JP4822638B2 - 表面処理層 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、基材の表面に離型性、防汚性、易滑性等の各種の必要性能を付与することが可能な表面処理層であって、特にこれら性能の耐久性に優れる表面処理層に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、木材、金属、硝子、樹脂等の基材の表面に、離型性、防汚性、易滑性等の各種の必要性能を付与することを目的として、シリコーン系樹脂からなる表面処理層が設けられることがある。
【0003】
一般に、このような基材表面にシリコーン系樹脂層を形成する場合、高温処理して基材表面に強固に接着させる方法が取られるが、有機系の基材では、耐熱性に劣り高温処理し難いため、下引き層を介して積層することにより接着性を向上させる方法が取られる。
【0004】
また、このような離型性、防汚性、易滑性等の各種の必要性能のうちでも特に防汚性等の性能を付与する目的のものにとっては、その表面に付着した汚れを溶剤等を染み込ませたティッシュペーパー等で拭き取ることがある。
【0005】
しかし、このような有機系の基材表面に下引き層を介して積層されたシリコーン系樹脂層は、高温処理されていないため、このような溶剤等による洗浄が行われると溶剤が浸透して、下引き層とシリコーン系樹脂層との接着を阻害してしまうという問題があり、離型性、防汚性、易滑性等の各種の必要性能の耐久性に乏しいという問題を生じてしまう。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、耐熱性に劣る有機系の基材の表面に、離型性、防汚性、易滑性等の各種の必要性能の耐久性に極めて優れる、二層構造からなる表面処理層を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者らは、上記のような問題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定の化合物を含有する下引き層上に、特定のシランカップリング剤を添加してなる特定のシリコーン組成物を硬化させたシリコーン系樹脂層を積層することによって、下引き層とシリコーン系樹脂層との接着性が極めて向上して、上記のような問題を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明の表面処理層は、基材表面に形成される表面処理層であって、前記表面処理層が下引き層とシリコーン系樹脂層との積層体からなり、前記下引き層がメラミン系化合物を含有してなるものであり、前記シリコーン系樹脂層がシランカップリング剤を添加した付加反応型シリコーン組成物を硬化させてなるものであって、前記付加反応型シリコーン組成物がメチルヘキセニル・ジメチルポリシロキサンを含み、前記シランカップリング剤として分子中にエポキシ基を有するアルコキシシラン加水分解物が含まれていることを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明の表面処理層は、前記アルコキシシラン加水分解物がγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランであることを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明の表面処理層は、前記メラミン系化合物がヘキサメトキシメチルメラミンであることを特徴とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の表面処理層について、詳細に説明する。
【0012】
本発明の表面処理層は、各種の基材となる表面に形成されるものであって、下引き層とシリコーン系樹脂層との積層体からなるものである。そして、該下引き層がメラミン系化合物を含有してなるものであり、該シリコーン系樹脂層がシランカップリング剤を添加した付加反応型シリコーン組成物を硬化させてなるものである。更に、該シランカップリング剤として分子中にエポキシ基を有するアルコキシシラン加水分解物が含まれていることを特徴としている。
【0013】
以上のような構成を採ることによって、下引き層とシリコーン系樹脂層との接着性が極めて向上することになり、表面処理層としての離型性、防汚性、易滑性等の各種の必要性能の耐久性が極めて優れたものにすることができるようになる。
【0014】
ここで、このような表面処理層が形成される基材としては、本来限定されるものではないが、特に耐熱性に劣る有機系の基材を使用する場合に本発明の効果を期待することができる。
【0015】
