JP4829967B2 - 歯車装着体 - Google Patents

Description

この発明は歯車装着体に関する。

この発明は、主に、遊星ピニオンとそれらの遊星歯車装置との装着に関するものであるが、他の形態の平行シャフトギアトレインにも適用できる。

キャリア側から「柔軟なピン」によって片持ち形態でピニオンを装着することは知られている。一例が米国特許第３３０３７１３号に示されている。その文献の図１に示されるように、ピンは、曲げによって荷重を均等化させる。これは非常に有効となり得るが、ピーク状態下または過負荷状態下でピンの曲げ応力が非常に高い。したがって、ピン直径を増大させることによりピンを強化する傾向があり、それにより、ピンの柔軟性が減少し、そのため、常用荷重を均等化するピンの感度が減少する。

一態様によれば、本発明は、キャリアに対して略垂直に延び且つ荷重を受けるときに初期位置から径方向に偏位可能なスピンドルを有する歯車装着体であって、スピンドルおよびキャリアが略円錐台状の当接面を有し、当接面に対する垂線がスピンドルの突出部の重心をほぼ通り抜けて延び、スピンドルの初期位置では、当接面同士の間に隙間が存在することを特徴とする歯車装着体にある。

隙間を設けると、前述した問題に対する驚くほど簡単な解決策が得られる。隙間の存在により、所定の範囲の荷重を受けている間、すなわち、常用荷重範囲の間、スピンドルは曲げ応力のみを受けるが、所定のラジアル荷重に達すると、円錐当接面が接触してキャリアからスピンドルへの反応荷重が形成される程度までスピンドルが曲がり、それにより、スピンドルに引張り応力および曲げ応力が生じ、そのため、スピンドルは、許容できる応力レベルを伴って過負荷の損傷的結果に耐えることができる。また、そのような反応荷重が作用し始める負荷は、特定のスピンドル構造においては、隙間の寸法によって容易に決定することができる。

したがって、好ましい実施形態において、隙間は、所定の荷重までスピンドルに曲げ応力のみをかけることができる十分な寸法を有しており、また、隙間寸法は、所定の荷重に達するとき或いは所定の荷重を超えるときに当接面が係合して反応荷重が形成されることによりスピンドルが引張り応力および曲げ応力を受けるような寸法である。

スピンドルは、キャリアから片持ち状に延びるとともに、径方向内側部材および径方向外側部材を含み、スピンドルの当接面が外側部材上にあることが好ましい。内側部材がテンションボルトであり、幾つかの構造ではテンションボルトがスリーブによって取り囲まれるのが都合良い。キャリアは、キャリア上に当接面を形成するリングまたは略環状の挿入体を含んでも良い。この構造の１つの利点は、異なる隙間寸法が可能となるように一連のリングまたは挿入体を構成できるという点である。無負荷状態時において、外側および内側部材とキャリアとの間の関係は、外側部材がキャリアから所定量だけ離間された状態に保持されるような関係であることは言うまでもない。
また、本発明は、前述した１又はそれ以上の歯車装着体を有するギアボックスを含むことが好ましい。

本発明は様々な方法で行なわれても良いが、ここでは、添付図面を参照して特定の実施形態を一例として説明する。

図１において、遊星歯車１０は、全体的に１１で示されるスピンドル上に同軸的に装着されて、キャリアから側方に突出している。スピンドルがその負荷がかけられていない状態にあるときの遊星歯車１０およびスピンドル１１の共通軸が１３で示されており、一方、スピンドル１１の片持ち部の重心が１４で示されている。

スピンドル１１は、キャリア１２に対してナット１６により固定されたボルト１５と、それらのスリーブ１７とを備える。遊星歯車１０は、全体的に１８で示されたベアリングアセンブリによってスリーブ１７上に装着される。スリーブ１７は、キャリア１２から隔たったその端部１９に、ボルト１５上に対する摩擦嵌合部を形成するように寸法付けられた内側に突出する環状フランジを有し、ボルト１５は、スリーブ１７を強固に保持するためのヘッド２０を有する。

