JP4789388B2 - インクジェット用インク、インクジェット記録方法、インクカートリッジ、インクジェット記録装置、インクジェット記録物 - Google Patents

インクジェット用インク、インクジェット記録方法、インクカートリッジ、インクジェット記録装置、インクジェット記録物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、普通紙を用いた記録に好適な、インクジェット記録方法、インクカートリッジ、インクジェット記録装置、インクジェット記録物に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方式は、記録の高速化、カラー化、高密度化などが容易なことから注目されており、インクジェット記録方式を採用した記録装置も普及している。
こうしたインクジェット記録方式に適用される記録紙として、コート紙タイプの紙が専用に用いられてきた。専用記録紙を用いることにより、例えば従来の銀塩写真にせまる高画質化が達成され、近年では個人ユーザーにまで広く普及してきた。
【0003】
一方、ビジネス分野においては、モノクロ画像やビジネスカラー画像を記録する場合が多く、電子写真方式の複写機やプリンタが既に広く普及している。近年、ビジネス文書にもカラー化が増えていることに加え、前述のインクジェットプリンタの価格が急激に低下してきたことから、オフィスにおいてもインクジェットプリンタが徐々に普及する傾向にある。
しかしながら、ビジネス分野においては、写真画質よりもむしろ高速印字性や低コスト化が優先されており、専用記録紙のコスト高が普及の大きな妨げになっている。すなわち、電子写真方式の複写機等と共存するオフィス内で、専ら用いられる普通紙(PPC用紙)と別に管理することの煩雑さも手伝い、入手性が高く、低価格である普通紙に対するインクジェット適性の優れた記録方法が望まれている。
【0004】
また、近年、プリンタの普及等によりますますプリント物が増加しつつある一方で、省資源の観点から紙の消費量を減らそうとの活動が盛んである。オフィスにおいても両面印字などにより、紙消費の削減の必要性がますます高まってきた。オフィスで用いられている記録紙としては、坪量が100g/m以上の厚手のものが用いられることは少なく、50〜100g/mの記録紙を用いることが大半であるため、両面印字の際の裏面に印字した画像の裏抜けが今まで以上に重要な課題となってきた。その面でも電子写真方式の方が有利であり、インクジェットプリンタのオフィスへの本格的普及には多くの課題が残されている。
【0005】
現在普及しているインクジェットプリンタで普通紙に記録した場合の問題点を整理すると以下の通りである。(1)水性のインクの吸収性に乏しく、多量のインクが付与されると、インクの乾燥、定着が遅い(インクが未定着、未乾燥の状態で記録面に物が触れると、形成された画像を損なう場合がある)。(2)水性のインクが紙層内に吸収される際に、紙を構成する繊維に沿ってにじみが生じるため、インクドットもしくは画像の外周形状がギザギザ等の不規則形状となる、いわゆるフェザリングが発生し、鮮明な文字、記録画像が得られない。(3)水性インクに用いた染料等の水溶性の着色剤を固定するための特別な構成を有するものではないので、記録画像の耐侯性、耐水性が不十分である。
(1)を解決するための手段としては、普通紙に対してインクの吸収速度を高くすることが有効であるが、紙の内部までインクが浸透してしまうことにより、画像濃度が低下したり、裏抜け濃度が高くなって両面印字性が低下するといった不具合が生じる。
(2)に関しては、例えば特開平7−133453号公報に記載されているように、インクの普通紙との接触角を50°〜130°とすることによって改善されるが、その場合はインクの乾燥速度が遅くなり、高速印字には不適である。
(3)に関しては、水溶性染料に代え、顔料を用いることが検討されている。この場合はノズルへの目詰まり等噴射安定性の課題がある。
以上のように、個々の問題点に対しては改善する手段は知られているものの、これらを同時に満足させる技術は未だ十分ではない。
【0006】
普通紙に対する浸透性を適切に制御して、乾燥性とフェザリングのバランスをとろうとする試みとして、特開平6−136307号公報では、普通紙に対する接触角が30°〜60°である記録用インクが開示され、さらに、特開平6−136308号公報では、普通紙に対する前進張力を5dyn/cmとすることで、乾燥速度と滲み改善の両立が図られている。これらの技術のように、普通紙に対するインクの特性を制御することで、乾燥性と滲みのバランスをとることが可能となってきた。
しかしながら、上記公報に記載の技術では、当時の画質要求レベルではほぼ満足の行く画像が得られるようになったものの、近年要求される画質レベル(例えば黒ベタの画像濃度で1.3以上)には達しないことが判明した。その原因は、紙の内部までインクが浸透していくこと、着色剤として用いている染料では乾燥性と画像濃度のバランスが限界にきていることが考えられる。さらに、上記公報に記載の技術では、染料を用いていることにより、前述した(3)の欠点を克服していない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点に鑑み、従来の技術より画質の向上を図り、高い画像濃度をより高速の印字で達成するためになされたものである。すなわち本発明の課題は、特別の表面処理がされていない普通紙に対しても、インクジェット専用のコート紙並の印字品質が得られ、とりわけ高速で印字した際にも、吐出安定性や保存安定性に優れ、かつ(1)良好な色調、(2)高い画像濃度、(3)文字、画像の周辺部分にフェザリングの生じない鮮鋭度の高い画像、(4)異なる色間の境界にじみ(カラーブリード)のない画像、(5)両面印刷にも耐えうる裏抜けの少ない画像(6)耐水性や耐光性などの画像の堅牢性 を与えることのできるインクジェット用インク、及びインクジェット記録方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明者は、比較的少ないインク量で十分高い画像濃度が得られることを必須条件とし、インクが記録紙上に広がった場合にも画像濃度が低下しないよう着色剤の濃度を考慮した上、普通紙への浸透性を適切に調節してインクジェット用インクを設計し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
本発明のインクジェット用インクは、水と着色剤と水溶性有機溶剤と炭素数8以上11以下の多価アルコール又はグリコールエーテルとを必須成分として含むインクジェット用インクにおいて、前記炭素数8以上11以下の多価アルコール又はグリコールエーテルが、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール又は2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールで、前記着色剤の含有量が6wt%以上であって、かつ、普通紙に対する吸収係数が3ml/(m ・(msec) 1/2 )以上であり、かつ、前記普通紙に対する自動接触角計で測定した場合の接触角θ 0 が10°以上40°未満である。
また、本発明のインクジェット用インクは、さらに、前記インクジェット用インクを普通紙に吐出させたときの接触1秒後の接触角θ と接触角θ との関係が、θ 1 >(1/2)・θ 0 表されるものである。
また、本発明のインクジェット用インクは、さらに、前記インクジェット用インクの25℃における粘度が5mPa・sec以上20mPa・sec以下であり、かつ、25℃における表面張力が40dyn/cm以下である
また、本発明のインクジェット用インクは、さらに、前記着色剤の重量平均粒子径が50nm以上200nm以下で、含有量が6wt%以上20wt%以下である。
【0010】
また、本発明のインクジェット用インクは、さらに、前記水溶性有機溶剤が、グリセリン、1,3−ブタンジオール、トリエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、プロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、およびトリメチロールエタンからなる群より選ばれる少なくとも1種類を湿潤剤として含有し、さらに炭素数8以上11以下の多価アルコール又はグリコールエーテルを含有する
また、本発明のインクジェット用インクは、さらに、前記湿潤剤の含有量が10wt%以上50wt%以下である。
また、本発明のインクジェット用インクは、さらに、前記湿潤剤の含有量が、前記着色剤に対する重量比で2.0以上6.0以下である。
また、本発明のインクジェット用インクは、さらに、前記湿潤剤の含有量が、前記着色剤に対する重量比で3.0以上5.0以下である。
【0011】
また、本発明のインクジェット用インクは、さらに、前記水溶性有機溶剤が、1,5−ペンタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオールからなる群より選択される少なくとも1種類を含む。
また、本発明のインクジェット用インクは、さらに、前記水溶性有機溶剤が、エチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ペンタエリスリトールからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む。
また、本発明のインクジェット用インクは、さらに、前記水溶性有機溶剤が、ラクタム類を含む。
また、本発明のインクジェット用インクは、さらに、前記ラクタム類が、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、ε−カプロラクタムからなる群より選ばれる少なくとも1種類以上を含む。
【0012】
また、本発明のインクジェット用インクは、さらに、尿素類又は糖類を含有する請求項1ないし13のいずれかに記載のインクジェット用インクである。
また、本発明のインクジェット用インクは、さらに、前記尿素類は、尿素、チオ尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンからなる群より選ばれる1種類を含む。
また、本発明のインクジェット用インクは、さらに、前記糖類は、マルチトース、ソルビトース、グルコノラクトン、マルトースからなる群より選ばれる少なくとも1種類を含む。
また、本発明のインクジェット用インクは、さらに、25℃における粘度が8mPa・sec以上20mPa・sec以下である。
【0013】
また、本発明のインクジェット用インクは、さらに、アニオン系又はノニオン系界面活性剤を含有する。
また、本発明のインクジェット用インクは、さらに、前記アニオン系又はノニオン系界面活性剤が、下記の一般式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種類を含む。
【化13】
Figure 0004789388
【0014】
【化14】
Figure 0004789388
【0015】
【化15】
Figure 0004789388
【0016】
【化16】
Figure 0004789388
【0017】
【化17】
Figure 0004789388
【0018】
【化18】
Figure 0004789388
【0019】
また、本発明のインクジェット用インクは、さらに、前記アニオン系又はノニオン系界面活性剤の含有量が、0.1wt%以上5wt%以下である。
また、本発明のインクジェット用インクは、さらに、25℃における表面張力が35dyn/cm以下である。
【0020】
本発明のインクジェット記録方法は、水と着色剤と水溶性有機溶剤と炭素数8以上11以下の多価アルコール又はグリコールエーテルとを必須成分として含むインクジェット用インクにエネルギーを付与して、微細孔から該インクジェット用インクを吐出させて記録を行うインクジェット記録方法において、前記インクジェット用インクが、前記炭素数8以上11以下の多価アルコール又はグリコールエーテルが、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール又は2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールで、前記着色剤の含有量が6wt%以上であって、かつ、普通紙に吐出させたときの吸収係数を3ml/(m ・(msec) 1/2 )以上とし、かつ、このときの自動接触角計で測定した場合の接触角θ 0 を10°以上40°未満である。
また、本発明のインクジェット記録方法は、さらに、前記インクジェット用インクを普通紙に吐出させたときの接触1秒後の接触角θ と接触角θ 0 との関係が、θ >(1/2)・θ で表される。
