JP4777941B2 - 需要予測方法および装置 - Google Patents

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Description

本発明は、製品やサービスの需要を予測する需要予測技術に関する。
製品やサービス(以下、商品という)の中長期的な定量予測は、大規模な投資や利潤の推移を見積もるための基礎的な根拠を与えるものである。一定の精度を伴えば、公共団体や企業の双方にとって、政策や施策の企画立案段階での投資の無駄や不足を回避し、産業や経済の効率に寄与することができるため、産業上の利用価値が高い。
一般に、商品に対する需要の定量的予測は、将来における商品の重要の変化を示す需要成長曲線を特定することによって行われる。従来の需要成長曲線を特定する技術は本質的に以下のようなものである。まず、需要成長曲線は、ロジステック曲線、ロトカ=ボルテラモデル、バスモデル(例えば、非特許文献1など参照)やその変形(例えば、非特許文献2など参照)、もしくはニューラルネット等の非線型関数同定モデル等によって、幾つかのパラメータを伴った関数族として捉えられる。次に、商品の販売記録、任意抽出調査などの調査データ、アンケート調査等から得られたデータから関数族のパラメータの取る値を求め、決定された関数により、中長期予測が実施される。
Bass, F. M (1969)"A New Product Growth Model for Consumer Durables," Management Science Theory, Vol.15, No.5, January 1969, pp.215-227 森村他 監訳 (1997) マーケティングハンドブック 朝倉書店(Eliashberg J and Lilien G.L., ed. (1993) Marketing, Handbooks in Operations Research and Management Science Vol.5) Zipf, G. K. (1949) Human Behavior and the Principle of Least-Effort, Addison-Wesley, Cambridge MA
しかしながら、このような従来技術では、現実の値の追加や削除に対して中長期の予測値が大幅に変動し、中長期予測では十分な精度が得られないという問題点があった。
これは、直接的には、データと関数系とがマッチしていないことによると見られ、短期的な予測に留まることが少なくない。さらに、需要の分析と推定において、データ欠損の検出や、商品が質的に変化することの市場への影響の検出などは、基本的な問題であり、これらについて警告を出す技術も産業上の利用価値が高い。しかし従来の技術は、これを峻別できる精度や理論的裏づけを持っていない。
また、現在までのデータにマッチする関数をたとえ構築できたとしても、これのみによって予測方式として採用したり、予測方式を実装した装置を構築することには問題が多い。これには以下に述べるように、少なくとも2つの理由がある。
第一の理由は、その関数がその後に引き続き適用できるとは限らないことが、よく知られている。実際、多数のパラメータを伴う非線型関数系をニューラルネット等によって構築することは、いつでも可能であるが、その場合、新しいテストデータを加えたとき、学習パラメータを変更する必要がでてくる。実際、適当な非線型変換を施したとき、成長データがある区間において直線に良く当てはまる場合がある。しかし、その区間を過ぎれば、カーブを開始することがある。
第二の理由は、予測が未来を記述するものである以上、実際には予測と現実とは必ずしも一致しないという乖離に伴うリスクがある。これに対して、単純に需要成長曲線を提示するのみでは、予測の利用者は予測と現実との乖離をどのよう捉えるべきか分からず、乖離に伴うリスクを評価したり、リスクを引き受けたりすることができない。
したがって、過去のデータにマッチしてロバストな需要成長曲線の関数を構築するだけでなく、なぜそのような需要成長曲線になるのかについての、理論的な説明や裏づけが必要になる。予測のユーザは、理論的な説明や裏づけがわかれば、理論的な説明に提示されている仮説やその裏づけについて吟味し、その内容を評価、もしくはリスクを引き受けるべきか否かを判断できるようになる。実際、古典的なモデルにおいても、単に需要成長曲線の関数を提示するだけでなく、そのような関数になるとする理論的な仮説が提示されている。需要成長曲線の関数がデータに合わないことは、これらの仮説の一部が否定されることを意味する。実際、古典的なモデルを吟味しなおすと、そのモデルの構成がユーザの行動と乖離していると見られる部分がある。
例えば、個々人の利用行動が需要成長のマクロパラメータや最終需要との関係により直接影響を受けるとする仮説を取ることによって、需要成長をマクロパラメータの微分方程式として表現するが、個人の行動はマクロパラメータや最終需要の影響を直接受けるとは考えにくい。古典的なモデルには、仮説に含まれるこのリスクが明示されていたのであって、データとモデルの乖離は、このリスクが表面化したものである。
