JP4790515B2 - ウイリアムスコア形成用部品及び鋳型製作用模型 - Google Patents
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Description
図4に、鋳型51の断面図を模式的に示す。同図に示す鋳型51には、鋳物本体を鋳造する空隙52(鋳型空隙52)の他に、溶湯の通路となる湯口,湯道(湯口系53)や、凝固収縮を補う押湯54、その押湯による効果を増大させるためのウイリアムスコア55、汚塵等を除去する揚がり、ガス抜き用の空隙が形成される。なお、鋳型51は、通常、上型と下型とが別個に製作され、これらを重ね合わせて使用される(図4においては、つなぎ目を点線で示した)。
(1)鋳型製作用模型61の製作
同図(a)に示すように、鋳物と同じ形の鋳型製作用模型61、具体的には、「鋳物本体を鋳造するための部分」としての鋳物空隙形成部62と、湯口系と、「押湯を形成するための部分」としての押湯形成部63と、「ウイリアムコアを形成する部分」としてのウイリアムスコア形成部64と、ブローホール65とが設けられた「鋳物と同じ形の中空の鋳型製作用模型61」を製作する。なお、鋳型製作用模型61は、通常、分割線Dで示したところで上型と下型とが別個に製作される。
(2)鋳枠67の製作
同図(b)に示すように、鋳型製作用模型61に被せる適切な大きさの枠67(鋳枠67)を製作する。なお、鋳枠67は、通常、分割線Dで示したところで上型用と下型用とが別個に製作される。また、鋳枠67には型砂充填時にエアーを逃がすための孔があちこちに形成されるがここではその図を省略している。
(3)型砂の充填
同図(c)に示すように、鋳型製作用模型61と鋳枠67との間に型砂(型材)を充填する(点線矢視参照)。なお、型砂の充填は、通常、分割線Dで示したところで上型と下型とについて別個に行われる。
(4)型砂の硬化
同図(d)に示すように、充填された型砂を硬化させる(硬化させた型砂が鋳型51となる)。そして、鋳型製作用模型61と鋳枠67とを外して、上型と下型とを接合させる(同図においては点線でつなぎ目を示した)。
(5)減圧鋳造
同図(e)に示すように、鋳型51の鋳型空隙52に溶融金属を鋳込むと鋳物が出来上がる。同図では、減圧鋳造法により鋳込を行う例を示す。
このような鋳型製作用模型61を用いて、型砂を充填するときには(上記(3))、コールドボックス造型法(コア,ブロー)により、樹脂をコーティングした砂を吹き込んで鋳型製作用模型61の外表面に付着させる。そのため、型砂はウイリアムスコア形成部64に堆積してウイリアムスコア55を形成する。このとき、エアーは、ウイリアムスコア形成部64に形成されたブローホール65を通り、型砂はブローホール65を通らずに、鋳枠67の図示しない孔を通って外部へ抜ける。しかしながら、型砂には樹脂がコーティングされているため、ブローホール65に樹脂が染みつき、型砂が詰まることがある。型砂が詰まったままの状態で鋳型製作用模型61と、鋳枠67を外せば、出来上がる鋳型51のウイリアムスコア55に形状不良が生じる。
鋳型にウイリアムスコアを形成するためのウイリアムスコア形成用部品であって、
前記ウイリアムスコアの形状をかたどった凹部と、
前記凹部の先端部分に形成されるエアー抜き用のベンドホールと、
当該ウイリアムスコア形成用部品の外表面に形成され、かつ、鋳型製作用模型に着脱自在に固定するための固定手段と、
を備えたことを要旨とするものである。
この場合に、前記固定手段は、ねじ山であればよい。
この場合に、ウイリアムスコア形成用部品の取り付け取り外しに用いられる溝を備えることが望ましい。
鋳物本体を鋳造するための部分と、
メクラ押湯を形成するための部分とを備えた鋳型製作用模型であって、
上記記載のウイリアムスコア形成用部品を埋設するための埋設孔が形成されていることを要旨とするものである。
この場合に、前記埋設孔の内周面にねじ山を刻むことが望ましい。