【0021】
また、本発明のインクジェット記録方法は、さらに、用いる記録紙が坪量50g/m以上100g/m以下の普通紙である。
また、本発明のインクジェット記録方法は、さらに、前記インクジェット用インクに熱エネルギーを作用させてインク吐出を行う。
また、本発明のインクジェット記録方法は、さらに、前記インクジェット用インクに力学的エネルギーを作用させてインク吐出を行う
また、本発明のインクジェット記録方法は、さらに、インク滴1個の体積(Mj)が2pl以上35pl以下、周波数が1kHz以上、解像度が300dpi以上のワンパス印字条件にて記録を行う。
【0022】
また、本発明のインクジェット記録方法は、さらに、前記インクジェット用インクが、25℃における粘度が5mPa・sec以上20mPa・sec以下であり、かつ、25℃における表面張力が40dyn/cm以下である。
また、本発明のインクジェット記録方法は、さらに、前記インクジェット用インクが、前記着色剤の重量平均粒子径が50nm以上200nm以下で、含有量が6wt%以上20wt%以下である。
【0023】
また、本発明のインクジェット記録方法は、さらに、前記水溶性有機溶剤が、グリセリン、1,3−ブタンジオール、トリエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、プロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、およびトリメチロールエタンからなる群より選ばれる少なくとも1種類を湿潤剤として含有し、さらに炭素数8以上11以下の多価アルコール又はグリコールエーテルを含有する。
また、本発明のインクジェット記録方法は、さらに、前記湿潤剤の含有量が、10wt%以上50wt%以下である。
また、本発明のインクジェット記録方法は、さらに、前記湿潤剤の含有量が、前記着色剤に対する重量比で2.0以上6.0以下である。
また、本発明のインクジェット記録方法は、さらに、前記湿潤剤の含有量が、前記着色剤に対する重量比で3.0以上5.0以下である。
【0024】
また、本発明のインクジェット記録方法は、さらに、前記水溶性有機溶剤が、1,5−ペンタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオールからなる群より選択される少なくとも1種類を含む。
また、本発明のインクジェット記録方法は、さらに、記水溶性有機溶剤が、エチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ペンタエリスリトールからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む
また、本発明のインクジェット記録方法は、さらに、前記水溶性有機溶剤が、ラクタム類を含む。
また、本発明のインクジェット記録方法は、さらに、前記ラクタム類が、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、ε−カプロラクタムからなる群より選ばれる少なくとも1種類以上を含む。
【0025】
また、本発明のインクジェット記録方法は、さらに、前記インクジェット用インクが、尿素類又は糖類を含有する。
また、本発明のインクジェット記録方法は、さらに、前記尿素類が、尿素、チオ尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンからなる群より選ばれる1種類を含む
また、本発明のインクジェット記録方法は、さらに、前記糖類が、マルチトース、ソルビトース、グルコノラクトン、マルトースからなる群より選ばれる少なくとも1種類を含む。
また、本発明のインクジェット記録方法は、さらに、前記インクジェット用インクが、25℃における粘度が8mPa・sec以上20mPa・sec以下である。
【0026】
また、本発明のインクジェット記録方法は、さらに、前記インクジェット用インクが、アニオン系又はノニオン系界面活性剤を含有する。
また、本発明のインクジェット記録方法は、さらに、前記アニオン系又はノニオン系界面活性剤が、下記の一般式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種類を含む。
【化19】
Figure 0004789388
【0027】
【化20】
Figure 0004789388
【0028】
【化21】
Figure 0004789388
【0029】
【化22】
Figure 0004789388
【0030】
【化23】
Figure 0004789388
【0031】
【化24】
Figure 0004789388
【0032】
また、本発明のインクジェット記録方法は、さらに、前記アニオン系又はノニオン系界面活性剤の含有量が、0.1wt%以上5wt%以下である。
また、本発明のインクジェット記録方法は、さらに、前記インクジェット用インクが、25℃における表面張力が35dyn/cm以下である。
【0033】
本発明のインクカートリッジは、水と着色剤と水溶性有機溶剤と炭素数8以上11以下の多価アルコール又はグリコールエーテルとを必須成分として含むインクジェット用インクを収納するインクカートリッジにおいて、前記インクジェット用インクが、前記炭素数8以上11以下の多価アルコール又はグリコールエーテルが、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール又は2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールで、前記着色剤の含有量が6wt%以上であって、かつ、普通紙に対する吸収係数が3ml/(m ・(msec) 1/2 )以上であり、かつ、前記普通紙に対する自動接触角計で測定した場合の接触角θ 0 が10°以上40°未満である
た、本発明のインクカートリッジは、さらに、前記インクジェット用インクを普通紙に吐出させたときの接触1秒後の接触角θ と接触角θ 0 との関係が、θ >(1/2)・θ で表されるインクジェット用インクを収納してなる。
【0034】
本発明のインクジェット記録装置は、記録紙を搬送する搬送部と、水と着色剤と水溶性有機溶剤と炭素数8以上11以下の多価アルコール又はグリコールエーテルとを必須成分として含むインクジェット用インクを記録紙に付着させる付着部と、を有し、前記記録紙に画像を形成するインクジェット記録装置において、
前記インクジェット用インクが、該炭素数8以上11以下の多価アルコール又はグリコールエーテルが、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール又は2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールで、前記着色剤の含有量が6wt%以上であって、かつ、普通紙に対する吸収係数が3ml/(m ・(msec) 1/2 )以上であり、かつ、前記普通紙に対する自動接触角計で測定した場合の接触角θ 0 が10°以上40°未満である。
また、本発明のインクジェット記録装置は、さらに、前記インクジェット用インクが、前記インクジェット用インクを普通紙に吐出させたときの接触1秒後の接触角θ と接触角θ 0 との関係が、θ >(1/2)・θ で表される。
本発明のインクジェット記録物は、前記インクジェット記録方法により作製される。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を説明する。
本発明のインクジェット用インクは、水と着色剤と水溶性有機溶媒を必須成分とし、着色剤を6wt%以上含有するものである。少ないインク量で十分高い画像濃度を得るために、また、インクが普通紙上に広がった際にも画像濃度の極度の低下を招かないために、着色剤の含有量を6wt%以上とする。
【0036】
加えて本発明のインクジェット用インクは、動的走査吸液装置により測定された普通紙に対する吸収係数が、3ml/(m・(msec)1/2)以上であり、かつ普通紙に対する接触角θ0が10°以上40°未満である。
ここで、動的走査吸液測定とは、文献「動的走査吸液計の開発と応用」(紙パルプ技術協会誌48(5)、p88(1994)、空閑ら)中に記載されている装置及び方法を用いて行うものである。得られた測定プロットから近似出来る直線部分の傾きを、J.TAPPI紙パルプ試験方法No.51−87「紙及び板紙の液体吸収性試験方法(ブリストー法)」で定義される吸収係数とする。吸収係数が大きい程、インクが記録紙に対し素早く浸透することを意味している。
普通紙に対する吸収係数が、3ml/(m・(msec)1/2)未満である場合には、紙面上に付着した後も比較的長時間インクが残存し、次の記録紙に記録が行われて重なった場合画像乱れを生じるため、高速印字性が達成されない。したがって、普通紙に対しても高速印字性を有するインクとするために、本発明のインクジェット用インクは、3ml/(m・(msec)1/2)以上の吸収係数を有するものとする。
【0037】
また、接触角の測定は、普通紙上にインク1滴を滴下した時の状態を水平方向から観察することによって行うものであり、例えば、自動接触角計(協和界面科学株式会社製)を用いて測定することができる。本発明のインクジェット用インクでは、滴下直後の接触角θ0が10°以上40°未満である。図1は、本発明のインクジェット用インクを普通紙に滴下したときのインク滴を模式的に示す図である。普通紙に対する接触角θ0を10°以上40°未満に制御することで、インク滴が形成する画像のドットサイズがインク滴直径の1.5倍〜5倍程度で、比較的円に近い形状とすることができる。
一方、接触角θ0が40°以上であると、普通紙に付着したインク滴の広がりが十分でなく、高い画像濃度が得られないか、もしくは画像濃度を得るために多量のインクを付着させる必要が生じ、乾燥時間が遅れたり、コックリングなどの不具合を生じる。さらに、図2は、普通紙に対する接触角θ0が40°以上であるインク滴を模式的に示す図である。普通紙表面はパルプ繊維が露出した状態であるため、インクの吸収性は不均一となり、図2に示すように、インク滴は紙面上で広がらずに堆積し、一定時間を経過すると、毛管力によって、あるいはミクロ的に繊維の弱い部分に集中して吸収される。これにより、部分的に普通紙裏面にインクが貫通することがあり、画像の裏抜け濃度が高くなって両面印字性を低下させる。
また、図3は、接触角θ0が10°未満であるインク滴を模式的に示す図である。接触角θ0が10°未満である場合には、インクが紙面上に着弾と同時に必要以上に広がり、この際、着色剤の粒子も普通紙の繊維に沿って移動してしまうため、結果としてフェザリングが発生したり画像の輪郭がボケてしまう。さらに、紙の内部にまでインクが浸透することにより画像濃度を低下させ、また裏抜け濃度も高くなって両面印字性を低下させる。
【0038】
また、本発明のインクジェット用インクは、普通紙の対する接触角θ0が10°以上40°未満で、かつ、接触1秒後の接触角θとθの関係が、θ1>(1/2)・θ0で表されるものとする。
特開2000−144028号公報では、測定開始から10秒までの動的接触角の変化量を測定時間(10秒)で除した値を時間変化率として規定し、その値が0.5〜3.5°/秒であるインクが開示されているが、本発明のインクジェット用インクは、高速印字性を向上させるために普通紙への吸収性を大きく改善しており、インクを紙面上に滴下してからの接触角の経時変化が大きいものであるから、このような測定は適さない。そこで、本発明においてはニードルからインク滴(約5μL)を普通紙上に静かに滴下した時の状態を高速度カメラで撮影し、インク滴の映像を時間変化と共に解析することによって接触角の時間変化を測定した。
上記のように、接触1秒後の接触角θとθの関係が、θ1>(1/2)・θ0を満たす場合には、画像濃度、インクの乾燥速度が適正で、画像の裏抜けが少なく両面印字性に優れる。
一方、図4は、θ1が(1/2)・θ0よりも小さくなるインク滴を模式的に示す図である。図4に示すように、インクは過度に広がって滲みが生じ、画像濃度が低下するばかりでなく、画像の裏抜けが大きくなり、両面印字性を低下させる。
なお、本発明者の実験によれば、インクの接触後約2秒以後は記録紙裏面(表面)からのインクの広がりにより正確な接触角を測定することは不可能であるが、1秒後の接触角θ1はインクと記録紙の相互物性を正確に反映していることが確認されている。
【0039】
また、上記したように、普通紙に対する吸収係数が、3ml/(m・(msec)1/2)以上であり、かつ普通紙に対する接触角θ0が10°以上40°未満であり、さらに接触1秒後の接触角θが、θ1>(1/2)・θ0であることを同時に満足するインクジェット用インクであれば、よりいっそう画像濃度が高く、滲みのない鮮明な画像が得られるとともに、画像の裏抜けが著しく低減し、両面印字性に優れるため、一層好ましい。
