JP4826866B2 - 圧電電歪磁器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばアクチュエータなどの電子部品に用いられる圧電電歪磁器に関する。
【0002】
【従来の技術】
圧電電歪材料は、従来より、電気エネルギーと機械エネルギーとを変換する素子の材料として用いられている。中でも、チタン酸鉛(PbTiO3 ;PT)とジルコン酸鉛(PbZrO3 ;PZ)との固溶体系(PZT系)の圧電電歪材料は、高い電気機械結合係数を有しており、フィルタあるいはアクチュエータなどに広く利用されている。
【0003】
ところが、このようなPZT系の圧電電歪材料は、低温でも揮発性の極めて高い酸化鉛(PbO)を多量に含んでいる。よって、PZT系の圧電電歪材料を製造する際には、磁器であれば焼成工程、単結晶品であれば溶融工程などの熱処理工程において、工業レベルで極めて多量の酸化鉛が大気中に揮発し拡散してしまう。また、製造段階で放出される酸化鉛については回収することも可能であるが、工業製品として市場に出された圧電電歪製品に含有される酸化鉛については現状では回収が難しく、これらが広く環境中に放出されると、酸性雨による鉛の溶出などが心配される。従って、今後、圧電電歪磁器および単結晶の応用分野が広がり、使用量が増大すると、無鉛化の問題が極めて重要な課題となる。
【0004】
鉛を全く含有しない圧電電歪材料としては、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO3 )、チタン酸ビスマスナトリウム(Na0.5 Bi0.5 TiO3 )、ニオブ酸バリウムストロンチウム(Sr1-x Bax Nb2 6 )、ニオブ酸ナトリウムバリウムストロンチウム(Sr2-x Bax NaNb5 15)(特開平10− 297969号公報参照)、ニオブ酸ナトリウムストロンチウム(Sr2 NaNb5 15)(特開平11−240759号公報参照)、あるいはニオブ酸ナトリウムカルシウムストロンチウム(Sr2-x Cax NaNb5 15)(特開20 00−169229号公報参照)が挙げられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの鉛を含まない圧電材料は、鉛系の圧電材料に比べて圧電特性が低く、大きな変位量を得るに至っていないという問題があった。
【0006】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、大きな変位量を得ることができ、低公害化、対環境性および生態学的見地からも優れた圧電電歪磁器を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明による圧電電歪磁気は、第1の元素と、第2の元素と、酸素(O)とからなる酸化物を主成分として含有する圧電電歪磁器であって、主成分は、タングステンブロンズ構造を有する酸化物とペロブスカイト構造を有する酸化物とが少なくとも一部において固溶したものであると共に、式(1)で表され、副成分として、マンガン(Mn)を含む酸化物を、前記主成分の0.01質量%以上1質量%以下の範囲内で含有し、第1の元素は、アルカリ土類金属元素としてストロンチウム(Sr)およびバリウム(Ba)と、ランタノイドとしてランタン(La),ネオジム(Nd)およびガドリウム(Gd)のうちのいずれか1種と、アルカリ金属元素としてナトリウム(Na)とからなり、第2の元素は、ニオブ(Nb)からなり、アルカリ土類金属元素に対するランタノイドの組成比(ランタノイド/アルカリ土類金属元素)は、モル比で1/9以上5/5以下の範囲内であり、アルカリ金属元素に対するアルカリ土類金属元素とランタノイドとの合計の組成比(アルカリ土類金属元素とランタノイドとの合計/アルカリ金属元素)は、モル比で5/95以上8/2以下の範囲内であり、第2の元素に対する第1の元素の組成比(第1の元素/第2の元素)は、化学量論組成におけるモル比の0.95倍以上1.05倍以下の範囲内である。
