JP4791246B2 - グリセリン脱水用触媒、およびアクロレインの製造方法 - Google Patents

グリセリン脱水用触媒、およびアクロレインの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、グリセリン脱水用触媒に関し、特にグリセリンの脱水によるアクロレイン製造に適したグリセリン脱水用触媒に関するものである。
植物油から製造されるバイオディーゼルは、化石燃料の代替燃料としてだけではなく、二酸化炭素の排出量が少ない点でも注目され、需要の増大が見込まれている。このバイオディーゼルを製造するとグリセリンが副生するため、その有効利用を図る必要がある。グリセリンの利用の一態様としては、グリセリンをアクロレインの原料に使用することが挙げられる。
グリセリンを原料にしたアクロレインの製造方法は、例えば、特許文献1および非特許文献1に開示されている。特許文献1には、酸強度関数が+2以下のH−MFIを使用してグリセリンを脱水し、アクロレインを製造することが開示されているが、この開示されている方法は、液相脱水で有用であり、気相脱水では有用ではないと特許文献1に記載されている。他方の非特許文献1には、グリセリンの気相脱水反応を、触媒を使用して行ったことが開示されている。この非特許文献1に開示されている触媒は、20質量%のベントナイトおよび80質量%のH−MFIで構成され、触媒構成であるH−MFIは、Na2Oを0.55質量%含有する。
上記特許文献1や非特許文献1に開示されているように、触媒を使用したグリセリン脱水反応でアクロレインを製造できるが、この場合、アクロレイン収率の経時変化が少なければ、製造計画を立て易く、アクロレインの製造量の不足および過剰を防止できることが見込まれる。また、アクロレインを高収率で製造することができれば、従来からアクロレインを原料として製造できることが知られているアクリル酸、1,3−プロパンジオール、アリルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、メチオニン等のアクロレイン誘導体を低コストで製造できることが見込まれる。
特開平06−211724号公報 Le H.Dao,Reaction of Model Compounds of Biomass-Pyrolysis Oils Over ZSM-5 Zeolite Catalysts,American Chemical Society,1988,376,p.328-341
本発明は、上記事情に鑑み、アクロレイン収率の経時変化を抑制するグリセリン脱水用触媒の提供を目的とする。
本発明者は、グリセリンを脱水することができる酸性の結晶性メタロシリケートを有する触媒において、Si/Tが所定範囲であり、かつ、バインダー量が制限されていれば、アクロレイン収率の経時変化を抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、Al、B、Ti、Cu、In、Cr、Fe、Co、Ni、Zn、およびGaから選択された一種または二種以上のT原子を含む結晶性メタロシリケートを有するグリセリン脱水用触媒であって、前記結晶性メタロシリケートにおけるSi/Tが800以下、前記触媒におけるバインダー量が15質量%以下であることを特徴とするグリセリン脱水用触媒である。
本発明の触媒においては、バインダー含有量の上限を15質量%としているが、バインダーを含んでいると触媒活性を示す結晶性メタロシリケートが希釈されてアクロレインの収率が下がることがあるので、バインダーを有していないことが好適である。
前記結晶性メタロシリケートは、結晶格子外カチオンにH+を有することが好適である。また、アクロレインの収率変化が抑制されるだけではなく、アクロレインを高収率で製造するためには、前記T原子は、Alであると好適であり、前記結晶性メタロシリケートは、MFI型の結晶構造を有していると好適である。
前記触媒において、アクロレインの収率を高めるためには、Na2Oに換算したNaの含有量が1.0質量%以下であると好適である。
前記触媒を使用すれば、グリセリンの液相脱水反応でアクロレインを製造する場合のみならず、グリセリンの気相脱水反応でアクロレインを製造する場合にも、アクロレイン収率の経時変化を抑制することができる。
また、本発明は、前記本発明に係る触媒の共存下においてグリセリンを脱水してアクロレインを製造する方法である。この方法は、グリセリンと触媒を接触させる気相反応によりグリセリンを脱水するものであっても良い。
また、本発明は、前記本発明に係るアクロレインの製造方法を使用してアクロレインを製造する工程を有するアクロレイン誘導体の製造方法である。この方法で製造することができるアクロレイン誘導体としては、例えば、従来からアクロレインを原料として製造されているアクリル酸、1,3−プロパンジオール、アリルアルコール、メチオニン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム等のポリアクリル酸塩を挙げることができる。
