JP4826708B2 - 加熱硬化型一液性樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は低温での加熱による速硬化性に優れ、かつ貯蔵安定性(保存安定性)が良好である一液性樹脂組成物に関するものである。
エポキシ樹脂の持つオキシラン環の酸素原子の全てまたは一部を硫黄原子に置き換えたチイラン環を有する化合物はエピスルフィド樹脂として知られている。エピスルフィド樹脂はエポキシ樹脂に比べアミン化合物との低温硬化性に優れる、耐水性が良い、屈折率が高い、難燃性を有する等の特徴があることが知られている。しかしながら従来のエピスルフィド系組成物の大部分は二液型であり、実際の使用直前に樹脂成分と硬化剤成分を計量、混合、脱泡するなどの煩雑な工程が必要であり、また混合後の使用可能期間が限られており、混合ミスなどの可能性もあるため、作業性、信頼性に劣るという欠点があった。例えば特開昭50−124952号公報、特開平11−140161号公報、特開2002−173533号公報には、エポキシ樹脂系組成物より低温速硬化であるエピスルフィド樹脂系組成物が示されているが、これらの組成は二液性であり前述のような作業性・信頼性上の問題を抱えている。
この問題を解決する手法として、常温ではエピスルフィド樹脂と反応せず、加熱等の刺激によって反応性を示す、いわゆる潜在性硬化剤を用いることによって前述のような二液型組成物の問題を解決した一液型組成物を得ることができることが知られている。例えば特開平4−202523公報にはエピスルフィド樹脂を含む樹脂に硬化剤としてカルボン酸含有化合物と熱潜在性触媒を用いて一液化した具体例が記載されている。しかしながらこの組成物は硬化時間(焼付時間)に140℃で30分を要するため、より低温・短時間の加熱条件で硬化可能なエピスルフィド系加熱硬化型一液性組成物が望まれている。特開2004−142133公報にはエピスルフィド樹脂を含む樹脂に硬化剤としてフェノールやジシアンジアミドを添加した具体例が記載されているが、貯蔵安定性については記載がなく、また硬化温度も170℃を要し低温速硬化性を示すものではない。特許3253919号公報、特許3540926号公報、特開2001−342253号公報には潜在性硬化剤を用いることでエピスルフィド樹脂を用いた加熱硬化型一液性樹脂組成物が可能であるとされているが、具体的にどの硬化剤をどの程度用いれば良好な低温速硬化性と貯蔵安定性が得られるか具体的事例が記載されていない。
特開昭50−124952号公報 特開平11−140161号公報 特開2002−173533号公報 特開平4−202523公報 特開2004−142133公報 特許3253919号公報 特許3540926号公報 特開2001−342253号公報
本発明の目的は、接着、封止、注型、成型、塗装、コーティング等様々な用途に使用が可能であり、従来のエピスルフィド系加熱硬化型一液性樹脂組成物より低温速硬化性に優れ、かつ良好な貯蔵安定性を有するエピスルフィド含有加熱硬化型一液性樹脂組成物を提供することである。
前記課題を達成するため鋭意検討した結果、本願発明者は、
(1)(A)分子内に2つ以上のチイラン環を含む化合物、(B)分子内にチイラン環とオキシラン環の両方を1つ以上含む化合物、(C)分子内に1つ以上のオキシラン環を有し、チイラン環を含まない化合物、の上記(A)〜(C)で示される1つ以上の化合物を含み、オキシラン環/チイラン環の含有数の割合が80/20〜0/100である前記化合物もしくは前記化合物の混合物と、(2)分子内にチオール基を1つ以上有するチオール化合物と、(3)熱潜在性硬化促進剤とを必須成分とする組成物が低温速硬化性に優れ、かつ貯蔵安定性に優れる加熱硬化型一液性樹脂組成物であることを見出した。
また、チイラン環を含む化合物(A)または/および(B)が、ビスフェノール骨格を有するエポキシ化合物の芳香環の炭素−炭素不飽和結合を水素化したエポキシ化合物が有するオキシラン環の酸素原子の全てまたは一部を硫黄原子に置換したチイラン環を含む化合物である場合、特に組成物の作業性と貯蔵安定性に優れることを見出した。
