量ホッパ6には、各計量室6a、6bにそれぞれ独立して駆動可能な2つのゲート61、62が設けられ、各ゲートを開くことにより、各計量室6a、6bから別々に被計量物を集合シュート9とメモリホッパ8の対応するメモリ室8a、8bへ選択的に排出可能な構成である。計量室6aのゲート61が開かれると集合シュート9上へ被計量物が排出され、計量室6aのゲート62が開かれるとメモリホッパ8のメモリ室8aへ被計量物が排出される。同様に、計量室6bのゲート61が開かれると集合シュート9上へ被計量物が排出され、計量室6bのゲート62が開かれるとメモリホッパ8のメモリ室8bへ被計量物が排出される。
メモリホッパ8は、各メモリ室8a、8bにそれぞれゲート81が設けられ、各ゲートを開くことにより、各メモリ室8a、8bから別々に被計量物を集合シュート9上へ排出可能な構成である。
図3は本実施の形態の組合せ計量装置の制御系統の概略を示すブロック図である。
制御部16は、組合せ演算手段及び制御手段を含み、CPU等からなる演算制御部161と、RAM及びROM等のメモリからなる記憶部162とで構成されている。記憶部162には、運転用プログラム、運転用設定データである多数の運転パラメータのデータ、その他計量値データ等が記憶される。演算制御部161は、記憶部162に記憶されている運転用プログラムを実行して、供給装置1および組合せ計量装置全体の制御を行うとともに組合せ演算を含む組合せ処理を行う。また、演算制御部161は、I/O回路15を介して入力されるレベルセンサ2の信号を基に、分散フィーダ3上の被計量物を一定量に保つように、振動制御駆動回路12を介して供給装置1の振動器1aの動作を制御する。また、振動制御駆動回路12を介して分散フィーダ3の振動器3a、各直進フィーダ4の振動器4aの動作を制御する。また、ゲート駆動回路14を介して供給ホッパ5、計量ホッパ6の計量室6a、6b及びメモリホッパ8のメモリ室8a、8bのそれぞれのゲートの開閉装置5A,6A,8Aのアクチュエータ(例えばパルスモータ)の動作を制御する。また、各重量センサ7の計測値をA/D変換回路13を介して受け取る。また、操作設定表示器17から信号を入力するとともに、操作設定表示器17へ表示するデータ等の信号を出力する。なお、符号18は、それぞれ1つの計量ユニットに対応するゲート開閉装置を示す。
演算制御部161では、組合せ演算を含む組合せ処理を行い、複数の計量ホッパ6の計量室6a、6bおよびメモリホッパ8のメモリ室8a、8bの中から、被計量物の計量値の合計が所定重量範囲(目標重量値に対する許容範囲)内となる収納室の組合せ(排出組合せ)を1つ求める。この組合せ処理では、計量ホッパ6の計量室6a、6b内の被計量物の計量値は重量センサ7による重量計測値に基づいて算出された被計量物の計量値が用いられる。各計量ホッパ6では、2つの計量室6a、6bのうちの一方の計量室、例えば計量室6aのみに被計量物が供給されているときに、計量室6a内の被計量物の重量が重量センサ7により計量される。さらに他方の計量室6bに被計量物が供給されると、2つの計量室6a、6b内の被計量物の合計重量が重量センサ7により計量される。演算制御部161では、この2つの計量室6a、6b内の被計量物の合計重量から、先に計量されている計量室6a内の被計量物の計量値を減算することで、計量室6b内の被計量物の計量値を算出する。計量ホッパ6の計量室6a、6bからメモリホッパ8のメモリ室8a、8bへ被計量物が供給されると、演算制御部161では、計量ホッパ6の計量室6a、6bにおいて計量及び算出されたときの被計量物の計量値を、メモリホッパ8のメモリ室8a、8bへ供給された被計量物の計量値として認識する。計量ホッパ6の計量室6a、6b及びメモリホッパ8のメモリ室8a、8bのそれぞれに保持されている被計量物の計量値は、記憶部162に記憶される。また、図1に示されるように、制御部16の演算制御部161は、包装機20から例えば排出指令信号がI/O回路15を介して入力され、その排出指令信号に基づいて排出組合せの収納室から被計量物を排出させる排出動作を行わせる。なお、排出組合せを求める組合せ処理の詳細については後述する。
