はじめに、本発明による文字の表示原理を説明する。
図1は、本発明の文字表示装置1aに使用可能な表示デバイス10の表示面400を模式的に示す。表示デバイス10は、X方向およびY方向に配列された複数のピクセル12を有している。複数のピクセル12のそれぞれは、X方向に配列された複数のサブピクセルを有している。図1に示される例では、1つのピクセル12は、3個のサブピクセル14R、14Gおよび14Bを有している。
サブピクセル14Rは、R(赤)を発色するように色要素Rに予め割り当てられている。サブピクセル14Gは、G(緑)を発色するように色要素Gに予め割り当てられている。サブピクセル14Bは、B(青)を発色するように色要素Bに予め割り当てられている。色要素R、GおよびBのそれぞれの強さは、複数の色要素レベル(例えば、色要素レベル0〜色要素レベル7)によって段階的に表される。
サブピクセル14R、14Gおよび14Bの輝度は、例えば、0〜255の値によって表される。サブピクセル14R、14Gおよび14Bのそれぞれが、輝度レベルを示す0〜255の値のいずれかをとることによって、約1670万(=256×256×256)色を表示することが可能である。
ドットフォントまたはグレイスケールフォントを利用して文字を表示する従来技術では、文字の1ドットは表示装置の1ピクセルに対応づけられていた。これに対し、表示デバイス10に表示される文字の1ドットは、表示デバイス10のピクセル12ではなく、ピクセル12に含まれるサブピクセル14R、14Gおよび14Bの1つに対応づけられている。これにより、従来と同一機種の表示デバイスを用いる場合でも、その表示デバイスの解像度を擬似的に3倍に向上させることが可能になる。その結果、斜線や曲線などの文字の一部が滑らかに表示されるので文字の表示品位を飛躍的に向上させることが可能になる。
ただし、ただ単に文字の表示単位をサブピクセル単位としただけでは、表示される文字の色は人間の目には単一の色には見えず色の縞(カラーノイズ)が見える。X方向に隣接するサブピクセル14R、14Gおよび14Bには、互いに異なる色要素が予め割り当てられているからである。表示される文字の色が人間の目には単一の色に見えないことを防止するために、本発明では、文字の骨格部分に対応するサブピクセルに隣接するサブピクセルの色要素レベルが適切に制御される。これにより、文字に着色されている色以外の色を人間の目に目立たなくすることができる。
このように、1つのピクセル12に含まれるサブピクセル14R、14Gおよび14Bに対応する複数の色要素(R、G、B)をそれぞれ独立に制御し、かつ、文字の骨格部分に対応するサブピクセルに隣接するサブピクセルの色要素レベルを適切に制御することにより、文字の輪郭だけでなく文字そのものを擬似的な単一色で高精細に表示することが可能になる。ここで、「擬似的な単一色」とは、色彩学的には厳密には単一色ではないが、人間の目には単一色に見えるという意味である。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
(実施の形態1)
図2Aは、本発明の実施の形態1の文字表示装置1aの構成を示す。
文字表示装置1aは、例えば、パーソナルコンピュータであり得る。パーソナルコンピュータとしては、デスクトップ型またはラップトップ型などの任意のタイプのコンピュータが使用され得る。あるいは、文字表示装置1aは、ワードプロセッサであってもよい。
さらに、文字表示装置1aは、カラー表示が可能な表示デバイスを備えた電子機器や情報機器などの任意の装置であり得る。例えば、文字表示装置1aは、カラー液晶表示デバイスを備えた電子機器や、携帯情報ツールである携帯情報端末や、PHSを含む携帯電話機や、一般の電話機/FAXなどの通信機器などであってもよい。
文字表示装置1aは、カラー表示可能な表示デバイス10と、表示デバイス10に含まれる複数のサブピクセルに対応する複数の色要素をそれぞれ独立に制御する制御部20とを含む。制御部20には、表示デバイス10と、入力デバイス30と、補助記憶装置40とが接続されている。
入力デバイス30は、表示デバイス10に表示すべき文字を表す文字情報を制御部20に入力するために使用される。文字情報は、例えば、文字を識別する文字コードと文字の大きさを示す文字サイズとを含む。入力デバイス30としては、文字コードおよび文字の大きさを入力することが可能な任意のタイプの入力デバイスが使用され得る。例えば、キーボードやマウスやペン入力装置などの入力デバイスが入力デバイス30として好適に使用され得る。
補助記憶装置40には、文字表示プログラム41aと文字表示プログラム41aを実行するために必要なデータ42とが格納されている。データ42は、文字の骨格形状を定義するスケルトンデータ42aと補正テーブル42bと輝度テーブル42cとを含む。補助記憶装置40としては、文字表示プログラム41aおよびデータ42を格納することが可能な任意のタイプの記憶装置が使用され得る。補助記憶装置40において、文字表示プログラム41aおよびデータ42を格納する記録媒体としては任意の記録媒体が使用され得る。例えば、ハードディスク、CD−ROM、MO、フロッピー(登録商標)ディスク、MD、DVD、ICカード、光カードなどの記録媒体が好適に使用され得る。
なお、文字表示プログラム41aおよびデータ42は、補助記憶装置40における記録媒体に格納されることに限定されない。例えば、文字表示プログラム41aおよびデータ42は、主メモリ22に格納されてもよいし、ROM(図示せず)に格納されてもよい。ROMは、例えば、マスクROM、EPROM、EEPROM、フラッシュROMなどであり得る。このROM方式の場合には、そのROMを交換するだけで色々な処理のバリエーションを容易に実現することができる。例えば、ROM方式は、携帯型の端末装置や携帯電話機などに好適に適用され得る。
文字表示プログラム41aおよびデータ42を格納する記録媒体は、上記ディスクやカードなどの記憶装置や半導体メモリなどのようにプログラムやデータを固定的に担持する媒体であり得る。文字表示装置1aがインターネットを含む通信回線に接続するための手段を備えている場合には、その通信回線から文字表示プログラム41aおよびデータ42をダウンロードすることができる。この場合、ダウンロードに必要なローダープログラムは、ROM(図示せず)に予め格納されていてもよいし、補助記憶装置40から制御部20にインストールされてもよい。
制御部20は、CPU21と主メモリ22とを含む。
CPU21は、文字表示装置1aの全体を制御および監視するとともに、補助記憶装置40に格納されている文字表示プログラム41aを実行する。
主メモリ22は、入力デバイス30から入力されたデータや表示デバイス10に表示するためのデータや文字表示プログラム41aを実行するのに必要なデータを一時的に格納する。主メモリ22は、CPU21によってアクセスされる。
