JP4807913B2 - タンパク質・βグルカン複合組成物 - Google Patents

タンパク質・βグルカン複合組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、食品、化粧品、医薬品、化学品等に極めて有用な、食味、食感、乳化性、保水性、配合性に優れ、且つ生体調節機能性を併せ持つタンパク質・βグルカン複合組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
タンパク質に糖質を複合化することで、タンパク質の諸機能を向上させることができる。例えば、タンパク質を多糖類やオリゴ糖等と共に50〜70℃、相対湿度60〜80%程度の雰囲気下で2日から6週間程度保持することにより、アミノカルボニル反応(メイラード反応)によってタンパク質とこれらの糖質との複合化物が得られる。その結果、得られた複合化物は、タンパク質単独の場合に比較して乳化性、溶解性、熱安定性、プロテアーゼ消化耐性等の機能が向上することや、リゾチームの抗菌スペクトルが拡大することが知られている(Agric. Biol. Chem.,54,107-112(1990)、Biosci. Biotech. Biochem.,56,567-571(1992)、日本食品科学工業会第46回大会講演集(2A−p7)、特開平3-215498号公報、特開平4-304887号公報、特開平6-277056号公報、特開平7-258292号公報、特開平9-107886号公報等)。
【0003】
以上のことは、タンパク質と糖質を複合化することによって、それら単独の場合に比較してそれら分子が本来持つ機能が向上したり、あるいは、予想しない新たな機能が発現する可能性を秘めていることを示唆するものである。天然には多数のタンパク質と多種多様な糖質が存在しており、それらの複合化の組み合わせは無数である。これまでにも種々のタンパク質と糖質の組合せが検討されているが、タンパク質、多糖の種類の豊富さに比べれば一部が検討されたに過ぎず、機能性が非常に優れた組合せが存在する可能性が秘められており、この点では充分な検討がされているとは言えない。
【0004】
また、上記の複合体を得る方法は粉体のまま気相中で長時間加熱するため生産効率が低く、複合体を効率よく得るための製造方法について種々検討が行われている。特開平5-339298号公報にはエクストルーダーを用いることで、特開平5-339299号公報には高圧処理をすることで、特開平5-339300号公報にはマイクロ波照射をすることでそれぞれ水溶液系で効率的に複合体を得る方法が開示されている。またタンパク質と糖質の混合水溶液あるいは混合分散液から加熱しながら水分を蒸発させ、濃縮もしくは乾燥させることにより複合組成物を得る方法(特願平12-114164号)や水分存在下でタンパク質と糖質をこれらが溶解しないアルコール類や油脂類に分散した状態で加熱・攪拌することにより複合組成物を得る方法(特願平12-114165号)等が検討されている。しかし、これらの方法は装置の工夫を中心に主に物理化学的な側面からの検討が中心であり、実用的な見地からすればさらに効率よく複合体を得るための工夫が望まれていた。以上のように、機能性の高い複合体を効率よく得るための工夫の一つとしてタンパク質、糖質の組み合わせからのアプローチが考えられる。
【0005】
一方、糖質(多糖類)素材としてβグルカンは、近年その優れた生体調節機能性、例えば、脂質代謝改善作用、整腸作用、血糖値上昇抑制等が解析され、利用が注目されている素材である。このような素材を加工食品に広く利用することは、食品の機能性増強(高付加価値化)に寄与するのみならず、広く国民の健康維持への貢献が期待され、極めて有用である。
【0006】
しかし、βグルカンは親水性が高いため、疎水性の油脂類とは完全には馴染みにくい面があり、またβグルカンを含有する油脂組成物を、例えば乳化食品のような加工食品に用いる際、水相成分と混合する場合に十分攪拌しながら加えないと部分的にダマが生じることもあり得た。そこで、βグルカンに疎水性を付与することで、油脂又あるいは油脂組成物中に分散・混合しやすくなり、配合性、作業性も向上し、さらには疎水性を付与したβグルカン自体が乳化機能を持つように改変されることが望まれていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、食品、化粧品、医薬品、化学品等に極めて有用な、食味、食感、呈味性、乳化性、保水性 、配合性に優れ、且つ脂質代謝改善作用、整腸作用、血糖値上昇抑制等の生体調節機能を有するタンパク質・βグルカン複合組成物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、タンパク質の種類によらず、タンパク質とイネ科植物から抽出されたβグルカンを複合化することで、他の多糖素材を用いた場合に比較して短時間で複合組成物を得ることができ、且つ食味、食感等を損なうことなく、効率よくタンパク質及びβグルカンの機能の向上や新規機能を付与できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
すなわち本発明は、タンパク質と、イネ科植物から抽出されたβグルカンとを複合化させたタンパク質・βグルカン複合組成物であって、上記タンパク質及び上記βグルカンを水に均一に溶解させ、上記タンパク質と上記βグルカンの混合水溶液を得、該水溶液を40〜100℃に加温し、水分を蒸発させ、濃縮若しくは乾燥させる方法、又は、水分存在下、上記タンパク質と上記βグルカンを、これらが溶解しないアルコール類又は食用油脂に分散した状態で、加熱、攪拌する方法により得られたタンパク質・βグルカン複合組成物を提供するものである。