操作設定表示器17は、例えばタッチスクリーン式のディスプレイを備え、その画面上で、組合せ計量装置の運転開始及び停止等の操作を行うことができる。また表示画面を切り替えて組合せ計量装置の運転パラメータの設定等を行うことができ、設定された運転パラメータの値は演算制御部161を介して記憶部162に記憶されている。運転中は通常、組合せ計量装置の運転速度や組合せ処理結果等の運転状況等の表示が行われる。
以上のように構成された本実施の形態の組合せ計量装置の動作について、まずその概略を説明する。供給装置1及び組合せ計量装置の動作は制御部16の制御によって実現される。
まず、供給装置1によって被計量物が組合せ計量装置の上方に搬送されてきて、分散フィーダ3上に載せられる。そして、分散フィーダ3の振動によって放射状に分散されて、分散フィーダ3に続く直進フィーダ4を介して円状に複数配置された供給ホッパ5に被計量物が送られる。各供給ホッパ5の下方に位置する計量ホッパ6の計量室6a、6bが空の場合に、各供給ホッパ5の被計量物が計量ホッパ6の計量室6a、6bに供給される。このとき、供給ホッパ5の1回の供給ではいずれか一方の計量室にのみ被計量物が供給される。供給ホッパ5の一方のゲート51が開閉されることで被計量物が計量室6bへ供給され、他方のゲート52が開閉されることで被計量物が計量室6aへ供給される。また、各計量ホッパ6の計量室6a、6bに対応するメモリホッパ8のメモリ室8a、8bが空の場合に、計量室6a、6bのそれぞれのメモリホッパ排出用のゲート62が開閉されることで、被計量物がメモリホッパ8のメモリ室8a、8bに供給される。
制御部16は、組合せ処理を行うことにより、被計量物を排出すべき収納室の排出組合せを決定し、例えば包装機20からの排出指令信号に基づいて排出組合せの収納室から被計量物を集合シュート9上へ排出させる。このとき、メモリホッパ8のメモリ室8a、8bでは、それぞれのゲート81が開閉されることで被計量物が排出され、計量ホッパ6の計量室6a、6bでは、それぞれの集合シュート排出用のゲート61が開閉されることで被計量物が排出される。被計量物は集合シュート9上を滑り落ち、集合ファンネル10を通過して包装機20へ排出される。包装機20では、例えば、袋を製造しながら、この袋に組合せ計量装置から排出されてきた被計量物を充填して包装する。
ここで、ある1つの計量ユニットについてその動作の一例を説明しておく。ここでは、ある1つの計量ユニットにおいて、供給ホッパ5、計量ホッパ6の計量室6a、6b及びメモリホッパ8のメモリ室8a、8bの全てに被計量物が供給されている状態を考える。この状態から、組合せ処理により、1つの収納室、例えばメモリ室8aが排出組合せに選択され被計量物が排出されて空になると、その直後に、計量室6aからメモリ室8aへ被計量物が供給されるとともに、供給ホッパ5から計量室6aへ被計量物が供給される。この場合、被計量物が供給されてから重量センサ7の安定時間経過後に計量室6a内の被計量物の重量が計量された後、その計量値を組合せ演算に用いることが可能となる。また、対応する計量室6a及びメモリ室8aが排出組合せに選択され被計量物が排出されて空になると、その直後に、供給ホッパ5から計量室6aへ被計量物が供給される。このとき、メモリ室8aは空のままであり、1計量サイクル時間(1計量サイクル時間Tw;図6(a)、(b)参照)経過後でないと、計量室6aからメモリ室8aへの被計量物の供給は行われない。また、対応しない計量室6a及びメモリ室8bが排出組合せに選択され被計量物が排出されて空になると、その直後に、計量室6bからメモリ室8bへ被計量物が供給されるとともに、供給ホッパ5から計量室6aへ被計量物が供給される。このとき、計量室6bは空になり、1計量サイクル時間経過後でないと、供給ホッパ5から計量室6bへの被計量物の供給は行われない。また、2つの計量室6a、6bの両方が排出組合せに選択され被計量物が排出されて空になると、その直後に、供給ホッパ5から2つの計量室6a、6bのうちいずれか一方の計量室へ被計量物が供給される。このとき、他方の計量室は空のままであり、1計量サイクル時間経過後でないと、供給ホッパ5から他方の計量室への被計量物の供給は行われない。供給ホッパ3から2つの空の状態の計量室6a、6bのうちのどちらの計量室へ被計量物を供給するかは予め定めておく。以上のように、供給ホッパ5から計量ホッパ6への被計量物の供給は、1計量サイクル時間ごとに空である1つの計量室(6a、6b)へ1回行われるだけである。