CPU21は、主メモリ22に格納された各種のデータに基づいて文字表示プログラム41aを実行することにより、文字パターンを生成する。生成された文字パターンは、主メモリ22に一旦格納された後、表示デバイス10に出力される。文字パターンが表示デバイス10に出力されるタイミングは、CPU21によって制御される。
図3は、補助記憶装置40に格納されているスケルトンデータ42aの構造を示す。
スケルトンデータ42aは、文字の骨格形状を表す。スケルトンデータ42aは、文字の種類を区別するための文字コード301と、1つの文字を構成するストロークの数M(Mは1以上の整数)を示すストローク数302と、各ストロークに対応するストローク情報303とを含む。
ストローク情報303は、ストロークを区別するためのストローク番号304と、ストロークを構成する複数の点の数N(Nは1以上の整数)を示す点数305と、ストロークの線タイプを示す線タイプ306と、ストロークを構成する複数の点の座標をそれぞれ示す複数の座標データ307とを含む。座標データ307の数は、点数305に等しい為、N個の座標データがひとつのストロークを構成する座標として格納されていることになる。
ストローク情報303の数は、ストローク数302に等しい為、スケルトンデータ42aは、ストローク番号1からストローク番号Mに対応してM個のストローク情報303を含む。
線タイプ306としては、例えば、「直線」という線タイプと「曲線」という線タイプとが使用される。線タイプ306が「直線」である場合には、ストロークを構成する複数の点が直線によって近似される。線タイプ306が「曲線」である場合には、ストロークを構成する点が曲線(例えば、スプライン曲線)によって近似される。
図4は、漢字の「木」の骨格形状を表すスケルトンデータ42aの例を示す。漢字の「木」の骨格形状を表すスケルトンデータ42aは、ストローク番号1〜4に対応する4個のストローク#1〜ストローク#4を有している。
ストローク#1は、始点(0,192)と終点(255,192)とを結ぶ直線として定義されている。ストローク#2は、始点(128,255)と終点(128,0)とを結ぶ直線として定義されている。ストローク#3は、5点(121,192)、(97,141)、(72,103)、(41,69)、(4,42)を曲線によって近似することによって得られる。ストローク#4は、5点(135,192)、(156,146)、(182,107)、(213,72)、(251,42)を曲線によって近似することによって得られる。
図5は、漢字の「木」の骨格形状を表すスケルトンデータ42aを座標平面上に表示した例を示す。なお、図5に示される例では、簡単のため、ストローク#3、#4は直線によって近似されている。
図6は、補助記憶装置40に格納される補正テーブル42bの一例としての補正テーブル60を示す。補正テーブル60は、補正パターン1と補正パターン2とを含む。補正パターン1は、文字の骨格部分に対応するサブピクセルの近傍に配置されるサブピクセルの色要素レベルを文字の骨格部分に近い側から遠い側に向かって「5」、「2」、「1」の順に設定することを示す。補正パターン2は、文字の骨格部分に対応するサブピクセルの近傍に配置されるサブピクセルの色要素レベルを文字の骨格部分に近い側から遠い側に向かって「4」、「2」、「1」の順に設定することを示す。補正パターン1と補正パターン2とをどのように使い分けるかは、図33(a)、(b)および図34(a)、(b)を参照して後述される。
このように、補正パターン1および補正パターン2は、文字の骨格部分に対応するサブピクセルの近傍に配置されるサブピクセルの色要素レベルを決定するために使用される。
なお、補正テーブル60に含まれる補正パターンの数は2に限定されない。補正テーブル60は、2以上の任意の数の補正パターンを有し得る。また、各補正パターンに含まれる色要素レベルの数は3に限定されない。各補正パターンは、1以上の任意の数の色要素レベルを有し得る。
図7は、補助記憶装置40に格納される輝度テーブル42cの一例としての輝度テーブル70を示す。輝度テーブル70は、輝度テーブル70a〜70fを含む。輝度テーブル70a〜70fのそれぞれは、サブピクセルの色要素レベルとサブピクセルの輝度レベルとの対応関係を定義する。
例えば、輝度テーブル70aにおいては、表示すべき文字色が人間の目には単一色の”イエロー”と見えるように、サブピクセルの色要素レベルとサブピクセルの輝度レベルとの対応関係が予め設計されている。輝度テーブル70aは、擬似的な単一色”イエロー”を表示するために使用される。同様にして、輝度テーブル70b〜70fは、それぞれ、擬似的な単一色”マゼンダ”、”レッド”、”シアン”、”グリーン”および”ブルー”を表示するために使用される。
表示すべき文字色に応じて輝度テーブル70a〜70fのうちの1つを選択的に使用することにより、表示すべき文字色に応じてサブピクセルの色要素レベルとサブピクセルの輝度レベルとの対応関係を変更することが可能になる。その結果、文字を擬似的な単一色で表示デバイス10上に表示することが可能になる。
なお、上述した例では、文字色は、”イエロー”、”マゼンダ”、”レッド”、”シアン”、”グリーン”および”ブルー”の6色のうちのいずれかであると仮定した。しかし、文字色の種類および数はこれに限定されない。文字表示装置1aは、文字を任意の種類および数の文字色で表示デバイス10上に表示することが可能である。
また、文字に着色しない場合には、後述される標準輝度テーブル90(図9)が使用される。従って、「着色なし」の場合には標準輝度テーブル90を使用し、「着色あり」の場合には表示すべき文字色に応じて輝度テーブル70a〜70fのうちの1つを選択的に使用することにより、文字色を適切に表示することが可能になる。
図8は、文字表示プログラム41aの処理手順を示す。文字表示プログラム41aは、CPU21によって実行される。以下、文字表示プログラム41aの処理手順を各ステップごとに説明する。
ステップS1:入力デバイス30から、文字コードと文字サイズと文字色情報とが入力される。例えば、漢字の「木」を表示デバイス10に表示する場合には、文字コードとして4458番(JIS区点コード、44区58点)が入力される。文字サイズは、例えば、表示される文字の縦方向のピクセル数と横方向のピクセル数とによって表現される。文字サイズは、例えば、20ピクセル×20ピクセルである。文字色情報は、表示デバイス10に表示される文字の色を規定する。文字色情報は、例えば、文字の色の種類を示す情報と文字の色の濃さを示す情報とを含む。
ステップS2:入力された文字コードに対応する1文字分のスケルトンデータ42aが、主メモリ22に格納される。