また、これら加熱硬化型一液性樹脂組成物に、無機酸または有機酸またはホウ酸エステルのうち1つ以上を添加することでさらに貯蔵安定性を延長できることを見出した。さらに、この発明の別の態様により、これら加熱硬化型一液性樹脂組成物を硬化処理することによって得られる樹脂硬化物が提供される。
以上述べてきた本発明は一液性であり、貯蔵安定性が良好で、低い加熱温度により急速に硬化し強靭で優れた物性を示す硬化物を形成するため、作業性と信頼性に優れた接着、注型、成型、塗装、コーティング材等としての使用が可能である。
以下、本発明について詳細に説明する。
(1)チイラン環を含む樹脂成分について
本発明に使用されるチイラン環を含む化合物(A)は、分子内に2つ以上のチイラン環を含む化合物であれば良い。また、チイラン環を含む化合物(B)は、分子内にチイラン環とオキシラン環の両方を1つ以上含む化合物であれば良い。なお、前記チイラン環を含む化合物(A)または(B)は、オキシラン環とチイラン環以外の官能基を有していても良い。その具体例としては例えばヒドロキシル基、ビニル基、アセタール基、エステル基、カルボニル基、アミド基、アルコキシシリル基等である。さらに、前記チイラン環を含む化合物(A)または(B)は、それぞれ単独、あるいは2種以上を混合して使用することができる。
本発明のチイラン環含有化合物は各種方法で製造される。例えばヒドロキシメルカプタンの熱加水分解、1,2−クロロチオールの弱アルカリ溶液での処理、エチレン性不飽和エーテルの硫黄またはポリサルフィドジアルキルのような化合物との処理が挙げられる。
また、エポキシ化合物を原料としてエポキシ環中の酸素原子の全部あるいは一部を硫黄原子に置換してチイラン環含有化合物を得る方法は既に知られている。このような化合物はエピスルフィド、またはエピスルフィド樹脂とも呼ばれる。例示すると、J.Polym.Sci.Polym.Phys.,17,329(1979)に記載のエポキシ化合物とチオシアン酸塩を用いる方法や、J.Org.Chem.,26,3467(1961)に記載のエポキシ化合物とチオ尿素を用いる方法、特開2000−351829号公報、特開2001−342253号公報に示される方法等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
以上に詳述した、チイラン環含有化合物の具体例としては、例えば、2,2−ビス(4−(2,3−エピチオプロポキシ)フェニル)プロパン、ビス(4−(2,3−エピチオプロポキシ)フェニル)メタン、1,6−ジ(2,3−エピチオプロポキシ)ナフタレン、1,1,1−トリス−(4−(2,3−エピチオプロポキシ)フェニル)エタン、2,2−ビス(4−(2,3−エピチオプロポキシ)シクロヘキシル)プロパン、ビス(4−(2,3−エピチオプロポキシ)シクロヘキシル)メタン、1,1,1−トリス−(4−(2,3−エピチオプロポキシ)シクロヘキシル)エタン、1,5−ペンタンジオールの2,3−エピチオシクロヘキシル)エーテル、1,6−ヘキサンジオールのジ(3,4−エピチオオクチル)エーテル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明の1分子中にチイラン環とオキシラン環の両方を持つ化合物(B)は、エポキシ化合物を原料としてエポキシ環中の酸素原子を硫黄原子に交換してエピスルフィド樹脂を合成するときに、エピスルフィド化試薬の使用量或いは反応条件を調整することによって得ることができる。また、各種精製方法で分離して得た部分エピスルフィド化物を全エピスルフィド化物と混合しても得ることができる。
本発明においてより好ましいチイラン環含有化合物は、特開2000−351829号公報に示されるような、ビスフェノール骨格を有するエポキシ化合物の芳香環の炭素−炭素不飽和結合を水素化(水添)した、水素化ビスフェノールエポキシ樹脂が有するオキシラン環の酸素原子の全てまたは一部を硫黄原子に置換したチイラン環を含む化合物、特に水素化ビスフェノールA骨格を含むチイラン環含有化合物であり、この化合物を用いた組成物は特に硬化性、作業性と貯蔵安定性に優れる。
