JP4807146B2 - ピニオンシャフトの製造方法及びプラネタリギヤ装置の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ピニオンシャフトの製造方法及びプラネタリギヤ装置の製造方法に関する。
例えば自動車の自動変速機に用いられるプラネタリギヤ装置は、サンギヤ,リングギヤ,及びキャリヤを備えており、これらの回転要素は出力軸の周りに同心に配されている。また、サンギヤ及びリングギヤに噛み合うピニオンギヤが、キャリヤに固定されたピニオンシャフトに、軸受用ころを介して回転自在に支持されている。そして、各回転の遠心力によって各回転要素に潤滑油が供給されるように、油路が備えられている。
しかしながら、プラネタリギヤ装置の構造は、ピニオンギヤが自転しながら公転するという複雑なものであるので、十分な潤滑油をピニオンシャフト及び軸受用ころに供給することは困難であった。また、各回転要素の中ではピニオンギヤの回転速度が最も高いので、ピニオンギヤを支持するピニオンシャフトには、ピニオンギヤに作用する遠心力を支えるために大きな荷重が負荷される傾向があった。
したがって、従来のプラネタリギヤ装置においては、ピニオンシャフトはJIS鋼種SK5等で構成され、焼入れが施されて転動部材として必要な硬さ(Hv650以上)が付与されていた。そして、焼入れ法として高周波焼入れ法を採用することにより、軸受用ころが転走する部分(転走面)のみに高周波焼入れが施され、高周波焼入れが施されていない端部をかしめることによってピニオンシャフトがキャリアに固定されていた。
近年、自動車の低燃費化の要求がますます強まっており、低燃費化を目的としてトランスミッションの小型化や高効率化が行われている。そのため、ピニオンギヤの回転速度が高まっているので、ピニオンシャフトに負荷される荷重が増大し且つ温度が上昇し、さらに潤滑油量が減少する傾向となっている。
その結果、前述のような従来のピニオンシャフトでは、潤滑不良等による剥離寿命が問題となる場合があった。このような場合には、ピニオンシャフトをJIS鋼種SUJ2で構成し、浸炭窒化処理等を施して寿命を確保していたが、そうすると、ピニオンシャフトをかしめによってキャリアに固定することができないので、キャリヤにねじ穴を加工してピニオンシャフトをねじで固定する必要があることから、プラネタリギヤ装置のコストが高くなるという問題点があった。
また、前述した荷重の増大及び温度の上昇のために、変形や早期剥離(滑りの増大に伴って摩耗が生じ、その摩耗による面荒れから早期剥離が生じる)が発生しやすく、寿命が不十分となるという問題があった。
特許文献1,2には、浸炭窒化処理後に放冷するか、あるいは、焼入れ処理後に高温での焼戻し処理を施すことにより、芯部の残留オーステナイトを分解させ、さらに、外周面のうち軸受用ころの転走面となる部分に高周波焼入れ処理を施して、ピニオンシャフトを製造する方法が開示されている。
このようにして製造されたピニオンシャフトは、長手方向端部には高周波焼入れ処理が施されておらず硬化されていないから、端部をかしめてキャリアに固定することができ、且つ、残留オーステナイトにより耐久性も十分に備えている。また、この方法によれば、プラネタリギヤ装置を安価に製造することができる。さらに、芯部の残留オーステナイトは完全に分解しているので、使用時のピニオンシャフトの変形量が小さく抑制される。
特開2002−4003号公報 特開2004−340221号公報
しかしながら、トランスミッションの多段化による空間容積の減少に伴い、ピニオンシャフトがますます小径化している。そして、油穴の存在を考慮すると、有効肉厚は非常に薄くなっており、剛性が低下している。そのため、ピニオンシャフトに作用する曲げ応力がより大きくなる表面近傍の残留オーステナイトの分解も考慮する必要があった。
