JP4797121B2 - 伝導性炭素ナノチューブ・重合体複合体 - Google Patents

伝導性炭素ナノチューブ・重合体複合体 Download PDF

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Description

本発明は、一般に重合体及び炭素ナノチューブ(carbon nanotube)を含む複合体に関し、特に重合体及び単層壁(single wall)炭素ナノチューブを含む伝導性複合体に関する。
一般に「バッキィチューブ(buckytube)」として知られている単層壁炭素ナノチューブ(SWNT)は、それらが発見されて以来、大きな強度、靭性、及び熱及び/又は電気伝導性を含めたそれらの独特の性質により鋭意研究の対象となって来ている。単層壁炭素ナノチューブは、典型的には六角形又は五角形に配列したsp-混成軌道炭素原子から本質的になるフラーレン(fullerene)である。単層壁炭素ナノチューブについての背景になる情報については、B.I.ヤコブソン(Yakobson)及びR.E.スマレイ(Smalley)、American Scientist, 85, July-August, pp. 324-337 (1997)を参照されたい。多層壁(multi-wall)炭素ナノチューブは、単層壁炭素シリンダーを入れ子状にしたものであり、単層壁炭素ナノチューブに似た幾つかの性質を有する。多層壁炭素ナノチューブ(MWNT)は、重合体マトリックス中にMWNTを含んだ複合体の電気伝導度を増大するのに、中程度の効果を有することが示されてきた。〔例えば、S.A.カラン(Curran)その他、Advanced Materials, 10, p. 1091 (1998);J.N.コールマン(Coleman)その他、Physical Review B, 58, p. R7492 (1998);グリメス(Grimes)その他、Chemical Physics Letters, 319, p. 460 (2000);及びP.フォーネット(F,ournet)その他、Journal of Applied Physics, 90, p. 969 (2001)参照〕。しかし、単層壁炭素ナノチューブは、多層壁炭素ナノチューブよりも欠陥が少なく、単層壁炭素ナノチューブは一般に一層強く、一層伝導性であるので、重合体複合体の機械的性質及び電気伝導性の両方の増大を与えるものと期待されている。単層壁炭素ナノチューブのその長手方向に沿った熱伝導度はダイヤモンドイドのそれに匹敵するので、単層壁炭素ナノチューブを複合体中に配合すると、その複合体の熱伝導度を増大すると予想される〔ビールカック(Biercuk)その他、Applied Physics Letters, 80, p. 2767 (2002)参照〕。
単層壁炭素ナノチューブは、重合体複合体の強度、弾力性、靭性、電気伝導度、及び熱伝導度を増大する実質的能力を有する。しかし、ナノチューブを複合体中に配合することは、単層壁炭素ナノチューブを凝集させ、ナノチューブの分散を損なう傾向があるため複雑である。一般に、殆どの重合体・単層壁炭素複合体の製造は、機械的混合、溶融混合、溶媒混合、その場での重合、及びそれらの組合せのような方法を用いて、重合体中の均一なSWNT分散を達成する方向で行われてきた。一般に、単層壁炭素ナノチューブの均質な水性分散物は、ナノチューブと相互作用して水性系に対する可溶性をナノチューブに与える或る水溶性重合体を用いることにより調製されてきている〔M.J.オ・コネル(O'Connell)その他、Chem. Phys. Lett. 342, p. 265 (2001)参照〕。そのような系は、2002年2月28日に公開された国際特許WO 02/016257公報に記載されており、参考のためここに入れてある。
炭素系充填剤を含む伝導性重合体複合体は、金属的伝導性及び重合体可撓性の独特な組合せを持つため望ましい。そのような伝導性重合体複合体は、電磁干渉(EMI)遮蔽、熱放散フイルム、ペイント、被覆、接着剤、化学的センサー、アクチュエータ、光伝導体、及び有機発光ダイオード(OLED)のためのインピーダンスアダプタのための材料として有用である。重合体複合体に用いられてきた炭素系充填剤の一つはカーボンブラックである。しかし、カーボンブラックで希望の電気伝導度を達成するためには、典型的な溶解又は溶融に基づく技術により処理する場合、重合体中25重量%より高い濃度が屡々必要である。これらのように充填剤含有量が高いと、処理するのが困難になり、可撓性のような重合体の性質が失われる結果になることがある。
真の電気伝導性を達成するのに必要な臨界的充填剤濃度は、パーコレーション臨界値(percolation threshold)として知られている。重合体の性質及び処理性を維持するのみならず、効果的伝導性を複合体に与えるために、低い臨界的充填剤濃度でパーコレーション臨界値を有する伝導性重合体複合体が依然として要求されてきた。
伝導性炭素ナノチューブ・重合体複合体は、炭素ナノチューブ及び重合体を含み、この場合、前記重合体は合体(coalesced)した重合体粒子の形態をしており、炭素ナノチューブは主にそれら重合体粒子の間に存在し、炭素ナノチューブが合体重合体粒子の少なくとも幾つかの間の界面に相互連結ネットワークを形成している。炭素ナノチューブ重合体複合体中の炭素ナノチューブのネットワークは、複合体に電気及び熱伝導性を与える。炭素ナノチューブは、単層壁炭素ナノチューブ、多層壁炭素ナノチューブ、又はそれらの組合せにすることができる。炭素ナノチューブは、精製されていてもよく、又は精製されてなくてもよい。
一つの態様として、複合体は、炭素ナノチューブ安定化剤、重合体粒子安定化剤、又はそれらの両方を含むことができる。重合体粒子は、エマルジョン、ラテックス、或は他のどのような重合体によって与えられてもよく、この場合、重合体粒子は、表面活性剤、蛋白質、又は水溶性重合体のような化学的手段又は機械的手段により懸濁することができる。伝導性炭素ナノチューブ・重合体複合体のマトリックスに適切な重合体はポリ(酢酸ビニル)であり、この場合、ポリ(酢酸ビニル)の重合体粒子は、ポリ(酢酸ビニル)のエマルジョンにより与えることができる。
一つの態様として、伝導性炭素ナノチューブ・重合体複合体は、その複合体の約20重量%より少なく、好ましくは複合体の約10重量%より少なく、好ましくは複合体の5重量%より少なく、一層好ましくは複合体の約1重量%より少なく、一層好ましくは複合体の約0.1重量%より少ない量で単層壁炭素ナノチューブを含む。
別の態様として、炭素ナノチューブ・重合体複合体は、伝導性重合体を含み、例えば、カーボンブラック、及び小さなフラーレン(fullerene)、例えば、C60〔バッキーボール(buckyball)〕、C70、及びC84を含むが、それらに限定されるものではない。
別の態様として、ナノチューブ・重合体複合体は単層壁炭素ナノチューブを含み、この場合、重合体はポリ酢酸ビニルであり、ナノチューブ・重合体複合体は、その複合体中約0.04重量%より小さい単層壁炭素ナノチューブのパーコレーション臨界値を有する。
別の態様として、本発明は、低い炭素ナノチューブ含有量で電気伝導性を有する伝導性炭素ナノチューブ・重合体複合体に関する。炭素ナノチューブは、合体重合体粒子を含む重合体複合体中で微視的レベルで不均質に分散しており、この場合、重合体粒子は、それら重合体粒子の内部体積部分から単層壁炭素ナノチューブを本質的に排除し、ナノチューブは合体重合体粒子の少なくとも幾つかの間で濃縮し、炭素ナノチューブ・重合体複合体全体に亙って連結ネットワークを形成している。
本発明の更に別の態様は、伝導性炭素ナノチューブ・重合体複合体を製造する方法において、水性ナノチューブ懸濁物を形成し、そのナノチューブ懸濁物と水性重合体懸濁物とを混合し、炭素ナノチューブ・重合体懸濁物を形成し、然も、前記重合体は重合体粒子の形態をしており、前記ナノチューブは一般に前記重合体粒子の内部から排除されており、そして前記炭素ナノチューブ・重合体懸濁物から水を除去し、炭素ナノチューブ・重合体複合体を形成することを含み、然も、前記重合体粒子は合体しており、前記炭素ナノチューブは主に前記重合体粒子の少なくとも幾つかの間で凝集している、伝導性炭素ナノチューブ・重合体複合体を製造する方法に関する。主に合体重合体粒子の間で凝集したナノチューブは、相互連結ネットワークを形成し、熱及び電気伝導性を有する重合体複合体を与える。
更に別の態様として、ナノチューブ懸濁物、重合体粒子懸濁物、又はそれらの両方は、表面活性剤又は水溶性重合体により安定化される。適当な表面活性剤には、陰イオン性、陽イオン性、非イオン性、及び両性表面活性剤、脂肪酸石鹸、及び蛋白質が含まれるが、それらに限定されるものではない。ナノチューブ又は重合体粒子を懸濁するのに効果的な表面活性剤の一例は、ドデシル硫酸ナトリウムである。適当な水溶性重合体には、両親媒性重合体、セルロース重合体、高分子電解質、イオン性重合体、アクリレート重合体、アクリル酸重合体、それらの共重合体、及びそれらの組合せが含まれるが、それらに限定されるものではない。炭素ナノチューブを懸濁するのに効果的な水溶性重合体の例は、アラビアゴム及びポリ(ビニルピロリドン)である。重合体粒子を懸濁するのに効果的な水溶性重合体の一例は、ポリ(ビニルアルコール)である。
更に別の態様として、ナノチューブ・重合体複合体のための重合体マトリックスを、重合体粒子懸濁物から形成するが、この場合、前記重合体粒子懸濁物はその重合体がどの次元(dimension)でも約0.01μ〜約100μの範囲の大きさを有する一般に球状の重合体粒子の形態をしている重合体エマルジョン又はラテックスにすることができる。適当なマトリックス重合体には、ポリ(酢酸ビニル)、アクリレート重合体、アクリル酸重合体、ポリアクリルエステル、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、塩素化重合体、フッ素化重合体、スチレン重合体、ポリウレタン、天然ゴム、合成ゴム重合体、それらの共重合体、及び組合せが含まれる。
更に別の態様として、本発明は、伝導性炭素ナノチューブ・重合体複合体を製造する方法において、溶媒を主とした炭素ナノチューブ懸濁物を形成し、前記溶媒を主とした炭素ナノチューブ懸濁物と水性重合体懸濁物とを混合し、炭素ナノチューブ・重合体懸濁物を形態し、然も、前記重合体が重合体粒子の形態をしており、前記ナノチューブが、一般に前記重合体粒子の内部から排除されており、そして前記炭素ナノチューブ・重合体懸濁物から水及び溶媒を除去し、炭素ナノチューブ・重合体複合体を形成することを含み、然も、前記重合体粒子は合体しており、前記炭素ナノチューブが、主に前記重合体粒子の少なくとも幾つかの間の界面で凝集している、伝導性炭素ナノチューブ・重合体複合体を製造する方法に関する。