本発明に係るグリセリン脱水用触媒によれば、Si/Tが所定範囲である上、バインダー量の上限値を設けているので、収率変化を抑制しつつアクロレインを製造することができる。
本発明を実施形態に基づき以下に説明する。本実施形態の触媒は、結晶性メタロシリケートを有するグリセリン脱水用触媒である。この触媒は、メタロシリケート結晶が複数集合した成形体として構成されている。
上記触媒は、Na2Oに換算したNaの含有量が1.0質量%以下であると好ましい。この濃度範囲の触媒は、アクロレイン収率に優れる。Na2Oが少量であるほどアクロレイン収率は高まる傾向があるので、Na2Oは、0.05質量%以下がより好ましく、0.01質量%以下が更に好ましい。
本実施形態の触媒の細孔径(二次細孔径)は、特に限定されるものではないが、0.80μm以下であると良く、好ましくは、アクロレイン収率に優れた0.08〜0.40μmである。このモード径は、測定圧力を絶対圧で6.9〜4.1×10 kPa(1〜60000psia、接触角を130°、水銀表面張力を485.0mN/m、水銀密度を13.5335g/cmとした場合に測定できる水銀圧入法による測定値である。なお、本実施形態における触媒に関して、アクロレイン収率が結晶性メタロシリケートの細孔径(一次細孔径)に依存することは小さい。
また、触媒の比表面積は、特に限定されるものではないが、BET法による窒素吸着で測定した場合、300〜550m2/gであると良く、好ましくは315〜500m2/gである。
本実施形態における結晶性メタロシリケートは、正四面体構造のSiO4およびTO4を基本構成単位とし、これらSiO4およびTO4が3次元に連結した結晶である。本実施形態の触媒における結晶性メタロシリケートとしては、国際ゼオライト学会構造委員会が構造コードで分類している結晶構造のメタロシリケート、並びに、「ZEOLITES,Vol.12,No.5,1992」および「HANDBOOK OF MOLECULAR SIEVES,R.Szostak著,VAN NOST RAND REINHOLD出版」等に記載された構造のメタロシリケートを挙げることができ、結晶構造が特に限定されるものではない。この結晶性メタロシリケートを国際ゼオライト学会構造委員会の命名に基づき例示すれば、LTA、CHA、ERI、KFI等の細孔の入り口が8員酸素環の結晶性メタロシリケート;FER、MFI等の細孔の入り口が10員酸素環の結晶性メタロシリケート;MOR、BEA、FAU、LTL、GME、OFF、MTW等の細孔入り口が12員酸素環の結晶性メタロシリケートである。この例示した結晶性メタロシリケート中、高収率でアクロレインを製造することができるMFIが好適である。
結晶性メタロシリケートは、結晶格子外にイオン交換可能なカチオンを有する。本実施形態におけるメタロシリケート結晶格子外カチオンとしては、H+、Li+、Na+、Rb+、Cs+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、Sc3+、Y3+、およびLa3+等を例示することができる。特に、格子外カチオンの一部または全部がH+であるH型結晶性メタロシリケートが好適である。
結晶性メタロシリケートの構成単位TO4におけるT原子は、Siを除く原子であり、Al、B、Ti、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、およびInから選択された一種または二種以上が挙げられる。このT原子中、Al、B、Fe、Ga、およびInから選択されていると好適であり、Alが選択されていると更に好適である。
結晶性メタロシリケート中のSi原子とT原子のモル比Si/Tは、800以下である。Si/Tが800を超える場合、アクロレイン収率の経時変化が大きいか、アクロレイン収率が極めて低くなる。また、アクロレイン収率の経時変化を抑制するための好ましいSi/Tは、10〜600である。一方、アクロレインを高収率で製造するための好ましいSi/Tは、10〜400であり、更に好ましくは、20〜300である。
結晶性メタロシリケートの結晶化度は、85%以上が好ましく、95%以上がより好ましく、98%以上が更に好ましい。