次に、本実施の形態における組合せ処理について詳しく説明する。図4は、本実施の形態における制御部16による組合せ処理を示すフローチャートである。なお、ここで、組合せ計量装置には、例えば、計量ユニットが12個備えられている。この場合、組合せ演算に用いられる計量値は、各計量ユニットについて、計量ホッパ4の計量室6a、6b及びメモリホッパ5のメモリ室8a、8bに対応して4個有り、12個の計量ユニットが配置されているので、最高で合計48個の計量値を組合せ演算に用いることが可能である。しかしながら、組合せ演算に用いることが可能な全ての計量値を用いて組合せ演算を行うと、その演算に長時間を要し、高速運転ができなくなる。そこで、本実施の形態では、組合せ演算に用いる計量値の個数(以下、「使用計量値数」という)をn個以下に制限して組合せ演算を行うようにする。使用計量値数nは、全ての収納室に対応する計量値数(前述の48個)より少ない個数であり、n個の計量値を用いて組合せ演算を行うのに要する時間が、組合せ計量装置の運転速度を低下させることのない所望の時間内になるように、演算制御部161に用いられるCPUの性能等を考慮して予め定められた値である。なお、図4では、使用計量値数nが偶数である場合のフローチャートを示している。
なお、組合せ演算に用いることが可能な計量値(以下、「有効計量値」という)とは、計量室6a、6b及びメモリ室8a、8bに保持されている被計量物の計量済みの計量値であり、未計量(計量中を含む)や被計量物が保持されていない空の場合の計量値(例えば0.0g)は含めない。
まず、ステップS1では、有効計量値の個数が使用計量値数nより多いか否かを判定し、使用計量値数n以下の場合には、ステップS8へ進み、全ての有効計量値を組合せ演算に用いる計量値に選択する。そして、ステップS7へ進み、ステップS8で選択した計量値に基づいて組合せ演算を行い、計量値の合計が所定重量範囲(目標重量値に対する許容範囲)内にあり、かつ目標重量値との差の絶対値が最小である収納室の組合せを1つ求め、それを排出組合せに決める。なお、有効計量値の個数が使用計量値数n以下になる場合は、主に運転開始時等に発生し、連続運転されている時には通常、使用計量値数nより多くなる。
有効計量値の個数が使用計量値数nより多い場合には、ステップS2へ進み、有効計量値を重量順(重い順番または軽い順番)に並べた計量値テーブルを作成する。
図5(a)は、本実施の形態における12個の計量ユニットのそれぞれの計量室6a、6b及びメモリ室8a、8bに保持されている被計量物の計量値の一例を示す図であり、図5(b)は、ステップS2により作成される計量値テーブルの一例であり、図5(a)に示された計量値に基づいて作成された計量値テーブルを示す図である。図5(a)において、第1計量ユニットの計量室6aをWB1a、第1計量ユニットの計量室6bをWB1b、第2計量ユニットの計量室6aをWB2a、第2計量ユニットの計量室6bをWB2b、・・・、第12計量ユニットの計量室6aをWB12a、第12計量ユニットの計量室6bをWB12bとして示す。同様にして、第1計量ユニットのメモリ室8aをMB1a、第1計量ユニットのメモリ室8bをMB1b、第2計量ユニットのメモリ室8aをMB2a、第2計量ユニットのメモリ室8bをMB2b、・・・、第12計量ユニットのメモリ室8aをMB12a、第12計量ユニットのメモリ室8bをMB12bとして示す。また、括弧内の表記は、各収納室における被計量物の計量値を示し、計量ホッパ6の計量室6a、6b(WBxa、WBxb;x=1〜12)の計量値が0.0gと表記されている場合は、計量が行われていないことを示し、メモリホッパ8のメモリ室8a、8b(MBxa、MBxb;x=1〜12)の計量値が0.0gと表記されている場合は、被計量物が供給されていないことを示す。これらの計量値(0.0g)は、組合せ演算に用いることが可能な計量値ではなく、有効計量値には含まれない。