x(Mi 1-y Mii y ) Miv 2 6 +(1−x)Miii Mv O 3 ・・・(1)
(式中、Mi ,MiiおよびMiii は第1の元素であり、MivおよびMv は第2の元素であり、Mi はストロンチウムおよびバリウム、Miiはランタン,ネオジムおよびガドリウムのうちのいずれか1種、Miii はナトリウム、MivおよびMv はニオブをそれぞれ表す。xおよびyはそれぞれ0.05≦x≦0.8,0.1≦y≦0.5の範囲内の値である。ただし、Miv,Mv および酸素の組成は化学量論的に求めたものであり、化学量論組成からずれていてもよく、第2の元素に対する第1の元素の組成比(第1の元素/第2の元素)は、化学量論組成である1/1+xとして表しているが、0.95/1+x以上1.05/1+x以下の範囲内である。)
【0008】
本発明による圧電電歪磁器では、第1の元素として、アルカリ土類金属元素およびアルカリ金属元素に加えてランタノイドを含んでいるので、大きな変位量が得られる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0015】
本発明の一実施の形態に係る圧電電歪磁器は、主成分として、第1の元素と第2の元素と酸素とからなる酸化物を含有している。第1の元素は、アルカリ土類金属元素と、ランタノイドと、アルカリ金属元素とを含み、第2の元素は、ニオブ,タンタルおよびバナジウムからなる群のうちの少なくとも1種を含んでいる。この圧電電歪磁器では、このように第1の元素としてアルカリ土類金属元素およびアルカリ金属元素に加えてランタノイドを含むことにより、変位量を大きくすることができるようになっている。
【0016】
第1の元素のうちアルカリ土類金属元素としては、例えば、マグネシウム,カルシウム,ストロンチウムおよびバリウムからなる群のうちの少なくとも1種を含むことが好ましい。ランタノイドとしては、例えば、ランタン,ネオジムおよびガドリウムからなる群のうちの少なくとも1種を含むことが好ましく、特に、ランタンを含むことが好ましい。アルカリ金属元素としては、例えば、ナトリウムを含むことが好ましい。これらの場合に、優れた圧電電歪特性を得ることができるからである。
【0017】
この酸化物の組成は、例えば下記の化1で表される。
【化1】
x(Mi1-yMiiy ) Miv2 6 + (1-x)Miii Mv O3
式中、Mi はアルカリ土類金属元素、Miiはランタノイド、Miii はアルカリ金属元素、MivおよびMv はニオブ,タンタルおよびバナジウムからなる群のうちの少なくとも1種をそれぞれ表す。MivとMv とは同一でもよく、異なっていてもよい。xおよびyはそれぞれ0<x<1,0<y<1の範囲内の値である。Miv,Mv および酸素の組成は化学量論的に求めたものであり、化学量論組成からずれていてもよい。
【0018】
すなわち、この酸化物は、例えば、タングステンブロンズ構造を有する酸化物とペロブスカイト構造を有する酸化物とが少なくとも一部において固溶したものである。タングステンブロンズ構造を有する酸化物とペロブスカイト構造を有する酸化物とは完全に固溶している必要はなく、いずれか一方が偏析していてもよい。
【0019】
なお、第1の元素におけるアルカリ土類金属元素に対するランタノイドの組成比(ランタノイド/アルカリ土類金属元素)は、モル比で1/9以上5/5以下の範囲内であることが好ましい。すなわち、化1におけるyは0.1≦y≦0.5の範囲内であることが好ましい。この範囲内においてより大きな変位量を得ることができるからである。
【0020】
第1の元素におけるアルカリ金属元素に対するアルカリ土類金属元素とランタノイドとの合計の組成比(アルカリ土類金属元素とランタノイドとの合計/アルカリ金属元素)は、モル比で5/95以上8/2以下の範囲内であることが好ましい。すなわち、化1におけるxは0.05≦x≦0.8の範囲内であることが好ましい。組成比が8/2よりも大きいと十分に大きな変位量を得ることができず、5/95よりも小さいと焼結密度を十分に向上させることができないからである。