本発明の更に別の態様は、炭素ナノチューブ・重合体複合体を製造する方法において、ナノチューブ及び第一溶媒を含む、溶媒を主としたナノチューブ懸濁物を形成し、前記溶媒を主としたナノチューブ懸濁物と、重合体粒子及び第二溶媒で、前記第一溶媒と同じでも異なっていてもよい第二溶媒を含む、溶媒を主とした重合体懸濁物とを混合し、炭素ナノチューブ・重合体懸濁物を形態し、然も、前記重合体が重合体粒子の形態をしており、前記ナノチューブが、一般に前記重合体粒子の内部から排除されており、そして前記炭素ナノチューブ・重合体懸濁物から前記第一溶媒及び第二溶媒を除去することを含み、然も、前記重合体粒子は合体しており、前記炭素ナノチューブは、主に前記合体重合体粒子の少なくとも幾つかの界面で凝集している、炭素ナノチューブ・重合体複合体の製造方法に関する。炭素ナノチューブは、重合体複合体中の相互連結ネットワークを形成し、複合体に電気及び熱伝導性を与える。
特定の態様についての詳細な説明
次の用語は、次のように定義する:
共重合体: 三元重合体及び四元重合体のような一つより多くの異なった単量体を有する重合体。共重合体は直鎖でも分岐鎖でもよく、ランダム、交互、グラフト、及びブロック共重合体が含まれる。明瞭且つ簡潔にするため、用語「重合体」は、単独重合体、共重合体、及び一つより多くの異なった単量体を有する重合体を含むものとして用いられるであろう。
重合体溶液: 水性媒体中に重合体を含むか、又は溶媒媒体中に重合体を含む重合体溶液で、前記重合体は一般に非粒状になっている。
水溶性重合体: 一般に水溶性である重合体又は共重合体。水溶性重合体は、重合体の或る部分が溶解し、或る部分が粒状又は凝集体状になっていてもよく、この場合、溶解した重合体の量と、粒状になっている重合体の量は、重合体の濃度、液体媒体、及び周囲条件に依存する。
重合体分散物: 一般に、ほぼコロイド粒径から約1000μの範囲で媒体中に分布した重合体粒子。
水分散性重合体: 重合体懸濁物又はエマルジョンのように、水性媒体中に分散又は懸濁することができる重合体。この重合体は、一般に、安定又は不安定な懸濁物又は分散物になっている小さな粒子の形態をしており、即ち、重合体は撹拌によって一時的に懸濁することができる。
水を主とした重合体: 水性環境中に分散、懸濁、乳化、又は可溶化することができる重合体。
重合体懸濁物: 液体媒体、即ち、水性媒体又は溶媒中に入れた固体重合体粒子の分散物。懸濁物は、長い時間に亙って安定であるか、又は短い時間存在できる懸濁物でもよく、即ち、安定でも不安定でもよい。懸濁物は撹拌によって形成し、維持することができる。
重合体コロイド状懸濁物: コロイド状粒径の固体重合体粒子の懸濁物又は分散物。重合体コロイド状分散物は、通常安定である。
重合体エマルジョン: 液体状態、一般に水性環境中で固体重合体の粒子、凝集物、又は粒状物の分散物。重合体粒子は、特定の重合体の種類及び液体環境のコンシステンシーにより、コロイド粒径か又はそれより大きな粒径のものでもよい。エマルジョン中の重合体粒子は、コロイド粒子によって安定化することができる。エマルジョンは、機械的撹拌又は化学的方法により形成することができる。エマルジョンは安定か又は不安定にすることができる(即ち、不安定なエマルジョンは、温度及び条件により時間と共に分離するであろう)。
重合体コロイド状分散物: 液体媒体中に入れたコロイド粒径の重合体粒子の分散物。コロイド状分散物は、疎水性コロイド又は親水性コロイド、又はそれら両方の混合物を含んでいてもよい。
コロイド粒径: どの次元についても約0.01μ〜約1μの粒径。粒径がコロイド範囲にある分散物は、コロイド状エマルジョン又はコロイド状懸濁物である。
ラテックス: 各重合体粒子が多数の巨大分子を含む重合体エマルジョン又はゾル。粒径は一般にコロイドであり、液体状態は一般に水性である。
高分子電解質: 水又は他のイオン化性溶媒中に溶解すると解離して、高分子イオン(複数の帯電高分子陽イオン又は高分子陰イオン)と共に、等量の反対符号の小さな電荷のイオンを与える巨大分子物質。小さな電荷のイオンを生じないで高分子陽イオン及び高分子陰イオンへ解離する高分子電解質も可能である。高分子電解質は、高分子酸、高分子塩基、高分子塩、又は高分子両性電解質にすることができる。高分子電解質は、イオンの少なくとも一つがコロイド粒径であるならば、コロイドと考えることができる。
安定化: 炭素ナノチューブ及び/又は重合体粒子の安定化とは、それらナノチューブ及び/又は重合体粒子を、ある時間、媒体中に物理的に懸濁した状態に維持するための機械的手段又は化学的手段を意味する。安定化のための機械的手段には、掻き混ぜ及び他の撹拌技術を含むが、それらに限定されるものではない。化学的手段には、ナノチューブ及び/又は重合体粒子の懸濁を促進する化学的物質、例えば、種々の適当な表面活性剤及び重合体が含まれるが、それらに限定されるものではない。
電気伝導度: 電気伝導度は、少なくとも約10−9S/cm(シーメンス/cm)として定義されるであろう。
パーコレーション臨界値: 伝導性充填剤を含む複合体材料が、絶縁体から電気伝導体へ移行する時点の、複合体材料中の伝導性充填剤の濃度。
一つの態様として、本発明は、低い炭素ナノチューブ濃度、又はパーコレーション臨界値で電気伝導度を有する伝導性炭素ナノチューブ・重合体複合体に関する。殆どの炭素ナノチューブ・重合体複合体を調製する場合、重合体マトリックス中にナノチューブを均質に分散させたものを達成することが目的となっている。重合体マトリックス中にナノチューブを分散させるためには、巨視的及び微視的レベルの両方で微細な分散物を与えるように、溶融混合及び溶媒混合技術が屡々用いられてきた。溶媒混合法での炭化水素系溶媒も、重合体マトリックス系との相容性を与えるため屡々用いられてきた。
しかし、それら従来の方法とは対照的に、本発明の或る態様での複合体の伝導度は、微視的レベルではナノチューブが不均質に分散しているが、巨視的レベルでは全体的に均質な分散物を得ることにより達成される。また、慣用的溶媒及び重合体溶融混合技術とは対照的に、本発明の一つの態様としてナノチューブ分散物が求められ、水性環境中に極めて疎水性のナノチューブを用いて調製される。本発明の或る態様では、ナノチューブの懸濁物と、重合体粒子の懸濁物とを混合することによりナノチューブの連結ネットワークが形成され、この場合、重合体粒子は、ナノチューブを重合体粒子の内部から実質的に排除している。この複合体を形成するためには、ナノチューブ・重合体混合物から水を除去する。水が除去されるに従って、重合体粒子は互いに合体し、それら合体重合体粒子の少なくとも幾つかの間の界面領域中にナノチューブを取り込み、全体的に重合体粒子の外側縁の方へ凝集させる。得られた複合体は、巨視的レベルでは全体的に均質であるが、微視的レベルでは不均質に重合体複合体中で分散した炭素ナノチューブを含み、それら炭素ナノチューブは合体重合体粒子の少なくとも幾つかの間の中で分岐した連結ネットワークをナノチューブ・重合体複合体全体に亙って形成している。
本発明の別の態様は、単層壁炭素ナノチューブ及び重合体を含む重合体複合体で、合体重合体粒子及び単層壁炭素ナノチューブを含み、前記単層壁炭素ナノチューブが、主に合体重合体粒子の少なくとも幾つかの間に存在し、前記ナノチューブ・重合体複合体全体に亙り伝導性ネットワークを形成している重合体複合体に関する。
本発明の更に別な態様は、炭素ナノチューブ及び水を含む水性ナノチューブ懸濁物を形成し、前記ナノチューブ懸濁物と、重合体粒子の形態の重合体及び水を含む水性重合体懸濁物とを混合し、炭素ナノチューブ・重合体懸濁物を形成し、然も、前記ナノチューブは前記重合体粒子の内部から一般に排除されており、そして前記炭素ナノチューブ・重合体懸濁物から水を除去して炭素ナノチューブ・重合体複合体を形成することを含み、然も、前記重合体粒子は合体しており、前記炭素ナノチューブが主に前記重合体粒子の少なくとも幾つかの間に取り込まれ、凝集し、前記炭素ナノチューブが前記ナノチューブ・重合体複合体中で相互連結ネットワークを形成し、そのネットワークが複合体に電気及び熱伝導性を与えている、伝導性炭素ナノチューブ・重合体複合体を製造する方法に関する。
炭素ナノチューブは、単層壁炭素ナノチューブ、多層壁炭素ナノチューブ、又はそれらの組合せにすることができる。ナノチューブは、炭素ナノチューブを製造するどのような既知の方法でも製造することができるが、ナノチューブ材料の組成は、ナノチューブ・重合体複合体の伝導性に影響を与えることがある。例えば、多層壁炭素ナノチューブ及び無定形炭素に対して、単層壁炭素ナノチューブが多いナノチューブ材料は、多層壁炭素ナノチューブ及び無定形炭素の同様な混合物中の単層壁炭素ナノチューブの濃度が低いナノチューブ材料よりも一層伝導性になるであろう。典型的には、炭素ナノチューブ材料は、主に(即ち、炭素含有材料の50重量%より多く)単層壁炭素ナノチューブを含み、好ましくは炭素含有材料の70重量%より多く含む。
単層壁炭素ナノチューブは、例えば、高温高圧一酸化炭素からの気相合成、炭素含有供給原料及び金属触媒粒子を用いた触媒作用蒸着、レーザー融除、アーク法、或は単層壁炭素ナノチューブを合成するための他のいずれかの方法によるような既知のどのような手段によって製造してもよい。合成から得られた単層壁炭素ナノチューブは、一般に炭素ナノチューブ粉末の形態をしている。操作条件により、単層壁炭素ナノチューブと共に幾らかの多層壁炭素ナノチューブが生成し、炭素ナノチューブ粉末中に存在することがある。炭素ナノチューブ粉末中に幾らかの多層壁炭素ナノチューブが存在する場合でも、炭素ナノチューブ材料が殆ど単層壁炭素ナノチューブであるならば(即ち、単層壁炭素ナノチューブが、全炭素ナノチューブの50重量%より大きな濃度で存在するならば)、その材料は単層壁炭素ナノチューブ材料又は粉末と見做されるであろう。
一つの態様として、単層壁炭素ナノチューブ粉末を精製して、無定形炭素のような非ナノチューブ炭素及び金属触媒残留物を除去する。第VIB族及び/又は第VIIIB族のような金属を単層壁炭素ナノチューブの合成のための触媒にすることが可能である。接触反応後、金属残留物は、黒鉛炭素殻のような非ナノチューブ炭素中に包まれることがある。金属不純物は、空気と接触することにより、又は精製中非ナノチューブ炭素の酸化により酸化されることもある。
