JP4785119B2 - 長尺碍子梱包装置 - Google Patents

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本発明は、大型中実碍子、大型碍管、ブッシングなどの上部金具および下部金具を備えた長尺碍子を輸送するために用いられる長尺碍子梱包装置の改良に関するものである。
長さが１０ｍに達するような長尺碍子を船舶あるいはトラックで輸送する場合には、輸送中の長尺碍子を損傷から保護するために長尺の梱包装置が用いられている。従来の長尺碍子梱包装置は、図９に示すように、松のような強度のある木材を底部架台１とした木箱が一般的であった。その内部には横置きされた長尺碍子の胴部を上下から挟む支持板２が多数配置されている。
ところが長尺碍子は重量物であるので、梱包装置にも強度が要求され、特に底部架台１には変形を避けるために断面積が大きく、長さが１０ｍ以上の大型木材が必要となる。しかしそのような大型木材は樹齢の高い樹から製材されるものであるから高価であり、梱包装置のコストが嵩むこととなる。しかも輸出の場合には、輸出先によっては松喰い虫などの病害虫を防止するために木製の梱包装置についても加熱処理を要求されることがあり、これもコストアップ要因となっている。
また、重量物である長尺碍子の入った木製の梱包装置をクレーンで吊り上げた場合、梱包装置全体が大きく弓形に湾曲するおそれがある。このため長尺碍子の胴部を上下から挟む支持板２の数を多くして長尺碍子の荷重を分散させている。しかし磁器製の長尺碍子には不可避的な焼成歪みが発生するため、これらの支持板２は現場合わせで固定する必要があり、梱包作業の手数も嵩むという問題があった。
なお、碍子の梱包に関する特許文献はほとんど見当たらず、わずかに特許文献１、２に示されるような梱包技術が知られている程度である。特許文献１は懸垂碍子の梱包枠であり、特許文献２はガス入りのコンデンサブッシングの梱包装置に関するものである。特許文献２には図９に示した梱包装置と類似のものが開示されている。
特公昭４８-３９２７７号公報 特開平１-１１５０１６号公報
本発明は上記した従来技術の問題点を解決し、高価な大型木材を不要とし、また梱包作業の手数も削減して梱包コストの低減を図ることができる長尺碍子梱包装置を提供するためになされたものである。
上記の課題を解決するためになされた本発明の長尺碍子梱包装置は、縦長の金属製架台の両端部上面に、長尺碍子の上部金具および下部金具を受けるＶ字状の受金具をそれぞれ立設し、長尺碍子を両端で支持するとともに、該Ｖ字状の受金具の端面に、長尺碍子の端面に当ててその軸線方向の移動を阻止する取り外し可能なストッパ金具を設けたことを特徴とするものである。なお、該Ｖ字状の受金具の外側に立設された門型フレームに、長尺碍子の端面に当ててその軸線方向の移動を阻止する取り外し可能な上部ストッパ金具を設けた構造とすることができる。また、全体をオープントップコンテナに収納した構造とすることができる。
本発明の長尺碍子梱包装置は、剛性のある金属製架台の両端部上面に立設された受金具により、長尺碍子を両端の上部金具および下部金具で支持する構造であるため、従来のような高価な大型木材は不要であり、また長尺碍子の胴部を支持板によって支持する必要がないので、梱包作業の手数も削減できる。なお前述のように長尺碍子の胴部には不可避的な焼成歪みが発生するものの、上部金具および下部金具の寸法やそれらの間の距離は精度よく製造されているから、現場合わせの必要はほとんど生じない。このため作業コストを含む梱包コストを大幅に引き下げることができ、木箱を使用しないので加熱処理の必要もない。
また請求項３の発明のように全体をオープントップコンテナに収納すれば、船舶やトラックにより輸送中に外部からの飛来物や落下物から確実に長尺碍子を保護することができる。すなわちオープントップコンテナ自体を、長尺碍子を保護するための密閉構造の箱として利用することができる。またオープントップコンテナを用いれば港の到着後、そのままコンテナトレーラで輸送することができ、多段積みすることも可能となる。しかもオープントップコンテナはクレーンにより上面からの収納が可能であるから、荷役作業を合理化することが可能である。
以下に本発明の好ましい実施形態を示す。
この実施形態では、長尺碍子Ｗは図６に示されるような磁器製碍管の上端と下端に上部金具３および下部金具４を備えた全長が約１０ｍのブッシングである。
図１において１０は縦長の金属製架台であり、Ｌ型鋼、Ｃ型鋼、角パイプなどを用いたフレーム構造とすることにより、必要な剛性を持たせてある。この金属製架台１０の両端部付近に、それぞれ受金具１１、１２が立設されている。受金具１１は水平に置かれた長尺碍子Ｗの上部金具３を受けるための金具であり、受金具１２は長尺碍子Ｗの下部金具４を受けるための金具である。