本発明に使用される分子内に1つ以上のオキシラン環を有し、チイラン環を含まない化合物(C)は、一般的にエポキシ化合物と呼ばれるものである。その具体例としてはビスフェノールAとエピクロルヒドリンから誘導されるジグリシジルエーテル、及びその誘導体、ビスフェノールFとエピクロルヒドリンから誘導されるジグリシジルエーテル、及びその誘導体等の所謂エピ−ビス型液状エポキシ樹脂、脂肪族・芳香族アルコールとエピクロルヒドリンから誘導されるグリシジルエーテル、多塩基酸とエピクロルヒドリンから誘導されるグリシジルエステル、及びその誘導体、水添ビスフェノールAとエピクロルヒドリンから誘導されるグリシジルエーテル、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビニルシクロヘキセンオキサイド、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート等の脂肪族環状エポキシ、及びその誘導体、5,5’−ジメチルヒダントイン型エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアネート、イソブチレンから誘導される置換型エポキシ、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどの分子内にアルコキシシリル基を含む化合物等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
市販されているエポキシ樹脂製品としては例えばジャパンエポキシレジン株式会社製のエピコート828、1001、801、806、807、152、604、630、871、YX8000、YX8034、YX4000、カージュラE10P、大日本インキ工業株式会社製のエピクロン830、835LV、HP4032D、703、720、726、HP820、旭電化工業株式会社製のEP4100、EP4000、EP4080、EP4085、EP4088、EPU6、EPR4023、EPR1309、EP49−20、ナガセケムテックス株式会社製デナコールEX411、EX314、EX201、EX212、EX252、EX111、EX146、EX721、信越化学工業株式会社製KBM403、KBE402等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。これらは、それぞれ単独で用いることも、また二種以上を混合して用いても良い。
なお、上記した(A)〜(C)の各成分は、オキシラン環とチイラン環以外の官能基を有していても良い。例えばヒドロキシル基、ビニル基、アセタール基、エステル基、カルボニル基、アミド基、アルコキシシリル基等である。
本発明の組成物における(A)〜(C)で示される化合物は、分子内に2つ以上のチイラン環を含む化合物(A)、または分子内にチイラン環とオキシラン環の両方を1つ以上含む化合物(B)、または分子内にオキシラン環を有し、チイラン環を含まない化合物(C)のうち1種以上を含み、オキシラン環/チイラン環の含有数の割合が80/20〜0/100である前記化合物もしくは前記化合物の混合物である。チイラン環の含有数の割合がこの範囲より小さくなると、充分な貯蔵安定性を保ちつつ速硬化性を発現することができない。より好ましい含有数の割合は、オキシラン環/チイラン環の含有数の割合が60/40〜0/100であり、更に好ましくは40/60〜2/98である。オキシラン環を含む化合物が少量存在すると潜在性硬化剤の溶解性が向上し結果的に硬化速度がより向上する。
(2)チオール化合物について