図5(b)は、図5(a)に表記されたデータに基づいて作成された、有効計量値を重い順番に並べた計量値テーブルを示す。有効計量値の個数は22個である。図5(a)のデータ及び図5(b)のステップS2により作成される計量値テーブルは記憶部162に記憶される。なお、有効計量値を重い順番ではなく、軽い順番に並べて計量値テーブルを作成してもよい。
次に、ステップS3では、除数xにn/2(使用計量値数nの1/2)の値を設定し、繰り返し回数kに1を設定する。
次に、ステップS4では、目標重量値をxで除算した値を求めて基準候補値とする。
次に、ステップS5では、ステップS2で作成した計量値テーブルを参照して、基準候補値以上の有効計量値がn/2個以上存在し、かつ基準候補値未満の有効計量値がn/2個以上存在するか否かを判定する。
ステップS5において、Yesと判定された場合には、ステップS6へ進み、基準候補値を基準値とし、計量値テーブルを参照して、基準値以上であって基準値との差の絶対値が小さいものを優先してn/2個の有効計量値を選択するとともに、基準値未満であって基準値との差の絶対値が小さいものを優先してn/2個の有効計量値を組合せ演算に用いる計量値に選択する。そして、ステップS7へ進み、ステップS6で選択した計量値に基づいて前述の組合せ演算を行い、排出組合せを求める。
ステップS5において、Noと判定された場合には、ステップS9へ進み、繰り返し回数kが設定回数Aであるか否かを判定する。繰り返し回数kが設定回数Aでなければ、ステップS10へ進み、除数xの値を1減少させるとともに繰り返し回数kの値を1増加させて、ステップS4からの処理を繰り返す。繰り返し回数kが設定回数Aであれば、ステップS11へ進む。
ステップS11では、計量値テーブルを参照して、基準候補値未満の有効計量値がn/2個以上存在するか否かを判定する。基準候補値未満の有効計量値がn/2個以上存在すれば、ステップS12へ進み、計量値テーブルを参照して一番重いものから順にn個の有効計量値を組合せ演算に用いる計量値に選択し、組合せ演算を行う(ステップS7)。ここで、基準候補値未満の有効計量値がn/2個以上あるということは、重い有効計量値が少ないということであるので、重いものから優先的に選択することで組合せ演算による所定重量範囲内の組合せができやすくなる。また、基準候補値未満の有効計量値がn/2個以上存在しない、すなわちn/2個未満であれば、ステップS13へ進み、計量値テーブルを参照して一番軽いものから順にn個の有効計量値を組合せ演算に用いる計量値に選択し、組合せ演算を行う(ステップS7)。ここで、基準候補値未満の有効計量値がn/2個未満であるということは、軽い有効計量値が少ないということであるので、軽いものから優先的に選択することで組合せ演算による所定重量範囲内の組合せができやすくなる。
なお、ステップS11では、基準候補値未満の有効計量値がn/2個以上存在するか否かを判定するようにしたが、基準候補値以上の有効計量値がn/2個以上存在するか否かを判定するようにしてもよい。この場合、基準候補値以上の有効計量値がn/2個以上存在すれば、ステップS13へ進み、存在しなければ、ステップS12へ進む。
次に、例えば、使用計量値数nが14、目標重量値が100g、設定回数Aが3に設定されており、ステップS2で、図5(b)の計量値テーブルが作成された場合について説明する。この場合、図5(a)に表記されている計量値のうち、組合せ演算に用いられることのない計量値(0.0g)が26個であり、有効計量値の全個数が22個である。
ステップS3では、除数xにn/2を設定し、繰り返し回数kに1を設定する。ここでnが14であるので、x=7になる。
次に、ステップS4において、基準候補値は、目標重量値の100gをx(=7)で除算して14.3gになる。
次に、ステップS5で、図5(b)の計量値テーブルを参照すれば、基準候補値の14.3g未満の有効計量値は0個であり、n/2個すなわち7個以上存在しないので、ステップS9へ進む。現在のkは1であり、設定回数Aの3ではないので、ステップS10へ進む。ステップS10で、xの値を1減少させて6に設定し、kの値を1増加させて2に設定し、ステップS4へ戻る。