【0010】
また本発明は、上記βグルカンが、1−2−β−D−グルコピラノース結合、1−3−β−D−グルコピラノース結合、1−4−β−D−グルコピラノース結合及び1−6−β−D−グルコピラノース結合のうちの少なくとも2種類以上の結合を有する上記タンパク質・βグルカン複合組成物を提供するものである。
【0011】
また本発明は、上記βグルカンが、1−3−β−D−グルコピラノース結合及び1−4−β−D−グルコピラノース結合を有するものである上記タンパク質・βグルカン複合組成物を提供するものである。
【0012】
また本発明は、イネ科植物が、大麦又はオーツ麦である上記タンパク質・βグルカン複合組成物を提供するものである。
【0013】
また本発明は、食品改質剤、乳化剤、保湿剤、油脂代替物、低カロリー食品素材として使用される上記タンパク質・βグルカン複合組成物を提供するものである。
【0014】
また本発明は、上記タンパク質・βグルカン複合組成物を含有する食品、化粧品、化学品又は医薬品を提供するものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳述する。
【0016】
本発明に用いるタンパク質としてはその起源は特に限定されず、動物、植物、微生物由来のもの、すなわち乳タンパク質、卵タンパク質、小麦タンパク質、大豆タンパク質、畜肉・魚肉タンパク質等が挙げられ、具体的にはカゼイン、β−ラクトグロブリン、α−ラクトアルブミン、オボアルブミン、オボムコイド、リゾチーム、ホスビチン、リポタンパク質、グルテン、グリアジン、グルテニン、コングリシニン、アクチン、ミオシン、トロポニン、グロビン、コラーゲン、ゼラチン等、あるいは各種酵素タンパク質等が挙げられ、これらの加水分解物やトランスグルタミナーゼ等で修飾したタンパク質、人工的に合成してなるポリペプチド、オリゴペプチド、アミノ酸等も含まれる。さらに、これらタンパク質やペプチド、アミノ酸の塩類も利用でき、これら二種類以上からなるタンパク質の混合物でも利用できる。以降、特に記載無き場合はこれらを総称してタンパク質と呼ぶ。
【0017】
また、本発明に用いられるイネ科植物から抽出されたβグルカンは、その抽出方法に特に制限はなく、抽出原料となるイネ科植物に、抽出溶媒を添加し抽出すればよい。また、固液分離された場合の抽出液そのもの、あるいは、抽出液より公知の方法で抽出されたβグルカンを濃縮した液体や固体状のもの、あるいは、抽出液より公知の方法で精製し純度を上げた液体や固体状のもの等、いずれの製造方法で得たものでも、いずれの形態のものでも、いずれの純度のものでも使用可能である。もちろんβグルカン以外の抽出された成分が混合していても何ら問題はない。本発明では、これらを全てイネ科植物から抽出されたβグルカンという。
【0018】
イネ科植物の例としては、米類、小麦類、トウモロコシ類、モロコシ類、ヒエ類、アワ類、キビ類、大麦類、オーツ麦類(カラス麦類)、ライ麦類等の穀類を挙げることができる。抽出には、植物全体を原料とできるが、βグルカンの含有量の比較的高い種子を用いるのが好ましい。全体を粉砕したもの(全粒粉)を始め、穀類の精製工程で得られる糠、フスマ、麦芽、胚芽、胚乳部位、ビール、麦焼酎あるいはその他の発酵から得られた発酵処理大麦等のいずれを用いてもよい。好ましくは大麦類やオーツ麦類の全粒粉や、穀粒を外周部よりと搗精した胚乳部分やその際発生する糠、米糠、小麦やトウモロコシ類のフスマや胚芽等であり、更に好ましくは大麦類やオーツ麦類の全粒粉や、穀粒を外周部より搗精した胚乳部分やその際発生する糠である。
【0019】
また、本発明のイネ科植物から抽出されたβグルカンは、1−2−β−D−グルコピラノース結合、1−3−β−D−グルコピラノース結合、1−4−β−D−グルコピラノース結合、1−6−β−D−グルコピラノース結合を少なくとも2種類以上有するβグルカンが好ましく、1−3−β−D−グルコピラノース結合及び1−4−β−D−グルコピラノース結合を有するβグルカンを含有することが好ましい。
【0020】
更に、本発明に係るβグルカンのイネ科植物からの抽出方法を説明すると、本発明に係るβグルカンは、水溶性高分子として用い、水溶液として溶解させることができ、例えばイネ科植物の穀類粉末に水、温水、熱水あるいは塩溶液、更には酸、アルカリ性の水溶液、有機溶媒等を用いて、対粉2〜100倍量の溶媒にて任意の時間、任意の温度で抽出することができる。更に抽出液を固液分離してβグルカンを得ることができる。これらの中でも、水、温水又は熱水で抽出されたβグルカンが好ましく、温度80℃以下4℃以上の温水で抽出されたβグルカンがより好ましい。更に抽出時に抽出促進剤等を加えてもよい。
【0021】
具体的には、大麦から高分子量のβグルカンを得る方法としては、例えば、多ろう質大麦を原料とし、水抽出により製造する方法(特公平4−11197号公報)、あるいは、大麦、オーツ麦を原料として、アルカリ抽出、中和、アルコール沈殿により、重量平均分子量10万〜100万のβグルカンを得る方法(特公平6−83652号公報)、搗精歩留まり82%以下の大麦糠類を原料として、80〜90℃の熱水にてβグルカンを抽出する方法(特開平11−225706号公報)等で得られたβグルカン、またこれらの製造方法で得られたβグルカンを更に公知の方法で低分子化βグルカンとしたもの。例えば低分子化の方法としては、公知である多糖類の加水分解反応のいずれもが利用可能である。例えば、水溶性多糖類は、酸存在下に加圧加熱により加水分解することが知られており、これを利用して低分子化することができる。また、酵素による加水分解反応を利用した低分子化も有効で、酵素としては、1, 3−βグルカナーゼ等を用いることができる。更にまた、WO98/13056号公報、特願2000−287920号等の方法により、原料穀物から直接抽出して得たβグルカンも用いることができる。また、特願2000−295660号に記載の抽出促進剤等を使用してもよい。