【0040】
本発明のインクジェット用インクは、25℃における粘度が5mPa・sec以上20mPa・sec以下であり、表面張力が40dyn/cm以下であることが好ましい。このように高粘度低表面張力のインクを用いることにより、印字品質を格段に向上させることができる。従来のインクジェットプリンタに用いられてきた3mPa・sec程度の低粘度インクでは、普通紙に着弾した際に普通紙の繊維に沿ってインクが流れて広がる傾向が強いため、画像の輪郭が滲んだような形状になるフェザリング現象が発生するのに対し、本発明の5mPa・sec以上20mPa・sec以下の粘度を有するインクでは、普通紙の繊維に沿ってインクが流れる現象を抑えることができる。より好ましくは、8mPa・sec以上の高粘度インクであり、普通紙表面との親和性によって広がる力が支配的になるため、フェザリングがほとんどなくなる。尚、20mPa・sec以上の高粘度になると、ノズルからのインク吐出が不安定になったり、普通紙への浸透性が低下して、画像の定着性が低下するため好ましくない。
また、インクの25℃における表面張力を40dyn/cm以下にすることで、インクのヘッド部材への濡れが良くなるために、例えば8mPa・sec以上の高粘度インクでも周波数応答性が向上し、吐出安定性を格段に向上させることができる。
【0041】
上記の特性を有するインクジェット用インクは、以下の構成からなる。すなわち、可視像として記録するための着色剤、乾燥を防止する湿潤剤としての水溶性有機溶剤、適度の粘度と普通紙への浸透性を付与するための有機溶剤、及び水とを必須成分とし、更に必要に応じて添加剤として、特性制御剤、界面活性剤、樹脂エマルション、防腐剤、pH調製剤などからなる。
【0042】
以下、本発明のインクジェット用インクの各構成要素について説明する。
着色剤
本発明に用いる着色剤は各種染料、顔料いずれでもよいが、画像堅牢性の面で好適には顔料が用いられる。顔料に関しては、特にその種類を限定することなく、無機顔料、有機顔料を使用することができる。無機顔料としては、酸化チタン及び酸化鉄に加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。また、有機顔料としては、アゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などを含む)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ぺリレン顔料、ぺリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用できる。
本発明において好ましく用いられる着色剤の具体例としては、以下のものが挙げられる。
黒色用としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、または銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料があげられる。
さらに、カラー用としては、C.I.ピグメントイエロー1(ファストイエローG)、3、12(ジスアゾイエローAAA)、13、14、17、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、81、83(ジスアゾイエローHR)、95、97、98、100、101、104、408、109、110、117、120、138、153、C.I.ピグメントオレンジ5、13、16、17、36、43、51、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22(ブリリアントファーストスカレット)、23、31、38、48:2(パーマネントレッド2B(Ba))、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3(パーマネントレッド2B(Sr))、48:4(パーマネントレッド2B(Mn))、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81(ローダミン6Gレーキ)、83、88、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、185、190、193、209、219、C.I.ピグメントバイオレット1(ローダミンレーキ)、3、5:1、16、19、23、38、C.I.ピグメントブルー1、2、15(フタロシアニンブルーR)、15:1、15:2、15:3(フタロシアニンブルーE)、16、17:1、56、60、63、C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36等がある。
本発明の好ましい態様によれば、上記の着色剤のうち、水と親和性の良いものが好ましく用いられる。
【0043】
着色剤の重量平均粒子径は、50nm以上500nm以下が好ましく、さらに好ましくは200nm以下である。重量平均粒子径が500nmを超えると、画像定着性が劣るものとなる。また、重量平均粒子径が50nm未満では、インク粘度が高くなり、ノズル詰まりを生じやすい。着色剤の重量平均粒子径が上記範囲であることにより、画像濃度が高く、定着性に優れた画像を得ることができる。
また、着色剤の含有量は、6wt%以上20wt%以下が好ましく、より好ましくは8wt%以上である。インクが普通紙に浸透したときにも画像濃度の極度の低下を招かないために、6wt%以上とすることは前述の通りであるが、8wt%以上とすることで、十分な画像濃度を確実に得ることができる。一方、着色剤の含有量を高くするとインクの粘度が高くなり、ノズル詰まりを起こしやすくなるため、20wt%以下とすることが好ましい。
【0044】
上記着色剤は、水及び水溶性有機溶剤への分散性を向上させるため、着色剤に親水性基を直接導入した自己分散型、高分子または界面活性剤を分散剤として表面に吸着させた分散剤分散型、あるいは樹脂中に着色剤を包埋したマイクロカプセル型等の形態により用いられる。
【0045】
自己分散型としては、イオン性の親水性基を有する着色剤が好ましく、アニオン性に帯電したものやカチオン性に帯電したものが好適である。
アニオン性に帯電した着色剤表面に結合されている親水性基としては、例えば、−COOM、−SOM、−POHM、−PO、−SONH、−SONHCOR(但し、式中のMは水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は有機アンモニウムを表わし、Rは炭素原子数1〜12のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基又は置換基を有してもよいナフチル基を表わす。)等が挙げられる。これらの中で、特に、−COOM、−SOMを着色剤表面に結合させたものが好ましい。
又、上記親水性基中の「M」に含まれるアルカリ金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられ、有機アンモニウムとしては、モノ乃至トリメチルアンモニウム、モノ乃至トリエチルアンモニウム、モノ乃至トリメタノールアンモニウムが挙げられる。
アニオン性に帯電した着色剤を得る方法としては、例えば、着色剤を次亜塩素酸ナトリウムで酸化処理する方法、スルホン化する方法、ジアゾニウム塩を反応させる方法等を用いることができるが、勿論、本発明はこれらに限定されるわけではない。
【0046】
カチオン性に帯電した着色剤表面に結合されている親水性基としては、例えば、第4級アンモニウム基が好ましく、より好ましくは、下記に示す構造を有する第4級アンモニウム基が挙げられ、本発明においては、これらのいずれかが着色剤表面に結合されたものが好ましく使用される。
【0047】
【化25】
Figure 0004789388
【0048】
上記した様な親水性基が結合されたカチオン性の自己分散型着色剤を得る方法としては、例えば、
【化26】
Figure 0004789388
の構造のN−エチルピリジル基を結合させる方法として、着色剤を3−アミノ−N−エチルピリジウムブロマイドで処理する方法等が挙げられるが、勿論、本発明はこれに限定されない。
【0049】
又、本発明においては、上記に挙げた様な親水性基が、他の原子団を介して着色剤の表面に結合されていてもよい。他の原子団としては、例えば、炭素原子数1〜12のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基又は置換基を有してもよいナフチル基が挙げられる。上記した親水性基が他の原子団を介して着色剤の表面に結合する場合の具体例としては、例えば、−CCOOM、−PhSOM、−C10NH 等が挙げられるが、勿論、本発明はこれらに限定されない。
【0050】
次に、分散剤分散型着色剤を作製するための分散液としては、例えば以下のものが挙げられる。ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸−アクリロニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−エチレン共重合体、酢酸ビニル−脂肪酸ビニルエチレン共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体等が挙げられる。
本発明の好ましい態様によれば、これらの共重合体は重量平均分子量が3,000〜50,000であるのが好ましく、より好ましくは5,000〜30,000、最も好ましくは7,000〜15,000である。分散剤の添加量は、着色剤を安定に分散させ、本発明の他の効果を失わせない範囲とし、着色剤と分散剤との割合としては、1:0.06〜1:3の範囲が好ましく、より好ましくは1:0.125〜1:3の範囲である。
【0051】
その他の着色剤の分散方法として、着色剤をマイクロカプセルとして樹脂粒子中に包含させ、水中に分散可能としたものであっても良い。カプセル化の方法は、コアセルベーション法、相分離法等公知のマイクロカプセル化法によって作製可能であり、例えば特開平1−170672号公報、特開平5−3944号公報、特開平6−313141号公報等に記載されている方法を用いることができる。
【0052】
水溶性有機溶剤
本発明のインクジェット用インクは水を液媒体として使用するものであるが、インクの乾燥を防止する湿潤剤として、水溶性有機溶剤を必須成分とする。水溶性有機溶剤の使用は、インクを所望の物性にし、また、着色剤の溶解安定性を向上させるという目的も兼ねる。加えて、本発明では、特に、普通紙に対する接触角と浸透性を制御する機能を発揮させる意味で、水溶性有機溶剤の選択は重要である。
湿潤剤としての水溶性有機溶剤の具体例としては、以下のものが挙げられる。これら水溶性有機溶媒は、適宜複数混合して使用することが望ましい。エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、ペトリオール等の多価アルコール類;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミイダゾリジノン、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物;ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアミン類;ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物類;プロピレンカーボネート、炭酸エチレン等である。
【0053】
これら水溶性有機溶剤の中でも、特に、グリセリン、1,3−ブタンジオール、トリエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、プロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンが好ましい。これらは、特に着色剤の溶解安定性に優れ、また、水分蒸発による噴射特性不良の防止に対しても優れた効果を発揮するからである。
【0054】
上記湿潤剤の含有量は10wt%以上50wt%以下であることが好ましい。湿潤剤の含有量が10wt%未満であると、インクの乾燥を十分に防止することができない。また、湿潤剤の含有量が50wt%を超えると、インクの最適な粘度が得られないからである。
また、着色剤の含有量の好ましい範囲は、先に示したとおり6wt%以上20wt%以下であるが、例えば、着色剤の含有量に対する湿潤剤の含有量が十分でないと、ノズルプレート上で着色剤の乾燥が進み吐出不良をもたらしてしまう。すなわち、着色剤と湿潤剤との含有量の比が、ヘッドからのインク吐出安定性に与える影響は大きいため、両者の比を考慮する必要がある。そこで、湿潤剤の含有量は、着色剤に対する重量比で、2.0以上6.0以下が好ましく、より好ましくは3.0以上5.0以下の範囲である。この範囲にあるインクは、乾燥性や保存試験や信頼性試験が非常に良好である。