ステップS3:入力された文字サイズに従って、スケルトンデータ42aの座標データ307がスケーリングされる。このスケーリングにより、スケルトンデータ42aの座標データ307のための予め決められた座標系が表示デバイス10のための実ピクセル座標系に変換される。ただし、このスケーリングは、サブピクセルの配列を考慮して行われる。例えば、図1に示されるように、1つのピクセル12がX方向に配列された3個のサブピクセル14R、14Gおよび14Bを有している場合において、文字サイズが20ピクセル×20ピクセルである場合には、スケルトンデータ42aの座標データ307は、20ピクセル×60(=20×3)ピクセルのデータにスケーリングされる。
ステップS4:スケルトンデータ42aから1ストローク分のデータ(ストローク情報303)が取り出される。
ステップS5:ステップS4において取り出された1ストローク分のデータ(ストローク情報303)に基づいて、そのストロークが直線であるか否かが判定される。このような判定は、ストローク情報303に含まれる線タイプ306を参照することによってなされる。ステップS5の判定において「Yes」である場合には処理はステップS6に進み、ステップS5の判定において「No」である場合には処理はステップS7に進む。
ステップS6:スケーリングされた座標データ307が直線で結ばれる。その直線上に配置されるサブピクセルが文字の骨格部分として定義される。このように、文字の骨格部分はサブピクセル単位に定義される。
ステップS7:スケーリングされた座標データ307が曲線で近似される。その曲線は、例えば、スプライン曲線である。その曲線上に配置されるサブピクセルが文字の骨格部分として定義される。このように、文字の骨格部分はサブピクセル単位に定義される。
ステップS8:文字の骨格部分に対応するサブピクセルの色要素レベルが、最大の色要素レベルに設定される。例えば、サブピクセルの色要素レベルがレベル7〜レベル0の8段階で表される場合には、文字の骨格部分に対応するサブピクセルの色要素レベルはレベル7に設定される。
ステップS9:文字の骨格部分に対応するサブピクセルの近傍に配置されるサブピクセルの色要素レベルが所定の補正パターン選択ルールに従ってレベル6〜レベル0のいずれかに設定される。その所定の補正パターン選択ルールの詳細は、図33(a)、(b)および図34(a)、(b)を参照して後述される。このような色要素レベルの設定は、例えば、補助記憶装置40に格納されている補正テーブル42bを用いて行われる。
ステップS10:1文字に含まれるすべてのストロークについてステップS3〜ステップS9の処理が完了したか否かが判定される。もし「No」であれば処理はステップS3に戻る。もし「Yes」であれば処理はステップS11に進む。
ステップS11:文字色情報に応じて、サブピクセルの色要素レベルとサブピクセルの輝度レベルとの対応関係が変更される。
図7に示されるように、輝度テーブル70に含まれる輝度テーブル70a〜70fは、互いに異なるサブピクセルの色要素レベルとサブピクセルの輝度レベルとの対応関係を定義している。従って、輝度テーブル42cとして図7に示される輝度テーブル70が使用される場合には、文字色情報に応じて輝度テーブル70に含まれる輝度テーブル70a〜70fのうちの1つを選択的に使用することにより、文字色情報に応じてサブピクセルの色要素レベルとサブピクセルの輝度レベルとの対応関係を変更することができる。例えば、文字色情報が文字色”イエロー”を示す場合には、輝度テーブル70aが選択される。
ステップS12:サブピクセルの色要素レベルとサブピクセルの輝度レベルとの変更後の対応関係に基づいて、サブピクセルの色要素レベルが輝度レベルに変換される。例えば、文字色の種類が”イエロー”である場合には、選択された輝度テーブル70aに基づいてサブピクセルの色要素レベルが輝度レベルに変換される。
このように、文字色情報に応じてサブピクセルの色要素レベルとサブピクセルの輝度レベルとの対応関係を変更することにより、文字色情報に応じた擬似的な単一色で文字を表示デバイス10上に表示することが可能になる。
ステップS13:サブピクセルの輝度レベルを示す輝度データが表示デバイス10に転送される。これにより、表示デバイス10の輝度レベルがサブピクセル単位に制御される。
なお、輝度テーブル42cに加えて、文字色設定テーブル42dを補助記憶装置40に格納し、輝度テーブル42cと文字色設定テーブル42dとを用いて、サブピクセルの色要素レベルとサブピクセルの輝度レベルとの対応関係を変更するようにしてもよい。文字色設定テーブル42dは、データ42の一部として補助記憶装置40に格納される。従って、この場合における文字表示装置1bの構成は、図2Bに示されるようになる。
図9は、輝度テーブル42cの例としての標準輝度テーブル90を示す。
標準輝度テーブル90は、擬似的な単一色”黒”を表示する場合におけるサブピクセルの色要素レベルとサブピクセルの輝度レベルとの対応関係を定義する。例えば、標準輝度テーブル90では、色要素R、G、Bの色要素レベル6は、それぞれ、輝度レベル36に対応する。標準輝度テーブル90では、サブピクセルの8段階の色要素レベル(レベル7〜レベル0)は、輝度レベル0〜255にほぼ等間隔に割り当てられている。
図10は、文字色設定テーブル42dの例としての文字色設定テーブル100を示す。
文字色設定テーブル100は、標準輝度テーブル90に定義されている色要素レベルのシフト数(正数)を定義する。
文字色設定テーブル100における”+1”は、標準輝度テーブル90に定義されている色要素レベルを+1だけシフトすることを示す。その結果、指定された色要素レベルは、標準輝度テーブル90に従って、その指定された色要素レベルより1だけ大きい色要素レベルに対応する輝度レベルに変換される。ただし、シフトされた色要素レベルが最大の色要素レベルを上回る場合には、その指定された色要素レベルはその最大の色要素レベルに対応する輝度レベルに変換されるものとする。
文字色設定テーブル100における”0”は、標準輝度テーブル90に定義されている色要素レベルをシフトしないことを示す。その結果、指定された色要素レベルは、標準輝度テーブル90に従って、その指定された色要素レベルに対応する輝度レベルに変換される。
このように、文字色設定テーブル100は、文字色情報に応じて、標準輝度テーブル90に定義されているサブピクセルの色要素レベルとサブピクセルの輝度レベルとの対応関係を変更する。
図11は、文字色設定テーブル42dの他の例としての文字色設定テーブル110を示す。
文字色設定テーブル110は、標準輝度テーブル90に定義されている色要素レベルのシフト数(負数)を定義する。
文字色設定テーブル110における”−1”は、標準輝度テーブル90に定義されている色要素レベルを−1だけシフトすることを示す。その結果、指定された色要素レベルは、標準輝度テーブル90に従って、その指定された色要素レベルより1だけ小さい色要素レベルに対応する輝度レベルに変換される。ただし、シフトされた色要素レベルが最小の色要素レベルを下回る場合には、その指定された色要素レベルはその最小の色要素レベルに対応する輝度レベルに変換されるものとする。
