JP4795619B2 - ウキクサにおける生物学的に活性なポリペプチド類の発現 - Google Patents
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Description
[発明の分野]
本発明は、遺伝子操作されたウキクサから生物学的に活性なポリペプチド類を発現および分泌させる方法および組成物に関する。
【0002】
[発明の背景]
ウキクサは、単子葉植物ウキクサ(Lemnaceae)科の唯一のメンバーである。4属、34種は、全て小さく、浮動性の淡水植物であり、その地理的範囲は地球全体に広がる(Landolt(1986)ウキクサのファミリーに関するバイオシステマティック調査:ウキクサのファミリーモノグラフ研究(Biosystematic Investigation on the Family of Duckweeds:The Family of Lemnaceae−A Monograph Study)Geobatanischen Institut ETH,Stiftung Rubel,Zurich)。既知の形態学的に最も不完全な植物であるが、ほんどのウキクサ種は、根、幹、花、種子および葉状体を含む、はるかに大きい植物が有する組織および器官を全て具有する。ウキクサ種は広範囲に研究されており、その生態学、系統分類学、生活環、代謝、病気および悪疫易感受性、その生殖生物学、遺伝子構造、および細胞生物学について詳述するかなりの文献が存在する。(Hillman(1961)Bot.Review 27:221;Landolt(1986)ウキクサのファミリーに関するバイオシステマティック調査:ウキクサファミリーモノグラフ研究(Biosystematic Investigation on the Family of Duckweeds:The Family of Lemnaceae−A Monograph Study)Geobatanischen Institut ETH,Stiftung Rubel,Zurich)。
【0003】
ウキクサの成長習性は、微生物学的培養方法にとって理想的である。この植物は、酵母での無性的増殖に似た巨視的様式で、新しい葉状体の無性出芽(vegetative budding)によって急速に増殖する。この増殖は、成長点の細胞からの無性出芽によって起こる。成長点領域は小さく且つ葉状体の下表面にある。成長点の細胞は、葉状体の中心葉脈(midvein)の両側の2つのポケット内にある。この小さい中心葉脈領域は、根が始まり、また各葉状体をその母葉状体に連結する茎が生じる部位でもある。成長点のポケットは、組織弁(tissue flap)で保護されている。葉状体は、これらのポケットから交互に出芽する。倍加時間は、種ごとに異なり、20〜24時間と短い(Landolt(1957)Ber.Schweiz.Bot.Ges.67:271;Chang et al.(1977)Bull.Inst.Chem.Acad.Sin.24:19;Datko and Mudd(1970)Plant Physiol.65:16;Venkataraman et al.(1970)Z.Pflanzenphysiol.62:316)。
【0004】
ウキクサの集中培養によって、単位時間当たり最高率のバイオマス蓄積が得られ(Landolt and Kandeler(1987)ウキクサ科−モノグラフ研究2巻:植物化学、生理学、応用、文献目録(The family of Lemnaceae−A Monographic Study Vol.2:Phytochemistry,Physiology,Application,Bibliography),Veroffentlichungen des Geobotanischen Institutes ETH, Stiftung Rubel,Zurich)、その乾燥重量蓄積は、生体重の6〜15%の範囲である(Tillberg et al.(1979)Physiol.Plant.46:5;Landolt(1957)Ber.Schweiz.Bot.Ges.67:271;Stomp、未発表のデータ)。様々な条件で成長した多数のウキクサ種のタンパク質含量は、乾燥重量の15〜45%の範囲であると報告されている(Chang et al(1977)Bull.Inst.Chem.Acad.Sin.24:19;Chang and Chui(1978)Z.Pflanzenphysiol. 89:91;Porath et al.(1979)Aquatic Botany 7:272;Appenroth et al.(1982)Biochem.Physiol.Pflanz.177:251)。これらの値によれば、ウキクサにおける、培地1リットル当たりのタンパク質産生レベルは酵母遺伝子発現系とほぼ同じである。
【0005】
ウキクサにおける有性生殖は、培地成分、および光周期および培養密度を含む培養条件によって調節される。花誘導は、一部の種では、定型的な実験法である。植物は普通に自家受粉し、また、培養体を穏やかに振盪することによって、実験室で自己増殖を行うことができる。この方法によって、Lemna gibba(イボウキクサ)の同系繁殖系(inbred line)が開発された。自然突然変異が確認されており(Slovin and Cohen(1988)Plant Physiol.86,522)、明確に定められた特徴を備えた突然変異体の作成に、化学的突然変異誘発およびγ線突然変異誘発(EMSまたはNMUを使用)が使用されてきた。L.gibbaの外交配は単調であるが、管理された、手による受粉によって行うことができる。ウキクサのゲノムサイズは、0.25〜1.63pg DNA/2Cの間で変化し、染色体数は、20〜80の範囲であり、ウキクサ全体の平均は約40である(Landolt(1986)ウキクサのファミリーに関するバイオシステマティック調査:ウキクサ科モノグラフ研究(Biosystematic Investigation on the Family ofDuckweeds:The Family of Lemnaceae−A Monograph Study)Geobatanischen Institut ETH,Stiftung Rubel,Zurich)。倍数性レベルは、2〜12C.Id.の範囲であると推定される。ウキクサ内の遺伝的多様性は、二次生成物、アイソザイム、およびDNA配列を使用して調査研究されている(McClure and Alston(1966)Nature 4916:311;McClure and Alston(1966)Amer.J.Bot.53:849;Vasseur et al(1991)Pl.Syst.Evol.177:139(1991);Crawford and およびLandolt(1993)Syst.Bot.10:389)。
【0006】
ウキクサ植物またはウキクサノジュール培養は、アグロバクテリウム媒介遺伝子導入、弾道衝撃(ballistic bombardment)、またはエレクトロポレーションを含む多数の方法のいずれか一つによって、関心のあるヌクレオチド配列を含有する発現カセットを用いて効率よく形質転換することができる。関心のあるヌクレオチド配列および選択物質に対する耐性を与える遺伝子の両者でウキクサ細胞を形質転換し、続いて選択物質を含有する培地で形質転換細胞を培養することにより、安定なウキクサ形質転換体を単離することができる。Stompらに付与された米国特許第6,040,498号を参照されたい。
【0007】
ウキクサ遺伝子発現系は、多数の調査研究および商業用途に有用であろう中枢的な技術を提供する。全体として、植物分子生物学の研究については、酵母と同様の研究における利便性を備えて操作することができる分化した植物系は、単離された遺伝子の発生上および生理学的な役割を分析するための非常に速やかなシステムを提供する。価値あるポリペプチド類の商業生産については、ウキクサに基づく系は、既存の微生物培養系または細胞培養系に勝る多数の利点を有する。植物は、生物学的に活性な哺乳類ポリペプチド類の微生物細胞産生と関連した一つの重大な問題を克服して、哺乳類細胞に似た翻訳後プロセッシングを示し、また、植物系は、マルチサブユニットタンパク質を構築する能力(微生物系でしばしば欠けている能力である)を有することが、他の研究者により証明されている(Hiatt(1990)Nature 334:469)。組換えタンパク質の商業生産に必要なレベルへのウキクサバイオマスのスケールアップは、類似の哺乳類細胞のスケールアップより速く且つより費用効率が高く、また、他の推奨される植物産生系、例えば、大豆およびタバコと違って、ウキクサは、完全に封じられ(contained)、管理されたバイオマス産生容器内で成長させることができるため、このシステムを既存のタンパク質産生産業基盤に組み込むことは、より容易である。
【0008】
こうした特徴があるため、ウキクサは、組換えタンパク質を産生するための、効率のよい、植物に基づく系として開発する理想的な選択である。従って、本発明は、生物学的に活性なポリペプチド類を産生する手段としての、ウキクサ遺伝子発現系の効率を高める方法および組成物を提供する。
【0009】
[発明の概要]
本発明は、ウキクサを発現系として使用して、生物学的に活性な組換えポリペプチド類を発現し、および回収するための方法および組成物に関する。本発明の一つの態様は、ウキクサにおける生物学的に活性なポリペプチド類の発現レベルを強化し、その結果として、この系での、ポリペプチド収量を増加し、価値ある生物学的に活性なポリペプチド類の有用な量の産生を可能にする方法を提供する。本発明の別の態様では、遺伝子操作されたウキクサ植物体またはウキクサノジュール培養体からの、生物学的に活性なポリペプチド類の指令された分泌方法を開示する。発現されるポリペプチドが分泌されることにより、その回収が容易になり、且つウキクサ組織の機械的粉砕または酵素的溶解によって生じうる活性の損失が防止される。
【0010】
一つの実施形態では、本発明は、(a)ウキクサ培地内で、ウキクサ植物培養体またはウキクサノジュール培養体を培養するステップであって、上記ウキクサ植物培養体または上記ウキクサノジュール培養体が、生物学的に活性な組換えポリペプチドを発現するように安定に形質転換されており、また上記生物学的に活性な組換えポリペプチドが、このポリペプチドに関するコード配列と培地中へのポリペプチドの分泌を指令するシグナルペプチドに関する作動可能に連結されたコード配列とを含むヌクレオチド配列から発現されることを特徴とするステップと、(b)上記生物学的に活性なポリペプチドを、ウキクサ培養体から回収するステップとを含む、ウキクサ植物培養体またはウキクサノジュール培養体で、生物学的に活性な組換えポリペプチドを産生する方法を含む。この方法の幾つかの実施形態では、ヌクレオチド配列は、(a)上記ポリペプチドに関するコード配列におけるウキクサ優先コドンと、(b)上記シグナルペプチドに関するコード配列におけるウキクサ優先コドンと、(c)植物優先翻訳開始コンテクストヌクレオチド配列(plant-preferred translation initiation context nucleotide sequence)に隣接する(flanked)翻訳開始コドンと、(d)コード配列の上流に挿入された植物イントロンを含む、作動可能に連結されたヌクレオチド配列とからなる群から選択される少なくとも一つの特性を有する。この方法の幾つかの実施形態では、生物学的に活性な組換えポリペプチドがウキクサ培地中に分泌される。