【0055】
浸透性付与剤
本発明のインクジェット用インクは、上記湿潤剤に加えて、普通紙に対する浸透性を付与する有機溶剤として炭素数8以上11以下の多価アルコール又はグリコールエーテルを含有することを特徴とする。
これらの有機溶剤をインクジェット用インク全重量に対して0.1〜10.0wt%添加したところ、普通紙に対するインクの接触角を著しく低下させることが分かり、本発明における重要な材料と知見した。さらに、インク中にこれを少量添加することによって、インク吐出ヘッドの液室や熱素子への濡れ性が著しく改良され、吐出安定性および周波数安定性が得られることが分かった。
炭素数8以上11以下の多価アルコール又はグリコールエーテルは、25℃の水中において0.1wt%以上4.5wt%未満の溶解度を有する部分的に水溶性の多価アルコール又はグリコールエーテルが好ましい。特に好適な有機溶剤として、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール(20℃における溶解度:4.2wt%)、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール(25℃における溶解度:2.0wt%)があげられる。これらの有機溶剤は、普通紙に対する浸透性が極めて高いため、本発明のインクジェット用インクの普通紙に対する吸収係数、あるいは接触角を制御するには好適の材料である。
尚、水に対する溶解度の低さは、他の有機溶剤、界面活性剤との組み合わせにより、その溶解性を補うことができる。このような材料の組み合わせにより、高浸透性のインクジェット用インクを作製することが可能となる。
【0056】

本発明のインクジェット用インクに用いられる水は、粒子の沈殿等を防止したり、適度な電気絶縁性を持たせる意味で不純物、特にイオン性物質の少ないものが好ましく、純水、超純水、蒸留水、イオン交換水等を用いることができる。
【0057】
特性制御剤
本発明のインクジェット用インクは、特性制御剤として尿素類又は糖類を含むことが好ましい。尿類又は糖類は、水との親和性が強いことから、インクに含まれる水の蒸発を防止する効果がある。本発明のインクジェット用インクは、着色剤の含有量が6wt%以上と高いため、尿素類又は糖類を添加することでインクの乾燥を抑制し、ノズルの目詰まりが生じるのを効果的に防止する。
尿素類として好ましい化合物は、尿素、チオ尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンである。これらの化合物は、特にノズルの目詰まり防止効果が高い。
また、糖類の例としては、単糖類、二糖類、オリゴ糖類(三糖類および四糖類を含む)および多糖類があげられる。これらの糖類は誘導体を用いても良い。誘導体としては、還元糖(例えば、糖アルコール(一般式:HOCH(CHOH)CHOH 但し、nは2〜5の整数を表す。))、酸化糖(例えば、アルドン酸、ウロン酸など)、アミノ酸、チオ酸などがあげられる。
糖類の好ましい化合物としては、マルトース、ソルビトース、グルコノラクトン、マルトースである。これらの化合物は、特にノズルの目詰まり防止効果が高い。
【0058】
界面活性剤
本発明のインクジェット用インクに界面活性剤を添加することにより、普通紙への濡れ性をさらに改善することができる。特に、アニオン系又はノニオン系界面活性剤が普通紙に対するインク特性を改善するのに好適である。先に示した一般式(I)、(II)で表される化合物がアニオン系界面活性剤として好適な例、また、一般式(III)〜(VI)で表される化合物がノニオン系界面活性剤として好適な例である。これらの化合物は単独で、あるいは複数を組み合わせて用いることができる。
一般式(I)で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、又は一般式(II)で表される炭素鎖が5〜7の分岐したアルキル鎖を有するジアルキルスルホ琥珀酸は、普通紙に対するインク特性を改善するとともに、さらに着色剤の溶解・分散安定性を向上させる。また、一般式(I)、(II)のMをリチウムイオン、第4級アンモニウム、第4級ホスホニウムとすることで、優れた溶解安定性を得ることができる。
また、一般式(III)で表されるポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、一般式(IV)で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテル、一般式(V)で表されるポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、あるいはポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンアルキルエーテル、一般式(VI)で表されるアセチレングリコール系化合物を用いることにより、インクの浸透性を相乗的に向上させることができ、これにより色境界にじみが低減され、また文字にじみも少ないインクを得ることができる。
上記に示した一般式(I)〜(VI)で表される界面活性剤の添加量は、0.05wt%以上10wt%以下が好ましく、更に好ましくは、0.1wt%以上5wt%である。上記範囲とすることで、プリンターシステムにより要求されるインク特性に対し所望の浸透性をあたえることが可能である。界面活性剤の添加量が0.05wt%未満では、いずれの場合も2色重ね部の境界でのにじみが発生し、また、10wt%を超えると界面活性剤自体が低温で析出しやすくなるため信頼性を欠く原因となる。
【0059】
樹脂エマルション
樹脂エマルションとは、連続相が水であり、分散相が次の様な樹脂成分であるエマルションを意味する。分散相の樹脂成分としてはアクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン系樹脂などがあげられる。
本発明の好ましい態様によれば、この樹脂成分は親水性部分と疎水性部分とを併せ持つ重合体であるのが好ましい。また、これらの樹脂成分の粒子径はエマルションを形成する限り特に限定されないが、150nm程度以下が好ましく、より好ましくは5〜100nm程度である。
これらの樹脂エマルションは、樹脂粒子を、場合によって界面活性剤とともに水に混合することによって、もしくは乳化重合法等既知の重合方法によって得ることができる。例えば、アクリル系樹脂又はスチレン−アクリル系樹脂のエマルションは、スチレンと(メタ)アクリル酸エステルとを過硫酸カリウム等の水溶性ラジカル重合開始剤とともに水と混合し、必要に応じて界面活性剤を加え、不活性ガス雰囲気下で重合することによって得ることができる。
また、樹脂エマルションの添加量は、その樹脂成分がインク全重量の0.1〜20wt%であるのが好ましく、より好ましくは1〜10wt%の範囲である。
樹脂エマルションは、記録紙に付着後、乾燥過程において増粘・凝集する性質を持ち、着色剤の浸透を抑制し、さらに記録紙への定着を促進する効果を有する。また、樹脂エマルションの種類によっては記録紙上で皮膜を形成し、印刷物の耐擦性をも向上させる効果を有する。
【0060】
防腐剤
防腐剤としては、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム等を使用することができる。
【0061】
pH調整剤
pH調整剤としては、インク特性に悪影響を及ぼさずにpHを7以上に調整できるものであれば、任意の物質を使用することができる。
その例として、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属元素の水酸化物、水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム水酸化物、第4級ホスホニウム水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩等が挙げられる。
【0062】
その他の添加剤
その他の添加剤として、例えば、防錆剤として、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライト等がある。
また、目的に応じて水溶性紫外線吸収剤、水溶性赤外線吸収剤等を添加することができる。
【0063】
次に、本発明のインクジェット記録方法は、水と着色剤と水溶性有機溶剤を必須成分とするインクジェット用インクにエネルギーを付与して、微細孔からインクジェット用インクを吐出させて記録を行うインクジェット記録方法であって、インクジェット用インクを普通紙に吐出させたときの吸収係数を3ml/(m・(msec)1/2)以上とし、かつ、このときの接触角θ0を10°以上40°未満とする記録方法である。前述の通り、吸収係数は動的走査吸液装置により測定されるものであり、この値が3ml/(m・(msec)1/2)以上であれば、普通紙に対しても高速印字が達成できる。また、インク滴の普通紙に対する接触角θ0を10°以上40°未満とすることにより、インク滴が形成する画像のドットサイズがインク滴直径の1.5倍〜5倍程度で、比較的円に近い形状とすることができ、高い画像濃度が得られる。また、画像裏抜けもなく、両面印字性に優れる。一方、接触角θ0が40°以上であると、普通紙に付着したインク滴の広がりが十分でなく、高い画像濃度が得られない。また、インクの吸収性が不均一となるため、部分的に普通紙裏面にインクが貫通することがあり、画像の裏抜け濃度が高くなって両面印字性を低下させる。接触角θ0が10°未満である場合には、インクが紙面上に着弾と同時に必要以上に広がるため、着色剤の粒子も普通紙の繊維に沿って移動し、フェザリングの発生や、画像の輪郭ボケが生じる。さらに、紙の内部にまでインクが浸透することにより画像濃度を低下させ、また裏抜け濃度も高くなって両面印字性を低下させる。
【0064】
また、インクジェット用インクを普通紙に吐出させたときの接触角θ0を10°以上40°未満とし、かつ、接触1秒後の接触角θ1と接触角θ0との関係を、θ1>(1/2)・θ0 で表される関係とすることでも上記と同様の効果を得ることができる。接触1秒後の接触角θ1は、先にも示したように、普通紙上に静かに滴下したインク滴の状態を高速度カメラで撮影し、インク滴の映像を時間変化と共に解析することによって測定できる。θ1が(1/2)・θ0よりも小さくなると、インクは過度に広がって滲みが生じ、画像濃度が低下するばかりでなく、画像の裏抜けが大きくなり、両面印字性を低下させる。
【0065】
本発明のインクジェット記録方法は、上記のように普通紙に対する高速印字性、高画像濃度、及び良好な両面印字性を達成できる方法であるため、一般的にオフィスで電子写真方式の複写機用に用いられている坪量50g/m以上100g/m以下のPPC用紙を用いることが可能である。すなわち、インクジェット記録用の専用紙を用いなくとも、低価格の記録紙で、良好な画像を得ることができるため、インクジェット記録装置のオフィスにおける利用等、利用の幅を広げることができる。
【0066】
また、更に高速の印字を行う方法として、記録ヘッドのスキャン回数が1回のみのワンパス印字がある。この場合、一度に多量のインクを吐出することになり、記録画像の乾燥速度が低下する、あるいは、乾燥速度の低下を防ぐため、インクの浸透性を上げることで、今度は画像滲みが増えたり、画像濃度が低下するといった不具合が生じる。そこで、本発明のインクジェット用インクを用いることで、このような高速印字も対応し、画像滲みもなく、画像濃度も高く、インクの記録紙への適正な浸透性により、記録画像の乾燥速度も速く、良好な画像を提供することができる。ワンパス印字条件としては、特にインク滴1個の体積(Mj)が2pl以上35pl以下、周波数が1kHz以上、解像度が300dpi以上とすることが好ましい。このような条件により、高画質の画像を得ることができる。
【0067】
尚、本発明のインクジェット記録方法に好適に用いられるインクジェット用インクは、前述した通りであり、ここでは説明を省く。
【0068】
次に、本発明のインクジェット用インク、及びインクジェット記録方法をインクカートリッジ、及びインクジェット記録装置に用いた例を示す。尚、以下は構成例の1つに過ぎず、本発明になんら限定を加えるものではない。
