JP4806963B2 - β−ヒドロキシアミノ酸の製造方法およびこれに用いる酵素 - Google Patents

β−ヒドロキシアミノ酸の製造方法およびこれに用いる酵素 Download PDF

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Description

本発明は、β(beta)−ヒドロキシアミノ酸の製造方法に関し、より詳しくは、新規な酵素を用いたβ−ヒドロキシアミノ酸の製造方法に関する。
β−ヒドロキシアミノ酸、α(alpha)位に光学活性を有するアミノ酸などのアミノ酸は、医薬品の中間体などとしての利用が期待される物質である。α位に異なる2つの置換基を有する光学活性アミノ酸誘導体である光学活性α−アルキルセリン誘導体およびその塩の製造方法としては、例えば以下の方法が知られている。
1)光学活性セリン誘導体とピバルアルデヒドより得られる光学活性オキサゾリジン化合物への不斉アルキル化による方法(非特許文献1)
2)光学活性金属触媒を用いるα−イソシアノカルボン酸エステルとパラホルムアルデヒドの不斉アルドール反応による方法(非特許文献2)
3)光学活性オキサゾリジンクロムカルベン錯体とオキサジン化合物から得られる光学活性β−ラクタム化合物への不斉アルキル化による方法(非特許文献3)
4)光学活性アジリジン化合物の不斉開環反応(非特許文献4)
5)光学活性バリン誘導体と光学活性アラニン誘導体から得られる光学活性ピラジノン化合物への不斉アルキル化による方法(非特許文献5)
6)2−メチル−2−プロペン酸誘導体にシャープレス不斉ジヒドロキシル化を行い、得られる光学活性ジオール化合物を光学活性アジド化合物に導き還元する方法(非特許文献6)
また、医薬品の中間体として有望視される物質の一つとして、例えばα−メチル−L−セリンがある。α−メチル−L−セリンを酵素反応を利用して製造する方法としては、例えば、D−アラニンと5,10−メチレンテトラハイドロ葉酸を原料とし、2−メチルセリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ(EC2.1.2.7)の利用する方法が知られている。従来の技術では、Pseudomonas属細菌由来の酵素をもちいていたが、酵素を得るためには培地中に高価なα−メチル−セリンを添加する必要があった(非特許文献7)。また、Pseudomonas属細菌由来の酵素の場合、4mmolの原料(D−Ala)からα−メチル−L−セリンを得ているが収率は11%であり、実用的に満足のいくものではなかった。
Helvetica Chimica Acta,1987,70,1194−1216 Tetrahedron Letters,1988,29,235−238 Journal of Organic Chemistry,1993,58,5918−5924 Tetrahedron Letters,1995,36,3639−3642 European Journal of Organic Chemistry,2000,2809−2820 Tetrahedron Asymmetry,2001,12,949−957 Wilsonら J.Biol.Chem 237 3171−3179
上記のように光学活性アミノ酸の製法については様々な手法が研究されている。しかし、光学活性アミノ酸やβ−ヒドロキシアミノ酸の種類は多く、より簡便な手法、またはより効率よく、安価に様々な光学活性アミノ酸やβ−ヒドロキシアミノ酸を生成する方法が求められている。本発明は、簡便な手法によるβ−ヒドロキシアミノ酸およびその光学活性体を生成する新たな方法およびこれに用いられる酵素等を提供することを課題とする。
本発明者等はβ−ヒドロキシアミノ酸の新たな製法について鋭意研究したところ、D−アミノ酸を出発物質とし、5,10−メチレンテトラハイドロ葉酸および/または所定のアルデヒドを介在させる反応系において、その反応を触媒する新たなタンパク質を見出した。さらに、このタンパク質を用いることにより、簡便にβ−ヒドロキシアミノ酸を生成でき、しかも生成物が光学活性を生じ得るアミノ酸である場合には、L−アミノ酸を選択的に生成し得ることが見出された。本発明は係る知見に基づくものであり、下記β−ヒドロキシアミノ酸の製造方法およびこれに用いる酵素などを提供するものである。
〔1〕パラコッカス(Paracoccus)属、アミノバクター(Aminobacter)属、およびエンシファー(Ensifer)属からなる群のいずれかの属に属する微生物に由来する酵素の存在下で、下記式(I):
Figure 0004806963
(式(I)において、R1は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜14のアリール基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数7〜19のアラルキル基、炭素数2〜11のアルコキシアルキル基、これらの炭素骨格中にヘテロ原子を含む基、およびこれらの炭素骨格中に炭素−炭素不飽和結合を含む基からなる群より選ばれ、これらの基は直鎖であっても分岐していてもよく、さらに置換基を有していてもよい)
に示されるD−α−アミノ酸と、5,10−メチレンテトラハイドロ葉酸および/または下記式(II):
Figure 0004806963
(式(II)においてR2は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜14のアリール基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数7〜19のアラルキル基、炭素数2〜11のアルコキシアルキル基、これらの炭素骨格中にヘテロ原子を含む基、およびこれらの炭素骨格中に炭素−炭素不飽和結合を含む基からなる群より選ばれ、これらの基は直鎖であっても分岐していてもよく、さらに置換基を有していてもよい)
に示されるアルデヒドとを反応させる、下記式(III):
Figure 0004806963
(式(III)におけるR1は式(I)中のR1と同じであり、式(III)におけるR3は水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜14のアリール基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数7〜19のアラルキル基、炭素数2〜11のアルコキシアルキル基、これらの炭素骨格中にヘテロ原子を含む基、およびこれらの炭素骨格中に炭素−炭素不飽和結合を含む基からなる群より選ばれ、これらの基は直鎖であっても分岐していてもよく、さらに置換基を有していてもよい)
に示されるβ−ヒドロキシアミノ酸の製造方法。
〔2〕式(I)に示されるアミノ酸が、D−α−アラニンであり、式(III)で示されるβ−ヒドロキシアミノ酸がα−メチル−L−セリンである、〔1〕に記載のβ−ヒドロキシアミノ酸の製造方法。
〔3〕下記(A)〜(F)からなる群より選ばれる1種または2種以上のタンパク質の存在下で、下記式(I):
Figure 0004806963
(式(I)において、R1は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜14のアリール基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数7〜19のアラルキル基、炭素数2〜11のアルコキシアルキル基、これらの炭素骨格中にヘテロ原子を含む基、およびこれらの炭素骨格中に炭素−炭素不飽和結合を含む基からなる群より選ばれ、これらの基は直鎖であっても分岐していてもよく、さらに置換基を有していてもよい)
に示されるD−α−アミノ酸と、5,10−メチレンテトラハイドロ葉酸および/または下記式(II):
Figure 0004806963
(式(II)においてR2は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜14のアリール基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数7〜19のアラルキル基、炭素数2〜11のアルコキシアルキル基、これらの炭素骨格中にヘテロ原子を含む基、およびこれらの炭素骨格中に炭素−炭素不飽和結合を含む基からなる群より選ばれ、これらの基は直鎖であっても分岐していてもよく、さらに置換基を有していてもよい)
に示されるアルデヒドとを反応させる、下記式(III):
Figure 0004806963
(式(III)におけるR1は式(I)中のR1と同じであり、式(III)におけるR3は水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜14のアリール基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数7〜19のアラルキル基、炭素数2〜11のアルコキシアルキル基、これらの炭素骨格中にヘテロ原子を含む基、およびこれらの炭素骨格中に炭素−炭素不飽和結合を含む基からなる群より選ばれ、これらの基は直鎖であっても分岐していてもよく、さらに置換基を有していてもよい)
に示されるβ−ヒドロキシアミノ酸の製造方法。
(A)配列表の配列番号5に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質
(B)配列表の配列番号5に記載のアミノ酸配列において、置換、欠失、挿入、付加および逆位からなる群より選ばれる1または数個のアミノ酸の変異を含むアミノ酸配列を有し、かつ、式(III)に示されるβ−ヒドロキシアミノ酸を生成する前記反応を触媒する活性を有するタンパク質
(C)配列表の配列番号11に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質
(D)配列表の配列番号11に記載のアミノ酸配列において、置換、欠失、挿入、付加および逆位からなる群より選ばれる1または数個のアミノ酸の変異を含むアミノ酸配列を有し、かつ、式(III)に示されるβ−ヒドロキシアミノ酸を生成する前記反応を触媒する活性を有するタンパク質
(E)配列表の配列番号16に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質
(F)配列表の配列番号16に記載のアミノ酸配列において、置換、欠失、挿入、付加および逆位からなる群より選ばれる1または数個のアミノ酸の変異を含むアミノ酸配列を有し、かつ、式(III)に示されるβ−ヒドロキシアミノ酸を生成する前記反応を触媒する活性を有するタンパク質
