JP4814603B2 - 二輪車の前輪用空気入りタイヤ、及び二輪車の後輪用空気入りタイヤ - Google Patents

二輪車の前輪用空気入りタイヤ、及び二輪車の後輪用空気入りタイヤ Download PDF

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Description

本発明は、二輪車の前輪用空気入りタイヤ、及び二輪車の後輪用空気入りタイヤにかかり、特に、ウエット路面での旋回性能を向上することのできる二輪車の前輪用空気入りタイヤ、及び二輪車の後輪用空気入りタイヤに関する。
タイヤは、濡れた路面を走行するときに、路面とトレッド表面のゴムが水膜によって邪魔されることなく、良好な接地状態を得るために、トレッド部に溝を配置している(例えば、特許文献1参照。)。
即ち、タイヤトレッド部に配置した溝は、トレッドと路面によって搾り出された水の逃げ道となり、これらの水を効率的に排水する役目を持つ。
また、一方で、トレッドに配置された溝は、トレッドを陸の固まりに分割するため、トレッド剛性を低下させて、路面とタイヤ表面が接地して制動力、駆動力や横力が加わったときに剪断変形を受けて倒れこむ。このような倒れ込みが起こると、トレッド自体が動きやすく、ライダーがタイヤが不安定と感じると共に、トレッドの倒れ込みにより、トレッド表面の一部が路面から浮き上がり、接触面積が低下するためにグリップが低下する。これは、濡れた路面でも起こるが、市販のタイヤの場合は濡れた路面と乾いた路面の両方を走らなければならず、乾いた路面でも大きな問題となる。このような路面からのブロックの浮き上がりは、偏摩耗も誘発するので、大きな問題である。
二輪車のトレッドパターンについては、溝の配置の仕方が技術的な難しさであり、また、ウエット性能を左右する大きな要因である。
それゆえ、水を効率的に排水できる溝配置と、トレッドの剛性を低下させないような溝配置、そしてデザイン的な良さなどをうまくバランスさせながらタイヤのパターンは決定されている。
また、自動二輪車用のタイヤでは、乗用車用やトラック用のタイヤと異なり、車体を傾けて旋回するバイクの特性から、車体を傾けない直進走行時と、車体を傾けるコーナリング時とでは、地面に接地するトレッドの部位が異なる。そのため、自動二輪車用のタイヤでは、センター側とショルダー側でパターンの傾向に特徴を持たせる場合がある。
即ち、センター側はタイヤの前後方向(=赤道方向=周方向)の入力に対してトレッドが強くなるような溝配置にし、ショルダー側はタイヤの幅方向の入力(横力)とタイヤの周方向の入力(トラクション、ブレーキ)の両方に対して強い溝配置とするわけである。 ショルダー側に対しては、車体を傾けて旋回することを考えると、アクセルを開けずに、またはブレーキをかけずに一定速度で旋回するときには横力が主体的に掛かり、一定速度の旋回から加速するときには駆動力が掛かり、横力と駆動力の両方が掛かるわけであるから、ショルダー側は横力と駆動力の両方に強いパターンである必要があるわけである。
特に自動二輪車のレースの場合は、特に旋回時の操縦安定性能が重要となる。
雨天のコーナリング時において、ウエット旋回性能が低いタイヤではスピードが出せずにラップタイムを縮めることが出来ない。また、市販車においても、一般道路のウエット旋回性能が低いタイヤはスリップの虞がある。
特開2003―211917号公報
本発明は、上記問題を解決すべく成されたもので、二輪車の前輪用空気入りタイヤ、及び二輪車の後輪用空気入りタイヤにおいて、従来よりもウエット路面での旋回性能を向上させることを第1の目的としている。また、一般公道用では、さらに、乾燥路面での旋回性能をも向上させることを第2の目的としている。
タイヤは、濡れた路面を走行するときに、路面とトレッド表面のゴムが水膜によって邪魔されることなく、良好な接地状態を得るために、トレッド部に溝を配置している。即ち、タイヤトレッドに配置した溝は、トレッドと路面によって搾り出された水の逃げ道となり、これらの水を効率的に排水する役割を持つ。
また一方で、トレッド部に配置された溝はトレッドを小さな陸の固まりに分割するため、トレッド剛性を低下させて、路面とタイヤ表面が接地して制動力、駆動力や横力が加わったときには陸部は剪断変形を受けて倒れこむ。このような倒れ込みが起こると、トレッド自体が動きやすく、ライダーがタイヤが不安定と感じると共に、トレッドの倒れ込みにより、トレッド表面の一部が路面から浮き上がり、接触面積が低下するためにグリップが低下する。これは、濡れた路面でも大きな問題となる。また、このような路面からのブロックの浮き上がりは、偏摩耗も誘発するので、大きな問題である。
自動二輪車のパターンについては、溝の配置の仕方が技術的な難しさであり、また、ウエット性能を左右する大きな要因である。それゆえ、溝を効率的に排水できる溝配置と、トレッドの剛性を低下させないような溝配置をうまくバランスさせながらタイヤのパターンは決定されている。
また、自動二輪車用タイヤでは、乗用車用やトラック用のタイヤと異なり、車体を傾けて旋回するバイクの特性から、車体を傾けない直進走行時と、車体を傾けないコーナリング時では、地面に接地するトレッドの部位が異なる。そのため、自働二輪車用のタイヤでは、トレッドのセンター側とショルダー側でパターンの傾向に特徴を持たせる場合がある。即ち、センター側はタイヤの前後方向(タイヤ赤道面方向=タイヤ周方向)の入力と、タイヤの周方向の入力の両方に対して強い溝配置とされるわけである。そのため、トレッドのセンター側は、タイヤ赤道面に沿う方向に近い角度の溝が配置され、トレッドのショルダー側には横方向の力が掛かるのでこの力の向きに沿う方向、即ち、タイヤ赤道面に対して90度(タイヤ幅方向)の方向に近い溝が配置されることが多い(勿論、「トレッドのセンター側でタイヤ赤道面に沿った方向に、ショルダー側でタイヤ幅方向に沿った方向に」という溝は、あくまでも機能を優先させた概念であり、実際はタイヤのデザイン性も考えて溝配置が決定されるので全てのタイヤがこのような溝配置をしているわけではない。)。
トレッドのセンター側について着目すると、センター側が使用されるのはバイクが直立している場合であり、このときにタイヤに加わる力は加速時のトラクション(駆動力)と減速時のブレーキ(制動力)だけであり、横方向からの力はほぼ加わらない。それゆえ、トレッドのセンター側は、タイヤの赤道方向に対して強いパターン構成が好ましい。即ち、トレッドのセンター側でタイヤ赤道面の方向に近い方向の溝を配置すればグリップに優れるタイヤを提供することができる。