ここで下引き層は、メラミン系化合物を好ましくは10重量%以上、より好ましくは20重量%以上含有することによって、下引き層とシリコーン系樹脂層との接着性を向上させることができる。そのため下引き層には、そのメラミン系化合物の接着向上作用を阻害しない範囲で、メラミン系化合物以外にも他のバインダー樹脂等を含有させることができる。
【0016】
ここで含有できる他のバインダー樹脂としては、メラミン系化合物の下引き層とシリコーン系樹脂層との接着向上作用を阻害しないものであれば特に限定されず、基材の種類に対応させて適宜基材との接着性に優れるものを採用することができる。望ましくはメラミン系化合物と架橋硬化可能な樹脂を採用することが好ましい。このようにメラミン系化合物と架橋硬化可能な樹脂を含有させることにより、下引き層自体の耐溶剤性や下引き層と基材表面との接着性を調整することが容易になるという効果を奏することができるようになる。ここでメラミン系化合物と架橋硬化可能な樹脂としては、アクリル系樹脂、アルキド系樹脂、ポリエステル系樹脂などを挙げることができ、特に有機系の基材表面に対する下引き層の接着性を向上させる観点からは、アクリル系樹脂を採用することが好ましい。ここで採用されるアクリル系樹脂としてはアクリル酸およびそのエステル、アクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリル酸およびそのエステルなどの重合体および共重合体が挙げられ、特に末端にヒドロキシル基やカルボキシル基を有するアクリルポリオール樹脂等を採用することが好ましい。
【0017】
次にメラミン系化合物とは、メラミン、メチロールメラミン若しくはその誘導体、又はこれらを縮合反応させるなどして得られるメラミン樹脂、等のメラミンを出発原料とする化合物のことを意味する。特に他のバインダー樹脂との架橋硬化の際に高い反応性を有する観点からは、メチロールメラミン若しくはその誘導体を採用することが好ましく、特にモノメチロールメラミンからヘキサメチロールメラミンまであるメチロールメラミンの中ではヘキサメチロールメラミンを採用することが好ましい。更にこのメチロールメラミンの誘導体としては、メチロールメラミンをアルキル化したアルコキシメチルメラミンが挙げられ、特に末端のアルキル基がメチル基であるメトキシメチルメラミン若しくはブチル基であるブトキシメチルメラミンを採用することが好ましく、中でもヘキサメトキシメチルメラミンを採用することにより他のバインダー樹脂との反応性を極めて向上させることができるので好ましい。
【0018】
このように他のバインダー樹脂との反応性の高いメラミン系化合物を採用することで、下引き層自体の耐溶剤性や基材表面との接着性などの性能をより向上させ、表面処理層としての各種の必要性能の耐久性をより向上させることができるようになる。
【0019】
更に、メラミン系化合物の硬化温度を低くして、硬化速度を上昇させる作用として、下引き層に硬化触媒を含有させることが望ましい。そのような硬化触媒としては、例えば塩酸、硫酸、リン酸、スルホン酸、シュウ酸、マレイン酸、ヘキサミン酸、ジメチル酸、ピロリン酸、フタル酸、アクリル酸等が挙げられ、特にp−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸等のスルホン酸が好ましく用いられる。
【0020】
また、本発明の下引き層は、本発明の効果を奏するものであれば、他の性能として例えば、光透過性、光反射性、光拡散性、防眩性、耐擦傷性、柔軟性、導電性、帯電防止性、紫外線吸収性等の性能を有するものであっても良い。
【0021】
従って本発明の下引き層の厚みとしては、本発明の効果を奏する限り特に限定されるものではないため、0.01μm〜1mm程度の範囲において適宜に採用することができる。特に基材表面に従来公知のコーティング方法によって形成する場合には、0.1〜50μm程度の厚みが好適に採用される。
【0022】
次に本発明のシリコーン系樹脂層は、下引き層上に積層されるものであって、シランカップリング剤を添加した付加反応型シリコーン組成物を硬化させてなるものからなる。
【0023】
ここで付加反応型シリコーン組成物とは、反応主成分としてのジオルガノポリシロキサンに架橋剤として作用する成分を加え、必要に応じて溶剤等により希釈した組成物であって、下引き層上に塗布して加熱乾燥硬化させて積層することによって、シリコーン系樹脂層を形成するものである。
【0024】
