JP4799356B2 - 油性筆記具 - Google Patents
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Description
そのため、銅フタロシアニン系着色剤を用いたインキをアルミニウム製軸筒内に接触した状態で収容した場合、長期間の経時により軸筒内が腐食したり、インキ中に銅が析出したり、アルミニウムが溶出することで軸筒にピンホールが形成されインキが漏れる等の不具合が生じることがあった。
また、前記問題は樹脂コーティング等の内面処理を施した場合であっても、長期経時により同様に生じる虞があった。
更に、前記有機溶剤が炭素数2〜4のアルコールであること、前記油性インキ組成物の粘度が1.5〜15mPa・sの範囲にあることを要件とする。
具体的には、オリエント化学工業社製のバリファーストブルー1605、同1621、クラリアントジャパン社製のサビニールブルーGLS、BASF AG社製のネオペンブルー807、チバガイギー社製のオラゾールブルーGN等の銅フタロシアニン系染料や、大日本インキ社製のFastgen Blue 5421、同EP−7、同EP−7S、同EP−CF、大日精化工業社製のChromofine Blye 5187、同5188、チバスペシャリティケミカルズ社製のIrgaline Blue GLVO、東洋インキ社製のリオノールブルーE、クラリアントジャパン社製のRenol Blue B2G−HW30、BASF社製のヘリオゲンブルーD6700T等の銅フタロシアニン系顔料が例示できる。
染料としては、カラーインデックスにおいてソルベント染料として分類される有機溶剤可溶性染料が挙げられ、具体的には、バリファストブラック3806(C.I.ソルベントブラック29)、同3807(C.I.ソルベントブラック29の染料のトリメチルベンジルアンモニウム塩)、スピリットブラックSB(C.I.ソルベントブラック5)、スピロンブラックGMH(C.I.ソルベントブラック43)、バリファストレッド1308(C.I.ベーシックレッド1の染料とC.I.アシッドイエロー23の染料の造塩体)、バリファストイエローAUM(C.I.ベーシックイエロー2の染料とC.I.アシッドイエロー42の染料の造塩体)、スピロンイエローC2GH(C.I.ベーシックイエロー2の染料の有機酸塩)、スピロンバイオレットCRH(C.I.ソルベントバイオレット8−1)、バリファストバイオレット1701(C.I.ベーシックバイオレット1とC.I.アシッドイエロー42の染料の造塩体)、スピロンレッドCGH(C.I.ベーシックレッド1の染料の有機酸塩)、スピロンピンクBH(C.I.ソルベントレッド82)、ニグロシンベースEX(C.I.ソルベントブラック7)、オイルブルー613(C.I.ソルベントブルー5)等が挙げられる。
前記染顔料は一種又は二種以上を併用してもよく、インキ組成物中3〜40重量%の範囲で用いられる。
前記飽和脂肪酸の炭素数が10未満の場合、アルミニウム腐食に対する効果が得られず、炭素数が16を超える場合、有機溶剤への溶解性が悪化するためインキ中で析出し易く、腐食抑制効果が得難いものとなる。
前記飽和脂肪酸は一種又は二種以上を併用してもよく、インキ組成中0.5〜10重量%の範囲で用いられる。
前記有機溶剤は一種又は二種以上を併用してもよく、インキ組成中40〜90重量%の範囲で用いられる。
具体的には、ケトン樹脂、アミド樹脂、アルキッド樹脂、ロジン変性樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、テルペン系樹脂、クマロン−インデン樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ポリメタクリル酸エステル、ケトン−ホルムアルデヒド樹脂、α−及びβ−ピネン・フェノール重縮合樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリル酸ポリメタクリル酸共重合物等が挙げられる。
これらの樹脂は一種又は二種以上を併用してもよく、インキ組成中0.5〜40重量%、好ましくは1〜35重量%の範囲で用いられる。0.5重量%未満では筆跡の紙への滲み抑制、定着性向上、堅牢性付与等の充分な効果を発揮できず、40重量%を越えて添加すると、樹脂の溶剤への溶解性が低下し、インキの流動性が低下する。