【0022】
本発明に用いられるイネ科植物から抽出されたβグルカンは、高分子体で、いずれの平均重量分子量を持つβグルカンも使用可能であるが、使用目的に応じて分子量を調節することができる。分子量の低下と共に食品、化粧品等の中への配合性がよくなるため、分子量300万以下、好ましくは50万以下、更に好ましくは10万以下のものがよい。抽出されたβグルカンは、公知の方法で低分子化してもよく、直接低分子量のβグルカンを抽出してもよい。
【0023】
なお、イネ科植物から抽出し精製を行わず、抽出液をそのまま、あるいは粉体化、固体化処理のみを行なったものをそのまま使用する場合、成分中のβグルカンの純度は、高純度であればある程良いが、1〜100%、好ましくは10〜100%、更に好ましくは20〜100%がよい。
【0024】
複合化におけるタンパク質とβグルカンの配合比率はモル比で5:1〜1:5、好ましくは2:1〜1:2とし、これらの範囲外では複合化効率が劣るため好ましくない。なお、部分的にタンパク質あるいはβグルカンを改質する目的がある場合はこの限りではない。
【0026】
特に、本出願人が先に出願した特願2000−114164号や特願2000−114165号に記載の方法は、タンパク質・βグルカン複合組成物を得るのに好ましい方法である。例えば、タンパク質及びβグルカンを水に均一に溶解させ、タンパク質とβグルカンの混合水溶液を得、該水溶液を40〜100℃に加温し、水分を蒸発させ、濃縮もしくは乾燥させれば複合組成物を得ることができる。このとき水と共沸する溶媒を添加してもよい。さらに複合方法を挙げると、水分存在下、タンパク質とβグルカンを、これらが溶解しないアルコール類や食用油脂に分散した状態で、加熱、攪拌することで複合組成物を得ることができる。
【0027】
本発明のタンパク質・βグルカン複合組成物は、食品中への配合性が良く、脂質代謝改善作用、整腸作用、血糖値上昇抑制等の生体調節機能を有し、且つ優れた乳化作用、食味、呈味性を有するので、これらの機能を生かし、乳化剤、食品改質剤、添加剤、保湿剤、油脂代替物、低カロリー食品素材として食品、化粧品、化学品、医薬品への使用が好ましい。食品としては特に限定されるものではないが、例えばマーガリン、ショートニング等の加工油脂製品、クッキー、ビスケット、クラッカー、パン類、ケーキ等のベーカリー製品や麺類等の小麦粉製品、煎餅、ビーフン等の米加工品、豆乳、豆腐、油揚げ等の豆類加工製品、アイスクリーム、コーヒーホワイトナー、ホイップクリーム等の乳製品、カスタードクリーム、チョコレート、マヨネーズ、ドレッシング、調味料・ソース類、畜肉・魚肉練製品、冷凍食品、レトルト食品等へ用いることができる。また、化粧品としては特に限定されるものではないが、例えば洗顔クリーム、クレンジングクリーム、マッサージクリーム、コールドクリーム、モイスチャークリーム、乳液、パック剤、美白剤、ローション等、皮膚用化粧品に用いるのが好ましい。医薬品としては、本発明を整腸剤、コレステロール低下剤等の医薬品に用いる以外にも軟膏の基材、錠剤、顆粒、粉末製剤用の賦形剤、内服用、液体の分散剤としても有用である。
【0028】
食品へ配合する場合は、その目的に応じて配合量を決めればよいが、例えば食品の全体量に対して、80〜0.01重量%、好ましくは5〜0.5重量%配合することが好ましい。
【0029】
化粧品へ配合する場合は、その目的に応じて配合量を決めればよいが、例えば化粧品の全体量に対して、100〜0.01重量%、好ましくは50〜0.01重量%配合することが好ましい。
【0030】
医薬品へ配合する場合は、その目的に応じて配合量を決めればよいが、例えば医薬品の全体量に対して、100〜0.01重量%、好ましくは80〜0.1重量%配合することが好ましい。
【0031】
食品、化粧品、医薬品等へ配合する場合、本発明の効果を損なわない範囲で従来公知の乳化剤、食品改質剤、添加剤、その他配合成分等と併用して配合してもかまわない。
【0032】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を更に具体的に説明するが、これらの実施例は本発明を限定するものではない。なお、「部」は特記しない限り全て「重量部」を、「%」は「重量%」を意味する。
【0033】
〔試験例1〕
(βグルカン含有量の測定)
βグルカンの分析は、メガザイム社のβグルカン測定キットを用いて、McCleary法(酵素法)にて行った。まず、測定サンプルが粉体の場合、500μm(30メッシュ)の篩にかけ、水分含量を測定し、その100mgを17mlチューブに取り、50%エタノール溶液を200μl加え、分散させた。次に、4mlの20mMリン酸緩衝液(pH6.5)を加え、よく混合した後、煮沸した湯浴中にて1分間加温した。よく混合し、更に2分間、湯浴中で加熱した。50℃に冷却後、5分間放置してから、各チューブにリケナーゼ酵素溶液(キットに付属するバイアルを20mlの20mMリン酸緩衝液で希釈、残量は凍結保存)の200μl(10U)を加え、1時間、50℃にて反応させた。チューブに200mM酢酸緩衝液(pH4.0)を、5ml加えて、静かに混合した。室温に5分間放置し、遠心分離にて上清を得た。100μlを3本のチューブに取り、1本には100μlの50mM酢酸緩衝液(pH4.0)を、他の2本には100μl(0.2U)のβグルコシターゼ溶液(キットに付属するバイアルを20mlの50mM酢酸緩衝液で希釈、残量は凍結保存)を加え、50℃にて10分間、反応させた。3mlのグルコースオキシターゼ/ベルオキシターゼ溶液を加えて、50℃にて20分間反応させ、各サンプルの510nmにおける吸光度(EA)を測定した。βグルカン含有量は、次式により求めた。