文字色設定テーブル110における”0”は、標準輝度テーブル90に定義されている色要素レベルをシフトしないことを示す。その結果、指定された色要素レベルは、標準輝度テーブル90に従って、その指定された色要素レベルに対応する輝度レベルに変換される。
このように、文字色設定テーブル110は、文字色情報に応じて、標準輝度テーブル90に定義されているサブピクセルの色要素レベルとサブピクセルの輝度レベルとの対応関係を変更する。
図9〜図11を参照して説明した、サブピクセルの色要素レベルとサブピクセルの輝度レベルとの対応関係の変更は、(数1)によって表現される。
ここで、Lは色要素レベルを示し、L
maxは色要素レベルの最大値を示し、L
minは色要素レベルの最小値を示す。図9〜図11に示される例では、L=0,1,...,7であり、L
max=7、L
min=0である。
Cは文字色の種類を示す。図10〜図11に示される例では、C=”着色なし”,”イエロー”,”マゼンダ”,”レッド”,”シアン”,”グリーン”,”ブルー”のいずれかである。
DR(L)は、色要素レベルLに対応するサブピクセル14Rの変更前の輝度レベルを示し、DG(L)は、色要素レベルLに対応するサブピクセル14Gの変更前の輝度レベルを示し、DB(L)は、色要素レベルLに対応するサブピクセル14Bの変更前の輝度レベルを示す。
DR(C)’(L)は、文字色の種類C、色要素レベルLに対応するサブピクセル14Rの変更後の輝度レベルを示し、DG(C)’(L)は、文字色の種類C、色要素レベルLに対応するサブピクセル14Gの変更後の輝度レベルを示し、DB(C)’(L)は、文字色の種類C、色要素レベルLに対応するサブピクセル14Rの変更後の輝度レベルを示す。
SR(C)は、文字色の種類Cに対応するサブピクセル14Rの色要素レベルのシフト数を示し、SG(C)は、文字色の種類Cに対応するサブピクセル14Gの色要素レベルのシフト数を示し、SB(C)は、文字色の種類Cに対応するサブピクセル14Bの色要素レベルのシフト数を示す。
図12は、文字色の種類Cとして”イエロー”を指定した場合において、文字色設定テーブル100(図10)を用いて標準輝度テーブル90に定義されている色要素レベルと輝度レベルとの対応関係を変更した結果を示す。図12に示されるように、色要素Bの色要素レベル1〜6に対応する輝度レベルが、輝度が下がる方向に変更されている。これにより、文字の周囲で青色の光が弱まるため、文字が黄色に色付いて見えることとなる。
図13は、文字色の種類Cとして”レッド”を指定した場合において、文字色設定テーブル110(図11)を用いて標準輝度テーブル90に定義されている色要素レベルと輝度レベルとの対応関係を変更した結果を示す。図13に示されるように、色要素Rの色要素レベル1〜6に対応する輝度レベルが、輝度が上がる方向に変更されている。これにより、文字の周囲で赤色の光が強まるため、文字が赤色に色付いて見えることとなる。
図14は、文字色設定テーブル42dの他の例としての文字色設定テーブル140a、140bを示す。
文字色設定テーブル140a、140bは、標準輝度テーブル90に定義されている輝度レベルのシフト量を定義する。
文字色設定テーブル140aにおける”M1”、”M2”は、標準輝度テーブル90に定義されている輝度レベルを”M1”、”M2”だけシフトすることを示す。その結果、指定された色要素レベルは、標準輝度テーブル90に従って、その指定された色要素レベルに対応する輝度レベルより”M1”、”M2”だけシフトした輝度レベルに変換される。
文字色設定テーブル140aにおける”0”は、標準輝度テーブル90に定義されている輝度レベルをシフトしないことを示す。その結果、指定された色要素レベルは、標準輝度テーブル90に従って、その指定された色要素レベルに対応する輝度レベルに変換される。
文字色設定テーブル140bは、文字色の濃さNに応じて、輝度レベルのシフト量”M1”、”M2”の値を定義する。
このように、文字色設定テーブル140a、140bは、文字色情報(すなわち、文字色の種類、文字色の濃さ)に応じて、標準輝度テーブル90に定義されているサブピクセルの色要素レベルとサブピクセルの輝度レベルとの対応関係を変更する。
なお、図14に示される例では、輝度レベルのシフト量は負数(すなわち、輝度を下げる方向のシフト量)によって表されているが、輝度レベルのシフト量を正数(すなわち、輝度を上げる方向のシフト量)によって表すこともできる。
図9および図14を参照して説明した、サブピクセルの色要素レベルとサブピクセルの輝度レベルとの対応関係の変更は、(数2)によって表現される。
ここで、Nは文字色の濃さを示す。図14に示される例では、N=0,1,2,3,4である。
DR(C,N)’(L)は、文字色の種類C、文字色の濃さN、色要素レベルLに対応するサブピクセル14Rの変更後の輝度レベルを示し、DG(C,N)’(L)は、文字色の種類C、文字色の濃さN、色要素レベルLに対応するサブピクセル14Gの変更後の輝度レベルを示し、DB(C,N)’(L)は、文字色の種類C、文字色の濃さN、色要素レベルLに対応するサブピクセル14Bの変更後の輝度レベルを示す。
MR(C,N)は、文字色の種類C、文字色の濃さNに対応するサブピクセル14Rの輝度レベルのシフト量を示し、MG(C,N)は、文字色の種類C、文字色の濃さNに対応するサブピクセル14Gの輝度レベルのシフト量を示し、MB(C,N)は、文字色の種類C、文字色の濃さNに対応するサブピクセル14Bの輝度レベルのシフト量を示す。
図15は、文字色の種類Cとして”イエロー”を指定し、文字色の濃さNとして”2”を指定した場合において、文字色設定テーブル140a、140b(図14)を用いて標準輝度テーブル90に定義されている色要素レベルと輝度レベルとの対応関係を変更した結果を示す。図15に示されるように、色要素Bの色要素レベル1〜6に対応する輝度レベルが、輝度が下がる方向に変更されている。これにより、文字の周囲で青色の光が弱まるため、文字が黄色に色付いて見えることとなる。
図16は、文字色の種類Cとして”レッド”を指定し、文字色の濃さNとして”2”を指定した場合において、文字色設定テーブル140a、140b(図14)を用いて標準輝度テーブル90に定義されている色要素レベルと輝度レベルとの対応関係を変更した結果を示す。図16に示されるように、色要素G、Bの色要素レベル1〜6に対応する輝度レベルが、輝度が下がる方向に変更されている。これにより、文字の周囲で緑色と青色の光が弱まるため、相対的に文字が赤色に色付いて見えることとなる。
図17は、文字色設定テーブル42dの他の例としての文字色設定テーブル170a、170bを示す。
文字色設定テーブル170a、170bは、標準輝度テーブル90に定義されている輝度レベルの変化率を定義する。
文字色設定テーブル170aにおける”K1”、”K2”は、標準輝度テーブル90に定義されている輝度レベルに乗算すべき変化率を示す。指定された色要素レベルは、標準輝度テーブル90に従って、その指定された色要素レベルに対応する輝度レベルに変化率”K1”、”K2”を乗算することによって得られる輝度レベルに変換される。
