JP4812314B2 - 低芳香族溶剤の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、低温流動性に優れるとともに、樹脂などの溶解性に優れる低芳香族溶剤の製造方法に関する。
塗装、印刷などに用いられる溶剤は、塗料、インキあるいは樹脂類に対する溶解性が溶剤としての性能を示す重要な要素であるが、石油系溶剤などに含まれている芳香族分は溶解性に優れるものの、従来より人体への影響が指摘されている。特に、芳香環を複数有する多環芳香族炭化水素は、高い発ガン性、催奇形性を有することが指摘されている。このため、より安全性の高い低芳香族溶剤のニーズが高まっている。
低芳香族溶剤のひとつとして、直鎖パラフィンを主体とする溶剤が挙げられるが、直鎖パラフィン類は低温において結晶化しやすく、低温流動性を悪化させるため、冬期あるいは寒冷地においては取り扱いに不便であり、また塗料等の溶解性が低いという問題がある。
原油を蒸留して得られる留出油には直鎖パラフィン分が比較的多く含まれているため、これらの留分を水素化することによって得られた生成油では、良好な低温流動性を持たせることが難しい。
このような背景のもと、低芳香族溶剤の製造方法として、特定の炭化水素留分を脱硫する工程、合成ゼオライトからなる分子ふるいによって直鎖パラフィンを除去する工程および直鎖パラフィンを除去した留分を水素化する工程を組み合わせた製造方法が提案されている(特許文献1)。しかしながら、この方法では工程が多く、また直鎖パラフィンの除去工程はゼオライトへの直鎖パラフィンの吸脱着工程を交互に行うための装置構成が複雑になるという問題がある。
特開2002−178635号公報
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、石油類から低温流動性に優れ、塗料、インクあるいは樹脂類に対する溶解性に優れ、芳香族をほとんど含まない溶剤を、効率良く且つ確実に製造することが可能な方法を提供するものである。
本発明者らは上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、軽油あるいは減圧軽油を特定条件下で水素化分解することによって得られる沸点180〜380℃の分解軽油留分が、水素化分解反応および同時に進行する異性化反応によって、低温流動性の悪化の要因である直鎖パラフィンの含有量が少なく、かつ、水素化触媒の被毒物質である硫黄分が低減していることを見出し、このような分解軽油留分を含む軽油留分を特定条件下に水素化精製することにより、低温流動性と樹脂類の溶解性の両方に優れた低芳香族溶剤が製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、軽油あるいは減圧軽油を水素化分解触媒の存在下、水素圧力9〜15MPa、反応温度360〜450℃、LHSV0.1〜2h−1、水素/油比300〜2000NL/Lの条件下に水素化分解して得られる沸点180〜380℃の分解軽油留分または該分解軽油留分に沸点180〜360℃の直留軽油留分を30容量%以下混合した留分を、アルミナを含む無機酸化物からなる担体に、活性金属として周期律表第8族金属から選ばれる少なくとも1種類を触媒重量に対して0.1〜1重量%担持した水素化触媒の存在下、水素圧力2〜7MPa、反応温度130〜350℃、LHSV0.1〜2h−1、水素/油比200〜600NL/Lで水素化精製することによって得られる留出油のうち、沸点240〜300℃の留分を90容量%以上含む留分のナフテン分が20〜70容量%、アニリン点が75〜95℃であり、かつ流動点が−18℃以下であることを特徴とする低芳香族溶剤の製造方法に関する。
また本発明は、前記の方法によって製造される、芳香族分が1容量%以下、ナフテン分が20〜38.8容量%、直鎖パラフィン含有量が25容量%以下、アニリン点が75〜95℃であり、かつ流動点が−18℃以下である低芳香族溶剤に関する。

以下、本発明について詳細に説明する。
本発明においては、水素化分解の原料(原料油(1))として軽油および/または減圧軽油が用いられる。
原料油(1)として用いられる軽油とは、原油の常圧蒸留によって得られる沸点範囲160〜380℃の留分であり、減圧軽油とは、減圧蒸留装置によって得られる沸点範囲360〜580℃の留分である。