【0011】
別の実施形態では、本発明は、(a)ウキクサ培地内でウキクサ植物培養体またはウキクサノジュール培養体を培養するステップであって、上記ウキクサ植物培養体または上記ウキクサノジュール培養体が、上記生物学的に活性な組換えポリペプチドを発現するように安定に形質転換されており、また上記生物学的に活性な組換えポリペプチドが、このポリペプチドに関するコード配列と、培地中へのポリペプチドの分泌を指令するシグナルペプチドに関する作動可能に連結されたコード配列とを含むヌクレオチド配列から発現されることを特徴とするステップと、(b)上記生物学的に活性なポリペプチドをウキクサ培地から回収するステップとを含む、ウキクサ植物培養体またはウキクサノジュール培養体において、生物学的に活性な組換えポリペプチドを分泌する方法を含む。この方法の幾つかの実施形態では、ヌクレオチド配列は、(a)上記ポリペプチドに関するコード配列におけるウキクサ優先コドンと、(b)上記シグナルペプチドに関するコード配列におけるウキクサ優先コドンと、(c)植物優先翻訳開始コンテクストヌクレオチド配列に隣接する翻訳開始コドンと、(d)コード配列の上流に挿入された植物イントロンを含む作動可能に連結されたヌクレオチド配列とからなる群から選択される少なくとも一つの特性を有する。この方法の幾つかの実施形態では、生物学的に活性な組換えポリペプチドがウキクサ培地中に分泌される。
【0012】
上記方法の幾つかの実施形態では、シグナルペプチドは、(a)ヒトα−2b−インターフェロンシグナル配列と、(b)シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)キチナーゼシグナル配列と、(c)コメα−アミラーゼシグナル配列と、(d)修飾された(modified)コメα−アミラーゼ配列と、(e)ウキクサシグナル配列と、(f)生物学的に活性な組換えポリペプチドに本来備わっているシグナル配列と、からなる群から選択される。この方法の一つの実施形態では、シグナルペプチドは、配列番号3に記載の配列を有するコメα−アミラーゼシグナルペプチドである。
【0013】
上記方法の幾つかの実施形態では、ウキクサ優先コドンはLemna優先コドン類である。さらなる実施形態では、ウキクサ優先コドンは、Lemna gibba優先コドン類またはLemna minor(コウキクサ)優先コドン類である。さらなる実施形態では、生物学的に活性な組換えポリペプチドに関するコード配列およびシグナルペプチドに関するコード配列から選択され少なくとも一つのコード配列が、70〜100%のLemna gibba優先コドン類またはLemna minor優先コドン類を含む。
【0014】
他の実施形態において、本発明は、(a)ウキクサ植物培養体またはウキクサノジュール培養体を培養するステップであって、上記ウキクサ植物培養体または上記ウキクサノジュール培養体が、上記生物学的に活性な組換えポリペプチドを発現するように安定に形質転換されており、また上記生物学的に活性な組換えポリペプチドが、ウキクサにおける発現強化のために修飾されているヌクレオチド配列によりコードされていることを特徴とするステップと、(b)上記生物学的に活性なポリペプチドを、上記ウキクサ植物培養体または上記ウキクサノジュール培養体から回収するステップとを含む生物学的に活性な組換えポリペプチドを産生する方法を含む。この方法の幾つかの実施形態では、ウキクサにおける発現強化のために修飾されたヌクレオチド配列は、(a)上記生物学的に活性な組換えポリペプチドに関するコード配列におけるウキクサ優先コドンと、(b)植物優先翻訳開始コンテクストヌクレオチド配列に隣接する翻訳開始コドンと、(c)このコード配列の上流に挿入された植物イントロンを含む、作動可能に連結されたヌクレオチド配列とからなる群から選択される、少なくとも一つの特性を有する。
【0015】
この方法の幾つかの実施形態では、ウキクサ優先コドンはLemna優先コドンである。さらなる実施形態では、ウキクサ優先コドンはLemna gibba優先コドンまたはLemna minor優先コドンである。さらなる実施形態では、コード配列は70〜100%のLemna gibba優先コドンまたはLemna minor優先コドンを含む。
【0016】
上記方法の幾つかの実施形態では、植物優先翻訳開始コンテクストヌクレオチド配列は、ヌクレオチド配列「ACC」または「ACA」からなり、上記コンテクストは、翻訳開始コドンの5’末端のすぐ隣に配置されている。
【0017】
上記方法の幾つかの実施形態では、上記植物イントロンを含む作動可能に連結されたヌクレオチド配列は、配列番号1に記載の配列である。
【0018】
任意の上記方法のうち、幾つかの実施形態では、ウキクサ葉状体培養体またはウキクサノジュール培養体は、生物学的に活性な多量体タンパク質のサブユニットの全てを発現し、構築する。さらなる実施形態では、多量体タンパク質は、コラーゲン、ヘモグロビン、P450オキシダーゼ、およびモノクローナル抗体からなる群から選択される。
【0019】
任意の上記方法のうち、幾つかの実施形態では、生物学的に活性な組換えポリペプチドは哺乳類ポリペプチドである。さらなる実施形態では、哺乳類ポリペプチドは治療用ポリペプチドである。幾つかの実施形態では、哺乳類ポリペプチドは、インスリン、成長ホルモン、α−インターフェロン、β−インターフェロン、β−グルコセレブロシダーゼ、β−グルクロニダーゼ、網膜芽腫タンパク質、p53タンパク質、アンジオスタチン、レプチン、モノクローナル抗体、サイトカイン類、受容体類、ヒトワクチン類、動物ワクチン類、植物ポリペプチド類、および血清アルブミンからなる群から選択される。
【0020】
任意の上記方法のうち、幾つかの実施形態では、生物学的に活性な組換えポリペプチドはα−2b−インターフェロンである。さらなる実施形態では、α−2b−インターフェロンはヒトα−2b−インターフェロンである。さらなる実施形態では、ヒトα−2bインターフェロンは、配列番号4または配列番号5に記載のアミノ酸配列を有する。
【0021】
任意の上記方法のうち、幾つかの実施形態では、生物学的に活性な組換えポリペプチドは、α−2b−インターフェロンの生物学的に活性な変異形であり、上記生物学的に活性な変異形は、配列番号4または配列番号5と少なくとも80%の配列同一性を有する。
【0022】
任意の上記方法のうち、幾つかの実施形態では、生物学的に活性な組換えポリペプチドは酵素である。
【0023】
他の実施形態において、本発明は、上記方法のいずれかの、安定に形質転換されたウキクサ植物培養体またはウキクサノジュール培養体を含む。さらなる実施形態では、安定に形質転換されたウキクサ植物培養体またはウキクサノジュール培養体は、Spirodela属、Wolffia属、Wolfiella属、およびLemna属からなる群から選択される。さらなる実施形態では、安定に形質転換されたウキクサ植物培養体またはウキクサノジュール培養体は、Lemna minor、Lemna miniscula(ヒメウキクサ)、Lemna aequinoctialis(ナンゴクアオウキクサ)、およびLemna gibbaからなる群から選択される。
【0024】
他の実施形態において、本発明は、(a)配列番号4に記載のアミノ酸配列、(b)配列番号5に記載のアミノ酸配列、(c)配列番号4に示すアミノ酸配列の、生物学的に活性な変異形のアミノ酸配列であって、該生物学的に活性な変異形が、配列番号4に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%の配列同一性を有するアミノ酸配列、および(d)配列番号5に示すアミノ酸配列の生物学的に活性な変異形のアミノ酸配列であって、該生物学的に活性な変異形が、配列番号5に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%の配列同一性を有するアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含み、このヌクレオチド配列がウキクサ優先コドンを含むことを特徴とする核酸分子を含む。さらなる実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号2に記載のヌクレオチド配列である。
【0025】
他の実施形態において、本発明は、(a)配列番号6に記載のコメα−アミラーゼシグナルペプチドアミノ酸配列、および(b)配列番号7に記載の、修飾されたコメアミラーゼシグナルペプチドアミノ酸配列からなる群から選択されるシグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列を含み、このヌクレオチド配列がウキクサ優先コドンを含むことを特徴とする核酸分子を含む。さらなる実施形態では、ヌクレオチド配列は配列番号3に記載のヌクレオチド配列である。
【0026】
他の実施形態において、本発明は、配列番号3に示す、シグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列と、配列番号5に示す成熟ヒトα−2b−インターフェロンをコードするヌクレオチド配列とを含む、ウキクサでヒトα−2b−インターフェロンを発現および分泌させるための核酸分子を含む。シグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列および上記成熟ヒトα−2b−インターフェロンをコードするヌクレオチド配列は作動可能に連結されている。さらなる実施形態では、核酸分子は、配列番号1に示すイントロン包含ヌクレオチド配列をさらに含み、上記イントロン包含配列は、上記シグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列および上記成熟ヒトα−2b−インターフェロンをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結されている。
【0027】
これらの態様および本発明の他の態様を、以下に示す本発明の説明に、より詳細に開示する。
[発明の詳細な説明]
【0028】
本発明では、遺伝子操作されたウキクサ植物体およびウキクサノジュール培養体からの、生物学的に活性なポリペプチド類の発現および回収を改良する方法を開示する。これらの方法は以下のステップを含む。
【0029】
(1)少なくとも一つの生物学的に活性なポリペプチドを発現するように安定に形質転換されたウキクサ植物体またはウキクサノジュール培養体を培養するステップであって、このポリペプチドがウキクサにおける発現増強のために修飾されたヌクレオチド配列によってコードされていることを特徴とするステップと、生物学的に活性な該ポリペプチドをウキクサ培養体から回収するステップ。本発明に包含されるヌクレオチド配列に対する修飾としては、ウキクサ優先コドンをコード配列に使用すること、植物優先翻訳開始コンテクストヌクレオチド配列を翻訳開始コドンに使用すること、およびこのポリペプチドをコードする配列の上流に植物イントロン配列を含むヌクレオチド配列を挿入することなどがあるが、それらに限定されない。
【0030】