本発明に使用されるチオール化合物は、分子内にチオール基を1つ以上有するチオール化合物であれば良い。具体的に例示すると、3−メトキシブチル3−メルカプトプロピオネート、2−エチルヘキシル3−メルカプトプロピオネート、トリデシル3−メルカプトプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、ペンタエリストールテトラキスチオプロピオネート、メチルチオグリコレート、2−エチルヘキシルチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、1,4−ブタンジオールビスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、ペンタエリストールテトラキスチオグリコレート、ジ(2−メルカプトエチル)エーテル、1−ブタンチオール、1−ヘキサンチオール、シクロヘキシルメルカプタン、1,4−ブタンジチオール、3−メルカプト2−ブタノール、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ベンゼンチオール、ベンジルメルカプタン、1,3,5−トリメルカプトメチルベンゼン、1,3,5−トリメルカプトメチル−2,4,6−トリメチルベンゼン、末端チオール基含有ポリエーテル、末端チオール基含有ポリチオエーテル、エポキシ化合物と硫化水素との反応によって得られるチオール化合物、ポリチオール化合物とエポキシ化合物との反応によって得られる末端チオール基を有するチオール化合物等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
市販されているチオール化合物の製品としては、例えばジャパンエポキシレジン株式会社製のエポメートQX11、QX12、エピキュアQX30、QX40、QX60、QX900、カプキュアCP3−800、淀化学株式会社製のOTG、EGTG、TMTG、PETG、3−MPA、TMTP、PETP、東レファインケミカル株式会社製チオコールLP−2、LP−3、ポリチオールQE−340M、信越化学工業株式会社製KBM803等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。これらは、それぞれ単独で用いることも、また二種以上を混合して用いても良い。
より好ましいチオール化合物は、貯蔵安定性の面からは塩基性不純物の極力少ないものである。また硬化物の耐熱性の面からは官能基数が2以上のチオール化合物および分子内に芳香環を含むチオール化合物がより好ましい。
本発明の組成物におけるチオール化合物(2)の配合量については、特に範囲を限定するものではないが、好ましくは前記(1)記載の樹脂成分におけるチイラン環およびオキシラン環の合計に対してチオール当量比で0.005〜1.5の範囲内で加えることができる。より好ましくはオキシラン環/チイラン環の含有数の割合が80/20〜50/50の場合は、チイラン環およびオキシラン環の合計に対してチオール当量比で0.5〜1.4の範囲、オキシラン環/チイラン環の含有数の割合が50/50を超え0/100までの場合はチイラン環およびオキシラン環の合計に対してチオール当量比で0.01〜0.7の範囲である。上記の範囲内でチオール化合物を加えると、より硬化速度、貯蔵安定性が向上でき、また、硬化物の強度や耐熱性のバランスに優れた組成物を得ることができる。
(3)熱潜在性硬化促進剤
本発明に使用される熱潜在性硬化促進剤とは、室温ではエポキシ樹脂に対し活性を持たず、加熱することにより溶解、分解、転移反応などにより活性化し促進剤として機能する化合物である。例えば常温で固体のイミダゾール化合物およびその誘導体、各種アミンと酸との塩、固体分散型アミンアダクト系潜在性硬化促進剤等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。さらに、固体分散型アミンアダクト系潜在性硬化促進剤の例としては、アミン化合物とエポキシ化合物との反応生成物(アミン−エポキシアダクト系)やアミン化合物とイソシアネート化合物または尿素化合物との反応生成物(尿素型アダクト系)、等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。これらの熱潜在性硬化促進剤のうち好ましくは固体分散型アミンアダクト系潜在性硬化剤、より好ましくは尿素型アダクト系の熱潜在性硬化剤が、本発明の組成物の低い硬化温度と貯蔵安定性に優れた効果を発揮する。これら熱潜在性硬化剤の配合量については特に範囲を限定するものではないが、好ましくは前記(1)の樹脂成分100重量部に対し0.1〜30重量部の範囲で添加される。硬化促進剤が少ないと硬化が遅く、多すぎると貯蔵安定性が悪くなる。