炭素ナノチューブは、製造されたままで、又は精製後に用いることができる。精製はどのような既知の手段によって行なってもよい。単層壁炭素ナノチューブの精製するための手順は、2002年8月22日に公開された国際特許公報WO 02/064,869、「単層壁炭素ナノチューブの精製法及びその組成物」(Process for Purifying Single-wall Carbon Nanotubes and Compositions Thereof)、及び2002年8月22日に公開されたWO 02/064,868、「単層壁炭素ナノチューブ気相精製法及びその組成物」(Gas Phase Process for Purifying Single-wall Carbon Nanotubes and Compositions Thereof)に関連しており、参考のためそれらを全体的にここに記入してある。一つの態様として、ナノチューブは、水蒸気を飽和した空気中で250℃で加熱することにより精製する。加熱は、非ナノチューブ炭素の少なくとも幾らかを酸化する長さの時間行い、或る程度金属不純物を酸化することがある。酸化温度は、200℃〜約400℃、好ましくは約200℃〜約300℃の範囲にすることができる。酸化はどのようなガス状酸化性雰囲気中で行なってもよく、その雰囲気は酸素、空気、二酸化炭素、及びそれらの組合せのような酸化性ガスを含むことができる。酸化性ガスの濃度は、窒素、アルゴンのような不活性ガス、又はそれらの組合せと混合することにより調節制御することができる。酸化工程の時間は、酸化剤、その濃度、及び酸化温度により、分間から数日の範囲にすることができる。ナノチューブを酸化加熱した後、ナノチューブを酸で処理し、金属不純物を除去する。一つの態様として、ナノチューブを酸中に入れてスラリーにする。その酸は鉱酸、有機酸、又はそれらの組合せにすることができる。ナノチューブをスラリーにし処理するのに用いることができる酸の例には、塩酸、フッ化水素酸、臭化水素酸、沃化水素酸、硫酸、発煙硫酸、硝酸、クエン酸、蓚酸、クロロスルホン酸、燐酸、トリフルオロメタンスルホン酸、氷酢酸、一塩基有機酸、二塩基有機酸、及びそれらの組合せが含まれるが、それらに限定されるものではない。用いる酸は、純粋な酸でもよく、或は水性及び/又は有機溶媒のような液体媒体で希釈されていてもよい。一般に、水性溶媒が好ましい。金属不純物を除去するためには、濃塩酸水溶液が好ましい。酸で処理した後、その酸及び不純物をナノチューブから濯ぐことにより除去する。ナノチューブは、水、有機溶媒、又はそれらの組合せで濯ぐことができる。
炭素ナノチューブ懸濁物は、高剪断混合又は超音波処理のような機械的手段を用いて水性環境中で作ることができる。そのような懸濁物は、極めて疎水性のナノチューブが極めて早く沈降するような場合には、不安定になるであろう。本発明で不安定なナノチューブ懸濁物を用いることは可能であるが、安定化剤を使用することにより、一層安定なナノチューブ懸濁物を達成することができる。
官能性化又は変性を行わないと、SWNTは極めて疎水性である。炭素ナノチューブを懸濁する他の方法には、他の化学的部分による官能性化、又は切断のような物理的変性が含まれるが、それらに限定されるものではない。しかし、化学的官能性化は、屡々ナノチューブ伝導性を減ずることがある。例えば、単層壁炭素ナノチューブの伝導度は、側壁官能性化量及び側鎖基の電子吸引性の関数として減少する。側壁官能性化が電子吸引性になる程、単層壁炭素ナノチューブの伝導度減少は大きくなる。ナノチューブの軸に沿った電子の流れを妨げるどのような化学的部分でもナノチューブの伝導性を損なうことがある。ナノチューブの物理的切断も、複合体のナノチューブ伝導性に影響を与えることがある。なぜなら、複合体全体に亙る連結ネットワークを形成するナノチューブの能力が損なわれ、少なくとも部分的に切断ナノチューブのアスペクト比が一層小さくなることにより損なわれることがあるからである。
別の態様として、炭素ナノチューブ・重合体複合体は、更に、伝導性充填剤を含み、例えば、カーボンブラック及び小さなフラーレン、C60(バッキーボール)、C70、C84、又はそれらの組合せを含むが、それらに限定されるものではない。この態様では、炭素ナノチューブを、一種類以上の伝導性充填剤と混合し、懸濁する。明瞭且つ簡略にするため、一種類以上の伝導性材料を含んでいてもいなくても、伝導性材料とナノチューブとの混合物は、ナノチューブ又はナノチューブ材料として一纏めにして言及する。
安定化剤は、炭素ナノチューブ懸濁物の安定性を改良することができ、適当な安定化剤には、表面活性剤、蛋白質、及び水溶性重合体が含まれるが、それらに限定されるものではない。
ここで有用な満足すべき表面活性剤は、「マクカチェオンの洗剤及び乳化剤」(McCutcheon's Detergents & Emulsifiers)のようなよく知られた資料で容易に判別することができる。適当な表面活性剤には、陽イオン性表面活性剤、陰イオン性表面活性剤、両性表面活性剤、及びイオン性表面活性剤、及びそれらの混合物からなる群から選択された一種類以上の表面活性剤が含まれるが、それらに限定されるものではない。
陰イオン性表面活性剤には、特に有機スルホネート及び有機サルフェートが含まれるが、それらは式X−Aによって特徴付けることができ、式中、AはXのどこかに、最も頻繁にはXの一つの端部に結合したスルホネート又はサルフェートを示し、Xは次のものを指す:
6〜40個の炭素原子を有するアルキルで、場合により1〜10個のヒドロキシル基で置換されており、場合によりアリール(特にフェニル)で置換されており、そのアリールが、場合により、1〜20個の炭素原子及び3つまで炭素・炭素二重結合を有する一つ以上のアルキル又はアルキレン基で置換されている、アルキル;
6〜40個の炭素原子及び1つ〜6つの炭素・炭素結合を有するアルキレンで、場合により1〜10個のヒドロキシル基で置換され、場合によりアリール(特にフェニル)で置換されており、そのアリールが、場合により、1〜20個の炭素原子及び3つまでの炭素・炭素二重結合を有する一つ以上のアルキル又はアルキレン基で置換されいる、アルキレン;
合計6〜50個の炭素原子、及び場合により1つ〜6つの炭素・炭素二重結合を有するアミド及びエステル;
ポリアルコキシセグメント、特にエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドの単独重合体、ランダム共重合体、及びブロック共重合体で、2〜200個のアルコキシ単位を含み、それ自体か、又は2〜40個の炭素原子を有するアルキル又はアルキレンで終わっており、場合により1〜10個のヒドロキシル基で置換されているか、又はアリール(特にフェニル)で終わっており、そのアリールが、場合により、1〜20個の炭素原子及び3つまでの炭素・炭素二重結合を有する一つ以上のアルキル又はアルキレン基で置換されている、ポリアルコキシセグメント。
陰イオン性成分は、好ましくはアルカリ金属(例えば、ナトリウム、カリウム、又はリチウム)である陽イオンXにより釣り合いが保たれている。
陽イオン性表面活性剤には第四級アンモニウム化合物、特に式:
(Q)(Q)N+(Q)(Q)−(An)
〔式中、(An)はハロゲン化物イオンのような陰イオン(特に臭化物又は塩化物イオン)、メチル硫酸イオン、又はエチル硫酸イオンであり;Q、Q、Q、及びQは、それらの2つ又は3つがC1−4アルキル(場合によりその1つはベンジル)であり、それらの1つ又は2つが、8〜24個の炭素原子を有し、場合により3つまでの炭素・炭素二重結合を有するアルキル又はアルキレンであるか、又は各アルコキシ単位がエトキシ又はプロポキシである、200個までのアルコキシ単位を含むポリ(アルコキシ)であるように選択されている。〕
を有する化合物が含まれる。一般にポリクォーターニウム(polyquaternium)−1、−2、−4、−5、−6、−7、−8、−9、−10、−11、−12、−13、及び−14として知られているものを含めた重合体第四級アンモニウム塩も含まれる。
両性表面活性剤には、特に式(I)及び(II):
--(OC)0−1(C(O)NH(CH)1−3)0−1
--N(Z)(Z)0−1−ZCOOH (I)
--(OC)0−1(C(O)NH(CH)1−3)0−1
--N(Z)(Z)0−1--ZSOH (II)
のもの、それらのアルカリ金属X又はアンモニウムイオンによる塩、及びそれら化合物及び塩の混合物が含まれ、ここでXは上に定義した通りであり、Rは直鎖又は分岐鎖アルキル又はアルキレン、又は環式又は複素環芳香族であり、それは場合によりアルキルで置換されており、4〜40個の炭素原子及び0〜3つの炭素・炭素二重結合を含み、Z及びZは、互いに独立に、H、Cf+1、又はC2fOH(ここでfは1〜6であり)、或は式(I)において、Z及びZは、--ZCOOH、又は--ZCOOXにすることができ、Zは(CH、CHCHOCH、又はCHCHOHCHである。
式(I)及び(II)は、ベタイン、スルホベタイン〔スルタイン(sultaine)〕、グリシネート、及びプロピオネートを包含し、それらは市販されているか、且つ/又は容易に合成することができる。好ましい両性表面活性剤の例には、ラウリルジメチルベタインのような脂肪ベタイン、例えば、レウォテリック(REWOTERIC)(登録商標名)AM−DML−35〔レウォテリックはウィトコ社(Witco Corp.)の登録商標名である〕、及びN−ラウリルβ−イミノプロピオン酸、一ナトリウム塩(例えば、レウォテリックAM−LP);N−ココイルアミドエチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−N−カルボキシメチルグリシン、ナトリウム塩(例えば、レウォテリックAM−2C−W)のようなグリシネート、及びラウリルヒドロキシスルタイン(例えば、レウォテリック−AM−B−15);ココアムフォプロピオン酸ナトリウム(sodium cocoamphopropionate)のようなプロピオン酸塩(例えば、レウォテリックAM−KSF40);ラウリルヒドロキシスルタインのようなスルホベタイン(例えば、レウォテリックAM−CAS)が含まれる。
適当なR基には、脂肪酸から誘導されたアルキル及びアルキレンラジカルが含まれる。他のR基には、ベンジル及びアルキル置換ベンジルが含まれる。
非イオン性表面活性剤には、表面活性能力を有するどのような非イオン性化合物でも含まれる。それらの例には:
合計6〜40個の炭素原子を有し、場合により0〜3つの炭素・炭素二重結合を有し、場合により1〜20個のヒドロキシル基で置換された(例えば、ポリグリコールエステルのような)、エステル、アミド、及びアルカノールアミン;
2〜200個の繰り返し単位を含む、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド及び/又はエチレングリコール及び/又はプロピレングリコールの単独重合体、ランダム共重合体、及びブロック共重合体;
1〜40個の炭素原子を有し、場合により6つまでの炭素・炭素二重結合、場合により1〜20個のヒドロキシル基で置換されているか、或はエステル、アミド、アミン、アルカノールアミドで置換されているか、或はアリール基(特にフェニル)又はアリール−アルキル基で、それ自身であるか、場合により40個までの炭素原子を含み、場合により6つの炭素・炭素二重結合を含むアルキル又はアルキレンで置換された基で置換されている、前記単独重合体、ランダム共重合体、及び/又はブロック共重合体のいずれかであるが、特に、ポリ(エチレンオキシド);及び
一般にポリソルベート(polysorbate)−20、−32、−40、−60、−61、−65、−80、−81、及び−85として知られているものを含めたソルビトール誘導体;
が含まれる。
ナノチューブ懸濁物を安定化するのに適切な表面活性剤の例には、ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、オレイル硫酸ナトリウム、ドデシルスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、n−ラウロイルサルコシン酸ナトリウム、アルキルアリルスルホコハク酸ナトリウム、及びポリ(スチレンスルホネート)のナトリウム塩のような陰イオン性表面活性剤、臭化ドデシルトリメチルアンモニウム及び臭化セチルトリメチルアンモニウム、脂肪酸石鹸のような陽イオン性表面活性剤、トリトン(TRITON)X(登録商標名)表面活性剤、例えば、トリトンX−100、X−114、及びX−405〔トリトンはローム・アンド・ハース社(Rohm & Haas Corporation)の登録商標名である〕、BRIJ(登録商標名)表面活性剤、例えば、BRIJ78及びBRIJ700〔BRIJはアトラス・ケミカル社(Atlas Chemical Co.)の登録商標名である〕、PEO−PPO−PEO(ポリエチレンオキシド・ポリプロピレンオキシド・ポリエチレンオキシド)三元ブロック重合体、プルロニック(PLURONIC)(登録商標名)表面活性剤、例えば、プルロニックP−103、P−104、P−105、F−108、F−98、F−68、F−127、F−87、F−127、F−87、F−77、及びF−85〔プルロニックはBASF社(BASF Corporation)の登録商標名である〕、トウィーン(TWEEN)(登録商標名)表面活性剤、例えば、トウィーン20、40、60、80、及び85(トウィーンは、アトラス・ケミカル社の登録商標名である)、及びPEO−PBO−PEO(ポリエチレンオキシド・ポリブチレンオキシド・ポリエチレンオキシド)三元ブロック重合体のような非イオン性表面活性剤が含まれるが、それらに限定されるものではない。
水性環境中の炭素ナノチューブ懸濁物を安定化するのに、水溶性重合体を用いることもできる。適当な水溶性重合体は、水中で重合体溶液を形成する重合体である。特定の重合体の水に対する溶解度は、重合体の組成、重合体分子量、重合体の臨界濃度、温度、及び圧力を含めた数多くの因子に依存するが、それらに限定されるものではない。重合体の臨界濃度〔Ccrit〕は、重合体の螺旋が依然としてそれらの最大伸びに到達することができる最大体積濃度である。一般に、好ましい炭素ナノチューブ安定化剤は、重合体粒子の懸濁物ではなく、水中で真の溶液を形成することができる水溶性重合体である。従って、これらの水溶性重合体は或る濃度及び重合体分子量では粒子状で入手することができるが、ナノチューブ懸濁物を安定化するための好ましい水溶性重合体は、水性媒体中で、その重合体が全体的に個々の膨張した重合体鎖の形になる濃度になっている。
ナノチューブ懸濁物の安定化に適した水溶性重合体には、疎水性及び親水性セグメント(segment)の両方を含む重合体表面活性剤とも呼ばれている両親媒性重合体、セルロース重合体、高分子電解質、イオン性重合体、アクリレート重合体、アクリル酸重合体、それらの共重合体、及びそれらの組合せが含まれるが、それらに限定されるものではない。適当な特定の水溶性重合体には、アラビアゴム、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミド、ポリ(エチレンオキシド)、ポリエチレングリコール、ポリ(エチレンホルムアミド)、ポリヒドロキシエーテル、ポリ(ビニルオキサゾリジノン)、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、エチル(ヒドロキシエチル)セルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、それらの共重合体、及びそれらの組合せが含まれるが、それらに限定されるものではない。水性ナノチューブ懸濁物を安定化するのに適当な他の水溶性重合体には、ポリスチレンスルホネート(PSS)、ポリ(1−ビニルピロリドン−co−酢酸ビニル)、ポリ(1−ビニルピロリドン−co−アクリル酸)、ポリ(1−ビニルピロリドン−co−ジメチルアミノエチルメタクリレート)、ポリ硫酸ビニル、ポリ(スチレンスルホン酸ナトリウム−co−マレイン酸)、デキストラン、デキストラン硫酸、ゼラチン、牛血清アルブミン、ポリ(メチルメタクリレート−co−エチルアクリレート)、ポリアリルアミン、及びそれらの組合せが含まれるが、それらに限定されるものではない。水性炭素ナノチューブ懸濁物を安定化するのに好ましい水溶性重合体は、アラビアゴム(GA)及びポリ(ビニルピロリドン)であり、一層好ましくはアラビアゴムである。
どのような与えられた用途であっても、そのための安定化剤の種類、例えば、表面活性剤、又は水溶性重合体の種類の特定の選択及び特定の化合物の選択は、目的とする用途及び最終的製品の希望の性質に関連して当業者により行うことができる。典型的には、安定化剤の量は、ナノチューブの重量の約5重量%〜約200重量%の範囲にすることができる。安定化剤の量は、好ましくはナノチューブ重量の約20重量%〜約50重量%の範囲にある、
安定化剤を用いても用いなくても、ナノチューブを懸濁するために機械的手段を用いることができる。適当な機械的手段には、高速回転翼混合機、高剪断混合機、及び超音波が含まれるが、それらに限定されるものではない。ナノチューブの懸濁を促進するために熱を加えてもよい。
伝導性重合体複合体の主成分は重合体マトリックスとして知られている。本発明の一つの態様として、重合体マトリックスは、重合体エマルジョン又はラテックスのような水性系中に懸濁した重合体粒子の形の重合体から形成する。重合体粒子は、水分がその水性懸濁物から除去されると、合体することができるのが好ましい。適当な重合体には、アクリレート重合体、アクリル酸重合体、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、塩素化重合体、フッ素化重合体、スチレン重合体、ポリウレタン、天然ゴム、合成ゴム重合体、塩化ビニル・アクリレート重合体、それらの共重合体、及びそれらの組合せが含まれるが、それらに限定されるものではない。特定の適当な重合体の幾つかの例には、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ポリプロピオン酸ビニル、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(塩化ビニル・エチレン)、ポリ(塩化ビニル・プロピレン)、ポリ(スチレン−co−ブタジエン)、スチレン・アクリレート共重合体、エチレン・塩化ビニル共重合体、ポリ(酢酸ビニル・アクリレート)、ポリ(酢酸ビニル・エチレン)、及びそれらの組合せが含まれるが、それらに限定されるものではない。好ましくは、重合体は、ポリ(酢酸ビニル)、又はポリ(酢酸ビニル)共重合体を含む。重合体粒子は、重合体エマルジョン又はラテックスの形態をしているのが好ましい。
重合体粒子の懸濁物は、安定にでも、不安定にでもすることができる。重合体粒子懸濁物は安定であるのが好ましい。不安定な重合体懸濁物の一例は、重合体粒子が比較的短い時間で、例えば、1時間以内で沈降してしまうものである。不安定な懸濁物は、重合体粒子及びナノチューブが、液相全体に亙って巨視的レベルでかなり均一に分散しているように、ナノチューブ懸濁物との混合及び添加に有効な時間の間、重合体粒子を懸濁状態に維持するため撹拌、高剪断混合、又は超音波処理によるなどして機械的手段により安定化することができる。
重合体粒子水性懸濁物は、それら重合体粒子のための安定化剤を含むこともできる。重合体粒子安定化剤の例には、表面活性剤及び重合体が含まれるが、それらに限定されるものではない。
重合体粒子安定化のための表面活性剤は、陽イオン性、陰イオン性、非イオン性、又は両性にすることができる。一般に、表面活性剤の種類は、用いる重合体及び重合方法の種類に依存する。ナノチューブについて上に列挙した表面活性剤のいずれでも、重合体粒子の安定化のために用いることができる。重合体粒子安定化のための陰イオン性表面活性剤の例には、アルキル硫酸塩、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、イソトリデシル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、セチルスチアリル硫酸ナトリウム、及びオレイル硫酸ナトリウム、アルキルエーテルサルフェート、例えば、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、アルキルフェノールエーテル硫酸塩、例えば、ノニルフェノールエーテル硫酸ナトリウム、燐酸エステル、スルホコハク酸エステルの塩及び遊離酸、、例えば、スルホコハク酸アルコールエトキシレートナトリウム、スルホコハク酸アルキルフェノールエトキシレートナトリウム、スルホコハク酸ジシクロヘキシルナトリウム、及びスルホコハク酸ジオクチルナトリウムが含まれるが、それらに限定されるものではない。重合体粒子安定化のための非イオン性表面活性剤の例には、アルキルエトキシレート、アルキルエトキシレート混合物、及びアルキルフェノールエトキシレートが含まれるが、それらに限定されるものではない。脂肪酸石鹸及び蛋白質も、重合体粒子を安定化するのに用いることができる。例えば、ヘベア・ブラジリエンシス(Hevea Brasiliensis)の木の樹液から得られる天然ゴムラテックス中のゴム粒子は、蛋白質及び脂肪酸石鹸により水性系中で安定化することができる。