(2)ポリペプチドの培地中への分泌を指令するシグナル配列を含む少なくとも一つの生物学的に活性なポリペプチドを発現する、安定に形質転換されたウキクサ植物またはウキクサノジュール培養体を培養し、続いて該生物学的に活性なポリペプチドを培地から回収するステップ。この方法の一つの実施形態では、ウキクサにおける発現増強のために、生物学的に活性なポリペプチドをコードするヌクレオチド配列が修飾されている。あるいは、別の実施形態では、ウキクサにおける発現増強のために、シグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列が修飾される。一つの実施形態では、ウキクサにおける発現増強のために、生物学的に活性なポリペプチドとシグナルペプチドとの両者をコードするヌクレオチド配列が修飾される。
【0031】
別の態様として、本発明は、上記方法による生物学的に活性なポリペプチド類を産生する形質転換されたウキクサ植物体またはウキクサノジュール培養体を含む。
【0032】
別の態様として、本発明は、生物学的に活性なヒトα−2b−インターフェロンをウキクサで産生する方法および核酸配列を開示する。
【0033】
[定義]
「ポリペプチド」は、単量体または多量体のタンパク質またはペプチドを指す。
【0034】
「生物学的に活性なポリペプチド」は、通常、生物学的関連でポリペプチドに由来すると考えられる一つ以上の生物学的機能または一連の活性を実施する能力を有するポリペプチドを指す。用語、「生物学的に活性な」は、タンパク質が工業的プロセスまたは化学的プロセスでの、または治療薬、ワクチン、または診断用試薬としての使用に関心のある十分な活性を有する限り、自然のタンパク質と比較して生物学的活性が変化している(例えば抑制または強化されている)ポリペプチド類を含むことを、当業者は理解するであろう。生物学的活性は、当該技術分野で利用できるいずれかの方法で決定することができる。例えばインターフェロンファミリーメンバーのタンパク質の生物学的活性は、インターフェロン特異的抗体との相互作用、ウイルス感染に対する耐性を高める能力、またはインターフェロン制御遺伝子標的の転写を調節する能力を含む、多数の方法で決定することができる。
【0035】
本明細書で使用される「関心のあるヌクレオチド配列」は、ウキクサにおける発現を企図したポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を指す。例えば本発明に従って形質転換されたウキクサを使用して、治療用ポリペプチド類(例えば獣医用または医療用)または免疫原性ポリペプチド類(例えばワクチン接種用)をコードするヌクレオチド配列を発現させることができる。
【0036】
用語「発現」または「産生」は、遺伝子産物の転写、翻訳、およびアセンブリを含む、遺伝子産物の生合成を指す。
【0037】
用語「ウキクサ」は、ウキクサ科のメンバーを指す。この科は、現在、以下の通りに4属、34種のウキクサに分類されている。
Lemna属(L.aequinoctialis、L.disperma、L.ecuadoriensis、L.gibba、L.japonica、L.minor、L.miniscula、L.obscura、L.perpusilla、L.tenera、L.trisulca、L.turionifera、L.valdiviana);Spirodela属(S.intermedia、S.polyrrhiza、S.punctata);Wolffia属(Wa.angusta、Wa.arrhiza、Wa.australina、Wa.borealis、Wa.brasiliensis、Wa.columbiana、Wa.elongata、Wa.globosa、Wa.microscopica、Wa.neglecta)およびWolfiella属(Wl.caudata、Wl.denticulata、Wl.gladiata、Wl.hyalina、Wl.lingulata、Wl.repunda、Wl.rotunda、およびWl.neotropica)。ウキクサの他の属または種も、もし存在すれば、本発明の態様である。Lemna種は、Landolt (1986) Biosystematic Investigation on the Family of Duckweeds:The family of Lemnaceae−A Monograph Study Geobatanischen Institut ETH, Stiftung Rubel, Zurichに記載の分類表を使用して、分類することができる。
【0038】
本明細書で使用される用語「ウキクサノジュール培養体」は、細胞の少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、90%、95%、90%、95%、または100%が分化した細胞であるウキクサ細胞を含む培養体を指す。本明細書で使用される「分化した細胞」は、未分化の細胞または他の組織型において見られる細胞と区別する少なくとも一つの表現型の特徴(例えば独特の細胞形態またはマーカー核酸またはタンパク質の発現)を有する細胞である。本明細書に記載のウキクサノジュール培養体の分化した細胞は、近接する細胞壁にて融合した相互接合した細胞のタイル状の平滑面を形成し、組織全体にわたって散在する葉状体原基に組織化し始めたノジュールを有する。ノジュール培養の組織の表面は、原形質連絡(plasmadesmata)を介して互いに接合する表皮の細胞を有する。
【0039】
本明細書で使用される「ウキクサ優先コドン」は、ウキクサにおけるコドン使用頻度が17%より大きいコドンを指す。
【0040】
本明細書で使用される「Lemna優先コドン」は、Lemna属におけるコドン使用頻度が17%より大きいコドンを指す。
【0041】
本明細書で使用される「Lemna gibba優先コドン」は、Lemna gibbaにおけるコドン使用頻度が17%より大きいコドンを指し、Lemna gibbaにおけるコドン使用頻度は、Codn Usage Database(GenBank Release113,0;http://www.kazusa.or.jp/codon/cgibin/showcodon.cgi?species=Lemna+gibba+[gbpln])から入手した。
【0042】
「翻訳開始コドン」は、関心のあるヌクレオチド配列から転写されたmRNAの翻訳を開始するコドンを指す。
【0043】
本明細書で使用される「翻訳開始コンテクストヌクレオチド配列」は、翻訳開始コドンの5’に接した3つのヌクレオチドを指す。
【0044】
本明細書で使用される「分泌」は、宿主植物細胞の原形質膜および細胞壁の両者を横切るポリペプチドの移行を指す。
【0045】
ヌクレオチド配列に関連して本明細書で使用される「作動可能に連結された」は、互いに機能的関係に配置されている多数のヌクレオチド配列を指す。一般に、作動可能に連結されたDNA配列は近接しており、また2つのタンパク質コード領域が接合することが必要な場合にはリーディングフレーム内にある。
【0046】
[A.発現カセット]
本発明によれば、安定に形質転換されたウキクサは、発現カセット内に含まれる関心のあるヌクレオチド配列を用いた形質転換によって得られる。発現カセットは、関心のある核酸または遺伝子に連結された転写開始領域を含む。このような発現カセットは、調節領域の転写制御下に置かれる関心のある遺伝子(例えば関心のある一つの遺伝子、関心のある二つの遺伝子、等)を挿入するための複数の制限部位を具備する。この発現カセットは、ただ一つの関心のある遺伝子をコードしてもよい。本発明のある特定の実施形態では、導入される核酸は2つ以上の発現カセットを含有し、それぞれが少なくとも一つの関心のある遺伝子をコードする。
【0047】
転写開始領域、(例えばプロモーター)は、天然のままであってもよく、宿主と相同であっても外来または非相同であってもよく、または天然の配列であっても合成の配列であってもよい。外来とは、転写開始領域が導入される野生型宿主に転写開始領域が存在しないことを意図する。本明細書で使用されるキメラ遺伝子は、コード配列に非相同である転写開始領域に作動可能に連結したコード配列を含む。
【0048】
当該技術分野で既知の適するプロモーターを、本発明に従って使用することができる(細菌プロモーター、酵母プロモーター、真菌プロモーター、昆虫プロモーター、哺乳類、および植物プロモーターを含む)。例えばウキクサプロモーターを含む植物プロモーターを使用してもよい。代表的なプロモーターとしては、カリフラワー・モザイクウイルス35Sプロモーター、オパイン合成酵素プロモーター(例えばnos、mas、ocs、等)、ユビキチンプロモーター、アクチンプロモーター、リブロースビスフォスフェート(RubP)カルボキシラーゼ小サブユニットプロモーター、およびアルコールデヒドロゲナーゼプロモーターなどがあるが、その限りではない。ウキクサRubPカルボキシラーゼ小サブユニットプロモーターは、当該技術分野で既知である(Silverthorne et al.(1990)Plant Mol.Biol.15:49)。植物、好ましくはウキクサを感染させるウイルス由来の他のプロモーターも適する。サトイモモザイクウイルス、クロレラウイルス(例えばクロレラウイルスアデニンメチルトランスフェラーゼプロモーター;Mitra et al.,(1994)Plant Mol.Biol.26:85)、トマト黄化壊疽ウイルス、タバコ茎壊疽ウイルス、タバコ壊死ウイルス、タバコ輪点ウイルス、トマト輪点ウイルス、キウリモザイクウイルス、落花生幹ウイルス(peanut stump virus)、アルファルファモザイクウイルス、サトウキビバシリフォーム(sugarcane baciliform)バドナウイルス等から単離されたプロモーターなどがあるが、その限りではない。
【0049】
最後に、所望のレベルの制御を与えるようにプロモーターを選択することができる。例えば場合によっては、構成的発現を与えるプロモーター(例えば、アグロバクテリウムツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)由来のマンノピンシンターゼプロモーター)を使用することが有利なこともある。あるいは、他の状況では、特定の環境的刺激に応答して活性化されるプロモーター(例えば熱ショック遺伝子プロモーター、感想誘導性遺伝子プロモーター、病原体誘導性遺伝子プロモーター、創傷誘導性遺伝子プロモーター、および明/暗誘導性遺伝子プロモーター)または植物成長制御因子(例えばアブシジン酸、オーキシン類、サイトカイニン類、およびジベレリン酸によって誘導される遺伝子由来のプロモーター)を使用することが有利であろう。さらなる代替として、組織特異的な発現を与えるプロモーター(例えば根、葉、および花特異的プロモーター)を選択することができる。
【0050】
所与のプロモーターの総体的な強さは、シス作動性ヌクレオチド配列の組合せおよび上流活性化配列等の空間的組織化による影響を受ける。例えばアグロバクテリウムツメファシエンス・オクトピンシンターゼ遺伝子に由来する活性化ヌクレオチド配列は、アグロバクテリウムツメファシエンス・マンノピンシンターゼプロモーターからの転写を増強することができる(Gelvinらに付与された米国特許第5,955,646号参照)。本発明では、発現カセットは、関心のあるヌクレオチド配列の発現を増強するために、プロモーター配列の上流に挿入された活性化ヌクレオチド配列を含有することができる。一つの実施形態では、発現カセットは、アグロバクテリウムツメファシエンス・マンノピンシンターゼ遺伝子由来のプロモーターに作動可能に連結されたアグロバクテリウムツメファシエンス・オクトピンシンターゼ遺伝子由来の3つの上流活性化配列を含む(米国特許第5,955,646号(引用することにより本明細書の一部をなすものとする)参照)。