文字色設定テーブル170aにおける”1”は、標準輝度テーブル90に定義されている輝度レベルを変化させないことを示す。その結果、指定された色要素レベルは、標準輝度テーブル90に従って、その指定された色要素レベルに対応する輝度レベルに変換される。
文字色設定テーブル170bは、文字色の濃さNに応じて、輝度レベルの変化率”K1”、”K2”の値を定義する。
このように、文字色設定テーブル170a、170bは、文字色情報(すなわち、文字色の種類、文字色の濃さ)に応じて、標準輝度テーブル90に定義されているサブピクセルの色要素レベルとサブピクセルの輝度レベルとの対応関係を変更する。
なお、輝度レベルが整数値で表される場合には、輝度レベルの変化率を乗算がビットシフトと加減算によって置換されるような値に設定することが好ましい。輝度レベルの演算を整数演算だけで済ませることができるからである。これにより、計算コストやハードウェアの規模を節約することができる。
図9および図17を参照して説明した、サブピクセルの色要素レベルとサブピクセルの輝度レベルとの対応関係の変更は、(数3)によって表現される。
ここで、K
R(C,N)は、文字色の種類C、文字色の濃さNに対応するサブピクセル14Rの輝度レベルの変化率を示し、K
G(C,N)は、文字色の種類C、文字色の濃さNに対応するサブピクセル14Gの輝度レベルの変化率を示し、K
B(C,N)は、文字色の種類C、文字色の濃さNに対応するサブピクセル14Bの輝度レベルの変化率を示す。
図18は、文字色の種類Cとして”イエロー”を指定し、文字色の濃さNとして”2”を指定した場合において、文字色設定テーブル170a、170b(図17)を用いて標準輝度テーブル90に定義されている色要素レベルと輝度レベルとの対応関係を変更した結果を示す。図18に示されるように、色要素Bの色要素レベル1〜6に対応する輝度レベルが、輝度が下がる方向に変更されている。これにより、文字の周囲で青色の光が弱まるため、文字が黄色に色付いて見えることとなる。
図19は、文字色の種類Cとして”レッド”を指定し、文字色の濃さNとして”2”を指定した場合において、文字色設定テーブル170a、170b(図17)を用いて標準輝度テーブル90に定義されている色要素レベルと輝度レベルとの対応関係を変更した結果を示す。図19に示されるように、色要素G、Bの色要素レベル1〜6に対応する輝度レベルが、輝度が下がる方向に変更されている。これにより、文字の周囲で緑色と青色の光が弱まるため、相対的に文字が赤色に色付いて見えることとなる。
このように、変化率を用いて輝度レベルを変更すると、輝度レベルの変化量(シフト量)が一定ではない。輝度レベルが低いほど輝度レベルの変化量(シフト量)が小さく、輝度レベルが高いほど輝度レベルの変化量(シフト量)が大きくなるという特徴がある。
上述したように、文字色の種類や文字色の濃さに応じて、サブピクセルの色要素レベルとサブピクセルの輝度レベルとの対応関係を変更することにより、表示デバイス10に表示される文字に着色される擬似的な単一色を変更することができる。従って、そのような対応関係を時間の経過につれて変化させることにより、表示デバイス10に表示される文字に着色される擬似的な単一色を時間の経過につれて変化させるようにすることができる。
図20は、文字色設定テーブル42dの他の例としての時刻t=T1、T2、T3における文字色設定テーブル200aを示す。
文字色設定テーブル200aは、標準輝度テーブル90に定義されている輝度レベルのシフト量M1(t)、M2(t)を定義する。ここで、シフト量M1(t)、M2(t)は、時刻tの関数として決定される。
このように、輝度レベルのシフト量を時間の経過につれて変化させることにより、文字色の濃さを変化させることができる。
また、輝度レベルのシフト量を文字色の濃度N(t)と関連付けておき、濃度N(t)を時刻tの関数として決定するようにしてもよい。文字色の濃度を時間の経過につれて変化させることによっても、文字色の濃さを変化させることができる。
また、時間の経過につれて文字色の種類を変化させるようにしてもよい。例えば、時刻t=T1における文字色の種類が”着色なし”であり、時刻t=T2における文字色の種類が”イエロー”であり、時刻t=T3における文字色の種類が”マゼンダ”であるように文字色の種類を変化させてもよい。時間の経過につれて文字色の濃さの変化と文字色の種類の変化とを組み合わせることも可能である。
なお、時刻tの関数として決定する量は、輝度レベルのシフト量には限定されない。色要素レベルのシフト数を時刻tの関数として決定してもよいし、輝度レベルの変化率を時刻tの関数として決定してもよい。サブピクセルの色要素レベルとサブピクセルの輝度レベルとの対応関係が少なくとも1つのパラメータに依存して決定されている場合には、その少なくとも1つのパラメータのうちの少なくとも1つを時刻tの関数とすればよい。このように、サブピクセルの色要素レベルとサブピクセルの輝度レベルとの対応関係に関連する任意のパラメータを時間の経過につれて変化させることにより、文字色を変化させることが本発明の範囲内に含まれる。
(実施の形態2)
図2Cは、本発明の実施の形態2の文字表示装置1cの構成を示す。補助記憶装置40には、輝度テーブル42cに加えて、文字色設定テーブル42dと背景色設定テーブル42eとが格納されている。
背景色設定テーブル42eは、背景色情報に応じて、サブピクセルの色要素レベルとサブピクセルの輝度レベルとの対応関係を変更するために使用される。
図21は、文字表示プログラム41cの処理手順を示す。文字表示プログラム41cは、CPU21によって実行される。図21において、図8に示されるステップと同一のステップには同一の番号を付し、その説明を省略する。
ステップS211:入力デバイス30から、文字コードと文字サイズと文字色情報と背景色情報とが入力される。背景色情報は、表示デバイス10に表示される文字の背景色を規定する。背景色情報は、例えば、文字の背景の色の種類を示す情報と文字の背景の色の濃さを示す情報とを含む。
ステップS212:背景色情報に応じて、サブピクセルの色要素レベルとサブピクセルの輝度レベルとの対応関係が変更される。
図22は、背景色設定テーブル42eの例としての背景色設定テーブル220を示す。
背景色設定テーブル220は、色要素レベルのシフト数(正数)を定義する。
背景色設定テーブル220における”+1”は、文字色情報に応じて変更された後の色要素レベルと輝度レベルとの対応関係における色要素レベルを+1だけシフトすることを示す。その結果、指定された色要素レベルは、文字色情報に応じて変更された後の色要素レベルと輝度レベルとの対応関係に従って、その指定された色要素レベルより1だけ大きい色要素レベルに対応する輝度レベルに変換される。ただし、シフトされた色要素レベルが最大の色要素レベルを上回る場合には、その指定された色要素レベルはその最大の色要素レベルに対応する輝度レベルに変換されるものとする。