重合体粒子は、一種類以上の水溶性重合体により安定化することもできる。重合体粒子を安定化するための水溶性重合体は、ナノチューブ懸濁物を安定化するのに用いられる水溶性重合体と同じでも異なっていてもよい。
重合体粒子懸濁物を安定化するのに適した水溶性重合体には、疎水性及び親水性セグメントの両方を含む重合体表面活性剤とも呼ばれている両親媒性重合体、セルロース重合体、高分子電解質、イオン性重合体、アクリレート重合体、アクリル酸重合体、それらの共重合体、及びそれらの組合せが含まれるが、それらに限定されるものではない。適当な特定の水溶性重合体には、アラビアゴム、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミド、ポリ(エチレンオキシド)、ポリエチレングリコール、ポリ(エチレンホルムアミド)、ポリヒドロキシエーテル、ポリ(ビニルオキサゾリジノン)、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、エチル(ヒドロキシエチル)セルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、それらの共重合体、及びそれらの組合せが含まれるが、それらに限定されるものではない。水性重合体粒子懸濁物を安定化するのに適当な他の水溶性重合体には、ポリスチレンスルホネート(PSS)、ポリ(1−ビニルピロリドン−co−酢酸ビニル)、ポリ(1−ビニルピロリドン−co−アクリル酸)、ポリ(1−ビニルピロリドン−co−ジメチルアミノエチルメタクリレート)、ポリ硫酸ビニル、ポリ(ナトリウム スチレンスルホン酸−co−マレイン酸)、デキストラン、デキストラン硫酸、ゼラチン、牛血清アルブミン、ポリ(メチルメタクリレート−co−エチルアクリレート)、ポリアリルアミン、及びそれらの組合せが含まれるが、それらに限定されるものではない。ポリ(酢酸ビニル)懸濁物を安定化するのに好ましい水溶性重合体は、ポリビニルアルコールである。
ナノチューブ懸濁物を、重合体粒子懸濁物と混合する。場合により、混合に加熱を伴わせてもよい。次に、水を除去してナノチューブ・重合体複合体を形成する。水は、蒸発又は乾燥により除去することができ、真空及び/又は熱の適用により促進することができる。ナノチューブ・重合体懸濁物から水が蒸発するに従って、重合体粒子が合体し、重合体粒子の内部からナノチューブは必然的に排除されているので、ナノチューブは、界面領域内の重合体粒子の少なくとも幾つかの間にトラップされ、凝集する。トラップされたナノチューブは、重合体マトリックス中にナノチューブの相互連結ネットワークを形成し、それによりナノチューブネットワークが複合体に電気及び熱伝導性を与える。
理論によって拘束されるものではないが、本発明の一つの態様として、ナノチューブ・重合体複合体が形成される工程を、図1A、1B、及び1Cに例示する。図1Aは、水性媒体中に入れたナノチューブ(直線)及び重合体粒子(円)の分散物を示し、この場合、その分散物は巨視的レベルでは全体的に均一である。図1Bは、水が除去されると、重合体粒子が一層密に詰まるようになり、ナノチューブは凝集し、重合体粒子の少なくとも一部分の間の界面空間内にトラップされるようになる。図1Cは、重合体粒子が合体し、密着した複合体フイルムを形成し、炭素ナノチューブは合体した重合体粒子の少なくとも幾つかの間の界面に凝集し、ナノチューブが重合体複合体全体に亙って相互連結した伝導性ネットワークを形成することを示している。単層壁炭素ナノチューブは、全体的にマトリックス重合体の粒子の間に存在しているので、それらは重合体マトリックスの体積の僅かな分率でしか存在しておらず、重合体粒子の間の界面領域に濃縮されている。単層壁炭素ナノチューブが互いに接触するようになると、ファン・デル・ワールス力により強く一緒に保持され、それにより一般に個々のナノチューブへ分離することが困難なネットワークを形成する傾向を有する。
ナノチューブ懸濁物を安定化するのに用いられる特定の安定化剤は、ナノチューブ・重合体複合体の伝導性に影響を与えることがある。例えば、ポリ(ビニルピロリドン)(PVP)を単層壁炭素ナノチューブのための安定化剤として用いると、重合体は個々のナノチューブ及び或る程度まで単層壁炭素ナノチューブの紐の周りを包み、それらを被覆することができる〔M.オ・コネル(O'Connell)その他、Chem. Phys. Lett. 342, p. 265-271 (2001)参照〕。PVPは、水性系中の単層壁炭素ナノチューブに対する非常に良好な安定化剤である。しかし、重合体がポリ(酢酸ビニル)である場合、PVP安定化ナノチューブ・重合体複合体では、その重合体の伝導度は、ナノチューブ安定化剤がアラビアゴムである場合の同等に作られた複合体よりも低くなる。アカシア・セネガル(Acacia Senegal)の木から生成した水溶性多糖類であるアラビアゴムは、単層壁及び多層壁の両方の炭素ナノチューブに対する非常に良好な安定化剤になるようにも思える〔GA安定化SWNTについての情報に関しては、R.バンジオパーディアヤ(Bandyopadhyaya)その他、Nano Lett., 2, p. 25 (2002) 参照〕。理論によって裏付けられることを意味するものではないが、安定化ナノチューブ・重合体複合体の伝導度の差は、ナノチューブ安定化剤がナノチューブを被覆する程度によるのかも知れない。それにより、そのような被覆が、ナノチューブネットワークの相互連結性及び希望の伝導性に影響を与える程ナノチューブを分離することがある。
いずれの場合でも、本発明では、伝導性重合体複合体が与えられ、この場合、伝導性は、炭素ナノチューブの非常に低い濃度、即ち、低いパーコレーション臨界値の濃度の炭素ナノチューブを用いて達成される。電気伝導性になる量、即ち、パーコレーション臨界値を与えるのに必要な炭素ナノチューブの量は、本発明では、炭素ナノチューブの全体的に(巨視的及び微視的に)均一な分散物を用いて複合体を製造した場合よりも著しく低い。
一つの態様として、本発明は、重合体がポリ酢酸ビニルであり、ナノチューブが、アラビアゴム(GA)によって安定化された単層壁炭素ナノチューブであり、ナノチューブ・複合体が、その複合体中、約0.04重量%より少ない単層壁炭素ナノチューブのパーコレーション臨界値を有する場合の伝導性炭素ナノチューブ・重合体複合体を含む。SWNTがGAにより安定化され、SWNTが全複合体の約4重量%を占める場合の態様では、複合体の電気伝導度は少なくとも約0.2シーメンス/cm(S/cm)である。
炭素ナノチューブは匹敵する量のPVPで安定化された場合、パーコレーション臨界値は、複合体中約3重量%〜約3.5重量%のSWNTである。SWNTがPVPで安定化され、SWNTが全複合体の約4重量%を占める態様では、その複合体の電気伝導度は少なくとも0.01S/cmである。
ナノチューブ・重合体複合体の重合体マトリックスを形成するための重合体粒子は、一般に球形であり、一般にどの次元でもほぼコロイド粒径、即ち約0.01μ〜約1μから約100μまでの粗い粒径までの範囲にある断面の大きさを有する。一般に、適当な重合体粒子は、どの次元でも約0.1μ〜約10μ、典型的にはどの次元でも約0.5μ〜約5μの粒径範囲にある。ナノチューブネットワークは、複合体に電気及び熱伝導度を与える。重合体粒子は複合体中で、ナノチューブが本質的に排除されている体積を占めるので、非常に低い炭素ナノチューブ含有量で複合体は伝導性であり、例えば、複合体中ナノチューブは約0.01重量%〜約0.04重量%のように低いパーコレーション臨界値を有する。
重合体粒子が合体する際に、それら合体する重合体粒子の少なくとも幾つかの間にナノチューブがトラップされるようになる。液体媒体が除去され、重合体粒子が合体するにつれて、トラップされたナノチューブがマトリックス重合体粒子の外側縁の所にある重合体で包まれるようになる。一つの態様として、それらの重合体で占められた内部から一般にナノチューブを排除し、それらナノチューブが重合体粒子の間に主に存在するようになったマトリックス重合体粒子は複合体材料の50体積%より多くの部分からナノチューブを排除する。重合体粒子の間に主に存在するか、それとも、重合体粒子から実質的に排除されたナノチューブの場合、それらナノチューブは複合体材料の少なくとも約50体積%から排除されるであろう。重合体粒子は、複合体の60体積%より多くの部分からナノチューブを排除するのが好ましく、一層好ましくは重合体粒子は、複合体の70体積%より多くの部分からナノチューブを排除し、一層好ましくは重合体粒子は、複合体の80体積%より多くの部分からナノチューブを排除し、一層好ましくは重合体粒子は、複合体の90体積%より多くの部分からナノチューブを排除し、一層好ましくは重合体粒子は、複合体の95体積%より多くの部分からナノチューブを排除し、一層好ましくは重合体粒子は、複合体の99体積%より多くの部分からナノチューブを排除する。一般に、重合体粒子によりナノチューブが排除された複合体マトリックス部分の体積が大きくなる程、その重合体粒子で作られた重合体マトリックス内で伝導性ネットワークを形成するのに必要なナノチューブの濃度は低くなる。ナノチューブを排除する重合体粒子と共に伝導性ネットワークを形成するのに必要なナノチューブの濃度は、ナノチューブが重合体複合体全体に亙って均一に分散されている場合よりも実質的に小さい。
乾燥重合体マトリックス材料の約0.01重量%〜約20重量%の濃度範囲の単層壁炭素ナノチューブを、ナノチューブ・重合体複合体中に配合することができる。一般に、ナノチューブ・重合体複合体中のナノチューブの量は、電気及び熱伝導性を達成するのに充分であるが、重合体の機械的性質及び処理性を維持するように少ないのが望ましい。ナノチューブ材料は、重合体マトリックス材料の約20重量%より少ないのが好ましく、一層好ましくは重合体マトリックス材料の約10重量%より少なく、一層好ましくは重合体マトリックス材料の約5重量%より少なく、一層好ましくは重合体マトリックス材料の約1重量%より少なく、一層好ましくは重合体マトリックス材料の約0.1重量%より少ない。