【0051】
本転写カセットは、転写の5’−3’方向に、転写および翻訳開始領域、関心のあるヌクレオチド配列、および植物で機能する転写および翻訳終止領域を含む。当該技術分野で既知の任意の適する終止配列を、本発明に従って使用することが可能である。この終止領域は、転写開始領域を含む自然のものであってもよく、関心のあるヌクレオチド配列を含む自然のものであってもよく、または別のソースに由来してもよい。便利な終止領域は、アグロバクテリウムツメファシエンスのTi−プラスミドから入手でき、例えば、オクトピン・シンセターゼ終止領域およびノパリン・シンセターゼ終止領域等である。Guerineau et al.(1991)Mol. Gen. Genet.262:141;Proudfoot(1991)Cell 64:671;Sanfacon et al.(1991)Genes Dev.5:141;Mogen et al.(1990)Plant Cell 2:1261;Munroe et al.(1990)Gene 91:151;Ballas et al.(1989)Nucleic Acids Res.17:7891;Joshi et al.(1987)Nucleic Acids Res.15:9627も参照されたい。さらなる代表的な終止配列は、エンドウRubPカルボキシラーゼ小サブユニット終止配列およびカリフラワー・モザイクウイルス35S終止配列である。他の適する終止配列は、当業者に明白になるであろう。
【0052】
あるいは、当該技術分野で既知の、任意の他の適する発現カセット上に、関心のある遺伝子を提供してもよい。
【0053】
本発現カセットは、導入され、形質転換植物で発現される一つより多い遺伝子または核酸配列を含んでもよい。従って、各核酸配列は、5’制御配列および3’制御配列に作動可能に連結される。あるいは、多数の発現カセットを提供してもよい。
【0054】
一般に、本発現カセットは、形質転換された細胞または組織を選択するための選択可能マーカー遺伝子を含む。選択可能マーカー遺伝子としては、抗生物質耐性をコードする遺伝子、例えば、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼII(NEO)およびヒグロマイシンホスホトランスフェラーゼ(HPT)をコードする遺伝子、ならびに除草性化合物に対する耐性を与える遺伝子などがある。除草剤耐性遺伝子は、一般に、除草剤に非感受性の修飾された標的タンパク質、または除草剤が作用する前に、植物において除草剤を分解または解毒する酵素をコードする。DeBlock et al.(1987)EMBO J.6:2513;DeBlocketal.(1989)Plant Physiol.91:691;Fromm et al.(1990)BioTechnology 8:833;Gordon−Kamm et al.(1990)Plant Cell 2:603を参照されたい。例えば、グリフォセート除草剤またはスルホニル尿素除草剤に対する耐性は、突然変異体標的酵素、5−エノールピルビルシキメート−3−ホスフェートシンターゼ(EPSPS)およびアセトラクテートシンターゼ(ALS)をコードする遺伝子を使用して得られている。グルホシネートアンモニウム、ボロモキシニル(boromoxynil)、および2,4−ジクロロフェンオキシアセテート(2,4−D)に対する耐性は、それぞれの除草剤を解毒する、ホスフィノスルシンアセチルトランスフェラーゼ、ニトリラーゼ、または2,4ジクロロフェンオキシアセテートモノオキシゲナーゼをコードする細菌遺伝子を使用することによって得られている。
【0055】
本発明のために、選択可能マーカー遺伝子としては、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼII、(Fraley et al.(1986)CRC Critical Reviews inPlant Science 4:1);シアナミドヒドラターゼ(Maier−Greiner et al.(1991)Proc.Natl.Acad Sci.USA 88:4250);アスパラギン酸キナーゼ;ジヒドロジピコリネートシンターゼ(Perl et al.(1993)BioTechnology11:715);bar遺伝子(Toki et al.(1992)Plant Physiol.100:1503;Meagher et al.(1996)Crop Sci.36:1367);トリプトファンデカルボキシラーゼ(Goddijn et al.(1993)Plant Mol.Biol.22:907);ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ(NEO;Southern et al.(1982)J Mol.Appl.Gen.1:327);ヒグロマイシンホスホトランスフェラーゼ(HPTまたはHYG;Shimizu et al.(1986)Mol.Cell.Biol.6:1074);ジヒドロフォレートレダクターゼ(DHFR;Kwok et al.(1986)Proc.Natl.Acad Sci.USA 83:4552);ホスフィノスルシンアセチルトランスフェラーゼ(DeBlock et al.(1987)EMBO J.6:2513);2,2−ジクロロプロピオン酸デハロゲナーゼ(Buchanan−Wollatron et al.(1989)J.Cell.Biochem.13D:330);アセトヒドロキシ酸シンターゼ(Andersonらに付与された米国特許第4,761,373号;Haughn et al.(1988)Mol.Gen.Genet.221:266);5−エノールピルビルシキメート−ホスフェートシンターゼ(aroA;Comai et al.(1985)Nature 317:741);ハロアリールニトリラーゼ(Stalkerらに付与されたWO 87/04181号);アセチルコエンザイムAカルボキシラーゼ(Parker et al.(1990)Plant Physiol.92:1220);ジヒドロプテロエイトシンターゼ(sulI;Guerineau et al.(1990)Plant Mol.Biol.15:127);および32kDaの光化学系IIポリペプチド(psbA;Hirschberg et al.(1983)Science 222:1346(1983)をコードする遺伝子などがあるが、その限りではない。
【0056】
ゲンタマイシン(例えば、aacC1,Wohlleben et al.(1989)Mol.Gen.Genet.217:202−208);クロラムフェニコール(Herrera−Estrella et al.(1983)EMBO J.2:987);メトトレキセート(Herrera−Estrella et al.(1983)Nature 303:209;Meijer et al.(1991)Plant Mol.Biol.16:807);ヒグロマイシン(Waldron et al.(1985)Plant Mol.Biol.5:103;Zhijian et al.(1995)Plnat Science 108:219;Meijer et al.(1991)Plant Mol.Biol.16:807);ストレプトマイシン(Jones et al.(1987)Mol.Gen.Genet.210:86);スペクチノマイシン(Bretagne−Sagnard et al.(1996)Transgenic Res.5:131);ブレオマイシン(Hille et al.(1986)Plant Mol.Biol.7:171);スルホンアミド(Guerineau et al.(1990)Plant Mol.Bio.15:127);ブロモキシニル(Stalker et al.(1988)Science 242:419);2,4−D(Streber et al.(1989)BioTechnology 7:811);ホスフィノスルシン(DeBlock et al.(1987)EMBO J.6:2513);スペクチノマイシン(Bretagne−Sagnard and Chupeau,Transgenic Research 5:131)に対する耐性をコードする遺伝子も含まれる。
【0057】
bar遺伝子は、ホスフィノスルシン(PPT)またはビアラホス等のグルホシネート型除草剤に対する除草剤耐性を与える。上記の通り、ベクター構築物に使用し得る他の選択可能なマーカーとしては、やはりビアラホス耐性およびホスフィノスルシン耐性に関するpat遺伝子、イミダゾリノン耐性に関するALS遺伝子、ヒグロマイシン耐性に関するHPHまたはHYG遺伝子、グリホサート耐性に関するEPSPシンターゼ遺伝子、Hc毒素に対する耐性に関するHml遺伝子、および日常的に使用され、且つ当業者に既知の他の選択的作用物などがあるが、その限りではない。Yarranton(1992)Curr.Opin.Biotech.3:506;Chistopherson et al.(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:6314;Yao et al.(1992)Cell 71:63;Reznikoff(1992)Mol.Microbiol.6:2419;Barkley et al.(1980)The Operon177−220;Hu et al.(1987)Cell 48:555;Brown et al.(1987)Cell 49:603;Figge et al.(1988)Cell 52:713;Deuschle et al.(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:5400;Fuerst et al.(1989)Proc.Natl.Acad,Sci.USA 86:2549;Deuschle et al.(1990)Science 248:480;Labow et al.(1990)Mol.Cell.Biol.10:3343;Zambretti et al.(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:3952;Baim.et al.(1991)Proc.Natl.Acad Sci.USA 88:5072;Wyborski et al.(1991)Nuc.Acids Res.19:4647;Hillenand−Wissman(1989)Topics in Mol.and Struc.Biol.10:143;Degenkolb et al.(1991)Antimicrob.AgentsChemother.35:1591;Kleinschnidt et al.(1988)Biochemistry 27:1094;Gatz et al.(1992)Plant J.2:397;Gossen et al.(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:5547;Oliva et al.(1992)Antimicrob.Agents Chemother.36:913;Hlavka et al.(1985)Handbook of Experimental Pharmacology 78;およびGill et al.(1988)Nature 334:721を参照されたい。このような開示内容を、引用することにより本明細書の一部をなすものとする。
【0058】
[B.ウキクサにおける発現強化のためのヌクレオチド配列の修飾]