【0021】
第2の元素に対する第1の元素の組成比(第1の元素/第2の元素)は、化学量論組成でなくてもよいが、化学量論組成におけるモル比の0.95倍以上1.05倍以下の範囲内であることが好ましい。化学量論組成からのずれが大きくなると、優れた圧電特性を得ることができないからである。例えば化1の場合、第2の元素に対する第1の元素の組成比は化学量論組成であり1/1+xとなるが、この値からずれていてもよく、0.95/1+x以上1.05/1+x以下の範囲内であれば好ましい。この場合のxは、タングステンブロンズ構造を有する酸化物とペロブスカイト構造を有する酸化物とが完全固溶している場合に限らず、0<x<1の範囲内の全ての値を表す。
【0022】
この圧電電歪磁器は、また、主成分である上記酸化物に加え、副成分として、遷移金属元素および希土類金属元素のうちの少なくとも1種を含む酸化物を、主成分の0.01質量%以上1質量%以下の範囲内で含有することが好ましい。焼結性を向上させることができるからである。中でも、遷移金属元素のマンガンを含む酸化物が好ましい。この副成分の酸化物は、主成分の酸化物の粒界に存在していることもあるが、主成分の酸化物の一部に拡散して存在していることもある。
【0023】
このような構成を有する圧電電歪磁器は、例えば、次のようにして製造することができる。
【0024】
まず、主成分の出発原料として、例えば、主成分となるアルカリ土類金属元素,ランタノイドおよびアルカリ金属元素を含む酸化物粉末をそれぞれ、並びに必要に応じてニオブ,タンタルおよびバナジウムを含む酸化物粉末をそれぞれ用意する。また、副成分の出発原料として、必要に応じて例えば遷移金属および希土類元素を含む酸化物粉末をそれぞれ用意する。次いで、これら出発原料を十分に乾燥させたのち、最終組成が上述した範囲となるように秤量する。なお、出発原料には酸化物でなく、炭酸塩あるいはシュウ酸塩のように焼成により酸化物となるものを用いてもよい。
【0025】
続いて、例えば、秤量した出発原料をボールミルなどにより有機溶媒中または水中で十分に混合したのち、乾燥し、プレス成形して、900℃〜1200℃で1時間〜4時間仮焼する。仮焼したのち、例えば、この仮焼物をボールミルなどにより有機溶媒中または水中で十分に粉砕し、再び乾燥して、一軸プレス成型機あるいは静水圧成型機(CIP)などを用いプレス成形する。
【0026】
その後、例えば、この成形体を1200℃〜1450℃で2時間〜6時間焼成する。焼成ののち、得られた焼結体を必要に応じて研磨し、電極を設け、加熱したシリコーンオイル中で電界を印加して分極処理を行う。これにより、上述した圧電電歪磁器が得られる。
【0027】
このように本実施の形態によれば、第1の元素としてアルカリ土類金属元素およびアルカリ金属元素に加えてランタノイドを含む酸化物を含有するようにしたので、変位量を向上させることができる。よって、鉛を含有しない、あるいは鉛の含有量が少ない圧電電歪磁器の利用の可能性を高めることができる。すなわち、焼成時における鉛の揮発が少なく、圧電電歪部品として市場に流通し廃棄された後も環境中に鉛が放出される危険性が低い、低公害化、対環境性および生態学的見地から極めて優れた圧電電歪磁器の活用を図ることができる。
【0028】
特に、アルカリ土類金属元素に対するランタノイドの組成比が、モル比で1/9以上5/5以下の範囲内となるようにすれば、より大きな変位量を得ることができる。また、アルカリ金属元素に対するアルカリ土類金属元素とランタノイドとの合計の組成比が、モル比で5/95以上8/2以下の範囲内となるようにすれば、同様により大きな変位量を得ることができる。
【0029】
更に、ランタノイドとして、ランタン,ネオジムおよびガドリウムからなる群のうちの少なくとも1種を含むようにすれば、より大きな変位量を得ることができ、特に、ランタンを含むようにすれば、更に大きな変位量を得ることができる。