【0034】
βglucan(%,W/W)=(EA)×(F/W)×8.46
F=(100)/(グルコース100μgの吸光度)
W=算出された無水物重量(mg)
【0035】
〔試験例2〕
(βグルカン含有量の分子量測定)
抽出物の分子量測定は、以下の通りとした。すなわち、抽出物の5mgをチューブに取り、0.5mlの蒸留水を加えて、沸騰水中で溶解させた。0.22μmのフィルターを通してHPLC用のサンプルとした。分離にはHPLCゲル濾過カラムであるShodexのパックドカラムKS−805(昭和電工社製)を用い、流速0.6ml/min.、温度50℃、検出にはRI検出器、分離溶媒は水で実施した。分子量マーカーとしてはShodexプルラン標準液P−82(昭和電工社製)を用いて測定した。
【0036】
〔βグルカン抽出例〕
もち性裸大麦を研削式搗精機により削り、歩留まり82%まで精麦した。このとき発生した糠を糠―1とした。歩留まり82%まで精麦した大麦は、更に研削式搗精機により削り、歩留まり55%まで精麦した。このとき発生した糠を粉砕物−1とした。容器(50L)に水道水20Lを加え、攪拌しながら、15℃に調温した。これに糠―1の6kgを加え、2時間攪拌抽出し、連続遠心機にて固液分離後、上清を凍結乾燥し、抽出促進剤450gを得た。
【0037】
次に、容器(70L)に水道水30Lを加え、攪拌しながら、抽出促進剤を150g加え、溶解後、粉砕物―1の7.5kgを加えた。2時間、50℃で攪拌抽出してから連続遠心機にて固液分離後、上清を得た。得られた上清を煮沸し、冷却後に15Lのわずかに粘調なβグルカン液を得た。さらに、得られたβグルカン液に2倍量のエタノールを加えて沈殿を回収、乾燥させてβグルカン抽出物460gを得た。試験例1に従い分析の結果、βグルカンの純度は91%であった。また抽出したβグルカンは、1−3−β−D−グルコビラノース結合及び1−4−β−D−グルコビラノース結合を有していた。試験例2に従い分析の結果、抽出物は分子量20万〜1万に検出され、最大ピークは分子量4万であった。なお、試験例1の方法で最大ピークがβグルカンであることを確認した。以降の実施例では、本法で得られた大麦βグルカンを使用し、単にβグルカンと表記した。
【0038】
〔試験例3〕
(複合化効率の測定)
タンパク質・βグルカンの複合化による機能の向上を乳化安定性を指標にして測定した。複合化は次に示す方法で行った。各種タンパク質及び多糖類をタンパク質:多糖がモル比で1:1、1:2、1:5となるように水に溶解もしくは分散した後、凍結乾燥・粉末化し、その1gをシャーレに入れ、60℃、相対湿度80%に保った恒温恒湿槽内で12時間及び24時間インキュベートし、各種タンパク質・多糖類複合組成物を得た。本サンプルのタンパク質量換算で0.25%水溶液を調製し、このサンプル溶液6mlに液状油2mlを加え、ホモジナイザー(POLYTRON PT−3100、KINEMATICA AG製)を用いて40℃にて、回転数25,000r.p.m.で3分間ホモジナズした。室温に放置し、分離した水層が1mlに達する時間を観察し、この時間が遅いほど乳化安定性が高いと判定した。なお、対照として、各タンパク質、あるいは多糖類のみを単独でインキュベートした系も実施した。この際、タンパク質は同様に0.25%水溶液を乳化試験の水相とし、多糖類は複合化系のモル比1:5の場合に系に添加される多糖の量に合わせて水相を調製した。これらの結果を表1及び2に示した。
【0039】
表1及び2の結果から、他の多糖類と比べ、βグルカンは短いインキュベート時間で高い乳化安定性が発揮されることが明らかになった。なお、使用したタンパク質、多糖類の平均分子量はそれぞれ、カゼイン(カリウム塩):23000、ミルクホエータンパク質:18000、卵白タンパク質:45000、小麦グリアジンタンパク質:40000、バイタルグルテン:60000、グアーガム加水分解物(ガラクトマンナン):20000、カードラン:70000、タマリンドガム加水分解物(キシログルカン):650000、デキストラン:40000、カラギーナン:600000、ペクチン:200000として計算した。
【0040】
【表1】
Figure 0004807913
【0041】
【表2】
Figure 0004807913
【0042】
本試験例の結果から、βグルカンは他の多糖類に比べ短時間のインキュベートによって乳化安定性の向上が認められ、タンパク質の改質に優れていることが確認された。
【0043】
〔実施例1〕
(複合組成物の調製例)
ニーダー(PN−1型、(株)入江商会製)にパーム核オレイン硬化油(融点35℃)200gを入れ70℃に調温し、小麦グリアジン画分150g及び、βグルカン150gを混合し、充分攪拌した後、水を60g加え、70℃に加温し6時間攪拌した。その後、サンプルを50℃の0.02Nアンモニア水3Lに溶解し、噴霧乾燥し小麦グリアジン・βグルカン複合組成物を得た。
【0044】
〔実施例2〕
(複合組成物の調製例)
ミルクホエータンパク質0.7kg及び、βグルカン1.4kg、エタノール76kgを加え、羽根式ミキサー(ポータブルミキサーA520V型、佐竹機械製作所(株)製)により、十分に原料を分散させた後、攪拌したまま水を4kg加え、50℃にて回転数400r.p.m.で24時間攪拌した。エタノールを減圧留去後、サンプルを凍結乾燥し、ミルクホエータンパク質・βグルカン複合組成物を得た。