背景色設定テーブル220における”0”は、文字色情報に応じて変更された後の色要素レベルと輝度レベルとの対応関係における色要素レベルをシフトしないことを示す。その結果、指定された色要素レベルは、文字色情報に応じて変更された後の色要素レベルと輝度レベルとの対応関係に従って、その指定された色要素レベルに対応する輝度レベルに変換される。
このように、背景色設定テーブル220は、文字色情報に応じて変更された後のサブピクセルの色要素レベルとサブピクセルの輝度レベルとの対応関係をさらに変更するために使用される。
図22を参照して説明した、サブピクセルの色要素レベルとサブピクセルの輝度レベルとの対応関係の変更は、(数4)によって表現される。
ここで、D
R(C)’(L)は、文字色の種類Cに応じて変更された後の色要素レベルLに対応するサブピクセル14Rの輝度レベルを示し、D
G(C)’(L)は、文字色の種類Cに応じて変更された後の色要素レベルLに対応するサブピクセル14Gの輝度レベルを示し、D
B(C)’(L)は、文字色の種類Cに応じて変更された後の色要素レベルLに対応するサブピクセル14Bの輝度レベルを示す。
DR(C,BC)”(L)は、背景色の種類BCに応じてさらに変更された後の色要素レベルLに対応するサブピクセル14Rの輝度レベルを示し、DG(C,BC)”(L)は、背景色の種類BCに応じてさらに変更された後の色要素レベルLに対応するサブピクセル14Gの輝度レベルを示し、DB(C,BC)”(L)は、背景色の種類BCに応じてさらに変更された後の色要素レベルLに対応するサブピクセル14Bの輝度レベルを示す。
SR’(BC)は、背景色の種類BCに対応するサブピクセル14Rの色要素レベルのシフト数を示し、SG’(BC)は、背景色の種類BCに対応するサブピクセル14Gの色要素レベルのシフト数を示し、SB’(BC)は、背景色の種類BCに対応するサブピクセル14Bの色要素レベルのシフト数を示す。
図23は、文字色の種類Cとして”着色なし”を指定し、背景色の種類BCとして”イエロー”を指定した場合において、文字色情報に応じて変更された後の色要素レベルと輝度レベルとの対応関係を背景色設定テーブル220(図22)を用いてさらに変更した結果を示す。図23に示されるように、色要素Bの色要素レベル0に対応する輝度レベルが、輝度が下がる方向に変更されている。これにより、文字の背景において青色の光が弱まるため、文字の背景が黄色に色付いて見えることとなる。
図24は、文字色の種類Cとして”シアン”を指定し、背景色の種類BCとして”イエロー”を指定して場合において、文字色情報に応じて変更された後の色要素レベルと輝度レベルとの対応関係を背景色設定テーブル220(図22)を用いてさらに変更した結果を示す。図24に示されるように、色要素Rの色要素レベル1〜6に対応する輝度レベルが、輝度が下がる方向に変更されており、色要素Bの色要素レベル0に対応する輝度レベルが、輝度が下がる方向に変更されている。これにより、文字の周囲で赤色の光が弱まるため、文字がシアンに色付いて見えるとともに、文字の背景において青色の光が弱まるため、文字の背景が黄色に色付いて見えることとなる。
なお、文字色を設定せず、背景色だけを設定する構成も考えられる。この場合には、文字色設定テーブルを補助記憶装置40に記憶しておく必要がない。この場合の文字表示装置1dの構成は、図2Dに示される。また、この場合、図21に示される文字表示プログラム41cのステップS211において、文字色情報の入力を省略することができ、ステップS11を省略することができる。ステップS212において、背景色情報に応じて、標準輝度テーブル90(図9)に定義されるサブピクセルの色要素レベルとサブピクセルの輝度レベルとの対応関係を変更するようにすればよい。
図25は、背景色設定テーブル42eの他の例としての背景色設定テーブル250a、250bを示す。
背景色設定テーブル250a、250bは、輝度レベルのシフト量を定義する。
背景色設定テーブル250aにおける”BM1”、”BM2”は、輝度レベルを”BM1”、”BM2”だけシフトすることを示す。背景色設定テーブル250aにおける”0”は、輝度レベルをシフトしないことを示す。
背景色設定テーブル250bは、背景色の濃さBNに応じて、輝度レベルのシフト量”BM1”、”BM2”の値を定義する。
このように、背景色設定テーブル250a、250bは、文字色情報に応じて変更された後のサブピクセルの色要素レベルとサブピクセルの輝度レベルとの対応関係を背景色情報に応じてさらに変更するために使用される。
図25を参照して説明した、サブピクセルの色要素レベルとサブピクセルの輝度レベルとの対応関係の変更は、(数5)によって表現される。
ここで、D
R(C、
N)’(L)は、文字色の種類C、文字色の濃さNに応じて変更された後の色要素レベルLに対応するサブピクセル14Rの輝度レベルを示し、D
G(C、
N)’(L)は、文字色の種類C、文字色の濃さNに応じて変更された後の色要素レベルLに対応するサブピクセル14Gの輝度レベルを示し、D
B(C,N)’(L)は、文字色の種類C、文字色の濃さNに応じて変更された後の色要素レベルLに対応するサブピクセル14Bの輝度レベルを示す。
DR(C,N,BC,BN)”(L)は、背景色の種類BC、背景色の濃さBNに応じてさらに変更された後の色要素レベルLに対応するサブピクセル14Rの輝度レベルを示し、DG(C,N,BC,BN)”(L)は、背景色の種類BC、背景色の濃さBNに応じてさらに変更された後の色要素レベルLに対応するサブピクセル14Gの輝度レベルを示し、DB(C,N,BC,BN)”(L)は、背景色の種類BC、背景色の濃さBNに応じてさらに変更された後の色要素レベルLに対応するサブピクセル14Bの輝度レベルを示す。
MR’(BC,BN)は、背景色の種類BC、背景色の濃さBNに対応するサブピクセル14Rの輝度レベルのシフト量を示し、MG’(BC,BN)は、背景色の種類BC、背景色の濃さBNに対応するサブピクセル14Gの輝度レベルのシフト量を示し、MB’(BC,BN)は、背景色の種類BC、背景色の濃さBNに対応するサブピクセル14Bの輝度レベルのシフト量を示す。
図26は、背景色の種類BCとして”マゼンダ”を指定し、背景色の濃さBNとして”3”を指定した場合において、文字色情報に応じて変更された後の色要素レベルと輝度レベルとの対応関係を背景色設定テーブル250a、250b(図25)を用いてさらに変更した結果を示す。図26に示されるように、色要素Gの色要素レベル0に対応する輝度レベルが、輝度が下がる方向に変更されている。また、これに伴って、色要素Gの色要素レベル1に対応する輝度レベルが色要素Gの色要素レベル0に対応する輝度レベルと同一の値(207)に変更されている。これにより、文字の背景において緑色の光が弱まるため、文字の背景がマゼンダに色付いて見えることとなる。