〔4〕式(I)で示されるアミノ酸が、D−α−アラニンであり、式(III)で示されるL−α−アミノ酸がα−メチル−L−セリンである、上記〔3〕に記載のβ−ヒドロキシアミノ酸の製造方法。
〔5〕パラコッカス(Paracoccus)属、アミノバクター(Aminobacter)属、およびエンシファー(Ensifer)属からなる群のいずれかの属に属する微生物に由来し、かつ下記式(I):
Figure 0004806963
(式(I)において、R1は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜14のアリール基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数7〜19のアラルキル基、炭素数2〜11のアルコキシアルキル基、これらの炭素骨格中にヘテロ原子を含む基、およびこれらの炭素骨格中に炭素−炭素不飽和結合を含む基からなる群より選ばれ、これらの基は直鎖であっても分岐していてもよく、さらに置換基を有していてもよい)
に示されるD−α−アミノ酸と、5,10−メチレンテトラハイドロ葉酸および/または下記式(II):
Figure 0004806963
(式(II)においてR2は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜14のアリール基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数7〜19のアラルキル基、炭素数2〜11のアルコキシアルキル基、これらの炭素骨格中にヘテロ原子を含む基、およびこれらの炭素骨格中に炭素−炭素不飽和結合を含む基からなる群より選ばれ、これらの基は直鎖であっても分岐していてもよく、さらに置換基を有していてもよい)
に示されるアルデヒドとを反応させて、下記式(III):
Figure 0004806963
(式(III)におけるR1は式(I)中のR1と同じであり、式(III)におけるR3は水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜14のアリール基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数7〜19のアラルキル基、炭素数2〜11のアルコキシアルキル基、これらの炭素骨格中にヘテロ原子を含む基、およびこれらの炭素骨格中に炭素−炭素不飽和結合を含む基からなる群より選ばれ、これらの基は直鎖であっても分岐していてもよく、さらに置換基を有していてもよい)
に示されるβ−ヒドロキシアミノ酸を生成する反応を触媒する活性を有するタンパク質。
〔6〕下記式(I):
Figure 0004806963
(式(I)において、R1は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜14のアリール基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数7〜19のアラルキル基、炭素数2〜11のアルコキシアルキル基、これらの炭素骨格中にヘテロ原子を含む基、およびこれらの炭素骨格中に炭素−炭素不飽和結合を含む基からなる群より選ばれ、これらの基は直鎖であっても分岐していてもよく、さらに置換基を有していてもよい)
に示されるD−α−アミノ酸と、5,10−メチレンテトラハイドロ葉酸および/または下記式(II):
Figure 0004806963
(式(II)においてR2は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜14のアリール基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数7〜19のアラルキル基、炭素数2〜11のアルコキシアルキル基、これらの炭素骨格中にヘテロ原子を含む基、およびこれらの炭素骨格中に炭素−炭素不飽和結合を含む基からなる群より選ばれ、これらの基は直鎖であっても分岐していてもよく、さらに置換基を有していてもよい)
に示されるアルデヒドとを反応させて、下記式(III):
Figure 0004806963
(式(III)におけるR1は式(I)中のR1と同じであり、式(III)におけるR3は水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜14のアリール基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数7〜19のアラルキル基、炭素数2〜11のアルコキシアルキル基、これらの炭素骨格中にヘテロ原子を含む基、およびこれらの炭素骨格中に炭素−炭素不飽和結合を含む基からなる群より選ばれ、これらの基は直鎖であっても分岐していてもよく、さらに置換基を有していてもよい)
に示されるβ−ヒドロキシアミノ酸を生成する反応を触媒する活性を有する、下記(A)〜(F)からなる群より選ばれるいずれかのタンパク質。
(A)配列表の配列番号5に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質
(B)配列表の配列番号5に記載のアミノ酸配列において、置換、欠失、挿入、付加および逆位からなる群より選ばれる1または数個のアミノ酸の変異を含むアミノ酸配列を有するし、かつ、式(III)に示されるβ−ヒドロキシアミノ酸を生成する前記反応を触媒する活性を有するタンパク質
(C)配列表の配列番号11に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質
(D)配列表の配列番号11に記載のアミノ酸配列において、置換、欠失、挿入、付加および逆位からなる群より選ばれる1または数個のアミノ酸の変異を含むアミノ酸配列を有し、かつ、式(III)に示されるβ−ヒドロキシアミノ酸を生成する前記反応を触媒する活性を有するタンパク質
(E)配列表の配列番号16に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質
(F)配列表の配列番号16に記載のアミノ酸配列において、置換、欠失、挿入、付加および逆位からなる群より選ばれる1または数個のアミノ酸の変異を含むアミノ酸配列を有し、かつ、式(III)に示されるβ−ヒドロキシアミノ酸を生成する前記反応を触媒する活性を有するタンパク質
〔7〕上記〔6〕に記載のタンパク質をコードするポリヌクレオチド。
〔8〕下記(a)から(f)よりなる群から選ばれるポリヌクレオチド。
(a)配列番号4に記載の塩基配列を有するポリヌクレオチド
(b)配列番号4に記載の塩基配列と相補的な塩基配列を有するポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下においてハイブリダイズし、かつ、式(I)のD−α−アミノ酸と、5,10−メチレンTHFおよび/または式(II)のアルデヒドと反応させて、式(III)に示されるβ−ヒドロキシアミノ酸を生成する反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド。
(c)配列番号10に記載の塩基配列を有するポリヌクレオチド
(d)配列番号10に記載の塩基配列と相補的な塩基配列を有するポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下においてハイブリダイズし、かつ、式(I)のD−α−アミノ酸と、5,10−メチレンTHFおよび/または式(II)のアルデヒドと反応させて、式(III)に示されるβ−ヒドロキシアミノ酸を生成する反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド。
(e)配列番号15に記載の塩基配列を有するポリヌクレオチド
(f)配列番号15に記載の塩基配列と相補的な塩基配列を有するポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下においてハイブリダイズし、かつ、式(I)のD−α−アミノ酸と、5,10−メチレンTHFおよび/または式(II)のアルデヒドと反応させて、式(III)に示されるβ−ヒドロキシアミノ酸を生成する反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド。
Figure 0004806963
(式(I)において、R1は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜14のアリール基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数7〜19のアラルキル基、炭素数2〜11のアルコキシアルキル基、これらの炭素骨格中にヘテロ原子を含む基、およびこれらの炭素骨格中に炭素−炭素不飽和結合を含む基からなる群より選ばれ、これらの基は直鎖であっても分岐していてもよく、さらに置換基を有していてもよい)
Figure 0004806963
(式(II)においてR2は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜14のアリール基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数7〜19のアラルキル基、炭素数2〜11のアルコキシアルキル基、これらの炭素骨格中にヘテロ原子を含む基、およびこれらの炭素骨格中に炭素−炭素不飽和結合を含む基からなる群より選ばれ、これらの基は直鎖であっても分岐していてもよく、さらに置換基を有していてもよい)
Figure 0004806963
(式(III)におけるR1は式(I)中のR1と同じであり、式(III)におけるR3は水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜14のアリール基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数7〜19のアラルキル基、炭素数2〜11のアルコキシアルキル基、これらの炭素骨格中にヘテロ原子を含む基、およびこれらの炭素骨格中に炭素−炭素不飽和結合を含む基からなる群より選ばれ、これらの基は直鎖であっても分岐していてもよく、さらに置換基を有していてもよい)
〔9〕上記〔7〕または〔8〕に記載のポリヌクレオチドが組み込まれた組換えポリヌクレオチド。
〔10〕上記〔9〕に記載のポリヌクレオチドが導入された形質転換体。
本発明により、簡便な手法でβ−ヒドロキシアミノ酸を生成することができる。