本発明は、発現されるヌクレオチド配列の修飾を実現し、ウキクサにおけるその発現を強化する。このような一つの修飾は、ウキクサ優先コドンを使用した、関心のあるヌクレオチド配列の合成である。この方法は、植物優先コドンを含むヌクレオチド配列を合成する技術分野で利用できる。例えば、米国特許第5,380,831号および第5,436,391号;Perlak et al.(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 15:3324;Iannacome et al.(1997)Plant Mol.Biol.34:485;およびMurray et al.,(1989)Nucleic Acids.Res.17:477(引用することにより本明細書の一部をなすものとする)を参照されたい。好ましいコドンは、ウキクサで発現されるタンパク質中の最高頻度のコドンから決定される。例えば、Lemna gibbaのコドン使用頻度は、ウェブページ:http://www.kazusa.or.jp/codon/cgi−bin/showcodon.cgi?species=Lemna+gibba+[gbpln]にあり、Lemna minorのコドン使用頻度は、ウェブページhttp://www.kazusa.or.jp/codon/cgibin/showcodon.cgi?species=Lemna+minor+[gbpln]にある。ウキクサおよび他の単子葉植物における発現に合わせて最適化されている遺伝子を、本発明の方法で使用できることが確認されている。例えば、EP 0 359 472号、EP 0 385 962号、WO 91/16432号;Perlak et al.(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:3324;Iannacome et al.(1997)Plant Mol.Biol.34:485;およびMurray et al.(1989)Nuc.AcidsRes.17:477等(引用することにより本明細書の一部をなすものとする)を参照されたい。さらに、遺伝子配列の全部または任意の部分を最適化することが可能であり、または合成の配列であってもよいことが確認されている。換言すれば、完全に最適化された、または部分的に最適化された配列も使用することが可能である。例えば、コドンの40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、87%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%が、ウキクサ優先コドンであってもよい。一つの実施形態では、コドンの90〜96%がウキクサ優先コドンである。関心のあるヌクレオチド配列のコード配列は、少なくとも17%の頻度でLemna gibbaに使用されるコドンを含む。一つの実施形態では、修飾されたヌクレオチド配列は、配列番号2に示すヌクレオチド配列をコードするヒトα−2B−インターフェロンであり、93%のウキクサ優先コドンを含有する。
【0059】
他の修飾を、関心のあるヌクレオチド配列に実施して、ウキクサにおけるその発現を強化することもできる。こうした修飾としては、擬似ポリアデニル化シグナル、エキソンイントロンスプライシング部位シグナル、トランスポゾン様反復をコードする配列、および他のこのような十分に特性決定された遺伝子発現に有害な可能性がある配列の除去などがあるが、その限りではない。この配列のGC含量を、宿主細胞で発現される既知の遺伝子を参照することによって算出される、所与の細胞宿主の平均レベルに調整することができる。可能な場合には、予測されるヘアピン二次mRNA構造を避けるようにこの配列を修飾してもよい。
【0060】
動物と植物では、翻訳開始コドンの最適な翻訳開始コンテクストヌクレオチド配列に既知の差があり、こうした翻訳開始コンテクストヌクレオチド配列の組成は、翻訳開始の効率に影響する可能性がある。例えば、Lukaszewicz et al.(2000)Plant Science154:89−98;およびJoshi et al(1997);Plant Mol Biol.35:993−1001を参照されたい。本発明では、関心のあるヌクレオチド配列の翻訳開始コドンの翻訳開始コンテクストヌクレオチド配列を修飾して、ウキクサでの発現を強化することが可能である。一つの実施形態では、関心のあるヌクレオチド配列の翻訳開始コドンのすぐ上流の3ヌクレオチドが「ACC」であるように、ヌクレオチド配列が修飾される。第2の実施形態では、こうしたヌクレオチドは「ACA」である。
【0061】
5’リーダー配列を使用することによって、ウキクサにおける導入遺伝子の発現を強化することもできる。このようなリーダー配列は、翻訳を強化するように作用することができる。翻訳リーダーは当該技術分野で既知であり、また、ピコルナウイルスリーダー、例えば、EMCVリーダー(脳脊髄心筋炎5’非コード領域;Elroy−Stein et al.(1989)Proc.Natl.Acad.Sci USA 86:6126);ポチウイルスリーダー、例えば、TEVリーダー(タバコ腐食ウイルス(Tabacco Etch Virus);Allison et al.(1986)Virology 154:9);ヒト免疫グロブリン重鎖結合タンパク質(BiP;Macajak and Sarnow(1991)Nature 353:90);アルファルファモザイクウイルスのコートタンパク質mRNAからの未翻訳リーダー(AMV RNA 4;Jobling and Gehrke(1987)Nature 325:622);タバコモザイクウイルスリーダー(TMV;Gallie(1989)Molecular Biology of RNA,23:56);ジャガイモ腐食ウイルスリーダー(potato etch virus leader)(Tomashevskaya et al.(1993)J.Gen.Virol.74:2717−2724);Fed−15’未翻訳領域(Dickey(1992)EMBO J.11:2311−2317);RbcS 5’未翻訳領域(Silverthorne et al.(1990)J.Plant.Mol.Biol.15:49−58);およびトウモロコシ黄化斑紋ウイルスリーダー(MCMV;Lommel et al.(1991)Virology 81:382)などがあるが、その限りではない。Della−Cioppa et al.(1987)Plant Physiology 84:965も参照されたい。トウモロコシデヒドロゲナーゼ1遺伝子、トウゴマカタラーゼ遺伝子、またはArabidopsis トリプトファン経路遺伝子PAT1からのイントロン配列を包含する、植物イントロン配列を含むリーダー配列も、植物における翻訳効率を高めることが示されている(Callis et al.(1987)Genes Dev.1:1183−1200;Mascarenhas et al.(1990)Plant Mol.Biol.15:913−920)。本発明の一つの実施形態では、配列番号1に記載の、トウモロコシアルコールデヒドロゲナーゼ1遺伝子(GenBank寄託番号X04049)のヌクレオチド1222〜1775に対応するヌクレオチド配列を、関心のあるヌクレオチド配列の上流に挿入して、その翻訳効率を高める。
【0062】
任意の単一の修飾または組合せることのできる複数の修飾を含む上記のウキクサ発現強化ヌクレオチド配列修飾のいずれかを、本発明で使用できることは確認されている。本明細書で使用される語句「ウキクサにおける発現強化のための修飾」は、こうした修飾の任意の一つまたは任意の組合せを含有するヌクレオチド配列を指す。
【0063】
[C.シグナルペプチド]
分泌タンパク質は、通常、内質細網(ER)の膜上の受容体タンパク質と相互に作用し、細胞から分泌させるために、成長中のポリペプチド鎖が膜を横切って、内質細網内に移行するように指令する、「シグナルペプチド」を含有する前駆体ポリペプチド類から翻訳される。このシグナルペプチドは、しばしば前駆体ポリペプチドから切断されて、シグナルペプチドを欠く「成熟」ポリペプチドを生じる。本発明の実施形態では、培地中へのポリペプチドの分泌を指令するシグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列と作動可能に連結しているヌクレオチド配列から、生物学的に活性なポリペプチドがウキクサで発現される。内質細網へのタンパク質移行(細胞外部に分泌させるため)を目的とする植物シグナルペプチドは、当該技術分野で既知である。例えば、Leeらに付与された米国特許第6,020,169号を参照されたい。本発明では、ERへの標的ポリペプチド発現に、任意の植物シグナルペプチドを使用することができる。幾つかの実施形態では、このシグナルペプチドは、Arabidopsis塩基性エンドキチナーゼシグナルペプチド(配列番号8;NCBIタンパク質寄託番号BAA82823のアミノ酸14〜34)、エクステンシンシグナルペプチド(Stiefel et al.(1990)Plant Cell 2:785−793)、コメα−アミラーゼシグナルペプチド(配列番号6;NCBIタンパク質寄託番号AAA33885のアミノ酸1〜31)、または修飾コメα−アミラーゼシグナル配列(配列番号7)である。別の実施形態では、シグナルペプチドは、分泌されるウキクサタンパク質のシグナルペプチドに相当する。
【0064】
あるいは、遺伝子操作されたウキクサで発現される組換えポリペプチド類を分泌させるために、哺乳類シグナルペプチドを使用することができる。植物細胞は、内質細網を標的とする哺乳類シグナルペプチドを認識し、これらのシグナルペプチドは、原形質膜を通過するばかりでなく植物細胞壁も通過するポリペプチド類の分泌を指令できることが証明されている。Hiattらに付与された米国特許第5,202,422号および第5,639,947号を参照されたい。本発明の一つの実施形態では、ポリペプチド分泌を目的とする哺乳類シグナルペプチドは、ヒトα−2b−インターフェロンシグナルペプチド(NCBIタンパク質寄託番号AAB59402および配列番号4のアミノ酸1〜23)である。
【0065】
一つの実施形態では、ウキクサにおける発現増強のために、上記セクションBに開示されている、関心のあるヌクレオチド配列に対するいずれかの修飾または修飾の組合せを使用して、シグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列を修飾する。別の実施形態では、シグナルペプチドは、配列番号3で記載されている修飾されたヌクレオチド配列によってコードされるコメα−アミラーゼであり、およそ93%のウキクサ優先コドンを含有する。
【0066】
分泌される生物学的に活性なポリペプチドは、当該技術分野で既知の従来の方法で培地から収穫し、クロマトグラフィ、電気泳動、透析、溶剤溶剤抽出等で精製することができる。
【0067】
[D.形質転換されたウキクサ植物体およびウキクサノジュール培養体]