【0030】
加えて、アルカリ土類金属元素としてマグネシウム,カルシウム,ストロンチウムおよびバリウムからなる群のうちの少なくとも1種を含むようにすれば、また、アルカリ金属元素としてナトリウムを含むようにすれば、優れた圧電電歪特性を得ることができる。
【0031】
【実施例】
更に、本発明の具体的な実施例について説明する。
【0032】
実施例1〜3として、まず、主成分の出発原料である炭酸ストロンチウム(SrCO3 )粉末、炭酸バリウム(BaCO3 )粉末、酸化ランタン(La2 3 )粉末、酸化ネオジム(Nd2 3 )粉末、酸化ガドリニウム(Gd2 3 )粉末、炭酸ナトリウム(Na2 CO3 )粉末、および酸化ニオブ(Nb2 5 )粉末と、副成分の出発原料である炭酸マンガン(MnCO3 )粉末とをそれぞれ用意した。次いで、これら出発原料を十分に乾燥させ秤量したのち、ボールミルにより5時間湿式混合し、乾燥して原料混合粉末を得た。
【0033】
その際、実施例1〜3で、主成分の最終組成が表1に示したようになるように混合比を調整した。すなわち、主成分については、実施例1〜3でランタノイドの種類を変えたことを除き、他は同一とした。ちなみに、アルカリ土類金属元素に対するランタノイドの組成比は2/8であり、アルカリ金属元素に対するアルカリ土類金属元素とランタノイドとの合計の組成比は2/1であり、第2の元素に対する第1の元素の組成比は化学量論組成の3/5である。また、炭酸マンガン粉末の混合量は、主成分の出発原料のうち炭酸塩をCO2 が解離した酸化物に換算し、その換算した主成分の原料の合計質量の0.5質量%となるようにした。すなわち、圧電電歪磁器における酸化マンガンの含有量は、実施例1〜3で表1に示したように、主成分の0.31質量%となる。
【0034】
【表1】
Figure 0004826866
【0035】
続いて、この原料混合粉末をプレス成形して、950℃で2時間仮焼した。仮焼したのち、ボールミルを用いて15時間粉砕し、再び乾燥して、約3.9×107 Paの圧力で直径17mmの円柱状に成形し、更に約3.9×108 Paの圧力で静水圧成型した。
【0036】
成形したのち、この成形体を1325℃で4時間焼成し、スライス加工およびラップ加工により厚さ0.3mmまたは0.6mmの円板状として、両面に銀ペーストを印刷し650℃で焼き付けた。その後、150℃のシリコーンオイル中で8kV/mmの電界を20分間印加して分極処理を行った。これにより、実施例1〜3の圧電電歪磁器を得た。
【0037】
得られた実施例1〜3の圧電電歪磁器について、24時間放置したのち、図1に示したような渦電流による変位測定装置を用いて変位率を測定した。この変位測定装置は、一対の電極1,2の間に試料3を挟み、直流電流を印加した場合の試料3の変位を変位センサ4により検出し、変位検出器5によりその変位量を求めるものである。その際、印加電界を1kV/mm、2kV/mmおよび3kV/mmと変化させ、それぞれについて変位率を求めた。なお、変位率というのは、測定した変位量を試料の厚さで割ったもの(変位量/試料の厚さ)である。また、実施例1〜3の圧電電歪磁器について、LCRメータ(ヒユレットパッカード社製;4284A)により比誘電率を測定した。それらの結果を表2に示す。
【0038】
【表2】
Figure 0004826866
【0039】
また、本実施例に対する比較例1,2として、主成分の最終組成が表1に示したようになるように混合比を変えたことを除き、本実施例と同様にして圧電電歪磁器を作製した。なお、比較例1はランタノイドを削除し、比較例2はランタノイドに代えてイットリウム(Y)を添加したものである。圧電電歪磁器における酸化マンガンの含有量は、本実施例と同様に、比較例1,2で表1に示したように主成分の0.31質量%となる。比較例1,2についても、本実施例と同様にして、変位率および比誘電率をそれぞれ測定した。それらの結果についても表2に合わせて示す。