ここで付加反応型シリコーン組成物の反応主成分となるジオルガノポリシロキサンとしては、ケイ素原子に直結したビニル基若しくは高級アルケニル基がケイ素原子に直結したものが好適であり、メチルビニル・ジメチルポリシロキサン、メチルフェニル・メチルビニル・ジメチルポリシロキサン等のビニル基含有ジオルガノポリシロキサンや、メチルブテニル・ジメチルポリシロキサン、メチルオクテニル・ジメチルポリシロキサン、メチルへキセニル・ジメチルポリシロキサン等の炭素数4〜8程度の高級アルケニル基を有するジオルガノポリシロキサンが挙げられる。尚、基材が特に耐熱性に乏しいものである場合においては、より低温で架橋硬化しても下引き層とシリコーン系樹脂層との接着性を十分なものにできるものとして、メチルへキセニル・ジメチルポリシロキサンが特に好適に採用される。
【0025】
次に付加反応型シリコーン組成物中に含まれる架橋剤として作用する成分としては、少なくとも1分子中に3個のケイ素原子結合水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンが挙げられる。このケイ素原子に結合する水素原子以外の有機基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基のような脂肪族飽和結合を有しない一価炭化水素基が挙げられる。そして、このオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、反応主成分であるジオルガノポリシロキサン100重量部に対して0.5〜30重量部の範囲が好適である。0.5重量部以上にすることにより、付加反応型シリコーン組成物の硬化を十分にすることができ、30重量部以下にすることにより、シリコーン系樹脂層の経時的な劣化を抑制することができるようになる。
【0026】
また、シリコーン系樹脂層を構成する付加反応型シリコーン組成物には、組成物の保存安定性を向上するためにアルキルアルコール、エンイン化合物等の付加反応制御剤等を加えることが有効である。また、付加反応型シリコーン組成物の架橋硬化を促進するためには、塩化白金酸等の白金化合物からなる白金触媒をこれら組成物に加えることが極めて有効である。
【0027】
以上のような付加反応型シリコーン組成物としては、市販品で言えば、例えば東レ・ダウコーニング・シリコーン社製LTC750A、LTC760A、信越化学工業社製KS847H、KS3703等を用いることができ、白金触媒としては例えば東レ・ダウコーニング・シリコーン社製SRS212、信越化学工業社製CAT−PL−50T等を用いることができる。
【0028】
そして、本発明で下引き層とシリコーン系樹脂層との接着向上作用をもたらすためには、この付加反応型シリコーン組成物に添加するシランカップリング剤として分子中にエポキシ基を有するアルコキシシラン加水分解物が含まれていることを必要とする。
【0029】
即ち、付加反応型シリコーン組成物には、少なくとも分子中にエポキシ基を有するアルコキシシラン加水分解物を含んでいればよいが、好ましくは付加反応型シリコーン組成物の固形分100重量部に対して1重量部以上添加していることが望ましい。ここでこの分子中にエポキシ基を有するアルコキシシラン加水分解物としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン等が挙げられ、特にγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランが好ましく採用される。
【0030】
ここで何故、この分子中にエポキシ基を有するアルコキシシラン加水分解物を付加反応型シリコーン組成物に添加することで、この付加反応型シリコーン組成物を硬化させてなるシリコーン系樹脂層とメラミン系化合物を含有してなる下引き層との接着性が向上するのかは明らかではない。しかし、何らかの作用によって付加反応型シリコーン組成物が付加反応することによって形成されるシリコーンポリマー中に当該アルコキシシラン加水分解物が取りこまれ、それと前後して当該アルコキシシラン加水分解物中のエポキシ基が開環することでヒドロキシル基が形成され、このヒドロキシル基が下引き層中のメラミン系化合物と反応することで化学的に結合して、両層を強固に接着させているものと考えられる。よってこのように両層が強固に接着することにより、表面処理層の離型性、防汚性、易滑性等の各種の必要性能の耐久性に極めて優れるものになると考えられる。
【0031】
また、この付加反応型シリコーン組成物には、例えばγ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン等の、他のシランカップリング剤を併用することも適宜行い得る。
【0032】
ここでシリコーン系樹脂層の厚みとしては、適用される状況によって一概には言えないが、そのシリコーン系樹脂層の離型性、防汚性、易滑性等の各種の必要性能を害さず、且つ下引き層に付与されている性能を害さない程度の厚みであることが好ましい。特に従来公知のコーティング方法によって形成する場合には、0.05〜5.0μm、望ましくは0.1〜2.0μm程度の厚みが好適に採用される。
