JP4786438B2 - 燃料電池システム - Google Patents
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Description
そこで本発明は、残留水を確実に除去することが可能な、燃料電池システムの提供を課題とする。
(燃料電池)
図1は燃料電池セルの展開図であり、図1(b)は膜電極構造体の側面図であり、図1(a)および図1(c)は膜電極構造体の両側に配置されたセパレータを左右に開いた状態の正面図である。本実施形態の燃料電池は、反応ガスを化学反応させて電力を得るタイプのものである。図1(b)に示すように、例えば固体ポリマーイオン交換膜等からなる固体高分子電解質膜2を、アノード電極3およびカソード電極4で両側から挟み込んで、膜電極構造体(MEA)50が形成されている。なおアノード電極3およびカソード電極4の外側に反応ガス拡散層(不図示)を設けることが望ましい。その膜電極構造体50のアノード電極3に面してアノード側セパレータ30が配置され、カソード電極4に面してカソード側セパレータ40が配置されて、燃料電池セル52が形成されている。この燃料電池セル52が複数積層されて、燃料電池スタックが形成される。
図2は、第1実施形態に係る燃料電池システムの概略構成図である。この燃料電池システム100における燃料電池1は、上述した燃料電池スタックで構成されている。
燃料電池システム100は、空気を所定圧力に加圧するスーパーチャージャーなどのコンプレッサ7を備えている。このコンプレッサ7は、空気供給流路8を介して、燃料電池1の酸化ガス流路6の入口に接続されている。なお空気供給流路8には、空気の冷却装置や加湿器等(いずれも不図示)を設けることが望ましい。また燃料電池1の酸化ガス流路6の出口には、背圧弁10を備えたカソードオフガス排出流路9が接続されている。燃料電池1において発電に供された空気は、カソード電極側の生成水と共に、カソードオフガス排出流路9を通って排気処理装置(不図示)に供給される。
また、カソードオフガス排出流路9の上流端部と、循環流路18の上流端部とが、第2接続弁25を備えた第2接続流路26によって接続されている。なお第2接続流路26は、空気供給流路8における背圧弁10の上流側に接続されていてもよい。また第2接続流路26は、循環流路18から分岐されたアノードオフガス排出流路22の上流端部に接続されていてもよい。
残留水分量予測手段64は、運転停止後の燃料電池1の内部に残留する水分量を予測するものである。具体的には、以下の(1)ないし(4)のうちいずれか一つの方法を用いて、または複数の方法を併用して、残留水分量を推定する。
(1)燃料電池1の運転履歴から残留水分量を推定する。燃料電池1の高負荷(高出力)運転時には、多量の燃料ガスおよび酸化ガスが供給されるので、生成水の排出が促進されると考えられる。逆に、低負荷(低出力)運転時には、燃料ガスおよび酸化ガスの供給量が少なくなるので、生成水が溜まり易いと考えられる。そこで、燃料電池1の運転履歴における負荷量を積分することにより、残留水分量を推定することができる。
(4)燃料電池1の全体重量により残留水分量を推定する。残留水分量に比例して、燃料電池1の全体重量が増加するからである。
残留水除去必要性判断手段66は、残留水分量の予測結果に基づいて、残留水の除去が必要か否かを判断するものである。一般に、燃料電池内部の残留水分量に比例して、発電能力が低下する傾向にある。そこで、事前のテスト等により両者間の関係マップを求めておき、予測された残留水分量をそのマップに当てはめることで、燃料電池1の発電能力を推定する。ここで推定した発電能力が、車両運行のために必要とされる発電能力の閾値を下回った場合に、残留水分量の除去が必要であると判断する。
掃気手段70は、残留水の除去が必要であると判断された場合に、燃料電池1の内部を掃気して残留水を除去するものである。この掃気手段70は、加圧手段(コンプレッサ7)ならびに減圧手段(背圧弁10およびパージ弁21)からなる圧力制御手段を制御して、燃料電池1のガス流路5,6に掃気ガスとして酸化ガスを供給し、圧力変動(加圧および減圧)を発生させる。その減圧時に、燃料電池1から排出される酸化ガスに吸引されて、燃料電池1の内部の残留水が除去される。その具体的な手順については後述する。
またECU60は、残留水分量の予測結果に基づいて、上述した圧力変動の回数を決定する圧力変動回数決定手段68を備えている。本実施形態では、ガス流路5,6において圧力変動を複数回繰り返すことにより、残留水を確実に排出する。
図3は、ガス流路の圧力変動と残留水分量との関係を示すグラフである。上述したように、ガス流路を加圧してから急減圧することにより、ガス流路の残留水が吸引されて酸化ガスとともに排出される。なおガス流路の圧力変動の変動幅P0は、従来の掃気時の圧力Piより大きくすることが望ましい。この圧力変動を繰り返すことにより、ガス流路の残留水分量を徐々に減少させることができる。
次に、本実施形態に係る燃料電池の掃気方法につき、図2、図5および図6を用いて説明する。図5は、本実施形態に係る燃料電池の掃気方法のフローチャートである。
まず、イグニッションスイッチ61がOFFされると(S10)、ECU60が燃料電池1による発電を停止する(S12)。運転停止検出手段62が燃料電池1の運転停止を検出したら、残留水分量予測手段64が燃料電池1の内部に残留する水分量を推定する(S14)。