次に、トレッドのショルダー側に対して着目すると。車体を傾けて旋回するときにショルダー側が路面と接地するため、旋回時にショルダー側のパターンが重要となる。自動二輪車用のタイヤは、キャンバースラストによって横力を発生させるため、タイヤのショルダー側には横方向の力が主体的に加わる。そのため、トレッドのショルダー側の溝は、タイヤ赤道面に対して垂直なタイヤ幅方向に近い方向の溝が望ましい。タイヤ赤道面に対して45度から90度の幅方向主体の溝が横方向の力に対して強く振舞うため、このような溝が好ましい。ところが、トレッドのショルダー側については、純粋な横方向の力の他に、前後方向の力も加わる場合もある。バイクが直線から減速してコーナーに侵入するときに、車体を傾けながら制動するために、タイヤのショルダー側には横力に加えて制動力も加わる。アクセルを開けずにブレーキをかけずに一定速度で旋回するときには横力が主体的に加わるが、この状態から加速するときには駆動力が掛かる。
加速するときにおいても、車体が傾いた状態でアクセルを開くため、トレッドのショルダー側が路面に接地し、横力を発生させている状態で、加速力を加える。即ち、トレッドのショルダー側については、横力だけでなく、前後力が作用する(バイクは、直立時にブレーキを完了させるわけではなく、車体を傾けながらブレーキをかける動作も含まれるので、車体が傾いた状態でブレーキを作動させる場合もある。また、加速時も傾いた状態でアクセルを開けるため車体が傾いた状態=トレッドのショルダー側が接地している状態でトラクションがかかる場合がある。)。
さらに、自動二輪車の特徴は、駆動トルクは後輪のみに作用すること、また、制動時にはバイクの前輪が沈み込むようなピッチング(車体の前方が沈み込む挙動)が起こって前輪に作用する荷重が増して後輪に作用する荷重が減るため、前輪が主体的に制動を担当すること、が挙げられる。即ち、前輪は横力と制動力が加わり、エンジントルクは伝わらないので駆動力は作用しない。逆に後輪は横力と駆動力が加わり、制動力は駆動力に比べると非常に小さく加わるに過ぎない。このように常に後輪駆動に自動二輪車は、4輪車と比較して、前輪と後輪の役割がはっきりしている。
トレッドのセンター側については、前輪は制動に強いパターン、後輪は駆動力に強いパターンが必要となり、トレッドのショルダー側については、前輪は横力と制動力に強いパターン、後輪は横力と駆動力に強いパターンが必要となる。
特に、自動二輪車のレースの場合は、特に旋回時の操縦安定性能が重要となる。雨天のコーナリング時において、ウエット旋回性能が低いタイヤではスピードが出せずに、ラップタイムを縮めることが出来ない、また、市販車においても、一般道でのウエット旋回性能が低いタイヤは、スリップの虞がある。
一方、より一般的な市販車の場合は、前述した通り、市販車用タイヤは、雨天と晴天の両方を走らなくてはならないため、雨天の性能だけでなく、より摩擦係数の高くなる乾いた路面でのブレーキやトラクションといった操縦安定性能が大切になる。乾いた路面では、特にパターンの剛性は重要となる。
自動二輪車のトレッドのショルダー側については、前述したように、前輪は横力と制動力に対してグリップの良いタイヤ、後輪は横力と駆動力に対してグリップの良いタイヤが必要である。
車体の特性を考えると、駆動力が掛かるのは後輪タイヤのため、後輪は特に駆動力に対してグリップすることが必要である。一方、前輪は、駆動力は掛からないが、ブレーキング時に車体荷重が前輪に掛かるため、大きなブレーキ力がタイヤに掛かる。
前輪はブレーキに抵抗する前後のグリップと、横力に抵抗する横方向のグリップが必要である。
車両旋回時のウエット性能に注目すると、トレッドのショルダー側が路面と接地する。トレッドのショルダー側の溝形状について考えると、溝を全く設けないと排水性能が確保できないため溝を配置する必要がある。その理由は、陸部にあまり溝を配置しないと、水が流れ難くなり、ハイドロプレーニング現象が起こるからである。しかし、溝を配置すると、トレッド剛性が低下してしまい、トレッドが柔らかく振舞って剛性感が無いと共に、図15に示すように、倒れこんだ陸部100の一部が路面102から浮き上がり接地面積が減ってグリップ力が低下する。
即ち、溝を配置したタイヤにおいて、トレッド剛性を確保する(陸部が倒れこまないようにする)ことが重要となる。ここで、タイヤのセンター側については、横方向の力が主体的ではあるが、前後方向の力も加わるため、溝の方向だけでは解決できない。そこでショルダー側については、溝の方向をタイヤ赤道面に対して45〜90度と横方向(タイヤ幅方向)に近い方向とし、横力に対抗できるようにし、かつ、前後方向の力が加わったときに、溝で囲まれた陸部が倒れこむ挙動をできるだけ抑制できる開発が必要であった。横力に沿ったタイヤ幅方向に近い傾斜のショルダー側の陸部について、前後方向の力(制動力、駆動力)が加わったときに前後方向に倒れこむ現象を低減させる方法について鋭意研究を行った結果、ウエット路面での旋回性能を向上できる溝の深さ方向の形状を見出した。
請求項1に記載の発明は、上記事実に鑑みてなされたものであって、トレッドに複数の溝で区画された複数の陸部を有する二輪車の前輪用空気入りタイヤであって、タイヤ赤道面を中心としてトレッドの展開幅の40%の領域をトレッド中央域、前記トレッドの端部からタイヤ赤道面側へ前記展開幅の20%の位置までをトレッドショルダー域としたときに、前記トレッド中央域には、タイヤ赤道面に対する角度が0〜30度の範囲内に設定された周方向に連続する溝のみが配置され、前記トレッドショルダー域には、タイヤ赤道面に対する角度が45〜90度の範囲内に設定された溝のみが配置され、前記トレッドショルダー域において、前記溝によって区画される陸部の蹴り出し側の陸部壁面はタイヤ径方向に沿って平行、又は溝底から溝開口へ向けて溝幅が拡大する方向に傾斜しており、前記陸部の踏込み側の陸部壁面は、溝底から溝開口へ向けて溝幅が拡大する方向に傾斜し、少なくとも踏面側の部分が蹴り出し側の陸部壁面よりもタイヤ径方向に対する角度が大きく設定されていると共に、タイヤ径方向に対する角度が10〜45度の範囲内に設定されている、ことを特徴としている。
次に、請求項1に記載の二輪車の前輪用空気入りタイヤの作用を説明する。
先ず、タイヤ赤道面を中心としてトレッドの展開幅の40%の領域をトレッド中央域とし、このトレッド中央域に、タイヤ赤道面に対する角度が0〜30度の範囲内に設定された周方向に連続した溝のみを配置した理由を以下に説明する。
通常の自動二輪車用のタイヤでは、タイヤの接地部分はトレッド展開幅の1/5〜1/6程度であり、40%はタイヤの平均的な接地幅の2倍にあたる。自動二輪車が完全に直立している場合だけでなく、僅かに傾いている場合も殆ど横力は加わらず、前後方向の力が主体となることから、少し幅を持たせて40%の領域としている。また、溝のタイヤ赤道面に対する角度を0〜30度の範囲内に設定したのは、例えば、30度の場合は、30度の角度でジグザグ状に折れ曲がりながら周方向に連続する場合などが考えられるからである。また、30度以下としているので、十分に赤道方向の力に対して強いパターンとなる。