図5は、本発明のインクジェット用インクを収容した記録液収容部を備えたインクカートリッジを搭載するシリアル型インクジェット記録装置の機構部の概略正面図である。このインクジェット記録装置の機構部は、両側の側板1、2間に主支持ガイドロッド3及び従支持ガイドロッド4を略水平な位置関係で横架し、これらの主支持ガイドロッド3及び従支持ガイドロッド4でキャリッジユニット5を主走査方向に摺動自在に支持している。キャリッジユニット5には、それぞれイエロー(Y)インク、マゼンタ(M)インク、シアン(C)インク、ブラック(Bk)インクをそれぞれ吐出する4個のヘッド6を、その吐出面(ノズル面)6aを下方に向けて搭載し、またキャリッジユニット5のヘッド6の上側には4個のヘッド6に各々インクを供給するための各色のインク供給体である4個のインクカートリッジ7y,7m,7c,7kを交換可能に搭載している。
【0069】
キャリッジユニット5は主走査モータ8で回転される駆動プーリ(駆動タイミングプーリ)9と従動プーリ(アイドラプーリ)10との間に張装したタイミングベルト11に連結して、主走査モータ8を駆動制御することによってキャリッジ5、即ち4個のヘッド6を主走査方向に移動するようにしている。
また、側板1、2をつなぐ底板12上にサブフレーム13、14を立設し、このサブフレーム13、14間に用紙16を主走査方向と直交する副走査方向に送るための搬送ローラ15を回転自在に保持している。そして、サブフレーム14側方に副走査モータ17を配設し、この副走査モータ17の回転を搬送ローラ15に伝達するために、副走査モータ17の回転軸に固定したギヤ18と搬送ローラ15の軸に固定したギヤ19とを備えている。
【0070】
さらに、側板1とサブフレーム13との間には、ヘッド6の信頼性維持回復機構(以下、「サブシステム」と称する。)21を配置している。サブシステム21は、各ヘッド6の吐出面をキャッピングする4個のキャップ手段22をホルダ23で保持し、このホルダ23をリンク部材24で揺動可能に保持している。そして、キャリッジユニット5の主走査方向の移動でホルダ23に設けた係合部25にキャリッジユニット5が当接すると、その動作に従ってホルダ23がリフトアップしキャップ手段22でインクジェットヘッド6の吐出面6aをキャッピングする。また、キャリッジユニット5が印写領域側へ移動することで、その動作に従ってホルダ23がリフトダウンしてキャップ手段22がインクジェットヘッド6の吐出面6aから離れるようにしている。
なお、キャップ手段22は、それぞれ吸引チューブ26を介して吸引ポンプ27に接続すると共に、大気開放口を形成して、大気開放チューブ及び大気開放バルブを介して大気に連通している。また、吸引ポンプ27は吸引した廃液を、ドレインチューブ等を介して図示しない廃液貯留槽に排出する。
さらに、ホルダ23の側方には、インクジェットヘッド6の吐出面6aをワイピングする繊維部材、発泡部材或いはゴム等の弾性部材からなるワイピング手段であるワイパブレード28をブレードアーム29に取付け、このブレードアーム29は揺動可能に軸支し、図示しない駆動手段で回動されるカムの回転によって揺動させるようにしている。
【0071】
次に、インクカートリッジについて説明する。図6は、インクカートリッジの外観斜視図、図7は、インクカートリッジの正断面図である。インクカートリッジ7は、図7に示すように、カートリッジ本体41内に所要の色のインクを吸収させたインク吸収体42を収容してなる。カートリッジ本体41は、上部に広い開口を有するケース43の上部開口に上蓋部材44を接着又は溶着して形成したものであり、例えば樹脂成型品からなる。また、インク吸収体42は、ウレタンフォーム体等の多孔質体からなり、カートリッジ本体41内に圧縮して挿入した後、インクを吸収させている。
カートリッジ本体41のケース43底部には記録ヘッド6へインクを供給するためのインク供給口45を形成し、このインク供給口45内周面にはシールリング46を嵌着している。また、上蓋部材44には大気開放口47を形成している。
そして、カートリッジ本体41には、装填前の状態で、インク供給口45を塞ぐと共に装填時や輸送時などのカートリッジ取扱い時、或いは真空包装時による幅広側壁に係る圧力でケース43が圧縮変形されて内部のインクが漏洩することを防止するため、キャップ部材50を装着している。
また、大気開放口47は、図6に示すように、酸素透過率が100ml/m以上のフィルム状シール部材55を上蓋部材44に貼着してシールしている。このシール部材55は大気開放口47と共にその周囲に形成した複数本の溝48をもシールする大きさにしている。このように大気開放口47を酸素透過率が100ml/m以上のシール部材55でシールすることで、インクカートリッジ7を透気性のないアルミラミネートフィルム等の包装部材を用いて減圧状態で包装し、インク充填時やインク吸収体42とカートリッジ本体41との間に生じる空間A(図7参照)にある大気のためにインク中に気体が溶存したときでも、シール部材55を介してインク中の空気が真空度の高いカートリッジ本体41外の包装部材との間の空間に排出され、インクの脱気度が向上する。
【0072】
また、図8は、本発明のインクジェット用インクを収容した記録液収容部と、インク液滴を吐出させるためのヘッド部を備えた記録ユニットの構成例を示す図である。記録ユニット30は、シリアルタイプのものであり、インクジェットヘッド6と、このインクジェットヘッド6に供給されるインクを収容するインクタンク41と、このインクタンク41内を密閉する蓋部材44とで主要部が構成される。インクジェットヘッド6には、インクを吐出するための多数のノズル32が形成されている。インクはインクタンク41から、図示しないインク供給管を介して、やはり図示しない共通液室へと導かれ、電極31より入力されるインクジェット記録装置本体からの電気信号に応じて、ノズル32より吐出される。
このようなタイプの記録ユニットは、構成上、安価に製造できるタイプのヘッド、いわゆるサーマル方式、バブル方式と呼ばれる、熱エネルギーを駆動の動力源とするヘッドに適した構造である。本発明のインクジェット用インクは、サーマル方式、バブル方式等の記録方法において、吐出安定性及び周波数安定性が得られ、かつ安全性も高く、非常に適している。
【0073】
尚、ここでは、前述のようなシリアル型インクジェット記録装置を説明したが、本発明のインクジェット用インク及び記録方法は、ノズルを千鳥など任意の配列で、目的とする画像の解像度と同じか数分の1程度の密度に集積し、記録紙の幅以上に配列させた、いわゆるラインヘッドを有するインクジェット記録装置に適用することも可能である。
また、ここでいうインクジェット記録装置とは、パソコンやデジタルカメラ用の出力プリンタのみならず、ファックスやスキャナ、電話などと組み合わせた複合的な機能を有する装置であっても構わない。
【0074】
また、本発明のインクジェット用インクを用い、上記記録方法により作製されるインクジェット記録物は、画像滲みや色境界滲みのない非常に良好な画像であり、耐水性、耐光性にも優れた記録物である。特に、記録紙として普通紙を用いた場合でも、上記のように高い画像品質の記録物とすることができる。
【0075】
【実施例】
以下、本発明を具体化した実施例について説明する。
先ず、自己分散型の着色剤を得るための表面処理について具体例を挙げる。
<自己分散型カーボンブラック分散液aの調製>
表面積が130m/gでDBP吸油量が70ml/100gのカーボンブラック100gと、p−アミノ−N−安息香酸34gとを水750gに混合分散し、これに硝酸16gを滴下して70℃で撹拌した。5分後、50gの水に11gの亜硝酸ナトリウムを溶かした溶液を加え、更に1時間撹拌した。得られたスラリーを10倍に希釈し、遠心処理により粗大粒子を除き、ジエタノールアミンにてpHをpH8−9に調整し、限外濾過膜にて脱塩濃縮し着色剤濃度15wt%のカーボンブラック分散液とした。これをポリプロピレン製の孔径0.5μmフィルターにて濾過し、カーボンブラック分散液aとした。平均粒子径は99nmであった
【0076】
<自己分散型フタロシアニン顔料bの調製(シアン)>
20gのフタロシアニンブルー(ピグメントブルー15:3)を4.0gのスルファニル酸と混合した。この混合物を70℃のウォーターバス中のビーカーに入れた。74.32gの蒸留水中に溶解した1.68gの亜硝酸ナトリウムからなる溶液を、急速に混合しながらビーカーに加え、スラリーを形成させた。塩化水素酸をこの溶液に加え、スラリーのpHを2に調節した。マグネティックスターラーを用いて1時間、スラリーを70℃において急速に混合し、その後、70℃で炉内で乾燥させた。得られた材料は、乾燥した、−CSO Na基を有する、改質された着色剤であった。
表面改質された着色剤6gをソックレー抽出器中においてメタノールを用いて10時間抽出し、あらゆる反応副生成物を除去し、そして再乾燥した。得られたフタロシアニン顔料bは水性媒体中で攪拌時に容易に分散された。
【0077】
<自己分散型キナクリドン顔料cの調製(マゼンタ)>
フタロシアニンブルーの代わりに、ホスタパームピンクE顔料(ピグメントレッド122)を用いた以外は、上記の自己分散型フタロシアニンブルー顔料と同様の手順により、改質されたキナクリドン顔料cを得た。得られたキナクリドン顔料cは水性媒体中で攪拌時に容易に分散された。
【0078】
<自己分散型イエロー顔料dの調製>
フタロシアニンブルーの代わりに、ピグメントイエロー74を用いた以外は、上記の自己分散型フタロシアニンブルー顔料と同様の手順により、改質されたイエロー顔料dを得た。得られたイエロー顔料dは水性媒体中で攪拌時に容易に分散された。
【0079】
以下に、本発明のインクジェット用インクの作製及びこれを用いた各種試験について実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、実施例に記載の各成分の量(%)は重量基準であり、市販の着色剤分散体および樹脂エマルションの量は、有効成分(固形分)量を表す。
【0080】
(実施例1)
下記処方のインク組成物を作製し、水酸化リチウム10%水溶液にてpHを9に調整した。その後、平均孔径0.8μmのメンブレンフィルターで濾過を行い、インクジェット用インクを得た。
自己分散型カーボンブラック分散液a 10.0wt%
ジプロピレングリコール 20.0wt%
グリセリン 10.0wt%
N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン 5.0wt%
界面活性剤(一般式(I)におけるR=C12、m=3) 2.0wt%
2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2.0wt%
マイクロジェルE−1002(日本ペイント社製) 3.0wt%
プロキセルLV(防腐剤) 0.2wt%
イオン交換水 残量
【0081】
(実施例2)
下記処方のインク組成物を作製し、水酸化ナトリウムにてpHを9に調整して実施例1と同様にインクジェット用インクを得た。
自己分散型フタロシアニン顔料b 8.0wt%
トリエチレングリコール 22.5wt%
グリセリン 7.5wt%
2−ピロリドン 5.0wt%
界面活性剤(一般式(I)におけるR=C12、m=4) 2.0wt%
2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2.0wt%
スチレン−メタクリル酸ブチル樹脂エマルション 3.0wt%
プロキセルLV(防腐剤) 0.2wt%
イオン交換水 残量
【0082】
(実施例3)
下記処方のインク組成物を作製し、水酸化リチウムにてpHを9に調整して実施例1と同様にインクジェット用インクを得た。
自己分散型キナクリドン顔料c 13.0wt%
プロピレングリコール 30.0wt%
グリセリン 10.0wt%
N−メチル−2−ピロリドン 2.0wt%
界面活性剤(一般式(I)におけるR=C12、m=5) 2.0wt%
2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール 2.0wt%
スチレン−メタクリル酸オクチル樹脂エマルション 3.0wt%
プロキセルLV(防腐剤) 0.2wt%
イオン交換水 残量
【0083】
(実施例4)
下記処方のインク組成物を作製し、水酸化リチウムにてpHを9に調整して実施例1と同様にインクジェット用インクを得た。
自己分散型イエロー顔料d 10.0wt%
1,3−ブタンジオール 22.5wt%
グリセロリン 7.5wt%
2−ピロリドン 5.0wt%
界面活性剤(一般式(I)におけるR=C12、m=6) 2.0wt%
2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール 2.0wt%
メタクリル酸メチル樹脂エマルション 3.0wt%
プロキセルLV(防腐剤) 0.2wt%
イオン交換水 残量
【0084】
(実施例5)
下記処方のインク組成物を作製し、水酸化リチウムにてpHを9に調整して実施例1と同様にインクジェット用インクを得た。
カーボンブラック(CAB-O-JET300;キャボット社製) 12.0wt%