次に、2回目のステップS4において、基準候補値は、目標重量値の100gをx(=6)で除算して16.7gになる。
次に、2回目のステップS5で、図5(b)の計量値テーブルを参照すれば、基準候補値の16.7g未満の有効計量値は3個であり、n/2個すなわち7個以上存在しないので、ステップS9へ進む。現在のkは2であり、設定回数Aの3ではないので、ステップS10へ進む。ステップS10で、xの値を1減少させて5に設定し、kの値を1増加させて3に設定し、再びステップS4へ戻る。
次に、3回目のステップS4において、基準候補値は、目標重量値の100gを除数x(=5)で除算して20.0gになる。
次に、3回目のステップS5で、図5(b)の計量値テーブルを参照すれば、基準候補値の20.0g以上の有効計量値がn/2個すなわち7個以上存在し、かつ20.0g未満の有効計量値が7個以上存在するので、ステップS6へ進む。
ステップS6において、基準候補値の20.0gを基準値とし、図5(b)の計量値テーブルを参照して、20.0g(基準値)以上の有効計量値の中から20.0gとの差の絶対値が小さいものを優先して7個選択すると、4番から10番までの計量値が選択される。また、20.0g未満の有効計量値の中から20.0gとの差の絶対値が小さいものを優先して7個選択すると、11番から17番までの計量値が選択される。したがって、4番から17番までの合計14個の計量値が選択される。
次に、ステップS7において、ステップS6で選択された14個の計量値に基づいて組合せ演算を行い、1つの排出組合せを求める。この場合、排出組合せに選択される計量値の個数は、除数xの値(5)と同じ5個である。すなわち、除数xは、排出組合せに選択される計量値の予定選択個数であると言える。
組合せ計量装置では、予定選択個数は2以上であるので、除数xは2以上でなければならない。また、除数xと繰り返し回数kとの関係は、k=1のときx=n/2であり、k=2のときx=n/2−1であり、k=3のときx=n/2−2であるので、
x=n/2−k+1
と示すことができる。ここで、除数xは2以上であるので、n/2−k+1≧2となり、k≦n/2−1である。また、1≦kである。そして、設定回数Aはkの設定可能範囲内の整数値として設定される。すなわち、設定回数Aは、1以上で、かつ(n/2−1)以下の範囲内で予め定められた整数値である。しかしながら、設定回数Aが1の場合には、基準候補値を変化させることができないので、設定回数Aは2以上の方が好ましい。このように、基準候補値を順次変化させて基準値となりうる条件(ステップS5)を満足する基準候補値を探し出すという点からは、設定回数Aはkの設定可能範囲内で大きな値(例えば、n/2−1、n/2−2)に設定されている方が好ましい。
また、上述のように、x=n/2−k+1であり、kの設定可能範囲は、1≦k≦n/2−1である。ここで、設定回数Aを例えば3に設定するということは、kの設定範囲を3以下(1≦k≦3)にすることであり、このことは、n=14の場合、除数xに5以上の整数値(5≦x≦7)を用いることである。設定回数Aの設定により、除数xに用いられる最小値が設定されることになる。
以上では使用計量値数nが偶数の場合について説明したが、次に、使用計量値数nが奇数の場合について説明する。
nが奇数の場合には、ステップS3において、除数xに、n/2の値を設定する代わりに、Nの値{N=(n+1)/2または(n−1)/2}を設定し、ステップS5において、計量値テーブルを参照して、基準候補値以上の有効計量値がm個{m=(n+1)/2または(n−1)/2}以上存在し、かつ基準候補値未満の有効計量値が(n−m)個以上存在するか否かを判定するようにし、ステップS6において、基準値以上であって基準値との差の絶対値が小さいものを優先してm個の有効計量値を選択するとともに、基準値未満であって基準値との差の絶対値が小さいものを優先して(n−m)個の有効計量値を選択するようにし、ステップS11において、基準候補値未満の有効計量値が(n−m)個以上存在するか否かを判定するようにすればよい。
また、この場合、除数xと繰り返し回数kとの関係は、
x=N−k+1
