JP4784883B2 - 主軸スピンドル装置および工作機械 - Google Patents
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Description
従来、固定側から回転側へ油圧を供給する手段としては、例えば、特許文献1に示される回転シール継手が知られている。
本発明の参考例としての発明は、ベース部に対して流体軸受により回転可能に支持される回転体に、工具または被加工物を着脱可能に開閉される複数の爪部と、該爪部を開閉駆動する流体圧アクチュエータと、該流体圧アクチュエータに流体圧を供給する流体圧室と、該流体圧室にベース部側から流体圧を供給する流体圧供給機構とを備え、該流体圧供給機構が、前記回転体の回転軸に沿って前記流体圧室内外を貫通する貫通孔と、前記ベース部に固定され、前記貫通孔に半径方向に微小隙間をあけて挿入され、流体を流通させる流通孔を備える中空ロッドとを備えるチャック装置である。
流体としては、オイル、水等の液体、空気等の気体が挙げられる。
流体圧室に流体圧が供給されると、ピストンが駆動され、これによってダイヤフラム部が弾性変形させられるので、ダイヤフラム部に固定された複数の爪部が、ダイヤフラム部の弾性変形によって変位させられる。したがって、例えば、ダイヤフラム部が弾性変形したときに爪部相互間の距離が開き、弾性変形が復元したときに爪部相互間の距離が縮小するように設定しておくことにより、流体圧の供給によってピストンを駆動して爪部を開き、工具や被加工物の着脱を可能とし、流体圧の供給停止によりダイヤフラム部の弾性変形を復元させることで、爪部を閉じて工具や被加工物を把持状態に維持することができる。
流体軸受としては、静圧軸受および動圧軸受が挙げられる。
本発明によれば、アクチュエータの駆動によりベース部に対して回転体が回転駆動される。回転体にはチャック装置が備えられているので、チャック装置の作動によって、工具あるいは被加工物を把持した状態で、アクチュエータを駆動することにより、工具あるいは被加工物を回転体の回転軸線回りに回転させることができる。回転体は流体軸受により支持されているので、ベース部と回転体との間における機械的な摩擦力もほとんどなく、高い回転精度でチャック装置により把持したものを回転させることができる。
本発明においては、前記流体圧アクチュエータが、前記複数の爪部を固定する弾性変形可能なダイヤフラム部と、該ダイヤフラム部を弾性変形させるピストンとを備えることとしてもよい。
凹部に加圧されたオイルを供給することにより、各凹部において回転体とベース部との間に静圧が発生し、回転体がベース部に対して静圧により浮上した状態に支持される。したがって、回転体は、ベース部と固体接触することなく、高い精度で回転させられることになる。この場合に、凹部とベース部側の対向面との微小隙間からオイルの一部が漏れることになるが、両者の隙間を微小隙間に維持することで、凹部内の静圧を維持し、回転体を円滑に回転可能に支持することができる。
このように構成することで部品点数を低減し、装置の小型化、低コスト化を図ることができる。チャック装置を作動させるのは、爪部により工具または被加工物を把持する場合か、工具または被加工物を爪部間から取り外すときであり、回転体が静止しているとき、または、回転体が回転していてもその回転精度が要求されていない場合に限られる。したがって、流体軸受の流体圧源をチャック装置の流体圧源と共通化しても、チャック装置の動作状態によって回転体の回転精度に影響を与えることがない。
このように構成することで、流体軸受を構成するベース部と回転体との微小隙間から漏洩するオイルおよび油圧供給機構を構成する中空ロッドと流体圧室の貫通孔との微小隙間から漏洩するオイルが共通のオイル回収機構により回収される。したがって、オイル回収機構を個別に設ける必要がなく、装置を簡易に構成することができる。
本発明によれば、主軸スピンドル装置により工具または被加工物を高精度で回転させるので、被加工物を精度よく加工することができる。
本実施形態に係るチャック装置1は、図1に示されるように、ベース部2に対して回転可能に支持された回転体3の先端に設けられたダイヤフラム部4と、該ダイヤフラム部4に固定された3個の爪部5と、ダイヤフラム部4を弾性変形させるピストン6と、ピストン6を駆動する油圧室7と、油圧室7に油圧を供給する油圧供給機構8とを備えている。
前記油圧供給機構8は、前記油圧室7の貫通孔10内に半径方向に微小隙間をあけて挿入配置される中空ロッド12により構成されている。中空ロッド12はベース部2に固定され、オイルを油圧室7に供給する流通孔12aを備えている。
本実施形態に係るチャック装置1により、被加工物を把持するには、ベース部2に固定された中空ロッド12から加圧されたオイルLを供給する。中空ロッド12は、油圧室7に設けられた貫通孔10に隙間をあけて挿入されているので、オイルLは、中空ロッド12と油圧室7の貫通孔10との隙間から一部漏洩する。しかし、中空ロッド12と貫通孔10との隙間は微小隙間とされているので、油圧室7内は、完全に大気開放されることなく、所定の油圧が維持された状態となる。
上述したように爪部5は、ダイヤフラム部4が弾性変形させられたときに把持面5a間の距離を大きくする方向に変位させられるので、中空ロッド12から油圧を供給することで、爪部5が開き、把持面5a間に被加工物を挿入できるようになる。
