JP4811565B2 - 多孔質表面を有する磁性粒子およびその製造方法、生化学用担体、ならびにビオチン類結合用粒子 - Google Patents

多孔質表面を有する磁性粒子およびその製造方法、生化学用担体、ならびにビオチン類結合用粒子 Download PDF

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Description

本発明は、磁気分離性および生化学物質結合量に優れた磁性粒子およびその製造方法、生化学用担体、ならびにビオチン類結合用粒子に関する。
近年、平均粒径が小さい磁性粒子は、その単位重量当たりの表面積が大きいため、抗原と抗体との免疫反応やDNA同士またはDNAとRNAとのハイブリダイゼーションにおいて優れた反応場を提供できることから、特に診断薬や医薬品研究用などへの応用が活発になっている。
特に、磁性粒子の表面を多孔質にすることで表面積を大きくして、生化学物質結合量を増やすことが可能であり、例えば、米国特許第4774265号には、多孔性粒子中で鉄イオンから磁性体を生成させることにより得られた、多孔質表面を有する磁性粒子が開示されている。しかしながら、この方法では、(1)粒子内に生成できる磁性体の量が限られており、その結果、磁気分離性に劣る、(2)粒子外にも磁性体が生成するため、この磁性体を除去するための精製工程が煩雑である、(3)前記精製工程により粒子外の磁性体を除去してもなお、粒子内の磁性体が分散媒と接しており、これをポリマーで被覆すると表面の多孔質性が損なわれるため、生化学物質結合量が劣るという欠点があった。
また、特開平5−197212号公報には、磁性体および溶剤を含む多官能性モノマーを懸濁重合した後溶剤を除去することにより得られた、表面に凹凸を有する磁性粒子が開示されており、特公平7−27279号公報には、発泡剤を使用して形成された、多孔性の磁性粒子が開示されている。しかしながら、これら方法ではいずれも、表面の多孔質性が不十分であり、生化学物質結合量に劣っていた。
米国特許第4774265号 特開平5−197212号公報 特公平7−27279号公報
本発明は、磁気分離性に優れ、かつ生化学物質結合量が多い、多孔性表面を有する磁性粒子およびその製造方法、生化学用担体、ならびにビオチン類結合用粒子を提供することを目的とする。
本特許出願の発明者は、磁性母粒子(A)の表面に、有機溶剤(S)に溶解するポリマー部(B)および前記有機溶剤(S)に溶解しないポリマー部(C)を形成し、前記有機溶剤(S)に前記ポリマー部(B)を接触させることにより得られる、多孔質表面を有する磁性粒子が、優れた磁気分離性を有し、かつ、十分な生化学物質結合量を有することを見出し、本発明を想到するに至った。
本発明の多孔質表面を有する磁性粒子は、磁性母粒子(A)の表面に、有機溶剤(S)に溶解するポリマー部(B)および前記有機溶剤(S)に溶解しないポリマー部(C)を形成し、前記有機溶剤(S)に前記ポリマー部(B)を接触させることにより得られる。ここで、ポリマー部(B)およびポリマー部(C)の形成順序は限定されない。すなわち、「磁性母粒子(A)の表面にポリマー部(B)およびポリマー部(C)を形成する」とは、磁性母粒子(A)の表面にポリマー部(B)を形成した後、ポリマー部(C)を形成すること、ならびに、磁性母粒子(A)の表面にポリマー部(B)およびポリマー部(C)を同時に形成することを含むものとする。
ここで、上記本発明の多孔質表面を有する磁性粒子において、前記磁性母粒子(A)の存在下、水系媒体中で単官能性モノマー(b)をラジカル重合することにより、前記ポリマー部(B)を形成することができる。
ここで、上記本発明の多孔質表面を有する磁性粒子において、前記磁性母粒子(A)の存在下、水系媒体中で多官能性モノマー(c)をラジカル重合することにより、前記ポリマー部(C)を形成することができる。
ここで、上記本発明の多孔質表面を有する磁性粒子において、前記磁性母粒子(A)は、非磁性核粒子(A)と、前記非磁性核粒子(A)の表面上に配置された磁性体微粒子(A)と、を含むことができる。
ここで、上記本発明の多孔質表面を有する磁性粒子において、前記磁性母粒子(A)は、前記非磁性核粒子(A)および前記磁性体微粒子(A)を被覆する母粒子コート層(A)をさらに含むことができる。
本発明の生化学用担体は、上記本発明の多孔質表面を有する磁性粒子を用いることができる。
本発明のビオチン類結合用粒子は、上記本発明の多孔質表面を有する磁性粒子の表面に、ビオチン類結合部位を有する物質が固定化されていることができる。
本発明の多孔質表面を有する磁性粒子の製造方法は、
磁性母粒子(A)の表面に、有機溶剤(S)に溶解するポリマー部(B)および前記有機溶剤(S)に溶解しないポリマー部(C)を形成する工程と、
前記有機溶剤(S)に前記ポリマー部(B)を接触させる工程と、
を含む。
ここで、上記本発明の多孔質表面を有する磁性粒子の製造方法において、前記ポリマー部(B)を形成する工程は、前記磁性母粒子(A)の存在下、水系媒体中で単官能性モノマー(b)をラジカル重合する工程を含むことができる。
ここで、上記本発明の多孔質表面を有する磁性粒子の製造方法において、前記ポリマー部(C)を形成する工程は、前記磁性母粒子(A)の存在下、水系媒体中で多官能性モノマー(c)をラジカル重合する工程を含むことができる。
本発明の多孔質表面を有する磁性粒子によれば、優れた磁気分離性を有するとともに、単位当たりの表面積が極めて大きいため、優れた生化学物質結合量を有する。本発明の磁性粒子は、診断薬用担体などの生化学用担体、塗料、紙、電子材料、電子写真、化粧品、医薬品、農薬、食品、触媒など広い分野で利用できる。応用例としては、医療用診断薬用途、特に自動測定器対応粒子に応用が可能である。
本発明の多孔性表面を有する磁性粒子の製造方法によれば、単位当たりの表面積が極めて大きい磁性粒子を効率的に作製することができる。
以下、本発明の多孔質表面を有する磁性粒子およびその製造方法、生化学用担体、ならびにビオチン類結合用粒子について詳細に説明する。
1.多孔質表面を有する磁性粒子およびその製造方法
本発明の多孔質表面を有する磁性粒子(以下、単に「磁性粒子」ともいう)は、磁性母粒子(A)の表面に、有機溶剤(S)に溶解するポリマー部(B)および有機溶剤(S)に溶解しないポリマー部(C)を形成し、前記有機溶剤(S)に前記ポリマー部(B)を接触させることにより得られる。以下、本発明の磁性粒子の製造に使用される物質およびその製造方法について、詳細に説明する。
本発明の多孔質表面を有する磁性粒子の粒子径は、0.1〜10μmであることが好ましく、0.5〜5.0μmであることがより好ましい。前記粒子径が0.1μm未満である場合、十分な磁気応答性が発現されず、当該粒子を分離するために相当に長い時間を要し、また、分離するために相当に大きい磁力が必要となるため好ましくない。一方、前記粒子径が10.0μmを超える場合、当該粒子が分散媒中で沈降しやすくなるため、標的物質と結合する際に分散媒を攪拌する操作が必要となり、また、粒子の重量に対する表面積の割合が小さくなるため、十分な量の標的物質と結合することが困難となることがある。