本発明で使用される安定に形質転換されたウキクサは、当該技術分野で既知の任意の方法で得ることができる。一つの実施形態では、安定に形質転換されたウキクサは、Stompらに付与された米国特許第6,040,498号(引用することにより本明細書の一部をなすものとする)に開示されている遺伝子導入方法の一つによって得られる。こうした方法としては、関心のあるヌクレオチド配列を含む核酸で被覆された微粒子銃を用いた弾道衝撃による遺伝子導入、エレクトロポレーションによる遺伝子導入、および関心のあるヌクレオチド配列を含むベクターを含むアグロバクテリウムが媒介する遺伝子導入などがある。一つの実施形態では、安定に形質転換されたウキクサは、Stompらに付与された米国特許第6,040,498号に開示されているアグロバクテリウム媒介方法のいずれか一つによって得られる。使用されるグロバクテリウムは、アグロバクテリウムツメファシエンスまたはアグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)である。
【0068】
こうした方法で使用される安定に形質転換されたウキクサ植物が、正常な形態を示し、且つ有性生殖で繁殖可能なことは好ましい。好ましくは、本発明の形質転換植物は、導入された核酸のコピーを一つ含み、導入された核酸は、顕著な再配列を中に持たない。導入された核酸が低コピー数(すなわち、5コピー以下、あるいは、3コピー以下、さらなる代替として、形質転換細胞当たり3コピー未満の核酸)で存在するウキクサ植物もやはり好ましい。
【0069】
安定に形質転換されたウキクサは、生物学的に活性なタンパク質ホルモン、成長因子、またはサイトカイン、インスリン、または成長ホルモン(特に、ヒト成長ホルモン)を発現する。あるいは、このウキクサは生物学的に活性なβ−グルクロニダーゼを発現する。このウキクサは、生物学的に活性なα−2b−インターフェロン、例えばヒトα−2b−インターフェロン前駆体(NCBIタンパク質寄託番号AAB59402;配列番号4で記載)または成熟ヒトα−2b−インターフェロン(NCBIタンパク質寄託番号AAB9402のアミノ酸24〜188;配列番号5で記載)またはその生物学的に活性な変異形を発現する。
【0070】
ヒトα−2b−インターフェロンの「生物学的に活性な変異形」は、一つ以上のアミノ酸の、欠失(いわゆるトランケーション)または自然のタンパク質のN末端および/またはC末端への付加、自然のタンパク質の一つ以上の部位における一つ以上のアミノ酸の欠失または付加、または自然のタンパク質の一つ以上の部位における一つ以上のアミノ酸の置換によって、自然のポリペプチドから誘導されるポリペプチドを意図する。本発明に含まれる生物学的に活性な変異形α−2b−インターフェロンポリペプチド類は、生物学的に活性である。すなわち、ウイルス感染に対する耐性を高めることができる能力、またはα−2b−インターフェロン−制御遺伝子標的の転写を調整することができる能力を含む自然のα−2b−インターフェロンの所望の生物学的活性を持ちつづける。このような生物学的に活性な変異形は、例えば、遺伝的多形またはヒトの操作に起因することがある。本発明の自然のα−2b−インターフェロンタンパク質の生物学的に活性な変異形は、配列番号4または配列番号5で示すアミノ酸配列に対して、少なくとも約50%、60%、65%、70%、一般に少なくとも約75%、80%、85%、好ましくは少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、より好ましくは少なくとも約98%、99%またはそれより多い配列同一性を有する。従って、本発明のα−2b−インターフェロンの生物学的に活性な変異形は、わずか1〜15アミノ酸残基、1〜10、例えば、6〜10、わずか5、わずか4、3、2、または1アミノ酸残基だけ、そのタンパク質と異なってもよい。ヒトα−インターフェロンの生物学的に活性な変異形の例は、当該技術分野で既知である。例えば、欧州特許EP211148B1、および米国特許第4,748,233号、第4,801,685号、第4,816,566号、第4,973,479号、第4,975,276号、第5,089,400号、第5,098,703号、第5,231,176号、および第5,869,293号(引用することにより本明細書の一部をなすものとする)を参照されたい。
【0071】
配列の比較および2配列間の%同一性および%類似性の決定は、数学的アルゴリズムを使用して行われる。好ましい実施形態では、2つのアミノ酸配列間の%同一性は、GCGソフトウェアパッケージ(www.accelrys.comにて入手可能)中のGAPプログラムに組み込まれているアルゴリズム(Needleman and Wunsch(1970)J.Mol.Biol. 48:444−453)を使用し、BLOSSUM62マトリックスまたはPAM250マトリックスのいずれかおよびギャップ重み(gap weight)16、14、12、10、8、6、または4および長さ重み1、2、3、4、5、または6を使用して、決定される。また別の好ましい実施形態では、2つのヌクレオチド配列間の%同一性は、GCGソフトウェアパッケージ中のギャッププログラムを使用し、BLOSUM62得点マトリックス(Henikoff et al(1989)Proc.Natl.Acad、Sci.USA 89:10915参照)およびギャップ重み40、50、60、70、または80および長さ重み(length weight)1、2、3、4、5、または6を使用して、決定される。特に好ましいパラメーターのセット(および、専門家が、ある分子が本発明の配列同一性限界内であるかどうかを決定するために、どのパラメーターを適用すべきかについて確信がない場合、使用すべきもの)は、BLOSUM62得点マトリックスと共にギャップ重み60および長さ重み3を使用することである。
【0072】
2つのアミノ酸またはヌクレオチド配列間の%同一性は、ALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれているE.Meyers and W.Miller(1989)CABIOS 4:11−17のアルゴリズムを使用し、PAM120重み残差表(weight residue table)、ギャップ長さペナルティ12およびギャップペナルティ4を使用して決定することもできる。
【0073】
一つの実施形態では、価格または実施上の制約またはその両者のため、安定に形質転換されたウキクサ植物体またはウキクサノジュール培養体は、既存の遺伝子発現系では効果的に工業的に製造できない生物学的に活性なポリペプチド類を発現する。例えば、一部のタンパク質は、細胞の生存能力、細胞増殖、細胞分化、または哺乳類細胞でのタンパク質アセンブリを妨害するため、哺乳類系で発現させることができない。このようなタンパク質としては、網膜芽腫タンパク質、p53、アンジオスタチン、およびレプチンなどがあるが、その限りではない。本発明は、哺乳類制御タンパク質を産生するために都合よく利用することができる。高等植物と哺乳動物との間の大きい進化論的距離を考えると、こうしたタンパク質がウキクサにおける制御プロセスを妨害する公算は低い。トランスジェニックウキクサを使用して、既存の発現系の産生能力を刺激する、多量のタンパク質、例えば、血清アルブミン(特に、ヒト血清アルブミン)、ヘモグロビン、およびコラーゲン等を産生することができる。
【0074】
最後に、生物学的に活性な多量体タンパク質(例えば、モノクローナル抗体、ヘモグロビン、P450オキシダーゼ、およびコラーゲン等)を産生するように、哺乳類系よりはるかに容易に、高等植物系を操作することができる。生物学的に活性な多量体タンパク質をウキクサで産生するための一つの代表的なアプローチは、ポリペプチドサブユニットの全てをコードする遺伝子を含有する発現ベクターを使用する。例えば、During et al.(1990)Plant Mol,Biol,15:281およびvan Engelen et al,(1994)Plant Mol.Biol.26:1701を参照されたい。次いで、任意の既知の形質転換方法、例えば、弾道衝撃またはアグロバクテリウム媒介形質転換を使用して、このベクターをウキクサ細胞に導入する。この方法を使用した結果として、多量体タンパク質のアセンブリに必要なポリペプチド類の全てを発現するクローン細胞系が得られる。このアプローチに対する変更は、単一遺伝子構築物を作製し、こうした構築物からのDNAを一緒に混合し、次いで、弾道衝撃またはアグロバクテリウム媒介形質転換を使用して、このDNA混合物を植物細胞に送達する。さらなる変更として、ベクターの一部または全部が、多量体タンパク質の一つより多いサブユニットをコードしてもよい(すなわち、多量体タンパク質中のサブユニット数より少ないウキクサクローンが交差するように)。代替実施形態では、各ウキクサクローンが、多量体タンパク質のサブユニットの少なくとも一つを発現し、各サブユニットを分泌するウキクサクローンが一緒に培養され、培地中で様々な分泌サブユニットから多量体タンパク質が構築される。場合によっては、例えば、工業的または化学的プロセスでは、診断目的、治療目的、またはワクチン接種目的の場合、形質転換ウキクサ植物またはウキクサノジュール培養で、多量体タンパク質のサブユニットの全部より少なく、または単一のタンパク質サブユニットでも、産生することが望ましいこともある。
【0075】
[実験]
以下の実施例は、例を挙げて説明するために提供するものであり、決して限定するためではない。
【0076】
[発現ベクター]
実施例の一部で使用する発現ベクターpBMSP−1は、米国特許第5,955,646号(引用することにより本明細書の一部をなすものとする)に記載されている。pBMSP−1転写カセットは、3コピーの、アグロバクテリウムツメファシエンス・オクトピンシンターゼ由来の転写活性化ヌクレオチド配列、およびアグロバクテリウムツメファシエンス・マンノピンシンターゼ遺伝子由来のさらなる転写活性化ヌクレオチド配列、アグロバクテリウムツメファシエンス・マンノピンシンターゼ遺伝子由来のプロモーター領域、関心のあるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を挿入するためのポリリンカー部位、およびアグロバクテリウムツメファシエンス・ノパリン・シンターゼ遺伝子由来の終止配列を含有する。pBMSP−1発現ベクターは、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼIIをコードするヌクレオチド配列も選択可能マーカーとして含有する。選択可能マーカー配列の転写は、アグロバクテリウムツメファシエンス・ノパリン・シンターゼ遺伝子由来のプロモーターによって推進される。
【0077】
やはり以下の実施例のいくつかで使用される発現ベクターpBMSP−3は、上記pBMSP−1発現ベクターの成分を含み、且つ、プロモーターとポリリンカーとの間に挿入された、トウモロコシアルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子(GenBank寄託番号X04049)のヌクレオチド1222〜1775に対応するヌクレオチド配列をさらに含む。
【0078】
[ヒトα−2b−インターフェロンをウキクサで産生するための発現構築物]
当該技術分野で既知の方法を使用して、以下の発現構築物を構築した。例えば、Sambrook,J.,Fritsh,E.F.,and Maniatis,T.Molecular Cloning:A Laboratory Manual.2版、Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY,1989を参照されたい。
【0079】
【表1】
【0080】
[ウキクサの形質転換]
