JP4799063B2 - ドリル - Google Patents
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Description
これらを要望に沿うためには、小径スルーホールを開口するための小型化ドリルが必要となる。その小型化ドリルとしては、例えば、実開平7−33514号や特開2004−82318号などに開示されている。
特開2004−82318号では、切屑排出溝を1条のみとし、刃先部の最大外径に対して5/100以下であるドリルを用いることにより、ドリルの剛性を高め、良好な穴精度を得ている。
さらに、開口径が小さくなるにつれて、特に開口径400μm以下の開口を行う際には、その不具合の発生頻度が高まってしまった。
先端角が上記範囲にあれば、位置ズレを引き起こし難くなるし、形成される穴の形状も所望のものとなる。銅張り積層板を複数枚重ね合せて開口を穿設しても、上側の銅張り積層板と下側の銅張り積層板とで、開口が同一位置、同一形状となる。
また、ドリルの使用回数が多くなっても、スルーホールの電気接続性や信頼性を低下させ難くなる。
図2(A)中に示すように本発明のドリルの先端逃げ面は、複数の平坦な逃げ面から構成された多段面状をなしており、切刃からドリル回転方向に向かって平坦面である第1〜第4逃げ面が周方向に沿って順次配置されている。この内の第2逃げ面の逃げ角度(外周コーナにおいて、軸直角断面と逃げ面とがなす角)を30〜50°に設定することが望ましい。
その径により、穴位置精度が向上しやすくなるというメリットを有することとなり、穴の形状も所望のものとなるために、電気接続性や信頼性の低下を引き起こし難くなる。
また、100μm以下のドリルは、加工条件によっては、少ない使用頻度によりドリル折れを引き起こし易くなる。この場合には、加工する基板の絶縁層の厚みを薄くする、基板の重ね枚数を少なくするなどの手法で加工時のトータル厚みを薄くすることで、上記のような穴位置精度を確保しつつ、使用頻度を高めることができる。
マージン部の長さが0.1mm未満であると、切屑を排出するための溝が形成する領域が小さくなるために、ドリルに応力が掛かりやすくなる。そのために、応力を緩衝できないために、ドリルの曲がりや折れ等の発生頻度が高くなる。また、穴位置精度も低下してしまうことがある。
首を備えるアンダーカットタイプは、小径の穴を形成するために適している。つまり、400μm以下の穴の開口を行うことに向き、さらに特に、200μm以下の穴の開口に好適である。
つまり、溝が形成する位置が、首に掛かってしまうと、切り屑の排出され難くなるので、ドリル自体に過剰な力が掛かってしまう。そのために、位置精度や形成される穴の形状の低下を引き起こし易くなる。
ドリル径は、300μm以下であるものを用いてもよい。これらにより、精度よく小径の穴明けを行うことができる。
先ず、図3を参照して第1実施形態のドリルの製造工程について説明する。
1.ドリルの材料の準備
本願発明のドリルに用いられる金属としては、鉄、コバルト、ニッケルなどを含んだ合金である。これらの金属をドリルのシャンクの径と同等もしくはそれよりも径を大きくした円柱50を準備する(図3(A))。超硬合金を用いることがより望ましい。
準備した円柱50において、ドリルのボディ40を形成するために研削を行う(図3(B))。つまり、所望の先端外径となるまで、研削を行う。これにより、ドリルのシャンク12とボディ40が構成される。このとき必要に応じてボディにおいて、ボディ分の一部に首(円筒状にくびれた部分)を形成させることにより、アンダーカット形状のドリルをしてもよい。
図1中に示すように、ドリル10の刃部30の先端径D1は0.115mmに、シャンク12の径D2は2mmに設定されている。切刃長さL1は1.8mmに、ボディ長さL2は2.0mmに全長は31.75mmに、マージン長さL4は0.25mmに、リリーフ長さL5は1mmに設定されている。一方、切屑排出溝20のネジレ角θ1は40°に設定されている。
1.銅張積層板
本願発明のドリルで開口させる絶縁性基材としては、有機系の絶縁性基材であれば使用でき、具体的には、アラミド不織布−エポキシ樹脂基材、ガラス布エポキシ樹脂基材、アラミド不織布−ポリイミド基材、ガラス布ビスマレイミドトリアジン樹脂基材、ガラス布ポリフェニレンエーテル樹脂基材、FR−4、FR−5から選ばれるリジッド(硬質)の積層基材、あるいは、ポリフェニレンエーテル(PPE)フィルム、ポリイミド(PI)などのフィルムからなるフレキシブル基材から選ばれる1種であることが望ましい。
これらの片面もしくは両面銅張積層板として準備したものを用いる。
ドリル10での加工を行うために、図6に示すようにX−Yテーブル90上に、加工するための積層板よりも大きい当て板(ベーク板)92をおいて、その上に、片面もしくは両面銅張積層板60を1枚もしくは複数枚重ねる。その上に、必要に応じて、銅張積層板上には、アクリルに膨潤剤が含浸されて表層にアルミニュームなどの金属層が設けられたエントリーシート94を載せて、加工を行ってもよい。エントリーシート94内の膨潤剤がドリル開口の際、潤滑剤の役目を果たす。
回転数 :100〜500krpm
送り速度:30〜200 inch/min.