例えば、防錆剤としては、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、サポニン等が使用できる。
酸化防止剤としては、ジブチルヒドロキシルトルエン、ノルジヒドロキシトルエン、フラボノイド、ブチルヒドロキシアニソール、アスコルビン酸誘導体、α−トコフェロール、カテキン類等が使用できる。
紫外線吸収剤としては、2−(2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル5′−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、p−安息香酸−2−ヒドロキシベンゾフェノン等が使用できる。
消泡剤としては、ジメチルポリシロキサン等が使用できる。
前記剪断減粘性付与剤としては、架橋型アクリル樹脂、架橋型N−ビニルカルボン酸アミド重合体又は共重合体、非架橋型N−ビニルカルボン酸アミド重合体又は共重合体、水添ヒマシ油、脂肪酸アマイドワックス等が使用できる。
前記添加剤はいわゆる慣用的添加剤と呼ばれるもので、公知の化合物から適宜必要に応じて使用することができる。
マーキングペンに充填する場合、マーキングペン自体の構造、形状は特に限定されるものではなく、例えば、繊維チップ、フェルトチップ、プラスチックチップを筆記先端部に装着し、軸筒内部に収容した繊維束や多孔質体からなるインキ吸蔵体にインキを含浸させ、筆記先端部にインキを供給する構造、軸筒内部に直接インキを収容し、櫛溝状のインキ流量調節部材や繊維束からなるインキ流量調節部材を介在させる構造、軸筒内部に直接インキを収容して、弁機構により前記筆記先端部に所定量のインキを供給する構造のマーキングペンが挙げられる。
ボールペンに充填する場合、ボールペン自体の構造、形状は特に限定されるものではなく、例えば、軸筒内部に収容した繊維束や多孔質体からなるインキ吸蔵体にインキを含浸させ、筆記先端部にインキを供給する構造、軸筒内部に直接インキを収容し、櫛溝状のインキ流量調節部材や繊維束からなるインキ流量調節部材を介在させる構造、軸筒内にインキ組成物を充填したインキ収容管を有し、該インキ収容管はボールを先端部に装着したチップに連通しており、更にインキの端面には逆流防止用に液栓や固体栓等のインキ追従体が密接している構造のボールペンを例示できる。
(1)クラリアントジャパン(株)製、商品名:サビニールブルーGLS
(2)BASF AG社製、商品名:ネオペンブルー807
(3)クラリアントジャパン(株)製、商品名:レノールブルーB2G−HW30
(4)オリエント化学工業(株)製、商品名:オスピイエローRY
(5)荒川化学工業(株)製、商品名:マルキード33A
前記実施例及び比較例の配合量で各原料を混合し、25℃で3時間撹拌溶解することにより筆記具用油性インキ組成物を得た。
JIS規格で定義される純アルミニウム1080番(純度99.8%以上)により形成された一端を開口する筒状アルミ缶をインキ収容体とし、該アルミ缶内に繊維束からなるインキ吸蔵体を収容した後、得られた各インキ組成物をインキ吸蔵体に充填し、繊維収束体からなるペン先後方をインキ吸蔵体に接続した状態で、ペン先保持部材を開口部に装着することにより油性マーキングペンを得た。
作成した各油性マーキングペンを50℃で3ヶ月間放置した後、アルミ缶を切り開いてインキが接触する内側表面の状態を顕微鏡で観察した。
濾過試験
作成した各油性インキを25℃で1時間放置した後、孔径5μmのメンブレンフィルターで濾過し、フィルター上を目視で観察した。
試験結果を以下の表に示す。
腐食性試験
○:初期と比較して変化がみられない。
×:腐食が確認される。
濾過試験
○:フィルター上に残渣がみられない。
×:フィルター上に残渣が確認される。
Claims (3)
- 少なくとも銅フタロシアニン系着色剤と、有機溶剤と、炭素数10〜16の飽和脂肪酸からなる油性インキ組成物が、アルミニウムを主成分とするインキ収容体内に収容される油性筆記具。
- 前記有機溶剤が炭素数2〜4のアルコールである請求項1記載の油性筆記具。
- 前記油性インキ組成物の粘度が1.5〜15mPa・sの範囲にある請求項1又は2記載の油性筆記具。
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