前記熱潜在性硬化促進剤で市販されている製品としては、例えば四国化成工業株式会社製のイミダゾール化合物2PZ、2PHZ、2P4MHZ、C17Z、2MZ−A、2E4MZ−CNS、2MA−OK、味の素ファインテクノ株式会社製アミキュアPN23、PN31、PN40J、PN−H、MY24、MY−H、旭電化株式会社製EH−3293S、EH−3366S、EH−3615S、EH−4070S、EH−4342S、EH−3731S、旭化成ケミカルズ株式会社製ノバキュアHX−3742、HX−3721、富士化成工業株式会社製FXE−1000、FXR−1030、FXR−1080、FXR−1110などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
本発明では、前記(1)〜(3)を主成分とする組成物に、さらに(4)酸性化合物および/またはホウ酸エステル類を添加することが可能である。ここで用いられる酸性化合物は、室温で液状または固体の有機酸、または無機酸である。例えば硫酸、酢酸、アジピン酸、酒石酸、フマル酸、バルビツール酸、ホウ酸、ピロガロール、フェノール樹脂、カルボン酸無水物等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。これら酸性物質は組成物の保存状態での貯蔵安定性をさらに向上させる効果がある。
また、本発明で用いられるホウ酸エステル類は、室温で液状または固体のホウ酸エステルである。、例えばトリメチルボレート、トリエチルボレート、トリ−n−プロピルボレート、トリイソプロピルボレート、トリ−n−ブチルボレート、トリペンチルボレート、トリアリルボレート、トリヘキシルボレート、トリシクロヘキシルボレート、トリオクチルボレート、トリノニルボレート、トリデシルボレート、トリドデシルボレート、トリヘキサデシルボレート、トリオクタデシルボレート、トリス(2−エチルヘキシロキシ)ボラン、ビス(1,4,7,10−テトラオキサウンデシル)(1,4,7,10,13−ペンタオキサテトラデシル)(1,4,7−トリオキサウンデシル)ボラン、トリベンジルボレート、トリフェニルボレート、トリ−o−トリルボレート、トリ−m−トリルボレート、トリエタノールアミンボレート等が挙げられるがこれに限定されるものではない。これらホウ酸エステルは硬化促進剤表面と反応し硬化促進剤表面の塩基性をブロックする役割を果たし組成物の保存状態での貯蔵安定性をさらに向上させる効果がある。
これら(4)酸性化合物およびホウ酸エステル類は、それぞれ単独でも、2種以上を混合して使用しても良い。またこれら酸性物質とエポキシ樹脂等を混合しマスターバッチ化したものを保存安定性向上剤として添加しても良い。このような保存安定性向上剤としては市販されている製品としては例えば四国化成工業株式会社製キュアダクトL−07N等が挙げられるがこれに限定されるものではない。これら酸性物質およびホウ酸エステルの配合量については特に範囲を限定するものではないが、好ましくは(1)の樹脂成分100重量部に対し0.01〜10重量部の範囲で添加される。添加により貯蔵安定性がさらに向上するが、添加量が多すぎると硬化性が低下する。
本発明の加熱硬化型一液性樹脂組成物には、本発明の特性を損なわない範囲において顔料、染料などの着色剤、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム等の無機充填剤、難燃剤、アクリルゴムやシリコンゴム等の有機充填剤、可塑剤、酸化防止剤、消泡剤、カップリング剤、レベリング剤、レオロジーコントロール剤等の添加剤を適量配合しても良い。これらの添加により、より樹脂強度・接着強さ・難燃性・熱伝導性、作業性等に優れた組成物およびその硬化物が得られる。
本発明の組成物を加熱硬化処理して得られる樹脂硬化物は強靭で優れた特性を有し接着、注型、成型、塗装、コーティング材等としての使用が可能である。また、本発明の加熱硬化型一液性樹脂組成物は、一液性であり、貯蔵安定性が良好で、低い加熱温度により急速に硬化し強靭で優れた物性を示す硬化物を形成するため、作業性と信頼性に優れた接着、注型、成型、塗装、コーティング材等として有用である。