2,3−ブタンジオール 22.5wt%
グリセリン 7.5wt%
N−メチル−2−ピロリドン 3.0wt%
界面活性剤(一般式(II)におけるR=C6) 2.0wt%
2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2.0wt%
プロキセルLV(防腐剤) 0.2wt%
イオン交換水 残量
【0085】
(実施例6)
下記処方のインク組成物を作製し、水酸化リチウムにてpHを9に調整して実施例1と同様にインクジェット用インクを得た。
シアン顔料(IJX253C;キャボット社製) 10.0wt%
ジプロピレングリコール 15.0wt%
グリセリン 15.0wt%
N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン 5.0wt%
界面活性剤(一般式(II)におけるR=C6) 2.0wt%
2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール 2.0wt%
プロキセルLV(防腐剤) 0.2wt%
イオン交換水 残量
【0086】
(実施例7)
下記処方のインク組成物を作製し、水酸化リチウムにてpHを9に調整して実施例1と同様にインクジェット用インクを得た。
マゼンタ顔料(IJX266D;キャボット社製) 10.0wt%
1,3−プロパンジオール 22.5wt%
グリセリン 7.5wt%
2−ピロリドン 5.0wt%
界面活性剤(一般式(II)におけるR=C6) 2.0wt%
2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2.0wt%
プロキセルLV(防腐剤) 0.2wt%
イオン交換水 残量
【0087】
(実施例8)
下記処方のインク組成物を作製し、水酸化リチウムにてpHを9に調整して実施例1と同様にインクジェット用インクを得た。
イエロー顔料(IJX273B;キャボット社製) 10.0wt%
1,4−ブタンジオール 22.5wt%
グリセリン 7.5wt%
N−メチル−2−ピロリドン 2.0wt%
界面活性剤(一般式(II)におけるR=C6) 2.0wt%
2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール 2.0wt%
プロキセルLV(防腐剤) 0.2wt%
イオン交換水 残量
【0088】
(実施例9)
下記処方のインク組成物を作製し、水酸化リチウムにてpHを9に調整して実施例1と同様にインクジェット用インクを得た。
樹脂分散型カーボンブラック(大日精化社製) 10.0wt%
1,5−ペンタンジオール 15.0wt%
グリセリン 15.0wt%
N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン 2.0wt%
ノニオン系界面活性剤(ディスパノールTOC;日本油脂社製)
2.0wt%
2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2.0wt%
プロキセルLV(防腐剤) 0.2wt%
イオン交換水 残量
【0089】
(実施例10)
下記処方のインク組成物を作製し、水酸化リチウムにてpHを9に調整して実施例1と同様にインクジェット用インクを得た。
シアン顔料(Li0 Jet Cyan;東洋インキ社製) 11.0wt%
1,6−ヘキサンジオール 22.5wt%
グリセリン 7.5wt%
2−ピロリドン 3.0wt%
ノニオン系界面活性剤(ディスパノールTOC;日本油脂社製)
2.0wt%
2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール 2.0wt%
プロキセルLV(防腐剤) 0.2wt%
イオン交換水 残量
【0090】
(実施例11)
下記処方のインク組成物を作製し、水酸化ナトリウムにてpHを9に調整して実施例1と同様にインクジェット用インクを得た。
マゼンタ顔料(Li0 Jet Magenta;東洋インキ社製) 14.0wt%
2−メチル−2,4−ペンタンジオール 22.5wt%
グリセリン 7.5wt%
N−メチル−2−ピロリドン 5.0wt%
界面活性剤(一般式(III)におけるR=C6、k=5) 2.0wt%
2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2.0wt%
プロキセルLV(防腐剤) 0.2wt%
イオン交換水 残量
【0091】
(実施例12)
下記処方のインク組成物を作製し、水酸化ナトリウムにてpHを9に調整して実施例1と同様にインクジェット用インクを得た。
イエロー顔料(Li0 Jet Yellow;東洋インキ社製) 12.0wt%
1,2,6−ヘキサントリオール 30.0wt%
グリセリン 10.0wt%
N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン 5.0wt%
界面活性剤(一般式(IV)におけるR=C6、n=5) 2.0wt%
2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール 2.0wt%
プロキセルLV(防腐剤) 0.2wt%
イオン交換水 残量
【0092】
(実施例13)
下記処方のインク組成物を作製し、水酸化ナトリウムにてpHを9に調整して実施例1と同様にインクジェット用インクを得た。
マイクロカプセル型ブラック顔料(大日本インキ社製) 12.0wt%
トリメチロールプロパン 20.0wt%
グリセリン 20.0wt%
2−ピロリドン 4.0wt%
界面活性剤(一般式(V)におけるR=C6、n=2、M=3)
2.0wt%
2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2.0wt%
プロキセルLV(防腐剤) 0.2wt%
イオン交換水 残量
【0093】
(実施例14)
下記処方のインク組成物を作製し、水酸化リチウムにてpHを9に調整して実施例1と同様にインクジェット用インクを得た。
マイクロカプセル型シアン顔料(大日本インキ社製) 8.0wt%
トリメチロールエタン 22.5wt%
グリセリン 7.5wt%
N−メチル−2−ピロリドン 2.0wt%
界面活性剤(一般式(VI)におけるp+q=15、p+q=0の混合)
2.0wt%
2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール 2.0wt%
プロキセルLV(防腐剤) 0.2wt%
イオン交換水 残量
【0094】
(実施例15)
下記処方のインク組成物を作製し、水酸化リチウムにてpHを9に調整して実施例1と同様にインクジェット用インクを得た。
マイクロカプセル型マゼンタ顔料(大日本インキ社製) 10.0wt%
尿素 22.5wt%
グリセリン 7.5wt%
N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン 5.0wt%
アニオン系界面活性剤(ECTD-3NEX;日光ケミカルズ製) 2.0wt%
2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2.0wt%
プロキセルLV(防腐剤) 0.2wt%
イオン交換水 残量
【0095】
(実施例16)
下記処方のインク組成物を作製し、水酸化リチウムにてpHを9に調整して実施例1と同様にインクジェット用インクを得た。
マイクロカプセル型イエロー顔料(大日本インキ社製) 8.0wt%
1,3−ジメチルイミダゾリジノン 15.0wt%
グリセリン 15.0wt%
2−ピロリドン 5.0wt%
アニオン系界面活性剤(ECTD-6NEX;日光ケミカルズ製) 2.0wt%
2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール 2.0wt%
プロキセルLV(防腐剤) 0.2wt%
イオン交換水 残量
【0096】
(比較例1)
下記処方のインク組成物を作製し、水酸化ナトリウムにてpHを9に調整して実施例1と同様にインクジェット用インクを得た。
自己分散型カーボンブラック分散液a 5.0wt%
ジエチレングリコール 15.0wt%
グリセリン 5.0wt%
N−メチル−2−ピロリドン 2.0wt%
アニオン系界面活性剤(ECTD-6NEX;日光ケミカルズ製) 1.0wt%
プロキセルLV(防腐剤) 0.2wt%
イオン交換水 残量
【0097】
(比較例2)
下記処方のインク組成物を作製し、水酸化リチウム10%水溶液にてpHを9に調整した。その後、平均孔径0.8μmのメンブレンフィルターで濾過し、インクジェット用インクを得た。
自己分散型フタロシアニン顔料b 3.0wt%
エチレングリコール 15.0wt%
2−ピロリドン 2.0wt%
アニオン系界面活性剤(ECTD-3NEX;日光ケミカルズ製) 1.0wt%
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 0.5wt%
プロキセルLV(防腐剤) 0.2wt%
イオン交換水 残量
【0098】
参考例1
下記処方のインク組成物を作製し、水酸化リチウムにてpHを9に調整して比較例1と同様にインクジェット用インクを得た。
自己分散型マゼンタ顔料c 6.0wt%
ジエチレングリコール 10.0wt%
グリセリン 5.0wt%
N−メチル−2−ピロリドン 2.0wt%
アニオン系界面活性剤(ECTD-6NEX;日光ケミカルズ製) 1.0wt%
プロキセルLV(防腐剤) 0.2wt%
イオン交換水 残量
【0099】
(比較例3
下記処方のインク組成物を作製し、水酸化リチウムにてpHを9に調整して比較例1と同様にインクジェット用インクを得た。
自己分散型イエロー顔料d 3.0wt%
トリエチレングリコール 15.0wt%
グリセリン 5.0wt%
N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン 2.0wt%
ノニオン系界面活性剤(ディスパノールTOC;日本油脂社製)
1.0wt%
2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2.0wt%
エマルジョン 3.0wt%
プロキセルLV(防腐剤) 0.2wt%
イオン交換水 残量
【0100】
(比較例4
下記処方のインク組成物を作製し、水酸化ナトリウムにてpHを9に調整して実施例1と同様にインクジェット用インクを得た。
自己分散型カーボンブラック分散液a 5.0wt%
ジエチレングリコール 22.5wt%
グリセリン 7.5wt%
N−メチル−2−ピロリドン 2.0wt%
アニオン系界面活性剤(ECTD-6NEX;日光ケミカルズ製) 1.0wt%
ノニオン系界面活性剤(ディスパノールTOC;日本油脂社製)
1.0wt%
2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2.0wt%
プロキセルLV(防腐剤) 0.2wt%
イオン交換水 残量
【0101】
(比較例5
下記処方のインク組成物を作製し、水酸化リチウムにてpHを9に調整して実施例1と同様にインクジェット用インクを得た。
自己分散型フタロシアニン顔料b 3.0wt%
ジエチレングリコール 15.0wt%
グリセリン 5.0wt%
2−ピロリドン 2.0wt%
アニオン系界面活性剤(ECTD-6NEX;日光ケミカルズ製) 1.0wt%
ノニオン系界面活性剤(ディスパノールTOC;日本油脂社製)
2.0wt%
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 0.5wt%
2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2.0wt%
プロキセルLV(防腐剤) 0.2wt%
イオン交換水 残量
【0102】
参考例2
下記処方のインク組成物を作製し、水酸化リチウムにてpHを9に調整して実施例1と同様にインクジェット用インクを得た。
自己分散型マゼンタ顔料c 6.0wt%
ジエチレングリコール 10.0wt%
グリセリン 5.0wt%
N−メチル−2−ピロリドン 2.0wt%
ノニオン系界面活性剤(ディスパノールTOC;日本油脂社製)
3.0wt%
2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール 2.0wt%
プロキセルLV(防腐剤) 0.2wt%
イオン交換水 残量
【0103】
参考例3
下記処方のインク組成物を作製し、水酸化リチウムにてpHを9に調整して実施例1と同様にインクジェット用インクを得た。
自己分散型イエロー顔料d 6.0wt%
ジエチレングリコール 10.0wt%
グリセリン 5.0wt%