結晶性メタロシリケートの結晶格子に組み込まれていないT原子(以下、「結晶性メタロシリケートの結晶格子に組み込まれていないT原子」を「結晶格子外へテロ原子」と称することがある)が存在しない結晶性メタロシリケートと結晶格子外へテロ原子が存在する結晶性メタロシリケートでは、両結晶性メタロシリケートのSi/Tが同じであっても、結晶格子外へテロ原子が存在する結晶性メタロシリケートの方が熱的に不安定であるので、結晶性メタロシリケートにおける結晶格子外へテロ原子の含量は、制限されていることが好ましい。また、メタロシリケート結晶格子に組み込まれたT原子がグリセリン脱水反応の活性点となるが、同じSi/Tの結晶格子外へテロ原子が存在する結晶性メタロシリケートと結晶格子外へテロ原子が存在しない結晶性メタロシリケートでは、実質的な活性点量が変るので、結晶性メタロシリケートにおける結晶格子外へテロ原子の含量は、制限されていることが好ましい。そして、例えばT原子がAlの場合、触媒における全Alに対するメタロシリケート結晶格子外アルミニウムの含量は、3質量%以下であると良く、2質量%以下であることが好ましく、分析機器により検出できない(実質的に含まれない)ことが更に好ましい。この結晶格子外アルミニウム含量は、酸素が通常六配位している結晶格子外アルミニウムと酸素が四配位している結晶格子内アルミニウムを27Al MAS‐NMRで測定することにより算出できる。即ち、四配位アルミニウムに帰属するσ=50〜70ppmの範囲に測定されるピークの面積と、六配位アルミニウムに帰属するσ=0〜10ppmの範囲に測定されるピークの面積を求め、この面積比に基づいて結晶格子外アルミニウムの含量を算出することができる。
本実施形態の触媒を使用してグリセリンの脱水反応を工業的に行うとき、成形した結晶性メタロシリケートを触媒として使用する場合がある。この場合の触媒は、バインダーと結晶性メタロシリケートで構成された成形体、または結晶性メタロシリケートだけで構成された成形体を使用できる。触媒における成形体がバインダーを構成に有している場合、バインダー量とアクロレイン収率の経時的変動が相関しており、触媒におけるバインダー量は、15質量%以下であると好ましい。バインダー量が少量であるほど、アクロレイン収率の変動が抑制されるので、バインダー量は、10質量%以下であるとより好ましく、5質量%以下であると更に好ましい。最適なバインダー量は、0質量%である。つまり、バインダーを有さず、触媒活性を示す結晶性メタロシリケートが希釈されていない結晶性メタロシリケート成形体が最適である。
ここで、触媒がバインダーを有している場合の「バインダー」とは、隣接するメタロシリケート結晶の間に存在する焼結性無機化合物をいう。そして、本実施形態において好適なバインダーは、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア等の無機の焼結性酸化物;ベントナイト、活性白土等の粘土鉱物を挙げることができる。なお、粘土鉱物がバインダーになっている場合、アルカリ金属およびアルカリ土類金属に属する1種以上のカチオンがその組成中に含まれている場合がある。この場合、成形される結晶性メタロシリケートのイオン交換サイトのモル数が粘土鉱物に含有されているカチオンのモル数(但し、アルカリ土類金属では含有されているモル数の1/2倍のモル数)よりも多くないと、過剰のカチオンによりグリセリンの脱水反応が阻害されるため、好ましくない。
次に本実施形態のグリセリン脱水用触媒の製造方法を、結晶性メタロシリケート粒子にバインダー成分を追加して結晶性メタロシリケート成形体を調製する第一触媒製造方法、およびバインダー成分を追加せずに結晶性メタロシリケート成形体を調製する第二触媒製造方法に基づき説明する。
先ず、結晶性メタロシリケート粒子にバインダー成分を追加して結晶性メタロシリケート成形体を調製する第一触媒製造方法について説明する。第一触媒製造方法は、結晶性メタロシリケート粒子をバインダーで結着すると共に、所望の形状に成形する簡易な方法である。この方法では、市販の結晶性メタロシリケート粒子、水熱合成法等の公知の方法により合成した結晶性メタロシリケート粒子、又は後述の第二触媒製造方法により製造した結晶性メタロシリケート粒子を材料結晶性メタロシリケート粒子として使用すると良い。また、バインダーには、シリカ、アルミナ等の無機バインダーを使用すると良い。
次に、バインダー成分を追加しないで結晶性メタロシリケート成形体を調製する第二触媒製造方法を説明する。本方法における「バインダー成分を追加しない」とは、結晶性メタロシリケートを調製した後にバインダー成分を追加しないことを意味する。本製造方法は、結晶粒子径が微細で、高い触媒活性のMFI構造のメタロシリケートを製造するための方法である。そして、本製造方法は、成形したシリカに所定の成分を担持させる担持工程、担持工程後のシリカを水蒸気と接触させてMFI構造のメタロシリケートを合成する結晶化工程、NH4型MFIメタロシリケートを製造するイオン交換工程、およびH型MFIメタロシリケートを製造する焼成工程からなる。この製造方法を、工程毎に以下に説明する。
担持工程では、所定の成分を含有した水溶液(以下、「含浸液」)をシリカ成形体に含浸し、次に、シリカ成形体を乾燥し、メタロシリケート前駆体を製造する。
