JP4783983B2 - 透明ガスバリア性積層フィルム - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、食品、医薬品、電子部品などの包装材料として用いられるガスバリア性フィルムに関するものであり、特に無機化合物の蒸着膜やスパッタリング膜などの薄膜をガスバリア層またはその一部として用いる透明ガスバリア性積層フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ガスバリア性フィルムとして、ポリエチレンテレフタレ−ト(PET)などのプラスチックフィルムの片面あるいは両面に、アルミニウム酸化物や珪素酸化物などの無機化合物の薄膜を、巻取り真空蒸着法などによって連続的に設けたものが開発されている。
このようなガスバリア性積層フィルムは、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)やエチレンと酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレンとビニルアルコ−ル共重合体(EVOH)などのガスバリア性ポリマ−をガスバリア層として用いたものと比較して、酸素と水蒸気の双方に対して高いバリア性を持つとともに、その温度や湿度による変化が小さい、といった優れた特徴を持っている。また、アルミニウム箔やアルミウム蒸着膜をガスバリア層として用いたものに対しては、透明性が高く内容物の透視、確認が可能であるとともに、金属探知器による内容物検査も可能である、といった利点を持つものである。
このようなガスバリア性積層フィルムにおける主要なもの、すなわち10〜50nm程度のアルミニウム酸化物や珪素酸化物を、電子線加熱や誘導加熱、抵抗加熱などを蒸発手段とした真空蒸着法で巻取り状の基材フィルム(PET:厚さ12μm)に連続的に形成したもののガスバリア性は、酸素ガス透過速度で約1〜3cc/m2・day・atm(30℃,70%RH)、水蒸気透過速度で約1〜4g/m2・day(40℃,90%RH)である。
【0003】
このような性能を持つガスバリア性積層フィルムは、包装用途の多くに使用することが出来るが、更なる高バリア性が要求される食品や電子部品、医薬品などの包装用としてはガスバリア性が不足している。すなわち、これらの用途には通常、約1cc/m2・day・atm以下、好ましくは約0.5cc/m2・day・atm以下の酸素透過速度と、約1g/m2・day・atm以下、好ましくは約0.5g/m2・day以下の水蒸気透過速度が要求されるからである。
そこで、このような高バリア性が要求される用途には複数のガスバリア性積層フィルムを貼り合わせて対応しているのが現状であるが、このようにガスバリア性積層フィルムを複数貼り合わせて使用することは、フィルムの必要量からも、貼り合わせ工程が別途必要になるということからも、製造コストの大きなアップに繋がるという欠点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上の問題を解決すべく、単独で高バリア性を有するガスバリア性積層フィルムを提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、透明なプラスチックフィルムからなる基材の片面に、少なくとも無機化合物の薄膜からなるガスバリア層を設けた透明ガスバリア性積層フィルムにおいて、100μm×100μm以上の範囲において、非接触の光干渉式測定法により求めた該透明ガスバリア層の表面粗さRMS(自乗平均粗さ)が25nm以下であり、且つ0.1μm以上の高さの突起がなく、前記ガスバリア層が、前記基材に、電子線硬化性樹脂の電子線硬化物であって、トリエチレングリコ−ルジアクリレ−トとエチレングリコ−ルジグリシジルエ−テルのメタクリル酸付加物とのモル比8:2の混合物からなる有機ポリマー層を介して設けてなることを特徴とする透明ガスバリア性積層フィルムである。
【0008】