これらの留分は蒸留装置によって分留された直留留分としてそのまま用いてもよく、水素化脱硫したのちに用いてもよく、直留留分と水素化脱硫した留分とを混合して用いても良い。
本発明においては、まず前記原料油(1)を水素化分解する。
水素化分解の条件としては、水素圧力は9〜15MPaが好ましく、10〜12MPaがより好ましい。反応温度は360〜450℃が好ましく、380〜430℃がより好ましく、390〜420℃が最も好ましい。LHSVは0.1〜2h−1が好ましく、0.2〜1.2h−1がより好ましく、0.25〜0.85h−1が最も好ましい。水素/油比は300〜2000NL/Lが好ましく、350〜1800NL/Lがより好ましい。
原料油(1)の水素化分解において、水素圧力が9MPa未満の場合には、十分な分解活性が得られず分解軽油留分の収率が低下するほか、生成分解軽油留分の硫黄分は上昇する傾向にある。また、水素圧力が15MPaを超える場合、より能力の高い圧縮機が必要となるなど過大な設備投資が必要となる傾向にある。反応温度が360℃未満の場合には、十分な分解軽油留分の収率が得られない懸念があり、450℃を超える場合には、過分解による軽質分生成が増加し、同様に分解軽油留分収率の低下が懸念される。LHSVが0.1h−1未満の場合は極めて大きな反応塔容積が必要となり過大な設備投資が必要となる傾向にあり、2h−1を超える場合には、分解反応が十分進行せず、分解軽油留分の低下が予想される。水素/油比が300NL/L未満の場合には、十分な分解軽油留分の収率が得られない懸念があり、2000NL/Lを超える場合には、やはり過大な設備投資を必要とする懸念がある。
水素化分解触媒は特に限定されないが、固体酸性質を示す酸化物やゼオライトなどの担体に、活性金属を組み合わせて担持したものが用いられる。
担体としては、アルミナ、シリカ、チタニア、ボリア、ジルコニアおよびゼオライトから選ばれる少なくとも2種類を組み合わせた無機酸化物を好ましく用いることができる。具体的には、シリカ−アルミナ、チタニア−アルミナ、ボリア−アルミナ、ジルコニア−アルミナ、チタニア−ジルコニア−アルミナ、シリカ−ボリア−アルミナ、シリカ−ジルコニア−アルミナ、シリカ−チタニア−アルミナ、シリカ−チタニア−ジルコニア−アルミナなどが好ましく用いられる。また、アルミナ、シリカ、チタニア、ボリアおよびジルコニアから選ばれる少なくとも1種類とゼオライトを組み合わせたものも好ましく用いられる。これらの例としては、シリカ−アルミナ、チタニア−アルミナ、ボリア−アルミナ、ジルコニア−アルミナ、チタニア−ジルコニア−アルミナ、シリカ−ボリア−アルミナ、シリカ−ジルコニア−アルミナ、シリカ−チタニア−アルミナ、シリカ−チタニア−ジルコニア−アルミナとゼオライトなどが挙げられる。ゼオライト成分としては、水熱条件などによって安定化された超安定化Yゼオライトが好ましく用いられる。
活性金属としては、周期律表第6族金属から選ばれる少なくとも1種類の金属と周期律表第8族金属から選ばれる少なくとも1種類の金属を担体に担持して用いる。周期律表第6族金属の担持量は、触媒重量に対して15〜30重量%であり、周期律表第8族金属の担持量は、触媒重量に対して3〜15重量%である。周期律表第6族金属としては、MoおよびWが好ましく、また周期律表第8族金属としては、NiおよびCoが好ましい。
水素化分解により、原料油(1)に含まれる沸点300℃以上の留分は、通常40容量%以上、好ましくは50容量%以上が、沸点300℃よりも軽質な留分に転換される。
水素化分解によって得られた分解生成物は、気液分離塔あるいは所定の硫化水素除去設備により、含まれる硫化水素をできるだけ除去しておくことが望ましい。水素化分解によって生成する留分には、分解軽油留分のほかにナフサ留分や灯油留分などが含まれる。このうち、ナフサ留分はナフサ改質装置によって改質されガソリン基材や化学品原料として用いることができ、灯油留分はディーゼル燃料や暖房用燃料として有効に使用することができる。
本発明においては、前記原料油(1)を水素化分解して得られた生成物のうち、沸点180〜380℃の分解軽油留分を次の水素化精製工程の原料油として用いる。
水素化分解によって得られた分解生成物のうち、沸点180〜380℃の分解軽油留分の直鎖パラフィンの含有量は、通常25容量%以下であり、20容量%であることが好ましく、15容量%以下であることが最も好ましい。直鎖パラフィンの含有量が25容量%より多い場合には、本発明の効果を十分発揮することができない。
