JP4811277B2 - 石炭・鉱石運搬船ホールド用耐食性鋼材 - Google Patents

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Description

本発明は、石炭・鉱石運搬船のホールドに用いる耐食性に優れた鋼材に関する。
近年、石炭・鉱石運搬船のホールド内の腐食が問題視されてきている。石炭や鉄鉱石が積載されるホールド内は高湿度環境に加え、石炭由来の硫黄分、さらには塩分の影響もあって、厳しい腐食環境となっている。通常、ホールド内は表面に塗装して塗膜を形成するが、石炭や鉱石を運搬する場合には、とりわけ、鉄鉱石を運搬する場合には、塗膜が部分的に傷つけられ易く、生じた傷部が腐食環境にさらされることになる。その場合、傷部を中心としてコブ状に塗膜が膨れ上がり、その塗膜の下にさびが詰まるような腐食形態となる。特に、傷部の直下は減肉が大きく、その進行速度は年間0.2mmを超える場合がある。また、ホールドの下部においては、運搬されてきた石炭・鉄鉱石を荷揚げする際に塗膜が機械的に剥がれ易いため、建造時に形成されていた塗膜が使用途中に剥離して塗膜が無い状態で腐食環境に置かれることとなる。
現状の腐食対策としては塗装のみであり、上記の膨れが生じた場合には定期的に腐食生成物を除去し再塗装する方法が取られている。また、特に腐食が著しい場合は、鋼材を部分的に取り替えるなどの措置が施されている。
しかしながら、このような対策では、再塗装や部材取替えによるコスト増が非常に大きいため、メンテナンス費の低減が大きな課題となっている。
なお、船用鋼材としては、特許文献1にCu及びMgを必須成分とする耐食性鋼材が示されている。
特開2000−17381号公報
上記特許文献1に示された鋼材は、船舶外板、バラストタンク、カーゴオイルタンク、鉱炭船カーゴホールド等の船用鋼材一般に使用することができることが記載されている。しかし、この特許文献1に記載の鋼材は、原油タンクやバラストタンクの使用環境における腐食試験の結果、その耐食性が良好であることは示されているものの、鉱石運搬船ホールドの腐食試験は実施されていない。
石炭・鉱石運搬船ホールドの腐食環境は、原油タンクやバラストタンクの腐食環境とは全く異なるものである。すなわち、石炭や鉱石という固形物を収容して運搬するために塗膜が機械的に傷つけられ易いため、ホールド内の塗膜の一部が傷付いたり塗膜が全面で剥離したりして、鋼材が直接腐食環境に曝されることになる。
また、本発明者らが、石炭・鉱石運搬船のホールド内の腐食を詳細に調査した結果、ホールド内の腐食環境は、SO 2−とClを含む湿潤環境あるいは乾湿繰り返し環境であり、結露水はSO 2−によりpH値が約2〜3に低下することが判明した。そして、塗膜の傷部直下は濃厚塩化物環境であり、pH値が大幅に低下していることが明らかになった。このように、石炭・鉱石運搬船ホールド内において、塗膜が機械的に傷つけられ易いだけでなく、SO 2−とClの両方の影響を受け易い。
これに対して、原油タンク(カーゴタンク)は主として硫化水素による腐食であり、そして、バラストタンクは主として海水による腐食である。また、いずれも、流体を収容して運搬するものであるため、タンク内の塗膜が機械的に傷つけられることはない。
このように、同じ船用鋼材といっても、石炭・鉱石運搬船ホールドの腐食環境は、原油タンクやバラストタンクの腐食環境とは全く異なるものであり、上記特許文献1に示された鋼材が原油タンクやバラストタンクで良好な耐食性を示したとしても、その鋼材をそのまま石炭・鉱石運搬船ホールドに用いることはできない。この鋼材が石炭・鉱石運搬船ホールドに用いても良好な耐食性が得られるとするには問題がある。