また、本発明は、光学活性を有するβ−ヒドロキシアミノ酸を生成する場合、L−型のアミノ酸を選択的に生成することができるため、L−アミノ酸の製法として効率がよい。また、本発明により、新規な酵素について組換え体や形質転換体を作製し、安価に大量生産を行うことができる。
以下、本発明の実施の形態についてその最良の形態と共に説明する。
なお、以下に挙げる種々の遺伝子工学的な技法については、Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 3rd edition, Cold Spring Harbor press (2001/01/15)、細胞工学ハンドブック、黒木登志夫ら編、羊土社(1992)、新遺伝子工学ハンドブック改訂第3版、村松ら編、羊土社(1999)など、多くの標準的な実験マニュアルがあり、これらの文献を参考にすることにより当業者であれば実施可能である。
本明細書においては、特に断らない限り、配列番号は配列表中の配列番号を示す。また、本明細書において、酵素とは化学反応を触媒する活性を有するタンパク質のことをいう。
本発明のβ−ヒドロキシアミノ酸の製造方法においては、式(I)のD−α−アミノ酸と、5,10−メチレンテトラハイドロ葉酸(5,10−methylene−tetrahydrofolic acid)および/または式(II)で示されるアルデヒドとを反応させる。なお、本明細書および図面では、テトラハイドロ葉酸をTHFと略称する場合がある。同様に、5,10−メチレンテトラハイドロ葉酸は5,10−メチレンTHFとも表す。5,10−メチレンTHFおよび/または式(II)で示されるアルデヒドは双方を用いてもよいし、いずれか一方のみを用いてもよい。
式(I)におけるR1をより具体的に示すと以下の通りである。
1が炭素数1〜6のアルキル基である場合とは、具体例を示すと、メチル基、エチル基、nプロピル基、イソプロピル基、nブチル基、イソブチル基、secブチル基、tertブチル基、nペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、nヘキシル基、イソヘキシル基などが挙げられる。
また、R1が炭素数6〜14のアリール基である場合とは、具体例を示すと、フェニル基、トリル基、キシリル基、ビフェニリル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基などが挙げられる。
1が炭素数3〜10のシクロアルキル基である場合とは、具体例を示すと、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプタニル基、シクロオクタニル基、シクロノナニル基、シクロデカニル基などが挙げられる。
1が炭素数が7〜19のアラルキル基である場合とは、具体例を示すと、ベンジル基、ベンズヒドリル基、フェネチル基、トリチル基などのフェニルアルキル基、シンナミル基、スチリル基、ナフチルアルキル基などが挙げられる。
1が炭素数2〜11のアルコキシアルキル基である場合とは、具体例を示すと、炭素数1〜10のアルキル基に、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、フェノキシ基、ヘプトキシ基、オクトキシ基、ノナノキシ基、およびデカノキシ基から選ばれる基が置換されたものなどが挙げられる。
1は、上記炭化水素の炭素骨格中にヘテロ原子を含む基であってもよい。ヘテロ原子としては、酸素、窒素、硫黄などが挙げられる。
1が炭素骨格中にヘテロ原子を含む基である一形態には、複素環含有炭素水素基が含まれる。複素環含有炭化水素基とは、環式化合物の環にヘテロ原子を含む環系炭化水素基である。複素環含有炭化水素基としてはヘテロアリール基などが含まれ、芳香族性の有無には限定されず、また単環式であっても多環式であってもよい。複素環含有炭化水素基として具体的には、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピペリジル基、ピペリジノ基、モルホリノ基、インドリル基、イミダゾリル基、さらには、これらの複素環基により置換されたアルキル基等が含まれる。
また、R1は、上記に示す基において炭素骨格中に炭素−炭素不飽和結合を含む炭化水素基であってもよい。
さらに、上記R1は、直鎖状であっても分岐を有していてもよい。また、R1は、上記の炭化水素基の一部に、ハロゲン原子、炭素数3までのアルキル基、炭素数3までのアルコキシル基、ケト基(=O)、水酸基(−OH)、チオール基(−SH)、アミノ基(−NH2)、アミド基(−CONH2)、イミノ基(=NH)、ヒドラジノ基(−NHNH2)等から選ばれる1種または2種以上が置換・付加されたものであってもよい。
式(I)に示されるD−α−アミノ酸としては、例えば、それぞれD−α−型の、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、システイン、メチオニン、アスパラギン、グルタミン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リシン、アルギニン、ヒスチジン、2−アミノ−n−酪酸などが挙げられ、好ましくは、アラニン、セリン、2−アミノ−n−酪酸、より好ましくはアラニンが例示される。
式(II)におけるR2をより具体的に示すと次の通りである。
2が炭素数1〜6のアルキル基である場合とは、具体例を示すと、メチル基、エチル基、nプロピル基、イソプロピル基、nブチル基、イソブチル基、secブチル基、tertブチル基、nペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、nヘキシル、イソヘキシル基などが挙げられる。
また、R2が炭素数6〜14のアリール基である場合とは、具体例を示すと、フェニル基、トリル基、キシリル基、ビフェニリル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、などが挙げられる。
2が炭素数3〜10のシクロアルキル基である場合とは、具体例を示すと、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプタニル基、シクロオクタニル基、シクロノナニル基、シクロデカニル基などが挙げられる。
2が炭素数7〜19のアラルキル基である場合とは、具体例を示すと、ベンジル基、ベンズヒドリル基、フェネチル基、トリチル基などのフェニルアルキル基、シンナミル基、スチリル基、並びにナフチルアルキル基、などが挙げられる。
2が炭素数2〜11のアルコキシアルキル基である場合とは、具体例を示すと、炭素数1〜10のアルキル基に、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、フェノキシ基、ヘプトキシ基、オクトキシ基、ノナノキシ基、およびデカノキシ基から選ばれる基が置換されたものなどが挙げられる。
2は、上記炭化水素の炭素骨格中にヘテロ原子を含む基であってもよい。ヘテロ原子としては、酸素、窒素、硫黄などが挙げられる。
2が炭素骨格中にヘテロ原子を含む基である一形態には、複素環含有炭素水素基が含まれる。複素環含有炭化水素基とは、環式化合物の環にヘテロ原子を含む環系炭化水素基である。複素環含有炭化水素基としてはヘテロアリール基などが含まれ、芳香族性の有無には限定されず、また単環式であっても多環式であってもよい。複素環含有炭化水素基として具体的には、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピペリジル基、ピペリジノ基、モルホリノ基、インドリル基、イミダゾリル基、さらには、これらの複素環基により置換されたアルキル基等が含まれる。
また、R2は、上記に示す基において炭素骨格中に炭素−炭素不飽和結合を含む炭化水素基であってもよい。
さらに、上記R2は、直鎖状であっても分岐を有していてもよい。また、R2は、上記の炭化水素基の一部に、ハロゲン原子、炭素数3までのアルキル基、炭素数3までのアルコキシル基、ケト基(=O)、水酸基(−OH)、チオール基(−SH)、アミノ基(−NH2)、アミド基(−CONH2)、イミノ基(=NH)、ヒドラジノ基(−NHNH2)等から選ばれる1種または2種以上が置換・付加されたものであってもよい。
なお、式(II)はホルムアルデヒド(R2が水素)は含まない。しかし、ホルムアルデヒドは、5,10−メチレンTHFを供給するために使用し得る。5,10−メチレンTHFは、ホルムアルデヒドとTHFとを反応させることにより容易に得ることができる。また、5,10−メチレンTHFと式(I)のD−アミノ酸とを反応させると、THFを生じる。すなわち、5,10−THFとTHFは、循環的反応系を形成し得る。本発明においては、THFの循環的反応系を副次的反応系として利用することができる。
式(III)におけるR1は式(I)におけるそれと同じである。また、式(III)において、R3は、水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜14のアリール基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数7〜19のアラルキル基、炭素数2〜11のアルコキシアルキル基、これらの炭素骨格中にヘテロ原子を含む基、およびこれらの炭素骨格中に炭素−炭素不飽和結合を含む基からなる群より選ばれ、これらの基は直鎖であっても分岐していてもよく、さらに置換基を有していてもよい。R3において、水素以外の選択し得る炭化水素基の具体例は、上記R2と同じである。
本発明おける好ましい一形態としては、例えば、D−α−アラニンと5、10−メチレンTHFとを反応させて、α−メチル−L−セリンを生成する系が含まれる。図1に、その反応系の具体例を示す。
図1に示すように、THFとホルムアルデヒドとを反応させることにより、5,10−メチレンTHFを生成する。5,10−メチレンTHFとD−α−アラニンとを所定の酵素の存在下において反応させる。その反応によって、D−α−メチルセリンを生成すると共にTHFを生成する。THFは5,10−メチレンTHFを供給するための原料として再利用し得る。ホルムアルデヒドによって5,10−メチレンTHFを再生する形態の場合、少量のホルムアルデヒドを逐次的に反応系に添加していくことが好ましい。ホルムアルデヒドは反応性が高いため、5,10−メチレンTHFの消費に合わせて逐次添加することにより、副産物等の生成を抑制し得る。