次に、トレッドの端部からタイヤ赤道面側へ展開幅の20%の位置までをトレッドショルダー域とし、トレッドショルダー域に、タイヤ赤道面に対する角度が45〜90度の範囲内に設定された溝のみを配置し、溝によって区画される陸部の蹴り出し側の陸部壁面をタイヤ径方向に沿って平行、又は溝底から溝開口へ向けて溝幅が拡大する方向に傾斜させ、溝によって区画される陸部の踏込み側の陸部壁面を溝底から溝開口へ向けて溝幅が拡大する方向に傾斜させ、少なくとも踏面側の部分を蹴り出し側の陸部壁面よりもタイヤ径方向に対する角度が大きくなるように設定すると共に、タイヤ径方向に対する角度を10〜45度の範囲内に設定した理由を以下に説明する。
なお、ここでいう踏込み側とは陸部の陸部壁面のうち最初に路面に接地する側をいい、
蹴り出し側とは、陸部が路面に接地している状態から回転により路面から離れるときに、陸部の陸部壁面のうち最後に路面から離れる側をいう。
トレッドのなかでも、車体をある程度大きく倒したとき(より具体的には、旋回中の二輪車の傾斜角度が鉛直方向に対して横方向に40〜55度倒れているとき。)に使用する領域が、トレッドショルダー域となる。即ち、車体をある程度大きく倒したときに使用する領域をトレッドショルダー域と定義して、この部分の溝の角度が45度以上であれば、パターンはタイヤの横方向の力に対して強いことになる。45度は、ちょうど横方向と赤道方向に対して同等に強くなる角度であり、それよりも大きいということは横方向の力に対して強くなるように溝を配置していることになる。
タイヤのトレッドショルダー域に着目すると、前輪タイヤでは、横力の他に制動力が掛かる。制動中の前輪のトレッドゴムの変形に注目すると、タイヤを真横から見た場合に、路面と接触しているトレッドは制動中は、路面と接触しているトレッド表面がバイクの進行方向後方に、トレッドの内部骨格部材であるベルトと接している部分が進行方向前方にずれるような赤道方向断面での剪断変形を受けている。
これは、バイクが直立しているときは、横力が殆ど作用せずに前後方向のブレーキ力のみであるから、トレッド部は幅方向には殆ど変形せずに、タイヤ赤道方向に大きな剪断変形を受ける。トレッドに、幅方向に溝が配置されている場合は、その溝と溝とに囲まれた陸部がこのような前後方向(赤道方向)の剪断を受けて倒れこむ。
つまり、倒れ込みは、図15に示すように、路面102と接地している陸部100のトレッド表面部分がバイク進行方向(矢印F方向)の後方へ、陸部100の深い部分が進行方向前方へずれるような倒れ込みとなる。この倒れ込みが起こると、陸部100の踏込み側の一部が路面102から浮き上がる現象が起こる。図15に示すように、陸部100の一部が路面102から浮き上がってしまうと、トレッドが十分に路面に力を伝えられずにグリップ力が低下する。
この倒れ込みに対して、陸部が強く抵抗するためには、溝深さ方向の傾斜(溝壁角度))を倒れ込みと逆の方向につければ良い。即ち、陸部で考えると、タイヤが転動したときに最初に路面に接触する陸部側壁、即ち、踏込み側の陸部側壁に角度(タイヤ半径方向に対して)を付ければ良い。
また、バイクは直進時からコーナーに侵入するときは、車体を倒しながら制動を加えるため、直立状態に近い場合はタイヤのセンターの溝を赤道方向に沿う形で配置し、車体の傾きが大きくなっても尚ブレーキを加える場合には、トレッドショルダー域の陸部側壁に角度を付けることが好ましい。特にトレッド中央域は、赤道方向の溝を配置すれば、赤道方向は前後力(この場合はブレーキ)の入力に対して陸部が無限につながっているので倒れ込む心配が無い。
これに対して、トレッドショルダー域は、先ず横力に対して強いパターンでなければならないため、幅方向に延びる溝を配置しておき、タイヤの前後方向(赤道方向)の倒れ込みに対しては陸部の側壁角度で対応する。トレッドショルダー域の場合は、車体が傾いた場合には横力が加わるため、横力方向に延びる溝を配置することが有効であり、かつ制動力に対向するために、この溝で区画される陸部の踏込み側の陸部側壁を溝底から溝開口へ向けて溝幅が拡大する方向に傾斜させ、少なくとも踏面側の部分を蹴り出し側の陸部壁面よりもタイヤ径方向に対する角度が大きくなるように設定すると共に、タイヤ径方向に対する角度を10〜45度の範囲内に設定することが、制動力が作用した際の陸部の周方向の倒れ込み変形に対して特に有効となり、該倒れ込み変形に起因する陸部端の浮き上がりを抑制することができる。これにより、路面との接触面積が確保され、溝による排水効果と相まって、従来よりもウエット路面での旋回性能を向上させることが可能となり、乾燥路面においても、旋回性能をも向上させることが可能となる。
ここで、踏面側の部分の角度が10度未満になると、倒れ込み変形に対する効果が少なすぎる。一方、踏面側の部分の角度が45度を超えると、浮き上がりを抑制する効果は上上がらず頭打ちになると共に、不要に溝体積を減少させてしまい、排水効果が低下する。したがって、踏込み側の陸部側壁の角度は10〜45度の範囲内が適切となる。
なお、本発明において、タイヤ径方向に対する陸部側壁の角度を大とするのは、陸部の剛性を高めるためである。本発明において、タイヤ径方向に対する陸部側壁の角度を大とすることは、陸部の踏面側の端部を基準として陸部側壁を傾斜させることを意味し、陸部側壁の角度を大とすることは、陸部の根元側のボリュームが増加し、溝幅が溝底側で狭くなることを意味する。このように、陸部の根元側のボリュームが増加することで、陸部の倒れ込み変形が抑制される。
また、本発明において、トレッドに形成される溝は、接地面内で閉じる幅の狭いサイプを含まないものとする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の二輪車の前輪用空気入りタイヤにおいて、前記陸部の蹴り出し側の陸部壁面は、タイヤ径方向に対して20度以下の角度で傾斜している、ことを特徴としている。
次に、請求項2に記載の二輪車の前輪用空気入りタイヤの作用を説明する。
タイヤ周方向に対する蹴り出し側の陸部壁面の角度を20度以下とすることで、加硫用のモールドから加硫済みの前輪用空気入りタイヤが抜け易くなり、効率的に本発明の前輪用空気入りタイヤを製造することが出来る。また、タイヤ周方向に対する蹴り出し側の陸部壁面の角度が20度を超えてしまうと、不要に溝部の体積を減少させてしまい、排水効果が低下してハイドロプレーニング現象が起こり易くなる。制動時の陸部の浮き上がり抑制にあまり影響を与えない蹴り出し側の陸部壁面については、不要に大きな角度をつけるのではなく、20度以下が好ましい。