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、商品あるいは市場に関する需要について、中長期において十分な精度で予測可能な需要予測方法および装置を提供することを目的としている。
このような目的を達成するために、本発明にかかる需要予測方法は、記憶部と演算処理部とを有し、商品に関する実績購入数に基づいて、市場における商品の需要のうち当該需要を形成する先行者と後発者の需要が逆転する逆転時点以降の需要を予測する需要予測装置で用いられる需要予測方法であって、記憶部により、商品に関する実績購入数の時間的変化を示し、かつ逆転時点を含む時系列データを記憶する時系列データ記憶ステップと、演算処理部により、時系列データ記憶部から時系列データを読み出し、当該時系列データに対して時間軸変換処理および回帰分析処理を行うことにより逆転時点以降における商品の需要成長曲線を特定する需要成長曲線算出ステップと、演算処理部により、需要成長曲線に基づいて逆転時点以降の任意の時点における商品の需要予測値を算出して出力する需要予測ステップとを備え、需要成長曲線として、商品の購入数の単位時間あたりの増加数が、所定の基準時点からの時間長の負冪に比例する関数を用いる。
これに加え、需要成長曲線として、縦軸を商品の購入数で示すとともに横軸を対数または負冪積分関数の時間軸で示した場合、逆転時点以前の区間において時間の経過とともに単調増加する曲線であって、かつ逆転時点以降の区間において時間の経過とともに単調増加する直線となる関数を用い、需要成長曲線算出ステップとして、時系列データの時間軸を対数または負冪積分関数の時間軸に変換する時間軸変換ステップと、時間軸変換ステップで得られた変換後時系列データのうち任意の開始時点以降の変換時系列データの回帰直線を複数の開始時点列ごとに求める回帰直線列算出ステップと、回帰直線列算出ステップで得られた回帰直線列について所定の収束条件に基づき所定の収束直線への収束有無を判定する収束判定ステップとを設け、収束判定ステップで収束有りと判定された最小の開始時点を逆転時点とし、収束直線を逆転時点以降の区間における需要成長曲線を示す関数とするようにしたものである。
この際、演算処理部により、予測値算出ステップで得られた需要予測値と時系列データの実績購入値とを比較し、その比較結果に基づいて商品の質的な変化または時系列データの欠損を示す警告を出力するようにしてもよい。
具体的には、演算処理部により、需要成長曲線が直線をなす区間において、予測値算出ステップで得られた需要予測値と時系列データの実績購入値とを比較し、需要予測値が実績購入値を下回る方向への変位を示す場合、商品の質的な変化を示す警告を出力してもよい。
あるいは、演算処理部により、需要成長曲線が直線をなす区間において、予測値算出ステップで得られた需要予測値と時系列データの実績購入値とを比較し、需要予測値が実績購入値を上回る方向への変位を示す場合、時系列データの欠損を示す警告を出力するようにしてもよい。
また、収束条件として、任意の2つの回帰直線間の角度コサイン値の許容値と、所定時間軸区間におけるこれら回帰直線間の距離の許容値とを用いてもよい。
また、本発明にかかる需要予測装置は、商品に関する実績購入数に基づいて、市場における商品の需要のうち当該需要を形成する先行者と後発者の需要が逆転する逆転時点以降の需要を予測する需要予測装置であって、商品に関する実績購入数の時間的変化を示し、かつ逆転時点を含む時系列データを記憶する時系列データ記憶部と、時系列データ記憶部から時系列データを読み出し、当該時系列データに対して時間軸変換処理および回帰分析処理を行うことにより逆転時点以降における商品の需要成長曲線を特定する需要成長曲線特定部と、需要成長曲線に基づいて逆転時点以降の任意の時点における商品の需要予測値を算出して出力する予測値算出部とを備え、需要成長曲線として、商品の購入数の単位時間あたりの増加数が、所定の基準時点からの時間長の負冪に比例する関数を用いる。
これに加え、需要成長曲線として、縦軸を商品の購入数で示すとともに横軸を対数または負冪積分関数の時間軸で示した場合、逆転時点以前の区間において時間の経過とともに単調増加する曲線関数であって、かつ逆転時点以降の区間において時間の経過とともに単調増加する直線となる関数を用い、需要成長曲線特定部に、時系列データの時間軸を対数または負冪積分関数の時間軸に変換する時間軸変換部と、時間軸変換部で得られた変換後時系列データのうち任意の開始時点以降の変換時系列データの回帰直線を複数の開始時点列ごとに求める回帰直線列算出部と、回帰直線列算出部で得られた回帰直線列について所定の収束条件に基づき所定の収束直線への収束有無を判定する収束判定部とを設け、収束判定部で収束有りと判定された最小の開始時点を逆転時点とし、収束直線を逆転時点以降の区間における需要成長曲線を示す関数とするようにしたものである。