なお、背景色情報として色要素(R、G、B)の輝度レベル(VR、VG、VB)が与えられる場合がある。この場合には、各色要素の色要素レベル0に対応する輝度レベルが与えられた輝度レベルに等しくなるように、サブピクセルの色要素レベルとサブピクセルの輝度レベルとの対応関係を変更すればよい。ただし、変更後の輝度レベルは、色要素レベル0に対応する輝度レベルを越えないように抑えられる。
この場合における、サブピクセルの色要素レベルとサブピクセルの輝度レベルとの対応関係の変更は、(数6)によって表現される。
ここで、V
Rは色要素Rに対して与えられた任意の輝度レベルを示し、V
Gは色要素Gに対して与えられた任意の輝度レベルを示し、V
Bは色要素Bに対して与えられた任意の輝度レベルを示す。
図27は、背景色情報として(VR、VG、VB)=(200,255,219)を指定した場合において、色要素レベルと輝度レベルとの対応関係を(数6)に従って変更した結果を示す。図27に示されるように、色要素(R、G、B)の色要素レベル0に対応する輝度レベルが、(200,255,219)に変更されている。また、これに伴って、色要素Rの色要素レベル1に対応する輝度レベルが色要素Rの色要素レベル0に対応する輝度レベルと同一の値(200)に変更されている。
このようにして、与えられた任意の背景色情報に応じて、サブピクセルの色要素レベルとサブピクセルの輝度レベルとの対応関係を変更することができる。
なお、文字色を時間の経過につれて変化させるのと同様に、サブピクセルの色要素レベルとサブピクセルの輝度レベルとの対応関係に関連する任意のパラメータを時間の経過につれて変化させることにより、背景色を変化させることもできる。
例えば、図28に示されるように、輝度レベルのシフト量M1(t)M2(t)を時刻tの関数として決定することにより、時間の経過につれて背景色の濃さを変化させることが可能になる。従って、時刻t=T1、T2、T3において異なる背景色の濃さを表示することが可能になる。
また、時間の経過につれて背景色の種類を変化させるようにしてもよい。例えば、時刻t=T1における背景色の種類が”着色なし”であり、時刻t=T2における背景色の種類が”イエロー”であり、時刻t=T3における背景色の種類が”マゼンダ”であるように背景色の種類を変化させてもよい。時間の経過につれて背景色の濃さの変化と背景色の種類の変化とを組み合わせることも可能である。
(実施の形態3)
一般に、文字は、白色の背景に黒色で表示されることが多い。しかし、単語の強調や画面のデザイン上の必要性から、文字色と背景色とを反転させることがある。
図2Eは、本発明の実施の形態3の文字表示装置1eの構成を示す。文字表示装置1eは、文字色と背景色とを反転させる(すなわち、文字を反転表示する)機能を有している。
文字表示装置1eの構成は、文字表示プログラム41aの代わりに、文字表示プログラム41eが補助記憶装置40に格納されていることを除いて、文字表示装置1a(図2A)の構成と同一である。
図29は、文字表示プログラム41eの処理手順を示す。文字表示プログラム41eは、CPU21によって実行される。図29において、図8に示されるステップと同一のステップには同一の番号を付し、その説明を省略する。
ステップS291:入力デバイス30から、文字コードと文字サイズと文字反転情報とが入力される。文字反転情報は、文字を反転表示するか否かを示す情報を含む。
ステップS292:文字反転情報に応じて、サブピクセルの色要素レベルとサブピクセルの輝度レベルとの対応関係が変更される。
このような対応関係の変更は、「着色なし」の場合には、例えば、(数7)によって表現される。
図30は、(数7)に従って、標準輝度テーブル90(図9)に定義される色要素レベルと輝度レベルとの対応関係を変更した結果を示す。図30に示される例では、標準輝度テーブル90(図9)の各色要素の輝度レベルを色要素レベルの逆順に並べ替えた後に、最大の色要素レベルと最小の色要素レベル以外の色要素レベルに対応する輝度レベルを各色要素についてシフト量M(=+36)だけシフトし、そのシフトされた輝度レベルに設定している。ただし、各色要素レベルに対応する輝度レベルは、最大の色要素レベルに対応する輝度レベルを上回らず、かつ、最小の色要素レベルに対応する輝度レベルを下回らないように抑えられる。
図30に示される輝度テーブルに従って、サブピクセルの色要素レベルを輝度レベルに変換することにより、黒色の背景に白色の文字を表示することが可能になり、さらに、白色の文字を明るく見やすくすることが可能になる。
図2Fは、本発明の実施の形態3の他の文字表示装置1fの構成を示す。文字表示装置1fは、文字を反転表示する機能に加えて、反転表示された文字に着色する機能を有している。
文字表示装置1fの構成は、文字表示プログラム41aの代わりに、文字表示プログラム41fが補助記憶装置40に格納されていることを除いて、文字表示装置1b(図2B)の構成と同一である。
図31は、文字表示プログラム41fの処理手順を示す。文字表示プログラム41fは、CPU21によって実行される。図31において、図8および図29に示されるステップと同一のステップには同一の番号を付し、その説明を省略する。
ステップS311:入力デバイス30から、文字コードと文字サイズと文字反転情報と文字色情報とが入力される。文字反転情報は、文字を反転表示するか否かを示す情報を含む。文字色情報は、文字色の種類を示す情報と文字色の濃さを示す情報とを含む。
ステップS312:文字色情報に応じて、サブピクセルの色要素レベルとサブピクセルの輝度レベルとの対応関係が変更される。
ステップS312では、文字反転情報に応じて変更された後のサブピクセルの色要素レベルとサブピクセルの輝度レベルとの対応関係が、文字色情報に応じてさらに変更されることになる。
このような対応関係の変更は、「着色あり」の場合には、例えば、(数8)によって表現される。
ここで、Mは色要素によらず一定のシフト量を示し、M
Rは色要素Rに対応するシフト量を示し、M
Gは色要素Gに対応するシフト量を示し、M
Bは色要素Bに対応するシフト量を示す。
文字色情報に応じてサブピクセルの色要素レベルとサブピクセルの輝度レベルとの対応関係を変更するために、実施の形態1で説明した文字色設定テーブル(例えば、文字色設定テーブル140a、140b(図14)や文字色設定テーブル170a、170b(図17))が使用され得る。なお、文字色設定テーブル100(図10)、110(図11)における符号を反転することによって得られるテーブルも使用され得る。