また、ウイリアムスコア形成用部品は、その取り付け取り外しに用いられる溝を備えたものであるから、ドライバー等のジグを溝に差し込んで回すことにより、鋳型製作用模型へ取り付けたり、そこから取り外したりすることができる。従って、ウイリアムスコア形成用部品は、取り替え使用ができる。
本発明に係る鋳型製作用模型は、ウイリアムスコア形成用部品を固定するための埋設孔が形成されたものであるから、ウイリアムスコア形成用部品をその埋設孔に埋設したり、その埋設孔から取り外したりすることができる。従って、本発明に係る鋳型製作用模型は、ウイリアムスコア形成用部品を取り替えて使用することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係るウイリアムスコア形成用部品1の平面図、A−A線断面図及び底面図を示す。ウイリアムスコア形成用部品1は、凹部2と、ベンドホール3と、固定手段4とを備える。凹部2は、鋳型15(図3(d)参照)に形成されるウイリアムスコア5(図3(d)参照)の形状をかたどったものである。凹部2の形状によってウイリアムスコア5の形状が決まるため、凹部2の形状は重要であるが、特に限定されるものではなく、円錐状、角錐状など先端にかけて細くなっていくもの、板状のもので先端にかけて薄くなっていくものであればよい。
(1)本体原型及びベンドホール部原型の製作
同図(a)に示すように、本体9の原型としてベンドホール部10を圧入できる孔11が形成されたものを製作する。また、ベンドホール部10の原型としてベンドホール3が形成されたものを製作する。
(2)本体原型へのベンドホール部原型の圧入
同図(b)に示すように、本体9の原型へベンドホール部10の原型を圧入する。
(3)切削加工
同図(c)に示すように、本体原型の上部から切削加工を行い、凹部2や溝8等を形成する。凹部2は、本体9とベンドホール部10とを跨って形成される。また、凹部2はベンドホール3と連通させる。
(4)ウイリアムスコア形成用部品の完成
同図(d)に示すように、以上の工程によってウイリアムスコア形成用部品1が得られる。また、ウイリアムスコア形成用部品1は、本体9の外周面7にねじ山を刻むことによって、鋳型製作用模型6への固定が可能になる。
図3(a)に示す鋳型製作用模型6は、鋳型空隙形成部12と、押湯形成部13と、埋設孔14とを備える。鋳型空隙形成部12は、鋳型15(同図(d)参照)の「鋳物本体を鋳造するための部分」であり、その形状及び数は特に限定されるものではなく、目的とする鋳物に応じて任意に選択される。押湯形成部13は、鋳型15の「メクラ押湯を形成するための部分」であり、その形状及び数は特に限定されるものではなく、目的とする鋳物に応じて任意に選択される。一般に、目的とする鋳物の肉厚が厚くなるほど凝固収縮による引け巣が発生しやすいため、押湯形成部13は、厚肉の鋳型空隙形成部12に設けることが望ましい。
なお、ウイリアムスコア形成用部品1の外周面7に所定の突起を設ける場合には、内周面16に、その突起と係合する溝を設ければよい。例えば、埋設孔14の開口に向かって開口し、内周面16の周回方向に延びる溝を形成する。ウイリアムスコア側に設けた所定の突起を、埋設孔14の開口方向から挿入し、周回方向へ回すことで、溝に係合させる。こうすることでウイリアムスコア形成用部品1を取り付けることができる。
(1)ウイリアムスコア形成用部品1の鋳型製作用模型6への固定
同図(a)に示すように、ウイリアムスコア形成用部品1を鋳型製作用模型6の埋設孔14に固定する。この固定を行うときにはドライバー等を溝8に差し込んで、ウイリアムスコア形成用部品1を埋設孔14に取り付ける。ウイリアムスコア形成用部品1の外周面7及び埋設孔14の内周面16にねじ山が刻まれているときには、ウイリアムスコア形成用部品1を埋設孔14にねじ込めばよい。なお、接着材をウイリアムスコア形成用部品1のねじ山に塗布して、ウイリアムスコア形成用部品1を埋設孔14に埋設してもよい。こうすることで確実に固定することができる。
同図(b)に示すように、鋳枠17を製作し、これを、ウイリアムスコア形成用部品1が埋設された鋳型製作用模型6の上に被せる。実際には分割面Dで分割された各型ごとに、鋳枠17を被せる。