請求項2記載の発明は、前記無機化合物が酸化珪素または/および酸化アルミニウムを主成分とするものからなることを特徴とする請求項1に記載の透明ガスバリア性積層フィルムである。
【0011】
請求項3記載の発明は、前記基材がそれぞれ滑剤を含む多層構成で、ガスバリア層を設ける側の表面層の100μm×100μm以上の範囲において求めた表面粗さRMS(自乗平均粗さ)が25nm以下及び0.1μm以上の高さの突起がなく、他方の面の側の表面層の100μm×100μm以上の範囲において求めた表面粗さRMS(自乗平均粗さ)が25nm以上及び/または0.1μm以上の高さの突起がある、ことを特徴とする請求項1または2に記載の透明ガスバリア性積層フィルムである。
【0012】
請求項4記載の発明は、前記基材が単層構成で表面層の100μm×100μm以上の範囲において求めた表面粗さRMS(自乗平均粗さ)が25nm以上及び/または0.1μm以上の高さの突起があることを特徴とする請求項1または2に記載の透明ガスバリア性積層フィルムである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明者らは、無機化合物薄膜をガスバリア層として用いたガスバリア性積層フィルムのガスバリア性が、ほとんど前記のような値の範囲、すなわち酸素ガス透過速度約1〜3cc/m2・day・atm(30℃,70%RH)、水蒸気透過速度約1〜4g/m2・day(40℃,90%RH)に入り、これを大きく上回るものが得られない原因を調べた結果、無機化合物薄膜の(サブ)ミクロンオーダーの表面形態がガスバリア性に大きく影響することを見出し、本発明を完成するに至った。
通常、真空蒸着用に限らず、印刷やラミネ−トなどの巻取り加工に用いられるプラスチックフィルムには、巻取りを容易にするための滑剤が添加され、表面の平滑性が故意に下げられている。この滑剤の種類や大きさ、添加量などは使用目的や巻取り速度などによって異なるが、包装材料用における無機化合物の真空蒸着の場合には、珪素酸化物のような無機化合物からなる数μm程度の大きさの滑剤が添加されているのが一般的であり、表面を樹脂組成物で覆われた約0.5μm程度の突起が、数100個/mm2の密度で形成されているのが普通である。
【0014】
このような滑剤を有するプラスチックフィルム基材の上に無機化合物膜を高速で巻取りながら製膜した場合、滑剤による突起上に製膜された無機化合物膜は、ガイドロ−ルで擦られたり、巻取りロ−ル内で抑えられて、割れたり、剥がれ落ちたりする。このことは無機化合物薄膜の製膜装置内においてだけでなく、その後のスリッタ−や印刷、ラミネ−トなどの工程においても起こるものである。
このように、無機化合物の薄膜をガスバリア層として用いたガスバリア性積層フィルムでは、プラスチックフィルム基材表面の滑剤に起因した欠陥が、無機化合物膜からなるガスバリア層に存在し、それがガスバリア性能に限界を与えている主要な原因であった。
【0015】
一方、これまでも無機化合物薄膜の表面粗さとガスバリア性とに相関があることは公開されている〔特開平9−76400〕が、そこでいう表面粗さはAFM(原子間力顕微鏡)を用いて1μm×1μmの範囲について求めたものであり、突起以外の部分(マトリックス部分)もしくは1つの突起の上におけるナノオ−ダ−の微小な表面粗さ、すなわち前記無機化合物薄膜中粒子の大きさやその充填度合いとガスバリア性との関係に関するものである。このオ−ダ−の表面粗さもガスバリア性に影響を与えることは十分考えられることであるが、それは(サブ)ミクロンオ−ダ−の欠陥が無いことが前提条件である。しかし、従来の実生産における高速巻取り製膜では、このような(サブ)ミクロンオ−ダ−の欠陥は避けられないのが実状である。
すなわち、このような(サブ)ミクロンオ−ダ−の欠陥は、無機化合物薄膜を製膜した後の表面の突起に起因するもので、このような(サブ)ミクロンオ−ダ−の欠陥を無くすには無機化合物薄膜面の凹凸を抑えることが不可欠である。
【0016】