ナノチューブ連結ネットワーク中の分岐の量は、重合体粒子の粒径分布の関数であり、即ち、一般に重合体粒子が大きくなる程、ナノチューブネットワーク中に与えられる分岐ネットワークは少なくなり、逆に一般に重合体粒子が小さくなる程、複合体全体に亙り与えられるナノチューブの分岐したネットワークは多くなるであろう。
重合体粒径分布は、単分散系でもよく、即ち、全てがほぼ同じ粒径であるか、或は多分散系、即ち、種々の粒径又は粒径分布として存在していてもよい。重合体粒子は、ラメラ(lamella)、ミセル及び/又は結晶充填重合体のような配列した重合体構造を含んでいてもよいが、それらに限定されるものではない。
特定の重合体及び付随する分子量は、希望の最終用途に依存するであろう。重合体分子量は、約4,000又は5,000g/モル〜1,000,000g/モル以上の範囲にすることができる。
別の態様として、伝導性炭素ナノチューブ・重合体複合体は、溶媒に基づく炭素ナノチューブ懸濁物を形成し、前記炭素ナノチューブ懸濁物と水性重合体懸濁物とを混合し、炭素ナノチューブ・重合体懸濁物を形成し、然も、前記重合体は重合体粒子の形態をしており、そして前記炭素ナノチューブ・重合体懸濁物から水及び溶媒を除去し、炭素ナノチューブ・重合体複合体を形成し、然も、重合体粒子が合体し、前記炭素ナノチューブが主に前記重合体粒子の間に存在するようにすることにより製造することができる。この態様では、ナノチューブ懸濁物は溶媒を用いて作る。炭素ナノチューブを懸濁することができるどのような溶媒でも用いることができる。懸濁物は安定でも、不安定でもよい。ナノチューブの懸濁を促進するのに、機械的手段を用いることもできる。炭素ナノチューブ。特に単層壁炭素ナノチューブに適した溶媒には、アミド、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、及びヘキサメチルホスホルアミド、トルエン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、シクロペンタノン、テトラメチレンスルホキシド、ε−カプロラクトン、及びそれらにの組合せが含まれるが、それらに限定されるものではない。炭素ナノチューブを懸濁することができるどのような他の溶媒又は溶媒の組合せでも用いることができる。理論によって裏付けられることを意味するものではないが、ナノチューブ懸濁物を形成するために溶媒を用いることにより、上に記載し、列挙した表面活性剤及び重合体のようなナノチューブ安定化剤の使用量を減少するか又は無くすことができる。安定化剤が無いと、ナノチューブは、ナノチューブネットワーク全体に亙り互いによく接触し、複合体中に増大した伝導性を与えることができる。
炭素ナノチューブ懸濁物を重合体懸濁物と混合して炭素ナノチューブ・重合体懸濁物を形成する。重合体懸濁物は重合体及び水から構成され、重合体は、重合体粒子の形態をしており、それら重合体粒子は、炭素ナノチューブがそれら粒子の中へ入らないように本質的に排除している。重合体は、上で言及したもののように、水性懸濁物中で粒状のまま懸濁することができるどのような重合体でもよい。重合体粒子は、重合体懸濁物を安定化するために上で言及したどのような安定化剤によって水性環境中で安定化されていてもよい。
理論によって限定されることを意味するものではないが、ナノチューブを溶媒中に入れ、水性重合体懸濁物ヘ添加した場合、疎水性ナノチューブは、重合体懸濁物の水性層中に存在するよりは、むしろ一般に疎水性重合体粒子に吸引され、その上に蓄積する傾向がある。水性ナノチューブ懸濁物を水性重合体懸濁物と共に用い、重合体粒子の間のナノチューブのトラップが一般に物理的現象である場合の方法とは対照的に、ナノチューブが溶媒懸濁物として存在する態様では、重合体粒子表面でのナノチューブの蓄積は、溶媒/非溶媒吸引及び反発力も含む。
溶媒に基づくナノチューブ懸濁物と水性重合体懸濁物とを混合して炭素ナノチューブ・重合体懸濁物を形成した後、水及び溶媒をその炭素ナノチューブ・重合体懸濁物から除去し、炭素ナノチューブ・重合体複合体を形成する。この場合、重合体粒子は合体し、炭素ナノチューブは主に重合体粒子の間に存在する。理論によって裏付けられることを意味するものではないが、溶媒は、重合体粒子の外側を膨潤させることにより重合体粒子の合体を促進することができる。溶媒及び水の除去は、上に列挙した手段のような、どのような既知の溶媒及び水除去手段によって行なってもよい。
本発明の別の態様として、炭素ナノチューブ・重合体複合体は、溶媒に基づくナノチューブ懸濁物を形成し、そのナノチューブ懸濁物を溶媒に基づく重合体懸濁物と混合して炭素ナノチューブ・重合体懸濁物を形成し、然も、前記重合体は粒子の形態をしており、前記ナノチューブは一般に重合体粒子中へ入らないように排除され、そして前記炭素ナノチューブ・重合体懸濁物から溶媒を除去し、それにより重合体粒子が合体し、炭素ナノチューブが重合体粒子間にトラップされ、相互連結ネットワークを形成し、重合体複合体に電気伝導性を与えることを含む。この態様では、溶媒に基づく炭素ナノチューブ懸濁物は、上に列挙した溶媒に基づくか、又は炭素ナノチューブを懸濁するためのどのような既知の溶媒に基づいていてもよい。懸濁物は安定でも、不安定でもよい。超音波処理又は激しい混合のような機械的手段を用いてナノチューブの懸濁を促進してもよい。
重合体粒子の懸濁は、ナノチューブ懸濁物の溶媒とは異なった溶媒又は同じ溶媒で行うことができる。重合体粒子はどのような適当な溶媒中に懸濁してもよいが、好ましくは重合体粒子を溶解しない溶媒、一層好ましくは重合体粒子を実質的に膨潤しない溶媒、一層好ましくは重合体粒子中へ実質的に浸透しない溶媒中に懸濁することができる。例えば、ポリ(酢酸ビニル)粒子の重合体懸濁物を形成するのに、トルエンを用いることができる。トルエンは、ナノチューブ懸濁物を形成するのにも用いることができる。このように、トルエンは、ナノチューブ懸濁物及び重合体粒子懸濁物に適切な溶媒になるであろう。二つの懸濁物を混合して炭素ナノチューブ・重合体懸濁物を形成した後、その炭素ナノチューブ・重合体懸濁物から溶媒(一種又は多種)を除去し、炭素ナノチューブ・重合体複合体を形成する。この場合、重合体粒子は合体し、炭素ナノチューブは重合体粒子間に主に存在する。
本発明の単層壁炭素ナノチューブ及び合体した重合体粒子を含む伝導性重合体複合体は、増大した電気及び熱伝導性を有し、そのため熱伝導性、電気伝導性、電磁波遮蔽、又はそれらの組合せを必要とする用途で有用なものになる。そのような組成物は、ペイント、被覆、及び接着剤として有用である。ナノチューブを本質的に排除した重合体粒子から構成された重合体マトリックス中に伝導性ネットワークを形成するのに必要なナノチューブの濃度はほんの僅かなので、マトリックス重合体にとって望ましい物理的及び機械的処理性を劣化することなく、複合体に電気及び熱伝導性が付与される。炭素ナノチューブのネットワークは、重合体複合体に与えられる強度、弾力性、及び靭性を付加的に増大することがある。
次の例は、本発明の好ましい態様を実証するために与えられている。次の実施例に開示された技術は、本発明の実施で充分機能を果たすように、本発明者によって発見された技術を表しており、従って、その実施のための好ましい方式を構成するものと考えることができることは、当業者によって認められるべきである。しかし、当業者は、本発明の開示を参照することにより、本発明の本質及び範囲から離れることなく開示された特定の態様に多くの変更を加え、それでも同じか又は同様な結果を得ることができることを認めるべきである。
例1
この例は、SWNT及びポリ(酢酸ビニル)を含むナノチューブ・重合体複合体を製造する方法を実証する。ポリ(酢酸ビニル)(PVAc)単独重合体エマルジョン〔ビナック(VINAC)(登録商標名)XX210〕は、エアー・プロダクツ(Air Products)から得られた〔ビナックは、ペンシルバニア州アレンタウンのエアー・プロダクツ・アンド・ケミカルズ社(Air Products and Chemicals, Inc.)の登録商標名である〕。エマルジョンは水中に約55重量%の固体を含んでいた。数平均重合体粒径(Dn)は105nm(0.105μ)であり、体積平均重合体粒径(Dv)は、2.5μm(2.5μ)であった。この重合体系のためのガラス転移温度(Tg)は34℃であり、周囲乾燥条件下で凝集フイルムを形成することができる最低膜形成温度(MFFT)は約15℃であった。
JEOL840SEMに付属した低温定着器を用いて、PVAcエマルジョンから低温SEM(cryo-SEM)(走査電子顕微鏡写真)を撮った。エマルジョン試料を液体エタン中で凍結し、低温室へ移し、そこで霜を昇華した。次に凍結した試料を破壊し、その場で白金で被覆した。重合体エマルジョンの低温SEMを図2に示す。重合体粒子はエマルジョン中ほぼ球形であったが、低温法は顕微鏡写真中それらを平坦に見せている。重合体粒子は直径が約0.5μ未満から約2.5μの範囲の多分散性の粒径になっている。
テキサス州ヒューストンのカーボン・ナノテクノロジーズ社(Carbon Nanotechnologies, Inc.)から、製造したままのHIPCO(登録商標名)単層壁ナノチューブ(SWNT)を得た(HIPCOは、テキサス州ヒューストンのカーボン・ナノテクノロジーズ社の登録商標名である)。ナノチューブ(ロット番号R0210)は、金属触媒及び無定形炭素による不純物を約29重量%含んだ非常にふわふわしたコンシステンシーを持っていた。粉末状のアラビアゴム(GA)を、アルドリッヒ(Aldrich)(ウィスコンシン州ミルウォーキー)から得、SWNT懸濁物を安定化するのに用いた。
1.5gのSWNTを、2重量%GAの水溶液と一緒にし、乳鉢及び乳棒を用いてよく混合した。混合した後、SWNT系スラリーを、更に2重量%のGA溶液で希釈し、200gの混合物(1.5gのSWNT、6gのGA、及び192.5gの脱イオン水)を得た。この水性混合物を、標準ドリルプレスに取付けられた高速回転翼〔フロリダ州ポンパノビーチのポールN.ガードナー(Paul N. Gardner)から購入された2″直径の「F」型翼〕を用いて3100rpmで15分間混合した。混合した後、SWNT混合物を30分間超音波にかけた。
GA安定化ナノチューブの透過電子顕微鏡写真(TEM)を、120kVで操作したフィリップス(Philips)EM420TEMにより得た。試料は、0.4重量%のSWNT及び2重量%のGAを含有する水性混合物の一滴をTEMグリッド上に置き、2分後その液体を吸い取ることにより撮影用に調製した。図3Aは、GA安定化単層壁炭素ナノチューブの37,500Xの倍率でのTEMである。図3Bは、GA安定化単層壁炭素ナノチューブの200,000Xの倍率でのTEMである。図3A及び図3Bの両方の中の小さな黒点は、残留触媒不純物によるものである。
SWNT混合物を、次に濾過して水及び過剰のGAを除去し、70℃で1時間乾燥した。得られたGA安定化SWNTは、濾過後、GAとの1:1比を持っていた。乾燥したGA安定化SWNTを水と再び一緒にし、乳鉢及び乳棒を用いて混合し、然る後、PVAcエマルジョンを添加した。GA安定化SWNTとPVAcとの混合は、上に記載したのと同じ高速回転翼を用いて1リットル鋼ビーカー中で3100rpmで15分間高剪断条件下で行なった。数滴のドリュープラス(DREWPLUS)(登録商標名)L−483発泡抑制剤〔アシュランド・スペシャルティー・ケミカル社(Ashland Specialty Chemical Company)〕を、混合物に添加し、混合中の発泡レベルを抑制した(ドリュープラスは、アシュランド社の登録商標名である)。
GA安定化SWNTとPVAcエマルジョンとの混合物を、SWNT濃度を変えて調製した。SWNT濃度が最も高い混合物を先ず調製し、マスターバッチとして用いた。それより高いSWNT濃度の混合物は、そのマスターバッチを一層多くのPVAcエマルジョン及び水で希釈することにより、マスターバッチから調製した。SWNT濃度の低い混合物は、上に記載したのと同じ高速回転翼を用いて3100rpmで15分間高剪断の下で混合した。混合した後、GA安定化SWNT・PVAc混合物の一部分をとり、30分間超音波にかけた。残りの濃厚混合物を、順次水及びPVAcエマルジョンの添加量を多くして希釈し、次に回転翼混合を更に15分間行うことにより、含有されるSWNT濃度が順次小さくなるGA安定化SWNT・PVAc混合物を調製した。それら水性GA安定化SWNT・PVAc混合物は、全て水中の固体が一定の10重量%になるように混合した。
深さ175μm(2″×2″)PETフイルム枠内の50μmポリエチレンテレフタレート(PET)フイルム上で夫々の水性SWNT・PVAc混合物を乾燥することにより、固体複合体フイルムを作成した。夫々のSWNT・PVAc複合体フイルムを、周囲条件下で24時間乾燥し、次に20%より低い相対湿度を有する乾燥箱中で更に24時間乾燥した。得られた乾燥SWNT・PVAcフイルムは、125±5μmの厚さを有し、不透明黒色外観を持っていた。伝導性フイルムのためには、約25μ〜約500μの範囲のフイルム厚さが適切なフイルム厚さである。25μより薄いと、フイルムの厚さは二次元的透過体域(two-dimensional percolation regime)内に入るであろう。
PVAcエマルジョンから作成し、3重量%のSWNTを含有するGA安定化SWNT・PVAc複合体フイルムのTEM顕微鏡写真を、80kVで操作したJEOL100CXTEMを用いて得た。図4Aは、3重量%SWNT・PVAc複合体フイルムの10,000Xの倍率でのTEMである。明るい灰色の全体的に球状の形をしたものは、幅約1〜2μのPVAc重合体粒子である。暗い灰色/黒色の屈曲した形のものは、単層壁炭素ナノチューブ材料である。図4Bは、3重量%SWNT・PVAc複合体フイルムの27,000Xの倍率でのTEM顕微鏡写真である。図4A及び4Bの両方で、重合体粒子は全体的にナノチューブ材料を排除しているように見え、その結果ナノチューブは合体した重合体粒子の間で、それらの縁の所に存在している。SWNTの比較的長いネットワークが、比較的大きな重合体粒子の少なくとも一部分の間で、それらを取り巻いているように見ることができる。SWNTを排除した重合体粒子は、SWNT又はカーボンブラックのような他の伝導性充填剤について得られる体積を劇的に減少し、伝導性ネットワークを形成している。従って、著しく減少した量のSWNT又は他の伝導性充填剤を用いて、パーコレーション臨界値を得ることができる。重合体から排除された体積と、大きなアスペクト比のSWNTとを組合せることにより、他の炭素系伝導性充填剤を用いるか、又は重合体マトリックス中のSWNTを、そのSWNT材料がマトリックス重合体全体に亙って均一に分散しているようにして用いることにより同じ重合体で達成することができるパーコレーション臨界値よりも、かなり低いパーコレーション臨界値で伝導性状態を生じさせている。
例2
例1のSWNT・PVAc複合体と同じやり方で、カーボンブラック・PVAc複合体を調製した。但しカーボンブラックを安定化するのにアラビアゴムを用いなかった。伝導性級カーボンブラック〔コロンビアン・ケミカルズ(Columbian Chemicals)からの、21nmの平均一次粒径及び1.89g/cmの密度を有するコンダクテックス(CONDUCTEX)(登録商標名)975ウルトラ(ULTRA)(登録商標名)〕を、乾燥粉末としてPVAcエマルジョンへ、回転翼で880rpmで撹拌しながらゆっくり添加した(コンダクテックス及びウルトラは、コロンビアン・ケミカルズ社の登録商標名である)。
例1で作成したSWNT・PVAc複合体フイルムと同じやり方で、カーボンブラック・PVAc複合体フイルムを作成した。フイルムの厚さは200〜400μであった。
例3
この例は、単層壁炭素ナノチューブ懸濁物のための安定化剤としてポリビニルピロリドン(PVP)を用いた場合の、SWNT及びポリ(酢酸ビニル)を含む複合体を製造する方法を実証する。エアー・プロダクツ(Air Products)からのポリ(酢酸ビニル)単独重合体エマルジョン〔ビナック(VINAC)XX210〕は、例1及び2で用いたものとは異なったロットからのものであり、水中に含まれる固体が約55重量%であるものを含み、108nmの数平均重合体粒径(Dn)、2.5μmの体積平均重合体粒径(Dv)、約34℃のガラス転移温度(Tg)、及び約15℃の最低フイルム形成温度(MFFT)を持っていた。
製造されたままのHIPCO単層壁ナノチューブ(SWNT)(残留触媒金属及び無定形炭素による不純物を約29重量%含有する、ロット番号R0210)を、テキサス州ヒューストンのカーボン・ナノテクノロジーズ社から得た。粉末状態のポリビニルピロリドン(Mw=10,000g/モル)を、アルドリッヒ(ウィスコンシン州ミルウォーキー)から得、SWNT懸濁物を安定化するために用いた。
例1と同様に、1.5gの単層壁炭素ナノチューブを、2重量%のPVPの水溶液と一緒にし、乳鉢及び乳棒を用いてよく混合した。混合した後、SWNTを基にしたスラリーを、更に2重量%PVP溶液で希釈し、200gの混合物(1.5gのSWNT、6gのPVP、及び192.5gの脱イオン水)を得た。この水性混合物を、上に記載した標準ドリルプレスに取付けられた高速回転翼で15分間3100rpmで混合した。混合した後、SWNT混合物を30分間超音にかけ、濾過して水及び過剰のPVPを除去し、70℃で1時間乾燥した。得られたPVP安定化SWNTは、濾過後、PVPとの1:1比を持っていた。
例4
この例は、例1で作成したSWNT・重合体複合体フイルムの電気伝導度を実証する。電気伝導度の測定は、三菱により製造された、10−5S/cm(シーメンス/cm)まで伝導度を測定することができるロレスタ(Loresta)AP(MCP−T4000)4点検針を用いて行なった。
幾つかのSWNT含有量で形成した単層壁炭素ナノチューブ・ポリ(酢酸ビニル)複合体フイルムの伝導度を測定し、下の式1で与える標準パーコレーションべき関数(the standard percolation power law)のモデルに当て嵌めた:
σ=σ(V−Vc) (式1)
式中、σは、複合体の伝導度であり、
σは、充填剤の固有伝導度に関連したスケール因子であり、
Sは、べき関数指数(典型的には、無作為系については1.6〜2.0)であり、〔G.ドイチェル(Deutscher)その他、「パーコレーション構造体及び方法」(Percolation Structures and Processes)、Annals of the Israel Physical Society, Vol. 5, アメリカ物理学会(American Institute of Physics):ニューヨーク、1983年、第10章参照〕
Vは、充填剤の体積分率であり、
Vcは、パーコレーション臨界値での充填剤の体積分率である。
GA安定化SWNT・PVAc複合体データーを標準パーコレーションべき関数の式に当て嵌めた場合、SWNT密度を推定するのは不確実であるため、SWNTの重量分率Fを、体積分率の代わりに用いた。従って、GA安定化SWNT・PVAc複合体データーを、下に与える修正べき関数の式2に当て嵌めた:
σ=σ(F−Fc) (式2)
式中、σは、複合体の伝導度であり、
σは、充填剤の固有伝導度に関連したスケール因子であり、
Sは、べき関数の指数であり、
Fは、複合体中の炭素ナノチューブの重量分率であり、
Fcは、パーコレーション臨界値での複合体中の炭素ナノチューブの重量分率である。
式2によるようなこの仮定を用いると、GA安定化SWNT・PVAc複合体は、約0.04重量%のパーコレーション臨界値Fcを持っていた。データーを当て嵌めると、図5Aに示したように、σ=33.4S/cm、Fc=0.038、及びS=1.90の結果が得られた。溶媒に基づくか又は溶融混合法により製造された全体的に均一に分散したSWNT複合体では、0.3重量%のSWNTより大きいパーコレーション臨界値が得られると予想されることに注意されたい〔J.M.ベノト(Benoit)その他、Synth. Met. Vol. 121, p. 1215 (2001)、E.キマキス(Kymakis)その他、Synth. Met. 127, p. 39 (2002)、及びA.デュフレスン(Dufresne)その他、J. Mater. Sci. 37, p. 3915 (2002)参照〕。
例2に従ってPVAcエマルジョンを用いて作成し、透過力法則のモデルに当て嵌めたカーボンブラック・PVAc複合体フイルムのパーコレーション臨界値は、4重量%、即ち、比較として調製されたSWNT複合体よりもほぼ二桁大きくなることが決定された。溶媒に基づくか又は溶融混合法を用いると、カーボンブラック複合体のパーコレーション臨界的は、25重量%より多くのカーボンブラックを含有する複合体を用いて得られるものになるであろうと予想されることに注意されたい〔J.C.グルンラン(Grunlan)その他、J. Mater. Res. 14, p. 4132 (1999)、及びM.Q.ザング(Zhang)その他、Macromolecules 31, p. 6724 (1998)参照〕。