本発明の多孔質表面を有する磁性粒子は、分散媒に分散させて使用することができる。分散媒としては、例えば水系媒体が挙げられる。水系媒体は特に限定されないが、例えば、水、水系溶剤を含む水が挙げられる。水系溶剤としては、例えば、アルコール類(例えば、エタノール、アルキレングリコール、モノアルキルエーテルなど)が挙げられる。
1.1.磁性母粒子(A)
磁性母粒子(A)は、磁石で集めることが可能な公知の粒子状物質であり、その粒径dは、好ましくは0.1〜10μm、さらに好ましくは0.2〜7μm、もっとも好ましくは0.5〜5.0μmである。dが0.1μm未満であると、磁力による分離精製に長時間を要することがあり、10μmを超えると生化学物質結合量が少ない場合がある。
磁性母粒子(A)の内部組成は均質であってもよいが、上記の好ましい粒径範囲の均質な磁性母粒子(A)は常磁性である物質が多く、磁力による分離精製を繰り返すと媒質への再分散が困難になる場合がある。このため、磁性母粒子(A)は、残留磁化の少ない磁性体微粒子を含む不均質な内部組成を有することがより好ましい。このような不均質な内部組成を有する磁性母粒子(A)の内部構造としては、磁性体微粒子をポリマーなどの非磁性体の連続相中に分散した構造、磁性体微粒子の2次凝集体をコアとしてポリマーなどの非磁性体をシェルとする構造、ポリマーなどの非磁性体をコアとして磁性体微粒子の2次凝集体をシェルとする構造などが挙げられる。
このうち、磁性母粒子(A)として好ましい内部構造は、ポリマーなどの非磁性体をコアとして磁性体微粒子の2次凝集体をシェルとする構造である。この場合、磁性母粒子(A)は、非磁性核粒子(A)と、非磁性核粒子(A)の表面上に配置された磁性体微粒子(A)とを含むことができる。この磁性母粒子(A)は、非磁性核粒子(A)の表面に磁性体微粒子(A)を物理的に吸着させることにより製造することができる(詳しくは後述する)。この場合、磁性母粒子(A)は、非磁性核粒子(A)および磁性体微粒子(A)を被覆する母粒子コート層(A)をさらに必要に応じて含むことができる。この磁性母粒子(A)は、非磁性核粒子(A)および磁性体微粒子(A)を被覆する母粒子コート層(A)をさらに含むことができる(詳しくは後述する)。
1.1.1.非磁性核粒子(A
非磁性核粒子(A)は、有機物質および無機物質のいずれも使用可能であるが、好ましくは有機物質である。有機物質の代表例としては、例えばポリマーを挙げることができる。かかるポリマーとしては、特に、ビニル系ポリマーが好ましく、その製造に使用するビニル系モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、ハロゲン化スチレン、ジビニルベンゼンなどの芳香族ビニル単量体、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類、アクリロニトリルなどの不飽和ニトリル、メチルアクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレートなどのエチレン性不飽和カルボン酸アルキルエステルなどを例示することができる。このビニル系ポリマーは単独重合体であっても、あるいは上記ビニル系モノマーから選ばれた2種以上のモノマーからなる共重合体であってもよい。また、上記ビニル系モノマーとブタジエン、イソプレンなどの共役ジオレフィン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ジアリルフタレート、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレートなどの共重合可能なモノマーとの共重合体も使用することができる。
本発明で使用する非磁性核粒子(A)の平均粒子径は好ましくは0.1〜10μm、さらに好ましくは0.2〜5μm、もっとも好ましくは0.3〜3.0μmである。
上述した範囲の平均粒子径を有する非磁性核粒子(A)として使用可能なポリマー粒子は、例えば上記のビニル系モノマーの懸濁重合、あるいはポリマーバルクの粉砕によって得ることもできる。均一な粒子径を有する非磁性核粒子(A)の作製方法としては、特公昭57−24369号公報記載の膨潤重合法、ジャーナル・オブ・ポリマーサイエンス・ポリマーレター・エディション,937頁,第21巻,1963年(J. Polym. Sci., Polymer Letter Ed. 21,937(1963))記載の重合方法、特開昭61−215602号公報、特開昭61−215603号公報、および特開昭61−215604号公報によって容易に製造することができる。
1.1.2.磁性体微粒子(A
磁性体微粒子(A)は、特に制限はないが、酸化鉄系の物質が代表的であり、MFe(M=Co、Ni、Mg、Cu、Li0.5Fe0.5等)で表現されるフェライト、Feで表現されるマグネタイト、あるいはγFeが挙げられる。特に、飽和磁化が高く、かつ残留磁化が低い磁気材料として、γFe、Feが好ましい。
本発明で使用する磁性体微粒子(A)は、非磁性核粒子(A)の平均粒子径の好ましくは1/5以下、より好ましくは1/10以下、さらに好ましくは1/20以下の平均粒子径を有する。磁性体微粒子(A)の平均粒子径が、非磁性核粒子(A)の平均粒子径の1/5を超えると、均一かつ十分な厚みを有する、磁性体微粒子(A)からなる被覆層を、非磁性核粒子(A)の表面に形成するのが困難となる場合がある。磁気による分離精製の後の再分散性の点から、磁性体微粒子(A)は残留磁化が少ないことが求められ、例えば、粒径5〜20nm程度のフェライトおよび/またはマグネタイトの微粒子が好適に使用できる。
磁性体微粒子(A)は、表面が疎水化処理されたものを用いることができる。磁性体微粒子(A)の表面の疎水化処理方法は特に限定されないが、例えば、磁性体微粒子(A)と極めて親和性の高い部分と疎水性の部分とを分子内に有する化合物を磁性体微粒子(A)に接触させて結合させる方法を挙げることができる。このような化合物としては、シランカップリング剤に代表されるシラン化合物および長鎖脂肪酸石鹸に代表される界面活性剤を挙げることができる。
シラン化合物による疎水化は、薬品耐性、特にアルカリ耐性に優れており、使用中に疎水性部分が脱落することによる磁性体の剥離、磁気性能の低下、ならびに脱離した磁性体微粒子(A)および界面活性剤の浮遊による系内への汚染物の混入を効果的に防止することができる。また、本発明においては、表面が疎水化処理された磁性体微粒子(A)が、たとえばトルエンに良好に分散することができる場合に、表面が十分に疎水化されているということができる。
本発明での非磁性核粒子(A)と磁性体微粒子(A)との比は、重量比で75:25〜20:80が好ましい。磁性体微粒子(A)がこの範囲の量より少ないと、磁気分離性が劣る場合があり、磁性体微粒子(A)がこの範囲の量より多いと、非磁性核粒子(A)の対する量が過剰となり、複合化されない磁性体微粒子(A)が多くなる場合がある。