また上記分解軽油留分の芳香族分は通常3〜30容量%であり、5〜25容量%であることが好ましい。芳香族分が3容量%未満の場合には、本発明の効果を十分発揮するに至らず、30容量%より多い場合には、十分な芳香族低減が達成できない懸念がある。
本発明でいう芳香族分とは、社団法人石油学会により発行されている石油学会誌JPI−5S−49−97「炭化水素タイプ試験法−高速液体クロマトグラフ法」に記載の方法に準拠して測定される芳香族分含有量の容量百分率(容量%)を意味する。
また上記分解軽油留分の硫黄分は通常10質量ppm以下であり、5質量ppm以下が好ましい。硫黄分は水素化精製において触媒毒であり、硫黄分が10質量ppmを超えるような場合には水素化活性が低下する懸念がある。
本発明でいう硫黄分とは、JIS K 2541「硫黄分試験方法」またはASTM−D5453に記載の方法に準拠して測定される硫黄分の質量含有量を意味する。
本発明は、原料油(1)を水素化分解して得られた沸点180〜380℃の分解軽油留分または該分解軽油留分に沸点180〜360℃の直留軽油留分を30容量%以下混合した留分(原料油(2))を特定条件下に水素化精製処理を行うことにより低芳香族溶剤を製造するものである。
ここでいう直留軽油留分とは、常圧蒸留装置から得られる沸点180〜360℃の留分あるいはこのような留分を水素化脱硫処理した生成油をいう。分解軽油留分に対する直留軽油留分の混合割合は、混合油全量基準で30容量%以下であり、好ましくは10容量%以下であり、より好ましくは5容量%以下である。混合割合が30容量%より多い場合には得られる溶剤の低温流動性が悪化する傾向にあるため好ましくない。
なお本発明でいう沸点とは、JIS K 2254「蒸留試験方法」またはASTM−D86に記載の方法に準拠して測定される値である。
本発明において、原料油(1)または(2)を水素化精製処理する条件としては、水素圧力は2〜7MPaが好ましく、4〜6MPaがより好ましい。反応温度は130〜350℃が好ましく、160〜320℃がより好ましく、200〜300℃が最も好ましい。LHSVは0.1〜2h−1が好ましく、0.5〜1.5h−1がより好ましく、0.6〜1.1h−1が最も好ましい。水素/油比は200〜600NL/Lが好ましく、300〜500NL/Lがより好ましく、350〜450NL/Lが最も好ましい。
本発明における水素化精製において、水素圧力が2MPa未満の場合には、十分な水素化活性が得られず、生成油中の芳香族分が増加する。また、水素圧力が7MPaを超える場合には、より能力の高い圧縮機が必要となるなど過大な設備投資が必要となる傾向にある。反応温度が130℃未満の場合には、十分な水素化活性が得られない懸念があり、350℃を超える場合には、過分解による軽質分生成が増加し、溶剤の収率が低下する傾向にある。LHSVが0.1h−1未満の場合には、極めて大きな反応塔容積が必要となり過大な設備投資が必要となる傾向にあり、2h−1を超える場合には、水素化反応が十分進行せず、溶剤に含まれる芳香族分が増加する恐れがある。水素/油比が200NL/L未満の場合には、十分な水素化活性が得られない懸念があり、600NL/Lを超える場合には、やはり過大な設備投資を必要とする懸念がある。
水素化精製における水素化触媒は、アルミナを含む無機酸化物からなる担体に、活性金属として周期律表第8族金属から選ばれる少なくとも1種類を触媒重量に対して0.1〜1重量%担持したものが好ましく用いられる。
担体構成成分としてはアルミナのほか、シリカ、チタニア、ジルコニア、ボリアのうち少なくとも1種類を組み合わせたものが好ましい。組み合わせは任意であるが、触媒の耐硫黄性という観点から、シリカ−アルミナ、チタニア−アルミナ、ボリア−アルミナ、ジルコニア−アルミナ、チタニア−ジルコニア−アルミナ、シリカ−ボリア−アルミナ、シリカ−ジルコニア−アルミナ、シリカ−チタニア−アルミナ、シリカ−チタニア−ジルコニア−アルミナが好ましく、シリカ−アルミナ、ボリア−アルミナ、ジルコニア−アルミナ、チタニア−ジルコニア−アルミナ、シリカ−ボリア−アルミナ、シリカ−ジルコニア−アルミナ、シリカ−チタニア−アルミナがより好ましく、シリカ−アルミナ、シリカ−ジルコニア−アルミナが最も好ましい。