そこで、本発明は、上記のような従来技術が有する問題点を解決し、高温下において高速回転で使用しても長寿命なピニオンシャフトの製造方法、及び、高温下において高速回転で使用しても長寿命で安価なプラネタリギヤ装置の製造方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は次のような構成からなる。すなわち、本発明に係る請求項1のピニオンシャフトの製造方法は、プラネタリギヤ装置において使用され、同心に配されたサンギヤ及びリングギヤに噛み合うピニオンギヤを回転自在に支持する軸受鋼製のピニオンシャフトの製造方法であって、鋼材に浸炭窒化処理,焼鈍し処理を施し、続いて、外周面のうち転走面となる部分のみに高周波焼入れ処理を施した後に、焼戻し処理を施すことにより、残留オーステナイト量が15体積%以上30体積%以下で且つ残留圧縮応力が500MPa以上1200MPa以下である表層部と、残留オーステナイト量が0体積%である芯部と、を備えるとともに、日本工業規格JIS G0551に規定の方法で測定された前記表層部の旧オーステナイト結晶粒度が、粒度番号で8以上であり、長手方向端部の表面硬さがHv300以下であるピニオンシャフトを得ることを特徴とする。
また、本発明に係る請求項2のプラネタリギヤ装置の製造方法は、サンギヤと、該サンギヤと同心に配されたリングギヤと、前記サンギヤ及び前記リングギヤに噛み合う1個以上のピニオンギヤと、前記ピニオンギヤを回転自在に支持するピニオンシャフトと、前記サンギヤ及び前記リングギヤと同心に配され前記ピニオンギヤが固定されたキャリヤと、を備えるプラネタリギヤ装置の製造方法において、前記ピニオンシャフトを請求項1に記載のピニオンシャフトの製造方法で得られたものとし、このピニオンシャフトを前記キャリヤにかしめによって固定することを特徴とする。
本発明のピニオンシャフトの製造方法は、高温下において高速回転で使用しても長寿命なピニオンシャフトを得ることができる。また、本発明のプラネタリギヤ装置の製造方法は、高温下において高速回転で使用しても長寿命であり且つ安価なプラネタリギヤ装置を得ることができる
本発明に係るピニオンシャフトの製造方法及びプラネタリギヤ装置の製造方法の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。図1に示すプラネタリギヤ装置は、図示しない軸が挿通されたサンギヤ1と、該サンギヤ1と同心に配されたリングギヤ2と、サンギヤ1及びリングギヤ2に噛み合う1個以上(図1においては3個)のピニオンギヤ3と、サンギヤ1及びリングギヤ2と同心に配されピニオンギヤ3を回転自在に支持するキャリヤ4と、を備えている。
ピニオンギヤ3の中心には、かしめによりキャリヤ4に固定されたピニオンシャフト5が挿通されており、また、ピニオンシャフト5の外周面とピニオンギヤ3の内周面との間には図示されない複数の針状ころが配されていて、これによりピニオンギヤ3はピニオンシャフト5を軸として回転自在とされている。
このピニオンシャフト5は、高炭素クロム軸受鋼(SUJ2)で構成されている。そして、浸炭窒化処理,焼鈍し処理に続いて、ピニオンシャフト5の外周面のうち前記針状ころが転走する部分(転走面)のみに高周波焼入れ処理が施されている。
なお、ピニオンシャフト5を製造する際には、高炭素クロム軸受鋼で構成された鋼材を所定の寸法(例えば外径8mm、長さ35mm)に旋削加工した後に、前述のような熱処理を施し、さらに仕上げ研削加工を施すとよい。
このような熱処理が施された結果、ピニオンシャフト5には表層部と芯部とが形成される。そして、芯部の残留オーステナイト量は0体積%である。また、表層部の残留オーステナイト量は15体積%以上30体積%以下であり、且つ、表層部の残留圧縮応力は500MPa以上1200MPa以下である。さらに、表層部の旧オーステナイト結晶粒度(日本工業規格JIS G0551に規定の方法で測定されたもの)は、粒度番号で10以上であることが好ましい。