【0033】
以上に説明してきたように、本発明の表面処理層は、メラミン系化合物を含有してなる下引き層上に、少なくとも分子中にエポキシ基を有するアルコキシシラン加水分解物を含むシランカップリング剤を添加した付加反応型シリコーン組成物を硬化させてなるシリコーン系樹脂層を積層することにより、該下引き層と該シリコーン系樹脂層との接着性が極めて向上し、表面処理層としての離型性、防汚性、易滑性等の各種の必要性能の耐久性が極めて優れたものになる。
【0034】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明する。尚、「部」「%」は特記しない限り重量基準である。また、以下の実施例においては、本発明の表面処理層の利用例として、フィルム表面に本発明の表面処理層を設けることにより、防汚性を備えた表面保護フィルムについての例を示す。
【0035】
[実施例1]
厚み100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(ルミラーT-60:東レ社)の一方の表面に下記組成の下引き層用塗工液aとシリコーン系樹脂層用塗工液bを、反対面に下記組成の粘着層用塗工液をそれぞれ順次塗布し、加熱乾燥硬化させることにより、約0.5μmの下引き層、約0.5μmのシリコーン系樹脂層、約10μmの粘着層を形成して、一方の表面に本発明の表面処理層を形成した表面保護フィルムを作製した。この際に粘着層の表面には取り扱い性を考慮して厚み25μmの離型フィルム(MRB:三菱化学ポリエステルフィルム社)を貼り合わせた。また、この際シリコーン系樹脂層の硬化温度は100℃、1分で行った。尚、下記下引き層用塗工液aに使用しているアクリルポリオール樹脂のモノマー共重合比は、メタクリル酸メチル83部、アクリル酸エチル8部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル8部、メタクリル酸1部のものである。また、下記シリコーン系樹脂層用塗工液bに使用している付加反応型シリコーン組成物中のジオルガノポリシロキサンの主成分はメチルヘキセニル・ジメチルポリシロキサンである。
【0036】
<下引き層用塗工液a>
・アクリルポリオール樹脂 3.5部
・ヘキサメトキシメチルメラミン(ニカラックMW-30M
:三和ケミカル社) 1.5部
・p−トルエンスルホン酸メタノール溶液(<固形分5
0%>) 0.5部
・メチルエチルケトン 94.5部
【0037】
<シリコーン系樹脂層用塗工液b>
・付加反応型シリコーン組成物(LTC750A<固形分30%
>:東レ・ダウコーニング・シリコーン社) 80部
・白金触媒(SRS212:東レ・ダウコーニング・シリコー
ン社) 0.8部
・シランカップリング剤(γ−グリシドキシプロピルト
リメトキシシラン、TSL8350:東芝シリコーン社)1部
・トルエン 418.2部
【0038】
<粘着層用塗工液>
・アクリル酸エステル共重合体(アロンタックSCL-200
<固形分40%>:東亞合成化学社) 10部
・トルエン 10部
・酢酸エチル 10部
【0039】
[参考例2]
実施例1のシリコーン系樹脂層用塗工液bを、下記組成のシリコーン系樹脂層用塗工液cに変更し、シリコーン系樹脂層の硬化温度を130℃、1分で行った以外は実施例1と同様にして参考例2の表面保護フィルムを作製した。尚、下記シリコーン系樹脂層用塗工液cに使用している付加反応型シリコーン組成物中のジオルガノポリシロキサンの主成分はメチルビニル・ジメチルポリシロキサンである。
【0040】
<シリコーン系樹脂層用塗工液c>
・付加反応型シリコーン組成物(KS847H<固形分30%>
:信越化学工業社) 80部
・白金触媒(CAT-PL-50T:信越化学工業社) 0.8部
・シランカップリング剤(γ−グリシドキシプロピルト
リメトキシシラン、TSL8350:東芝シリコーン社)1部
・トルエン 418.2部
【0041】
[比較例1]
実施例1の下引き層用塗工液aを、下記組成の下引き層用塗工液dに変更した以外は実施例1と同様にして表面保護フィルムを作製した。尚、下引き層用塗工液dに使用しているアクリルポリオール樹脂は実施例1で使用しているアクリルポリオール樹脂と同じものである。
【0042】
<下引き層用塗工液d>
・アクリルポリオール樹脂 5部
・メチルエチルケトン 95部
【0043】
[比較例2]
実施例1のシリコーン系樹脂層用塗工液bを、下記組成のシリコーン系樹脂層用塗工液eに変更した以外は実施例1と同様にして表面保護フィルムを作製した。
【0044】
<シリコーン系樹脂層用塗工液e>
・付加反応型シリコーン組成物(LTC750A<固形分30%
>:東レ・ダウコーニング・シリコーン社) 80部