アグロバクテリウム媒介形質転換方法を使用し、上記発現構築物を用いて、ウキクサ葉状体またはウキクサノジュール培養体(これらの実施例では、Lemna 系統8627に由来する)を形質転換する。これらの実施例では、アグロバクテリウムツメファシエンス菌株C58Z707(無害の(disarmed)、広宿主範囲C58菌株)(Hepburn et al.(1985)J.Gen.Microbiol.131:2961−2969)を形質転換に使用する。動員プラスミド(mobilizing plasmid)pRK2013を含む、E.coli MM294(Hoekema et al.(1983)Nature 303:179−180;Ditta et al.(1980)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:7347−7350)を使用し、エレクトロポレーションまたはトリペアレタル・メイティングの手順で、上記発現構築物を、A.tumefaciensに動員する。上記発現構築物を含むC58Z707菌株を、500mg/リットルのストレプトマイシン、50mg/リットルのスペクチノマイシンおよび50mg/リットルの硫酸カナマイシンを含有する、ABミネラル培地(Chilton et al.,(1974)Proc.Nat.Acad.Sci USA 71:3672−3676)上か、またはYEB培地(1g/リットルの酵母抽出物、5g/リットルのビーフ抽出物、5g/リットルのペプトン、5g/リットルのスクロース、0.5g/リットルのMgSO4)中に画線し、28℃で一晩成長させる。
【0081】
これらの実施例では、Lemna minor系統8627を形質転換に使用するが、任意のLemna系統を使用してもよい。23℃、16時間明/8時間暗の光周期、およそ40μM/m2・秒の光強度下で、1%のスクロースおよび10μMのインドール酢酸を含有する液体Schenk and Hildebrandt培地(Schenk and Hildebrandt(1972)Can.J.Bot.50:199)で、葉状体を成長させる。播種の場合、個々の葉状体を集塊から分離し、播種培地中におよそ2〜20分間浮遊させる。播種培地は、約1×109細胞/mlの濃度で存在する発現構築物を含む適切なアグロバクテリウムツメファシエンス菌株を含む、0.6Mのマンニトールおよび100μMのアセトシリンゴンを加えたSchenk and Hildebrandt培地(pH5.6)である。次いで、これらの葉状体を、1%のスクロース、0.9%の寒天、および20mg/リットルのアセトシリンゴンを含有するSchenk and Hildebrandt培地(pH5.6)に移し、暗所で、23℃にて3日間または4日間共培養する。
【0082】
共培養後、200μg/mlの硫酸カナマイシンを加えたSchenk and Hildebrandt培地またはMurashige and Skoog培地(Murashige and Skoog(1962)Physiol.Plant.15:473)に回収するために、葉状体を移す。感染した組織を、2〜4日毎に、抗生物質を含む新鮮な培地に移すことによって、感染性アグロバクテリウムから葉状体を除染する。微光(1〜5μM/m2・秒)条件で、この葉状体を、この培地上でおよそ4週間インキュベートする。
【0083】
形質転換用ウキクサノジュール培養体は、以下の通りに作成する。ウキクサ葉状体を分離し、滅菌したメスで根を切断し、5μMの2,4−ジクロロフェノキシ酢酸、0.5μM 1−フェニル−3(1,2,3−チアジアゾール−5−イル)尿素チジアズロン(Sigma社製 P6186)、3%のスクロース、0.4%のDifco Bacto−Agar(Fisher Scientific社製)、および0.15%のGelrite(Sigma社製)を加えたMurashige and Skoog培地(カタログ番号M−5519;Sigma Chemical Corporation製,St.Louis,MO)pH5.6、上に、葉状体を、下面を下にして載せる。葉状体を5〜6週間成長させる。この時点で、一般に下面の中央部分から、ノジュール(小さい、黄色っぽい細胞塊)が出現する。このノジュール組織を母葉状体から離し、3%のスクロース、0.4%のDifco Bacto−Agar、0.15%のGelrite、1μMの2,4−ジクロロフェノキシ酢酸、および2Mのベンジルアデニンを加えたMurashige and Skoog培地で培養する。
【0084】
ウキクサノジュール培養体を以下の通りに形質転換する。適切なアグロバクテリウムツメファシエンス菌株を、50mg/リットルのカナマイシンおよび100μMのアセトシリンゴンを含むジャガイモデキストロース寒天またはYEB寒天で培養し、0.6Mのマンニトールおよび100μMのアセトシリンゴンを含むMurashige and Skoog培地に再懸濁する。ノジュール培養組織を、再懸濁した細菌溶液中に1〜2分間浸漬することによって播種し、過剰な流体を除去するために拭取り、ノジュール成長を促進するために最適化したオーキシンおよびサイトカイニンおよび100μMのアセトシリンゴンを加えたMurashige and Skoog培地からなる共培養培地上に載せる。
【0085】
選択する場合、ノジュール培養組織を、3%のスクロース、1μMの2,4−ジクロロフェンオキシアセテート、2μMのベンジルアデニン、0.4%のDifco Bacto−Agar、0.15%のGelrite、500mg/リットルのセフォタキシム、および200mg/リットルの硫酸カナマイシンを含む再生培地Murashige and Skoog培地に移し、連続的明条件(20〜40μM/m2・秒)で、およそ4週間培養する。このノジュール組織を7日毎に新鮮な培地に移す。選択物質で、ノジュール組織が勢いよい成長を示すとき、選択は完全である。一部の実施例では、共培養培地で選択する代わりに、形質転換されたウキクサノジュール培養を選択用の再生培地に直接移す。
【0086】
形質転換されたウキクサを再生する場合、選択されたノジュール培養体を再生培地(0.5×1%のスクロースおよび200mg/リットルのカナマイシンを加えたSchenk and Hildebrandt培地)に移して組織化し、植物を生成する。このノジュール培養体を、完全照明(full light)下で、葉状体が現れるまでおよそ3週間、再生培地でインキュベートする。十分に組織化された葉状体を、1〜3%のスクロースを含む液体Schenk and Hildebrandt培地に移し、さらなるクローン増殖のために、完全照明下でインキュベートする。
【0087】
[ノジュール培養により産生された生物学的に活性なインターフェロンの検出] 生物学的に活性なインターフェロンは、Staehlin et al(1981)Methods Enzymol 79:589−594およびKelder et al(1986)Methods Enzymol 119:582−587(引用することにより本明細書の一部をなすものとする)に記載の固相サンドイッチイムノアッセイおよびTovey et al(1978)Nature 276:270−272(引用することにより本明細書の一部をなすものとする)に記載の細胞変性効果阻害アッセイを含む様々な分析法で検出される。分泌されたインターフェロンはウキクサ培地から回収し、非分泌インターフェロンは、摩砕または溶解したウキクサ植物またはウキクサノジュール組織から回収する。
【0088】
製造業者の説明書に従ってPBL Laboratories(New Brunswick,NJ)製のキットを使用して、インターフェロン用の固相サンドイッチイムノアッセイを実施する。簡単に記載すると、微量滴定プレートのウェルに結合させた抗体でインターフェロンを捕捉する。次いで、第2の抗体を使用して、結合した抗体を明らかにする。次いで、セイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)に結合させ抗二次抗体を使用して、インターフェロンをマークする。テトラメチルベンジジン(TMB)が、ペルオキシダーゼに触媒される変色を開始するため、インターフェロンレベルを観測し、標準と比較することができる。本実施例では、α−2b−インターフェロンに特異的なモノクローナル抗体(カタログ番号11105、PBL Laboratories)を、このアッセイに使用する。
【0089】
Tovey et al(1978)Nature 276:270−272の方法に従って、細胞変性効果阻害アッセイを実施する。簡単に記載すると、米国国立衛生研究所ヒトIFNα国際基準標本(G−002−901−527)の段階的2倍希釈と並行して、96ウェル微量滴定プレート(Falcon Inc)で、分析するべき標本の段階的2倍希釈を、2%のウシ胎仔血清(Life Technologies Inc)を加えたEagles最小培地(Life Technologies Inc)100μlで希釈する。次いで、ヒトアミノ細胞(WISH系)20000個を、2%のウシ胎仔血清を含む培地100μlの体積で、微量滴定プレートの各ウェルに加える。細胞を、空気中5%のCO2の雰囲気で、37℃にて一晩インキュベートし、培地を除去し、感染効率0.1で、水疱性口内炎ウイルスを含有する2%のウシ胎仔血清を含む培地200μlを補充する。細胞を、空気中5%のCO2の雰囲気で、37℃にてさらに一晩インキュベートし、次いで、ウイルス複製による細胞変性効果を光学顕微鏡で評価する。インターフェロン類の力価は、ウイルスの細胞変性効果に対して50%の保護を与えたIFN希釈の逆数として表される。インターフェロン力価は、基準標本の力価を参照することにより、国際基準単位で表される。
【0090】
以下の実施例は、ウキクサにおける生物学的に活性なインターフェロンの発現を証明するものである。
【0091】
[実施例1]
バッチ式培養で、様々な時点における培地中および組織中の培養IFNレベルを決定するために、試験を実施した。0日に、一組の20〜30ml 175オンスの培養ジャーに、検出可能なレベルのヒトα−2bインターフェロン(IFN)を発現すると事前に確認された系の20個の葉状体を播種した。植物/水槽蛍光栽培電球(grow bulb)で提供される連続的高照明で、この培養を、独立栄養性の、緩衝条件で成長させた。4つの培養体について、各時点で(5日、7日、13日、15日、および18日に)、生体重および培地体積を測定した。各培養体から、培地サンプルおよび組織サンプルを採取し、植物プロテアーゼインヒビターカクテルを加えた。組織サンプルを摩砕し、回転冷却した。上澄を回収した。全てのサンプルが回収されるまで、培地および組織抽出物を−70℃で保存した。上述の固相サンドイッチイムノアッセイを使用して、培地中および組織抽出物のIFNレベルを同一日に決定した。測定されたIFN濃度と、培地の体積および培養の生体重をそれぞれ乗じることによって、培地中および組織中の培養IFN総量を算出した。図1は、5日と比較した、7日、13日、15日、および18日における相対的IFNレベルを示す図である。最後の時点は、1つの培養体を失ったため、4つの培養体ではなく3つの培養体の平均値を表す。
【0092】
[実施例2]