以下に実施例によって本発明について具体的に説明するが、本発明は以下の実施例により制約されるものではない。また、下記の表中の配合割合は特に断りのない限り重量基準である。
実施例に使用した材料は下記の通りである。
・化合物A:ジャパンエポキシレジン株式会社製 水素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂の100%エピスルフィド化品
・化合物B:ジャパンエポキシレジン株式会社製 水素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂の80%エピスルフィド化品
・化合物C:ジャパンエポキシレジン株式会社製 水素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂の50%エピスルフィド化品
・YL7000:ジャパンエポキシレジン株式会社製 ビスフェノールA型エポキシ樹脂の100%エピスルフィド化品
・YL7150:ジャパンエポキシレジン株式会社製 ビスフェノールA型エポキシ樹脂の20%エピスルフィド化品
・エピクロン835LV:大日本インキ工業株式会社製 ビスフェノール型エポキシ樹脂
・カージュラE10P:ジャパンエポキシレジン株式会社製 3級飽和モノカルボン酸のモノグリシジルエーテル
・デナコールEX146:ナガセケムテックス株式会社製 p−ターシャリーブチルフェニルグリシジルエーテル
・KBM403:信越化学工業株式会社製 γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
・YX8000:ジャパンエポキシレジン株式会社製 水素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂
・エピキュアQX30:ジャパンエポキシレジン株式会社製 3官能脂肪族ポリチオール
・エピキュアQX40:ジャパンエポキシレジン株式会社製 4官能脂肪族ポリチオール
・エピキュアQX60:ジャパンエポキシレジン株式会社製 6官能脂肪族ポリチオール
・チオコールLP−3:東レファインケミカル株式会社製 末端チオールのポリサルファイドポリマー
・ポリチオールQE−340M:東レファインケミカル株式会社製 3官能脂肪族ポリチオール
・PETG:淀化学株式会社製 ペンタエリストールテトラキスチオグリコレート
・ジ(2−メルカプトエチル)エーテル:東京化成工業株式会社試薬
・3−メトキシブチル3−メルカプトプロピオネート:東京化成工業株式会社試薬
・ベンジルメルカプタン:東京化成工業株式会社試薬
・PN31:味の素ファインテクノ株式会社製 潜在性硬化剤アミキュア
・MY24:味の素ファインテクノ株式会社製 潜在性硬化剤アミキュア
・FXE−1000:富士化成工業株式会社製 潜在性硬化剤フジキュア
・FXR−1080:富士化成工業株式会社製 潜在性硬化剤フジキュア
・バルビツール酸、ホウ酸、クエン酸:東京化成工業株式会社試薬
・トリエチルボレート:東京化成工業株式会社試薬
・L−07N:四国化成工業株式会社製キュアダクト(有機酸系保存性向上剤)
・タルク:ソブエクレー株式会社製 平均粒子径7.0μm品
(実施例1〜32および比較例1〜4)
下表(表1〜表4)に示す通りの重量比で材料を混合攪拌し、実施例1〜32及び比較例1〜4の各試料(組成物)を得た。得られた各試料を下記項目について評価検討を行った。
[チイラン環含有率]
樹脂成分(1)中のチイラン環含有率を次式の計算により求めた。
チイラン環含有率(%)=樹脂成分(1)のチイラン当量/(樹脂成分(1)のチイラン当量+樹脂成分(1)のオキシラン当量)×100
[80℃ゲルタイム]
各組成物0.1gをスライドガラス上に半球状になるように滴下し、80℃に設定した温風循環式恒温乾燥炉に投入し組成物がゲル化(攪拌棒などで触れても流動しなくなる状態)までの時間を測定した。
[80℃硬化時間]
各組成物0.1gをスライドガラス上に半球状になるように滴下し、80℃に設定した温風循環式恒温乾燥炉に投入し組成物が硬化(硬化物を指で触れて表面のタックがなくなった状態)するまでの時間を測定した。