・白金触媒(SRS212:東芝シリコーン社) 0.8部
・トルエン 419.2部
【0045】
[比較例3]
実施例1のシリコーン系樹脂層用塗工液bを、下記組成のシリコーン系樹脂層用塗工液fに変更し、シリコーン系樹脂層の硬化温度を130℃、1分で行ったた以外は実施例1と同様にして表面保護フィルムを作製した。
【0046】
<シリコーン系樹脂層用塗工液f>
・付加反応型シリコーン組成物(KS847H<固形分30%>
:信越化学工業社) 80部
・白金触媒(CAT-PL-50T:信越化学工業社) 0.8部
・シランカップリング剤(γ−(2−アミノエチル)ア
ミノプロピルトリメトキシシラン、TSL8340:東芝シ
リコーン社) 1部
・トルエン 418.2部
【0047】
以上のようにして実施例、参考例及び比較例で得られた表面保護フィルムから離型フィルムを剥離して露出した粘着層を用いて、印刷物の表面に表面保護フィルムを貼着した。
【0048】
そして、この印刷物の表面に貼着した表面保護フィルムの表面処理層について、その防汚性の耐久性を確認するため、以下のように評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0049】
[防汚性の耐久性の評価]
評価の方法は、表面処理層の表面に油性マーカーで文字を筆記しようとした際に、文字が掠れて筆記できない(○)か、掠れずに筆記できてしまう(×)かで評価した。
尚、この評価は、溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテル)を染み込ませたティッシュペーパーにおいて、それぞれ10回、50回、200回、拭き取り操作を行った後についても行った。
【0050】
【表1】
【0051】
表1の結果からも明らかなように、実施例1及び参考例2の表面処理層は、溶剤を染み込ませたティッシュペーパーで200回拭き取り操作を行った後においても、油性マーカーで文字を筆記しようとした場合に文字が掠れて筆記できないものであり、極めてその防汚性の耐久性に優れるものであった。
【0052】
一方、比較例1の表面処理層は、下引き層にメラミン系化合物を含有していないために、溶剤を染み込ませたティッシュペーパーで少なくとも10回拭き取り操作を行った後においては、油性マーカーで文字を筆記しようとした場合に文字が掠れずに筆記できてしまうものであり、防汚性の耐久性に劣るものであった。
【0053】
また、比較例2の表面処理層は、シリコーン系樹脂層にシランカップリング剤を添加していないために、溶剤を染み込ませたティッシュペーパーで少なくとも10回拭き取り操作を行った後においては、油性マーカーで文字を筆記しようとした場合に文字が掠れずに筆記できてしまうものであり、防汚性の耐久性に劣るものであった。
【0054】
また、比較例3の表面処理層は、シリコーン系樹脂層に添加したシランカップリング剤として分子中にエポキシ基を有するアルコキシシラン加水分解物を含まないために、溶剤を染み込ませたティッシュペーパーで少なくとも10回拭き取り操作を行った後においては、油性マーカーで文字を筆記しようとした場合に文字が掠れずに筆記できてしまうものであり、防汚性の耐久性に劣るものであった。
【0055】
【発明の効果】
本発明の表面処理層によれば、メラミン系化合物を含有してなる下引き層上に、少なくとも分子中にエポキシ基を有するアルコキシシラン加水分解物を含むシランカップリング剤を添加した付加反応型シリコーン組成物を硬化させてなるシリコーン系樹脂層を積層することにより、該下引き層と該シリコーン系樹脂層との接着性が極めて向上し、表面処理層としての離型性、防汚性、易滑性等の各種の必要性能における耐久性が極めて優れたものとなる。
Claims (3)
- 基材表面に形成される表面処理層であって、前記表面処理層が下引き層とシリコーン系樹脂層との積層体からなり、前記下引き層がメラミン系化合物を含有してなるものであり、前記シリコーン系樹脂層がシランカップリング剤を添加した付加反応型シリコーン組成物を硬化させてなるものであって、前記付加反応型シリコーン組成物がメチルヘキセニル・ジメチルポリシロキサンを含み、前記シランカップリング剤として分子中にエポキシ基を有するアルコキシシラン加水分解物が含まれていることを特徴とする表面処理層。
- 前記アルコキシシラン加水分解物がγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランであることを特徴とする請求項1記載の表面処理層。
- 前記メラミン系化合物が、ヘキサメトキシメチルメラミンであることを特徴とする請求項1記載の表面処理層。
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