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の二輪車の前輪用空気入りタイヤにおいて、前記トレッドショルダー域に配置される前記溝の溝幅は、3〜10mmの範囲内に設定されている、ことを特徴としている。
次に、請求項3に記載の二輪車の後輪用空気入りタイヤの作用を説明する。
トレッドショルダー域に配置される溝の溝幅を3mm以上とするのは、3mm未満では陸部側壁を傾斜させた時に、溝の底の部分で十分な幅を取れないためである。つまり、例えば2mmの溝幅(開口部分で測定)、及び溝深さ6mmに対して、タイヤ径方向に対して20度の角度をつけようとしても、幾何学的に不可能になるからである。即ち、ある程度の溝幅がないと、陸部側壁に大きな角度を付けることができない。一方、溝幅を10mm以下としたのは、10mmを超えると、あまりにも溝の領域が広くなり過ぎ、溝以外の陸部の接地面積が減少してしまう(陸部の剛性が不足する場合もある)ので、10mmを超える溝が現実的でないからである。
請求項4に記載の発明は、トレッドに複数の溝で区画された複数の陸部を有する二輪車の後輪用空気入りタイヤであって、タイヤ赤道面を中心としてトレッドの展開幅の40%の領域をトレッド中央域、前記トレッドの端部からタイヤ赤道面側へ前記展開幅の20%の位置までをトレッドショルダー域としたときに、前記トレッド中央域には、タイヤ赤道面に対する角度が0〜30度の範囲内に設定された周方向に連続した溝のみが配置され、前記トレッドショルダー域には、タイヤ赤道面に対する角度が45〜90度の範囲内に設定された溝のみが配置され、前記トレッドショルダー域において、前記溝によって区画される陸部の踏込み側の陸部壁面はタイヤ径方向に沿って平行、又は溝底から溝開口へ向けて溝幅が拡大する方向に傾斜しており、前記陸部の蹴り出し側の陸部壁面は、溝底から溝開口へ向けて溝幅が拡大する方向に傾斜し、少なくとも踏面側の部分が踏込み側の陸部壁面よりもタイヤ径方向に対する角度が大きく設定されていると共に、タイヤ径方向に対する角度が10〜45度の範囲内に設定されている、ことを特徴としている。
次に、請求項4に記載の二輪車の後輪用空気入りタイヤの作用を説明する。
請求項4に記載の二輪車の後輪用空気入りタイヤでは、陸部側壁の角度のつけ方が請求項1の二輪車の前輪用空気入りタイヤとは逆になっている。これは、前輪はブレーキ力(制動力)が加わるが、後輪は、ブレーキ力よりもトラクション(駆動力:制動力と反対方向の力)が大きく加わるためである。したがって、前輪とは陸部側壁の角度のつけ方が逆となっている。また、本発明においても、請求項1と同様に、トレッドに形成される溝は、接地面内で閉じる幅の狭いサイプを含まないものとする。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の二輪車の後輪用空気入りタイヤにおいて、前記陸部の踏込み側の陸部壁面は、タイヤ径方向に対して20度以下の角度で傾斜している、ことを特徴としている。
次に、請求項5に記載の二輪車の後輪用空気入りタイヤの作用を説明する。
タイヤ周方向に対する踏込み側の陸部壁面の角度を20度以下とすることで、加硫用のモールドから加硫済みの前輪用空気入りタイヤが抜け易くなり、効率的に本発明の後輪用空気入りタイヤを製造することが出来る。また、タイヤ周方向に対する踏込み側の陸部壁面の角度が20度を超えてしまうと、不要に溝部の体積を減少させてしまい、排水効果が低下してハイドロプレーニング現象が起こり易くなる。駆動時の陸部の浮き上がり抑制にあまり影響を与えない踏込み側の陸部壁面については、不要に大きな角度をつけるのではなく、20度以下が好ましい。
請求項6に記載の発明は、請求項4または請求項5に記載の二輪車の後輪用空気入りタイヤにおいて、前記トレッドショルダー域に配置される前記溝の溝幅は、3〜10mmの範囲内に設定されている、ことを特徴としている。
次に、請求項6に記載の二輪車の後輪用空気入りタイヤの作用を説明する。
トレッドショルダー域に配置される溝の溝幅を、3〜10mmの範囲内に設定した理由は請求項3と同様の理由であるので説明を省略する。
以上説明したように本発明の二輪車の前輪用空気入りタイヤによれば、ウエット路面での旋回性能を向上することができ、さらに、乾燥路面での旋回性能をも向上することができる、という優れた効果を有する。
また、本発明の二輪車の後輪用空気入りタイヤによれば、ウエット路面での旋回性能を向上することができ、さらに、乾燥路面での旋回性能をも向上することができる、という優れた効果を有する。
[第1の実施形態]
本発明の二輪車の前輪用空気入りタイヤの第1の実施形態を図1乃至図3にしたがって説明する。
(カーカス)
図1に示すように、本実施形態の前輪用空気入りタイヤ10は、タイヤ赤道面CLに対して交差する方向に延びるコードが埋設された第1のカーカスプライ12及び第2のカーカスプライ14から構成されたカーカス16を備えている。なお、本実施形態の前輪用空気入りタイヤ10のタイヤサイズは120/60R17である。
第1のカーカスプライ12及び第2のカーカスプライ14は、各々両端部分が、ビード部18に埋設されているビードコア20の周りに、タイヤ内側から外側へ向かって巻き上げられている。
第1のカーカスプライ12は、被覆ゴム中に複数本のラジアル方向に延びるコード(ナイロン)を平行に並べて埋設したものであり、本実施形態では、タイヤ赤道面でのタイヤ赤道面に対するコードの角度が80度に設定されている。第2のカーカスプライ14も、被覆ゴム中に複数本のラジアル方向に延びるコード(ナイロン)を平行に並べて埋設したものであり、本実施形態では、タイヤ赤道面でのタイヤ赤道面に対するコードの角度が80度に設定されている。なお、第1のカーカスプライ12のコードと第2のカーカスプライ14のコードとは互いに交差しており、タイヤ赤道面CLに対して互いに反対方向に傾斜している。また、本実施形態では、コードの角度が80度に設定されているが、90度等の他の角度であっても良い。
(主交錯層)
このカーカス16のタイヤ半径方向外側に主交錯層26が配置されている。
本実施形態の主交錯層26は、第1のベルトプライ26A及び第2のベルトプライ26Bから構成されている。
第1のベルトプライ26Aは、被覆ゴム中に複数本のコード(本実施形態では、芳香族ポリアミド繊維を撚った直径0.7mmのコード。)を平行に並べて打ち込み間隔50本/50mmで埋設したものであり、タイヤ赤道面でのタイヤ赤道面に対するコードの角度が33度に設定されている。第2のベルトプライ26Bも、被覆ゴム中に複数本のコード(本実施形態では、芳香族ポリアミド繊維を撚った直径0.7mmのコード。)を平行に並べて打ち込み間隔50本/50mmで埋設したものであり、タイヤ赤道面でのタイヤ赤道面に対するコードの角度が33度に設定されている。