[40℃貯蔵安定性]
各組成物を20mlガラス瓶に約10ml入れ密栓し、40℃に設定した温風循環式恒温乾燥炉にて貯蔵、40℃においてゲル化する(組成物が攪拌棒を用いて手でかき混ぜられなくなる状態)までの日数を求めた。
Figure 0004826708
実施例1からは、オキシラン環/チイラン環の含有数の割合が100である樹脂成分に、チオール化合物と、熱潜在性硬化促進剤を配合することにより、80℃における硬化時間が20分以下であり、かつ、40℃において7日以上の貯蔵安定性を有する、低温速硬化性と貯蔵安定性に優れた組成物が得られた。
実施例2〜4からは、オキシラン環/チイラン環の含有数の割合が100である樹脂成分と、チオール化合物と、熱潜在性硬化促進剤に、酸性化合物、ホウ酸エステルを配合することにより、低温速硬化性を維持しながら更に貯蔵安定性に優れた組成物が得られた。
比較例1、2からは、チオール化合物、または、熱潜在性硬化促進剤を含有しない場合、所望の低温速硬化性を得ることが出来ないことが分かる。
Figure 0004826708
実施例5〜15からは、オキシラン環/チイラン環の含有数の割合が80/20〜0/100である樹脂成分の場合、80℃における硬化時間が20分以下であり、かつ、40℃において7日以上の貯蔵安定性を有する、低温速硬化性と貯蔵安定性に優れた組成物が得られた。また実施例5は、さらに無機充填剤を配合しても特に問題ないことが分かる。
比較例3、4からは、オキシラン環/チイラン環の含有数の割合が80/20〜0/100の範囲を外れると、低温速硬化性と貯蔵安定性を両立することが出来ないことが分かる。
Figure 0004826708
実施例16〜23は、チオール化合物の種類を変えた場合の実施例である。いずれの場合も80℃における硬化時間が20分以下であり、かつ、40℃において7日以上の貯蔵安定性を有する、低温速硬化性と貯蔵安定性に優れた組成物が得られることが分かる。
Figure 0004826708
実施例24〜32は、熱潜在性硬化促進剤または酸性化合物・ホウ酸エステル化合物の種類・量を変えた場合の実施例である。これらの結果から80℃における硬化時間が20分以下であり、かつ、40℃において7日以上の貯蔵安定性を有する、低温速硬化性と貯蔵安定性に優れた組成物が得られることが分かる。
本発明は作業性と信頼性に優れ、輸送機器、電機機器、電子機器産業等の接着、封止、注型、成型、塗装、コーティング材等としての使用が可能であり、特に低い加熱温度での速硬化性が要求される電子部品の実装・組立用の接着剤・封止剤として有用である。

Claims (4)

  1. (1)〜(3)を必須成分とする加熱硬化型一液性樹脂組成物。
    (1)下記の(A)〜(C)で示される1つ以上の化合物を含み、オキシラン環/チイラン環の含有数の割合が80/20〜0/100である前記化合物もしくは前記化合物の混合物
    (A)分子内に2つ以上のチイラン環を有すると共にオキシラン環を有さない、水添ビスフェノール骨格を有する化合物
    (B)分子内にチイラン環とオキシラン環の両方を1つ以上有し、水添ビスフェノール骨格を有する化合物
    (C)分子内に1つ以上のオキシラン環を有すると共にチイラン環を有さない化合物
    (2)分子内にチオール基を1つ以上有するチオール化合物
    (3)固体分散型アミンアダクト系潜在性硬化促進剤
  2. オキシラン環/チイラン環の含有数の割合が60/40〜0/100であり、硬化温度として80℃以上を必要とする請求項1に記載の加熱硬化型一液性樹脂組成物。
  3. (4)として、酸性化合物および/またはホウ酸エステル類を含む請求項1または2のいずれかに記載の加熱硬化型一液性樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の加熱硬化型一液性樹脂組成物を硬化処理することによって得られる樹脂硬化物。
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