1.1.3.磁性母粒子(A)の製造
本発明の磁性母粒子(A)を製造するにあたり、非磁性核粒子(A)の表面に磁性体微粒子(A)を配置させるには、まず、非磁性核粒子(A)と磁性体微粒子(A)とを混合し、非磁性核粒子(A)の表面に磁性体微粒子(A)を物理的に吸着させる。
本発明において、「物理的吸着」とは、化学反応を伴わない吸着を意味する。「物理的吸着」の原理としては、例えば、疎水/疎水吸着、溶融結合または吸着、融着結合または吸着、水素結合、ファンデルワールス結合などが挙げられる。疎水/疎水吸着を利用する吸着としては、例えば、非磁性核粒子(A)の表面および磁性体微粒子(A)の表面が疎水性のものあるいは疎水化処理されたものを選択し、これらの非磁性核粒子(A)および磁性体微粒子(A)をドライブレンドするか、あるいは、非磁性核粒子(A)および磁性体微粒子(A)の双方を侵すことなく良分散性の溶剤(例えばトルエン、ヘキサン)中で充分分散させた後、混合条件下で溶剤を揮発させる方法が挙げられる。
あるいは、物理的に強い力を外部から加えることにより、非磁性核粒子(A)および磁性体微粒子(A)の複合化を実現させる方法も有効である。物理的に強い力の付加としては、例えば、乳鉢、自動乳鉢、ボールミル、ブレード加圧式粉体圧縮法、メカノフュージョン法のようなメカノケミカル効果を利用するもの、あるいはジェットミル、ハイブリダイザーなど高速気流中衝撃法を利用するものが挙げられる。効率よくかつ強固に複合化を実施するには、物理的吸着力が強いことが望ましい。その方法としては、攪拌翼付き容器中で攪拌翼の周速度が好ましくは15m/秒以上、より好ましくは30m/秒以上、さらに好ましくは40〜150m/秒で実施することが挙げられる。撹拌翼の周速度が15m/秒より低いと、非磁性核粒子(A)の表面に磁性体微粒子(A)を吸着させるのに十分なエネルギーを得ることができないことがある。なお、撹拌翼の周速度の上限については、特に制限はないが、使用する装置、エネルギー効率などの点から自ずと決定される。
1.2.有機溶剤(S)
有機溶剤(S)は、ポリマー部(B)を溶解し、かつ、ポリマー部(C)を溶解しない。本発明において「ポリマーを溶解する」とは、粉砕したポリマー1gを有機溶剤100gに入れて24時間撹拌した後、目視でポリマーが前記有機溶剤中に確認されないことをいう。また、本発明において「ポリマーを溶解しない」とは、粉砕したポリマー1.0gを有機溶剤100gに入れて24時間攪拌した後、目視で前記有機溶媒中にポリマーが確認されることをいう。
有機溶剤(S)としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、石油エーテル、石油ベンジン、イソオクタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素系有機溶剤、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジブロモエタン、1,1,2−トリクロロ-1,2,2−トリフルオロエタン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、o−ジクロロベンゼンなどのハロゲン化合物、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、イソぺンチルアルコール、シクロヘキサノール、プロピレングリコール、ベンジルアルコールなどのアルコール類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類が挙げられる。これらの溶媒は、混合して用いてもよい。より好ましい溶媒としては、抽出するポリマーとSP値が近いものである。
1.3.ポリマー部(B)の形成
ポリマー部(B)は、有機溶剤(S)に溶解するポリマーである。ポリマー部(B)は、有機溶剤(S)に溶解すれば、いずれのポリマーでもよい。
ポリマー部(B)は、好ましくは磁性母粒子(A)の存在下、水系媒体中で単官能性モノマー(b)をラジカル重合することにより得ることができる。ここで、使用できる水系媒体としては、磁性粒子の分散媒として例示したものを使用することができ、好ましくは水である。
単官能性モノマー(b)としては、ビニル系モノマーが好ましく、スチレン、α−メチルスチレン、ハロゲン化スチレンなどの芳香族ビニル単量体、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類、アクリロニトリルなどの不飽和ニトリル、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレートなどのエチレン性不飽和カルボン酸アルキルエステルなどを例示することができる。本発明におけるポリマー部(B)は単独重合体であっても、あるいは上記モノマー(b)から選ばれた2種以上のモノマーからなる共重合体であってもよい。
また、ポリマー部(B)として、上記ビニル系モノマーとブタジエン、イソプレンなどの共役ジオレフィン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ジアリルフタレート、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、スチレンスルホン酸およびそのナトリウム塩、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸およびそのナトリウム塩、イソプレンスルホン酸およびそのナトリウム塩などの共重合可能なモノマーとの共重合体も使用することができる。
単官能性モノマー(b)の量としては、好ましくは、磁性母粒子(A)の100重量部に対して1〜300部、さらに好ましくは5〜200部、最も好ましくは10〜150部である。
単官能性モノマー(b)を重合するに際して、好ましくは、連鎖移動剤が使用される。連鎖移動剤として、アリルアルコールおよびそのエステル類、チオアクリル酸エステル類、2,6−ジメチル−2,6−オクタジエン等のジエン類、クロロホルム、ブロモホルム、四塩化炭素、四臭化炭素等のハロゲン化アルキル類、トルエン、α−メチルスチレン等の芳香族化合物、(ジ)クロロベンゼン、(ジ)ブロモベンゼン、(ジ)クロロトルエン、(ジ)ブロモトルエン、トリクロロトルエン等の芳香族ハロゲン化合物、ニトロメタン、ニトロエタン、トリニトロメタン等のニトロ化アルキル類、トリニトロベンゼン、トリニトロトルエン、ニトロフェノール、トリニトロフェノール等の芳香族ニトロ化合物、トリメチルアミン、トリエチルアミン等のアルキルアミン類、アニリン、N,N-ジメチルアニリン、トルイジン、N,N-ジメチル−p−トルイジン等の芳香族アミン類、ジエチル亜鉛、トリエチルアルミニウム、テトラブチルスズ当の金属アルキル化合物、塩化銅(II)、塩化鉄(II)、塩化鉄(III)等の金属塩化物類、三塩化リン、トリエチルホスフィン等の含リン化合物、エチル(ジ)スルフィド、ブチル(ジ)スルフィド等のアルキル(ジ)スルフィド類、ビス(ジメチルチオカルバモイル)スルフィド、ビス(ジエチルチオカルバモイル)スルフィド類および、ビス(ジアルキルチオカルバモイル)ジスルフィド類、フェニル(ジ)スルフィド、ベンジル(ジ)スルフィド等の芳香族(ジ)スルフィド、ベンジル(ジ)スルフィド等の芳香族(ジ)スルフィド類、エタンチオール、プロパンチオール、ベンゼンチオール、トルエンチオール、tert−ドデカンチオール等のアルキルチオアルコールおよび芳香族チオアルコール類、チオ酢酸、チオ酢酸エチル、チオ安息香酸、チオ安息香酸エチル等のアルキルチオカルボン酸、芳香族チオカルボン酸およびそのエステル類、ジメチルスルホキシド、ジフェニルスルホキシド、ジベンジルスルホキシド等のスルホキシド類、ジメチルスルホン、ジフェニルスルホン等のスルホン類を挙げることができる。