【0040】
表2に示したように、実施例1〜3によれば、比較例1,2に比べて大きな変位率および比誘電率を得られた。すなわち、第1の元素にランタノイドを含むようにすれば、変位量を大きくすることができると共に、誘電率も大きくできることが分かった。
【0041】
また、実施例1〜3の中でも、ランタンを含むようにした実施例1は特に優れた値を得ることができた。すなわち、ランタノイドとして特にランタンを含むようにすれば、変位量をより大きくすることができると共に、誘電率もより大きくできることが分かった。
【0042】
なお、ここでは詳細に説明しないが、主成分および副成分の組成を上記実施の形態で説明したように変化させても、同様の結果を得ることができる。
【0043】
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は、上記実施の形態および実施例に限定されるものではなく、種々変形することができる。例えば、上記実施の形態および実施例では、添加したランタノイドが全て第1の元素として主成分の酸化物に含まれる場合について説明したが、一部が主成分の酸化物に含まれ、他の一部が副成分の酸化物に含まれていてもよい。すなわち、ランタノイドを、主成分の酸化物に限らず圧電電歪磁器全体の構成元素として含んでいればよい。その場合、ランタノイドの圧電電歪磁器全体における含有量は、アルカリ土類金属元素に対するモル比(ランタノイド/アルカリ土類金属元素)で、1/9以上5/5以下の範囲内であることが好ましい。この範囲内においてより大きな変位量を得ることができるからである。
【0044】
また、上記実施の形態および実施例では、主成分の酸化物が第1の元素としてアルカリ土類金属元素とランタノイドとアルカリ金属元素とを含み、第2の元素としてニオブ,タンタルおよびバナジウムからなる群のうちの少なくとも1種を含む場合について説明したが、本発明は、第1の元素または第2の元素として他の元素を含む場合についても適用することができる。
【0045】
更に、上記実施の形態および実施例では、主成分の酸化物が、タングステンブロンズ構造を有する酸化物とペロブスカイト構造を有する酸化物とが少なくとも一部において固溶したものである場合について説明したが、他の結晶構造を有していてもよい。
【0046】
加えて、上記実施の形態および実施例では、主成分の酸化物に加えて副成分を含む場合について説明したが、本発明は、主成分の酸化物を含んでいれば副成分を含まない場合についても広く適用することができる。また、他の副成分を含む場合についても同様に適用することができる。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1ないし請求項のいずれか1に記載の圧電電歪磁器によれば、第1の元素と第2の元素と酸素とからなる酸化物を主成分として含有する。主成分は、タングステンブロンズ構造を有する酸化物とペロブスカイト構造を有する酸化物とが少なくとも一部において固溶したものであると共に、式(1)で表される。第1の元素は、アルカリ土類金属元素としてストロンチウムおよびバリウムと、ランタノイドとしてランタン,ネオジムおよびガドリウムのうちのいずれか1種と、アルカリ金属元素としてナトリウムとからなる。第2の元素はニオブからなる。第1の元素において、アルカリ土類金属元素に対するランタノイドの組成比(ランタノイド/アルカリ土類金属元素)はモル比で1/9以上5/5以下の範囲内であり、アルカリ金属元素に対するアルカリ土類金属元素とランタノイドとの合計の組成比(アルカリ土類金属元素とランタノイドとの合計/アルカリ金属元素)はモル比で5/95以上8/2以下の範囲内である。第2の元素に対する第1の元素の組成比(第1の元素/第2の元素)は化学量論組成におけるモル比の0.95倍以上1.05倍以下の範囲内である。更に、副成分としてマンガン(Mn)を含む酸化物を主成分の0.01質量%以上1質量%以下の範囲内で含有する。これにより、変位量を向上させることができ、その上、焼結性を向上させることができ、圧電特性を向上させることができる。よって、鉛を含有しない、あるいは鉛の含有量が少ない圧電電歪磁器の利用の可能性を高めることができる。すなわち、焼成時における鉛の揮発が少なく、圧電電歪部品として市場に流通し廃棄された後も環境中に鉛が放出される危険性が低い、低公害化、対環境性および生態学的見地から極めて優れた圧電電歪磁器の活用を図ることができるという効果を奏する。