この際、予測値算出部で得られた需要予測値と時系列データの実績購入値とを比較し、その比較結果に基づいて商品の質的な変化または時系列データの欠損を示す警告を出力するデータ評価部をさらに設けてもよい。
具体的には、需要成長曲線が直線をなす区間において、予測値算出部で得られた需要予測値と時系列データの実績購入値とを比較し、需要予測値が実績購入値を下回る方向への変位を示す場合、商品の質的な変化を示す警告を出力するようにしてもよい。
あるいは、需要成長曲線が直線をなす区間において、予測値算出部で得られた需要予測値と時系列データの実績購入値とを比較し、需要予測値が実績購入値を上回る方向への変位を示す場合、時系列データの欠損を示す警告を出力するようにしてもよい。
また、収束条件として、任意の2つの回帰直線間の角度コサイン値の許容値と、所定時間軸区間におけるこれら回帰直線間の距離の許容値とを用いてもよい。
本発明によれば、時系列データ記憶部により、商品に関する実績購入数の時間的変化を示し、かつ逆転時点を含む時系列データを記憶し、演算処理部により、時系列データ記憶部から時系列データを読み出し、当該時系列データに対して時間軸変換処理および回帰分析処理を行うことにより逆転時点以降における商品の需要成長曲線を特定し、演算処理部により、需要成長曲線に基づいて逆転時点以降の任意の時点における商品の需要予測値を算出し、需要成長曲線として、縦軸を商品の購入数で示すとともに横軸を対数または負冪積分関数の時間軸で示した場合、逆転時点以前の区間において時間の経過とともに単調増加する曲線であって、かつ逆転時点以降の区間において時間の経過とともに単調増加する直線となる関数を用い、需要成長曲線を特定する際、時系列データの時間軸を対数または負冪積分関数の時間軸に変換し、得られた変換後時系列データのうち任意の開始時点以降の変換時系列データの回帰直線を複数の開始時点列ごとに求め、得られた回帰直線列について所定の収束条件に基づき所定の収束直線への収束有無を判定し、収束有りと判定された最小の開始時点を逆転時点とし、収束直線を逆転時点以降の区間における需要成長曲線を示す関数とするようにしたので、商品あるいは市場に関する需要について、需要成長の構造的理論に基づいた需要予測を実現でき、中長期において十分な精度で予測することができる。
したがって、企業、公共団体、政府機関などの、開発・設備投資、政策、施策などの計画立案、計画評価において、対象となる商品について、本発明による方式やこれを実施し装置を利用することで、理論的な仮説や裏づけの内容を知り、またリスクを理解した上での中長期の予測値を利用することができる。これにより、投資の過剰や不足を回避して適切な投資計画や資金計画を策定し、高い産業的または経済的効果を得ることができる。
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
まず、図1を参照して、本発明の一実施の形態にかかる需要予測装置について説明する。図1は、本発明の一実施の形態にかかる需要予測装置の構成を示すブロック図である。
この需要予測装置10は、全体としてコンピュータを用いた情報処理装置からなり、主な機能部として、操作入力部11、画面表示部12、主記憶部13、時系列データ記憶部14、処理データ記録部15、出力データ保存部16、演算処理部20、中央制御部21、デフォルト設定部22、需要成長曲線特定部23、予測値算出部24、およびデータ評価部25を有している。また、需要成長曲線特定部23には、主な機能部として、時間軸変換部31、回帰直線列算出部32、収束判定部33、および負冪値チューニング部34が設けられている。
本実施の形態は、時系列データ記憶部14により、商品に関する実績購入数の時間的変化を示す時系列データを記憶し、需要成長曲線特定部23により、時系列データ記憶部14から時系列データを読み出し、当該時系列データを回帰分析処理することにより商品に関する需要成長曲線を特定し、予測値算出部24により、需要成長曲線に基づいて任意の時点における商品の需要予測値を算出し、需要成長曲線として、商品の購入数の単位時間あたりの増加数が、所定の基準時点からの時間長の負冪に比例する関数を用いるようにしたものである。
[需要成長の構造的理論]
まず、本発明で用いる需要成長の構造的理論について説明する。
複雑なシステムでは、スケール不変となる冪関数で特性量が得られることがある。商品の需要成長現象においても、ADSLやFTTHなどの様々なブロードバンドアクセスサービスや、ソーシャルネットワーキングサービス(Social Networking Service)の契約者数について、ある時期までこのような性質が見られる。図2は、ブロードバンドサービスの契約者数に関する需要成長曲線を示す説明図である。需要成長現象が単一の正冪関数で表現できるという性質は、需要成長現象の前半のある時期までである。そこで、増分に正に限らない冪性を要求しつつデータフィッティングを施すと、ある時期から後半は、その前半の正冪成長とは関数クラスとして双対的なものである負冪増大に適合する。そして、その増分の冪指数として「−1」がよく適合する。