また、Cuを含有する鋼材は、その製造過程において、圧延時に割れが発生するという問題がある。その対策としてはNiの添加が必須となるが、高価なNiを添加することにより、大幅なコストアップが避けられない。
本発明の目的は、塗膜が機械的に傷つけられ易く、かつSO 2−とClの両方の影響を受け易い腐食環境であっても、塗膜の寿命延長と塗膜が剥がれた後の腐食抑制を図ることができ、さらに、通常の製造方法において圧延割れの発生を防止しうる、石炭・鉱石運搬船ホールド用の耐食性鋼材を提供することにある。
本発明者らは、このような状況の下に、実船のホールド内の腐食を再現可能な試験法を開発し、それを用いて石炭・鉱石運搬船ホールド用の耐食性鋼材に関して、種々の合金元素の影響について検討と実験を繰り返した結果、次の(a)〜(i)に示す知見を得た。
(a) 塗装部の耐食性を向上させるためには、濃厚塩化物環境におけるpH低下時の耐食性を向上させればよく、そのためには、Clを含む酸環境での耐食性の向上が必要となる。
(b) 塗膜の剥がれた後の裸鋼の耐食性を向上させるためには、上記濃厚塩化物に加えSO 2−を含有する低pH環境での耐食性(耐硫酸性)の向上とともに、湿潤あるいは乾湿繰り返し環境での耐食性の向上が必要となる。
(c) 合金元素としてSnを含有させると、塗装部の耐食性が著しく向上するだけでなく、塗膜が剥がれて裸鋼となった後の耐食性も著しく向上する。これは、鉱石運搬船ホールド内のpHが低下した環境において、Snが溶解して鋼材上に析出するが、Snは水素過電圧の大きい元素であるから、Snが析出した部分では低pH環境におけるカソード反応である水素発生反応を著しく抑制することになり、その結果、耐食性が向上する。また、Snはイオンとして存在する場合においても、鋼材の溶解反応であるアノード反応を抑制する効果がある。これは、Snイオンの作用により鉄の溶解経路となる鉄表面へのOHやClの吸着を抑制し、鉄の溶解そのものを抑えるためである。
(d) なお、合金元素として、Snに加えて、NiまたはCoを含有させてもよい。NiやCoは、酸性環境において耐食性を向上させる元素であり、母材の耐食性とさびの防食性の両方の効果により腐食を抑制する作用を有する。しかし、NiやCoを多く含有させた場合、Snの析出が抑制されるため、Snによる耐食性改善効果が低下する。
(e) 合金元素として、Snに加えて、Mo、W及びSbのうちの1種又は2種以上を含有させてもよい。いずれも、鋼中での耐酸性を向上させることにより腐食を抑制する作用を有する。
(f) 合金元素として、Snに加えて、Ti及びZrのうちの1種又は2種を含有させてもよい。いずれも、硫化物形成能が高く、腐食の起点となる鋼中MnSの生成を抑制することにより腐食の開始を遅らせる効果がある。
(g) 合金元素として、Snに加えて、Caを含有させてもよい。いずれも、腐食界面のpHを上昇させることにより環境を緩和し、結果として腐食を抑制する働きがある。
(h) 合金元素として、Snに加えて、Nb、V及びBのうちの1種又は2種以上を含有させてもよい。いずれも、鋼の強度を高める作用を有する。
(i) 鋼材の塗装は通常の方法で行えばよく、塗料はエポキシ系樹脂のほか、ビニルブチラール系、ウレタン系、フタル酸系等を挙げることができる。また、塗装前に一次防錆の目的でプライマーを鋼材に施してもよい。
本発明は、これらの知見に基づいて完成したものであり、その要旨は、次の(1)〜(7)のいずれかに示すとおりである。以下、それぞれ、本発明(1)〜本発明(7)という。本発明(1)〜本発明(7)を総称して、本発明ということがある。