本発明における透明なプラスチックフィルム基材とは、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリカ−ボネ−ト、ポリビニルアルコ−ル、セルロ−ス、ポリアクリレ−ト、ポリウレタン、セロハン、ポリエチレンテレフタレ−ト、ポリエチレンナフタレ−ト、ポリエ−テルサルホン、アイオノマ−等の延伸または未延伸のフィルムであり、ガスバリア性積層フィルムの使用環境、被包装物の種類、加工性および経済性などを考慮して適宜選択される。このような基材の厚みも前記のようなことを考慮して決められるが、概して10〜100μm程度のものが用いられる。またこのようなプラスチックフィルム基材の表面に、ガスバリア層としての無機化合物薄膜との密着性を高める目的で、コロナ処理、火炎処理、低温プラズマ処理、薬品処理等の表面処理が施されていても差し支えない。
【0017】
本発明における平滑な表面を有するガスバリア層を得るには、基材となるプラスチックフィルムは滑剤が添加されることなしに製造される必要があるが、その場合はロ−ル内でフィルムとフィルムが密着して巻出しロ−ルから巻出せなかったり、例え巻出せても真空製膜装置内のガイドロ−ルや製膜ロ−ルと密着してフィルムの搬送が出来なかったりする。そこで、プラスチックフィルムを製造する際に、少なくとも2層以上の多層押し出しフィルム製造装置を用い、ガスバリア層を設ける面を持つ層には滑剤を添加せず、反対に裏側の面を持つ層には滑剤を添加して、多層フィルムを得るという方法が採られる。この基材が複数の層からなる場合、ガスバリア層を設ける面を持つ層と裏側の面を持つ層は同一のプラスチック組成物からなるものでも良いし、異なるものでも良い。また同一のものと異なるものとの混合物でも構わない。この方法を採る場合、ガスバリア層を設ける側の表面層の100μm×100μm以上の範囲において求めた表面粗さRMS(自乗平均粗さ)が25nm以下及び0.1μm以上の高さの突起がな異ことが好ましい。また、他方の面の側は、滑剤を添加してあるため、表面層の100μm×100μm以上の範囲において求めた表面粗さRMS(自乗平均粗さ)が25nm以上及び/または0.1μm以上の高さの突起があるものとなる。
また、有機ポリマー層を設けてさらに平滑性、密着性を向上させてもよい。
【0018】
またもう一つの方法として、滑剤を添加して巻取り状のプラスチックフィルムを製造した後、その片面、すなわち無機化合物を製膜する面に、液体状の有機ポリマー原料をコ−ティングして滑剤による***を覆い隠し、その後重合硬化させて有機ポリマー層を得るというものがある。
これは基材に滑剤を添加してあるため、表面層の100μm×100μm以上の範囲において求めた表面粗さRMS(自乗平均粗さ)が25nm以上及び/または0.1μm以上の高さの突起があるものとなるので、有機ポリマー層を設けることにより、ガスバリア層を設ける側の平滑性を向上させるというものである。また、密着性が向上するなどの利点も上げられる。
この場合、有機ポリマー層を形成する有機ポリマー原料は、基材であるプラスチックフィルムと同一のものでも良いし、異なるものでも良い。また同一のものと異なるものとの混合物でも良い。
さらにコ−ティング方法に関しても特に限定されるものではなく、コ−ティングしたい有機ポリマー原料を溶剤に解かしてグラビアコ−ティングなどの方法でコ−ティングした後、オ−ブンなどで溶剤を揮発させ、次いで熱や紫外線、電子線などのエネルギ−を加えて重合硬化させるのも一つの方法である。また、コ−ティングしたい有機ポリマー原料を熱溶融させ、押し出しコ−ティングなどによって基材フィルムの片面に製膜しても良い。
【0019】
本発明は、このような無機化合物薄膜を設ける面を製造する方法には限定を受けるものではなく、重要なことは無機化合物薄膜を設けた後の面の表面粗さや表面形態が本発明の規定数値内に入っていることである。すなわち、100μm×100μm以上の範囲において求めた無機化合物薄膜の表面粗さRMS(自乗平均粗さ)が25nm以下であり、且つ無機化合物薄膜表面に0.1μm以上の高さの突起がないことが重要なことである。