図5Bは、例1で作成したような乾燥GA安定化SWNT・PVAc複合体フイルムについて、充填剤濃度の関数としてシーメンス/cm(S/cm)の単位でのlogσ(電気伝導度)のプロット(黒丸)及び例2で作成したようなカーボンブラック・PVAc複合体フイルムのプロット(白丸)を示している。両方の充填剤についてのデーターは、べき関数式(式2)にフィットした。
PVP安定化SWNT・PVAc複合体は、約3重量%のSWNTのパーコレーション臨界値を持っていた。
ここに記載し、特許請求する組成物及び方法は、全て本開示を参照して、不当な実験を行うことなく製造し、実施することができる。本発明の組成物及び方法を好ましい態様に関連して記述してきたが、本発明の概念、本質、及び範囲から離れることなく、ここに記載した組成物及び方法、及びその方法の工程又は工程順序に変更を加えることができることは当業者に明らかであろう。特に、化学的に関連した或る薬剤は、ここに記載した薬剤に置き換えても同じか又は同様な結果が得られるであろうことは明らかであろう。そのような当業者に明らかな同様な置き換え及び修正は、全て添付の特許請求の範囲により規定される本発明の本質、範囲、及び概念内に入るものと見做される。
図1において、図1A、1B、及び1Cは、伝導性炭素ナノチューブ・重合体複合体を製造するための本発明の一つの態様の段階を例示している。図1Aは、炭素ナノチューブ(線)及び重合体粒子(円)の分散物を示している。図1Bは、炭素ナノチューブ及び重合体粒子の分散物から幾らかの水を除去した場合を示している。図1Cは、一層多くの水を除去し、重合体粒子は互いに合体し、ナノチューブが凝集し、重合体粒子の少なくとも幾つかの間にトラップされて複合体中でナノチューブの相互連結ネットワークを形成している場合を示している。 図2は、水中で約55重量%の固体含有量を有する多分散性PVAc(ポリ(酢酸ビニル))エマルジョンの低温SEM(走査電子顕微鏡写真)である。試料を調製するのに用いた破砕法は、全体的に球形の重合体粒子に平坦な外観を与えている。 図3において、図3Aは、GA(アラビアゴム)安定化単層壁炭素ナノチューブの37,5000Xの倍率でのTEM(透過電子顕微鏡写真)である。図3Bは、GA安定化単層壁炭素ナノチューブの200,000Xの倍率でのTEMである。 図4において、図4Aは、PVAcエマルジョンから調製した3重量%SWNT・PVAc複合体のフイルムの10,000Xの倍率でのTEMである。PVAc重合体粒子(灰色)は、一般に球形であり、約1〜2μの幅を有する。それら粒子の幾つかの間にある屈曲した形態のもの(黒色)は、精製されていない単層壁炭素ナノチューブである。図4Bは、PVAcエマルジョンから調製した3重量%SWNT・PVAc複合体の27,000Xの倍率でのTEM顕微鏡写真である。 図5において、図5Aは、GA安定化SWNT・PVAc複合体フイルムのための複合体中のSWNT濃度の関数として電気伝導度をプロットした図である。実線の曲線は、パーコレーションべき関数を用いてデーターに当て嵌めたものである。図5Bは、実施例1及び2に従い、夫々調製されたSWNT・PVAc及びカーボンブラック・PVAc複合体について、複合体中の炭素充填剤濃度の関数としてプロットした電気伝導度の図を与えている。

Claims (20)

  1. 伝導性炭素ナノチューブ・重合体複合体であって、この複合体は
    (a)炭素ナノチューブ、ここで前記炭素ナノチューブ・重合体複合体は複合体の1重量%より少なく炭素ナノチューブを含む、及び
    (b)合体した重合体粒子の形の重合体で、ここで炭素ナノチューブは、炭素ナノチューブ・重合体複合体中に微視的レベルで不均質に分散しており、前記炭素ナノチューブが前記合体した重合体粒子の間に存在し、前記炭素ナノチューブが、前記合体重合体粒子の少なくとも幾つかの間で相互連結したネットワークを形成している重合体、を含む伝導性炭素ナノチューブ・重合体複合体。
  2. 更に、ナノチューブ安定化剤を含む、請求項1に記載の複合体。
  3. ナノチューブ安定化剤が表面活性剤である、請求項2に記載の複合体。
  4. ナノチューブ安定化剤が蛋白質である、請求項2に記載の複合体。
  5. ナノチューブ安定化剤が、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミド、ポリ(エチレンオキシド)、ポリエチレングリコール、ポリ(エチレンホルムアミド)、ポリヒドロキシエーテル、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルオキサゾリジノン)、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、エチル(ヒドロキシエチル)セルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、それらの共重合体、及びそれらの組合せからなる群から選択される水溶性重合体である、請求項2に記載の複合体。
  6. ナノチューブ安定化剤が、アラビアゴム、ポリスチレンスルホネート(PSS)、ポリ(1−ビニルピロリドン−co−酢酸ビニル)、ポリ(1−ビニルピロリドン−co−アクリル酸)、ポリ(1−ビニルピロリドン−co−ジメチルアミノエチルメタクリレート)、ポリ硫酸ビニル、ポリ(ナトリウム スチレンスルホン酸−co−マレイン酸)、デキストラン、デキストラン硫酸、ゼラチン、牛血清アルブミン、ポリ(メチルメタクリレート−co−エチルアクリレート)、ポリアリルアミン、及びそれらの組合せからなる群から選択される水溶性重合体である、請求項2に記載の複合体。
  7. 重合体粒子が、どの次元でも、0.01μ〜100μの範囲の粒径を有する、請求項1に記載の複合体。
  8. 重合体粒子が、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ポリプロピオン酸ビニル、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(塩化ビニル・エチレン)、ポリ(塩化ビニル・プロピレン)、ポリ(スチレン−co−ブタジエン)、スチレン・アクリレート共重合体、ビニルエチレン・塩化ビニル共重合体、ポリ(酢酸ビニル・アクリレート)、ポリ(酢酸ビニル・エチレン)、及びそれらの組合せからなる群から選択された重合体を含む、請求項1に記載の複合体。
  9. 更に、重合体粒子安定化剤を含む、請求項1に記載の複合体。
  10. 重合体粒子安定化剤が表面活性剤である、請求項9に記載の複合体。
  11. 重合体粒子安定化剤が蛋白質である、請求項9に記載の複合体。
  12. 重合体粒子安定化剤が、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミド、ポリ(エチレンオキシド)、ポリエチレングリコール、ポリ(エチレンホルムアミド)、ポリヒドロキシエーテル、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルオキサゾリジノン)、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、エチル(ヒドロキシエチル)セルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、それらの共重合体、及びそれらの組合せからなる群から選択される水溶性重合体である、請求項9に記載の複合体。
  13. 水溶性重合体が、アラビアゴム、ポリスチレンスルホネート(PSS)、ポリ(1−ビニルピロリドン−co−酢酸ビニル)、ポリ(1−ビニルピロリドン−co−アクリル酸)、ポリ(1−ビニルピロリドン−co−ジメチルアミノエチルメタクリレート)、ポリ硫酸ビニル、ポリ(ナトリウム スチレンスルホン酸−co−マレイン酸)、デキストラン、デキストラン硫酸、ゼラチン、牛血清アルブミン、ポリ(メチルメタクリレート−co−エチルアクリレート)、ポリアリルアミン、及びそれらの組合せからなる群から選択されている、請求項9に記載の複合体。
  14. 炭素ナノチューブ懸濁物が、更に一種類以上のカーボンブラック、小さなフラーレン、及びそれらの組合せからなる群から選択される伝導性充填剤を含み、小さなフラーレンが、C60、C70、C84、及びそれらの組合せからなる群から選択されている、請求項1に記載の複合体。
  15. フイルムが複合体の形態をしており、フイルムが、25μ〜500μの範囲の厚さを有する、請求項1に記載の複合体。
  16. 請求項1〜15のいずれかに記載の伝導性炭素ナノチューブ・重合体複合体を製造する方法において、
    (a) 炭素ナノチューブ及び第一溶媒を含む炭素ナノチューブ懸濁物を形成し、
    (b) 前記炭素ナノチューブ懸濁物と重合体懸濁物とを混合し、炭素ナノチューブ・重合体懸濁物を形成し、然も、前記重合体懸濁物が重合体及び第二溶媒を含み、前記重合体が重合体粒子の形態をしており、そして
    (c) 前記炭素ナノチューブ・重合体懸濁物から第一溶媒及び第二溶媒を除去し、炭素ナノチューブ・重合体複合体を形成し、然も、前記重合体粒子が合体し、前記炭素ナノチューブが、前記重合体粒子の間に存在し、炭素ナノチューブは炭素ナノチューブ・重合体複合体中に微視的レベルで不均質に分散しており、炭素ナノチューブ・重合体複合体は複合体の1重量%よりも少なく炭素ナノチューブを含む、
    ことを含む、複合体製造方法。
  17. 第一溶媒が水である、請求項16に記載の方法。
  18. 第二溶媒が水である、請求項16に記載の方法。
  19. 重合体粒子が、どの次元でも、0.01μ〜100μの範囲の粒径を有する請求項16〜18のいずれかに記載の方法。
  20. 炭素ナノチューブ懸濁物が、更に一種類以上のカーボンブラック、小さなフラーレン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される伝導性充填剤を含み、小さなフラーレンがC60、C70、C84及びそれらの組み合わせからなる群から選択されている、請求項16〜18のいずれかに記載の方法。
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