第1のベルトプライ26Aのコードと第2のベルトプライ26Bのコードとは互いに交差しており、タイヤ赤道面CLに対して互いに反対方向に傾斜している。
主交錯層26のタイヤ径方向外側には、トレッド28を形成するトレッドゴム30が配置されている。
なお、本実施形態では、主交錯層26を2枚のベルトプライで構成したが、3枚以上のベルトプライで構成しても良い。また、本実施形態では、カーカス16のクラウン部を補強するために主交錯層26を用いているが、近年の高性能用の二輪車用空気入りタイヤの構造に良く見られるスパイラルベルト層を用いても良い。
スパイラルベルト層は、例えば、1本のコードを未加硫のコーティングゴムで被覆した長尺状のゴム被覆コード、または複数本のコードを未加硫のコーティングゴムで被覆した帯状プライを螺旋状に巻き回すことにより形成されており、コード方向が実質的にタイヤ周方向とされている。スパイラルベルト層のコードは有機繊維コードであっても良く、スチールコードであっても良い。
より具体的には、スパイラルベルト層は、芳香族ポリアミド繊維を撚った直径0.7mmのコードを被覆ゴム中に埋設したものを、打ち込み間隔50本/50mmとなるようにスパイラル状に巻き付けることで形成することができる。
このようなスパイラルベルト層を、主交錯層26のタイヤ径方向外側に配置するような構成としても良く、あるいはスチールコードを用いたスパイラルベルト層を主交錯層26の代わりに用いても良い。
(トレッドパターン)
ここで、タイヤ赤道面CLを中心としてトレッド28の展開幅TWの40%の領域をトレッド中央域28C、トレッド端28Eからタイヤ赤道面CL側へ展開幅TWの20%の位置までをトレッドショルダー域28Sとしたときに、トレッド中央域28Cには、タイヤ赤道面CLに対する角度が0〜30度の範囲内に設定された溝を配置し、トレッドショルダー域28Sには、タイヤ赤道面CLに対する角度が45〜90度の範囲内に設定された溝を配置すること必要がある。本実施形態では、トレッド28の展開幅TWは155mmであるので、トレッド中央域28Cの幅は62mm、トレッドショルダー域28Sの幅は31mmとなる。
図2に示すように、本実施形態のトレッド28のトレッド中央域28Cには、タイヤ赤道面上及びその両側に、周方向にジグザグ状に延びる溝幅(開口部で測定)が5mmの周方向主溝40が形成されている。周方向主溝40のジグザグ形状を構成する1辺の角度(タイヤ赤道面CLに対して)は15度であり、ジグザグ形状の波長Lは90mmである。なお、左側の周方向主溝40の左側の端(左側へ凸となる頂上部分)と、右側の周方向主溝の右側の端(右側へ凸となる頂上部分)とのタイヤ幅方向の距離は50mmである。
また、トレッドショルダー域28Sに配置される溝の溝幅は、3〜10mmの範囲内に設定することが好ましい。本実施形態のトレッド28には、タイヤ幅方向外側の周方向主溝40からタイヤ幅方向外側に離間した位置からトレッド端28Eに向けて、タイヤ幅方向に延びる横溝50が形成されている。この横溝50は、溝幅が5mm(開口部で測定)であり、トレッド端28Eからタイヤ赤道面側へ37mmの位置まで形成されている。
横溝50で区切られる陸部56の幅は、本実施形態では10mm(トレッド端で測定)に設定されている。また、本実施形態では、周方向主溝40、及び横溝50の溝深さは全て6mmである。なお、図2において、矢印Aは前輪用空気入りタイヤ10の回転方向を示す。
トレッドショルダー域28Sにおいては、溝によって区画される陸部の蹴り出し側の陸部壁面はタイヤ径方向に沿って平行、又は溝底から溝開口へ向けて溝幅が拡大する方向に傾斜させ、踏込み側の陸部壁面は、溝底から溝開口へ向けて溝幅が拡大する方向に傾斜させる必要がある。さらに、踏込み側の陸部壁面は、少なくとも踏面側の部分が蹴り出し側の陸部壁面よりもタイヤ径方向に対する角度を大きく設定する必要があると共に、タイヤ径方向に対する角度を10〜45度の範囲内に設定する必要がある。なお、蹴り出し側の陸部壁面は、傾斜させる場合、タイヤ径方向に対して20度以下の角度とすることが好ましい。
図3に示すように、本実施形態では、横溝50で区切られる陸部56の蹴り出し側の陸部壁面56Kは、タイヤ径方向に沿って平行である。一方、陸部56の踏込み側の陸部壁面56Hは、溝底から溝開口へ向けて溝幅が拡大する方向に一定角度で傾斜している。なお、踏込み側の陸部壁面56Hは、本実施形態ではタイヤ径方向に対して35度で傾斜している。
(作用)
次に、本実施形態の前輪用空気入りタイヤ10の作用を説明する。
本実施形態の前輪用空気入りタイヤ10は、二輪車の前輪に用いられる。
前輪用空気入りタイヤ10には、車体が完全に直立している場合だけでなく、僅かに傾いている場合も殆ど横力は加わらず、前後方向の力が主体となる。本実施形態の前輪用空気入りタイヤ10は、トレッド28の展開幅TWの40%の領域であるトレッド中央域28Cに、タイヤ赤道面CLに対する角度が30度以下とされたジグザグ状の周方向主溝40を配置しているので、周方向主溝40で区分された陸部58はタイヤ周方向に連続して延び、十分に赤道方向の力、即ち、ブレーキ時の入力に対して強いパターンとなっている。
次に、トレッド28の中でも、車体を大きく倒したときに使用する領域が、トレッドショルダー域28Sである。このトレッドショルダー域28Sには、タイヤ幅方向に延びる横溝50が形成されているため、パターンとしては、タイヤ周方向の力よりも横方向の力に対して強くなっている。また、この横溝50で区画される陸部56の踏込み側の陸部側壁56Hを溝底から溝開口へ向けて溝幅が拡大する方向に35度で傾斜させ、蹴り出し側の陸部壁面56Kよりもタイヤ径方向に対する角度を大きく設定しているので、制動力が作用した際の陸部56の周方向の倒れ込み変形に対して特に有効となり、該倒れ込み変形に起因する踏込み側(進行方向後方側)の陸部端の浮き上がりを抑制することができる。これにより、路面60との接触面積が確保され、横溝50による排水効果と相まって、従来よりもウエット路面での旋回性能を向上させることが可能となり、乾燥路面においても、旋回性能をも向上させることが可能となっている。
なお、踏込み側の陸部側壁56Hの角度が10度未満になると、倒れ込み変形に対する効果が少なすぎる。一方、踏込み側の陸部側壁56Hの角度が45度を超えると、浮き上がりを抑制する効果は上がらず頭打ちになると共に、不要に横溝50の溝体積を減少させてしまい、排水効果が低下する。