発明者らは、このようなブロードバンドアクセスサービスの需要成長を考察して、需要成長の構造的理論の構築を行い、バスによる、先行者と後発者の概念を踏襲しつつも、その利用開始行動のメカニズムについては、従来の理論とは大きくことなる仮説を構築した。それは、後発ユーザの利用開始行動が、身近な周囲からの情報の蓄積量が一定量に達することで、平均的に生ずるものとし、その情報のチャネルのサイズが身近な周囲を共有する人々の数によって決まるという仮説である。この仮説を基にすることで、古典的によく知られた都市の人口サイズの分布に対するジップの法則(例えば、非特許文献3など参照)から、後発ユーザの需要成長曲線がほぼ対数的な成長となることが導かれる。需要データに照らすと、実際に、わが国全体や県別の需要成長曲線が需要増加速度のピーク期とみられる時期以降は、対数的成長によくマッチしている。
本発明は、この需要成長の構造的理論による裏づけを基にして、データ欠損の検出や商品の質的な変化を検出し、需要の予測または分析の方式を構築する。この時、更に次のような課題がある。即ち、需要の時系列データからどのようにして、後発ユーザが支配的な部分を機械的な手続きまたはアルゴリズムによって、できるだけ広く取り出すか、言い換えれば、市場成長において、先行者支配的な期間から後発者支配的な期間に転移する逆転時点の算出が問題になる。
これが解決できれば、逆転時点以後の時系列データから対数関数または負冪積分関数の定数倍と定数和を決定して、予測曲線を算出できる。実際、理論は統計的な構造を基盤としており、実際に出現するデータは変動を伴う。そのため、曲線のパラメータを決定するには、十分に後発ユーザからなると見られる新しいデータだけでなく、逆転時点直後からのデータが利用できることが望ましい。また出来るだけ早期に予測するためにも、逆転時点を知ることが重要である。
一方、逆転時点はピーク時点と一致するように見受けられ、増加分の時系列データの最大値時点によって決定しうるように見える。しかしながら、実際は、時系列データの収集に欠損やごく短期的な変動があるため、増加分の時系列による方法では、まったく異なる時点を逆転時点としてしまう誤動作が生じる。したがって、これらを含めて誤差の少ない分析と予測方式とするには、増分時系列ではなく、誤差の少ない累積時系列を基にした逆転時点やパラメータ値の決定法を考案する必要がある。
この課題は需要成長の構造的理論によって、解決を図ることができる。実際、上述のように当該理論によれば、逆転時点付近では、減少する先行型の利用開始者と増加する後発型の利用開始者の和として推移し、対数または負冪積分関数の需要成長曲線のパラメータ決定に使える逆転時点とは先行型の利用開始者が消失したとみなせる時点に他ならない。
したがって、需要成長曲線を時間軸のみ片側対数または片側負冪積分関数で表示した際、逆転時点までの区間において、時間の経過とともに単調増加する下方に凸の曲線であり、逆転時点を過ぎると正の傾きを持った時間の経過とともに単調増加する直線となる。図3は、時間軸変換後の需要成長曲線を示す説明図である。このため、逆転時点手前から各時点での右側半直線上にある需要成長曲線に対する回帰直線は、各時点を増加させたとき、傾きを増加させ、逆転時点以降では需要成長曲線の直線成分に一致する。よって、時系列データから回帰直線族を構成することで、逆転時点、および後発型利用開始者からなる需要成長曲線を決定することができる。
[本実施の形態の構成]
次に、図1を参照して、本発明の一実施の形態にかかる需要予測装置の構成について詳細に説明する。
操作入力部11は、キーボードやマウスなどの操作入力装置からなり、オペレータによる需要予測処理の開始操作やデータ入力操作などの各種操作を検出して演算処理部20へ出力する機能を有している。
画面表示部12は、LCDやPDPなどの画面表示装置からなり、演算処理部20からの処理メニュー、あるいは需要予測値や需要予測グラフなどの出力結果を画面表示する機能を有している。
主記憶部13は、メモリやハードディスクなどの記憶装置からなり、演算処理部20での処理に用いるパラメータや指定要求などの処理データに対するデフォルト値(初期値)やプログラムを記憶する機能を有している。
時系列データ記憶部14は、メモリやハードディスクなどの記憶装置からなり、需要予測の対象となる、ユーザ向けの耐久性のある製品、システム、あるいはサービスなどの商品について地域ごとに実績購入数(販売数)の時間的変化を示す時系列データを記憶する機能を有している。