(3)型砂の充填
同図(c)に示すように、鋳型製作用模型6と鋳枠17との間に、コールドボックス造型法(コア,ブロー)により、樹脂をコーティングした砂を吹き込むことにより、型砂を充填する(点線矢視参照)。この型砂の充填により、ウイリアムスコア5が形成された中空の鋳型15の原型が得られる。型砂の充填は、実際には、分割面Dで分割された各型ごとに行う。
(4)型砂の硬化及び鋳型の完成
同図(d)に示すように、充填された型砂を硬化させる(硬化させた型砂が鋳型15となる)。そして、図示を省略するが、鋳型製作用模型6及び鋳枠17を取り外して、硬化した上型の型砂と、硬化した下型の型砂とを接合する。接合面は点線で示す。これによって、同図(d)に示した鋳型15が完成する。鋳型15には、ウイリアムスコア5が形成されている。
溶解用るつぼ18に金属を入れて溶解させ、溶湯Mとする。鋳型15を減圧室19にセットし、湯口20を溶湯Mに浸漬する。この状態から減圧室19を減圧すると、溶湯Mが湯口20、湯道21を通って、鋳物空隙22、メクラ押湯23へ流れ込み、凝固し、鋳物が得られる。メクラ押湯23に形成されたウイリアムスコア5には、熱が集中し、ウイリアムスコア5の周囲は、流れ込んだ溶湯Mが最後に凝固するところになる。そのため、引け巣が鋳物空隙22には発生しない。引け巣ができるとすれば、ウイリアムスコア5の周囲に符号Hで示す態様で発生することになるが、押湯19の部分は切り捨てられる部分であるため、問題はない。
上記手順に従って、鋳型製作用模型6を用いて、鋳型15が繰り返し製造される。このときに、ベンドホール3に樹脂が付着して詰まったりしたときや、その虞があるときは、ウイリアムスコア形成用部品1を外して別のウイリアムスコア形成用部品1を固定すればよい。
コールドボックス造型法(コア、ブロー)により型砂を吹き込むときには(上記(3))、ベンドホール3からエアーだけが抜けて、ウイリアムスコアの形状をかたどった凹部2に型砂が堆積し、ウイリアムスコア5が形成される。しかしながら、型砂は樹脂がコーティングされているため、ウイリアムスコア形成用部品1を埋設した状態の鋳型製作用模型6を繰り返し使用していると、ベンドホール3が目詰まりを起こすことがある。このようなときでも、ウイリアムスコア形成用部品1を外して、ここだけを新しいものに取り替えることができる。従って、鋳型製作用模型一式の再製作が不要となり、費用や時間を無駄にすることがない。
2 凹部
3 ベンドホール
4 固定手段
5 ウイリアムスコア
6 鋳型製作用模型
7 外周面
8 溝
9 本体
10 ベンドホール部
11 孔
12 鋳物空隙形成部
13 押湯形成部
14 埋設孔
15 鋳型
16 内周面
17 鋳枠
18 溶解用るつぼ
19 減圧室
20 湯口
21 湯道
22 鋳物空隙
23 メクラ押湯
Claims (5)
- 鋳型にウイリアムスコアを形成するためのウイリアムスコア形成用部品であって、
前記ウイリアムスコアの形状をかたどった凹部と、
前記凹部の先端部分に形成されるエアー抜き用のベンドホールと、
当該ウイリアムスコア形成用部品の外表面に形成され、かつ、鋳型製作用模型に着脱自在に固定するための固定手段と、
を備えたことを特徴とするウイリアムスコア形成用部品。 - 前記固定手段は、ねじ山であることを特徴とする請求項1に記載のウイリアムスコア形成用部品。
- 前記ウイリアムスコア形成用部品の頂部端面に形成された溝を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載のウイリアムスコア形成用部品。
- 鋳物本体を鋳造するための部分と、
メクラ押湯を形成するための部分とを備えた鋳型製作用模型であって、
請求項1から3のいずれかに記載のウイリアムスコア形成用部品を埋設するための埋設孔が形成されていることを特徴とする鋳型製作用模型。 - 前記埋設孔の内周面にねじ山を刻んだことを特徴とする請求項4に記載の鋳型製作用模型。
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