【0045】
〔実施例3〕
(複合組成物の調製例)
10%加塩チルド卵黄20kg、βグルカン6kg、綿実サラダ油35kgをレオニーダー(KQ−SV06L型、梶原工業(株)製)を用い、60℃で4時間混合攪拌を行い、卵黄タンパク質・βグルカン複合組成物含有綿実油を得た。
【0046】
〔実施例4〕
(複合組成物の調製例)
ニーダー(PN−1型、(株)入江商会製)にパーム油180gを入れ70℃に調温して溶解した後、カゼインカリウム塩100g及びβグルカン50gを混合し、充分攪拌した後、水を60g加え、70℃に加温し7時間攪拌した。サンプルを水3Lに溶解し、噴霧乾燥してカゼイン・βグルカン複合組成物を得た。
【0047】
〔実施例5〕
(複合組成物の調製例)
ニーダー(PN−5型、(株)入江商会製)に大豆硬化油(融点36℃)800gを入れた後、水溶性ペプチド(カゼインホスホペプチドCPP−III、明治製菓(株)製)250g及びβグルカン1200gを加え充分攪拌し、さらに水を200g加え80℃に加温して4時間攪拌した。サンプルを80℃の温水3Lに溶解し、噴霧乾燥してカゼインホスホペプチド・βグルカン複合組成物を得た。
【0048】
〔実施例6〕
(複合組成物の調製例)
分離大豆タンパク質50kg、βグルカン25kg、水18kgをニーダー(レオニーダーKQ−8E型、梶原工業(株)製)中で回転速度30r.p.m.、80℃で混合し、加熱したまま10分間放置した。その後、回転速度20r.p.m.で攪拌しながらエタノール600Lを加え、80℃でエタノール及び水を除去し、ボールミルで粉砕し分離大豆タンパク質・βグルカン複合組成物を得た。
【0049】
〔実施例7〕
(複合組成物の調製例)
小麦バイタルグルテン88g及びβグルカン140gを混合し、ニーダー(PN−1型、(株)入江商会製)中で攪拌しながらエタノール420mlに分散させた後、0.5%酢酸ナトリウム水溶液200mlを加え、40℃に加温しながら回転数40r.p.m.で23時間加熱攪拌した。その後、70℃に加熱すると同時に減圧しながらさらに1時間攪拌を継続し、エタノールを除去することにより、ペースト状のバイタルグルテン・βグルカン複合組成物(水分含量25%)を得た。
【0050】
〔実施例8〕
(複合組成物の調製例)
ニーダー(PN−5型、(株)入江商会製)にグリセリン800gを入れた後、乾燥卵白粉末、βグルカンをそれぞれ800gを加え、充分攪拌した後、水を350g加え、50℃に加温して12時間攪拌し、ペースト状の卵白タンパク質・βグルカン複合組成物を得た。
【0051】
〔比較例1〕
70℃で6時間攪拌せず、水を加え均一に混和後直ちに次の操作に移ったこと以外は、実施例1と同じ操作をし、小麦グリアジン・βグルカン混合組成物を得た。
【0052】
〔比較例2〕
ミルクホエータンパク質0.7kg、βグルカン1.4kgを粉末のまま充分に混合し、ミルクホエータンパク質・βグルカン混合組成物を得た。
【0053】
〔比較例3〕
60℃で4時間混合攪拌することなく、常温(20℃)で混合しただけにしたこと以外は、実施例3と同様の操作をし、卵黄タンパク質・βグルカン混合組成物含有綿実油を得た。
【0054】
〔比較例4〕
70℃で7時間攪拌せず、水を加え均一に混和後直ちに次の操作に移ったこと以外は、実施例4と同じ操作をし、カゼイン・βグルカン混合組成物を得た。
【0055】
〔比較例5〕
80℃の温水3Lに大豆硬化油(融点36℃)800g、カゼインホスホペプチド250g、βグルカン1200gを加え均一に分散するよう攪拌しながら噴霧乾燥してカゼインホスホペプチド・βグルカン混合組成物を得た。
【0056】
〔比較例6〕
分離大豆タンパク質50kg、βグルカン25kgを粉末のまま充分に混合し、分離大豆タンパク質・βグルカン混合組成物を得た。
【0057】
〔比較例7〕
小麦バイタルグルテン88g及びβグルカン140gを混合し、ニーダー中で攪拌しながら0.5%酢酸ナトリウム水溶液200mlを加え、70℃に加熱し、減圧しながら水分を除去することにより、ペースト状のバイタルグルテン・βグルカン混合組成物(水分含量25%)を得た。
【0058】
〔比較例8〕
50℃で12時間攪拌しないことを以外は、実施例8と同様の操作を行い、卵白タンパク質・βグルカン混合組成物を得た。
【0059】
〔実施例A〕
(クッキーの製造例)
実施例1で得た小麦グリアジン・βグルカン複合組成物250部にプロテアーゼによって加水分解処理した卵黄0.2部を添加し、ミキサーで混合して、65℃で15分間放置後、室温に冷却してクリーム状になった小麦グリアジン・βグルカン複合組成物含有油脂組成物(βグルカン含有量27.3%)を得た。
【0060】
本小麦グリアジン・βグルカン複合組成物含有油脂組成物50部と上白糖50部をホバートミキサーにて高速6分間クリーミングし、これに全卵(正味)15部、食塩1部及び炭酸水素アンモニウム0.5部を合わせたものを添加し、中速で30秒間混合した。更に、篩にかけた小麦粉100部を添加混合し、低速で30秒間混合して、生地を得た。この生地を直径6cmの筒に詰め、生地を厚み1cmづつ押し出したところでカットし、200℃、13分間焼成して、βグルカン含有クッキー(βグルカン含有量6.32%)を得た。
【0061】
上記クッキーについて、5人のパネラーにより口溶け、風味、食感(ショートネス性)の項目について各5点満点で評価し、その結果について平均値を表3に示した。また、作業性の指標として、生地調製中の型等への付着性を評価し、作業性の良い順に◎、○、△、×で評価した。すなわち付着しやすい場合は作業性が悪いことを意味し、付着しにくい場合は作業性が良いことを意味する。その結果も併せて表3に示した。