処理データ記録部15は、メモリやハードディスクなどの記憶装置からなり、需要予測処理の実行時に生成される、変換後時系列データ、回帰直線の関数式、収束判定値、データ評価値などの各種処理データを記録する機能を有している。
出力データ保存部16は、メモリやハードディスクなどの記憶装置からなり、需要予測処理で得られた需要予測値や需要予測グラフなどの出力結果を保存する機能を有している。
データ入出力部17は、専用の通信インターフェース回路からなり、通信回線を介して外部装置と接続してデータ通信を行う機能と、外部装置から時系列データを読み込んで時系列データ記憶部14へ保存する機能と、出力データ保存部16から出力結果を読み込んで外部データへ出力する機能と、外部装置からプログラムを読み込んで主記憶部13へ格納する機能とを有している。
演算処理部20は、CPUなどのマイクロプロセッサとその周辺回路を有し、主記憶部13からプログラムを読み込んで実行することにより、上記ハードウェアとプログラムを協働させて、需要予測処理を実行するための各種機能部を実現する機能を有している。これら機能部には、前述した、中央制御部21、デフォルト設定部22、需要成長曲線特定部23、予測値算出部24、およびデータ評価部25が相当する。
中央制御部21は、各部からの命令、メッセージ、データの流れを制御する機能を有している。
デフォルト設定部22は、需要予測処理における各部の様々なパラメータや指定要求などの処理データに対するデフォルト値(初期値)を設定する機能と、デフォルト値の設定要求表に対する表示、入力、ファイル保存の各種処理を実行する機能とを有している。ここでは、需要成長の開始を示す初期時点、収束判定に利用する各種収束条件値(閾値)の設定、回帰直線族算出時間区間、回帰直線の距離を評価する距離評価時間区間、負冪指数、負冪値チューニングの実行の有無、負冪値チューニングシナリオなどのデフォルト値が設定される。
需要成長曲線特定部23は、時系列データ記憶部14から時系列データを読み出し、当該時系列データを回帰分析処理することにより、商品に関する需要成長曲線F(t)を特定する機能を有している。この際、需要成長曲線として、商品の購入数の単位時間あたりの増加数が、所定の基準時点(需要成長開始時点)からの時間長の負冪に比例する関数が用いられる。
予測値算出部24は、需要成長曲線特定部23で算出された需要成長曲線に基づいて任意の時点における商品の需要予測値を算出する機能と、オペレータ要求に応じて自然スケールまたは負冪積分関数の双方の時間軸スケールにおいて需要成長曲線と時系列データをプロットする機能と、オペレータ要求に応じて処理データ記録部15から読み出した回帰直線ごとに需要成長曲線を作成し、指定された時点における各予測曲線の偏差を算出する機能と、これら機能で得られた各種データを画面表示部12へ画面表示し、あるいは予測結果として出力データ保存部16へ保存する機能とを有している。
データ評価部25は、デフォルト設定部22で設定された閾値に基づいて、需要成長曲線が直線をなす区間での需要予測値と時系列データの実績購入値とを比較する機能と、得られた比較結果に基づき両者の乖離状況を判定し、その乖離状態を時点域と乖離値によって出力する機能と、当該乖離状態に応じて考えられる乖離要因を優先度に基づき各種データを画面表示部12へ画面表示し、あるいは予測結果として出力データ保存部16へ保存する機能とを有している。この際、需要予測値が実績購入値を下回る方向への変位を示す場合、商品の質的な変化を示す警告を出力し、需要予測値が実績購入値を上回る方向への変位を示す場合、時系列データの欠損を示す警告を出力する。
需要成長曲線特定部23には、主な処理機能部として、時間軸変換部31、回帰直線列算出部32、収束判定部33、および負冪値チューニング部34が設けられている。また、収束判定部33には、主な機能処理部として、角度コサイン値算出部33A、直線間距離算出部33B、およびコーシー型判定部33Cが設けられている。
時間軸変換部31は、デフォルト設定部22で設定された負冪指数と初期時点に基づき、時系列データの時間軸変換を行う機能を有している。
回帰直線列算出部32は、時間軸変換部31で得られた変換後時系列データのうち、デフォルト設定部22で設定された回帰直線族算出時間区間内のデータ時点列について、回帰直線の関数式とその誤差評価値の列を算出する機能を有している。
収束判定部33は、回帰直線列算出部32で得られた回帰直線列について所定の収束条件に基づき所定の収束直線への収束有無を判定する機能を有している。
角度コサイン値算出部33Aは、回帰直線列算出部32で得られた回帰直線の関数式に基づき、任意の2つの回帰直線間の角度コサイン値を算出する機能を有している。
直線間距離算出部33Bは、デフォルト設定部22で設定された距離評価時間区間に基づき当該回帰直線間の最小距離を算出する機能を有している。