担持工程で使用するシリカ成形体は、特に限定されるものではない。市販されているシリカ成形体を使用しても良い。また、成形体形状および大きさも特に限定されない。成形体の形状としては、球状、シリンダー型、リング型を例示できる。大きさは、通常、直径相当が0.5〜10mmである。
また、シリカ成形体の機械的強度は、特に限定されるものではないが、木屋式硬度計で測定した場合、9.8N以上(シリカ成形体10個の平均値)であると良く、9.8〜490Nであると好ましい。シリカ成形体の機械的強度は製造するグリセリン脱水用触媒の機械的強度と相関があるので、高機械的強度のシリカ成形体を使用すれば、実用に耐えうる強度を備えるグリセリン脱水用触媒を製造することができる。
含浸液に含まれている所定成分は、T原子成分、テトラアルキルアンモニウム成分、およびアルカリ金属成分のうち一種乃至三種である。含浸液における所定成分の含有量は、シリカ成形体に担持させる量に応じて適宜設定される。
含浸液にT原子成分を含ませる場合、Al、B、Ti、Cu、In、Cr、Fe、Co、Ni、Zn、およびGaから選択された一種または二種以上を有するT原子成分を含浸液に含ませると良い。例えば、T原子がアルミニウムであるアルミノシリケートを製造する場合、アルミン酸塩、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、ハロゲン化アルミニウム、水酸化アルミニウム等のAl原子含有化合物がT原子成分として使用されると良く、アルミン酸ナトリウムを使用することが好ましい。また、B、Ti、Cu、In、Cr、Fe、Co、Ni、Zn、またはGaをT原子とするメタノシリケートを製造する場合、該当するT原子を含むホウ酸、塩化チタン、硝酸銅、硝酸インジウム、硝酸クロム、硝酸鉄、硝酸コバルト、硝酸ニッケル、硝酸亜鉛、または硝酸ガリウムをT原子成分として使用すると良い。
含浸液中のT原子成分の量は、製造目的物である結晶性メタロシリケートのSi/Tに応じた量に設定する。
また、テトラアルキルアンモニウム成分を含浸液に含有させる場合には、例えば、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラ-n-プロピルアンモニウム、テトライソプロピルアンモニウム、テトラ-n-ブチルアンモニウム、テトラ-n-ペンチルアンモニウム、トリエチルメチルアンモニウム、トリエチル-n-プロピルアンモニウム、トリ-n-プロピルメチルアンモニウム、トリ-n-ブチルメチルアンモニウム等のハロゲン化物または水酸化物が使用されていると良い。MFI構造のアルミノシリケートを効率よく合成するためには、アルキル基の炭素数が1〜5であるテトラアルキルアンモニウムを構成に有しているテトラアルキルアンモニウム化合物を使用することが好ましく、テトラ-n-プロピルアンモニウムを構成に有しているテトラアルキルアンモニウム化合物を使用することがより好ましく、テトラ-n-プロピルアンモニウムヒドロキシドを使用することが最適である。
そして、含浸液にアルカリ成分を含有させる場合には、リチウム、ナトリウム、カリウム等の水酸化物やハロゲン化物を含浸液に含ませると良い。なお、ナトリウム成分を含有させる場合、T原子成分にもなるアルミン酸ナトリムを含有させることが好ましい。
含浸液をシリカ成形体に含浸させる場合、T原子成分、テトラアルキルアンモニウム成分、およびアルカリ金属成分の全てをシリカ成形体に含浸担持させる。含浸液にT原子成分、テトラアルキルアンモニウム成分、およびアルカリ金属成分の全てが含まれていないとき、含浸操作を複数回に分けてT原子成分、テトラアルキルアンモニウム成分、およびアルカリ金属成分の全てをシリカ成形体に担持させても良い。このように複数回に分けてT原子成分等を担持させる場合、T原子成分等の担持順序が製造する触媒に影響を与えることはない。
シリカ成形体に含浸させる含浸液の総量は、シリカ成形体が吸水できる量に応じた量であると良い。
含浸後のシリカ成形体の乾燥は、減圧および常圧で行われると良く、常圧の空気気流下で行われても良い。シリカ成形体の乾燥では、次工程の結晶化工程における担持成分の溶出を抑制するため、シリカ成形体中の水含量が30質量%以下になるまで乾燥を行うと良く、0.1〜20質量%になるまで乾燥を行うことが好ましい。そして、このときの乾燥温度は、テトラアルキルアンモニウムの分解が少ない20〜120℃の範囲であると良く、好ましくは、50℃以上である。
シリカ成形体を乾燥することにより、担持工程の製造目的物であるメタロシリケート前駆体が得られる。メタロシリケート前駆体は、含浸液を含ませた後に乾燥したシリカ成形体であるので、T原子成分、テトラアルキルアンモニウム成分、およびアルカリ金属成分が均一に担持されている。
乾燥したシリカ成形体にはT原子成分等が担持されており、これがメタロシリケート前駆体となる。この前駆体の組成は、下記式(1)で表される。