【0020】
本発明におけるガスバリア層またはその一部を形成する無機化合物としては、酸化珪素または/および酸化アルミニウムが選択される。これらの酸化物は、真空蒸着法の他スパッタリングやイオンプレーティングといった通常の物理蒸着法(PVD法)によって、比較的容易に高速で製膜することができ生産性に優れるとともに、ガスバリア性、透明性、プラスチックフィルム基材との密着性などにも優れる膜が得られるためである。また、このような性質に悪影響を与えない程度であれば、これらの酸化物に他の元素や化合物が含まれても何ら差し支えはない。
このような無機化合物膜の厚さも特に限定されるものではなく、最適な厚さは無機化合物の種類や製膜方法によって異なるが、概して3nmから500nmの範囲内、特に8nmから100nmが好ましい範囲である。すなわち、8nmより薄いと無機化合物が連続膜にはならずに島状になり、100nmより厚いと内部応力によって割れる可能性が高くなるためである。
【0021】
また、本発明においてガスバリア層の一部を構成する有機化合物も特に限定されるものではなく、更にはこの有機化合物層が単独で優れたガスバリア性を持つものであっても良いが、必ずしもそうである必要はない。この有機化合物層は前記の無機化合物層の上に形成されるものであり、無機化合物層と相互作用して無機化合物層を緻密化したり、さらに上に設けられる無機化合物層に対して核生成層として機能したり、無機化合物層と無機化合物層との間にあることで、両者の中のクラックの伝搬を遮断することがその役割であるためである。
しかし、無機化合物層の表面粗さが本発明の範囲内に入っていない場合、このような有機化合物層は、形成された無機化合物層の表面が製膜装置中のいかなるロ−ルにも接触する前に設けられる必要がある。
【0022】
本発明では、ガスバリア層表面の表面粗さ、特に100μm×100μmといった比較的広範囲での表面粗さが最も重要であるが、この表面粗さの測定には非接触の光干渉式測定法が適している。表面粗さの測定法は大きく分けて、プローブでサンプル表面をなぞり、そのプローブの垂直方向の変位をピエゾ素子などで検出する接触式と、サンプルにレーザー光などを照射して反射させ、基準面(参照面)で反射した光との干渉縞や位相シフトを検出する非接触式とがある。しかしプロ−ブを用いる接触式では、プロ−ブをサンプル表面に押し付ける必要があるため、プラスチックフィルムやポリマ−層の場合にはその圧力で表面がダメ−ジを受ける場合があり、また得られる画像や表面粗さの数値は、プロ−ブ先端の形状や大きさに大きく影響を受けるためである。
【0023】
【実施例】
以下実施例を用いて、本発明を更に詳細に説明する。
【0024】
〔参考例1〕
3層構成で片面の滑剤が少ないタイプである、厚さ12μmの三層共押し出しタイプの二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−ト(PET)フィルム〔三菱ポリエステル(株)製RD〕の片面(平坦面)に、電子線加熱式巻取り蒸着装置を用いて厚さ約40nmの酸化珪素を製膜した。
得られた酸化珪素製膜フィルムの酸素透過速度、水蒸気透過速度、表面粗さをそれぞれ以下の方法によって測定し、その結果を表1に示した。
(a)酸素透過速度(OTR:Oxygen Transmission Rate):Modern Control(MOCON)社製のOXTRAN 10/50Aを用い、30℃、70%RHの条件で測定した。(単位:cc/m2・day・atm)
(b)水蒸気透過速度(WVTR:Water Vapor Transmission Rate):Modern Control(MOCON)社製のPERMATRAN W6を用い、40℃、90%RHの条件で測定した。(単位:g/m2・day)