【0062】
〔比較例A1〕
(クッキーの製造例)
比較例1で得た小麦グリアジン・βグルカン混合組成物250部にプロテアーゼによって加水分解処理した卵黄0.2部を添加し、ミキサーで混合して、65℃で15分間放置後、室温に冷却してクリーム状になった小麦グリアジン・βグルカン混合組成物含有油脂組成物(βグルカン含有量27.3%)を得た。
【0063】
以降、実施例Aの小麦グリアジン・βグルカン複合組成物含有油脂を本小麦グリアジン・βグルカン混合組成物含有油脂組成物に替えたこと以外は、実施例Aと同様の方法でβグルカン含有クッキー(βグルカン含有量6.32%)を得た。該クッキーについて実施例Aと同様に評価し、結果を表3に示した。
【0064】
〔比較例A2〕
(クッキーの製造例)
βグルカン75部に、小麦粉75部、パーム核オレイン硬化油(融点35℃)100部、プロテアーゼによって加水分解処理した卵黄0.2部を添加し、ミキサーで混合して、65℃で15分間放置後、室温に冷却してクリーム状になったβグルカン含有油脂組成物(βグルカン含有量27.3%)を得た。
【0065】
以降、実施例Aの小麦グリアジン・βグルカン複合組成物含有油脂を本βグルカン含有油脂組成物に替えたこと以外は、実施例Aと同様の方法でβグルカン含有クッキー(βグルカン含有量6.32%)を得た。該クッキーについて実施例Aと同様に評価し、結果を表3に示した。
【0066】
【表3】
Figure 0004807913
【0067】
〔実施例B〕
(ソフトチョコレートの製造例)
実施例2で得たミルクホエータンパク質・βグルカン複合組成物300部に70℃に加温して溶解させたパーム油100部及びレシチン1部を添加し、高速ホモミキサーで混合して、50℃で20分間放置後、室温に冷却してそぼろ状になったミルクホエータンパク質・βグルカン複合組成物含有油脂組成物(βグルカン含有量45.5%)を得た。
【0068】
本ミルクホエータンパク質・βグルカン複合組成物含有油脂組成物15部に、砂糖50部、カカオマス5部、全脂粉乳15部、レシチン0.3部及びバニリン0.04部からなる配合で、常法に従いロール掛け、コンチング処理し、βグルカン含有ソフトチョコレート(βグルカン含有量8%)を得た。
【0069】
上記ソフトチョコレートについて、5人のパネラーにより滑らかさ、口溶け、風味の項目について各5点満点で評価し、その結果について平均値を表4に示した。また、ダレやすさを測定するため、該チョコレートを10度に傾斜させたアルミトレイに乗せ、50℃、30分間放置後の移動距離(mm)を測定した。移動距離が少ないほどダレ難いことの指標となる。その結果も併せて表4に示した。
【0070】
〔比較例B1〕
(ソフトチョコレートの製造例)
比較例2で得たミルクホエータンパク質・βグルカン混合組成物300部に70℃に加温して溶解させたパーム油100部及びレシチン1部を添加し、高速ホモミキサーで混合して、50℃で20分間放置後、室温に冷却してそぼろ状になったミルクホエータンパク質・βグルカン混合組成物含有油脂組成物(βグルカン含有量45.5%)を得た。
【0071】
以降、実施例Bのミルクホエータンパク質・βグルカン複合組成物含有油脂組成物を本ミルクホエータンパク質・βグルカン混合組成物含有油脂組成物に替えたこと以外は、実施例Bと同様の方法でβグルカン含有ソフトチョコレート(βグルカン含有量8%)を得た。該ソフトチョコレートについて実施例Bと同様に評価し、結果を表4に示した。
【0072】
〔比較例B2〕
(ソフトチョコレートの製造例)
βグルカン200部に、全脂粉乳100部、70℃に加温して溶解させたパーム油100部及びレシチン1部を添加し、高速ホモミキサーで混合して、50℃で20分間放置後、室温に冷却してそぼろ状になったβグルカン含有油脂組成物(βグルカン含有量45.5%)を得た。
【0073】
以降、実施例Bのミルクホエータンパク質・βグルカン複合組成物含有油脂組成物を本βグルカン含有油脂組成物に替えたこと以外は、実施例Bと同様の方法でβグルカン含有ソフトチョコレート(βグルカン含有量8%)を得た。該ソフトチョコレートについて実施例Bと同様に評価し、結果を表4に示した。
【0074】
【表4】
Figure 0004807913
【0075】
〔実施例C〕
(マヨネーズの製造例)
実施例3で得られた卵黄タンパク質・βグルカン複合組成物含有綿実油30.5部に水36部を加え充分に攪拌した後、砂糖8.2部、食塩1.8部、食酢8部、調味香辛料1部を加え、充分攪拌した後、菜種油17.5部を加え、攪拌して予備乳化後、コロイドミルによって仕上げ乳化を行い、卵黄タンパク質・βグルカン複合組成物含有マヨネーズ(βグルカン含有量2.65%)を得た。βグルカンは均一に分散していた。
【0076】
上記マヨネーズについて、5人のパネラーにより滑らかさ、風味の項目について各5点満点で評価し、その結果について平均値を表5に示した。また、該マヨネーズの安定性の評価として、50℃の恒温槽に1週間静置し、水分離の有無を観察し、その結果も併せて表5に示した。得られたマヨネーズは、1ケ月の保存期間中に水の分離がなく、また、滑らかで風味も非常に良好であった。
【0077】
〔比較例C1〕
(マヨネーズの製造例)
比較例3で得られた卵黄タンパク質・βグルカン混合組成物含有綿実油30.5部に水36部を加え充分に攪拌した後、砂糖8.2部、食塩1.8部、食酢8部、調味香辛料1部を加え、充分攪拌した後、菜種油17.5部を加え、攪拌して予備乳化後、コロイドミルによって仕上げ乳化を行い、卵黄タンパク質・βグルカン含有マヨネーズ(βグルカン含有量2.65%)を得た。該マヨネーズについて実施例Cと同様に評価し、結果を表5に示した。