と示すことができる。ここで、除数xは2以上であるので、k≦N−1である。また、1≦kである。そして、設定回数Aはkの設定可能範囲内の整数値として設定される。すなわち、設定回数Aは、1以上で、かつ(N−1)以下の範囲内で予め定められた整数値である。しかしながら、設定回数Aが1の場合には、基準候補値を変化させることができないので、設定回数Aは2以上の方が好ましい。このように、基準候補値を順次変化させて基準値となりうる条件(ステップS5)を満足する基準候補値を探し出すという点からは、設定回数Aはkの設定可能範囲内で大きな値(例えば、N−1、N−2)に設定されている方が好ましい。
また、上述のように、x=N−k+1であり、kの設定可能範囲は、1≦k≦N−1である。ここで、設定回数Aを例えば3に設定するということは、kの設定範囲を3以下(1≦k≦3)にすることである。このことは、N=(n+1)/2で、n=13の場合には、除数xに5以上の整数値(5≦x≦7)を用いることであり、N=(n−1)/2で、n=13の場合には、除数xに4以上の整数値(4≦x≦6)を用いることである。設定回数Aの設定により、除数xに用いられる最小値が設定されることになる。
制御部16では、組合せ処理により排出組合せを求めた後、例えば包装機20から排出指令信号がI/O回路15を介して入力されると、排出組合せの収納室のゲートを開いて被計量物を排出させる。
本実施の形態の組合せ処理では、例えば全ての収納室に対応する計量値(n個より多い個数の有効計量値)を用いて組合せ演算を行うと組合せ演算に要する時間が所望時間を超える場合に、n個の有効計量値を用いた組合せ演算に要する時間が所望の時間内になるようにn個の個数を定めておくことにより、組合せ演算に要する時間を所望の時間内に短縮することができる。
また、n個の有効計量値からy個の有効計量値を選択する場合の組合せの数は、nCyである。nが偶数、例えば、n=14の場合、14C8=3003、14C7=3432、14C6=3003となり、y=7=n/2のときに組合せの数は最も多い。また、nが奇数、例えば、n=13の場合、13C8=1287、13C7=1716、13C6=1716、13C5=1287となり、y=7=(n+1)/2のときと、y=6=(n−1)/2のときとに組合せの数は最も多い。本実施の形態の組合せ処理では、基準候補値を挟んだ前後の同数あるいは略同数の有効計量値が存在するように定められる除数xのうち、n/2あるいはn/2になるべく近い個数を予定選択個数である除数xとするため、組合せの数を多くできる。このように、組合せの数を多くし、さらに、予定選択個数である除数xに対応する基準候補値を基準値とし、その基準値を挟んだ前後の同数あるいは略同数の有効計量値を選択して組合せ演算に用いるため、所定重量範囲内の組合せが得られやすくなる。所定重量範囲内の組合せが得られやすくなれば、所定重量範囲内の組合せが多数得られ、その中から有効計量値の合計と目標重量値との差の絶対値が最小である組合せを1つ選択して排出組合せに決めることができるので、計量精度の向上を図ることができる。
本実施の形態において、組合せ計量装置を、いわゆるシングルシフト動作、ダブルシフト動作、トリプルシフト動作のいずれの動作を行わせるように構成した場合も、上記で説明した組合せ処理を行うようにすればよい。
図6(a)は、本実施の形態の組合せ計量装置をシングルシフト動作させるように構成した場合のタイミングチャートであり、図6(b)は、本実施の形態の組合せ計量装置をダブルシフト動作させるように構成した場合のタイミングチャートである。
1計量サイクル時間Twは、例えば、直前の計量サイクル中での組合せ処理により排出組合せが決定された直後から、その排出組合せに選択されている収納室から被計量物が排出され、次にその排出組合せの収納室に被計量物が供給され、重量センサ7の安定時間が経過して被計量物の重量を計測後に組合せ処理が行われ、それにより排出組合せが決定されるまでに要する時間(1動作サイクル時間)である。この1計量サイクル時間Twには、組合せ処理により排出組合せが決定されてから、その排出組合せに選択されている収納室から被計量物が排出され始めるまでの余裕時間あるいは待ち時間等が含まれることもあるが、これらの時間が零になるように動作設定することが高速動作をさせる上で好ましい。