Si1TxMy(SDA)z (1)
式(1)中、Mはアルカリ金属、SDAはテトラアルキルアンモニウム、xは0.00125以上(好ましくは0.00167〜0.1、より好ましくは0.0025〜0.1、更に好ましくは0.0033〜0.05)、yは0.0001〜1(好ましくは、0.0005〜0.5)、zは0.001〜1(好ましくは、0.002〜1、更に好ましくは0.003〜0.8)である。ここで、アルカリ金属(M)の組成比率(y)が少なすぎると、シリカの加水分解が進行せず、結晶化工程における結晶性メタロシリケートへの転化が生じにくくなり、一方、アルカリ金属(M)の組成比率(y)が多すぎると、シリカの加水分解が進みすぎて、シリカ成形体が溶解してしまう。そのため、yの数値範囲は、上記の通りとなっている。また、テトラアルキルアンモニウム(SDA)の組成比率(z)が少なすぎると、結晶化工程で加水分解したシリカが結晶性メタロシリケートに構築されにくく、一方、テトラアルキルアンモニウム(SDA)の組成比率(z)が多すぎると、テトラアルキルアンモニウムが無駄になる上、含浸液が高粘度化して結晶性メタロシリケートに構築されにくくなることがある。そのため、zの数値範囲は、上記の通りとなっている。
結晶化工程は、メタロシリケート前駆体を飽和水蒸気と接触させることにより行われる。この結晶化工程では、前駆体細孔内における水蒸気の凝縮熱がシリカの加水分解を進行させ、SDAの周囲でアルミニウムを含んだシリカ結晶が構築され、メタロシリケート前駆体がMFIに転化する。本結晶化工程は、メタロシリケートの製造方法として一般的な水熱合成法と異なり、メタロシリケート前駆体を飽和水蒸気中に置く工程であるので、メタロシリケート前駆体の形状を保持し、かつ、SiやT原子がメタロシリケート前駆体から溶出することを抑制しつつMFI結晶構造のメタロシリケートを合成できる。
結晶化工程では、上記の通り、メタロシリケート前駆体に飽和水蒸気を接触させる。この接触手法としては、例えば、(1)メタロシリケート前駆体を耐圧容器の中空部に設置し、温度と容器の容積によって定まる飽和水蒸気量に相当する水を耐圧容器の下部に注入した後、封止した耐圧容器を恒温槽内で加熱する方法、(2)内容器と外容器で構成される二重容器を使用し、内容器内にメタロシリケート前駆体を設置し、外容器に水を入れ、二重容器を密閉した後に加熱してアルミノシリケート前駆体を水蒸気に接触させる方法、(3)メタロシリケート前駆体を飽和水蒸気中に連続的に送り込む移動床式方法、がある。
結晶化工程における温度は、メタロシリケート前駆体がMFIに転化する温度であれば特に限定されるものではないが、前駆体に担持されているテトラアルキルアンモニウムの分解が少なく、結晶化度の高いMFIを製造することができる80〜260℃であると良い。好ましい温度は、100〜230℃である。シリカ成形体を飽和水蒸気と接触させる時間は、結晶化度を十分に進行させるため、2時間以上であることが好ましい。時間の上限値は、MFI以外の結晶との混晶化を抑制するため、150時間以内であることが好ましい。
結晶化工程を経て得られるMFI構造のメタロシリケートは、上記の結晶化工程における温度および時間であれば、通常、結晶化度が85%以上の結晶性メタロシリケートとなり得る。また、上記結晶工程において、温度および時間を調整すれば、結晶化度が98%以上の結晶性メタロシリケートを製造することも可能である。ここで、飽和水蒸気との接触時間が長いほど結晶化度が高くなり、逆に短いほど結晶化度が低くなるので、結晶化度の高低を調整することができる。従って、飽和水蒸気との接触時間を長時間とすることで、バインダーを実質的に有さない結晶化度が100%の結晶性メタロシリケートを製造できる。
イオン交換工程では、結晶化工程で合成したM型結晶性メタロシリケート(Mは、Na等のアルカリ金属を表す)のM原子をNH4とイオン交換して、NH4型結晶性メタロシリケートが製造される。このイオン交換は、NH4水溶液にM型結晶性メタロシリケートを浸漬させることにより行われる。
使用するNH4水溶液には、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウム等のアンモニウム塩水溶液が使用される。水溶液中のNH4濃度が低濃度過ぎる場合、イオン交換時間が長くなり、高濃度のアンモニウム塩水溶液を使用した場合、イオン交換されないアンモニウム塩が無駄になる。そのため、この水溶液は、NH4が交換容量と当量〜100倍当量であって、アンモニウム塩濃度が0.01〜5.0mol/Lであると良い。好ましくはNH4が2倍当量〜30倍当量であって、アンモニウム塩濃度が0.05〜2.0mol/Lである。