ショット数2000Shot以上まで用いることが望まれる。
送り速度が30inch/min.未満であると効率的に加工を行うことができない。一方、送り速度が200inch/min.を越えると、ドリルの負担が大きくなり、折れ易くなる。
特に回転数100〜300krpm、送り速度40〜120inch/min.が、加工効率とドリル寿命の観点からより望ましい。
1.ドリルの材料の準備
鉄、コバルトなどの合金で形成された金属を用意する。これを円形に形成するドリル径よりも太くし、かつ、ドリルを回転する加工装置の径にあわせたものを準備した。
まず、ドリルのボディを成す部分を加工する。それにより、ドリルのシャンクとボディ分が形成される。このとき、ボディ分の刃部の先端外径は、予め設定された径にあわせる。
その後、切屑を排出するために切屑排出溝を1本形成する。このとき、ドリルのネジレ角度は予め設定された角度になるように設定されている。
それから、1枚刃の形成させるために、1番角、2番逃げ角を形成して、その後、それぞれの逃げ角を形成させる工程などを経て、下記に示した実施例1と参考例1のドリルを作成した。実施例1では、図4(A)に示すように、アンダーカットの無いストレートタイプのドリルを用いた。
(1)ドリル加工
図5(A)に示す両面銅張り積層板(材質:ガラスエポキシ樹脂あるいはポリイミド樹脂:絶縁層62の厚み200μm ;片面の銅箔64の厚み12μm)60を、図6に示すようにドリル加工装置(日立ビア社製 品番:ND−Nシリーズ)のドリル加工用のX−Yテーブル90上に4枚重ねた。両面銅張り積層板60の下側に捨て板(バックアップボード)92をおいた。両面銅張り積層板60の上側にはドリル加工用のエントリーシート94を置いた。
その状態で下記に示したドリル条件で、開口径100μmの開口を行った。このとき、4枚処理した毎に、ドリルのショット数を1Shotとして換算した。
回転数 :160krpm
送り速度:40inch/min.
使用ドリルの形状:表1に示したドリル
評価ショット数 3000Shot 6000Shot
これにより、基板60内に、開口径100μmの貫通孔66を設けた(図5(B)参照)。
ドリル加工後に、両面銅張積層板は、過マンガン酸などによりデスミヤ処理を施した。
無電解めっき膜66、電解めっき膜68の順で設け、貫通孔66の内壁及び積層板60の表層に導体層を形成した(図5(C)参照)。このときのめっき条件はそれぞれ以下のような条件で行った。
無電解めっき
〔電解銅めっき水溶液〕
NiSO4 :0.003mol/l
酒石酸 :0.200mol/l
硫酸銅 :0.030mol/l
NaOH :0.050mol/l
α、α‘−ビビリジル :100mg/l
ポリエチレングリコール :0.10g/l
液温50℃で40分間浸漬させた。
電解めっき
〔電解銅めっき水溶液〕
硫酸 :160 g/l
硫酸銅 : 77 g/l
添加剤(アトテックジャパン製、商品名:カパラシドGL)
:1 ml/l
〔電解めっき条件〕
電流密度 :2 A/dm2
時間 :30 分
温度 :25 ℃
導体層を形成した上にエッチングレジストを形成し、配線が描画されたマスクを載置して、露光・現像を行う。それにより、レジストによりスルーホール(含むランド)と導体回路を形成される。その後、硫酸系などのエッチング液でレジスト非形成部にエッチングを施して、エッチングレジストを剥離した。それにより、スルーホール、スルーホール72のランド及び導体回路74が形成された(図5(D)参照)。
穴埋め樹脂76として熱硬化性樹脂もしくは光硬化性樹脂を用いて、印刷により、スルーホール72の穴埋めを行った(図5(E)参照)。このとき、スルーホール部分が開口したマスクを用いて行ってもよい。スルーホールに対して過剰に穴埋め樹脂を形成させて、半硬化あるいは硬化させた後、研削を行い、基板表面を平滑化した。これにより、スルーホールが穴埋めされて、平滑化された基板を得られた。