【0051】
加えて、請求項記載の圧電電歪磁器によれば、第1の元素がランタンを含むようにしたので、特に大きな変位量を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例において変位率の測定に用いた変位測定装置を表す構成図である。
【符号の説明】
1,2…電極、3…試料、4…変位センサ、5…変位検出器。

Claims (4)

  1. 第1の元素と、第2の元素と、酸素(O)とからなる酸化物を主成分として含有する圧電電歪磁器であって、
    前記主成分は、タングステンブロンズ構造を有する酸化物とペロブスカイト構造を有する酸化物とが少なくとも一部において固溶したものであると共に、式(1)で表され、
    副成分として、マンガン(Mn)を含む酸化物を、前記主成分の0.01質量%以上1質量%以下の範囲内で含有し、
    前記第1の元素は、アルカリ土類金属元素としてストロンチウム(Sr)およびバリウム(Ba)と、ランタノイドとしてランタン(La),ネオジム(Nd)およびガドリウム(Gd)のうちのいずれか1種と、アルカリ金属元素としてナトリウム(Na)とからなり、
    前記第2の元素は、ニオブ(Nb)からなり、
    前記アルカリ土類金属元素に対する前記ランタノイドの組成比(ランタノイド/アルカリ土類金属元素)は、モル比で1/9以上5/5以下の範囲内であり、
    前記アルカリ金属元素に対する前記アルカリ土類金属元素と前記ランタノイドとの合計の組成比(アルカリ土類金属元素とランタノイドとの合計/アルカリ金属元素)は、モル比で5/95以上8/2以下の範囲内であり、
    前記第2の元素に対する前記第1の元素の組成比(第1の元素/第2の元素)は、化学量論組成におけるモル比の0.95倍以上1.05倍以下の範囲内である
    ことを特徴とする圧電電歪磁器。
    x(Mi 1-y Mii y ) Miv 2 6 +(1−x)Miii Mv O 3 ・・・(1)
    (式中、Mi ,MiiおよびMiii は第1の元素であり、MivおよびMv は第2の元素であり、Mi はストロンチウムおよびバリウム、Miiはランタン,ネオジムおよびガドリウムのうちのいずれか1種、Miii はナトリウム、MivおよびMv はニオブをそれぞれ表す。xおよびyはそれぞれ0.05≦x≦0.8,0.1≦y≦0.5の範囲内の値である。ただし、Miv,Mv および酸素の組成は化学量論的に求めたものであり、化学量論組成からずれていてもよく、第2の元素に対する第1の元素の組成比(第1の元素/第2の元素)は、化学量論組成である1/1+xとして表しているが、0.95/1+x以上1.05/1+x以下の範囲内である。)
  2. 前記主成分は、(Ba0.4 Sr0.4 La0.2 2 NaNb5 15、(Ba0.4 Sr0.4 Nd0.2 2 NaNb5 15、または(Ba0.4 Sr0.4 Gd0.2 2 NaNb5 15であることを特徴とする
    請求項1記載の圧電電歪磁器。
  3. 前記副成分の含有量は、0.31質量%であることを特徴とする
    請求項記載の圧電電歪磁器。
  4. 前記第1の元素はランタンを含むことを特徴とする
    請求項1記載の圧電電歪磁器。
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