これら連鎖移動剤は、連鎖移動能を持つ物質であれば特に限定されるものではないが疎水性のものが好ましい。疎水性連鎖移動剤を用いると重合を行なう場合に疎水性モノマーと反応しやすくなり、低分子化しやすくなる。使用量としては、単官能性モノマー100重量部に対して1/1000〜1/25の量が好ましい。
単官能性モノマー(b)を重合するに際して、好ましくは、重合開始剤、乳化剤が使用される。
重合開始剤としては、油溶性開始剤および水溶性開始剤を使用することができる。
油溶性重合開始剤としては、ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、ターシャリーブチルペルオキシ2−エチルヘキサネート、3,5,5−トリメチルヘキサノイルペルオキシド、アゾビスイソブチロニトリル等の過酸化化合物、アゾ化合物が挙げられる。
水溶性開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩、過酸化水素、2,2−アゾビス(2−アミノプロパン)鉱酸塩、アゾビスシアノ吉草酸およびそのアルカリ金属塩およびアンモニウム塩等があげられ、また、過硫酸塩、過酸化水素塩と重亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、塩化第一鉄等を組み合わせたレドックス開始剤もあげられ、中でも過硫酸塩が好適に用いられる。これらの重合開始剤のモノマー全体に対する割合は0.01〜8重量%の範囲が好適に用いられる。
水への溶解性の観点から分類すると、油溶性重合開始剤が好ましい。水溶性の重合開始剤を用いると磁性母粒子(A)表面での重合でなく、磁性母粒子(A)を含まない疎水性重合モノマーのみが重合した新粒子が多量に生じる傾向がある。
乳化剤としては、通常使用されている陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤または非イオン性界面活性剤等を単独もしくは組み合わせて用いることができる。例えば陰イオン性界面活性剤としては、高級アルコール硫酸エステルのアルカリ金属塩、アルキルベンゼンスルホン酸のアルカリ金属塩、コハク酸ジアルキルエステルスルホン酸のアルカリ金属塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸のアルカリ金属塩、ポリオキシエチレンアルキル(またはアルキルフェニル)エーテルの硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキル(またはアルキルフェニル)エーテルのリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物などの他、ラテムルS−180A(花王(株)製)、エレミノールJS−2(三洋化成(株)製)、アクアロンHS−10、KH−10(第一工業製薬(株)製)、アデカリアソープSE−10N、SR−10(旭電化工業(株)製)などをの反応性陰イオン界面活性剤を挙げることができる。
また、陽イオン性界面活性剤としては、アルキルアミン(塩)、ポリオキシエチレンアルキルアミン(塩)、第四級アルキルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩などを挙げることができる。
また、非イオン性界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルなどのほか、アクアロンRS−20(第一工業製薬(株)製)、アデカリアソープNE−20、RN−20(旭電化工業(株)製)などの反応性非イオン性界面活性剤を挙げることができる。
ポリマー層の形成におけるモノマーの重合系への添加方法は、とくに制限されず、一括方式、分割方式あるいは連続添加方式のいずれであっても良い。重合温度は重合開始剤によって異なるが、通常10〜90℃であり、好ましくは30〜85℃であり、重合に要する時間は通常1〜30時間程度である。
1.4.ポリマー部(C)の形成
ポリマー部(C)は有機溶剤(S)に溶解しないポリマーである。ポリマー部(C)は有機溶剤(S)に溶解しない限り、いずれのポリマーでもよい。
ポリマー部(C)は、磁性母粒子(A)の表面にポリマー部(B)とともに混在していることが好ましい。磁性母粒子(A)の表面にポリマー部(B)およびポリマー部(C)を同時に、またはポリマー部(B)を形成した後、ポリマー部(C)を形成することにより、磁性母粒子(A)の表面にポリマー部(B)およびポリマー部(C)を混在させることができる。
ポリマー部(C)は、好ましくは、水系媒体中で多官能性モノマー(c)をラジカル重合することにより得ることができる。ここで、使用できる水系媒体としては、磁性粒子の分散媒として例示したものを使用することができ、好ましくは水である。
多官能性モノマー(c)としては、例えば、ポリエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、ポリテトラメチレングリコールジアクリレート、ポリ(エチレングリコール−テトラメチレエングリコール)ジアクリレート、ポリ(プロピレングリコール−テトラメチレングリコール)ジアクリレート、ポリエチレングリコールーポリプロピレングリコールーポリエチレングリコールジアクリレート、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレート、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレート、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレート、1,6−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキシレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリプロピレンジアクリレート、2,2’−ビス(4−アクリロキシプロピルオキシフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−アクリロキシジエトキシフェニル)プロパンなどのジアクリレート化合物、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレートなどのトリアクリレート化合物、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートなどのテトラアクリレート化合物、エチレングリコールジメタクリレート、グリセリンジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピルメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリテトラメチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリ(エチレングリコールーテトラメチレエングリコール)ジメタクリレート、ポリ(プロピレングリコールーテトラメチレングリコール)ジメタクリレート、ポリエチレングリコールーポリプロピレングリコールーポリエチレングリコールジメタクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジメタクリレート、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAジメタクリレート、エチレンオキサイド-プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAジメタクリレート、プロピレンオキサイドエチレンオキサイド(ブロックタイプ)変性ビスフェノールAジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシジエトキシフェニル)プロパンなどのメタクリレート化合物、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレートなどのトリメタクリレート化合物、メチレンビスアクリルアミド、ジビニルベンゼンなどが挙げられる。これらのビニル系ポリマーは単独重合体であっても、あるいは2種以上のモノマーからなる共重合体であってもよい。
本発明の磁性粒子のポリマー部(C)を形成する際には、重合性モノマーとして、カルボン酸基、エポキシ基などを有するモノマーを含むことが好ましい。これらはアビジン類(後述する)等を粒子上に化学結合させるために必要である。カルボン酸基を有するモノマーとしては、例えば、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、β−メタクリロイルオキシエチルハイドロジェンフタレート、β-アクリロイルオキシエチルハイドロジェンフ
タレートなどが挙げられる。エポキシ基を有するモノマーとしては、例えば、グリシジルメタクリレートなどが挙げられる。また、ポリマー部(C)を形成する際に、ポリマー部(C)とともに、その他の単官能性モノマー(b)を併用してもよい。
ポリマー部(C)を形成するに際して、使用できる重合開始剤および乳化剤は、ポリマー部(B)の形成に関する説明の欄で例示したものと同様のものを使用することができる。また、ポリマー部(C)の形成の前に、ポリマー部(B)を水に不溶な有機溶媒で膨潤させておくことが好ましい。このような不溶な有機溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、石油エーテル、石油ベンジン、イソオクタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素系有機溶剤、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジブロモエタン、1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、o−ジクロロベンゼンなどのハロゲン化合物などが挙げられる。
1.5.有機溶剤(S)とポリマー部(B)との接触
有機溶剤(S)にポリマー部(B)を接触させる方法としては、例えば以下の方法が挙げられる。まず、上述の工程により、磁性母粒子(A)の表面をポリマー部(B),(C
)で被覆した後、磁気分離により前記粒子および水を分離した後、上澄みの水を除去する。次に、水と任意に混和する溶媒で置換することにより、残留する水を除去する。次いで、前記溶媒を、有機溶剤(S)にさらに置換し、有機溶剤(S)中に前記粒子を保持する。これにより、前記粒子からポリマー部(B)を溶出させることが好ましい。さらに、必要に応じて、前記粒子を有機溶剤(S)で数回洗浄する。次いで、前記粒子を含む有機溶剤(S)を、水と任意に混ざりあう溶媒に置換する。さらに、前記粒子を水で数回洗浄することにより、本発明の多孔質表面を有する磁性粒子の水分散体を得ることができる。なお、有機溶剤(S)にポリマー部(B)を接触させる際に有機溶剤(S)の温度を上げることにより、より多孔質の表面を得ることができる。
1.6.用途
本発明の磁性粒子は、生化学分野、塗料、紙、電子写真、化粧品、医薬品、農薬、食品、触媒など広い分野で利用できる。
本発明の磁性粒子の主たる用途は、非特異吸着性が低い生化学用担体である。また、カルボキシル基を有する多官能性モノマー(c)を用いて得られた本発明の磁性粒子の表面に、ビオチン類(後述するビオチンまたはビオチン誘導体)結合部位を有する物質を固定化させることにより、ビオチン類結合用粒子として使用できる。
ビオチン類結合部位を有する物質としては、例えば、アビジンや、ストレプトアビジンなどのアビジン誘導体(以下、「アビジン類」ともいう)が挙げられる。このビオチン類結合用粒子は、非特異吸着性を低減させることができ、かつ、ビオチン類結合量を高めることができる。本発明の磁性粒子にアビジンまたはストレプトアビジンを固定化させる方法としては、例えば、特開2001−158800号公報などに記載された公知の方法を用いることができる。例えば、本発明の磁性粒子の表面にカルボキシル基が露出している場合、水溶性カルボジイミドなどの脱水縮合剤の存在下に、アビジン類の分子中のアミノ基を前記カルボキシル基に反応させてアミド結合を形成することにより、本発明の磁性粒子の表面にアビジン類を固定化することができる。この方法においては、あらかじめ、本発明の磁性粒子の表面に露出しているカルボキシル基に脱水縮合剤を反応させ、その後、アビジン類を加えて反応させることもできる。
本発明のビオチン類結合用粒子によれば、その表面にアビジン類が固定化されているため、ビオチンによって標識された標的物質、例えば核酸やタンパク質などと確実に結合することができる。また、本発明のポリマー被覆粒子を製造する際に、カルボキシル基を有する多官能性モノマー(c)をポリマー部(C)として使用することにより、カルボキシル基との化学的結合によって、アビジン類を固定化させることができるため、使用条件が制限されることが少ない。したがって、本発明のビオチン類結合用粒子は、診断薬担体、細菌分離担体、細胞分離担体、核酸分離精製担体、タンパク質分離精製担体、固定化酵素担体、ドラッグデリバリーなどとして有用である。