また、横溝50の溝幅が3mm未満になると、踏込み側の陸部側壁56Hが傾斜しているので、横溝50の底の部分で十分な幅を取れなくなる。一方、横溝50の溝幅が10mmを超えると、横溝50の領域が広くなり過ぎ、横溝50で区画される陸部56の面積が減少してしまい、接地面積が不足してしまう。
(フロントタイヤ試験その1)
本発明の性能を評価するために、以下に説明する室内でフラットベルト試験機を用いてタイヤのブレーキ性能を評価した。
供試タイヤを以下に説明する。
(従来例のタイヤ)
図4に示すように、踏込み側の陸部側壁56H、及び蹴り出し側の陸部側壁56K共に、タイヤ半径方向に対して平行。
(実施例1のタイヤ)
前述した実施形態のタイヤ(図2参照)。
(実施例2のタイヤ)
図5に示すように、実施形態のタイヤの踏込み側の陸部側壁56Hの角度を15度に変更したもの。
(実施例3)
図6に示すように、踏込み側の陸部側壁56Hを、深さ方向に折り曲げたもの。踏面から深さ3mmまでは35度で傾斜し、深さ3mmから溝底まではタイヤ半径方向に対して平行となっている。
(比較例のタイヤ)
図7に示すように、周方向主溝40に代えて傾斜溝62が形成されており、トレッドパターンが従来例、及び実施例1〜3とは異なっている。傾斜溝62のタイヤ赤道面に対する角度は65度である。なお、両方の横溝50の間の領域においては、実施例と同じネガティブ率に設定してある。また、図8に示すように、横溝50で区画される陸部56の蹴り出し側の陸部側壁56Kの角度設定と、踏込み側の陸部側壁56Hの角度設定とが実施例1とは逆になっている。
試験方法を以下に説明する。
試験に用いたフラットベルト試験機は、スチールの帯状の薄板をベルトコンベアの様に輪とし、2つの円筒に掛けて張力を掛けて回転を与えるものであり、上部に出来た平坦な部分にタイヤを押し付け、タイヤを転動させながらタイヤの6分力を測定する装置である。このフラットベルト試験機を用いて、キャンバー角45度、荷重1.5kNでタイヤを押し付け、速度50km/hで転動させる。そして、タイヤのスリップ率を0%に保ち、0%から制動方向に30%のスリップ率を与えた時の横力Fyと前後力Fxを測定した。前後力Fxを横軸に、横力Fyを縦軸にしてグラフを描いた結果を図9に示す。横軸の前後力Fxが0のところがスリップ率0%で転送する状態であり、そこからスリップ率を加えることで前後力Fxのマイナス成分が発生している。
前後力Fxが発生すると横力Fyが低下しだし、前後力Fxと横力Fyはちょうど楕円のような軌跡を描く。このときの前後力Fxのマイナスの最小値をブレーキの限界性能と考える。なお、フラットベルト試験機は、ドライ路面の評価を行っており、散水はしていない。
以下に試験結果を示す。
なお、結果は、従来例の限界値(前後力Fxのマイナスの最小値)が−1.32Nであり、これを指数100として、他のタイヤの限界値を以下に示す。なお、指数の数値が大きいほど性能が良いことを表している。
Figure 0004814603
比較例は、従来例に対してブレーキの限界性能は僅かに向上したが、ほぼ同様の結果となった(トレッドショルダー域が使われ、トレッドショルダー域においては、陸部の踏込み側の陸部側面56Hの角度が同じため。)
実施例1、実施例2、及び実施例3のタイヤは、従来例に対し、ブレーキの限界性能が約3〜5%向上していた。
(フロントタイヤ試験その2)
ウエット性能改善効果を確かめるために、実車を用いたウエット路面での操縦性能比較試験をした結果を以下に説明する。フロント用の供試タイヤ(フロントタイヤ試験その1で用いたものと同じもの)を用意し、フロントのみのタイヤを交換して実車試験を行った。リアのタイヤは常に従来のもので固定した。
試験は、供試タイヤを1000ccのスポーツタイプの二輪車の前輪に装着して、小雨の日にテストコースでかなり激しい(限界に近い)実車走行を行った。雨量は終日安定しており、常に均一なウエット状態であった。1つのタイヤについて、テストコースを4周走行し、4周の平均ラップタイムを求めた。また、テストライダーのフィーリングによるウエット時の操縦安定性能を10点法で同時に総合評価した。また、テストライダーの評価コメントも付記して結果を示す。さらに、ドライ操縦安定性についても確認するため、別の晴れた日に同じテストコースをライダーに走行してもらい、同じく4周の平均ラップタイムとライダーのコメントを聞き出し、併記する。
以下に、試験結果を示す。
(従来例のタイヤ)
ウエットラップタイム:53秒7
ウエット走行評点:6点
ライダーのコメント(ウエット路面):直進時からブレーキを掛けたとき、車体が直立しているときは良いが、車体を倒してブレーキを掛けるとトレッドの弱さを感じる。限界が低いように感じた。
ドライラップタイム:45秒7
ドライ走行評点:6点
ライダーのコメント(ドライ路面):車体を傾けてブレーキを掛けるとトレッドが弱く感じる。
(実施例1のタイヤ)
ウエットラップタイム:52秒7
ウエット走行評点:8点
ライダーのコメント(ウエット路面):ブレーキ性能が飛躍的に向上した。良くグリップしている。但し、水溜りが深い部分を走行すると、少しハイドロプレーニングする傾向がある。
ドライラップタイム:44秒1
ドライ走行評点:9点
ライダーのコメント(ドライ路面):ブレーキをしっかり掛けられる。制動性能が高い。非常に良い。
(実施例2のタイヤ)
ウエットラップタイム:52秒4
ウエット走行評点:9点
ライダーのコメント(ウエット路面):ブレーキ性能が従来例よりも良い。実施例1に比べて水溜りの上でハイドロプレーニングしにくい。
ドライラップタイム:45秒0
ドライ走行評点:8点
ライダーのコメント(ドライ路面):ブレーキ性能が従来例よりも良い。実施例1には及ばない。
(実施例3のタイヤ)
ラップタイム:52秒3
ウエット走行評点:9点
ライダーのコメント(ウエット路面):ブレーキ性能が従来例よりも良い。実施例1に比べて水溜りの上でハイドロプレーニングしにくい。
ドライラップタイム:45秒1
ドライ走行評点:8点
ライダーのコメント(ドライ路面):ブレーキ性能が従来例よりも良い。実施例1には及ばない。
(比較例のタイヤ)
ウエットラップタイム:54秒7
ウエット走行評点:4点
ライダーのコメント:直進時にブレーキを掛けたときにトレッドが非常に弱く、バイクが止まらない感じ。倒しながらのブレーキにおいても、限界が低いように感じた。
効果の検証。
以上のように、濡れた路面においても、今回の発明の効果が実証された。
実施例1と実施例3は、ハイドロプレーニング現象が起こった。陸部側壁に角度をつけ過ぎると、溝の体積が減少して排水効果が低下し、水深の深い水溜りでタイヤが滑りやすくなるようである。実施例1と実施例2は、陸部の倒れ込みという点では実施例1の方が優れているが、排水性能は実施例2の方が優れている。ウエット性能は、陸部側壁の角度と排水性能の両面でタイヤ設計を行う必要がることが分かる。