この場合において、回転体3が回転させられると、該回転体3に設けられている油圧室7も回転させられる一方、ベース部2に固定されている中空ロッド12は固定された状態に維持されるので、中空ロッド12の周囲において、微小隙間をあけた油圧室7の貫通孔10が回転させられる。このとき、中空ロッド12と貫通孔10内面とは微小隙間をあけた状態に維持されるので、両者が固体接触することが回避され、機械的な摩擦の発生が抑制されることになる。
したがって、ベース部2に対して回転体3を円滑に回転させることができ、高い回線精度で被加工物を回転させることができる。
本実施形態に係る主軸スピンドル装置13は、図2に示されるように、工作機械14の被加工物を把持して回転させる装置であって、工作機械14のベース15に水平方向に移動可能に支持されたテーブル16上に固定されている。
なお、本実施形態の説明において、上述した本発明の一実施形態に係るチャック装置1と構成を共通とする箇所には同一符号を付して説明を省略する。
前記ベース部2は、回転体3を収容する収容孔19を有している。収容孔19には、前記回転体3の円筒面3aに微小間隔をあけて対向する円筒内面19aと前記鍔状部3bの軸方向両端面に微小間隔をあけて対向するリング状平面19bとが設けられている。
また、凹部20bは鍔状部3bを回転軸線方向に挟んで両側に設けられているので、回転体3は鍔状部3bにおいて回転軸線方向の両側から油圧により押圧されることになり、その力の釣り合いによって、収容孔19内において回転軸線に沿う方向にも位置決め状態に維持されるようになっている。
これにより、静圧パッドにおけるベース部2と回転体3との微小隙間から漏洩するオイル、およびチャック装置1の油圧供給機構8における微小隙間から漏洩するオイルは、共通のオイルパン22aにより受け止められて、回収配管22bを介して油圧源23まで戻され再利用されるようになっている。
本実施形態に係る主軸スピンドル装置13によれば、回転体3が静圧軸受17により回転可能に支持されているので、回転体3とベース部2との間に機械的な摩擦力をほとんど生じることがない。さらに、チャック装置1の爪部5を開閉駆動するための油圧供給機構8も、回転体3に設けた貫通孔10内に中空ロッド12を隙間をあけて挿入することにより構成されているので、回転体3の回転において機械的な摩擦をほとんど生じない。
したがって、オイルの回収の点においても、部品点数を削減し、コスト低減、設置スペースの低減および小型化を図ることができるという利点がある。
また、作動流体としてオイルを例に挙げ、流体圧として油圧を採用したが、これに代えて、他の流体、例えば、水や空気を用いてもよい。
また、流体軸受として静圧軸受を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、動圧軸受を用いてもよい。
2 ベース部
3 回転体
4 ダイヤフラム部(流体圧アクチュエータ)
5 爪部
6 ピストン(流体圧アクチュエータ)
7 油圧室(流体圧室)
8 油圧供給機構(流体圧供給機構)
10 貫通孔
12a 流通孔
12 中空ロッド
13 主軸スピンドル装置
17 静圧軸受(流体軸受)
18 アクチュエータ
19a 円筒内面(対向面)
19b リング状平面(対向面)
20a,20b 凹部
22 オイル回収機構
23 油圧源(流体圧源)
Claims (4)
- ベース部と、
該ベース部に対して非接触状態で回転可能に支持される回転体と、
油圧により該回転体をベース部に回転可能に支持する流体軸受と、
前記ベース部に対して回転体を回転駆動させるアクチュエータと、
前記ベース部と前記回転体との間の微小隙間から漏洩するオイルを回収するオイル回収機構と、
チャック装置とを備え、
該チャック装置が、前記回転体に、
工具または被加工物を着脱可能に開閉される複数の爪部と、
該爪部を開閉駆動する流体圧アクチュエータと、
該流体圧アクチュエータに油圧を供給する流体圧室と、
該流体圧室にベース部側から油圧を供給する流体圧供給機構とを備え、
該流体圧供給機構が、前記回転体の回転軸に沿って前記流体圧室内外を貫通する貫通孔と、前記ベース部に固定され、前記貫通孔に半径方向に微小隙間をあけて挿入され、オイルを流通させる流通孔を備える中空ロッドとを備え、
前記チャック装置および前記流体軸受に共通の流体圧源が接続され、
前記中空ロッドと流体圧室の貫通孔との間の微小隙間から漏洩するオイルが前記オイル回収機構により回収される主軸スピンドル装置。 - 前記流体圧アクチュエータが、前記複数の爪部を固定する弾性変形可能なダイヤフラム部と、該ダイヤフラム部を弾性変形させるピストンとを備える請求項1に記載の主軸スピンドル装置。
- 前記流体軸受が、回転体の周面および長手方向の端面に微小隙間をあけて対向するベース部側の対向面にそれぞれ設けられた凹部と、該凹部に供給される加圧されたオイルとにより構成された静圧軸受からなる請求項1または請求項2に記載の主軸スピンドル装置。
- 請求項1から請求項3のいずれかに記載の主軸スピンドル装置を備える工作機械。
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