(1) 質量%で、C:0.01〜0.2%、Si:0.01〜1%、Mn:0.05〜2%、P:0.05%以下、S:0.03%以下、Cu:0.05%以下、Sn:0.01〜0.3%、Cr:0.01%未満及びAl:0.1%以下を含有し、残部Fe及び不純物からなることを特徴とする石炭・鉱石運搬船ホールド用耐食性鋼材。
(2) 質量%で、さらに、Co:1%以下を含有することを特徴とする、上記(1)の石炭・鉱石運搬船ホールド用耐食性鋼材。
(3) 質量%で、さらに、Mo:1%以下、W:1%以下及びSb:0.2%以下のうちの1種又は2種以上を含有することを特徴とする、上記(1)又は(2)の石炭・鉱石運搬船ホールド用耐食性鋼材。
(4) 質量%で、さらに、Ti:0.1%以下及びZr:0.2%以下のうちの1種又は2種を含有することを特徴とする、上記(1)〜(3)のいずれかの石炭・鉱石運搬船ホールド用耐食性鋼材。
(5) 質量%で、さらに、Ca:0.01%以下を含有することを特徴とする、上記(1)〜(4)のいずれかの石炭・鉱石運搬船ホールド用耐食性鋼材。
(6) 質量%で、さらに、Nb:0.1%以下、V:0.1%以下及びB:0.01%以下のうちの1種又は2種以上を含有することを特徴とする、上記(1)〜(5)のいずれかの石炭・鉱石運搬船ホールド用耐食性鋼材。
(7) 表面が塗膜によって被覆されていることを特徴とする、上記(1)〜(6)のいずれかの石炭・鉱石運搬船ホールド用耐食性鋼材。
本発明によれば、塗膜が機械的に傷つけられ易く、かつSO 2−とClの両方の影響を受け易い腐食環境である石炭・鉱石運搬船ホールド内で用いる場合において、塗膜の寿命延長と塗膜が剥がれた後の腐食抑制を図ることができるので、ホールド内の部材切り替えや再塗装によるメンテナンスコストを大幅に低減することができる。
以下に、本発明の構成要件について詳しく説明する。なお、各元素の含有量の「%」表示は「質量%」を意味する。
C:
Cは、材料としての強度を確保するために必要な元素であり、0.01%以上含有させる。しかし、0.2%を超えて含有させると溶接性が低下するとともに、低pH腐食環境でカソードとなって腐食を促進するセメンタイトの生成量が増大する。このためCの含有量は0.01〜0.2%とする。好ましくは、0.03〜0.18%である。
Si:
Siは、脱酸に必要な元素であり、十分な脱酸効果を得るためには0.01%以上含有させる。しかし、1%を超えて含有させると母材および溶接継手部の靱性が損なわれる。このため含有量は0.01〜1%とする。好ましくは、0.05〜0.5%である。
Mn:
Mnは、低コストで鋼の強度を高める作用を有する元素であり、この効果を得るためには0.05%以上の含有量とする。しかし、2%を超えて含有させると溶接性が劣化するとともに継手靭性も劣化する。このため含有量は0.05〜2%とする。好ましくは、0.1〜1.5%である。
P:
Pは、鋼中に含まれる不純物元素で、溶接性を低下させる。特に、その含有量が0.05%を超えると、溶接性の低下が著しくなる。このため、含有量は0.05%以下とする。なお、Pの含有量は少ない方がよい。
S:
Sは、鋼中に含まれる不純物元素で、その含有量が0.03%を超えると腐食の起点となるMnSが鋼中に多く生成し耐食性を低下させる。このため含有量は0.03%以下とする。なお、Sの含有量は少ない方がよい。
Cu:
Cuは、鋼を製造する際、圧延時に割れが発生する原因となる。また、本願発明で扱うSnを含有する鋼の場合は、割れ感受性はさらに高くなる。したがって、Cuの含有量は不純物で含有しているとしても0.05%以下とする。好ましくはCuの含有量は0.01%未満とする。
Sn:
Snは耐酸性に優れた元素であり、合金元素としてSnを含有させると、塗装部の耐食性が著しく向上するだけでなく、塗膜が剥がれて裸鋼となった後の耐食性も著しく向上する。これは、鉱石運搬船ホールド内のpHが低下した環境において、Snが溶解して鋼材上に析出するが、Snは水素過電圧の大きい元素であるから、Snが析出した部分では低pH環境におけるカソード反応である水素発生反応を著しく抑制することになり、その結果、耐食性が向上する。また、Snはイオンとして存在する場合においても、鋼材の溶解反応であるアノード反応を抑制する効果がある。これは、Snイオンの作用により鉄の溶解経路となる鉄表面へのOHやClの吸着を抑制し、鉄の溶解そのものを抑えるためである。これらの効果を得るには、0.01%以上の含有量が必要であるが、0.3%を超えて含有させても前記の効果は飽和するばかりでなく、靭性の著しい劣化をまねく。したがって、含有量は0.01〜0.3%とする。好ましくは、0.02〜0.25%である。
Cr:
Crは、低pH環境における耐食性を低下させる元素であり、特に、その含有量が0.05%を超えると耐食性の低下が著しくなる。したがって、Cr含有量は不純物で含有しているとしても0.05%以下とする。好ましくはCrの含有量は0.01%未満とする。
Al:
Alは、鋼の脱酸に使用され不可避的に鋼中に混入し、Crと同様、低pH環境における耐食性を著しく低下させる。また、含有量が多いと窒化物が粗大化するために靱性の低下をきたし、さらには溶接性も著しく劣化する。したがって、Al含有量は不純物で含有しているとしても0.1%以下とする。好ましくは、0.07%以下である。
本発明においては、次のとおり、耐食性を更に高めるために、Ni、Co、Mo、W、Sb、Ti、Zr及びCaのうち、少なくとも1種を含有させてもよい。
Ni:
Niは、酸性環境において耐食性を向上させる元素であり、合金元素としてNiを含有させると、母材の耐食性とさびの防食性の両方の効果により腐食を抑制する作用を有する。しかし、Niを1%を超えて含有させてもコスト上昇に見合う耐食性が得られないばかりか、Snの析出を抑制するためSnによる耐食性改善効果を低下させることから、Niの含有量を1%以下とする。好ましくは、0.01〜1%である。
Co:
Coは、Niと同様に、湿潤・乾湿繰り返し環境での耐食性、低pH環境における耐食性、Cl含有時の耐酸性酸性環境における耐食性を向上させる元素であり、母材の耐食性とさびの防食性両方の効果により腐食を抑制する作用を有する。しかし、Coを1%を超えて含有させてもコスト上昇に見合う耐食性が得られないばかりか、Snの析出を抑制してSnによる耐食性改善効果を低下させることから、Coの含有量を1%以下とする。好ましくは、0.01〜1%である。
Mo:
Moは耐酸性に優れた元素であり、裸鋼の耐食性および塗装部の耐食性を向上させる効果を有する。しかし、1%を超えて含有させても効果が飽和するばかりか溶接性を損なうし、コストも嵩むため、含有量は1%以下とする。好ましくは、0.01〜1%である。
W:
WもMoと同様に、耐酸性を高める元素であり、裸鋼および塗装部の耐食性を向上させる効果がある。しかし、1%を超えて含有させても前記の効果は飽和しコストが嵩むし、溶接性の悪化につながるので、その含有量は1%以下とする。好ましくは、0.01〜1%である。
Sb:
Sbは耐酸性を向上させる元素であり、裸鋼および塗装部の耐食性を向上させる効果がある。しかし、0.2%を超えて含有させると効果が飽和するだけでなく、靭性の著しい劣化をまねく。したがって、含有量は0.2%以下とする。好ましくは、0.01〜0.2%である。
Ti:
Tiは、鋼の強度を高める作用を有する。Tiには、鋼の靱性を向上させる作用や、TiSを形成することによって腐食の起点となるMnSの生成を抑制し、耐食性を高める作用もある。しかし、0.1%を超えて含有させても効果は飽和しコストが嵩むばかりである。したがって、含有量は0.1%以下とする。好ましくは、0.005〜0.1%である。
Zr:
ZrはTiと同様に、硫化物を優先的に形成し、腐食の起点となるMnSの生成を抑制する効果を有する。またZrはTiに比べ窒化物を形成しにくい元素であり、より効率よく硫化物が形成されるという特徴も有する。しかし、0.2%を超えて含有させると靱性の低下を招くので、含有量は0.2%以下とする。好ましくは、0.005〜0.2%である。
Ca:
Caは、腐食反応時に水に溶けてアルカリとなり鋼材界面のpH低下を抑制する作用がある。このため、裸鋼および塗装部の耐食性が向上する。しかし、0.01%を超えると効果が飽和するため、Caの含有量は0.01%以下とする。好ましくは、0.0003〜0.01%である。
また、本発明においては鋼の強度をさらに高めるために、Nb、V及びBのうちの少なくとも1種を配合してもよい。
Nb:
Nbは、鋼の強度を高める作用を有する元素である。しかし、0.1%を超えると靱性が劣化するため、含有量は0.1%以下とする。好ましくは、0.005〜0.1%である。
V:
Vは、鋼の強度を高める作用を有する元素である。しかし、0.1%を超えると靱性及び溶接性が劣化するため、含有量は0.1%以下とする。好ましくは、0.005〜0.1%である。
B:
Bは、鋼の強度を高める作用を有する元素である。しかし、0.01%を超えると靱性が劣化するため、含有量は0.01%以下とする。好ましくは、0.0003〜0.01%である。
この他、鋼材中には不可避的に混入する不純物が含まれる。不純物は鋼中の介在物を形成し、靭性を劣化させる原因にもなるため、少ないほど好ましい。例えば、Mgであれば0.0002%未満とすることが好ましい。
そして、本発明の鋼材の形状は、代表例は板材であるが、これに限定されるものではなく、棒又は管形状であってもよい。
また、本発明の鋼材は、裸使用時のみならず塗装時の耐食性も良好であることを特徴とする。塗装は通常の方法で行えばよく、塗装仕様としては、特に造船分野における塗料として一般に用いられるエポキシ系樹脂による塗装のほか、ビニルブチラール系、ウレタン系、フタル酸系等の塗装を挙げることができる。また、ここで言う塗装には、塗装前に一次防錆の目的で鋼材に施されるプライマーも含まれる。
本発明の鋼材により塗装部耐食性が向上するのは、下地の腐食が著しく抑制される結果として塗膜欠陥部における下地鋼材腐食に起因する塗膜のふくれや剥離が抑制されるためであると考えられる。
表1に示す化学組成を有する25種類の鋼を真空溶解炉を用いて溶製し50Kgの鋼塊とした後、通常の方法で熱間鍛造して厚さが150mmのブロックを作製した。
Figure 0004811277
次いで、上記ブロックを1120℃で5時間加熱後、熱間圧延して750℃で厚さ20mmに仕上げ、その後大気中で放冷した。ここで、圧延後の鋼板表面における割れの有無を観察した。割れが見られたものは×、割れが見られなかったものは○として評価し、表2に記載した。
このようにして製造された厚さが20mmの各鋼板から、幅が60mm、長さが100mm、厚さが3mmの試験片を採取し、全面にショットブラスト加工を施した後、一部の試験片については変性エポキシ系塗料を乾燥膜厚で200μm被覆した。被覆面のうちの片面に、図1に示すように、カッターナイフにより幅1mm、長さ10mmにわたる傷(×印)を数箇所入れた鋼材面を露出させ、鉱石運搬船における塗膜欠陥を模擬した腐食試験片とした。
これら裸材および塗装材の試験片について、図2に示すとおりのサイクル試験を実施し、鉱石運搬船ホールド内の腐食を模擬した。ここで、100%RHとは相対湿度を意味する。