実施例2と実施例3は、ほぼ同じ性能だった。しかし、ドライ性能に関しては、陸部側壁角度をつけた実施例1の方が実施例2や実施例3よりも良好である。
実施例1と比較例の比較をすれば明らかだが、本発明のようにブレーキに対して有効に働く部分に角度をつけないと意味が無い。また、比較例との比較から、センター部分に配置する溝は、赤道方向に沿ったものが有効であることが分かる。
[第2の実施形態]
次に、本発明の二輪車の後輪用空気入りタイヤの一実施形態を図10乃至図12にしたがって説明する。なお、第1の実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
本実施形態の後輪用空気入りタイヤ11は、タイヤサイズが190/50ZR17である。
図10に示すように、本実施形態の後輪用空気入りタイヤ11は、カーカス16のタイヤ半径方向外側にスパイラルベルト層22が配置されている。
本実施形態のスパイラルベルト層22は、直径0.3mmのスチールの単線を2本撚ったコードを未加硫のコーティングゴムで被覆した長尺状のゴム被覆コードを、打ち込み間隔70本/50mmでスパイラル状に巻き回すことにより形成されている。なお、カーカス16のタイヤ半径方向外側には、主交錯層は無く、スパイラルベルト層22のみが配置されている。
(トレッドパターン)
図11に示すように、トレッド28には、タイヤ赤道面CLの両側に、それぞれ周方向に延びる、溝幅が7mmの直線状の周方向主溝41が2本形成されている。さらに、トレッド28には、タイヤ幅方向外側の周方向主溝41からタイヤ幅方向外側に離間した位置からトレッド端28Eに向けて溝幅が3.5mmの傾斜溝51が形成されている。
本実施形態のトレッド28の展開幅TWは、240mmである。傾斜溝51は、トレッド端28Eからタイヤ赤道面側へ65mmの範囲内に形成されている。傾斜溝51は、タイヤ赤道面側がトレッド端側よりもタイヤ回転方向側(矢印A方向側)とはるように傾斜しており、タイヤ周方向に対する角度は60度である。
傾斜溝51で区切られる陸部56の幅は、本実施形態ではトレッド端28Eで10mmに設定されている。また、周方向主溝41、及び傾斜溝51の溝深さは、本実施形態では全て6mmである。
図12に示すように、本実施形態では、傾斜溝51で区切られる陸部56の踏込み側の陸部壁面56Hは、タイヤ径方向に沿って平行である。一方、陸部56の蹴り出し側の陸部壁面56Kは、溝底から溝開口へ向けて溝幅が拡大する方向に一定角度で傾斜している。なお、蹴り出し側の陸部壁面56Kは、本実施形態ではタイヤ径方向に対して35度で傾斜している。
(作用)
次に、本実施形態の後輪用空気入りタイヤ11の作用を説明する。
本実施形態の後輪用空気入りタイヤ11は、二輪車の後輪に用いられる。
後輪用空気入りタイヤ11には、車体が完全に直立している場合だけでなく、僅かに傾いている場合も殆ど横力は加わらず、前後方向の力が主体となる。本実施形態の後輪用空気入りタイヤ11は、トレッド28の展開幅TWの40%の領域であるトレッド中央域28Cに、タイヤ赤道面CLに沿って直線状に延びる周方向主溝41を配置しているので、周方向主溝41で区分された陸部58はタイヤ周方向に連続して直線状に延び、十分に赤道方向の力、即ち、トラクション時の入力に対して強いパターンとなっている。
次に、トレッド28の中でも、車体を大きく倒したときに使用する領域が、トレッドショルダー域28Sである。このトレッドショルダー域28Sには、タイヤ赤道面側がトレッド端側よりもタイヤ回転方向側(矢印A方向側)となるように傾斜した傾斜溝51が形成されているため、パターンとしては、タイヤ周方向(トラクション)と横方向の力に対して強くなっている。
また、この傾斜溝51で区画される陸部56の蹴り出し側の陸部側壁56Kを溝底から溝開口へ向けて溝幅が拡大する方向に35度で傾斜させ、踏込み側の陸部壁面56Hよりもタイヤ径方向に対する角度を大きく設定しているので、トラクションが作用した際の陸部56の周方向の倒れ込み変形に対して特に有効となり、該倒れ込み変形に起因する蹴り出し側の陸部端の浮き上がりを抑制することができる。これにより、路面との接触面積が確保され、傾斜溝51による排水効果と相まって、従来よりもウエット路面での旋回性能を向上させることが可能となり、乾燥路面においても、旋回性能をも向上させることが可能となっている。
なお、蹴り出し側の陸部側壁56Kの角度が10度未満になると、倒れ込み変形に対する効果が少なすぎる。一方、蹴り出し側の陸部側壁56Kの角度が45度を超えると、浮き上がりを抑制する効果は上がらず頭打ちになると共に、不要に傾斜溝51の溝体積を減少させてしまい、排水効果が低下する。
また、傾斜溝51の溝幅が3mm未満になると、蹴り出し側の陸部側壁56Kが傾斜しているので、傾斜溝51の底の部分で十分な幅を取れなくなる。一方、傾斜溝51の溝幅が10mmを超えると、傾斜溝51の領域が広くなり過ぎ、傾斜溝51で区画される陸部56の面積が減少してしまい、接地面積が不足してしまう。
(リアタイヤ試験)
本発明の性能改善効果を確かめるために、実車を用いたウエット路面での操縦性能比較試験をした結果を以下に説明する。リア用の供試タイヤを用意し、リアのみのタイヤを交換して実車試験を行った。フロントのタイヤは常に従来のもので固定した。
試験は、供試タイヤを1000ccのスポーツタイプの二輪車の後輪に装着して、小雨の日にテストコースでかなり激しい(限界に近い)実車走行を行った。雨量は終日安定しており、常に均一なウエット状態であった。1つのタイヤについて、テストコースを4周走行し、4周の平均ラップタイムを求めた、なお、これらのタイヤのセンター部分は同じパターンであったため、違いが出たのはコーナーでの旋回性能であった。また、テストライダーのフィーリングによるウエット時の操縦安定性能を10点法で同時に総合評価した。また、テストライダーの評価コメントも付記して結果を示す。
先ず、供試タイヤに付いて説明する。
(実施例のタイヤ)
図11のパターン、及び図12の陸部断面形状を有する前述した第2の実施形態のタイヤである(ショルダー側の陸部56の蹴り出し側の陸部側壁56Kがタイヤ径方向に対して25度で傾斜し、踏込み側の陸部側壁56Hがタイヤ半径方向に沿って平行。)。
(従来例のタイヤ)
実施例と同じパターンを有するが、図13に示すように、傾斜溝51で区画される陸部56の断面形状が異なる。ショルダー側の陸部56の蹴り出し側の陸部側壁56Kと、踏込み側の陸部側壁56Hは、何れもタイヤ径方向に沿って平行(踏面に対して垂直)。
(比較例のタイヤ)
