JP4821965B2 - 磁性体アンテナ - Google Patents
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Description
Temperature Co−fired Ceramics、低温共焼成セラミックス)技術によって形成されるため、積層された各層の密着性が良く、巻線と付加された金属層が安定して結合できる。また一つのシートから複数個の素子が安定して製作できる事で、各素子のバラツキが押さえられ、素子単独で周波数調整ができるので、使用環境下で調整する必要がない。また、磁性体アンテナが金属物に接近しても金属層が付加されているため、特性が変動すると言う欠点が解消できる。
磁性層5用として、900℃焼結後に13.56MHzでの透磁率が100になるNi−Zn−Cuフェライト仮焼粉(Fe2O3 48.5モル%、NiO 25モル%、ZnO 16モル%、CuO 10.5モル%)100重量部、ブチラール樹脂8重量部、可塑剤5重量部、溶剤80重量部をボールミルで混合しスラリーを製造した。出来たスラリーをドクターブレードでPETフィルム上に150mm角で、焼結時の厚みが0.1mmになるようにシート成型した。また絶縁層6用として同様に、Zn−Cuフェライト仮焼粉(Fe2O3 48.5モル%、ZnO 41モル%、CuO 10.5モル%)100重量部、ブチラール樹脂8重量部、可塑剤5重量部、溶剤80重量部をボールミルで混合しスラリーを製造した。出来たスラリーをドクターブレードでPETフィルム上に磁性層と同様のサイズと厚みでシート成型した。次に図1に示すように、磁性層5用グリーンシートにスルーホール1を開けその中にAgペーストを充填して、かつスルーホール1と直角になる両面にAgペーストを印刷して5枚積層し、コイル4を形成した。次に図2のように絶縁層6用グリーンシートをコイルの上下面に積層し、一方の面にはAgペーストで導電層7を印刷した絶縁層6用グリーンシートを積層した。以上のグリーンシートをまとめて加圧接着させ、スルーホールとコイル開放端面3で切断し、900℃で2時間、一体焼成して、横18mm×縦4mmのサイズのコイル巻き数32ターンの磁性体アンテナサンプル1を作成した。以上がLTCC技術を用いた磁性体アンテナのプロセスである。(図1及び図2ではコイル巻き数は図の簡略化のため、7ターンで表示している。また、磁性層の積層枚数は図の簡略化のため3層で表している。以下の他の図についても同様である。)
共振周波数は、ヒューレットパッカード社製インピーダンスアナライザー4291Aに1ターンコイルを接続し、これとRFIDタグを結合させ、測定されるインピーダンスのピーク周波数をもって共振周波数とした。またその調整は、該磁性体アンテナの端面に露出するコイル電極の位置を選択することでインダクタンスを調整して行った。ICと並列に接続するコンデンサの容量を変更することで共振周波数が調節できる。
通信距離は、出力10mWのリーダ/ライタ(株式会社エフイーシー製、製品名URWI-201)のアンテナを水平に固定し、その上方に金属板に貼り付けたRFIDタグを水平に位置させて、13.56MHzで通信が可能な限り高い位置の時のアンテナとRFIDタグの垂直方向の距離を通信距離とした。
平板状測定子を持つダイヤルゲージ(ミツトヨダイヤルゲージID−C112)をスタンド(ミツトヨスタンドBSG−20)に取り付け、ダイヤルゲージを定盤上で0点調整し、該磁性体アンテナを定盤と平板状測定子の間に挟むことによりダイヤルゲージで最高点を測定し、その高さからノギス(ミツトヨノギスCD−C)で測定した磁性体アンテナの厚みを引くことにより、反りの値を算出する。