上記試験を40サイクル(40日間)実施し、試験後の各試験片から塗膜および腐食生成物を除去した後、裸鋼については試験後の重量減量より腐食量(板厚減少)を計算した。塗装材については、腐食が認められる面積の試験面積に対する割合を腐食面積率として求めた。また、腐食部における最大腐食深さも同時に測定した。表2に上記の試験結果を示す。
また、溶接継手の靭性についても調べた。板厚20mmの圧延鋼材を2枚準備し、入熱120kJ/cmの3電極FCB法により、板継ぎ溶接を実施し、溶接継手を作製した。作製後の溶接継手において、板厚の中央部よりJIS規定の4号シャルピー衝撃試験片を各鋼種について3本ずつ採取し温度0℃でシャルピー衝撃試験を実施した。なお、ノッチ位置はボンドから1mmの熱影響部とした。シャルピー衝撃試験での吸収エネルギー(J)の3本の平均値を前述の腐食試験の結果とともに表2に示す。
Figure 0004811277
表2からもわかるように、本発明例1〜22においては、通常の製造条件において圧延割れが発生せず、また裸材および塗装材いずれについても耐食性は良好であり、継手の靭性特性についても良好な結果が得られた。
一方で、耐食性改善に有効な合金元素を含有しない比較例23では腐食が大きくなった。また、比較例24は耐食性が良好であるものの、Snの含有量が多いため、造船用鋼板としての継手靭性が確保できない。さらに、比較例25については圧延時に多数の割れが観察された。
本発明によれば、塗膜が機械的に傷つけられ易く、かつSO 2−とClの両方の影響を受け易い腐食環境である石炭・鉱石運搬船ホールド内で用いる場合において、塗膜の寿命延長と塗膜が剥がれた後の腐食抑制を図ることができるので、ホールド内の部材切り替えや再塗装によるメンテナンスコストを大幅に低減することができる。
鉱石運搬船模擬腐食試験片の概略図である。 鉱石運搬船再現腐食法のチャート図である。

Claims (7)

  1. 質量%で、C:0.01〜0.2%、Si:0.01〜1%、Mn:0.05〜2%、P:0.05%以下、S:0.03%以下、Cu:0.05%以下、Sn:0.01〜0.3%、Cr:0.01%未満及びAl:0.1%以下を含有し、残部Fe及び不純物からなることを特徴とする石炭・鉱石運搬船ホールド用耐食性鋼材。
  2. 質量%で、さらに、Co:1%以下を含有することを特徴とする、請求項1に記載の石炭・鉱石運搬船ホールド用耐食性鋼材。
  3. 質量%で、さらに、Mo:1%以下、W:1%以下及びSb:0.2%以下のうちの1種又は2種以上を含有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の石炭・鉱石運搬船ホールド用耐食性鋼材。
  4. 質量%で、さらに、Ti:0.1%以下及びZr:0.2%以下のうちの1種又は2種を含有することを特徴とする、請求項1から3までのいずれかに記載の石炭・鉱石運搬船ホールド用耐食性鋼材。
  5. 質量%で、さらに、Ca:0.01%以下を含有することを特徴とする、請求項1から4までのいずれかに記載の石炭・鉱石運搬船ホールド用耐食性鋼材。
  6. 質量%で、さらに、Nb:0.1%以下、V:0.1%以下及びB:0.01%以下のうちの1種又は2種以上を含有することを特徴とする、請求項1から5までのいずれかに記載の石炭・鉱石運搬船ホールド用耐食性鋼材。
  7. 表面が塗膜によって被覆されていることを特徴とする、請求項1から6までのいずれかに記載の石炭・鉱石運搬船ホールド用耐食性鋼材。
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