アルミナと他の成分との配合比率は任意の割合を取り得るが、好ましくはアルミナの含有量が90質量%以下、さらに好ましくは60質量%以下、より好ましくは40質量%以下である。他方、アルミナの含有量の下限は特に制限されないが、アルミナの含有量が20質量%以上であることが好ましい。アルミナの含有量が90質量%を超える場合には、触媒の耐硫黄性が十分ではなく、20質量%に満たない場合には、触媒の成形性が悪化し、工業的製造が困難になる恐れがある。また、これらの無機酸化物とともに、ゼオライトを含有していても良い。
担体の製造方法は特に限定されないが、各元素に対応した各種ゾル、塩化合物などの状態の原料を用いて任意の調製法を採用することができる。さらには、一旦、シリカ−アルミナ、シリカ−ジルコニア、アルミナ−チタニア、シリカ−チタニア、アルミナ−ボリアなどの複合水酸化物あるいは複合酸化物を調製した後に、アルミナゲルやその他の水酸化物の状態あるいは適当な溶液の状態で調製工程における任意の工程で添加して調製してもよい。また、担体製造のいずれかの工程においてゼオライトを添加しても良い。
活性金属としては、周期律表第8族金属から選ばれる少なくとも1種類の金属が用いられ、特にRh、Ir、PdおよびPtからなる群から選択される金属が好ましい。また、複数の金属を適宜組み合わせてもよく、例えば、Pt−Pd、Pt−Rh、Pt−Ir、Rh−Ir、Rh−Pd、Ir−Pd、Pt−Pd−Ir、Pt−Rh−Ir、Pt−Rh−Pd、Rh−Ir−Pdなどの組み合わせを採用することができる。これらのうちで、Pt−Pd、Pt−Rh、Pt−Ir、Pt−Pd−Ir、Pt−Rh−Ir、Pt−Rh−Pdがより好ましく、Pt−Pd、Pt−Ir、Pt−Pd−Irがさらに好ましく、Pt−Pdが最も好ましい。
水素化触媒における活性金属の担持量は、触媒全量基準で0.1〜1.0重量%であることが好ましく、0.3〜0.8重量%であることがより好ましい。担持量が0.1重量%より少ない場合には十分な水素化活性を発揮できず、1重量%より多い場合には、かえって活性金属の凝集が促進されたり、触媒コストの増加を招く恐れがある。
水素化触媒製造段階において、これらの活性金属の金属源としては一般的な無機塩、錯塩化合物を用いることができ、担持方法としては含浸法、イオン交換法など通常の水素化処理触媒で用いられる担持方法のいずれの方法も用いることができる。また、複数の金属を担体に担持する場合には混合溶液を用いて同時に担持してもよく、または単独溶液を用いて逐次担持してもよいが、混合溶液によって同時に担持するほうがより好ましい。なお、このような金属塩溶液は水溶液でも、有機溶剤を用いたものでもよい。
なお、水素化触媒としては、円柱状、四葉状などの押し出し成形、あるいは球状の状態に成形加工して用いることができる。
水素化精製装置の反応形式としては、固定床方式が好ましい。このとき、水素は原料油に対して向流または並流のいずれの形式をとることもでき、また、複数の反応塔を有し向流、並流を組み合わせた形式のものでもよい。一般的な形式としてはダウンフローであり、気液双並流形式がある。反応塔は複数の触媒床で構成されてもよく、各触媒床の間には反応熱の除去、あるいは水素分圧を上げる目的で水素ガスをクエンチとして注入してもよい。
本発明において、水素化精製によって得られる水素化精製油は低芳香族であり、芳香族分含有量は通常1容量%以下である。1容量%を超える場合には、溶剤としての安全性が低下してしまう恐れがある。
また水素化精製油のうち、沸点240〜300℃の留分を90容量%以上含む留分については、ナフテン分が20〜70容量%含まれていることが好ましい。ナフテン分が20容量%未満の場合、溶剤として十分な溶解性が得られない懸念があり、70容量%より多い場合には、多環ナフテン類の部分的な脱水素などが起こり易く溶剤の安定性が低下する恐れがある。
本発明でいうナフテン分とは、ASTM D2786−91「Standard Test Method for Hydrocarbon Types Analysis of Gas-Oil Saturates Fraction by High Ionizing Voltage Mass Spectrometry」に記載の方法に準拠して測定されるナフテン分の含有量(容量%)を意味する。
水素化精製油のうち、沸点240〜300℃の留分を90容量%以上含む留分については、流動点が−18℃以下であり、より好ましくは−20℃以下であり、さらにより好ましくは−22℃以下である。流動点が低いほど、冬期あるいは寒冷地などさまざまな条件下での使用において、取り扱いが容易になる。