(c)表面粗さ:(株)菱化システム社製の三次元非接触表面形状計測システム「Micromap−550」を用いて100μm×100μmの範囲で計測し、RMS(自乗平均粗さ)を求めるとともに、その三次元画像において見られる突起数を数えた。また画像中で最も大きな突起の断面プロファイルからその突起の高さを求めた。
【0025】
〔参考例2〕
3層構成で片面の滑剤が少ないタイプである、厚さ12μmの三層共押し出しタイプの二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−ト(PET)フィルム〔三菱ポリエステル(株)製RD〕の片面(平坦面)に、電子線加熱式巻取り蒸着装置を用い、金属アルミニウムを蒸発させると共に酸素ガスを供給して酸化させる反応性蒸着によって厚さ約20nmの酸化アルミニウムを製膜した。
得られた酸化アルミニウム製膜フィルムの酸素透過速度、水蒸気透過速度、表面粗さをそれぞれ参考例1と同様の方法によって測定し、その結果を表1に示した。
【0026】
〔実施例1〕
単層構成で普通に滑剤の入っているタイプである、厚さ12μmの単層片面コロナ処理タイプの二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−ト(PET)フィルム〔東レ(株)製P60〕の片面(コロナ処理面)に、乾燥後の厚さが約2μmとなるようにアクリレ−トモノマ−〔トリエチレングリコ−ルジアクリレ−トとエチレングリコ−ルジグリシジルエ−テルのメタクリル酸付加物とのモル比8:2の混合物〕をコ−ティングし、加速電圧120kV、照射線量0.1kGyの電子線を照射して硬化させることによってポリマ−層を形成した。続いてこのポリマ−層上に電子線加熱式巻取り蒸着装置を用いて厚さ約40nmの酸化珪素を製膜した。
得られた酸化珪素製膜フィルムの酸素透過速度、水蒸気透過速度、表面粗さをそれぞれ参考例1と同様の方法によって測定し、その結果を表1に示した。
【0027】
〔実施例2〕
単層構成で普通に滑剤の入っているタイプである、厚さ12μmの単層片面コロナ処理タイプの二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−ト(PET)フィルム〔東レ(株)製P60〕の片面(コロナ処理面)に、乾燥後の厚さが約2μmとなるようにアクリレ−トモノマ−〔トリエチレングリコ−ルジアクリレ−トとエチレングリコ−ルジグリシジルエ−テルのメタクリル酸付加物とのモル比8:2の混合物〕をコ−ティングし、加速電圧120kV、照射線量0.1kGyの電子線を照射して硬化させることによってポリマ−層を形成した。続いてこのポリマ−層上に電子線加熱式巻取り蒸着装置を用い、金属アルミニウムを蒸発させると共に酸素ガスを供給して酸化させる反応性蒸着によって厚さ約20nmの酸化アルミニウムを製膜した。
得られた酸化アルミニウム製膜フィルムの酸素透過速度、水蒸気透過速度、表面粗さをそれぞれ参考例1と同様の方法によって測定し、その結果を表1に示した。
【0028】
〔比較例1〕
単層構成で普通に滑剤の入っているタイプである、厚さ12μmの単層片面コロナ処理タイプの二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−ト(PET)フィルム〔東レ(株)製P60〕の片面(コロナ処理面)に、参考例1と同様の方法で厚さ約40nmの酸化珪素を製膜し、得られた酸化珪素製膜フィルムの酸素透過速度、水蒸気透過速度、表面粗さをそれぞれ参考例1と同様の方法によって測定し、その結果を表1に示した。
【0029】
〔比較例2〕
単層構成で普通に滑剤の入っているタイプである、厚さ12μmの単層片面コロナ処理タイプの二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−ト(PET)フィルム〔東レ(株)製P60〕の片面(コロナ処理面)に、参考例2と同様の方法で厚さ約20nmの酸化アルミニウムを製膜し、得られた酸化アルミニウム製膜フィルムの酸素透過速度、水蒸気透過速度、表面粗さをそれぞれ参考例1と同様の方法によって測定し、その結果を表1に示した。