図32は、(数8)に従って、標準輝度テーブル90(図9)に定義される色要素レベルと輝度レベルとの対応関係を変更した結果を示す。図32に示される例では、標準輝度テーブル90(図9)の各色要素の輝度レベルを色要素レベルの逆順に並べ替えた後に、最大の色要素レベルと最小の色要素レベル以外の色要素レベルに対応する輝度レベルを各色要素についてシフト量M(=+36)だけシフトし、さらに、最大の色要素レベルと最小の色要素レベル以外の色要素レベルに対応する輝度レベルを色要素Gについてシフト量MG(=+36)だけシフトし、そのシフトされた輝度レベルに設定している。ただし、各色要素レベルに対応する輝度レベルは、最大の色要素レベルに対応する輝度レベルを上回らず、かつ、最小の色要素レベルに対応する輝度レベルを下回らないように抑えられる。なお、図32に示される例では、MR=MB=0である。
図32に示される輝度テーブルに従って、サブピクセルの色要素レベルを輝度レベルに変換することにより、文字が反転表示されるとともに、文字の周囲で緑色の光が強まるため、文字が緑色に色付いて見えることとなる。
図33(a)、(b)は、文字の骨格部分に対応するサブピクセルの左側に隣接して配置されるサブピクセルの色要素レベルがどのように決定されるかを示す。
文字の骨格部分に対応するサブピクセルの左側に隣接して配置されるサブピクセルの色要素レベルは、ストロークの始点と終点とを結ぶ直線の方向とは関係なく、サブピクセルの上方向から下方向に順番に決定される。
図33(a)、(b)において、文字の骨格部分に対応する1つのサブピクセルAに注目する。注目サブピクセルAの左下に位置するサブピクセルをサブピクセルBとする。注目サブピクセルAの左上に位置するサブピクセルをサブピクセルCとする。
サブピクセルBまたはサブピクセルCの少なくとも一方が文字の骨格部分に対応する場合には、サブピクセルAの左側に隣接するサブピクセルの色要素レベルが補正テーブル42bの補正パターン1に従って決定される。図33(a)の場合がこの場合にあたる。例えば、補正テーブル42bとして補正テーブル60(図6)が使用される場合には、補正パターン1は「5」、「2」、「1」というパターンである。従って、サブピクセルAの左側に隣接する3つのサブピクセルの色要素レベルがサブピクセルAに近い側から遠い側に向かって「5」、「2」、「1」の順に設定される。
サブピクセルBが文字の骨格部分に対応せず、かつ、サブピクセルCが文字の骨格部分に対応しない場合には、サブピクセルAの左側に隣接するサブピクセルの色要素レベルが補正テーブル42bの補正パターン2に従って決定される。図33(b)の場合がこの場合にあたる。例えば、補正テーブル42bとして補正テーブル60(図6)が使用される場合には、補正パターン2は「4」、「2」、「1」というパターンである。従って、サブピクセルAの左側に隣接する3つのサブピクセルの色要素レベルがサブピクセルAに近い側から遠い側に向かって「4」、「2」、「1」の順に設定される。
ここで、文字の骨格部分に対応するサブピクセルが横方向に複数個配列されている場合には、一番左側のサブピクセルがサブピクセルAとして選択される。
図34(a)、(b)は、文字の骨格部分に対応するサブピクセルの右側に隣接して配置されるサブピクセルの色要素レベルがどのように決定されるかを示す。
文字の骨格部分に対応するサブピクセルの右側に隣接して配置されるサブピクセルの色要素レベルは、ストロークの始点と終点とを結ぶ直線の方向とは関係なく、サブピクセルの上方向から下方向に順番に決定される。
図34(a)、(b)において、文字の骨格部分に対応する1つのサブピクセルAに注目する。注目サブピクセルAの右下に位置するサブピクセルをサブピクセルDとする。注目サブピクセルAの右上に位置するサブピクセルをサブピクセルEとする。
サブピクセルDまたはサブピクセルEの少なくとも一方が文字の骨格部分に対応する場合には、サブピクセルAの右側に隣接するサブピクセルの色要素レベルが補正テーブル42bの補正パターン1に従って決定される。図34(a)の場合がこの場合にあたる。例えば、補正テーブル42bとして補正テーブル60(図6)が使用される場合には、補正パターン1は「5」、「2」、「1」というパターンである。従って、サブピクセルAの右側に隣接する3つのサブピクセルの色要素レベルがサブピクセルAに近い側から遠い側に向かって「5」、「2」、「1」の順に設定される。
サブピクセルDが文字の骨格部分に対応せず、かつ、サブピクセルEが文字の骨格部分に対応しない場合には、サブピクセルAの右側に隣接するサブピクセルの色要素レベルが補正テーブル42bの補正パターン2に従って決定される。図34(b)の場合がこの場合にあたる。例えば、補正テーブル42bとして補正テーブル60(図6)が使用される場合には、補正パターン2は「4」、「2」、「1」というパターンである。従って、サブピクセルAの右側に隣接する3つのサブピクセルの色要素レベルがサブピクセルAに近い側から遠い側に向かって「4」、「2」、「1」の順に設定される。
ここで、文字の骨格部分に対応するサブピクセルが横方向に複数個配列されている場合には、一番右側のサブピクセルがサブピクセルAとして選択される。
このようにして、文字の骨格部分に対応するサブピクセルに隣接するサブピクセルの色要素レベルが決定される。図33(a)、(b)および図34(a)、(b)において、サブピクセルを表す矩形の中の数字は、各サブピクセルに対して設定された色要素レベルを示す。
なお、表示デバイス10としては、例えば、ストライプ型のカラー液晶表示デバイスが使用され得る。あるいは、表示デバイス10としてデルタ型のカラー液晶表示デバイスを使用してもよい。デルタ型のカラー液晶デバイスを使用する場合でも、1つのピクセルに対応するR、G、Bの各サブピクセルを個別に制御することにより、ストライプ型のカラー液晶デバイスと同様の効果を得ることができる。カラー液晶表示デバイスとしては、パソコンなどに多く用いられている透過型の液晶表示デバイスの他、反射型やリアプロ型の液晶表示デバイスが使用され得る。しかし、表示デバイス10は、カラー液晶表示デバイスに限定されない。表示デバイス10として、X方向およびY方向に配列された複数のピクセルを有する任意のカラー表示装置(いわゆるXYマトリックス表示装置)が使用され得る。
さらに、1つのピクセル12に含まれるサブピクセルの数は3には限定されない。1つのピクセル12には、所定の方向に配列された2以上のサブピクセルが含まれ得る。例えば、N(N≧2)個の色要素を用いて色を表す場合には、1つのピクセル12にN個のサブピクセルが含まれ得る。
さらに、サブピクセル14R、14Gおよび14Bの配列順も図1に示される配列順には限定されない。例えば、X方向に沿ってB、G、Rの順にサブピクセルを配列してもよい。さらに、サブピクセル14R、14Gおよび14Bの配列方向も図1に示される方向には限定されない。例えば、任意の方向に沿ってサブピクセル14R、14Gおよび14Bを配列してもよい。
さらに、本発明に適用可能な色要素はR(赤)、G(緑)、B(青)に限定されない。例えば、色要素として、C(シアン)、Y(イエロー)、M(マゼンダ)を使用することもできる。
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。