また、図1の例に示されるように、本発明のβ−ヒドロキシアミノ酸の製造方法は、所定の酵素を用いることにより、L体のアミノ酸を優先的に生成させる方法として好適である。ここで「L体を優先的に生成」とは、生成されるβ−ヒドロキシアミノ酸に占めるL体の比率が、D体よりも高いことを意味し、好ましくはL体の比率が70%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上である。この場合のセリン誘導体に占めるL体の比率は[L体]/([D体]+[L体])*100で算出される。
反応温度は、好ましくは10〜50℃、より好ましくは20〜40℃である。また、反応系のpHは、好ましくは5〜9であり、より好ましくは6〜8である。
本発明において、5,10−メチレンTHFおよび/または式(II)のアルデヒドと、D−α−アミノ酸との反応は所定の酵素の存在下において行われる。この反応を触媒し得る酵素としては、例えば、パラコッカス(Paracoccus)属、アミノバクター(Aminobacter)属、およびエンシファー(Ensifer)属からなる群のいずれかの属に属する微生物から得ることができる。微生物についてのより具体的な例としては、パラコッカス・エスピー(Paracoccus sp.)、アミノバクター・エスピー(Aminobactor sp.)、エンシファー・エスピー(Ensifer・sp.)などが挙げられ、より好ましくは、パラコッカス・エスピー FERM P−20448、アミノバクター・エスピーFERM P−20445、エンシファー・エスピーFERM P−20446などが例示される。
なお、FERM番号が付与された菌株は下記の通り寄託された菌株であり、各番号を参照の上、所定の手続により分譲を受けることができる。
(1)名称:パラコッカス・エスピー AJ110402
寄託番号:FERM P−20448
寄託機関:独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター
寄託機関住所:日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6
寄託された日:2005年3月8日
(2)名称;アミノバクター・エスピー AJ110403
寄託番号:FERM P−20445
寄託機関:独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター
寄託機関住所:日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6
寄託された日:2005年3月8日
(3)名称:エンシファー・エスピー AJ110404
寄託番号:FERM P−20446
寄託機関:独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター
寄託機関住所:日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6
寄託された日:2005年3月8日
本発明においてβ−ヒドロキシアミノ酸を生成する反応に用いられる酵素としては、より具体的には下記のタンパク質が例示される。
(A)配列表の配列番号5に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質
(B)配列表の配列番号5に記載のアミノ酸配列において、置換、欠失、挿入、付加および逆位からなる群より選ばれる1または数個のアミノ酸の変異を含むアミノ酸配列を有し、かつ、式(III)に示されるβ−ヒドロキシアミノ酸を生成する前記反応を触媒する活性を有するタンパク質
(C)配列表の配列番号11に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質
(D)配列表の配列番号11に記載のアミノ酸配列において、置換、欠失、挿入、付加および逆位からなる群より選ばれる1または数個のアミノ酸の変異を含むアミノ酸配列を有し、かつ、式(III)に示されるβ−ヒドロキシアミノ酸を生成する前記反応を触媒する活性を有するタンパク質
(E)配列表の配列番号16に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質
(F)配列表の配列番号16に記載のアミノ酸配列において、置換、欠失、挿入、付加および逆位からなる群より選ばれる1または数個のアミノ酸の変異を含むアミノ酸配列を有し、かつ、式(III)に示されるβ−ヒドロキシアミノ酸を生成する前記反応を触媒する活性を有するタンパク質
上記のタンパク質を用いることにより、β−ヒドロキシアミノ酸を簡便に生成することができる。また、本発明の方法によって、β−ヒドロキシアミノ酸のなかでもα位に不斉炭素を有するL−アミノ酸を選択性良く生成し得る。特に、D−α−アラニンと5,10−メチレンTHFとを反応させる系においては、実質的にα−メチル−L−セリンのみを生成可能であり、効率よく光学活性アミノ酸を得ることができる。
配列番号5に示すアミノ酸を有するタンパク質(A)は、パラコッカス・エスピー FERM P−20448株から単離し得る。また、配列番号11に示すアミノ酸を有するタンパク質(C)は、アミノバクター・エスピーFERM P−20445株から単離し得る。また、配列番号16に示すアミノ酸を有するタンパク質(E)は、エンシファー・エスピーFERM P−20446から単離し得る。
上記のように、本発明においては、(A)、(C)および(E)のタンパク質と実質的に同一のタンパク質も用い得る。まず(A)のタンパク質を例とすると、上記(A)に示すタンパク質と実質的に同じタンパク質として(B)に示すタンパク質が提供される。ここで、「数個」とは、アミノ酸残基のタンパク質の立体構造における位置や種類によっても異なるが、アミノ酸残基のタンパク質の立体構造や活性を大きく損なわない範囲のものであり、具体的には、2〜50個、好ましくは2〜30個、さらに好ましくは2〜10個である。ただし、(B)のタンパク質のアミノ酸配列において1または数個の置換、欠失、挿入、付加および逆位からなる群より選ばれる1または数個のアミノ酸の変異を含むアミノ酸配列の場合には、30℃、pH6.5−8.0の条件下で、(A)のタンパク質の半分程度以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上の酵素活性を保持していることが望ましい。
上記(B)に示されるようなアミノ酸の変異は、例えば部位特異的変異法によって、本タンパク質をコードする遺伝子の特定の部位のアミノ酸が置換、欠失、挿入、付加などされるように塩基配列を改変することによって得られる。また、上記のような改変された塩基配列を有するポリヌクレオチドは、従来知られている突然変異処理によっても取得され得る。突然変異処理としては、(A)をコードするDNAをヒドロキシアミン等でインビトロ処理する方法、及び(A)をコードするDNAを保持するエシェリヒア属細菌を、紫外線照射またはN−メチル−N’−ニトロ−N−ニトロソグアニジン(NTG)もしくは亜硝酸等の通常人工突然変異に用いられている変異剤によって処理する方法が挙げられる。
また、上記のような塩基の置換、欠失、挿入、付加、および逆位等の変異には、微生物の種あるいは菌株による差等、天然に生じる変異も含まれる。上記のような変異を有するDNAを適当な細胞で発現させ、発現産物の本酵素活性を調べることにより、(A)のタンパク質と実質的に同一のタンパク質をコードするDNAが得られる。
(A)のタンパク質と(B)のタンパク質の関係と同様に、(C)のタンパク質と実質的に同一のタンパク質として(D)のタンパク質が、(E)のタンパク質と実質的に同一のタンパク質として(F)のタンパク質が例示される。
また、(A)、(C)および(E)のタンパク質とそれぞれ実質的に同一のタンパク質として、アミノ酸配列による相同性が、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上の配列を有するタンパク質が例示される。なお、本明細書において、アミノ酸配列の相同性の計算は、株式会社ゼネティックスのソフトウェアGENETYX Ver7.0.9を使用し、ORFにコードされるポリペプチド鎖全長をもちいて、Unit Size to Compare=2の設定でMarching countをpercentage計算させた際の数値またはこれと同等の計算手法による数値である。
本発明は、上記タンパク質をコードするポリヌクレオチドも提供する。コドンの縮重により、1つのアミノ酸配列を規定する塩基配列は複数あり得る。すなわち、本発明のポリヌクレオチドとして、上記(A)、(B)、(C)、(D)、(E)および(F)に示されるタンパク質をコードする塩基配列を有するポリヌクレオチドが含まれる。
本発明のポリヌクレオチドとして具体的には、下記(a)、(c)、(e)に示すポリヌクレオチドが例示される。
(a)配列番号4に記載の塩基配列を有するポリヌクレオチド
(c)配列番号10に記載の塩基配列を有するポリヌクレオチド
(e)配列番号15に記載の塩基配列を有するポリヌクレオチド
上記(a)のポリヌクレオチドは、(A)のタンパク質をコードしており、パラコッカス・エスピー FERM P−20448株から単離し得る。また、(c)のポリヌクレオチドは、(C)のタンパク質をコードしており、アミノバクター・エスピーFERM P−20445株から単離し得る。また、(e)のポリヌクレオチドは(E)のタンパク質をコードしており、エンシファー・エスピーFERM P−20446から単離し得る。
単離の方法について(a)のポリヌクレオチドの場合を例に説明する。配列番号4に記載の塩基配列を有するDNAは、パラコッカス・エスピーの染色体DNA、もしくはDNAライブラリーから、PCR(polymerase chain reacion、White,T.J.et al;Trends Genet.,5,185(1989)参照)またはハイブリダイゼーションによって取得することができる。PCRに用いるプライマーは、例えば本発明の方法における反応を触媒する活性を有する精製タンパク質に基づいて決定された内部アミノ酸配列に基づいて設計することができる。また、配列番号4に記載された塩基配列に基づいてプライマーまたはハイブリダイゼーション用のプローブを設計することもでき、あるいはプローブを使って単離することもできる。PCR用のプライマーとして、コード領域を挟むように、5’非翻訳領域及び3’非翻訳領域に対応する配列を有するプライマーの組み合わせを用いると、本タンパク質のコード領域全長を増幅することができる。