イオン交換工程におけるアンモニウム塩水溶液の温度は、室温以上100℃未満であると良い。アンモニウム塩水溶液の温度が高温であるとイオン交換速度を速めることが可能であるが、100℃以上であると水の蒸発が早く、水の蒸発を抑制するための圧力容器が必要となって好ましくない。一方、アンモニウム水溶液の温度が低温であるとイオン交換速度が遅くなって好ましくない。
イオン交換工程における浸漬時間は、15分〜6時間、好ましくは30分から2時間である。この時間が短い場合、メタロシリケートにおけるM原子の交換が終結せず、時間が長い場合、交換平衡のため一定以上にイオン交換を進めることができない。
アンモニウム塩水溶液にM型結晶性メタロシリケートを浸漬することにより、本イオン交換工程が行われるが、平衡によるイオン交換阻害を抑制しつつ結晶性メタロシリケートのM原子を効率良くNH4に交換するには、浸漬とアンモニウム塩水溶液の入れ換え又は交換を繰り返し行うことが好適である。
なお、本実施形態の第二触媒製造方法は、M型結晶性メタロシリケートのM原子をNH4とイオン交換するものであるが、塩酸、硝酸等の鉱酸水溶液を使用して、メタロシリケートのM原子をH原子に交換することも可能である。この場合の鉱酸等の濃度、水溶液温度等の諸条件は、上記アンモニウム塩を使用したイオン交換と同条件であると良い。鉱酸の濃度に関しては、高濃度であると、イオン交換されない鉱酸が無駄になるだけではなく、メタロシリケートが破壊されることがある。
最終工程である焼成工程では、イオン交換工程で製造したNH4型結晶性メタロシリケートをH型結晶性メタロシリケートに変換する。この変換と共に、メタロシリケートにおける残存有機物が燃焼して消失する。
焼成工程は、空気気流下で行われると良い。焼成温度が低すぎると有機物およびNH4が残存する場合があり、焼成温度が高すぎるとメタロシリケート結晶が破壊されることがあるので、焼成温度は、350〜600℃であると良い。また、焼成時間が短すぎると有機物およびNH4が残存する場合があり、焼成時間が長すぎると結晶が破壊する場合があるので、焼成時間は、2〜10時間であると良い。
第二触媒製造方法は、上記の通りである。この第二触媒製造方法により製造された触媒は、結晶化度が85%以上となる。また、第二触媒製造方法により製造された触媒において、MFI結晶格子内のT原子およびMFI結晶格子外へテロ原子の全量に対するMFI結晶格子外へテロ原子の含量は、3%質量以下となる。
上記の第二触媒製造方法は、MFI構造のメタロシリケートを製造するためのものであるが、MFI以外の結晶性メタロシリケートを構成とする触媒を製造するためには、特開2001−180928号公報、特開2001−139324号公報、又は特開2001−114512号公報等に開示されている公知の方法を使用して触媒を製造すると良い。
次に、本実施形態の触媒を使用したアクロレインの製造方法について説明する。本実施形態におけるアクロレインの製造方法は、固定床反応器、移動床反応器等から任意に選択した反応器内でグリセリンを含んだ反応ガスと触媒を接触させる気相脱水反応によりアクロレインを製造するものである。なお、本発明に係る触媒は、反応ガスと触媒を接触させるアクロレイン製法用途に限定されるものではなく、グリセリン溶液と触媒とを接触させる製法用途にも使用することが可能である。この場合、反応器には流動床反応器等が選択される。
反応ガスは、グリセリンのみで構成されているガスであっても良く、反応ガス中のグリセリン濃度を調整するためにグリセリン脱水反応において不活性なガスを含んでいても良い。不活性ガスには、水蒸気や窒素ガスを例示することができる。この反応ガスにおけるグリセリン濃度は、0.1〜100モル%であると良く、好ましくは1モル%以上であり、アクロレインの製造を経済的かつ高効率で行うためには、10モル%以上である。
上記触媒が高効率のグリセリン脱水用触媒であるので、反応性ガスの流量を多量に設定してもアクロレインを高収率で得ることができる。反応性ガスの流量は、単位触媒容積あたりの反応ガス流量(GHSV)で表すと100〜10000hr-1であると良い。好ましくは、5000hr-1以下であり、アクロレインの製造を経済的かつ高効率で行うためには、3000hr-1以下である。
反応温度は、200〜500℃であると良く、好ましくは、250〜450℃、更に好ましくは、300〜400℃である。
反応ガスの圧力は、グリセリンが凝縮しない範囲の圧力であれば特に限定されない。通常、常圧〜1MPaであると良く、好ましくは、0.5MPa以下である。
以上の方法により、アクロレインを製造することが可能である。製造されたアクロレインは、既に公知となっている通り、アクリル酸、1,3−プロパンジオール、アリルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、メチオニン等のアクロレイン誘導体の製造原料として使用可能である。従って、上記アクロレインの製造方法は、アクロレイン誘導体の製造方法中に取り入れることが当然可能である。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、前・後記の趣旨に適合しうる範囲で適宜変更して実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