【0078】
〔比較例C2〕
(マヨネーズの製造例)
加塩卵黄10部に砂糖8.2部、食塩1.8部、食酢8部、調味香辛料1部、βグルカン3部に水36部を加え充分に攪拌後、綿実サラダ油17.5部、菜種サラダ油17.5部を加え、攪拌して予備乳化後、コロイドミルによって仕上げ乳化を行い、βグルカン含有マヨネーズ(βグルカン含有量2.65%)を得た。該マヨネーズについて実施例Cと同様に評価し、結果を表5に示した。
【0079】
【表5】
Figure 0004807913
【0080】
〔実施例D〕
(ホイップクリームの製造例)
液糖25部と水20部を混合し、60℃に調温したものと60℃に調温したパーム油20部に実施例4で得られたカゼイン・βグルカン複合組成物を15部、実施例5で得られたカゼインホスホペプチド・βグルカン複合組成物20部を充分に分散したものを混合攪拌し、予備乳化物を調製した。予備乳化後5MPaの圧力で均質化した後、VTIS殺菌機で142℃、4秒間殺菌し、再度5MPaの圧力で均質化後5℃まで冷却し、ミキサーによってホイップした。その後、冷蔵庫で24時間エージングを行い、βグルカン含有ホイップクリーム(βグルカン含有量11.5%)を得た。
【0081】
上記ホイップクリームについて、5人のパネラーにより滑らかさ、風味の項目について各5点満点で評価し、その結果について平均値を表6に示した。また、ホイップ前の乳化物を50℃の恒温槽で1週間放置した後の水分離の有無を観察した。さらに、該ホイップクリームの安定性の評価として、30℃の恒温槽に1日静置した後のオーバーラン低下率の測定と、保型性の観察を行った。オーバーラン低下率はホイップ直後のオーバーラン値に対する30℃放置後のオーバーラン値の割合で、大きいほどホイップクリームが安定であることを示す。また、保型性は目視観察により、良い順に◎、○、△、×とした。これらの結果も併せて表6に示した。
【0082】
〔比較例D1〕
(ホイップクリームの製造例)
液糖25部と水20部を混合し、60℃に調温したものと60℃に調温したパーム油20部に比較例4で得られたカゼイン・βグルカン混合組成物を15部、比較例5で得られたカゼインホスホペプチド・βグルカン混合組成物20部を充分に分散したものを混合攪拌し、予備乳化物を調製した。その後は実施例Dと同様に均質化し、ホイップクリーム(βグルカン含有量11.5%)を得た。該ホイップクリームについて実施例Dと同様に評価し、結果を表6に示した。
【0083】
〔比較例D2〕
(ホイップクリームの製造例)
60℃に調温したパーム油28部と大豆硬化油7部の混合物にカゼインカリウム4.3部、カゼインホスホペプチド2.1部、βグルカン12.5部を充分に分散したものと液糖25部と水20部を混合し60℃に調温したものを混合攪拌し、予備乳化物を調製した。その後は実施例Dと同様に均質化し、ホイップクリーム(βグルカン含有量11.5%)を得た。該ホイップクリームについて実施例Dと同様に評価し、結果を表6に示した。
【0084】
【表6】
Figure 0004807913
【0085】
〔実施例E〕
(マーガリンの製造例)
パーム油:パーム硬化油:菜種油:ソルビタン脂肪酸エステルを、30:50:20:0.3の割合(重量比)で含有する食用油脂100部を70℃で融解し、実施例6で得た分離大豆タンパク質・βグルカン複合組成物12部を添加し、65℃にて30分間放置した後、ホモミキサーで攪拌しながら、70℃に加温した水16部に脱脂粉乳0.5部及び食塩1部を溶解させた溶液を徐々に添加、混合した後、急冷可塑化を行い、25℃で一晩調温後、5℃まで冷却した。このようにして、分離大豆タンパク質・βグルカン複合組成物含有マーガリン(βグルカン含有量2.8%)を得た。
【0086】
上記マーガリンについて、5人のパネラーにより滑らかさ、風味の項目について各5点満点で評価し、その結果の平均値を表7に示した。
【0087】
〔比較例E1〕
(マーガリンの製造例)
実施例6で得られたサンプルを比較例6で得られた分離大豆タンパク質・βグルカン混合組成物に替えた以外は、実施例Eと同様の操作により分離大豆タンパク質・βグルカン混合組成物含有マーガリン(βグルカン含有量2.8%)を得た。該マーガリンについて実施例Eと同様に評価し、結果を表7に示した。
【0088】
〔比較例E2〕
(マーガリンの製造例)
実施例6で得られたサンプルに替えてβグルカン3.73部を配合した以外は、実施例Eと同様の操作によりβグルカン含有マーガリン(βグルカン含有量2.8%)を得た。該マーガリンについて実施例Eと同様に評価し、結果を表7に示した。
【0089】
【表7】
Figure 0004807913
【0090】
〔実施例F〕
(食パンの製造例)
小麦粉97部、イースト3部、砂糖4部、食塩2部、実施例Eで得られたマーガリン6部、実施例7で得られたバイタルグルテン・βグルカン複合組成物10部、及び水58部を加え、こね上げ温度28℃にて、ホッパーミキサーで低速2分、高速4分ミキシングしパン生地を調製した。28℃で60分間発酵させ、450gに分割し、丸め、ねかし(28℃、20分)工程を経て、シーターに3回通して整形後、ワンローフタイプの型に挿入した。38℃で相対湿度90%の条件下、生地が型上縁2cmに達するまで焙炉工程を行った後、220℃にて23分間焼成し、タンパク質・βグルカン複合組成物含有パン(βグルカン含有量2.4%)を得た。
【0091】
上記パンについて、比容積を測定し、結果を表8に示した。さらに5人のパネラーにより硬さ、風味の項目について各5点満点で評価し、これらの結果の平均値を表8に示した。
【0092】
〔比較例F1〕