まず、図6(a)に示すように、シングルシフト動作の場合は、Tw時間ごとに前述の組合せ処理が行われるとともに、Tp1(=Tw)時間ごとに入力される包装機20からの排出指令信号に応答して組合せ処理で選択された排出組合せの収納室から被計量物の排出が行われる。これにより、1計量サイクル時間Tw内に1回、包装機へ被計量物が投入される。
制御部16は、例えば包装機20から排出指令信号が入力されると、その排出指令信号に応答して、排出組合せに選択されている収納室のゲートを開いて、収納室から集合シュート9へ被計量物を排出させる(時刻t1)。次の排出指令信号が入力されると、次の排出組合せに選択されている収納室のゲートを開いて、収納室から集合シュート9へ被計量物を排出させる(時刻t3)。以降、同様の動作が繰り返される。
なお、シングルシフト動作させる場合、図4のフローチャートで示された組合せ処理を次のように変更してもよい。
シングルシフト動作させる場合において、使用計量値数nが偶数の場合、ステップS4が繰り返されるときにステップS4で用いるxが、例えば、n/2、n/2−1、n/2+1、n/2−2、n/2+2、・・・の順に、あるいはn/2、n/2+1、n/2−1、n/2+2、n/2−2、・・・の順に変化するようにステップS10での処理を変更してもよい。また、使用計量値数nが奇数の場合で、ステップS3においてxに(n+1)/2を設定する場合には、ステップS4で用いるxが、例えば、(n+1)/2、(n+1)/2−1、(n+1)/2+1、(n+1)/2−2、(n+1)/2+2、・・・の順に変化するようにステップS10での処理を変更してもよい。また、使用計量値数nが奇数の場合で、ステップS3においてxに(n−1)/2を設定する場合には、ステップS4で用いるxが、例えば、(n−1)/2、(n−1)/2+1、(n−1)/2−1、(n−1)/2+2、(n−1)/2−2、・・・の順に変化するようにステップS10での処理を変更してもよい。
なお、後述のダブルシフト動作あるいはトリプルシフト動作させる場合でも、除数xを上記のように変化させるように構成することも可能である。しかし、ダブルシフト動作の場合には、組合せ処理で排出組合せに選択されて被計量物が排出された収納室は、次の組合せ処理のときに有効計量値にならないため、選択予定個数である除数xを増加させると、有効計量値の個数が減少し、計量精度の向上を図る上で好ましくない。同様に、トリプルシフト動作の場合には、組合せ処理で排出組合せに選択されて被計量物が排出された収納室は、次の組合せ処理のとき、及びさらにその次の組合せ処理のときに有効計量値にならないため、選択予定個数である除数xを増加させると有効計量値の個数が減少し、計量精度の向上を図る上で好ましくない。このような場合、計量ユニットの個数をより増加させて装置を大型化しないと、繰り返し行われる組合せ処理のステップS1において、有効計量値の個数がn以下になる場合も考えられる。
次に、図6(b)に示すように、ダブルシフト動作させるように構成した場合の動作について説明する。ここでは、集合ファンネル10の排出口に、収納室から排出された被計量物を一旦保持して排出する集合ホッパ(図示せず)を設けている。この場合、集合ホッパから排出される被計量物が包装機20へ投入される。
ダブルシフト動作では、Tw/2時間ごとに前述の組合せ処理が行われるとともに、その組合せ処理で選択された排出組合せの収納室からの被計量物の排出が行われる。収納室から排出された被計量物は集合ホッパで一旦保持された後、Tp2(=Tw/2)時間ごとに入力される包装機20からの排出指令信号に応答して集合ホッパからの排出が行われる。これにより、1計量サイクル時間Tw内に2回、包装機20へ被計量物が投入される。この場合、組合せ計量装置の1排出サイクル時間Td2は、包装機20の1包装サイクル時間Tp2と同じであり、1計量サイクル時間Twの1/2の時間である。Tw/2時間ごとに行われる組合せ処理により順次求められる排出組合せを、ここでは交互に求められる第1の排出組合せと第2の排出組合せに区別して示している。ここで、第1の排出組合せに選択されている収納室の計量値は、次の第2の排出組合せを求めるための組合せ処理に用いられることはない。また、第2の排出組合せに選択されている収納室の計量値は、次の第1の排出組合せを求めるための組合せ処理に用いられることはない。