なお、本発明でいう流動点とは、JIS K 2269「原油及び石油製品の流動点並びに石油製品曇り点試験方法」記載の方法に準拠して測定される値である。
また水素化精製油のうち、沸点240〜300℃の留分を90容量%以上含む留分のアニリン点は75〜95℃の範囲である。アニリン点が95℃より高すぎる場合には溶解性が低下する傾向にあり、75℃より低い場合には溶剤中の芳香族分が多くなる可能性がある。
なお、本発明でいうアニリン点とは、JIS K 2256「アニリン点及び混合アニリン点試験方法」記載の方法に準拠して測定される値である。
また該水素化精製油のうち、沸点240〜300℃の留分を90容量%以上含む留分の直鎖パラフィン含有量は25容量%以下であり、好ましくは20容量%以下であり、より好ましくは15容量%以下である。下限は特に限定されないが通常5容量%以上である。
なお、本発明でいう直鎖パラフィン含有量とは、JIS K 2254「蒸留試験方法」またはASTM−D86に記載のガスクロ法によって、標準物質によって直鎖パラフィンを同定し、そのピーク強度の合計から算出される値である。
本発明によって得られる水素化精製油は、精留塔によってさらに細かい留分に分画して各種の溶剤として用いることができる。すなわち、水素化精製油はインク、塗料、樹脂等の溶剤としてのほかに、クリーニング用溶剤、殺虫剤溶剤、エアゾール用溶剤、溶液もしくは懸濁重合用溶剤、脱グリース剤、ラッカー用溶剤、洗浄用、抽出用などの溶剤、ゴム揮発油、金属部品洗浄用溶剤、また、アルミ、ステンレス、銅などの冷間圧延油およびアルミフィンプレス油などの金属加工油剤、さび止め油剤、カーコート用溶剤、放電加工油などの基材としても好適に使用することができる。
さらに本発明によって得られる水素化精製油は、溶剤として用いるほかに、ディーゼル燃料あるいはディーゼル燃料の構成基材としても用いることもできる。このとき、本発明で得られる水素化精製油は低芳香族含有量であるため、高いセタン価を示す一方、芳香族分が少ないことから排ガスに含まれる微粒子成分(パティキュレート)が低減していることが期待できる。セタン価は燃焼性を示す指標であり、数値が大きいほど着火性に優れ、ディーゼルエンジンにおいて燃焼効率の向上が期待できる。
本発明の方法により、石油類から低温流動性に優れ、塗料、インクあるいは樹脂類に対する溶解性に優れ、芳香族をほとんど含まない溶剤を、効率良く且つ確実に製造することができる。
以下、本発明を実施例および比較例に基づいてさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
ケイ酸ナトリウム水溶液(濃度29質量%、2350g)をpH14でゲル化せしめた後、pH7で2時間熟成せしめて得たスラリーに、硫酸ジルコニウム(四水和物、350g)を含む水溶液を加え、さらにそのスラリーをpH7に調整してシリカ−ジルコニア複合水酸化物を生成せしめた。これを30分熟成せしめた後、硫酸アルミニウム(14水和物、420g)を含む水溶液を加えてpH7に調整し、シリカ−ジルコニア−アルミナ複合水酸化物を生成せしめた。このスラリーからシリカ−ジルコニア−アルミナ複合水酸化物をろ過し、洗浄した後、加熱濃縮によって水分を調整し、押し出し成型、乾燥、焼成を行い触媒担体(多孔質担体)を得た。得られた担体中の各構成成分の比率は、酸化物としてアルミナ20質量%、シリカ57質量%、ジルコニア23質量%であった。
この担体に、担体の吸水率に見合う容量になるように濃度を調整したテトラアンミン白金(II)クロライドとテトラアンミンパラジウム(II)クロライドの混合水溶液を用いて金属を含浸せしめ、乾燥、焼成を行い、水素化精製触媒(触媒1)を得た。触媒1における白金、パラジウムの担持量はそれぞれ触媒全体に対して0.3質量%、0.5質量%であった。
次に、触媒1(20ml)を充填した反応管(内径20mm)を固定床流通式反応装置に取り付けた後、反応前処理として水素分圧5MPa、300℃の条件で還元前処理を実施した。その後、中東系原油の常圧蒸留および減圧蒸留によって得られた減圧軽油留分を表1に示す水素化分解条件下で水素化分解して得られた分解軽油留分100容量%を原料油として水素化精製処理を実施した。原料油(分解軽油留分)の性状を表2に示す。水素化精製は、水素圧力5MPa、反応温度220℃、LHSV0.9h−1、水素油比440NL/Lの条件下で実施した。