実施例1で説明した磁性層5用グリーンシートと、Zn−Cuフェライトに替えてガラスセラミックを用いた絶縁層6用グリーンシートを用いる。図3に示すように、磁性層5用グリーンシートにスルーホール1を開けその中にAgペーストを充填して、かつスルーホール1と直角になる両面にAgペーストを印刷して5枚積層し、コイル4を形成した。次にコイル4の一方の面にAgペーストで導電層7を印刷し構成した絶縁層6用グリーンシートを積層した。もう一方の面にはコイルの両端に接続するようスルーホールを開けその中にAgペーストを充填して、かつスルーホール1と直角になる表層にコイルリード端子9とICを接続するICチップ接続端子8となる形状をAgペーストで印刷し積層した。以上のグリーンシートをまとめて加圧接着させ、スルーホール1とコイル開放端面3で切断し、900℃で2時間、一体焼成して横18mm×縦4mmのサイズのコイル巻き数32ターンの磁性体アンテナサンプル2を作成した。磁性体アンテナの反りは1.0mmで実用範囲だった。
実施例1で説明した磁性層5用グリーンシートと絶縁層6用グリーンシートを用いる。図4に示すように、磁性層5用グリーンシートにスルーホール1を開けその中にAgペーストを充填して、かつスルーホール1と直角になる両面にAgペーストを印刷して5枚積層し、コイル4を形成した。次にコイル4の下面に絶縁層6グリーンシートとAgペーストで導電層7を印刷し構成した絶縁層6用グリーンシートを積層し、かつその下面に磁性層5用グリーンシートを積層した。上面にはコイルの両端に接続するようスルーホール1を開けその中にAgペーストを充填して、かつスルーホール1と直角になる表層にコイルリード端子9とICを接続するICチップ接続端子8となる形状をAgペーストで印刷し積層した。以上のグリーンシートをまとめて加圧接着させ、スルーホール1とコイル開放端面3で切断し、一体焼成して横18mm×縦4mmのサイズのコイル巻き数32ターンの磁性体アンテナサンプル3を作成した。磁性体アンテナの反りは0.8mmで実用範囲だった。該磁性体アンテナのICチップ接続端子8にRFIDタグ用ICを接続してさらにICと並列にコンデンサーを接続して共振周波数を13.1MHzに調整してRFIDタグを作成し、金属板に貼り付けて出力10mWのリーダ/ライタで通信する距離を測定した。
実施例1で説明した磁性層5用グリーンシートと絶縁層6用グリーンシートを用いる。図5に示すように、磁性層5用グリーンシートにスルーホール1を開けその中にAgペーストを充填して、かつスルーホール1と直角になる両面にAgペーストを印刷して5枚積層し、コイル4を形成した。次にコイル4の下面に絶縁層6グリーンシートとAgペーストで導電層7を印刷し構成した絶縁層6用グリーンシートを積層し、更にその下面に磁性層5用グリーンシートを積層し、更にその下面に絶縁層6用グリーンシートを積層した。上面にはコイル4の一端に接続するようスルーホール1を開けその中にAgペーストを充填して、かつスルーホール1と直角になる表層にコイルリード端子9とICを接続するICチップ接続端子8の一方となる形状をAgペーストで絶縁層6用グリーンシートに印刷した。更にコイル4のもう一端及び中間の数箇所に接続するようスルーホール1を開けその中にAgペーストを充填して、かつスルーホール1と直角になる表層にコイルリード端子9を引き出し、コイルリード端子9の端面に向かい合うような形でコイルリード端子9とICを接続するICチップ接続端子8の一方となる形状をAgペーストで絶縁層6用グリーンシートに印刷し積層した。以上のグリーンシートをまとめて加圧接着させ、スルーホール1とコイル開放端面で切断し、900℃で2時間、一体焼成して横18mm×縦4mmのサイズのコイル巻き数32ターンの磁性体アンテナサンプル4を作成した。磁性体アンテナの反りは0.1mmと極めて小さかった。