(実施例1)
次の担持工程、結晶化工程、およびイオン交換工程を実行することにより、各実施例および比較例の触媒(T原子がAlである結晶性メタノシリケート成形体)を作製した。
(担持工程)
0.58gのNaOHと1.95gのNaAlO2を蒸留水15.00gに順次溶解し、更に、10.15gの40質量%水酸化テトラ-n-プロピルアンモニウム水溶液を蒸留水に添加した。そして、この溶液に蒸留水を加えて、全量が30mlの含浸液を調製した。
次に、シリカ成形体としてシリカビーズ(富士シリシア化学社製「キャリアクトQ−50」、10〜20メッシュ、平均細孔径50nm)を使用し、120℃で1日間乾燥した30gのシリカビーズを含浸液に1時間含浸させた。その後、シリカビーズを100℃の湯浴上に設置した蒸発皿上で乾燥させた後、更に80℃、窒素気流下で5時間乾燥して、結晶化に必要なNa、Al結晶化剤をシリカビーズに担持させ、結晶性メタノシリケート前駆体を得た。
(結晶化工程)
担持工程で得た前駆体を容積100mlのテトラフルオロエチレン製のジャケット付坩堝の中空部に配置し、坩堝の底部に1.00gの蒸留水を入れ、この坩堝を180℃の電気炉に8時間静置した。
(イオン交換工程)
結晶化工程を経た固形物を、60℃の1mol/L硝酸アンモニウム水溶液300gに浸漬して1時間攪拌した後、上澄み液を廃棄した。この操作を複数回繰り返した。その後、固形物を水洗した。
(焼成工程)
イオン交換工程後の固形物を、空気気流中において540℃で3.5時間焼成した。この焼成により、実施例1のH型MFI触媒を得た。
(実施例2)
結晶性メタロシリケート粉体(ZEOLYST社製NH4型MFI「5524G」、T原子:Al)を加圧成形した後、粗粉砕し、次いで分級した。この分級した0.7〜2.0mmの結晶性メタロシリケートを空気気流中において540℃で3時間焼成して、実施例2のH型MFI触媒を得た。
(実施例3)
担持工程においてNaOHを1.29g使用し、NaAlO2を0.67g使用した以外は、実施例1と同様にして実施例3のH型MFI触媒を得た。
(実施例4)
担持工程においてNaOHを1.40g使用し、NaAlO2を0.47g使用した以外は、実施例1と同様にして実施例4のH型MFI触媒を得た。
(実施例5)
担持工程においてNaOHを1.53g使用し、NaAlO2を0.23g使用した以外は、実施例1と同様にして実施例5のH型MFI触媒を得た。
(実施例6)
担持工程においてNaOHを1.61g使用し、NaAlO2を0.094g使用した以外は、実施例1と同様にして実施例6のH型MFI触媒を得た。
(実施例7)
結晶性メタロシリケート成形体にNH4型BEA(ZEOLYST社製「CP814E」、T原子:Al)を使用した以外は実施例2と同様にして、実施例7のH型BEA触媒を得た。
(比較例1)
担持工程においてNaOHを1.64g使用し、NaAlO2を0.047g使用し、80℃窒素気流下乾燥を7時間とした以外は、実施例1と同様にして比較例1のH型MFI触媒を得た。
(比較例2)
担持工程における窒素気流下乾燥を0.5時間とし、イオン交換工程における硝酸アンモニウム水溶液への浸漬および上澄み液の廃棄操作回数を比較例1よりも少なくした以外は、比較例1と同様にして比較例2のH型MFI触媒を得た。
(比較例3)
担持工程における窒素気流下乾燥を5時間とし、イオン交換工程における硝酸アンモニウム水溶液への浸漬および上澄み液の廃棄操作回数を比較例2よりも少なくした以外は、比較例2と同様にして比較例3のH型MFI触媒を得た。
(比較例4)
担持工程においてNaOHを1.99g使用し、NaAlO2を0.0094g使用し、40質量%水酸化テトラ-n-プロピルアンモニウム水溶液を16.92g使用した以外は、実施例1と同様にして比較例4のH型MFI触媒を得た。
(比較例5)
70質量部のNH4型MFI粉体(ゼオリストインターナショナル社製「CBV5524G」、T原子:Al)と30質量部のバインダーであるシリカをイオン交換水中に分散させた後、ペースト状になるまで濃縮した。この濃縮物を110℃で乾燥して得られた固形物を500℃で5時間焼成し、粗粉砕後、0.7〜2.0mmに分級して比較例5のH型MFI触媒を得た。
(比較例6〜8)