実施例と同じパターンを有するが、図14に示すように、傾斜溝51で区画される陸部56の断面形状が異なる。ショルダー側の陸部56の蹴り出し側の陸部側壁56Kはタイヤ径方向に沿って平行であり、踏込み側の陸部側壁56Hがタイヤ半径方向に対して25度で傾斜している。即ち、断面形状が実施例とは逆になっている。
以下に、試験結果を示す。
(従来例のタイヤ)
ウエットラップタイム:53秒7
ウエット走行評点:6点
ライダーのコメント:トラクション時にタイヤが滑りやすい。特に大きく倒した状態からのトラクションでトレッドが動き易く、かつ滑り易く、アクセルを開けるときに慎重な操作が必要と感じる。
(比較例のタイヤ)
ウエットラップタイム:54秒1
ウエット走行評点:5点
ライダーのコメント:従来例と同じで、トラクション時にタイヤが滑りやすい。
(実施例のタイヤ)
ウエットラップタイム:52秒1
ウエット走行評点:8点
ライダーのコメント:トラクションがしっかり掛かる。アクセルを思い切って開けても、タイヤがしっかりとしている。
効果の検証。
実施例は、従来例よりも明らかにウエット操縦安定性能(トラクション)が高かった。また、比較のために準備した比較例のタイヤは、トラクション性能は従来例とあまり変わらなかった。陸部側壁の傾斜方向の違いがこれらを生じさせた。
本発明を有する実施例のタイヤは、従来例、及び比較例のタイヤと比較し、大幅なウエット操縦安定性能の向上が確認された。
[その他の実施形態]
なお、前輪用空気入りタイヤ10の踏込み側の陸部側壁56Hは、図3に示すように全体的に一定角度で傾斜していても良く、図6に示すように途中で1折れ曲がっても良く、図示はしないが複数回折れ曲がっていても良く、曲線状であっても良い。ここで、図16に示すように、溝深さ(=陸部高さ)をDとしたときに、陸部側壁56Hの中でも、踏面から溝底側へDの50%までの間の平均の傾斜角度θhを、蹴り出し側の陸部側壁56Kの傾斜角(溝底〜踏面までの平均値)θkよりも大きく設定する必要がある。さらに、傾斜角度θhは、傾斜角θkよりも10度以上大きく設定することが好ましく、20度以上大きく設定することがより好ましい。踏面から溝底側へDの50%の位置〜溝底までの間は、タイヤ径方向に対して0度以上であれば良い。なお、後輪用空気入りタイヤ10の陸部側壁においても、前輪用空気入りタイヤ10と同様の技術思想に基づき傾斜角度の設定を行うのは勿論である(踏込み側の陸部側壁56Hと蹴り出し側の陸部側壁56Kの傾斜角のつけ方が前輪用空気入りタイヤ10に対して逆。)。
第1の実施形態に係る前輪用空気入りタイヤの回転軸に沿った断面図である。 第1の実施形態(試験では実施例1)に係る前輪用空気入りタイヤのトレッドの展開図である。 第1の実施形態に係る前輪用空気入りタイヤの横溝で区画された陸部の断面図である。 従来例の陸部の断面図である。 実施例2の陸部の断面図である。 実施例3の陸部の断面図である。 比較例のトレッドの展開図である。 比較例の陸部の断面図である。 フラットベルト試験の結果を示すグラフである。 第2の実施形態に係る後輪用空気入りタイヤの回転軸に沿った断面図である。 第2の実施形態に係る後輪用空気入りタイヤのトレッドの展開図である。 第2の実施形態に係る後輪用空気入りタイヤの傾斜溝で区画された陸部の断面図である。 従来例の陸部の断面図である。 比較例の陸部の断面図である。 陸部の断面図である。 陸部の断面図である。
符号の説明
10 前輪用空気入りタイヤ
11 後輪用空気入りタイヤ
28 トレッド
50 横溝
51 傾斜溝
56 陸部
56H 踏込み側の陸部側壁
56K 蹴り出し側の陸部側壁

Claims (6)

  1. トレッドに複数の溝で区画された複数の陸部を有する二輪車の前輪用空気入りタイヤであって、
    タイヤ赤道面を中心としてトレッドの展開幅の40%の領域をトレッド中央域、前記トレッドの端部からタイヤ赤道面側へ前記展開幅の20%の位置までをトレッドショルダー域としたときに、
    前記トレッド中央域には、タイヤ赤道面に対する角度が0〜30度の範囲内に設定された周方向に連続する溝のみが配置され、
    前記トレッドショルダー域には、タイヤ赤道面に対する角度が45〜90度の範囲内に設定された溝のみが配置され、
    前記トレッドショルダー域において、前記溝によって区画される陸部の蹴り出し側の陸部壁面はタイヤ径方向に沿って平行、又は溝底から溝開口へ向けて溝幅が拡大する方向に傾斜しており、前記陸部の踏込み側の陸部壁面は、溝底から溝開口へ向けて溝幅が拡大する方向に傾斜し、少なくとも踏面側の部分が蹴り出し側の陸部壁面よりもタイヤ径方向に対する角度が大きく設定されていると共に、タイヤ径方向に対する角度が10〜45度の範囲内に設定されている、ことを特徴とする二輪車の前輪用空気入りタイヤ。
  2. 前記陸部の蹴り出し側の陸部壁面は、タイヤ径方向に対して20度以下の角度で傾斜している、ことを特徴とする請求項1に記載の二輪車の前輪用空気入りタイヤ。
  3. 前記トレッドショルダー域に配置される前記溝の溝幅は、3〜10mmの範囲内に設定されている、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の二輪車の前輪用空気入りタイヤ。
  4. トレッドに複数の溝で区画された複数の陸部を有する二輪車の後輪用空気入りタイヤであって、
    タイヤ赤道面を中心としてトレッドの展開幅の40%の領域をトレッド中央域、前記トレッドの端部からタイヤ赤道面側へ前記展開幅の20%の位置までをトレッドショルダー域としたときに、
    前記トレッド中央域には、タイヤ赤道面に対する角度が0〜30度の範囲内に設定された周方向に連続した溝のみが配置され、
    前記トレッドショルダー域には、タイヤ赤道面に対する角度が45〜90度の範囲内に設定された溝のみが配置され、
    前記トレッドショルダー域において、前記溝によって区画される陸部の踏込み側の陸部壁面はタイヤ径方向に沿って平行、又は溝底から溝開口へ向けて溝幅が拡大する方向に傾斜しており、前記陸部の蹴り出し側の陸部壁面は、溝底から溝開口へ向けて溝幅が拡大する方向に傾斜し、少なくとも踏面側の部分が踏込み側の陸部壁面よりもタイヤ径方向に対する角度が大きく設定されていると共に、タイヤ径方向に対する角度が10〜45度の範囲内に設定されている、ことを特徴とする二輪車の後輪用空気入りタイヤ。
  5. 前記陸部の踏込み側の陸部壁面は、タイヤ径方向に対して20度以下の角度で傾斜している、ことを特徴とする請求項4に記載の二輪車の後輪用空気入りタイヤ。
  6. 前記トレッドショルダー域に配置される前記溝の溝幅は、3〜10mmの範囲内に設定されている、ことを特徴とする請求項4または請求項5に記載の二輪車の後輪用空気入りタイヤ。
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