プライマーの合成は、例えば、Applied Biosystems社製DNA合成機 model 380Bを使用し、ホスホアミダイト法を用いて(Tetrahedron Letters(1981),22,1859参照)常法に従って合成できる。PCR反応は、例えばGene Amp PCR System 9600(PERKIN ELMER社製)及びTaKaRa LA PCR in vitro Cloning Kit(タカラバイオ社)などを用い、各メーカーなど供給者により指定された方法に従って行うことができる。
また、上記(a)、(c)、(e)と実質的に同一のポリヌクレオチドも本発明のポリヌクレオチドに含まれる。(a)と実質的に同一のポリヌクレオチドとして下記(b)のポリヌクレオチドが、また(c)と実質的に同一のポリヌクレオチドとして下記(d)のポリヌクレオチドが、また(e)と実質的に同一のポリヌクレオチドとして下記(f)のポリヌクレオチドが例示される。
(b)配列番号4に記載の塩基配列と相補的な塩基配列を有するポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下においてハイブリダイズし、かつ、式(I)のD−α−アミノ酸と、5,10−メチレンTHFおよび/または式(II)のアルデヒドと反応させて、式(III)に示されるβ−ヒドロキシアミノ酸を生成する反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド。
(d)配列番号10に記載の塩基配列と相補的な塩基配列を有するポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下においてハイブリダイズし、かつ、式(I)のD−α−アミノ酸と、5,10−メチレンTHFおよび/または式(II)のアルデヒドと反応させて、式(III)に示されるβ−ヒドロキシアミノ酸を生成する反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド。
(f)配列番号15に記載の塩基配列と相補的な塩基配列を有するポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下においてハイブリダイズし、かつ、式(I)のD−α−アミノ酸と、5,10−メチレンTHFおよび/または式(II)のアルデヒドと反応させて、式(III)に示されるβ−ヒドロキシアミノ酸を生成する反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド。
ハイブリダイズさせるポリヌクレオチドとしては、例えばプローブを用い得る。それぞれの場合において、プローブは、配列番号4、10、15に記載の各塩基配列に基づいて定法により作製することができる。また、プローブを用いてこれとハイブリダイズするポリヌクレオチドをつり上げ、目的とするポリヌクレオチドを単離する方法も、定法に従って行えばよい。例えば、DNAプローブは、プラスミドやファージベクターにクローニングされた塩基配列を増幅し、プローブとして用いたい塩基配列を制限酵素により切り出し、抽出して調製することができる。切り出す箇所は、目的とするDNAに応じて調節することができる。また、一旦、上記のような実質的に同一のポリヌクレオチドが検出された後は、PCR等によって増幅することも定法により可能である。
「ストリンジェントな条件」とは、いわゆる特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいう。この条件を明確に数値化することは困難であるが、一例を示せば、相同性が高いDNA同士、例えば50%以上、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上の相同性を有するDNA同士がハイブリダイズし、それより相同性が低いDNA同士がハイブリダイズしない条件が挙げられる。なお、塩基配列についての相同性(%)の計算は各遺伝子のORF全体(終止コドンを含む)をもちいて、株式会社ゼネティックスのソフトウェアGENETYX Ver7.0.9を使用し、Unit Size to Compare=6、pick up location=1の設定でpercentage計算させた数値として表示する。また、他の例として、通常のサザンハイブリダイゼーションの洗いの条件である60℃、1×SSC、0.1%SDS、好ましくは、0.1×SSC、0.1%SDSに相当する塩濃度でハイブリダイズする条件が挙げられる。このような条件でハイブリダイズする遺伝子の中には途中にストップコドンが発生したものや、活性中心の変異により活性を失ったものも含まれるが、それらについては、市販の発現ベクターにつなぎ、適当な宿主で発現させて、発現産物の酵素活性を後述の方法で測定することによって容易に取り除くことができる。
なお、上記のように上記(b)のポリヌクレオチドの場合には、それぞれ30℃、pH8の条件下で、上記配列番号4の塩基配列によりコードされるアミノ酸配列を有するタンパク質(A)の半分程度以上の活性、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上の触媒活性を保持していることが望ましい。上記(d)のポリヌクレオチドの場合については(C)のタンパク質と対比して同様である。また上記(f)のポリヌクレオチドの場合については(E)のタンパク質と対比して同様である。
本発明において用いられる酵素は、上記のような反応を触媒し得る状態で反応系内に存在すれば、その形態に特に限定はない。具体的形態としては、酵素を生産する微生物の培養物、その培養物から分離された微生物菌体、菌体処理物などが含まれる。微生物の培養物とは、微生物を培養して得られる物のことであり、より具体的には、微生物菌体、その微生物の培養に用いた培地および培養された微生物により生成された物質の混合物などのことをいう。また、微生物菌体は洗浄し、洗浄菌体として用いてもよい。また、菌体処理物には、菌体を破砕、溶菌、凍結乾燥したものなどが含まれ、さらに菌体などを処理して回収される粗精製タンパク質、さらに精製した精製タンパク質なども含まれる。精製処理されたタンパク質としては、各種精製法によって得られる部分精製タンパク質等を使用してもよいし、これらを共有結合法、吸着法、包括法等によって固定化した固定化タンパク質を使用してもよい。また、使用する微生物によっては、培養中に一部、溶菌するものもあるので、この場合には培養液上清も酵素含有物として利用できる。
次に本発明のタンパク質の製造方法、並びにこれに用いられる組換え体および形質転換体の作製方法について、上記(A)のタンパク質を一例として説明する。他のタンパク質についても同様に実施可能である。
上記(A)のタンパク質を発現する形質転換体は、上記(a)の塩基配列を有するポリヌクレオチドを組み込んだ組換えポリヌクレオチドを作製し、これを用いて作製することができる。例えば、配列番号4に示される塩基配列を有するDNAを組み込んだ組換えDNAを作製して適切な宿主に導入することにより(A)のタンパク質を発現する形質転換体が得られる。配列番号4の塩基配列を有するDNAにより特定されるタンパク質を発現させるための宿主としては、例えばエシェリヒア・コリ(Escherichia coli)等のエシェリヒア属細菌、コリネバクテリウム属細菌、及びバチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)をはじめとする種々の原核細胞、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、ピヒア・スティピティス(Pichia stipitis)、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)をはじめとする種々の真核細胞を用いることができる。培養等の取り扱いが簡便で、高価な成分を要せずとも培養できる宿主を用いることにより、β−ヒドロキシアミノ酸の大量生産をより簡便に、また安価に行うことができる。
配列番号4の塩基配列を有するDNAを宿主に導入するために用いる組換えDNAは、発現させようとする宿主の種類に応じたベクターに、これらのDNAを、DNAがコードするタンパク質が発現可能な形態で挿入することで調製可能である。タンパク質を発現させるためのプロモータとしては、パラコッカス・エスピー、アミノバクター・エスピー、エンシファー・エスピーなどに由来する上記酵素をコードする遺伝子固有のプロモータが宿主細胞で機能する場合には、そのプロモータを使用することができる。また、必要に応じて宿主細胞で働く他のプロモータを、配列番号4などのDNAに連結し、そのプロモータ制御下で発現させるようにしてもよい。
組換えDNAを宿主細胞に導入するための形質転換法としては、D.M.Morrisonの方法(Methods in Enzymology 68, 326 (1979))あるいは受容菌細胞を塩化カルシウムで処理してDNAの透過性を増す方法(Mandel,M. and Higa,A.,J.Mol.Biol.,53,159(1970))等が挙げられる。
目的のタンパク質を組換えDNA技術を用いて大量生産する場合、そのタンパク質を生産する形質転換体内でそのタンパク質が会合し、タンパク質の封入体(inclusion body)を形成させる形態も好ましい一実施形態として挙げられる。この発現生産方法の利点は、目的のタンパク質を菌体内に存在するプロテアーゼによる消化から保護する点および目的のタンパク質を菌体破砕に続く遠心分離操作によって簡単に精製できる点等である。タンパク質封入体から活性型タンパク質を得るためには、可溶化・活性再生等の一連の操作が必要であり、直接活性型タンパク質を生産する場合よりも操作が複雑になる。しかし、菌体の生育に影響を及ぼすようなタンパク質を菌体内で大量に生産させる場合は、不活性なタンパク質封入体として菌体内に蓄積させることにより、その影響を抑えることができる。
目的タンパク質を封入体として大量生産させる方法として、強力なプロモータの制御下、目的のタンパク質を単独で発現させる方法の他、大量発現することが知られているタンパク質との融合タンパク質として発現させる方法がある。
形質転換される宿主は、異種遺伝子の発現に通常用いられる株を使用することができるが、大腸菌K12株亜種のエシェリヒア コリ JM109株、DH5α株、HB101株、BL21株などが好適な例として挙げられる。形質転換を行う方法、および形質転換体を選別する方法はMolecular Cloning: A Laboratory Manual, 3rd edition, Cold Spring Harbor press (2001/01/15)などにも記載されている。以下、形質転換された大腸菌を作製し、これを用いて所定の酵素を製造する方法を、一例としてより具体的に説明する。