なお、本発明における表層部とは、ピニオンシャフトの外周面とピニオンギヤの内周面との間に配された針状ころの直径をDaとすると、ピニオンシャフトの表面からDaの2%の深さ位置までの部分を意味する。
ピニオンシャフト5の長手方向端部には高周波焼入れ処理が施されておらず、焼鈍し処理の後の物性のままであり、硬化されていないので(硬さはHv300以下である)、前述したようにピニオンシャフト5はその端部をかしめることによってキャリヤ4に固定することができる。よって、このプラネタリギヤ装置は、安価に製造することができる。
一方、応力負荷状態におけるオーステナイトの分解挙動について検討した結果、引張応力負荷状態においてはオーステナイトの分解が加速することが分かった。また、引張応力負荷状態であっても内部に圧縮の残留応力を有している場合には、オーステナイトの分解が遅延されることが分かった。したがって、残留圧縮応力を転走面に付与すると、残留圧縮応力によって転動時の亀裂発生を遅らせてピニオンシャフト5の寿命を向上させる効果に加えて、残留オーステナイトの分解を抑制するとともに転動時のピニオンシャフト5の曲がりを抑制して、エッジロードの発生を抑えることにより寿命を向上させる効果が得られる。
さらに、旧オーステナイト結晶粒が微細であるほど、残留オーステナイトは分解しにくい傾向がある。これは、旧オーステナイト結晶粒の微細化に伴い、パケット,ブロック等の内部組織も微細化し、残留オーステナイトも分散されるので、分散した残留オーステナイトが周囲のマルテンサイト組織に拘束されるためであると考えられる。したがって、ピニオンシャフト5の表層部の残留応力と結晶粒度を制御することにより、転動時の残留オーステナイトの分解に起因した変形を抑制することができ、高耐久性とすることができる。このような方法によれば、一般的な軸受鋼を使用して、耐久性及びかしめ性に優れた小径のピニオンシャフトを製造することができる。
次に、前述した残留オーステナイト量,残留圧縮応力,旧オーステナイト結晶粒度等の数値の臨界的意義について説明する。
〔表層部の残留オーステナイト量について〕
残留オーステナイトは生地のマルテンサイトよりも軟質なため、ピニオンシャフトの表層部に残留オーステナイトが多く存在すると、表面損傷を与える負荷条件下においては効果的に変形エネルギーを吸収し、転走面へのダメージを抑えて高い耐久性を付与する効果がある。十分な耐久性を得るためには、表層部の残留オーステナイト量は15体積%以上とする必要がある。ただし、表層部の残留オーステナイト量が30体積%を超えると、前記効果が飽和してしまうばかりか、高温での寸法安定性が低下するおそれがある。よって、表層部の残留オーステナイト量は30体積%以下とする必要がある。
〔芯部の残留オーステナイト量について〕
残留オーステナイトが存在すると、マルテンサイトへの変態によって塑性変形が生じる。表層部の残留オーステナイト量の影響も多少はあるが、芯部はピニオンシャフトの体積の大部分を占めることから、芯部に残留オーステナイトが存在すると、ピニオンシャフトに塑性変形が生じやすく、ピニオンシャフトの曲がりが大きくなる。よって、芯部の残留オーステナイト量を0体積%とすれば、表層部に残留オーステナイトが存在しても、ピニオンシャフトの塑性変形はほとんど生じない。
〔表層部の残留圧縮応力について〕
表層部の残留圧縮応力が500MPa未満であると、転動時に負荷された応力に対して有効な残留オーステナイト分解抑制効果が得られないおそれがある。一方、1200MPaを超えると表層部において応力が弾性限度を超えるため、オーステナイトの塑性変形が発生して加工誘起変態が生じ、かえって残留オーステナイトの分解が加速する。さらに、1200MPaを超えるような高周波焼入れ処理では、必然的に硬化深さが得にくい。
