JP4787702B2 - ハニカム触媒の再生方法 - Google Patents
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Description
しかし、運転時間が長時間になると種々の不良現象が発生するようになる。例えば、排ガス中に硫黄酸化物(SOx)、特に三酸化硫黄(SO3)が極微量でも共存すると、これが触媒に強く吸着して脱硝性能を低下させる。特にガス温250℃以下でこの現象が顕著に現れる。従来、このような不良現象に対しては、水洗により触媒床を再生する、触媒そのものを交換するなどの方策が講じられて来たが、いずれも十分ではなかった。
そこで、短時間で効率よく、SOxにより被毒された触媒を再生する方法が提案されている(例えば、特許文献1)。
本発明によれば、閉塞物に対し、単にエアブローを行うのではなく、その前に、揮発性のエタノールを散布する。そのため、エタノールが閉塞物に浸透して閉塞物がもろくなり、その後のエアブローにより、ハニカム構造を破壊することなく容易に閉塞物を吹き飛ばすことが可能となる。
この発明によれば、針金等により機械的に閉塞物を破壊するので、エアブローとの併用により、かなり硬化した閉塞物に対しても有効に除去できるようになる。
この発明によれば、エタノールを散布する際の温度が20℃以上であるので、閉塞物を効果的にもろくできるとともに、乾燥も早い。また、エタノールを散布する際の温度が60℃以下であるので、散布時に作業者や環境に対する負荷も少ない。
[ハニカム触媒の構成]
図1に示す排煙脱硝装置10は、4層からなるハニカム触媒11、12、13、14
を備えており、各層は、6つの触媒ユニットから構成されている。例えば、ハニカム触媒11は、触媒ユニット11A〜11Fから構成されている。
また、図2、図3および図4に示すように、各触媒ユニット11A〜11Fは、多数の矩形筒状の触媒筒111から構成されている。この触媒筒111は、さらに多数の触媒セル1111から構成されている。この触媒セル1111は、一般に1辺が1〜数mm程度のものが用いられる。
排煙脱硝装置10は、排ガスにアンモニアを所定量混合した後、前記したハニカム触媒11〜14に順に通すことによって酸化還元反応を行い、排ガス中のNOxを無害な窒素と水に変換する。
そして、図4に示すように、排煙脱硝装置10の運転が長時間継続するとハニカム触媒11の各触媒セル1111には、排ガスの流入部付近にフライアッシュ等が蓄積するようになり、これが閉塞物となって閉塞部Mが生じる。
図5に、排煙脱硝装置10の運転を長時間継続した場合の触媒ユニット11A〜11Fを上から見た概念図を示す。斜線で示した部分が閉塞部Mを示している。この閉塞部Mが存在すると、排ガスの流れを遮断してしまうため、各触媒セル1111の下流部分に位置する触媒が実質的に不活性なものとなってしまう。さらに、この閉塞部Mが広がると、排ガスの流れに対する大きな負荷となるため、触媒層として下流に位置するハニカム触媒12〜14の触媒効率も低下する。
次に、このようなハニカム触媒の再生方法について説明する。
(溶剤の散布)
まず、図4、図5に示すような閉塞をおこしたハニカム触媒11A〜11Fについて、ハニカム触媒を閉塞させている物質に対し、揮発性の溶剤を散布する。乾燥状態となっている閉塞物をいったんスラリー状にして粒子間のファンデルワールス力を弱めるためである。
具体的には、図6(A)に示すように、適当な器具(オイラー等)を使用して閉塞部Mを生じた各触媒セル1111にまんべんなく揮発性の溶剤を散布する。この揮発性溶剤としては、水でもよいが、20℃における表面張力が15〜30mN/mである溶剤が好ましい。