コーシー型判定部33Cは、デフォルト設定部22で設定された各種収束条件値に基づいて、角度コサイン値算出部33Aおよび直線間距離算出部33Bで得られた角度コサイン値と直線間最小距離に対してコーシー型の判定を実行する機能と、この判定結果に基づき収束状況の数値列、収束判定、逆転時点存在区間、収束直線を算出する機能とを有している。
負冪値チューニング部34は、デフォルト設定部22で設定された負冪値チューニング実行が実行有に設定されている場合に起動し、収束直線の誤差評価値を利用して負冪指数のチューニングを行う機能を有している。この際、微分値で勾配法を基に実行するシナリオと、指数値を設定された刻み値に対してそれぞれ計算してその範囲内において最小値を取るシナリオがあり、デフォルト設定部22で設定されたシナリオを用いる。
[本実施の形態の動作]
次に、図4を参照して、本発明の一実施の形態にかかる需要予測装置の動作について説明する。図4は、本発明の一実施の形態にかかる需要予測装置の需要予測処理を示すフローチャートである。ここでは、データ入出力部17を介して外部装置から時系列データ記憶部14へ、需要予測の対象となる商品の実績購入数(販売数)を示す時系列データが予め保存されているものとする。
演算処理部20は、操作入力部11により需要予測処理の開始を示す操作が検出された場合、図4の需要予測処理を開始する。
演算処理部20は、まず、デフォルト設定部22により、需要予測処理における各部の様々なパラメータや指定要求などの処理データに対するデフォルト値(初期値)を設定する(ステップ100)。
次に、演算処理部20は、需要成長曲線特定部23の時間軸変換部31により、時系列データ記憶部14から時系列データを読み出し、デフォルト設定部22で設定された負冪指数と初期時点に基づき、時系列データの時間軸変換を行う(ステップ101)。
この場合、任意の時点t(i)における実績購入数をN(i)とした場合、時系列データD0は、次の式(1)で表される。なお、iは、i=1,2,…nの整数である。時系列データD0の具体例としては、ある県において、ある契約ベースのサービスのカテゴリについて、そのいずれかを契約しているユーザ数に関する四半期ごとの時系列データがあげられる。特定の季節にユーザが増加する場合は、季節別の時系列をとればよい。
Figure 0004777941
また、需要成長曲線は、逆転時点以前の区間において時間の経過とともに単調増加する曲線であって、かつ前記逆転時点以降の区間において時間の経過とともに単調増加する直線となる関数を用いる。ここでは、商品の購入数の単位時間あたりの増加数が、所定の基準時点(需要成長開始時点)からの時間長の負冪に比例する関数とする。具体的には、上記増加数が、基準時点からの時間長の逆数に比例する関数でもよい。負冪積分関数をf(t)とした場合、時間軸変換部31で得られる変換後時系列データD1は、次の式(2)で表される。例えば、冪の指数aが−1の時、負冪積分関数f(t)は時間tの対数関数となる。また、一般的な負冪1/(ta)の場合、対数関数の代わりに次の式(3)に示すような負冪の積分を利用すればよい。
Figure 0004777941
Figure 0004777941
次に、演算処理部20は、需要成長曲線特定部23の回帰直線列算出部32により、時間軸変換部31で得られた変換後時系列データのうち、デフォルト設定部22で設定された回帰直線族算出時間区間内のデータ時点列について、回帰直線の関数式とその誤差評価値の列を算出する(ステップ102)。
図5は、回帰直線列算出過程を示す説明図である。ここでは、デフォルト設定部22で設定された時点taからtb、すなわち回帰直線族算出時間区間(収束判定区間)のデータ時点列t(1)〜t(3)について、それぞれ回帰直線L(1)〜L(3)を求めている。
この際、時点t(i)に対して、変換後時系列データD1から、時点t(i)以後のデータD1(i)を取り出し、その回帰直線L(i)の関数式と平均二乗誤差er2(i)を算出する。例えば、回帰過程は二乗誤差を最小とするものとし、直線L(i)は、その切片と傾きによってパラメトライズされるものとする。平均二乗誤差er2(i)とは、回帰直線のデータからの誤差値を回帰に利用したデータD1(i)のエントリ数、すなわち集合D1(i)の濃度によって除算した値とする。
次に、演算処理部20は、需要成長曲線特定部23の収束判定部33により、回帰直線列算出部32で得られた回帰直線列について所定の収束条件に基づき所定の収束直線への収束有無を判定する(ステップ103〜107)。
この際、収束評価値は、例えば直線間の成す角のコサイン値と、デフォルト設定部22で設定された関心のある距離評価時間区間における直線間の最小距離の和によって定義する。時系列データが前述した需要成長の構造的理論に沿ったものであれば、直線は傾きを上げつつ次第にある直線、すなわち収束直線へ近づいていき、逆転時点で収束直線となる。