本発明のビオチン類結合用粒子には、ビオチンまたはビオチン誘導体(本発明においては、両者を総称して「ビオチン類」ともいう。)によって修飾されたタンパク質またはオリゴヌクレオチドが、アビジン類を介して粒子本体の表面に固定化されていてもよい。
より具体的には、本発明のビオチン類結合用粒子の表面に、ビオチン類によって修飾されたオリゴヌクレオチドを固定化させることにより、核酸固定化粒子を得ることができる。ここで、固定化されるオリゴヌクレオチドの長さは10から100塩基、好ましくは15から70塩基である。また、固定化されるオリゴヌクレオチドは1本鎖DNAであってもよく、2本鎖DNAであってもよく、またはRNAであってもよい。このような核酸は、通常市販されている核酸合成機器を用いて調製することができる。このような核酸固定化粒子は、遺伝子診断をはじめ、遺伝子工学全般に使用することができる。具体的には、例えばオリゴdTを結合させた本発明の核酸固定化粒子を用いて、細胞溶解液からmRNAを直接回収することができる。また、固定化される核酸としては、例えば、HIVウイルス核酸に相補性のある塩基配列を有するものを用いることにより、生物検体からHIVウイルスを回収し、DNAプローブ法またはPCR法を用いてHIVウイルス核酸を検出することができる。
また、本発明のビオチン類結合用粒子の表面に、ビオチン類によって修飾された生理活性タンパク質を固定化させることにより、生理活性タンパク質を担持するタンパク質固定化粒子を調製することができる。上記生理活性タンパク質は,一般的な生理活性を有するタンパク質またはその複合体を含み、具体的には、例えば、免疫グロブリン、各種酵素等が挙げられる。すなわち、本発明のビオチン類結合用粒子から得られる抗体結合粒子および酵素結合粒子を、診断分野や研究分野に利用することができる。
本発明のビオチン類結合用粒子の表面に固定化されたアビジン類に、タンパク質またはオリゴヌクレオチドにより修飾されたビオチン類を結合させる方法としては、アビジン類にビオチン類を結合させる公知の方法を適用することができる。例えば、リン酸緩衝液または1M塩化ナトリウム含有リン酸緩衝液中において、本発明のビオチン類結合用粒子とビオチン類によって修飾されたタンパク質またはオリゴヌクレオチドとを室温で10分間〜1時間混合した後、固液分離操作によって未反応のタンパク質またはオリゴヌクレオチドを除去することにより、タンパク質またはオリゴヌクレオチドが固定化された粒子を調製することができる。なお、この方法によって、本発明のビオチン類結合用粒子の表面に固定化されたアビジン類に、ビオチン類を結合させることができる点は言うまでもない。
ここで、ビオチン誘導体としては、例えば、ビオチン−ε−N−リンジン、ビオシチンヒドラジド、2−イミノビオチン、ビオチニル−ε−N−アミノカプロン酸−N−ヒドロキシスクシンイミドエステルのアミノまたはスルヒドリル誘導体、スルホスクシンイミドイミノジオチン、ビオチンブロモアセチルヒドラジド、p−ジアゾベンゾイルビオチン、3−(N−マレインイミドピロピオニル)ビオチンなどを用いることができる。
ビオチン類によってタンパク質またはオリゴヌクレオチドを修飾する方法としては、例えば、(i)ビオチン類とN−ヒドロキシイミド類とのエステル(例えば、ビオチン−N−ヒドロキシスクシンイミド)をタンパク質分子のアミノ基に反応させることにより、ビオチン類によってタンパク質を修飾する方法、(ii)オリゴヌクレオチドの5’末端に、フタルイミドトリエチレングリコールを結合した後、これを水酸化アンモニウムによって加水分解することにより第一級アミノ基を形成し、このアミノ基に例えばビオチン−N−ヒドロキシスクシンイミドを結合することにより、ビオチン類によってオリゴヌクレオチドの5’末端を修飾する方法などを挙げることができるが、これらに限定されるものではなく、公知の種々の方法を利用することができ、適宜の方法により、ビオチン類によってオリゴヌクレオチドの3’末端を修飾することもできる。
本発明の磁性粒子を診断薬用担体粒子として使用する場合、例えば、本発明の磁性粒子にタンパク質等の抗原あるいは抗体を結合して、測定対象である抗体あるいは抗原との抗原抗体反応に基づく受身凝集反応による溶液の濁度変化を利用した定量・定性検出用途,本発明の磁性粒子に抗体を結合して、抗原であるウイルス・細菌・細胞・ホルモン・ダイオキシン類等の化学物質などを前記抗体に結合させて回収・濃縮する用途,本発明の覆磁性粒子にDNAなどの核酸アナログを結合して、ハイブリダイゼーションを利用して該核酸アナログに核酸を結合させて回収・検出したり、核酸に結合するタンパク質や色素等の化学物質を前記核酸アナログに結合させて回収・検出したりする用途,上述した本発明の磁性粒子にアビジン類またはビオチン類を結合し、前記アビジン類またはビオチン類にビオチン類あるいはアビジン類を有する分子を結合させて回収して検出する用途,本発明の磁性粒子に抗体や抗原を結合し、比色法や化学発光を利用した酵素免疫測定法用の担体として本発明の磁性粒子を使用する用途などが挙げられる。従来、96穴プレート等を担体として用いていた診断項目であれば、本発明の磁性粒子を用いることによって、磁性を利用した自動分析機に置き換えて使用できる。診断の対象となる物質としては、生体由来のタンパク質、黄体形成ホルモン、甲状腺刺激ホルモン等のホルモン、各種ガン細胞や、前立腺特異マーカー、膀胱ガンマーカー等のガンのマーカーとなるタンパク質、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、単純ヘルペスウイルスなどのウイルス、淋菌、MRSA等の細菌、カンジダ、クリプトコックス等の真菌、トキソプラズマ等の原虫・寄生虫、あるいはそれらウイルス・細菌・真菌・原虫・寄生虫などの構成要素であるタンパク質や核酸、ダイオキシン類等の環境汚染物質、抗生物質や抗てんかん剤など医薬品等の化学物質などがあげられる。
なお、本発明の磁性粒子の用途は生化学用担体用途に限定されるわけではなく、例えば、上述した各分野で使用可能である。
2.実施例
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって制限されるものではない。
2.1.評価方法
本実施例および比較例において、得られた磁性粒子の評価は以下の方法によって測定された。また、粒子の粒径は、特に説明がない限り以下の方法により測定された。
2.1.1.ビオチン類結合量の評価
本実施例においては、生化学物質結合量として、ビオチン類結合量の評価を行なった。