このような溶剤としては、例えば、メタノール(22.6mN/m)やエタノール(22.55mN/m)のようなアルコール系溶剤や、アセトン(23.3mN/m)のようなケトン系溶剤等が浸透性に優れており好適である。
溶剤の相対蒸発速度が0.9未満であると、使用した溶剤に閉塞物の一部が溶解してハニカム触媒に浸透することとなり、結果として不純物(閉塞物の一部)が触媒の細孔内に入りこんで触媒自身を閉塞させるという不具合を生じる。一方、相対蒸発速度が6を越えると閉塞物への溶剤の浸透が十分ではないまま乾燥してしまい、閉塞物をもろくする効果が十分発揮できない。また、揮発性が高すぎると、作業者や環境への負荷も大きい。
また、溶剤の沸点としては、40〜100℃であることが好ましく、50〜90℃の間であるとより好ましい。
次に、図6(B)に示すように、閉塞部Mに対し、エアガンEを用いてエアブローを行う。ただし、エアブローを行う前に、少なくとも閉塞物表面が乾燥するまで待っておこなうことが好ましい。閉塞部Mを構成する閉塞物は、溶剤の散布によりもろくなっているためエアブローで容易に吹き飛び、ハニカム構造を傷つけることがない。このエアブローは、ハニカム構造(例えば、碁盤目構造)に沿って行うとよい。また、エアブローはハニカム構造における通気方向に対して平行に(触媒ユニット11A〜11Fの表面に対して垂直に)行うことが効果的である。
(閉塞物の物理的破壊)
前記したエアブローだけでは、閉塞物の除去が十分でない場合は、図5(C)に示すように、針金Hにより閉塞部Mを構成する物質を物理的に破壊して除去する。その際、エアブローを併用すると効果的である。
〔実施例1〕
図7(A)の写真に、石炭ボイラーに付帯する排煙脱硝装置を所定時間運転した後のハニカム触媒の閉塞状況を示した。各触媒セルの内径は6×6mmであり、セル長は73cmである。閉塞率は、ハニカム触媒の各区画(触媒ユニット)によって異なるが、およそ60〜90%である。
このハニカム触媒の開口部面積1m2に対し、エタノール500mlを散布した。
エタノールの蒸発後、閉塞物表面が略乾燥した状態で、図7(B)の写真に示すように、ハニカム構造の碁盤目に沿ってエアガンによるエアブローを行った。
その結果、1区画あたり約10分間で、図7(C)の写真に示すように閉塞物をほぼ完全に除去して、ハニカム触媒を再生することができた。これは、エタノールの浸透により、閉塞物を構成している粒子間のファンデルワールス力を効果的に弱めたためと推定される。
エタノールの散布を行わない以外は、実施例1と同様にしてハニカム触媒の再生を行った。しかし、閉塞物のハニカム触媒への固着がひどく、エアブロ−を行っても、閉塞物をほとんど除去できなかった。
比較例1において、さらに、針金を用いて、ハニカム触媒の触媒セル毎に貫通操作を行った。結果的に、ハニカム触媒の一区画の再生(清掃)を行うのに約30分間を要した。
11、12、13、14…触媒層
11A、11B、11C、11D、11E、11F…触媒ユニット
111…触媒筒
1111…触媒セル
Claims (3)
- 閉塞を起こしたハニカム触媒の再生方法であって、
前記ハニカム触媒を閉塞させている物質に対し、エタノールを散布し、少なくとも前記ハニカム触媒を閉塞させている物質表面が乾燥するまで待ってエアブローを行う
ことを特徴とするハニカム触媒の再生方法。 - 請求項1に記載のハニカム触媒の再生方法において、
前記エアブローを行う前、および/または、前記エアブローを行った後に、前記ハニカム触媒を閉塞させている物質を物理的に破壊することを特徴とするハニカム触媒の再生方法。 - 請求項1または請求項2に記載のハニカム触媒の再生方法において、
前記エタノールを散布する際の液温が20〜60℃であることを特徴とするハニカム触媒の再生方法。
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