(食パンの製造例)
実施例Eで得られたマーガリンを比較例E1で得られたマーガリンに替えたことと、実施例7で得られたバイタルグルテン・βグルカン複合組成物を比較例7で得られたバイタルグルテン・βグルカン混合組成物に替えた以外は、実施例Fと同様の方法によりタンパク質・βグルカン混合組成物含有パン(βグルカン含有量2.4%)を調製した。該パンについて実施例Fと同様に評価し、結果を表8に示した。
【0093】
〔比較例F2〕
(食パンの製造例)
実施例Eで得られたマーガリンを比較例E2で得られたマーガリンに替え、実施例7で得られたバイタルグルテン・βグルカン複合組成物に替えてβグルカン4.6部、バイタルグルテン2.9部とし、水の配合量を60.5部としたこと以外は、実施例Fと同様の方法によりβグルカン含有パン(βグルカン含有量2.4%)を調製した。該パンについて実施例Fと同様に評価し、結果を表8に示した。
【0094】
【表8】
Figure 0004807913
【0095】
〔実施例G〕
実施例8で得られた卵白タンパク質・βグルカン複合組成物50部に水50部を混合、溶解し、卵白タンパク質・βグルカン複合組成物含有乳液(βグルカン含量13.2%)とした。
【0096】
上記乳液5人のパネラーに手及び腕に塗布してもらい、塗るときの滑らかさとしっとり感が残っているかどうかを5点満点で評価し、平均点を表9に示した。
【0097】
〔比較例G1〕
実施例8で得られた卵白タンパク質・βグルカン複合組成物を比較例8で得られた卵白タンパク質・βグルカン混合組成物に替えたこと以外は、実施例Gと同様の方法で乳液を得た。該乳液について実施例Gと同様に評価し、結果を表9に示した。
【0098】
〔比較例G2〕
グリセリンとβグルカンの等量混合物50部に対し、水122部を加え混合・溶解し、βグルカン含有乳液(βグルカン含量13.2%)を得た。該乳液について実施例Gと同様に評価し、結果を表9に示した。
【0099】
【表9】
Figure 0004807913
【0100】
〔実施例H〕
(ローションの製造例)
以下の処方に従い、常法によりローションを製造した。
【0101】
(組成) (重量部)
ステアリン酸 2.0
セタノール 1.5
ワセリン 3.0
ラノリンアルコール 2.0
流動パラフィン 9.0
実施例8で得られた卵白タンパク質・βグルカン複合組成物 7.0
香料 0.5
酸化防止剤 適量
防腐剤 適量
プロピレングリコール 4.8
グリセリン 1.0
ヒアルロン酸ナトリウム 0.1
トリエタノールアミン 1.0
精製水 70.0
【0102】
〔実施例I〕
(分散剤)
容器100mlの共栓付メスシリンダーに実施例2で得られたミルクホエータンパク質・βグルカン複合組成物1g、カーボンブラック10gを入れ、水にて溶解分散させ100mlに調整した。次に、そのメスシリンダーを1分間に100回振盪した後、1時間、25℃にて静置した。その後、液上面から30cc抜き取りグラスフィルターにて濾過した後、105℃にて、乾燥させ、グラスフィルター上の残渣の重量より、次式により本発明品の分散性能を測定した。
分散性能(%)=グラスフィルターの残渣重量(g)/3(g)×100
その結果、分散性能は86%であり、良好であった。
【0103】
〔実施例J〕
(乳化剤)
容量20mlの目盛り付共栓付試験管に、実施例8で得られた卵白タンパク質・βグルカン複合組成物0.5%水溶液5mlとケロシン5mlを加え、1分間に100回振盪した後、1時間、25℃にて静置したその後、乳化層の容積(ml)を測定し、乳化性を次式により測定した。
乳化性能(%)=乳化層(ml)/10(ml)×100
その結果、乳化性能は85%であり、良好であった。
【0104】
【発明の効果】
本発明によれば、食品、化粧品、医薬品、化学品等に極めて有用な、食味、食感、呈味性、乳化性、保水性、配合性等の各種機能に優れ、且つ脂質代謝改善作用、整腸作用、血糖値上昇抑制等の生体調節機能性を併せ持ったタンパク質・βグルカン複合組成物を提供することができる。

Claims (6)

  1. タンパク質と、イネ科植物から抽出されたβグルカンとを複合化させたタンパク質・βグルカン複合組成物であって、
    上記タンパク質及び上記βグルカンを水に均一に溶解させ、上記タンパク質と上記βグルカンの混合水溶液を得、該水溶液を40〜100℃に加温し、水分を蒸発させ、濃縮若しくは乾燥させる方法、又は、水分存在下、上記タンパク質と上記βグルカンを、これらが溶解しないアルコール類又は食用油脂に分散した状態で、加熱、攪拌する方法により得られたタンパク質・βグルカン複合組成物。
  2. 上記βグルカンが、1−2−β−D−グルコピラノース結合、1−3−β−D−グルコピラノース結合、1−4−β−D−グルコピラノース結合及び1−6−β−D−グルコピラノース結合のうちの少なくとも2種類以上の結合を有する請求項1記載のタンパク質・βグルカン複合組成物。
  3. 上記βグルカンが、1−3−β−D−グルコピラノース結合及び1−4−β−D−グルコピラノース結合を有するものである請求項1又は2記載のタンパク質・βグルカン複合組成物。
  4. 上記イネ科植物が、大麦又はオーツ麦である請求項1〜3の何れか一項に記載のタンパク質・βグルカン複合組成物。
  5. 食品改質剤、乳化剤、保湿剤、油脂代替物、低カロリー食品素材として使用される請求項1〜4の何れか一項に記載のタンパク質・βグルカン複合組成物。
  6. 請求項1〜5の何れか一項に記載のタンパク質・βグルカン複合組成物を含有する食品、化粧品、化学品又は医薬品。
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