N−メチル−2−ピロリドン 2.0wt%
アニオン系界面活性剤(ECTD-6NEX;日光ケミカルズ製) 1.0wt%
ノニオン系界面活性剤(ディスパノールTOC;日本油脂社製)
1.0wt%
2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール 2.0wt%
プロキセルLV(防腐剤) 0.2wt%
イオン交換水 残量
【0104】
以上作製したインクジェット記録用インク各々について、表面張力、25℃における粘度、及び記録紙に対する接触角を測定した。記録紙には下記の4種類のPPC用紙を用い、インク滴付着直後の接触角θ0と1秒後の接触角θ1を測定した。
<使用した記録紙>
1)マイペーパー(株式会社NBSリコー製)
2)PB紙(キャノン株式会社製)
3)やまゆり紙(本州製紙株式会社製・再生紙)
4)Xerox4024紙(富士ゼロックスオフィスサプライ株式会社製)
【0105】
物性測定の結果を、各インクの着色剤の種類及び湿潤剤含有量とともに表1に示す。
【表1】
Figure 0004789388
【0106】
次に上記実施例1〜16及び比較例1〜5のインクジェット用インクを用い、インクジェットプリンタにより印字を行い、下記の項目について評価した。インクジェットプリンタとしては、EM-900(セイコーエプソン社製)、DeskJet970Cxi(HP社製)、及びIPSiO Jet 300(リコー社製)を用い、ヘッドの駆動電圧、パルス幅、駆動周波数を変え、1滴あたりの吐出量(Mj)が35pl、記録密度は360dpi、ワンパスで画像が形成できるよう調節し、印字した。
印刷パターンは、1ドット画像、1ドットライン、文字画像、ベタ画像(100%duty)を含むものとし、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの各色インクを適宜組み合わせて印字した。記録紙は、前記の各紙を用いた。同様の印字を連続して1000枚行い、画像の安定性(非吐出ノズルの有無)を評価した。
<評価項目>
1)画像品質
・画素径
1ドット画像をドットアナライザ(DA5000;王子計測機器社製)を用いてドット面積から円相当径を算出し、画素径とした。
・ベタ画像濃度
反射型カラー分光測色濃度計(X-Rite938;X-Rite社製)を用いて測定した。
・両面印字性
ベタ画像の記録紙の裏側から画像濃度を測定し、印刷していない地肌部の濃度を差し引いて裏抜け濃度とし、その値が0.03以下のものを○、0.03を超えるものを×として評価した。なお、0.03という値は目視評価の結果、裏面の画像が気になって表面の文字画像が読み難いか否かを判定して決定した。
・画像滲み
文字及びライン画像を目視で観察し、エッジが鮮明でシャープな文字が形成されているものを○、部分的にひげ状の滲みが見られるが実用上問題ないものを△、エッジがざらついていたり文字がつぶれて実用上不鮮明と感じるものを×とした。
2)画像の乾燥性
印字後の画像に一定条件で濾紙を押しつけ、インクが濾紙に転写しなくなるまでの時間を測定した。いずれの記録紙でも10秒以内で乾燥した場合に○と判定した。
3)連続印字時の信頼性
テスト画像1000枚を連続印字した場合、非噴射ノズルが発生しなかったものを○、発生して画像に欠陥が生じたものを×とした。
4)乾燥目詰まり性評価
ピエゾ型ヘッドを用いたインクジェットプリンタIPSiOJET300(リコー社製)に評価用インクを入れ、インク吐出を確認した後、ノズル面のキャップをすることなく、室温にて30日間放置した。その後、画像を印字し、すべてのノズルからインクが吐出し、正常に印字できたものを○とした。インクが非吐出のノズルがあり、印字画像が乱れたものを×とした。
【0107】
以上の評価結果を表2に示す。なお、画素径及び画像濃度の値はEM900C(セイコーエプソン社製)を用いてマイペーパー紙に印字した値を代表として示した。また、その他の評価項目については各プリンタ、各記録紙における評価結果とも同様であった。
【表2】
Figure 0004789388
【0108】
表1に示すように、実施例1〜16では、インクの普通紙に対する吸収係数が、いずれも3ml/(m・(msec)1/2)以上であり、かつ同記録紙に対する接触角θ0が10°以上40°未満であった。これらのインクを用いて印字した結果、表2に示すように、ベタ画像濃度1.10〜1.50の高い画像濃度が得られ、両面印字性に優れ、画像滲みもなく、シャープな画像が得られた。また、画像の乾燥性も良好であることから、速やかな定着が可能であるという顕著な効果が得られた。更には、連続印字時の信頼性も高く、乾燥による目詰まりもないことから、経時においても高い信頼性が得られることがわかった。
一方、比較例1〜3に示すように、吸収係数が3ml/(m・(msec)1/2)未満であったり、接触角θ0が40°以上となる場合には、画像濃度が低く、画像の乾燥速度も遅かった。また、比較例4〜5に示すように、吸収係数が3ml/(m・(msec)1/2)以上であり、かつ同記録紙に対する接触角θ0が10°以上40°未満であっても、着色剤含有量及び粘度が低く、接触1秒後の接触角θ1が θ1<(1/2)*θ0 となる場合には、乾燥速度は十分であるものの、両面印字性、画像滲みが劣ることがわかった。
【0109】
【発明の効果】
以上説明してきたように、水と着色剤と水溶性有機溶剤を必須成分とし、着色剤の含有量が6wt%以上で、普通紙に対する吸収係数が3ml/(m・(msec)1/2)であり、かつ接触角θ0が10°以上40°未満である本発明のインクジェット用インクは、高速印字性に優れ、吐出安定性や保存安定性に優れ、かつ良好な色調、高い画像濃度、文字、画像の周辺部分にフェザリングの生じない鮮鋭度の高い画像、異なる色間の境界にじみ(カラーブリード)のない画像、両面印刷にも耐えうる裏抜けの少ない画像を与えることができる。
上記の効果は、普通紙に対する接触角θ0が10°以上40°未満で、かつ、接触1秒後の接触角θ1がθ1>(1/2)*θ0 である本発明のインクジェット用インクによっても同様に得られる。
【0110】
また、上記の物性を有するインクジェット用インクが、特定の湿潤剤及びインクの浸透性を付与する特定の多価アルコールを含むことで、25℃における粘度が5mPa・sec以上と高粘度でありながら、上記のような高い吸収係数と低い接触角とを両立させることが可能となる。これにより、インクドット画像が大きく広がり、かつフェザリングが低減し、更に、紙面上で着色剤が凝集するため従来に比べて裏抜けが格段に少なくなり、両面印字が可能となる。また、ヘッド部材への濡れ性がよくなり、インク組成物気泡排出性の向上、周波数応答性の向上によって高速印字性、インク吐出安定性が格段に向上する。
このように、本発明のインクジェット用インクにより、特別の表面処理がされていない普通紙に対しても、インクジェット専用のコート紙並みの印字品質を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のインクジェット用インクを普通紙に滴下したときのインク滴を模式的に示す図である。
【図2】 普通紙に対する接触角θ0が40°以上であるインク滴を模式的に示す図である。
【図3】 普通紙に対する接触角θ0が10°未満であるインク滴を模式的に示す図である。
【図4】 θ1が(1/2)・θ0よりも小さくなるインク滴を模式的に示す図である。
【図5】 シリアル型インクジェット記録装置の機構部の概略正面図である。
【図6】 インクカートリッジの外観斜視図である。
【図7】 インクカートリッジの正断面図である。
【図8】 記録液収容部と、インク液滴を吐出させるためのヘッド部を備えた記録ユニットの構成例を示す図である。
【符号の説明】
5 キャリッジユニット
6 ヘッド
7 インクカートリッジ
8 主走査モータ
9 駆動プーリ
10 従動プーリ
11 タイミングベルト
15 搬送ローラ
16 用紙
17 副走査モータ
18,19 ギヤ
21 信頼性維持回復機構(サブシステム)
30 記録ユニット
31 電極
32 ノズル
42 インク吸収体
45 インク供給口

Claims (49)

  1. 水と着色剤と水溶性有機溶剤と炭素数8以上11以下の多価アルコール又はグリコールエーテルとを必須成分として含むインクジェット用インクにおいて、
    前記インクジェット用インクは、
    前記炭素数8以上11以下の多価アルコール又はグリコールエーテルが、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール又は2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールで、
    前記着色剤の含有量が6wt%以上であって、かつ、
    普通紙に対する吸収係数が3ml/(m ・(msec) 1/2 )以上であり、かつ、前記普通紙に対する自動接触角計で測定した場合の接触角θ 0 が10°以上40°未満である
    ことを特徴とするインクジェット用インク。
  2. 前記インクジェット用インクは、
    前記インクジェット用インクを普通紙に吐出させたときの接触1秒後の接触角θ と接触角θ との関係が、
    θ>(1/2)・θ
    で表される
    ことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット用インク
  3. 前記インクジェット用インクは、
    25℃における粘度が5mPa・sec以上20mPa・sec以下であり、
    かつ、25℃における表面張力が40dyn/cm以下である
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット用インク
  4. 前記着色剤は、
    重量平均粒子径が50nm以上200nm以下で、含有量が6wt%以上20wt%以下である
    ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のインクジェット用インク
  5. 前記水溶性有機溶剤が、
    リセリン、1,3−ブタンジオール、トリエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、プロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、およびトリメチロールエタンからなる群より選ばれる少なくとも1種類を湿潤剤として含有する
    ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のインクジェット用インク
  6. 前記湿潤剤の含有量は、
    10wt%以上50wt%以下である
    ことを特徴とする請求項5に記載のインクジェット用インク
  7. 前記湿潤剤の含有量は、
    前記着色剤に対する重量比で2.0以上6.0以下である
    ことを特徴とする請求項5又は6に記載のインクジェット用インク
  8. 前記湿潤剤の含有量は、
    前記着色剤に対する重量比で3.0以上5.0以下である
    ことを特徴とする請求項5又は6に記載のインクジェット用インク
  9. 前記水溶性有機溶剤が、
    1,5−ペンタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオールからなる群より選択される少なくとも1種類を含む
    ことを特徴とする請求項5ないし8のいずれかに記載のインクジェット用インク
  10. 前記水溶性有機溶剤が、
    エチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ペンタエリスリトールからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む
    ことを特徴とする請求項5ないし8のいずれかに記載のインクジェット用インク
  11. 前記水溶性有機溶剤が、
    ラクタム類を含む
    ことを特徴とする請求項5ないし10のいずれかに記載のインクジェット用インク
  12. 前記ラクタム類が、
    2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、ε−カプロラクタムからなる群より選ばれる少なくとも1種類以上を含む
    ことを特徴とする請求項11に記載のインクジェット用インク
  13. 前記インクジェット用インクが、
    尿素類又は糖類を含有する
    ことを特徴とする請求項1ないし12のいずれかに記載のインクジェット用インク
  14. 前記尿素類は、
    尿素、チオ尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンからなる群より選ばれる1種類を含む