本発明で用いられる触媒活性を有するタンパク質をコードするDNAを発現させるプロモータとしては、通常大腸菌における異種タンパク質生産に用いられるプロモータを使用することができ、例えば、T7プロモータ、lacプロモータ、trpプロモータ、trcプロモータ、tacプロモータ、ラムダファージのPRプロモータ、PLプロモータ等の強力なプロモータが挙げられる。また、ベクターとしては、pUC19、pUC18、pBR322、pHSG299、pHSG298、pHSG399、pHSG398、RSF1010、pMW119、pMW118、pMW219、pMW218、pACYC177、pACYC184、およびその誘導体等を用いることができる。他にもファージDNAのベクターも利用できる。さらに、プロモータを含み、挿入DNA配列を発現させることができる発現ベクターを使用することもできる。
本発明で用いられるタンパク質を融合タンパク質封入体として生産させるためには、そのタンパク質の上流あるいは下流に、他のタンパク質、好ましくは親水性であるペプチドをコードする遺伝子を連結して、融合タンパク質遺伝子とする。このような他のタンパク質をコードする遺伝子としては、融合タンパク質の蓄積量を増加させ、変性・再生工程後に融合タンパク質の溶解性を高めるものであればよく、例えば、T7gene 10、β−ガラクトシダーゼ遺伝子、デヒドロ葉酸還元酵素遺伝子、インターフェロンγ遺伝子、インターロイキン−2遺伝子、プロキモシン遺伝子等が候補として挙げられる。
これらの遺伝子とタンパク質をコードする遺伝子とを連結する際には、コドンの読み取りフレームが一致するようにする。適当な制限酵素部位で連結するか、あるいは適当な配列の合成DNAを利用すればよい。
また、生産量を増大させるためには、融合タンパク質遺伝子の下流に転写終結配列であるターミネータを連結することが好ましい場合がある。このターミネータとしては、T7ターミネータ、fdファージターミネータ、T4ターミネータ、テトラサイクリン耐性遺伝子のターミネータ、大腸菌trpA遺伝子のターミネータ等が挙げられる。
触媒活性を有するタンパク質またはその融合タンパク質をコードする遺伝子を大腸菌に導入するためのベクターとしては、いわゆるマルチコピー型のものが好ましく、ColE1由来の複製開始点を有するプラスミド、例えばpUC系のプラスミドやpBR322系のプラスミドあるいはその誘導体が挙げられる。ここで、「誘導体」とは、塩基の置換、欠失、挿入、付加および/または逆位などによってプラスミドに改変を施したものを意味する。なお、ここでいう改変とは、変異剤やUV照射などによる変異処理、あるいは自然変異などによる改変をも含む。
また、形質転換体を選別するために、ベクターがアンピシリン耐性遺伝子等のマーカーを有することが好ましい。このようなプラスミドとして、強力なプロモータを持つ発現ベクターが市販されている(pUC系(タカラバイオ社製)、pPROK系(クローンテック製)、pKK233−2(クローンテック製)ほか)。
プロモータ、所定の活性を有する目的タンパク質またはその目的タンパク質と他のタンパク質との融合タンパク質をコードする遺伝子、場合によってはターミネータの順に連結したDNA断片と、ベクターDNAとを連結して組換えDNAを得る。
得られた組換えDNAを用いて大腸菌を形質転換し、この大腸菌を培養すると、所定のタンパク質またはその融合タンパク質が発現生産される。
融合タンパク質として発現させた場合、血液凝固因子Xa、カリクレインなどの、目的タンパク質内に存在しない配列を認識配列とする制限プロテアーゼを用いて目的とするタンパク質を切り出せるようにしてもよい。
生産培地としては、M9−カザミノ酸培地、LB培地など、大腸菌を培養するために通常用いる培地を用いてもよい。また、培養条件、生産誘導条件は、用いたベクターのマーカー、プロモータ、宿主菌等の種類に応じて適宜選択する。
目的のタンパク質またはこれを含む融合タンパク質を回収するには、以下の方法などがある。目的タンパク質あるいはその融合タンパク質が菌体内に可溶化されていれば、菌体を回収した後、菌体を破砕あるいは溶菌させ、粗酵素液として使用できる。さらに、必要に応じて、通常の沈澱、濾過、カラムクロマトグラフィー等の手法により、目的タンパク質あるいはその融合タンパク質を精製して用いることも可能である。この場合、目的タンパク質あるいは融合タンパク質の抗体を利用した精製法も利用できる。タンパク質封入体が形成される場合には、変性剤でこれを可溶化し、変性剤を透析等により除去して目的タンパク質を得ることができる。
以下、本発明について実施例を示しより詳細に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
実施例1:2−メチルセリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ活性の検出
Nutrient Broth寒天培地(Difco社)で、表1に示した微生物をそれぞれ30℃、24時間培養した。得られた菌体を3mlのNutrient Broth液体培地に1白金耳接種し、30℃、120往復/分で24時間培養した。得られた培養液0.15mlを0.2%α−メチル−DL−セリンを含む3mlのNutrient Broth液体培地に接種し、30℃、120往復/分で24時間培養した。
培養後、菌体を遠心分離し、培養液と等量の0.1mMピリドキサールリン酸を含む50mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.4)で菌体を2回洗浄した。0.1mMピリドキサールリン酸を含む50mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.4)を用いて、全量0.3mlの菌体懸濁液を調製し、4℃にて超音波破砕処理をした。遠心分離(16,000g、10分)で得られる上清を0.1mMピリドキサールリン酸を含む50mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.4)に対して透析し、無細胞抽出液とした。
50mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.4)、10mM α−メチル−DL−セリン、0.5mM テトラヒドロ葉酸、10mM 2−メルカプトエタノール、0.01mM ピリドキサールリン酸、10mM アスコルビン酸ナトリウム、0.4mM NADP、1U/ml 5,10−メチレンテトラヒドロ葉酸脱水素酵素の組成を有する反応液−1に、0.05mlの無細胞抽出液を添加して、全量0.1mlで30℃、10分間反応させた。0.15mlの0.6N塩酸により反応を停止し、遠心分離(16,000g、10分)で得られる上清を室温にて10分間放置した。生じる5,10−メテニル−5,6,7,8−テトラヒドロ葉酸に起因する350nmの吸光度(E11)を測定した。なお、対照として、前記反応液−1においてα−メチル−DL−セリンの代わりに水を添加したもので行った反応によって得られる反応液の5,10−メテニル−5,6,7,8−テトラヒドロ葉酸に起因する吸光度(E10)を測定し、α−メチル−DL−セリン特異的な吸光度変化(EΔ1=E11−E10)を算出し、表1に示した。
Figure 0004806963
実施例2:Paracoccus sp. AJ110402株由来2−メチルセリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼの精製
(1)無細胞抽出液の調製
Nutrient Broth寒天培地(Difco社)で30℃、24時間培養したパラコッカス・スピーシーズの菌体を500ml容の坂口フラスコ内の50mlのNutrient Broth液体培地に接種し、30℃、120往復/分で24時間培養した。得られた培養液を0.2% α−メチル−DL−セリン、0.17% Yeast Nitorogen Base w/o amino acid and ammonium sulfate(pH7.0)液体培地2Lに接種し、500ml容の坂口フラスコに50mlずつ分注し、30℃、120往復/分で22時間培養した。得られた菌体を遠心分離(8,000g、10分)により集菌し、0.02mMピリドキサールリン酸を含む25mMリン酸カリウム緩衝液(以下、緩衝液Iとする)で2回洗浄し、緩衝液Iを用いて100mlの菌体懸濁液を調製した。超音波破砕処理により菌体を破砕し、遠心分離(18,000g、10分)で得られる上清を超遠心分離(200,000g、30分)を行い、得られた上清を無細胞抽出液とした。
(2)陰イオン交換クロマトグラフィー
無細胞抽出液を予め緩衝液Iで平衡化したResourceQカラム(アマシャムバイオサイエンス社製)にアプライし、0−1M塩化ナトリウムの直線的濃度勾配により酵素を溶出した。なお、この操作は無細胞抽出液を半量づつ2回に分けて行った。
(3)疎水性相互作用クロマトグラフィー
上記(2)で得られた酵素の活性画分を等量の2M硫酸アンモニウムを含む緩衝液Iと混和し、予め1M硫酸アンモニウムを含む緩衝液Iと平衡化したPhenyl−Sepharoseカラム(アマシャムバイオサイエンス社製)にアプライし1−0M硫酸アンモニウムの直線的濃度勾配により、酵素を溶出した。
(4)ヒドロキシアパタイトカラムクロマトグラフィー
上記(3)で得られた酵素の活性画分を0.02mMピリドキサールリン酸を含む2.5mMリン酸カリウム緩衝液(pH6.8)に透析し、予め同緩衝液で平衡化されたCellulofineHApカラム(生化学工業製)にアプライした。2.5−250mMのリン酸カリウム緩衝液(pH6.8)にて酵素を溶出させた。この酵素の活性画分を下記実験において精製酵素として用いた。
このようにして得られた酵素の活性画分は、比活性3.51U/mgであり、SDS−ポリアクリルアミド電気泳動に供し、クーマシーブリリアントブルー染色液でゲルを染色させたところ、分子量約47,000の位置に均一なバンドが検出された。
実施例3:Paracoccus sp. AJ110402株由来2−メチルセリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼのアミノ酸配列およびコードする塩基配列の決定
実施例2で調製した精製酵素50pmol相当をSDS−ポリアクリルアミド電気泳動後、PVDF膜に転写し、プロテインシーケンサーに供し、30アミノ酸を決定した(配列番号1)。