【0030】
〔比較例3〕
単層構成で普通に滑剤の入っているタイプである、厚さ12μmの単層片面コロナ処理タイプの二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−ト(PET)フィルム〔東レ(株)製P60〕の片面(コロナ処理面)に、実施例1と同様の方法で厚さ約0.3μmのポリマ−層を形成し、次いでそのポリマ−層上に実施例1と同様の方法によって約40nmの酸化珪素を製膜した。
得られた酸化珪素製膜フィルムの酸素透過速度、水蒸気透過速度、表面粗さをそれぞれ実施例1と同様の方法によって測定し、その結果を表1に示した。
【0031】
〔比較例4〕
単層構成で普通に滑剤の入っているタイプである、厚さ12μmの単層片面コロナ処理タイプの二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−ト(PET)フィルム〔東レ(株)製P60〕の片面(コロナ処理面)に、実施例2と同様の方法で厚さ約0.3μmのポリマ−層を形成し、次いでそのポリマ−層上に実施例2と同様の方法によって約20nmの酸化アルミニウムを製膜した。
得られた酸化アルミニウム製膜フィルムの酸素透過速度、水蒸気透過速度、表面粗さをそれぞれ実施例1と同様の方法によって測定し、その結果を表1に示した。
【0032】
【表1】
【0033】
表1から明かなように、ガスバリア層の表面粗さRMSが25nm以下であり、且つ高さ0.1μm以下の突起な無い場合に良いガスバリア性を持つ積層フィルムが得られた。
【0034】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、透明なプラスチックフィルムからなる基材上に、無機化合物または無機化合物と有機化合物とからなるガスバリア層を設けた透明ガスバリア性積層フィルムにおいて、前記ガスバリア層の表面粗さRMS(自乗平均粗さ)を25nm以下で、且つ0.1μm以上の高さの突起をなくすことにより、ガスバリア層上の突起の影響が無くなるため、単独で非常に高いガスバリア性能を有する透明なガスバリア性積層フィルムを提供することが出来る。
Claims (4)
- 透明なプラスチックフィルムからなる基材の片面に、少なくとも無機化合物の薄膜からなるガスバリア層を設けた透明ガスバリア性積層フィルムにおいて、100μm×100μm以上の範囲において、非接触の光干渉式測定法により求めた該透明ガスバリア層の表面粗さRMS(自乗平均粗さ)が25nm以下であり、且つ0.1μm以上の高さの突起がなく、前記ガスバリア層が、前記基材に、電子線硬化性樹脂の電子線硬化物であって、トリエチレングリコ−ルジアクリレ−トとエチレングリコ−ルジグリシジルエ−テルのメタクリル酸付加物とのモル比8:2の混合物からなる有機ポリマー層を介して設けてなることを特徴とする透明ガスバリア性積層フィルム。
- 前記無機化合物が酸化珪素または/および酸化アルミニウムを主成分とするものからなることを特徴とする請求項1に記載の透明ガスバリア性積層フィルム。
- 前記基材がそれぞれ滑剤を含む多層構成で、ガスバリア層を設ける側の表面層の100μm×100μm以上の範囲において求めた表面粗さRMS(自乗平均粗さ)が25nm以下及び0.1μm以上の高さの突起がなく、他方の面の側の表面層の100μm×100μm以上の範囲において求めた表面粗さRMS(自乗平均粗さ)が25nm以上及び/または0.1μm以上の高さの突起がある、ことを特徴とする請求項1または2に記載の透明ガスバリア性積層フィルム。
- 前記基材が単層構成で表面層の100μm×100μm以上の範囲において求めた表面粗さRMS(自乗平均粗さ)が25nm以上及び/または0.1μm以上の高さの突起があることを特徴とする請求項1または2に記載の透明ガスバリア性積層フィルム。
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