実施例および比較例で得られたビオチン類結合用粒子2mgを水1.0mlに分散させた後、4000pmolの蛍光ビオチン(Lucifer yellow cadaverine biotin-X, dipotassium salt)を加えて37℃で15分間転倒混和を行った。次に、磁気分離により前記粒子を分離し、上清の蛍光強度を蛍光分光光度計(PF−777,JASCO社)で測定することにより、反応前の蛍光ビオチンの濃度を決定しておき、この濃度および溶液の体積から、未反応の蛍光ビオチンの量を算出した。さらに、未反応の蛍光ビオチンの量と、ビオチン類結合用粒子と結合させる前(結合前)の蛍光ビオチン溶液の量(4000pmol)との差を求め、この差を粒子の質量で除することにより、ビオチン類結合量(pmol/mg)を求めた。
すなわち、各実施例または比較例で得られた磁性粒子のビオチン類結合量は、以下の式(1)より算出された。
ビオチン類結合量(pmol/mg)=
{(結合前の蛍光標識化ビオチンの量(pmol))−(未反応蛍光標識化ビオチンの量(pmol))}/(磁性粒子の質量(mg)) ・・・・・(1)
本実施例に用いたビオチン類結合用粒子は、カルボキシル基を表面に有する磁性粒子を、縮合剤である1−エチル−3−ジメチルアミノプロピルカルボジイミド塩酸塩と反応させ、活性化してからストレプトアビジンをさらに投入して、ストレプトアビジンを該磁性粒子に化学結合させることにより作成された。
2.1.2.粒径
直径1μm以上の粒子については、レーザ回折式粒度分布測定装置((株)島津製作所製)SALD−200Vにより、直径1μm未満の粒子についてはレーザ散乱回折法粒度分布測定装置LS 13 320((株)ベックマン・コールター)により粒径を測定した。
2.2.調製例1(磁性母粒子(A)の調製)
特開平7−238105号公報記載の重合方法を参考に、スチレン/ジビニルベンゼン=95/5共重合体粒子(平均粒子径1.5μm)を作製し、重合後遠心分離により粒子のみ取り出したものをさらに水洗し、乾燥、粉砕した。これをコア粒子(1)とする。
油性磁性流体(商品名:「EXPシリーズ」,(株)フェローテック製)にアセトンを加えて粒子を析出沈殿させた後、これを乾燥することにより、疎水化処理された表面を有するフェライト系の磁性体微粒子(平均一次粒子径:0.02μm)を得た。
次いで、コア粒子(1)15gおよび上記疎水化された磁性体微粒子15gをミキサーでよく混合し、この混合物をハイブリダイゼーションシステムNHS−0型(奈良機械製作所(株)製)を使用して、羽根(撹拌翼)の周速度100m/秒(16200rpm)で5分間処理し、平均数粒径が2.0μmの磁性母粒子(A)を得た。
2.3.実施例1
2.3.1.多孔質表面を有する磁性粒子の作製
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5重量%およびノニオン性乳化剤(商品名:「エマルゲン150」,花王(株)製)0.5重量%を含む水溶液750gを、1Lセパラブルフラスコに投入し、次いで、磁性母粒子(A)30gを投入し、ホモジナイザーで分散した後、60℃に加熱した。ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5重量%およびノニオン性乳化剤(商品名:「エマルゲン150」,花王(株)製)0.5重量%を含む水溶液50gに、メタクリル酸シクロヘキシル15g、tert−ドデカンチオール0.075g、およびターシャリーブチルペルオキシ2−エチルヘキサネート(日本油脂社製;パーブチルO)0.75gを入れて分散させたプレエマルジョンを、60℃にコントロールした前記1Lセパラブルフラスコに2時間かけて滴下した(ポリマー部(B)の形成)。
次に、反応溶液を室温まで冷却した後、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5重量%およびノニオン性乳化剤(商品名:「エマルゲン150」,花王(株)製)0.5重量%を含む水溶液50gに、イソオクタン3gおよびターシャリーブチルペルオキシ2−エチルヘキサネート(商品名:「パーブチルO」,日本油脂(株)製)0.375gを入れて分散させたプレエマルジョンを、前記1Lセパラブルフラスコへ投入して、室温で15時間撹拌した。ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5重量%およびノニオン性乳化剤(商品名:「エマルゲン150」,花王(株)製)0.5重量%を含む水溶液50gに、メタクリル酸3.75gおよびエチレングリコールジメタクリレート7.50gを入れて分散させたプレエマルジョンを、室温で15時間撹拌した前記1Lセパラブルフラスコに投入し、さらに室温で2時間撹拌した。次に、前記1Lセパラブルフラスコを80℃に昇温し、さらに2時間重合を続けて反応を完了させた(ポリマー部(C)の形成)。得られた磁性粒子の水分散体を磁気精製および重力沈降精製してから、固形分濃度1%の磁性粒子の水分散体を得た。
この磁気粒子の水分散体から水を取り除くために、アセトン1Lを用いて該水分散体を2回洗浄した。次いで、該粒子をアセトン1Lに分散させて2時間撹拌することにより、アセトン(有機溶剤(S))にポリマー部(B)を接触させる(有機溶剤(S)とポリマー部(B)との接触)。これにより、アセトンにて前記粒子からポリマー部(B)を溶出させた。次いで、アセトン1Lで2回洗浄し、さらにアセトンを取り除くため水で洗浄することにより、実施例1の磁気粒子を得た。図1に、実施例1の磁気粒子のSEM写真を示す。図1に示すように、実施例1の磁気粒子は多孔質表面を有することが確認された。また、実施例1の磁性粒子の平均数粒径は2.3μmであった。
2.3.2.ビオチン類結合用粒子の作製
次に、固形分濃度1%の磁性粒子の水分散体1mLに1−エチル−3−ジメチルアミノプロピルカルボジイミド塩酸塩(同仁化学社製)5mgを溶解した0.1mM HCl溶液0.1mLを添加し、室温で2時間回転攪拌し、さらに、ストレプトアビジン(シグマ社製)1mgを溶解した0.1mM HCl溶液0.1mLを添加し、室温で8時間回転攪拌することより、粒子の表面にストレプトアビジンを固定化させたビオチン結合用粒子を調製した。次いで、このビオチン結合用粒子を含む分散液を磁気分離処理した後、固形物(ビオチン結合用粒子)に、0.1%牛血清アルブミンを含むリン酸塩緩衝液(PBS,0.1%BSA/PBS,pH=7.2)を添加して磁気分離処理する操作を3回繰り返すことにより、未反応のストレプトアビジンを除去した。そして、ビオチン結合用粒子を、その固形分濃度が1%となるように、0.1%牛血清アルブミンを含むリン酸塩緩衝液(PBS,0.1%BSA/PBS,pH=7.2)に分散させることにより、固形分濃度1%のビオチン結合用粒子の分散液を調製し、ビオチン類結合量を評価した。結果を表1に示す。また、実施例1のビオチン類結合用粒子の平均数粒径は2.3μmであった。
2.4.実施例2
2.4.1.多孔質表面を有する磁性粒子の作製