基板60の両面に、導通試験を行う部分の端子に該当する開口させて、ソルダーレジスト76を形成した。
実施例2及び参考例2は、実施例1とほぼ同じであるが、ドリル加工に用いたドリルは表2に示されたもので行った。
実施例3及び参考例3は、実施例1とほぼ同じであるが、ドリル加工に用いたドリルは表3に示されたもので行った。
実施例4及び参考例4は、実施例1とほぼ同じであるが、ドリル加工に用いたドリルは表4に示されたもので行った。
実施例5及び参考例5は、実施例1とほぼ同じであるが、ドリル加工に用いたドリルは表5に示されたもので行った。
実施例6及び参考例6は、実施例1とほぼ同じであるが、ドリル加工に用いたドリルは図4(B)に示すように首42が設けられたアンダーカットタイプのものであり、表6に示されたもので行った。
実施例7及び参考例7は、実施例1とほぼ同じであるが、ドリル加工に用いたドリルは表7に示されたもので行った。
実施例8及び参考例8は、実施例1とほぼ同じであるが、ドリル加工に用いたドリルはアンダーカットタイプのものであり、表8に示されたもので行った。
実施例9及び参考例9は、実施例1とほぼ同じであるが、ドリル加工に用いたドリルは、先端外径を表9に示されたもので行った。
また、実施例9においては、先端外径100μm以下であるドリルについては、ドリル加工する際、両面銅張積層板の重ね枚数を2枚及び3枚で、同様の評価を行った。
比較例は、実施例1とほぼ同じであるが、ドリル加工に用いたドリルは表10に示されたもので行った。
(1) 穴位置精度
ショット数 3000Shot 6000Shotにおけるスルーホールの形成される位置について評価をした。つまり、ランドとの中心部分における形成されるスルーホールの中心点の位置ズレ距離を比較した。
○:位置ズレ範囲35μm以内
△:位置ズレ範囲50μm以内
×:位置ズレ範囲50μm超
ショット数 3000Shot 6000Shotにおけるスルーホールの断面のクロスカットを行い、導体層側面の凹凸の有無を調べた。
〇:開口部の凹凸最大高さ 8μm以内
△:開口部の凹凸最大高さ 10μm以内
×:開口部の凹凸最大高さ10μm超
ショット数3000Shot 6000Shotにおけるスルーホールの両面での導通の有無を確認した。
〇:導通有り
×:導通異常
ヒートサイクル試験(125℃/3min.⇔―65℃/3min.)を1サイクルとして、導通異常が確認されるサイクル数まで繰り返し、断線などの導通試験で信頼性の評価を行った。最大サイクルは3000であった。なお、1500サイクル、2000サイクル、3000サイクルごとに導通試験を行った。
2500サイクルをクリアしたものについては、実質上の使用に際して問題を引き起こさなかった。
実施例9及び比較例9については、1000Shot 3000Shot 6000Shot におけるドリルの破損の有無(○:破損なし ×:破損有り)を評価した。また、実施例9におけるドリルの先端外径が100μm以下においては、重ね枚数が3枚、2枚における場合も同様の評価を行った。
12 シャンク
30 刃部
31 切刃
32A 第1逃げ面
32B 第2逃げ面
32C 第3逃げ面
32D 第4逃げ面
32E 逆側第1逃げ面
32F 逆側第2逃げ面
33 二番取り面
θ1 ネジレ角
θ2 先端角
Claims (1)
- 複数枚重ねた銅張り積層板に開口を穿設させるため、先端の刃部およびボディに切屑排出溝が形成されたドリルにおいて、
ボディの切屑排出溝が1条であり、
ドリルが首を備えるアンダーカットドリルであって、前記切屑排出溝が首にかからず、前記切屑排出溝が首端部から100μm以内内側に形成され、
その切屑排出溝のネジレ角度が30〜50°であり、
前記先端の刃部の先端角が110〜150°であり、
前記先端部の刃部の2番逃げ角が30〜50°であり、
前記刃部の先端外径が50μm以上350μm以下であることを特徴とするドリル。
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