残留応力は硬化層と非硬化層のバランスで決定する。さらに、高周波焼入れ処理による硬化層の体積膨張を内部の非硬化層が引っ張る形で、表面に圧縮、内部に引張の応力が作用する。硬化層深さが小さいほど残留圧縮応力は大きくなるため、必要な硬化層深さを得た上で、より高い周波数帯での高周波焼入れ処理が好ましい。
〔表層部の旧オーステナイト結晶粒度について〕
日本工業規格JIS G0551に規定の方法で測定された旧オーステナイト結晶粒度が、粒度番号で10未満(結晶粒が粗大)であると、パケット,ブロック等の内部組織が十分に微細化しないため、残留オーステナイトの分解抑制効果が十分に得られないおそれがある。
〔表層部の平均窒素濃度について〕
鋼中の窒素はMs点を低下させ、残留オーステナイト量を増加させる作用が強い。窒素濃度が0.05質量%未満であると前述の作用が不十分となって、残留オーステナイトを安定的に得ることが困難となり、耐久性の低下を招くおそれがある。ただし、0.6質量%超過としても、前述の作用は飽和する。
〔転走面となる部分の表面硬さについて〕
ピニオンシャフトの耐久性を十分なものとするためには、転走面となる部分の表面硬さがHv700以上であることが好ましい。
〔長手方向端部の表面硬さについて〕
ピニオンシャフトのかしめ性に影響を与える要素として、初析炭化物の他に長手方向端部の表面硬さがある。長手方向端部の表面硬さがHv300を超えると、延性のみならず変形抵抗も増加するので、上限をHv300とすることが好ましい。本発明における熱処理によりピニオンシャフトを製造すれば、長手方向端部の表面硬さは、高周波焼入れ処理が施された転走面となる部分(硬化層)以外の領域(芯部)と同一の硬さとなる。
〔軸受鋼について〕
非金属介在物の量を少なくするためには、軸受鋼中の炭素の含有量を0.5質量%以上1.2質量%以下とすることが好ましい。このような軸受鋼としては、例えば、高炭素クロム軸受鋼や高清浄度の炭素合金鋼があげられる。また、軸受鋼中の酸素の含有量は12ppm以下とすることが好ましく、9ppmとすることがより好ましい。さらに、軸受鋼中の硫黄の含有量は150ppm以下とすることが好ましく、80ppmとすることがより好ましい。
〔実施例〕
以下に、さらに具体的な実施例を示して、本発明を説明する。高炭素クロム軸受鋼(SUJ2)製の鋼材を所定の寸法に旋削加工した後、後述する熱処理(表1,2も参照)を施し、さらに仕上げ研削加工を施すことにより、各種ピニオンシャフト(外径8mm、長さ35mm)を製造した。そして、これらのピニオンシャフトの耐久試験を行った。
Figure 0004807146
Figure 0004807146
熱処理の内容は以下の通りである。旋削加工した鋼材に850℃で1時間又は3時間の浸炭窒化処理を施し、放冷して焼鈍し処理を施した。浸炭窒化処理は、低コストで処理が可能であるため好ましい。続いて、外周面のうち転走面となる部分のみに高周波焼入れ処理を施した後に、焼戻し処理を施した。この高周波焼入れ処理は、高周波誘導加熱(周波数30〜200kHz)により800〜950℃に3〜10秒間加熱した後、噴射冷却するというものである。さらに、焼戻し処理は、180℃で2時間保持した後に冷却するというものである。
なお、比較例1は、850℃で3時間の浸炭窒化処理を施した後に、高周波焼入れ処理は施さずに炉加熱による通常の焼入れ処理(加熱時間は30分間)及び焼鈍し処理を施した。また、比較例3は、浸炭窒化処理の条件を950℃で4時間とした。さらに、比較例4,5は、浸炭窒化処理及び焼鈍し処理を施さずに、旋削加工の後そのまま高周波焼入れ処理を施した。