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5重量%およびノニオン性乳化剤(商品名:「エマルゲン150」,花王(株)製)0.5重量%を含む水溶液750gを1Lセパラブルフラスコに投入し、次に磁性粒子(A)30gを投入してホモジナイザーで分散した後、60℃に加熱した。次に、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5重量%およびノニオン性乳化剤(商品名:「エマルゲン150」,花王(株)製)0.5重量%を含む水溶液75gに、メタクリル酸シクロヘキシル7.5g、エチレングリコールジメタクリレート0.75g、およびターシャリーブチルペルオキシ2−エチルヘキサネート(商品名「パーブチルO」,日本油脂(株)製)0.38gを入れて分散させたプレエマルジョンを、60℃にコントロールした前記1Lセパラブルフラスコに2時間かけて滴下し、80℃に昇温した後、2時間反応させた(磁性母粒子(A)へのポリマー形成)。
次に、反応溶液を60℃まで冷却した後、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5重量%およびノニオン性乳化剤(商品名:「エマルゲン150」,花王(株)製)0.5重量%とを含む水溶液75gに、メタクリル酸シクロヘキシル15g、tert−ドデカンチオール0.075g、およびターシャリーブチルペルオキシ2−エチルヘキサネート(商品名「パーブチルO」,日本油脂(株)製)0.75gを入れて分散させたプレエマルジョンを、前記、60℃にコントロールした1Lセパラブルフラスコへ2時間かけて滴下し80℃に昇温した後、2時間反応させた(ポリマー部(B)の形成)。
次いで、反応溶液を室温まで冷却し、ターシャリーブチルペルオキシ2−エチルヘキサネート(商品名「パーブチルO」,日本油脂(株)製)0.375gを入れて分散させたプレエマルジョンを、前記1Lセパラブルフラスコへ投入して、室温で15時間撹拌した。
続いて、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5重量%およびノニオン性乳化剤(商品名:「エマルゲン150」,花王(株)製)0.5重量%を含む水溶液50gに、メタクリル酸3.75gおよびエチレングリコールジメタクリレート7.50gを入れて分散させたプレエマルジョンを、前記1Lセパラブルフラスコに投入し、さらに室温で2時間撹拌した。次に、前記1Lセパラブルフラスコを80℃に昇温した後、さらに2時間重合を続けて反応を完了させた(ポリマー部(C)の形成)。得られた磁性粒子の水分散体を磁気精製および重力沈降精製してから、固形分濃度1%の磁性粒子の水分散体を得た。実施例2の磁性粒子の平均数粒径は2.1μmであった。
次いで、実施例1と同様の方法にて、有機溶剤(S)(アセトン)にポリマー部(B)を接触させて、実施例2の磁性粒子の水分散体を得た。水分散体に含まれる磁性粒子をSEM観察したところ、多孔質表面を有することが確認された。
2.4.2.ビオチン類結合用粒子の作製
得られた実施例2の磁性粒子について、実施例1と同様の方法にてビオチン類結合量を評価した。結果を表1に示す。また、実施例2のビオチン類結合用粒子の平均数粒径は2.1μmであった。
2.5.比較例1
実施例1において、ポリマー部(B)(メタクリル酸シクロヘキシル)の重合を行なわず、ポリマー部(C)の重合のみを行なうことにより、比較例1の磁性粒子を得た。比較例1の磁性粒子をSEM観察したところ、表面が多孔質でないことが確認された。また、比較例1の磁性粒子について、実施例1と同様にビオチン類結合量を評価した。結果を表1に示す。
2.6.比較例2
実施例1において、ポリマー部(B)を有機溶剤(S)(アセトン)に接触させる前の磁性粒子(比較例2の磁性粒子)を得た。比較例2の磁性粒子をSEM観察したところ、表面が多孔質でないことが確認された。また、比較例2の磁性粒子について、実施例1と同様にビオチン類結合量を評価した。結果を表1に示す。
表1は、実施例および比較例の磁性粒子のビオチン類結合量を示す。
図1のSEM写真によれば、実施例1の磁性粒子は多孔質表面を有していることが確認された。
また、表1に示されるように、実施例1,2の磁性粒子は、磁性母粒子(A)の表面に、有機溶剤(S)に溶解するポリマー部(B)および有機溶剤(S)に溶解しないポリマー部(C)を形成し、有機溶剤(S)に前記ポリマー部(B)を接触させることにより得られることにより、多孔質表面を有するため、比較例1,2の磁性粒子と比較してビオチン類結合量が多かった。よって、実施例1,2の磁性粒子によれば、磁気分離性に優れ、かつ生化学物質結合量が多いことが確認された。
実施例1の多孔質表面を有する磁性粒子のSEM写真である。

Claims (10)

  1. 磁性母粒子(A)の表面に、有機溶剤(S)に溶解するポリマー部(B)を形成し、次に、前記有機溶剤(S)に溶解しないポリマー部(C)を形成した後、
    前記有機溶剤(S)に前記ポリマー部(B)を接触させることにより得られる、多孔質表面を有する磁性粒子。
  2. 請求項1において、
    前記磁性母粒子(A)の存在下、水系媒体中で単官能性モノマー(b)をラジカル重合することにより、前記ポリマー部(B)を形成する、多孔質表面を有する磁性粒子。
  3. 請求項1または2において、
    前記磁性母粒子(A)の存在下、水系媒体中で多官能性モノマー(c)をラジカル重合することにより、前記ポリマー部(C)を形成する、多孔質表面を有する磁性粒子。
  4. 請求項1ないし3のいずれかにおいて、
    前記磁性母粒子(A)は、
    非磁性核粒子(A1)と、
    前記非磁性核粒子(A1)の表面上に配置された磁性体微粒子(A2)と、
    を含む、多孔質表面を有する磁性粒子。
  5. 請求項4において、
    前記磁性母粒子(A)は、前記非磁性核粒子(A1)および前記磁性体微粒子(A2)を被覆する母粒子コート層(A3)をさらに含む、多孔質表面を有する磁性粒子。
  6. 請求項1ないし5のいずれかに記載の磁性粒子を用いた、生化学用担体。
  7. 請求項1ないし5のいずれかに記載の磁性粒子の表面に、ビオチン類結合部位を有する物質が固定化されている、ビオチン類結合用粒子。
  8. 磁性母粒子(A)の表面に、有機溶剤(S)に溶解するポリマー部(B)を形成し、次に、前記有機溶剤(S)に溶解しないポリマー部(C)を形成する工程と、
    前記有機溶剤(S)に前記ポリマー部(B)を接触させる工程と、
    を含む、多孔質表面を有する磁性粒子の製造方法。
  9. 請求項8において、
    前記ポリマー部(B)を形成する工程は、前記磁性母粒子(A)の存在下、水系媒体中で単官能性モノマー(b)をラジカル重合する工程を含む、多孔質表面を有する磁性粒子の製造方法。
  10. 請求項8または9において、
    前記ポリマー部(C)を形成する工程は、前記磁性母粒子(A)の存在下、水系媒体中で多官能性モノマー(c)をラジカル重合する工程を含む、多孔質表面を有する磁性粒子の製造方法。
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