実際には、収束判定部33において、角度コサイン値算出部33Aにより、回帰直線列算出部32で得られた各回帰直線L(i)の関数式に基づき、任意の2つの回帰直線間の角度コサイン値cos(θ)を算出し(ステップ103)、直線間距離算出部33Bにより、デフォルト設定部22で設定された距離評価時間区間に基づき当該回帰直線間の最小距離を算出する(ステップ104)。
図6は、収束評価値算出過程を示す説明図である。ここでは、回帰直線La,Lbの関数式に基づいて、回帰直線La,Lbが成す角θの角度コサイン値cos(θ)が算出されるとともに、距離評価時間区間S内における回帰直線La,Lbの最小距離dminが算出される。
続いて、コーシー型判定部33Cにより、角度コサイン値と最小距離との和から収束評価値を算出し(ステップ105)、デフォルト設定部22で設定された各種収束条件値に基づいて、各回帰直線L(i)の収束評価値に対するコーシー型の判定を実行する(ステップ106)。コーシー型の判定手法については、一般的な公知の手法を用いればよい。
ここでは、デフォルト設定部22で設定された回帰直線族算出時間区間(収束判定区間)内において収束条件値を満足する回帰直線L(i)が見つかった場合、その最小時点t(j)を逆転時点txとし、このときの収束状況の数値列、収束判定、逆転時点存在区間、収束直線を算出し、これら判定結果を出力データ保存部16へ保存する(ステップ107)。この収束直線が、逆転時点tx以後の直線関数区間Sbにおける需要成長曲線G(t)、すなわち中長期的に需要予測に用いられる予測曲線として用いられる。
次に、演算処理部20は、デフォルト設定部22で設定された負冪値チューニング実行が実行有に設定されている場合、負冪値チューニング部34により、収束直線の誤差評価値を利用して、収束直線の平均二乗誤差が最小であるか否かに基づき、負冪指数のチューニング要否を判定する(ステップ108)。
ここでは、負冪積分関数の冪指数aを、デフォルト設定部22で設定された刻み値ごとに−1の近傍において変化させ、収束直線の平均二乗誤差が最小となる冪指数aを選択するシナリオと、回帰直線の誤差評価値を冪指数aに関して微分して得た微分値を用いた勾配法によるシナリオがあり、デフォルト設定部22で設定されたシナリオを用いる。
ここで、負冪指数のチューニングが必要と判定された場合(ステップ108:YES)、冪指数aを調整した後(ステップ109)、ステップ101へ戻って、調整後の冪指数aを用いた処理(ステップ101〜108)を繰り返し実行する。
また、負冪指数のチューニングは不要と判定された場合(ステップ108:NO)、演算処理部20は、予測値算出部24により、需要成長曲線特定部23で算出された需要成長曲線に基づいて任意の時点における商品の需要予測値を算出する(ステップ110)。
ここでは、逆転時点tx以後の直線関数区間Sbについて、出力データ保存部16に保存されている収束直線の関数式が時間軸変換後の需要成長曲線G(t)を示すことから、これを元の自然時間(ナチュラルスケール)に逆変換した関数、すなわち需要成長曲線F(t)を需要予測に用いる。
具体的には、
次に、演算処理部20は、データ評価部25により、デフォルト設定部22で設定された閾値に基づいて、需要成長曲線が直線をなす区間での需要予測値と時系列データの実績購入値とを比較し、得られた比較結果に基づき両者の乖離状況を判定し、その乖離状態を時点域と乖離値によって出力する(ステップ111)。
また、データ評価部25により、当該乖離状態に応じて考えられる乖離要因を優先度に基づき画面表示部12へ警告表示し(ステップ112)、一連の需要予測処理を終了する。この際、需要予測値が実績購入値を下回る方向への変位を示す場合、商品の質的な変化を示す警告を出力し、需要予測値が実績購入値を上回る方向への変位を示す場合、時系列データの欠損を示す警告を出力する。
十分な市場サイズと商品の継続的な利用に十分な定着性があれば、D1(i)の十分なデータサイズを残したまま、回帰直線列L(i)は通常高い決定係数値、または十分小さい平均2乗誤差の回帰直線に収束する。
収束傾向が見られるにもかかわらず、逆転時点があらかじめ想定しうる範囲内を超える、もしくは誤差や決定係数が小さくならない場合、データの欠損、商品の質的変化、そして、最終的には、需要成長理論の仮説の破綻を意味する。したがって、回帰直線からの誤差の大きい時点列と想定される原因を警告して出力する。
一方、回帰直線が逆転時点の近傍とで誤差が少なく、その後において誤差が大きい場合、その原因を可能性の高さを付与して出力できる。すなわち、回帰直線より上回る傾向がある場合、商品の質的変化による可能性が大きく、偏差の大きい時点の近傍での調査を推奨する。
また、中盤が回帰直線より下回りその後偏差が戻る傾向がある場合、データ欠損の可能性がある。なお、価格、制度、社会の変化などが大きい場合はこれが優先するので、警告や推奨内容の表現は、これらを考慮したものとする、