実施例1で説明した磁性層5用グリーンシートと絶縁層6用グリーンシートを用いる。図6に示すように、磁性層5用グリーンシートにスルーホール1を開けその中にAgペーストを充填して、かつスルーホール1と直角になる両面にAgペーストを印刷して5枚積層し、コイル4を形成した。次にコイル4の下面に絶縁層6グリーンシートとAgペーストで導電層7を印刷し構成した絶縁層6用グリーンシートを積層し、更にその下面に磁性層5用グリーンシートを積層し、更にその下面に絶縁層用グリーンシートを積層した。コイル4の上面の絶縁層6用グリーンシートにはコイル4の両端に接続するようにスルーホール1を開け、その中にAgペーストを充填して、かつスルーホール1と直角になる面にAgペーストでコンデンサー電極11となる形状を印刷し、さらにその上に積層する絶縁層6用グリーンシート上のICチップ接続端子8との間でコンデンサーを形成するようにした。以上のグリーンシートをまとめて加圧接着させ、スルーホール1とコイル開放端面で切断し、900℃で2時間、一体焼成して横18mm×縦4mmのサイズのコイル巻き数32ターンの磁性体アンテナサンプル5を作成した。磁性体アンテナの反りは0.1mmと極めて小さかった。
磁性層5用として、900℃焼結後に100MHzでの透磁率が20になるNi−Zn−Cuフェライト仮焼粉(Fe2O3 48.5モル%、NiO 39モル%、ZnO 2モル%、CuO 10.5モル%)100重量部、ブチラール樹脂7重量部、可塑剤3重量部、溶剤100重量部をボールミルで混合しスラリーを製造した。出来たスラリーをドクターブレードでPETフィルム上にシート成型した。また絶縁層6用として同様に、Zn−Cuフェライト仮焼粉(Fe2O3 48.5モル%、ZnO 40モル%、CuO 11.5モル%)100重量部、ブチラール樹脂7重量部、可塑剤3重量部、溶剤100重量部をボールミルで混合しスラリーを製造した。出来たスラリーをドクターブレードでPETフィルム上にシート成型した。次に図7に示すように、磁性層5用グリーンシートにスルーホール1を開けその中にAgペーストを充填して、かつスルーホール1と直角になる両面にAgペーストを印刷して5枚積層し、コイル4を形成した。次に絶縁層6用グリーンシートをコイル4の上下面に積層し、下面側にはさらにAgペーストで導電層7を印刷した絶縁層6を積層した。以上のグリーンシートをまとめて加圧接着させ、スルーホール1とコイル開放端面3で切断し、900℃で2時間一体焼成して横18mm×縦4mmのサイズのコイル巻き数50ターンの磁性体アンテナサンプル6を作成した。磁性体アンテナの反りは0.6mmと小さかった。
実施例1で説明した磁性体アンテナサンプル1と同じプロセスに対して、図8のように導電層7を構成しない磁性体アンテナサンプル7を作成した。磁性体アンテナの反りは0.1mmであった。
その結果該RFIDタグは金属板貼り付け前後の共振周波数の変化が大きく、+1.5MHzであり、金属板貼付時には1.4cmの通信距離しか得られなかった。
また比較対照として、フィルム状の樹脂表面に渦巻き状に配線したアンテナコイルの両端にICを接続した一般的な市販のICカード型タグ(テキサスインスツルメンツ社製、製品名Tag−itTMHF)に、金属板に貼り付けて出力10mWのリーダ/ライタで通信する距離を測定した。
その結果、金属板貼付時の通信距離は0.1cmで、金属板貼付後の共振周波数は観測されなかった。
2 電極層
3 コイル開放端面
4 コイル
5 磁性層
6 絶縁層
7 導電層
8 ICチップ接続端子
9 コイルリード端子
10 FMラジオ
11 コンデンサー電極
Claims (12)
- 磁界成分を送受信するための磁性体アンテナであって、磁性粉末をバインダーで混合してシート状にした単層あるいは複数の層を積層した磁性層にスルーホールを開け、そのスルーホールにAgペーストからなる電極材料を流し込み、且つスルーホールと直角になる両面にAgペーストからなる電極材料で電極層を形成し、これをスルーホールと接続して磁性層が角型あるいは長方形のコイルを作り、コイルを形成する磁性層の両端が磁性回路上開放となる構成で、電極層を印刷したコイルの上下面を絶縁層で挟み込み、一方あるいは両方の絶縁層外側面に導電層を配置し、電極層を印刷したコイルの上下面いずれか一方あるいは両方の絶縁層にスルーホールを設け、このスルーホールに電極材料を流し込みコイル両端と接続し、当該絶縁層の表面に電極材料でコイルリード端子とICチップ接続端子を印刷しスルーホールとコイル開放端面で切断し一体焼成するLTCC技術を用いた事を特徴とする磁性体アンテナ。