キャリア１２は、ボルト１５を取り囲むキャリア１２の部分を形成する環状挿入体２１を含む。

挿入体２１と対向するスリーブ１７の端部２２および挿入体２１には、通常位置すなわち無負荷位置で隙間２５だけ離間されるそれぞれの円錐台当接面２３，２４が形成される。

遊星歯車の常用荷重の間中、加えられた荷重が重心１４に向かって方向付けられ、また、当業者に公知の且つ特にその説明が参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第３３０３７１３号の図１に関連して説明される様式でピン１５が曲がる。

この状態で、スピンドルに作用する応力は曲げ応力のみであり、これは、遊星歯車１０の軸と無負荷時の軸１３との平行度を維持しつつ、スピンドルが真正な柔軟ピンとしての機能を果たして遊星歯車１０の撓みに適応できるために望ましい。

しかしながら、特定の所定の荷重に達すると、スピンドル１３の撓みにより、円錐台当接面２３，２４が接触して、矢印Ｂで示される反応荷重が形成され、それにより、重心１４でベクトル荷重Ｃ，Ｄが形成されるようになる。その結果、スピンドルに引張り応力および曲げ応力の両方が作用するようになり、それにより、過負荷に耐えて、ギアボックス全体に対する損傷が防止される。

前述したように、隙間２５の事前設定寸法は、当接面２３，２４を当接させる荷重、したがって、スピンドルが曲げ応力のみを受ける通常の動作時に生じ得るスピンドル１１の曲げの度合いを決定する。

図２は、ボルト１５が中央ボルト２６と外側チューブ２７とを備える他の実施形態を示している。図３および図４は本質的に図１および図２のそれぞれに対応しているが、挿入体２１ではなく、キャリア１２が一体となって、当接面２４がリング２８上に形成される。図４において、ボルト２６は、図２で行なわれているように単にナット２９でチューブ２７上に保持されるのではなく、チューブ２７に捩じ込まれている。

幾つかの構成では、リング２１を省いて、キャリア１２上に直接に当接面２３を形成することができるが、リングを使用することにより、硬質な或いは適切に処理された材料を使用することができる。

歯車装着体の第１の実施形態に係る垂直断面図である。 図１に対応する図であるが、異なるスピンドル構造を伴う図である。 一体キャリアを伴う図１に対応する図である 一体キャリアを伴う図２に対応する図である。

Claims (8)

1. キャリアに対して略垂直に延び且つ荷重を受けるときに初期位置から径方向に偏位可能なスピンドルを有する歯車装着体であって、前記スピンドルおよびキャリアが略円錐台状の当接面を有し、当接面に対する垂線がスピンドルの突出部の重心をほぼ通り抜けて延び、スピンドルの初期位置では、当接面同士の間に隙間が存在することを特徴とする、歯車装着体。
2. 前記隙間は、所定の荷重までスピンドルに曲げ応力のみをかけることができる十分な寸法である、請求項１に記載の歯車装着体。
3. 前記隙間は、所定の荷重に達するとき或いは所定の荷重を超えるときに当接面が係合して反応荷重が形成されることによりスピンドルが引張り応力および曲げ応力を受ける十分な寸法である、請求項２に記載の歯車装着体。
4. 前記スピンドルは、キャリアから片持ち状に延びるとともに、径方向内側部材および径方向外側部材を含み、スピンドルの当接面が前記外側部材上にある、請求項１から請求項３のいずれか一項に記載の歯車装着体。
5. 前記内側部材がテンションボルトである、請求項４に記載の歯車装着体。
6. 前記テンションボルトがスリーブによって取り囲まれる、請求項５に記載の歯車装着体。
7. 前記キャリアは、前記キャリア上に当接面を形成するリングまたは略環状の挿入体を含む、請求項１から請求項６のいずれか一項に記載の歯車装着体。
8. 請求項１から請求項７のいずれか一項に記載の１又はそれ以上の歯車装着体を含む、ギアボックス。