次いで、Paracoccus sp. AJ110402株のゲノムDNA5μgをPstI(50U)にて切断した後、TaKaRaLA PCR in vitro Cloning Kitのマニュアル記載の方法に従って、PstIカセットとライゲートした。ライゲートミックスを鋳型として、カセットプライマーC1とプライマーHMT_FW1(配列番号2)の組み合わせによってPCR(94℃:30秒、47℃:2分、72℃:1分、30サイクル)を行った。次いでこのPCR反応液を鋳型として2回目のPCR(94℃:30秒、55℃:2分、72℃:1分、30サイクル)をカセットプライマーC2とプライマーHMT_FW2(配列番号3)をもちいて行った。増幅が確認された約0.7kb長の断片をpGEM−Teasy(プロメガ社)にライゲートし、Escherichia coli JM109を形質転換した。目的断片を有するプラスミドをDNAシーケンサー(ABI3100)により塩基配列を確認した。このプラスミドをEcoRI/PstI処理して得られる約1.1kb長の遺伝子断片をプローブとして、染色体DNAを各種制限酵素処理後、サザン解析したところ、BglII/NruI処理した場合に約3.5kbにポジティブシグナルを確認した。
次いで、染色体DNAをBglII/NruI処理後、アガロース電気泳動し、約3.5kb断片を精製し、pUC19のBamHI/SmaIサイトにライゲートした。この反応液をもちいてEscherichia coli JM109を形質転換し、ライブラリーを作製した。上記プローブをもちいてコロニーハイブリダイズを行い、ポジティブコロニーを取得し、プラスミドを抽出した。得られたプラスミドをpHMT01として、挿入配列3475bpについて塩基配列を決定したところ、425アミノ酸からなるORF(配列番号4)が存在し、N末端解析結果から得られたアミノ酸配列と同一の配列を有していたことから目的の遺伝子の取得を確認した。本遺伝子配列のORFについて、相同性検索をおこなったところ、Methylobacterium extorquens由来のセリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼとアミノ酸配列での相同性が55%であることが確認された。
実施例4:Paracoccus sp. AJ110402株由来2−メチルセリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ遺伝子のEscherichia coliによる発現
pHMT01を鋳型として、プライマーPHMT_SD_Eco(配列番号6)及びプライマーPHMT_ter2_Hind(配列番号7)をもちいてPCRにより2−メチルセリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ遺伝子のORF領域1.2kbを増幅し、EcoRI/HindIII処理した後、予めEcoRI/HindIII処理したpUC18とライゲートし、Escherichia coli JM109を形質転換し、目的の遺伝子断片を含むプラスミド(pUCPHMT01)を有する形質転換体を得た。この形質転換体をJM109/pUCPHMT01と命名した。
JM109/pUCPHMT01を100mg/lのアンピシリンを含むLB培地で37℃、16時間前培養した。2.5mlの前培養液を50mlの100mg/lのアンピシリンを含むLB培地に接種し、37℃で培養を行った。培養1時間後、終濃度1mMとなるようにIPTGを添加し、さらに4時間培養を行った。得られた菌体を遠心分離にて集菌した後、0.1mMピリドキサールリン酸を含む50mM 燐酸緩衝液(pH7.4)を用いて洗菌し、同緩衝液を用いて菌体懸濁液を調製した。超音波破砕処理によって、菌体を破砕し、遠心分離(18,000g、10分、4℃)により得られる上澄み液を無細胞抽出液として、2−メチルセリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ活性を測定したところ、3.02U/mgであった。なお、pUC18をJM109に導入した形質転換体;JM109/pUC18から上記の方法で得られる無細胞抽出液を用いた場合の活性は検出限界以下であった。
実施例5:Aminobactor sp. AJ110403株由来2−メチルセリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ遺伝子の取得
Aminobactor sp.AJ110403株から調製したゲノムDNAを鋳型として、ミックスプライマーHMT_MIX_FW1(配列番号8)、及びHMT_MIX_RV2(配列番号9)によりPCR反応により、0.6kbの増幅断片を確認した。このPCR産物をプローブとして、Aminobactor sp. AJ110403株ゲノムDNAをBamHIによって処理した後、サザン解析を行ったところ、3.5kb長にポジティブシグナルが得られた。
次いで、Aminobactor sp. AJ110403ゲノムDNAをBamHI処理後、アガロース電気泳動し、約3.5kb断片を精製し、pUC118のBamHIサイトにライゲートした。この反応液をもちいてEscherichia coli JM109を形質転換し、ライブラリーを作製した。上記プローブをもちいてコロニーハイブリダイズを行い、ポジティブコロニーを取得し、プラスミドを抽出した。得られたプラスミドをpAHMT01として、挿入配列について塩基配列を決定したところ、425アミノ酸からなるORFが存在するのを確認した(配列番号10)。
pAHMT01を鋳型として、プライマーA2_Bam(配列番号12)、及びA2_ter_Pst(配列番号13)によりPCR反応を行った。PCRにより得られた1.2kbの増幅断片をBamHI/PstI処理し、pUC18のBamHI/PstIサイトに挿入し、pUCAHMT01とした。このプラスミドによりEscherichia coli JM109を形質転換し、この形質転換体をJM109/pUCAHMT01と命名した。
JM109/pUCAHMT01を100mg/lのアンピシリンを含むLB培地で37℃、16時間前培養した。2.5mlの前培養液を50mlの100mg/lのアンピシリンを含むLB培地に接種し、37℃で培養を行った。培養1時間後、終濃度1mMとなるようにIPTGを添加し、さらに4時間培養を行った。得られた菌体を遠心分離にて集菌した後、0.1mMピリドキサールリン酸を含む50mM 燐酸緩衝液(pH7.4)を用いて洗菌し、同緩衝液を用いて菌体懸濁液を調製した。超音波破砕処理によって、菌体を破砕し、遠心分離(18,000g、10分、4℃)により得られる上澄み液を無細胞抽出液として、2−メチルセリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ活性を測定したところ、0.27U/mgであった。なお、JM109/pUC18より上記の方法で得られる無細胞抽出液を用いた場合の活性は検出限界以下であった。
実施例6:Ensifer sp. AJ110404株由来2−メチルセリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ遺伝子の取得
Ensifer sp. AJ110404株から調製したゲノムDNAを鋳型として、ミックスプライマーHMT_MIX_FW2(配列番号14)、及びHMT_MIX_RV2(配列番号9)によりPCR反応により、0.6kbの増幅断片を確認した。このPCR産物をプローブとして、Ensifer sp. AJゲノムDNAをEcoRIによって処理した後、サザン解析を行ったところ、5kb長にポジティブシグナルが得られた。
次いで、Ensifer sp. AJ110404株ゲノムDNAをEcoRI処理後、アガロース電気泳動し、約5kb断片を精製し、pUC118のEcoRIサイトにライゲートした。この反応液をもちいてEscherichia coli JM109を形質転換し、ライブラリーを作製した。上記プローブをもちいてコロニーハイブリダイズを行い、ポジティブコロニーを取得し、プラスミドを抽出した。得られたプラスミドをpEHMT01として、挿入配列について塩基配列を決定したところ、425アミノ酸をコードするORFが存在した(配列番号15)。
pEHMT01を鋳型として、プライマーB_Eco(配列番号17)、及びB_ter_Bam(配列番号18)によりPCR反応を行った。PCR反応により得られた1.2kbの増幅断片をBamHI/EcoRI処理し、pUC18のBamHI/EcoRIサイトに挿入し、pUCEHMT01とした。このプラスミドによりEscherichia coli JM109を形質転換した。得られた形質転換体は、JM109/pUCEHMT01と命名した。
JM109/pUCEHMT01を100mg/lのアンピシリンを含むLB培地で37℃、16時間前培養した。2.5mlの前培養液を50mlの100mg/lのアンピシリンを含むLB培地に接種し、37℃で培養を行った。培養1時間後、終濃度1mMとなるようにIPTGを添加し、さらに4時間培養を行った。得られた菌体を遠心分離にて集菌した後、0.1mMピリドキサールリン酸を含む50mM 燐酸緩衝液(pH7.4)を用いて洗菌し、同緩衝液を用いて菌体懸濁液を調製した。超音波破砕処理によって、菌体を破砕し、遠心分離(18,000g、10分、4℃)により得られる上澄み液を無細胞抽出液として、2−メチルセリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ活性を測定したところ、0.10U/mgであった。なお、JM109/pUC18より上記の方法で得られる無細胞抽出液を用いた場合の活性は検出限界以下であった。
実施例7:Paracoccus sp. AJ110402由来2−メチルセリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼによるα−メチル−L−セリン生成反応
100mMD−アラニン、20mMホルムアルデヒド、0.5mMテトラヒドロ葉酸、10mMアスコルビン酸ナトリウム、10mM2−メルカプトエタノール、0.1mMピリドキサールリン酸、50mMリン酸緩衝液(pH7.4)の組成にて、実施例2で調製した精製酵素溶液を終濃度47μg/mlになるように添加し、30℃で16時間反応した。なお、ホルムアルデヒドはナカライテスク株式会社製の特級ホルムアルデヒド液[コード番号:16223−55]を用いた。