制御部16は、例えば包装機20から排出指令信号が入力されると、その排出指令信号に応答して集合ホッパのゲートを開いて被計量物を包装機20へ排出させる(時刻t1)。さらに、集合ホッパのゲートの動作タイミングに基づいて第1の排出組合せに選択されている収納室のゲートを開いて、収納室から集合シュート9へ被計量物を排出させる(時刻t1)。次の排出指令信号が入力されると、その排出指令信号に応答して集合ホッパのゲートを開いて被計量物を包装機20へ排出させる(時刻t2)。さらに、集合ホッパのゲートの動作タイミングに基づいて第2の排出組合せに選択されている収納室のゲートを開いて、収納室から集合シュート9へ被計量物を排出させる(時刻t2)。以降、同様の動作が繰り返される。
この図6(b)の場合、時刻t1で、収納室から排出された被計量物は、時刻t2までの間に集合ホッパに集められて保持され、時刻t2で集合ホッパのゲートが開いて包装機20へ排出される。同様に、時刻t2で、収納室から排出された被計量物は、時刻t3までの間に集合ホッパに集められて保持され、時刻t3で集合ホッパのゲートが開いて包装機20へ排出される。
なお、図6(b)の場合、集合ホッパのゲートの開閉タイミングと収納室のゲートの開閉タイミングとを同じにしているが、これに限られるものではない。制御部16が、例えば、集合ホッパのゲートの開閉のタイミングに基づいて収納室のゲートの開閉のタイミングを制御することで、これらのゲートの開閉のタイミングを異ならせることもできる。
以上のようにダブルシフト動作させることにより、Tw/2時間ごとに包装機20への排出が行われ、シングルシフト動作の場合の2倍の速度での高速排出が可能となり、高速に動作する包装機20に対応できる。
上記のダブルシフト動作では、Tw/2時間ごとに前述の組合せ処理および排出組合せの収納室からの被計量物の排出が行われる。これに対し、トリプルシフト動作では、Tw/3時間ごとに前述の組合せ処理および排出組合せの収納室からの被計量物の排出が行われる。そして、収納室から排出された被計量物は集合ホッパで一旦保持された後、Tw/3時間ごとに入力される包装機20からの排出指令信号に応答して集合ホッパからの排出が行われる。これにより、1計量サイクル時間Tw内に3回、包装機20へ被計量物が投入され、シングルシフト動作の場合の3倍の速度での高速排出が可能となり、より高速に動作する包装機20に対応できる。
上記のように高速運転される包装機20に対応するためには、ダブルシフト動作あるいはトリプル動作させるようにし、前述のように集合ファンネル10の排出口に集合ホッパを設けて被計量物が一塊となって排出されるようにすることが望ましい。また、シングルシフト動作させる場合でも、集合ホッパを設けてもよい。
なお、本実施の形態では、各計量ユニットに、組合せ処理の対象となる収納室を構成するために、2つの計量室6a、6bを有する計量ホッパ6と、2つのメモリ室8a、8bを有するメモリホッパ8とを備えているが、このような構成に限られるものではない。例えば、計量ホッパ6及びメモリホッパ8がそれぞれ収納室を1個だけ有する構成でもよい。この場合、供給ホッパ5は、1室の計量ホッパ6へ被計量物を排出できる構成であればよく、1室の計量ホッパ6は、1室のメモリホッパ8と集合シュート9とへ選択的に被計量物を排出できる構成であればよい。また、各計量ユニットの収納室を構成するために2つの計量室6a、6bを有する計量ホッパ6のみを備え、メモリホッパ8が無い構成でもよい。この場合、計量ホッパ6の各計量室6a、6bは被計量物を集合シュート9へ排出できる構成であればよい。また、メモリホッパ8が無く、計量ホッパ6がそれぞれ収納室を1個だけ有する構成でもよい。この場合、供給ホッパ5は、1室の計量ホッパ6へ被計量物を排出できる構成であればよく、1室の計量ホッパ6は、集合シュート9へ被計量物を排出できる構成であればよい。その他、組合せ処理の対象となる収納室の構成を種々変更してもよい。