α−アルミナをバインダーに使用して成形された市販のメタロシリケート成形体を500℃で3時間焼成し、粗粉砕後、0.7〜2.0mmに分級して比較例6〜8のH型MFI触媒を得た。なお、使用した市販の結晶性メタロシリケートは、比較例6がNH4型MFI(ゼオリストインターナショナル社製「CBV5524GCY」、T原子:Al)、比較例7がNH4型MFI(SUD−CHEIE社製「SN486 H/99」、T原子:Al)、比較例8がNH4型MFI(ゼオリストインターナショナル社製「CBV3024ECY」、T原子:Al)である。また、使用した各結晶性メタロシリケート成形体における(結晶性メタロシリケート)/(バインダー)の質量比は、70/30である。
上記実施例および比較例の触媒を蛍光X線分析装置(PHILPS社製「PW2404」、Na2Oの検出限界:75ppm)で分析して、Na2Oに換算した触媒中におけるNaの含有量およびSi/Tを算出した。
また、次に述べる通り、上記実施例および比較例の触媒を使用して、グリセリンを脱水し、アクロレインを製造した。
(アクロレインの製造)
実施例および比較例の触媒を固定床にする反応器を使用した次の方法により、グリセリンを脱水してアクロレインを合成した。
先ず、実施例または比較例の触媒15mlを充填したステンレス製反応管(内径10mm、長さ500mm)を固定床反応器として準備し、この反応器を360℃の塩浴に浸漬した。その後、反応器内に窒素を61.5ml/minの流量で30分間流通させた後、80質量%グリセリン水溶液の気化ガスと窒素からなる反応ガス(反応ガス組成:グリセリン27mol%、水34mol%、窒素39mol%)を632hr-1の流量で流通させた。反応器内に反応ガスを流通させてから30〜60分および150〜180分の各30分間における流出ガスを冷却液化して捕集した(以下、「捕集した流出ガスの冷却液化物」を「流出物」と称する)。
そして、ガスクロマトグラフィ(GC)により、流出物の定性および定量分析を行った。GCによる定性分析の結果、グリセリン、アクロレインと共に1−ヒドロキシアセトンが検出された。また、定量分析結果から、転化率、アクロレイン収率、およびアクロレイン収率の変動を算出した。ここで、転化率は、(1−(捕集流出物中のグリセリンのモル数)/(30分間で反応器に流入させたグリセリンのモル数))×100、で算出される値である。また、アクロレインの収率は、((アクロレインのモル数)/(30分間に反応器に流入させたグリセリンのモル数))×100、で算出される値である。また、アクロレイン収率の変動は、(150〜180分のアクロレイン収率)/(30〜60分のアクロレイン収率)×100−100、で算出される値である。
表1に、実施例および比較例の触媒のSi/T、およびNa2O含量、並びに、転化率、アクロレイン収率、およびアクロレインの収率変動を示す。
Figure 0004791246
表1に示す通り、Si/Tが800を超える比較例1および2の触媒を使用したアクロレイン収率変動の絶対値は、何れも33%を超えた大きな変動となっている(Si/Tが1000の比較例3の触媒、およびSi/Tが5000の比較例4の触媒を使用したアクロレイン収率は、アクロレイン収率が2%程度であるので、アクロレインの製造に適したグリセリン脱水用触媒と呼べるものではない)。また、バインダー含有率が15質量%を越える比較例5〜8の触媒を使用したアクロレイン収率変動の絶対値も、何れも26%を超えた大きな変動となっている。一方で、Si/Tが800以下、バインダー含有量が15質量%以下の実施例の触媒を使用したアクロレイン収率変動の絶対値は、何れも12%以下の小さな変動である。従って、実施例の触媒を使用することにより、収率変動を抑えてアクロレインを製造したことを確認することができる。

Claims (6)

  1. T原子としてAlを含む結晶性メタロシリケートを有し、グリセリンの気相脱水に使用する触媒であって、前記結晶性メタロシリケートにおけるSi/Tが800以下、前記触媒がバインダーを有しないことを特徴とするグリセリン脱水用触媒。
  2. 前記結晶性メタロシリケートの結晶格子外カチオンにHを有する請求項1に記載のグリセリン脱水用触媒。
  3. 前記結晶性メタロシリケートがMFI型の結晶構造を有する請求項1または2に記載のグリセリン脱水用触媒。
  4. NaOに換算したNaの含有量が1.0質量%以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載のグリセリン脱水用触媒。
  5. 触媒の共存下において気相反応によりグリセリンを脱水してアクロレインを製造する方法であって、前記触媒が請求項1〜4のいずれか1項に記載のグリセリン脱水用触媒であることを特徴とするアクロレインの製造方法。
  6. 触媒の共存下において気相反応によりグリセリンを脱水してアクロレインを製造する工程を有するアクロレイン誘導体の製造方法であって、前記触媒が請求項1〜4のいずれか1項に記載のグリセリン脱水用触媒であることを特徴とするアクロレイン誘導体の製造方法。
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