バッチ式培養で、様々な時点における培地中および組織中の培養IFNレベルを決定するために、試験を実施した。0日に、一組の20〜30ml 175オンスの培養ジャーに、実施例1の場合と同じ系の20個の葉状体を播種した。この培養を、植物/水槽蛍光栽培電球で提供される連続的高照明を用いた、独立栄養性非緩衝条件で成長させた。4つの培養体について、各時点で(7日、10日、12日、14日、17日、および19日に)、生体重および培地体積を測定した。各培養から、培地サンプルおよび組織サンプルを採取し、植物プロテアーゼインヒビターカクテルを加えた。組織サンプルを摩砕し、回転冷却した。上澄を回収した。全てのサンプルが回収されるまで、培地および組織抽出物を−70℃で保存した。上述の固相サンドイッチイムノアッセイを使用して、培地中および組織抽出物のIFNレベルを同一日に決定した。測定されたIFN濃度と、培地の体積および培養の生体重をそれぞれ乗じることによって、培地中および組織中の培養IFN総量を算出した。図2は、12日と比較した、14日、17日、および19日における相対的IFNレベルを示す図である。7日および10日における培地IFNレベルは、イムノアッセイ用広範囲プロトコールの範囲未満であった。
【0093】
[実施例3]
上述の方法を使用して、表1に記載の発現構築物で形質転換されたウキクサ系を作成した。これらの形質転換されたウキクサ系を、独立栄養条件で14日間成長させた。成長培地には、0.2mg/mlの濃度のウシ血清アルブミンが含まれていた。14日に、実施例1に記載の通りに、培地抽出物および組織抽出物を作製し、上述の固相サンドイッチイムノアッセイを使用して、これらの抽出物中のインターフェロンレベルを決定した。表2に、分析したクローンウキクサ系の数、および各発現構築物の、平均インターフェロン濃度を示す。表3に、シグナルペプチドを含有しないインターフェロン発現構築物(IFN01、IFN10、およびIFN12)で形質転換されたウキクサ系の、ウキクサ組織内のインターフェロンレベルを示す。明示した構築物ごとに、分析した全てクローン系における平均インターフェロンレベル、および最高の発現系に関するインターフェロンレベルの両者を示す。
【0094】
【表2】
【0095】
【表3】
【0096】
これらの形質転換されたウキクサ系で産生されるインターフェロンの生物学的活性を、上述の細胞変性効果阻害アッセイで分析した。表4に、最高の発現系の結果を、構築物ごとに示す。シグナルペプチドを含有する構築物の場合には培地について、シグナルペプチドを欠く構築物の場合には組織について、インターフェロン活性を示す。
【0097】
【表4】
【0098】
この実施例におけるデータについて、以下の特徴を挙げることができる。(1)インターフェロンの分泌は、シグナルペプチドを含有する発現構築物で形質転換されたウキクサ系の場合に限って検出された。例えば、IFN02、IFN03、IFN05、IFN07、IFN08、IFN09およびIFN011の培地インターフェロン濃度を、IFN01、IFNIO、およびIFN12のそれと比較されたい。(2)最高レベルのインターフェロン分泌をもたらす自然のヒトインターフェロンシグナル配列を含むシグナルペプチドを含有する全ての発現構築物で、インターフェロンの分泌が検出された。例えば、IFN02で産生されるインターフェロンレベルを、IFN03およびIFN05で産生されるものと比較されたい。(3)ウキクサ優先コドンの使用は、インターフェロン発現増強につながる。例えば、IFN09で産生されるインターフェロンレベルを、IFN05で産生されるものと比較されたい。(4)シグナルペプチド以上のコドン最適化によって、より高い発現レベルが達成された。例えば、IFN08をIFN09と比較されたい。(5)トウモロコシアルコールデヒドロゲナーゼイントロン配列が発現構築物に含まれることにより、より高いレベルのインターフェロン発現が得られた。例えば、IFN09をIFN11と、IFN10をIFN12と比較されたい。(6)野生型α−アミラーゼシグナルペプチドを含有する構築物(IFN07)と比較して、修飾されたα−アミラーゼシグナルペプチド(IFN05)を含有する構築物から発現されるインターフェロンレベルとの間で、統計学的な有意差は認められなかった。
【0099】
本明細書に記載の全ての出版物および特許出願は、本発明に関連する当業者の水準を表す。各出版物または特許出願が引用することにより本明細書の一部をなすものとすると具体的且つ個々に指示された場合と同程度に、全ての出版物および特許出願を、引用することにより本明細書の一部をなすものとする。
【0100】
理解を明確にするために、説明するのに役立つ例および実施例として、上述の発明を詳細に説明してきたが、添付のクレームの範囲内で、ある一定の変更および修飾を実行できることが明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1に記載の、形質転換されたウキクサ培養の培地中および組織中のインターフェロンレベル(固相サンドイッチイムノアッセイで決定した)を示す図である。
【図2】 実施例2に記載の、形質転換されたウキクサ培養の培地中および組織中のインターフェロンレベル(固相サンドイッチイムノアッセイで決定した)を示す図である。
【配列表】
Claims (20)
- (a)ウキクサ培地内で、ウキクサ植物培養体またはウキクサノジュール培養体を培養するステップであって、前記ウキクサ植物培養体または前記ウキクサノジュール培養体が、生物学的に活性な組換えポリペプチドを発現するように安定に形質転換されており、前記生物学的に活性な組換えポリペプチドが、該ポリペプチドに関するコード配列と、該ポリペプチドの分泌を指令するシグナルペプチドに関する作動可能に連結されたコード配列とを含むヌクレオチド配列から発現されることを特徴とするステップと、
(b)前記生物学的に活性な組換えポリペプチドを前記ウキクサ培地から回収するステップと
を含み、
前記シグナルペプチド配列が、
(i)ヒトα−2b−インターフェロンシグナルペプチドと、
(ii)シロイヌナズナ・キチナーゼシグナルペプチドと、
(iii)コメα−アミラーゼシグナルペプチドと、
(iv)配列番号7に記載の修飾されたコメα−アミラーゼペプチドと
からなる群から選択される、
ウキクサ植物培養体またはウキクサノジュール培養体において、生物学的に活性な組換えポリペプチドを産生する方法。 - 前記生物学的に活性な組換えポリペプチドが、α−2b−インターフェロン、成長ホルモン、またはモノクローナル抗体である、請求項1に記載の方法。
- 前記ヌクレオチド配列が、
(a)前記ポリペプチドに関するコード配列におけるウキクサ優先コドンと、
(b)前記シグナルペプチドに関するコード配列におけるウキクサ優先コドンと、
(c)植物優先翻訳開始コンテクストヌクレオチド配列に隣接する翻訳開始コドンと、
(d)前記コード配列の上流に挿入された植物イントロンを含む、作動可能に連結されたヌクレオチド配列と、
(e)作動可能に連結された5’リーダー配列と
からなる群から選択される少なくとも一つの特性を有する、請求項1または2に記載の方法。 - 前記ウキクサ優先コドンがLemna gibba優先コドンまたはLemna minor優先コドンである、請求項3に記載の方法。
- 前記ポリペプチドに関するコード配列と、前記シグナルペプチドに関するコード配列とから選択される少なくとも一つのコード配列におけるコドンの少なくとも70〜100%が、Lemna gibba優先コドンまたはLemna minor優先コドンである、請求項4に記載の方法。
- 前記植物優先翻訳開始コンテクストヌクレオチド配列が、ヌクレオチド配列「ACC」または「ACA」からなり、前記コンテクストが前記翻訳開始コドンの5’末端のすぐ隣に配置されている、請求項3に記載の方法。
- 前記作動可能に連結された前記植物イントロンを含むヌクレオチド配列が配列番号1に記載の配列である、請求項3に記載の方法。
- 前記α−2b−インターフェロンがヒトα−2b−インターフェロンである、請求項2または3に記載の方法。
- 前記α−2b−インターフェロンが、配列番号4または配列番号5に記載のアミノ酸配列を有する、請求項2または3に記載の方法。
- 前記α−2b−インターフェロンが、配列番号4または配列番号5と少なくとも80%の配列同一性を有する、請求項2または3に記載の方法。
- 前記α−2b−インターフェロンが、配列番号4または配列番号5に記載のアミノ酸配列の末端トランケーションであるポリペプチドを含む、請求項10に記載の方法。
- 前記末端トランケーションが、C末端トランケーションである、請求項11に記載の方法。
- 前記シグナルペプチドがコメα−アミラーゼシグナルペプチドであり、該シグナルペプチドが、配列番号3に記載の配列によりコードされる請求項1に記載の方法。
- 安定に形質転換されたウキクサ植物培養体またはウキクサノジュール培養体であって、生物学的に活性な組換えポリペプチドを発現するように安定に形質転換されており、前記生物学的に活性な組換えポリペプチドが、該組換えポリペプチドに関するコード配列と、該ポリペプチドの分泌を指令するシグナルペプチドに関する作動可能に連結されたコード配列とを含むヌクレオチド配列から発現され、該シグナルペプチドが、
(a)ヒトα−2b−インターフェロンシグナルペプチドと
(b)シロイヌナズナ・キチナーゼシグナルペプチドと、
(c)コメα−アミラーゼシグナルペプチドと、
(d)配列番号7に記載の修飾されたコメα−アミラーゼペプチドと
から選択される、安定に形質転換されたウキクサ植物培養体またはウキクサノジュール培養体。 - 前記組換えポリペプチドが、α−2b−インターフェロン、成長ホルモン、またはモノクローナル抗体である、請求項14に記載の安定に形質転換されたウキクサ植物培養体またはウキクサノジュール培養体。
- 前記ヌクレオチド配列が、
(i)前記生物学的に活性なポリペプチドに関するコード配列におけるウキクサ優先コドンと、
(ii)前記シグナルペプチドに関するコード配列におけるウキクサ優先コドンと、
(iii)植物優先翻訳開始コンテクストヌクレオチド配列に隣接する翻訳開始コドンと、
(iv)前記コード配列の上流に挿入された植物イントロンを含む、作動可能に連結されたヌクレオチド配列と、
(v)作動可能に連結された5’リーダー配列と
からなる群から選択される少なくとも一つの特性を有する、
請求項14または15に記載の安定に形質転換されたウキクサ植物培養体またはウキクサノジュール培養体。 - 前記ウキクサ植物培養体またはウキクサノジュール培養体が、Spirodela属、Wolffia属、Wolfiella属、およびLemna属からなる群から選択される属由来である、請求項14〜16のいずれかに記載の安定に形質転換されたウキクサ植物培養体またはウキクサノジュール培養体。
- 前記ウキクサ植物培養体またはウキクサノジュール培養体が、Lemna minor、Lemna miniscula、Lemna aequinoctialis、およびLemna gibbaからなる群から選択される種由来である、請求項17に記載の安定に形質転換されたウキクサ植物培養体またはウキクサノジュール培養体。
- 配列番号3に示すシグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結された、配列番号2に記載のα−2b−インターフェロンをコードするヌクレオチド配列を含む、核酸分子。
- 配列番号1に示すイントロンを含むヌクレオチド配列をさらに含み、該イントロンを含むヌクレオチド配列と、前記シグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列と、前記α−2b−インターフェロンをコードするヌクレオチド配列とが作動可能に連結されている請求項19に記載の核酸分子。
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