図２と図３は受金具１１の部分の拡大図であり、幅方向のベース１３上に数本の支柱１４を立て、Ｖ字状の受金具１１が固定されている。この実施形態では受金具１１の幅は２０ｃｍであり、円筒状の上部金具３を安定に支持できる構造となっている。なお１５は受金具１１の端面に取り外し可能に固定された一対のストッパ金具であり、長尺碍子Ｗの端面に当てて長尺碍子Ｗの軸線方向への移動を阻止するための部材である。
図４に示すように、この実施形態では受金具１１の外側に更に門型フレーム１６を取り外し可能に立設し、その上部中央に上部ストッパ金具１７が取り外し可能に取り付けられている。これは受金具１１に水平に支持された長尺碍子Ｗの上半部と係合し、長尺碍子Ｗの軸線方向への移動をより確実に阻止するための部材である。なお、これらのストッパ金具１５、門型フレーム１６、上部ストッパ金具１７等を取り外し可能としたのは、梱包時や開梱時のクレーンによる作業中はこれらを取り外しておき、長尺碍子Ｗが受金具１１に載った後にこれらを取付けることができるようにするためである。
以上に長尺碍子Ｗの上部金具３を受けるための受金具１１について説明したが、金属製架台１０の他端部には、図５に示すように長尺碍子Ｗの下部金具４を受けるための受金具１２が設けられている。その構造は受金具１１と同様であるから、対応する部分に同一の番号を付けて説明を省略する。なお、長尺碍子Ｗの下部金具４は上部金具３よりも大径であるから、受金具１２はそれに対応させて大型となっている。
このように構成された本発明の長尺碍子梱包装置は、図６に示すように、水平に倒された長尺碍子Ｗの上部金具３および下部金具４を受金具１１と受金具１２により支持させ、長尺碍子Ｗを両端で支持するものである。この図６の状態のものを木箱等に収納して輸送してもよいが、船舶で輸送する場合には図７に示すようなオープントップコンテナ２０に収納することが好ましい。オープントップコンテナ２０は天井面を開放することができるので、本発明の長尺碍子梱包装置をクレーンにより吊り揚げ、上方からオープントップコンテナ２０の内部に収納することができる。横方向から挿入することも不可能ではないが、クレーンにより上方から入れる方が作業ははるかに容易である。
以上に説明した実施形態では、金属製架台１０は底面フレームの両端部に受金具１１と受金具１２とを立設したものであるが、金属製架台１０は図８に示すように取り外し可能な上部フレーム１８を備えた直方体状のフレーム構造体とすることもできる。この図８の実施形態では上部フレーム１８の内部に長尺碍子Ｗをすっぽりと収納することができるので、蓋フレーム１９を被せて輸送することができる。またこの図８の実施形態では、上部フレーム１８が金属製架台１０全体の変形を防止する効果も発揮する。なお、受金具１１と受金具１２は上部フレーム１８の両端部に直接固定されている。上部フレーム１８を取り外し可能とした理由も、ストッパ金具１５等を取り外し可能とした理由と同じである。
以上に説明したように、本発明の長尺碍子梱包装置は従来のような高価な大型木材を用いることなく、また煩雑な現場合わせ作業も不要として、梱包コストの低減を図ることができるものであり、特に１０ｍを越えるような長尺碍子を海外に輸送する場合などに好適なものである。
本発明の第１の実施形態を示す斜視図である。 上部金具の受金具を示す斜視図である。 上部金具の受金具を示す正面図である。 上部金具の受金具と門型フレームとを示す斜視図である。 下部金具の受金具と門型フレームとを示す斜視図である。 長尺碍子の梱包状態を示す斜視図である。 第２の実施形態を示す斜視図である。 第３の実施形態を示す斜視図である。 従来技術を示す斜視図である。
符号の説明
Ｗ 長尺碍子
１ 底部架台
２ 支持板
３ 上部金具
４ 下部金具
１０ 金属製架台
１１ 受金具
１２ 受金具
１３ ベース
１４ 支柱
１５ ストッパ金具
１６ 門型フレーム
１７ 上部ストッパ金具
１８ 上部フレーム
１９ 蓋フレーム
２０ オープントップコンテナ

Claims (3)

  1. 縦長の金属製架台の両端部上面に、長尺碍子の上部金具および下部金具を受けるＶ字状の受金具をそれぞれ立設し、長尺碍子を両端で支持するとともに、該Ｖ字状の受金具の端面に、長尺碍子の端面に当ててその軸線方向の移動を阻止する取り外し可能なストッパ金具を設けたことを特徴とする長尺碍子梱包装置。
  2. 該Ｖ字状の受金具の外側に立設された門型フレームに、長尺碍子の端面に当ててその軸線方向の移動を阻止する取り外し可能な上部ストッパ金具を設けたことを特徴とする請求項１に記載の長尺碍子梱包装置。
  3. 全体をオープントップコンテナに収納したことを特徴とする請求項１又は２記載の長尺碍子梱包装置。
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