次に、耐久試験の方法について、図2を参照しながら説明する。キャリアに相当する部材(図示せず)にかしめにより固定されたピニオンシャフト10が外輪11に挿通されており、ピニオンシャフト10の外周面と外輪11の内周面との間に転動自在に介装された複数のニードルローラー12(外径2mm、長さ15mm)によって、ピニオンシャフト10が回転可能とされている。このピニオンシャフト10には図示のように潤滑油の給油孔10aが設けてあり、端面の開口部10bに注入された潤滑油が円筒面に開口する給油孔10aから転走面に給油されるようになっている。
ラジアル荷重5000N、回転速度8000min-1、潤滑油の温度130℃の条件でピニオンシャフト10を回転させ、ピニオンシャフト10に剥離が生じるまでの時間を寿命として評価した。なお、ラジアル荷重は、図示しないサポート軸受を介して外輪11に負荷した。
耐久試験の結果を表1,2に示す。なお、表1,2中の寿命の数値は、比較例2の寿命を1とした場合の相対値で示してある。また、表層部及び芯部の残留オーステナイト量(γR 量)並びに表層部の残留圧縮応力は、転走面をX線回折装置で測定した値である。さらに、表層部の旧オーステナイト結晶粒度は、ピクリン酸と塩化第二鉄を含む溶液で腐食することにより結晶粒界を現出させた後、金属顕微鏡観察を行い、日本工業規格JIS G0551の規定により求めた。
表1,2から分かるように、実施例1〜9のピニオンシャフトは、このような高温下においても優れた耐久性を有していた。特に、表層部の旧オーステナイト結晶粒度が粒度番号で10以上で且つ残留圧縮応力が500MPa以上である実施例2〜5,8,9は、より優れた耐久性を有していた。
これに対して、比較例1は芯部の残留オーステナイ量が多いため、曲がりによるエッジロードが生じて十分な耐久性が得られなかった。また、比較例2は表層部の残留圧縮応力が不十分であり、比較例3は表層部の残留オーステナイ量が多く、比較例4,5は表層部の残留オーステナイ量が不足であるため、十分な耐久性が得られなかった。
本発明は、自動車,工作機械等の減速機や変速機に適用可能である。
本発明の一実施形態であるプラネタリギヤ装置の分解斜視図である。 ピニオンシャフトの耐久試験の方法を説明する断面図である。
符号の説明
1 サンギヤ
2 リングギヤ
3 ピニオンギヤ
4 キャリヤ
5,10 ピニオンシャフト
12 ニードルローラー(ころ)

Claims (2)

  1. プラネタリギヤ装置において使用され、同心に配されたサンギヤ及びリングギヤに噛み合うピニオンギヤを回転自在に支持する軸受鋼製のピニオンシャフトの製造方法であって、鋼材に浸炭窒化処理,焼鈍し処理を施し、続いて、外周面のうち転走面となる部分のみに高周波焼入れ処理を施した後に、焼戻し処理を施すことにより、残留オーステナイト量が15体積%以上30体積%以下で且つ残留圧縮応力が500MPa以上1200MPa以下である表層部と、残留オーステナイト量が0体積%である芯部と、を備えるとともに、日本工業規格JIS G0551に規定の方法で測定された前記表層部の旧オーステナイト結晶粒度が、粒度番号で8以上であり、長手方向端部の表面硬さがHv300以下であるピニオンシャフトを得ることを特徴とするピニオンシャフトの製造方法
  2. サンギヤと、該サンギヤと同心に配されたリングギヤと、前記サンギヤ及び前記リングギヤに噛み合う1個以上のピニオンギヤと、前記ピニオンギヤを回転自在に支持するピニオンシャフトと、前記サンギヤ及び前記リングギヤと同心に配され前記ピニオンギヤが固定されたキャリヤと、を備えるプラネタリギヤ装置の製造方法において、
    前記ピニオンシャフトを請求項1に記載のピニオンシャフトの製造方法で得られたものとし、このピニオンシャフトを前記キャリヤにかしめによって固定することを特徴とするプラネタリギヤ装置の製造方法
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