また、S16における判断がYesの場合(残留水の除去が必要である場合)は、圧力変動回数決定手段68が、残留水を除去するために必要な圧力変動の繰り返し回数を決定する(S18)。次に掃気手段70は、現在までの圧力変動の繰り返し回数が、S18で決定された繰り返し回数未満であるか判断する(S20)。判断がYesの場合は、圧力変動モードによる掃気処理を実行する(S30)。
以上により、ガス流路の排水操作が終了する(S38)。
加えて、燃料ガス流路を酸化ガスで掃気するので、燃料ガスで掃気する場合に比べて燃料ガス消費量が減少し、燃費を向上させることができる。また、大量の掃気ガスを供給する必要がないので、エネルギー消費量を低減することができる。
図7は、第1実施形態の第1変形例に係る燃料電池の掃気方法のフローチャートである。図6に示す第1実施形態では、残留水分量を推定し(S14)、残留水の除去が必要な場合に(S16)、残留水の除去に必要な圧力変動の繰り返し回数を決定し(S18)、その繰り返し回数に到達するまで(S20)、圧力変動モードを繰り返し実行した(S30)。これに対して、図7に示す第1変形例では、残留水分量予測手段64が残留水分量を推定し(S44)、残留水除去必要性判断手段66が残留水の除去は必要ないと判断するまで(S46)、掃気手段70が圧力変動モードを繰り返し実行する(S30)。この場合、図2に示す圧力変動回数決定手段68は不要である。
図8は、第1実施形態の第2変形例におけるガス流路の圧力変動と残留水分量との関係を示すグラフである。図3に示す第1実施形態では、複数回の圧力変動(加減圧)につき変動幅P0を同じに設定した。これに対して、図8に示す第2変形例では、複数回の圧力変動につき変動幅P1,P2…を変化させる。この場合、図2に示す圧力変動回数決定手段68に代えて、圧力変動幅決定手段を設ける。
ところで、燃料ガス流路5または酸化ガス流路6のいずれか一方のみに圧力変動を発生させる場合には、圧力変動幅が大きいと膜電極構造体の負担が大きくなる。これに対して第2変形例では、変動幅の小さい圧力変動(例えば1回目の圧力変動)で残留水が除去できれば、変動幅の大きい圧力変動(例えば2回目以降の圧力変動)を行う必要がない。したがって、膜電極構造体への負担を低減することができる。
次に、第2実施形態に係る燃料電池システムについて説明する。
図11は、第2実施形態に係る燃料電池システムの概略構成図である。この燃料電池システム200は、加圧手段として機能する空気タンク80を備えている。この空気タンク80は、コンプレッサ7から供給される圧縮空気を蓄積するものであり、空気供給流路8から分岐されたタンク流路82に接続されている。なおタンク流路82より上流側の空気供給流路8には供給遮断弁84が設けられている。またタンク流路82にはタンク弁86が設けられている。
例えば、上述した実施形態では燃料ガス流路および酸化ガス流路の両方に圧力変動を生じさせたが、いずれか一方のみに圧力変動を生じさせることも可能である。例えば、常温時には、残留水が多く存在する酸化ガス流路のみに圧力変動を生じさせ、低温時には、凍結を防止するため両方のガス流路に圧力変動を生じさせることも可能である。また、燃料ガス流路のみでの圧力変動と、酸化ガス流路のみでの圧力変動とを、短時間で切り替えることも可能である。この場合、一方のガス流路に圧力変動を生じさせるのと同じエネルギー消費量で、両方のガス流路に圧力変動を生じさせた場合と同様の効果を奏することができる。
Claims (3)
- 酸化ガスと燃料ガスを供給し電気化学反応により発電する酸化ガス流路と燃料ガス流路を備えた燃料電池セルを複数枚した燃料電池スタックと、
前記酸化ガスを流通する前記燃料電池スタックに接続された酸化ガス経路と、
前記燃料ガスを流通する前記燃料電池スタックに接続された燃料ガス経路と、を備えた燃料電池システムであって、
前記各ガス流路に送り込まれる酸化ガスの圧力を調整する圧力調整手段と、
前記燃料電池スタックの運転停止を検出する運転停止検出手段と、
前記燃料電池スタックの運転停止後に、前記燃料電池スタックの内部に残留する水分量を予測する残留水分量予測手段と、
前記残留水分量の予測結果に基づいて、残留水の除去が必要か否かを判断する残留水除去必要性判断手段と、
前記残留水の除去が必要であると判断された際、前記圧力調整手段を制御して、前記酸化ガス流路および前記燃料ガス流路のうち少なくとも一方を加減圧することにより、前記燃料電池スタックの内部の前記残留水を除去する掃気手段と、
前記残留水分量の予測結果に基づいて、前記残留水の除去の必要性が消滅するように、前記残留水分量が多いほど前記加減圧の回数が多くなるように、前記加減圧の回数を決定する圧力変動回数決定手段と、を有し、
前記掃気手段は、前記圧力変動回数決定手段により求められた回数だけ前記加減圧を繰り返すことを特徴とする燃料電池システム。 - 前記残留水分量の予測結果に基づいて、前記加減圧の変動幅を決定する圧力変動幅決定手段を有することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
- 前記圧力変動幅決定手段は、前記加減圧を繰り返すとともに前記加減圧の変動幅が増加するように、前記加減圧の変動幅を決定することを特徴とする請求項2に記載の燃料電池システム。
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