反応終了後、2mM硫酸銅水溶液を等量加え、SumichiralOA−6100(住化分析センター)によりHPLC分析を行った(移動相:1mM硫酸銅水溶液、カラム温度:40℃、流速:1ml/分、検出:UV215nm)。その結果、19mMのα−メチル−L−セリンが検出され、α−メチル−D−セリンのピークは検出されなかった。
実施例8:Paracoccus sp. AJ110402由来2−メチルセリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ遺伝子発現Escherichia coliによるα−メチル−L−セリン生成
実施例4記載の方法によりJM109/pUCPHMT01を400ml培養し、遠心分離後、0.1mMピリドキサールリン酸を含む50mM 燐酸緩衝液(pH8.0)を用いて洗菌した。この菌体を100mlの反応液(150mM(15mmol)D−アラニン、0.1mMピリドキサールリン酸、0.3mMテトラヒドロ葉酸、10mM2−メルカプトエタノール、20mMリン酸緩衝液(pH8.0))に添加し、30℃にて、攪拌しながら50.5mlの600mMホルムアルデヒド水溶液を24時間かけて添加した。なお、ホルムアルデヒドはナカライテスク株式会社製の特級ホルムアルデヒド液[コード番号:16223−55]を用いた。
実施例7と同様の条件でHPLC分析を行った。その結果、66.4mM(9.5mmol)のα−メチル−L−セリンが反応液中に得られ、α−メチル−D−セリンは検出限界以下であった。
実施例9:タンパク質の相同性
上記で得られた各酵素のアミノ酸配列について相同性を計算した。アミノ酸配列の相同性の計算は株式会社ゼネティックスのソフトウェアGENETYX Ver7.0.9を使用し、ORFにコードされるポリペプチド鎖全長をもちいて、Unit Size to Compare=2の設定でMarching countをpercentage計算させた。
なお、下記Methylobacterium Extorquens由来の酵素は、GenBank(National Center for Biotechnology Information)においてAccession AAA64456としてアミノ酸配列が登録されている。また、下記E.coli由来の酵素は、GenBankにおいてAccession No.AAA23912としてアミノ酸配列が登録されている。
Figure 0004806963
本発明はアミノ酸の製法に係る産業において有用である。本発明は、各種のβ−ヒドロキシアミノ酸、光学活性アミノ酸の製造に寄与し、例えば医薬中間体などの製法として利用されることが期待される。
本発明の一実施形態における反応系を示す図である。
配列番号1:プライマー
配列番号2:プライマー
配列番号3:プライマー
配列番号6:プライマー
配列番号7:プライマー
配列番号8:プライマー
配列番号9:プライマー
配列番号12:プライマー
配列番号13:プライマー
配列番号14:プライマー
配列番号17:プライマー
配列番号18:プライマー

Claims (9)

  1. 下記(A)〜(F)からなる群より選ばれる1種または2種以上のタンパク質の存在下で、下記式(I):
    Figure 0004806963
    (式(I)において、R1は、炭素数1〜6のアルキル基およびその炭素骨格中に炭素−炭素不飽和結合を含む基からなる群より選ばれ、これらの基は直鎖であっても分岐していてもよく、さらに置換基を有していてもよい)
    に示されるD−α−アミノ酸と、5,10−メチレンテトラハイドロ葉酸とを反応させる、下記式(III):
    Figure 0004806963
    (式(III)におけるR1は式(I)中のR1と同じであり、式(III)におけるRは水素である
    に示されるβ−ヒドロキシアミノ酸の製造方法。
    (A)配列表の配列番号5に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質
    (B)配列表の配列番号5に記載のアミノ酸配列において、置換、欠失、挿入、付加および逆位からなる群より選ばれる1または数個のアミノ酸の変異を含むアミノ酸配列を有し、かつ、式(III)に示されるβ−ヒドロキシアミノ酸を生成する前記反応を触媒する活性を有するタンパク質
    (C)配列表の配列番号11に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質
    (D)配列表の配列番号11に記載のアミノ酸配列において、置換、欠失、挿入、付加および逆位からなる群より選ばれる1または数個のアミノ酸の変異を含むアミノ酸配列を有し、かつ、式(III)に示されるβ−ヒドロキシアミノ酸を生成する前記反応を触媒する活性を有するタンパク質
    (E)配列表の配列番号16に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質
    (F)配列表の配列番号16に記載のアミノ酸配列において、置換、欠失、挿入、付加および逆位からなる群より選ばれる1または数個のアミノ酸の変異を含むアミノ酸配列を有し、かつ、式(III)に示されるβ−ヒドロキシアミノ酸を生成する前記反応を触媒する活性を有するタンパク質
  2. ホルムアルデヒドの存在下で、前記反応が行なわれる、請求項1に記載のβ−ヒドロキシアミノ酸の製造方法。
  3. 式(I)で示されるアミノ酸が、D−α−アラニンであり、式(III)で示されるL−α−アミノ酸がα−メチル−L−セリンである、請求項1または2に記載のβ−ヒドロキシアミノ酸の製造方法。
  4. 下記式(I):
    Figure 0004806963
    (式(I)において、R1は、炭素数1〜6のアルキル基およびその炭素骨格中に炭素−炭素不飽和結合を含む基からなる群より選ばれ、これらの基は直鎖であっても分岐していてもよく、さらに置換基を有していてもよい)
    に示されるD−α−アミノ酸と、5,10−メチレンテトラハイドロ葉酸とを反応させて、下記式(III):
    Figure 0004806963
    (式(III)におけるR1は式(I)中のR1と同じであり、式(III)におけるRは水素である
    に示されるβ−ヒドロキシアミノ酸を生成する反応を触媒する活性を有する、下記(A)〜(F)からなる群より選ばれるいずれかのタンパク質。
    (A)配列表の配列番号5に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質
    (B)配列表の配列番号5に記載のアミノ酸配列において、置換、欠失、挿入、付加および逆位からなる群より選ばれる1または数個のアミノ酸の変異を含むアミノ酸配列を有するし、かつ、式(III)に示されるβ−ヒドロキシアミノ酸を生成する前記反応を触媒する活性を有するタンパク質
    (C)配列表の配列番号11に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質
    (D)配列表の配列番号11に記載のアミノ酸配列において、置換、欠失、挿入、付加および逆位からなる群より選ばれる1または数個のアミノ酸の変異を含むアミノ酸配列を有し、かつ、式(III)に示されるβ−ヒドロキシアミノ酸を生成する前記反応を触媒する活性を有するタンパク質
    (E)配列表の配列番号16に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質
    (F)配列表の配列番号16に記載のアミノ酸配列において、置換、欠失、挿入、付加および逆位からなる群より選ばれる1または数個のアミノ酸の変異を含むアミノ酸配列を有し、かつ、式(III)に示されるβ−ヒドロキシアミノ酸を生成する前記反応を触媒する活性を有するタンパク質
  5. パラコッカス(Paracoccus)属、アミノバクター(Aminobacter)属、およびエンシファー(Ensifer)属からなる群のいずれかの属に属する微生物に由来するタンパク質である、請求項4に記載のタンパク質。
  6. 請求項4または5に記載のタンパク質をコードするポリヌクレオチド。
  7. 下記(a)から(f)よりなる群から選ばれるポリヌクレオチド。
    (a)配列番号4に記載の塩基配列を有するポリヌクレオチド
    (b)配列番号4に記載の塩基配列と相補的な塩基配列を有するポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下においてハイブリダイズし、かつ、式(I)のD−α−アミノ酸と、5,10−メチレンTHF反応させて、式(III)に示されるβ−ヒドロキシアミノ酸を生成する反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド。
    (c)配列番号10に記載の塩基配列を有するポリヌクレオチド
    (d)配列番号10に記載の塩基配列と相補的な塩基配列を有するポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下においてハイブリダイズし、かつ、式(I)のD−α−アミノ酸と、5,10−メチレンTHF反応させて、式(III)に示されるβ−ヒドロキシアミノ酸を生成する反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド。
    (e)配列番号15に記載の塩基配列を有するポリヌクレオチド
    (f)配列番号15に記載の塩基配列と相補的な塩基配列を有するポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下においてハイブリダイズし、かつ、式(I)のD−α−アミノ酸と、5,10−メチレンTHF反応させて、式(III)に示されるβ−ヒドロキシアミノ酸を生成する反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド。
    Figure 0004806963
    (式(I)において、R1は、炭素数1〜6のアルキル基およびその炭素骨格中に炭素−炭素不飽和結合を含む基からなる群より選ばれ、これらの基は直鎖であっても分岐していてもよく、さらに置換基を有していてもよい)
    Figure 0004806963
    (式(III)におけるR1は式(I)中のR1と同じであり、式(III)におけるRは水素である
  8. 請求項またはに記載のポリヌクレオチドが組み込まれた組換えポリヌクレオチド。
  9. 請求項に記載のポリヌクレオチドが導入された形質転換体。
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