    ことを特徴とする請求項13に記載のインクジェット用インク
  15. 前記糖類は、
    マルチトース、ソルビトース、グルコノラクトン、マルトースからなる群より選ばれる少なくとも1種類を含む
    ことを特徴とする請求項13に記載のインクジェット用インク
  16. 前記インクジェット用インクは、
    25℃における粘度が8mPa・sec以上20mPa・sec以下である
    ことを特徴とする請求項1ないし15のいずれかに記載のインクジェット用インク
  17. 前記インクジェット用インクは、
    アニオン系又はノニオン系界面活性剤を含有する
    ことを特徴とする請求項1ないし16のいずれかに記載のインクジェット用インク
  18. 前記アニオン系又はノニオン系界面活性剤が、
    下記の一般式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種類を含む
    ことを特徴とする請求項17に記載のインクジェット用インク
    Figure 0004789388
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  19. 前記アニオン系又はノニオン系界面活性剤の含有量は
    0.1wt%以上5wt%以下である
    ことを特徴とする請求項17又は18に記載のインクジェット用インク
  20. 前記インクジェット用インクは、
    25℃における表面張力が35dyn/cm以下である
    ことを特徴とする請求項17ないし19のいずれかに記載のインクジェット用インク
  21. 水と着色剤と水溶性有機溶剤と炭素数8以上11以下の多価アルコール又はグリコールエーテルとを必須成分として含むインクジェット用インクにエネルギーを付与して、微細孔から該インクジェット用インクを吐出させて記録を行うインクジェット記録方法において、
    前記インクジェット用インクが、
    前記炭素数8以上11以下の多価アルコール又はグリコールエーテルが、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール又は2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールで、
    前記着色剤の含有量が6wt%以上であって、かつ、
    普通紙に吐出させたときの吸収係数を3ml/(m ・(msec) 1/2 )以上とし、かつ、このときの自動接触角計で測定した場合の接触角θ 0 を10°以上40°未満である
    ことを特徴とするインクジェット記録方法。
  22. 前記インクジェット用インクが、
    前記インクジェット用インクを普通紙に吐出させたときの接触1秒後の接触角θ と接触角θ 0 との関係が、
    θ >(1/2)・θ
    で表される
    ことを特徴とする請求項21に記載のインクジェット記録方法。
  23. 前記インクジェット記録方法は、
    用いる記録紙が坪量50g/m以上100g/m以下の普通紙である
    ことを特徴とする請求項21又は22に記載のインクジェット記録方法。
  24. 前記インクジェット記録方法は、
    前記インクジェット用インクに熱エネルギーを作用させてインク吐出を行う
    ことを特徴とする請求項21ないし23のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
  25. 前記インクジェット記録方法は、
    前記インクジェット用インクに力学的エネルギーを作用させてインク吐出を行う
    ことを特徴とする請求項21ないし23のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
  26. 前記インクジェット記録方法は、
    インク滴1個の体積(Mj)が2pl以上35pl以下、周波数が1kHz以上、解像度が300dpi以上のワンパス印字条件にて記録を行う
    ことを特徴とする請求項21ないし25のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
  27. 前記インクジェット用インクは、
    25℃における粘度が5mPa・sec以上20mPa・sec以下であり、かつ、25℃における表面張力が40dyn/cm以下である
    ことを特徴とする請求項21ないし26のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
  28. 前記インクジェット用インクは、
    前記着色剤の重量平均粒子径が50nm以上200nm以下で、含有量が6wt%以上20wt%以下である
    ことを特徴とする請求項21ないし27のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
  29. 前記水溶性有機溶剤は、
    グリセリン、1,3−ブタンジオール、トリエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、プロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、およびトリメチロールエタンからなる群より選ばれる少なくとも1種類を湿潤剤として含有する
    ことを特徴とする請求項21ないし28のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
  30. 前記湿潤剤の含有量は、
    10wt%以上50wt%以下である
    ことを特徴とする請求項29に記載のインクジェット記録方法。
  31. 前記湿潤剤の含有量は、
    前記着色剤に対する重量比で2.0以上6.0以下である
    ことを特徴とする請求項29又は30に記載のインクジェット記録方法。
  32. 前記湿潤剤の含有量は、
    前記着色剤に対する重量比で3.0以上5.0以下である
    ことを特徴とする請求項29又は30に記載のインクジェット記録方法。
  33. 前記水溶性有機溶剤が、
    1,5−ペンタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオールからなる群より選択される少なくとも1種類を含む
    ことを特徴とする請求項29ないし32のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
  34. 前記水溶性有機溶剤が、
    エチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ペンタエリスリトールからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む
    ことを特徴とする請求項29ないし32のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
  35. 前記水溶性有機溶剤が、
    ラクタム類を含む
    ことを特徴とする請求項29ないし34のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
  36. 前記ラクタム類が、
    2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、ε−カプロラクタムからなる群より選ばれる少なくとも1種類以上を含む
    ことを特徴とする請求項35に記載のインクジェット記録方法。
  37. 前記インクジェット用インクが、
    尿素類又は糖類を含有する
    ことを特徴とする請求項21ないし36のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
  38. 前記尿素類は、
    尿素、チオ尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンからなる群より選ばれる1種類を含む
    ことを特徴とする請求項37に記載のインクジェット記録方法。
  39. 前記糖類は、
    マルチトース、ソルビトース、グルコノラクトン、マルトースからなる群より選ばれる少なくとも1種類を含む
    ことを特徴とする請求項37に記載のインクジェット記録方法。
  40. 前記インクジェット用インクは、
    25℃における粘度が8mPa・sec以上20mPa・sec以下である
    ことを特徴とする請求項21ないし39のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
  41. 前記インクジェット用インクは、
    ニオン系又はノニオン系界面活性剤を含有する
    ことを特徴とする請求項21ないし40のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
  42. 前記アニオン系又はノニオン系界面活性剤が、
    下記の一般式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種類を含む
    ことを特徴とする請求項41に記載のインクジェット記録方法。
    Figure 0004789388
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  43. 前記アニオン系又はノニオン系界面活性剤の含有量は、
    0.1wt%以上5wt%以下である
    ことを特徴とする請求項41又は42に記載のインクジェット記録方法。
  44. 前記インクジェット用インクは、
    25℃における表面張力が35dyn/cm以下である
    ことを特徴とする請求項41ないし43のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
  45. 水と着色剤と水溶性有機溶剤と炭素数8以上11以下の多価アルコール又はグリコールエーテルとを必須成分として含むインクジェット用インクを収納するインクカートリッジにおいて、
    前記インクジェット用インクが、
    前記炭素数8以上11以下の多価アルコール又はグリコールエーテルが、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール又は2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールで、
    前記着色剤の含有量が6wt%以上であって、かつ、
    普通紙に対する吸収係数が3ml/(m ・(msec) 1/2 )以上であり、かつ、前記普通紙に対する自動接触角計で測定した場合の接触角θ 0 が10°以上40°未満である
    ことを特徴とするインクカートリッジ。
  46. 前記インクジェット用インクが、
    前記インクジェット用インクを普通紙に吐出させたときの接触1秒後の接触角θ と接触角θ 0 との関係が、
    θ>(1/2)・θ
    で表される
    ことを特徴とする請求項45に記載のインクカートリッジ。
  47. 記録紙を搬送する搬送部と、
    水と着色剤と水溶性有機溶剤と炭素数8以上11以下の多価アルコール又はグリコールエーテルとを必須成分として含むインクジェット用インクを記録紙に付着させる付着部と、を有し、
    前記記録紙に画像を形成するインクジェット記録装置において、
    前記インクジェット用インクが、
    該炭素数8以上11以下の多価アルコール又はグリコールエーテルが、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール又は2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールで、
    前記着色剤の含有量が6wt%以上であって、かつ、
    普通紙に対する吸収係数が3ml/(m ・(msec) 1/2 )以上であり、かつ、前記普通紙に対する自動接触角計で測定した場合の接触角θ 0 が10°以上40°未満である
    ことを特徴とするインクジェット記録装置。
  48. 前記インクジェット用インクが、
    前記インクジェット用インクを普通紙に吐出させたときの接触1秒後の接触角θ と接触角θ 0 との関係が、
    θ>(1/2)・θ
    で表される
    ことを特徴とする請求項47に記載のインクジェット記録装置。
  49. 請求項21又は22に記載のインクジェット記録方法により作製される
    ことを特徴とするインクジェット記録物。
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