- 磁界成分を送受信するための磁性体アンテナであって、磁性粉末をバインダーで混合してシート状にした単層あるいは複数の層を積層した磁性層にスルーホールを開け、そのスルーホールにAgペーストからなる電極材料を流し込み、且つスルーホールと直角になる両面にAgペーストからなる電極材料で電極層を形成し、これをスルーホールと接続して磁性層が角型あるいは長方形のコイルを作り、コイルを形成する磁性層の両端が磁性回路上開放となる構成で、電極層を印刷したコイルの上下面を絶縁層で挟み込み、一方あるいは両方の絶縁層外側面に導電層を配置し、絶縁層外側面に形成した導電層のさらに外側面に磁性層を設け、スルーホールとコイル開放端面で切断し一体焼成するLTCC技術を用いた事を特徴とする磁性体アンテナ。
- 請求項1又は2に記載の磁性体アンテナにおいて、絶縁層外側面に形成した導電層のさらに外側面に絶縁層を設け、さらにその外側面に磁性層を設けた事を特徴とする磁性体アンテナ。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の磁性体アンテナにおいて、絶縁層外側面に形成した導電層のさらに外側面に磁性層を設け、さらにその外側面に絶縁層を設けた事を特徴とする磁性体アンテナ。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の磁性体アンテナにおいて、絶縁層外側面に形成した導電層のさらに外側面に絶縁層を設け、さらにその外側面に磁性層を設け、さらにその外側面に絶縁層を設けた事を特徴とする磁性体アンテナ。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の磁性体アンテナにおいて、コイルの上下面を挟み込んだ絶縁層の一方あるいは両方の外側面にコンデンサー電極を配置し、コンデンサー電極を配置した外側面にさらに絶縁層を設け、該絶縁層の外側面に電極を印刷して該絶縁層を挟みこむようにコンデンサーを形成し、ICチップ接続端子と並列もしくは直列に接続した事を特徴とする磁性体アンテナ。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の磁性体アンテナにおいて、絶縁層の面に平行電極、もしくはくし型電極を印刷してコンデンサーを形成し、コイルリード端子と並列もしくは直列に接続した事を特徴とする磁性体アンテナ。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の磁性体アンテナにおいて、磁性層にNi−Zn系フェライトを用いことを特徴とする磁性体アンテナ。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の磁性体アンテナにおいて、絶縁層にZn系フェライトを用いたことを特徴とする磁性体アンテナ。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載の磁性体アンテナにおいて、絶縁層にガラス系セラミックを用いたことを特徴とする磁性体アンテナ。
- 請求項1〜10のいずれか1項に記載の磁性体アンテナにおいて、絶縁層上面にICチップが接続できる端子構造を有し、コイルリード端子と並列もしくは直列に接続したことを特徴とする磁性体アンテナ。
- 請求項1〜11のいずれか1項に記載の磁性体アンテナにおいて、絶縁層上面に可変コンデンサーを設ける端子をコイルリード端子と並列もしくは直列に接続した事を特徴とする磁性体アンテナ。
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