水素化精製処理の開始から30日目に得られた生成油の性状を表3に示す。また、生成油のうち、沸点240〜300℃の留分を90容量%以上含む留分の性状を表4に示す。
(比較例1)
触媒1(20ml)を反応管に充填し、原料油として直留軽油留分を水素化脱硫した留分100容量%を用いて実施例1と同様の条件において水素化精製処理を実施した。直留軽油留分の水素化脱硫条件を表1に、原料油(脱硫油)の性状を表2にそれぞれ示す。水素化精製処理の開始から30日目に得られた生成油の性状を表3に示す。生成油のうち、沸点240〜300℃の留分を90容量%以上含む留分の性状を表4に示す。
(実施例2)
触媒1(20ml)を反応管に充填し、原料油として、実施例1で用いた分解軽油留分92容量%と、比較例1で用いた直留軽油留分を水素化脱硫した留分8容量%の混合原料油を用いて実施例1と同様の条件において水素化精製処理を実施した。原料油(混合油)の性状を表2に示す。水素化精製処理の開始から30日目に得られた生成油の性状を表3に示す。生成油のうち、沸点240〜300℃の留分を90容量%以上含む留分の性状を表4に示す。
この結果から明らかなように、実施例1および2で得られた水素化精製油は直鎖パラフィン分が少なく、流動点が低いことが分かる。
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Claims (6)

  1. 軽油あるいは減圧軽油を水素化分解触媒の存在下、水素圧力9〜15MPa、反応温度360〜450℃、LHSV0.1〜2h−1、水素/油比300〜2000NL/Lの条件下に水素化分解して得られる沸点180〜380℃の分解軽油留分または該分解軽油留分に沸点180〜360℃の直留軽油留分を30容量%以下混合した留分を、アルミナを含む無機酸化物からなる担体に、活性金属として周期律表第8族金属から選ばれる少なくとも1種類を触媒重量に対して0.1〜1重量%担持した水素化触媒の存在下、水素圧力2〜7MPa、反応温度130〜350℃、LHSV0.1〜2h−1、水素/油比200〜600NL/Lで水素化精製することによって得られる留出油のうち、沸点240〜300℃の留分を90容量%以上含む留分のナフテン分が20〜70容量%、アニリン点が75〜95℃であり、かつ流動点が−18℃以下であることを特徴とする低芳香族溶剤の製造方法。
  2. 水素化分解触媒が、アルミナ、シリカ、チタニア、ボリア、ジルコニアおよびゼオライトから選ばれる少なくとも2種類を組み合わせた無機酸化物からなる担体に、活性金属として周期律表第6族金属から選ばれる少なくとも1種類の金属を触媒重量に対して15〜30重量%と、周期律表第8族金属から選ばれる少なくとも1種類の金属を触媒重量に対して3〜15重量%を担持したものであることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記沸点180〜380℃の分解軽油留分の直鎖パラフィン含有量が、25容量%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 水素化触媒が、シリカ−アルミナ、チタニア−アルミナ、ボリア−アルミナ、ジルコニア−アルミナ、チタニア−ジルコニア−アルミナ、シリカ−ボリア−アルミナ、シリカ−ジルコニア−アルミナ、シリカ−チタニア−アルミナ又はシリカ−チタニア−ジルコニア−アルミナを含む無機酸化物からなる担体に、活性金属として周期律表第8族金属から選ばれる少なくとも1種類を触媒重量に対して0.1〜1重量%担持したものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 水素化精製によって得られる留出油のうち、沸点240〜300℃の留分を90容量%以上含む留分に含まれる直鎖パラフィン含有量が25容量%以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
  6. 水素化精製によって得られる留出油に含まれる芳香族分が1容量%以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
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