図7は、需要予測結果を示す説明図である。この需要予測曲線は、ブロードバンドサービスへの加入者数の変化を示すものであり、曲線51Aは、従来手法(非特許文献1)により2003年時点までのデータで予測したものを示し、曲線51Bは、従来手法により2004年時点までのデータで予測したものである。また曲線52Aは、本実施の形態の手法により2003年時点までのデータで予測したものを示し、曲線52Bは、本実施の形態の手法により2004年時点までのデータで予測したものである。従来手法の需要予測曲線は、予測時点以降、実測値に対して徐々に乖離しており、需要予測誤差が大きくなる傾向が示されているが、本実施の形態によれば、予測時点から数年経た場合でも実績データとほぼ同じ変化をしており、中長期において十分な精度で予測できていることがわかる。
[本実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、時系列データ記憶部14により、商品に関する実績購入数の時間的変化を示し、かつ逆転時点を含む時系列データを記憶し、需要成長曲線特定部23により、時系列データ記憶部14から時系列データを読み出し、当該時系列データに対して時間軸変換処理および回帰分析処理を行うことにより逆転時点以降における商品の需要成長曲線を特定し、予測値算出部24により、需要成長曲線に基づいて逆転時点以降の任意の時点における商品の需要予測値を算出し、需要成長曲線として、商品の購入数の単位時間あたりの増加数が、所定の基準時点からの時間長の負冪に比例する関数を用いるようにしたので、商品あるいは市場に関する需要について、需要成長の構造的理論に基づいた需要予測を実現でき、中長期において十分な精度で予測することができる。
したがって、企業、公共団体、政府機関などの、開発・設備投資、政策、施策などの計画立案、計画評価において、対象となる商品について、本発明による方式やこれを実施し装置を利用することで、理論的な仮説や裏づけの内容を知り、またリスクを理解した上での中長期の予測値を利用することができる。これにより、投資の過剰や不足を回避して適切な投資計画や資金計画を策定し、高い産業的または経済的効果を得ることができる。
また、本実施の形態では、需要成長曲線として、商品の購入数の単位時間あたりの増加数が、基準時点からの時間長の逆数に比例する関数を用いもよく、中長期において十分な精度で予測することができる。
また、本実施の形態では、需要成長曲線として、縦軸を商品の購入数で示すとともに横軸を対数または負冪積分関数の時間軸で示した場合、所定の逆転時点以前の区間において時間の経過とともに単調増加する曲線であって、かつ逆転時点以降の区間において時間の経過とともに単調増加する直線となる関数を用いてもよい。
これにより、十分な市場サイズと商品の継続的な利用に十分な定着性がある場合、予測時点が逆転時点を超えているか否かを判定し、超えていれば中長期の予測値を、需要成長の理論に基づいて算出し表示することができる。
また、理論曲線の特徴を生かした累積の需要曲線の時間軸を変換する方法による回帰方式により、誤差が少なく安定度の高い逆転時点推定や、予測曲線のパラメータ値が得られる。そのため、データ量の多い、全国的な需要成長だけでなく、都道府県別といった、小さくて誤差が出やすい需要成長の分析や予測にも適用できる。特に、比較的狭い地域では、地域ごとに固有の属性が存在するため全国的な需要曲線に対してぶれが生じやすく、データ量が少ない場合には、そのぶれがより顕著に現れる。本実施の形態によれば、このようなぶれが生じやすい予測対象地域であっても、そのぶれを適切に捉えた需要成長曲線を特定でき、極めて高い予測精度が得られる。
また、需要成長の理論に基づくことで、予測のリスクが発生する元となる仮説の状況が明らかであり、本方式または装置のユーザは理論的な説明に提示されている仮説やその裏づけについて吟味することで、予測値に含まれるリスクを理解し、それを引き受けるべきか否かを判断しつつ利用できるようになる。本方式が基盤としている需要成長理論は、少なくとも本邦におけるブロードバンドアクセスサービスの需要成長や携帯電話の成長状況をサービスの質が大きく変化しない範囲において良く説明するものであり、従来に無い高いロバスト性を伴っている。
また、本実施の形態では、データ評価部により、予測値算出部で得られた需要予測値と時系列データの実績購入値とを比較し、その比較結果に基づいて商品の質的な変化または時系列データの欠損を示す警告を出力するようにしてもよい。具体的には、需要成長曲線が直線をなす区間において、予測値算出部で得られた需要予測値と時系列データの実績購入値とを比較し、需要予測値が実績購入値を下回る方向への変位を示す場合、商品の質的な変化を示す警告を出力し、需要成長曲線が直線をなす区間において、予測値算出部で得られた需要予測値と時系列データの実績購入値とを比較し、需要予測値が実績購入値を上回る方向への変位を示す場合、時系列データの欠損を示す警告を出力すればよい。
これにより、需要成長理論を基盤として、データの欠損や商品の質的な変化の可能性のある時期を警告することも可能となる。
本発明の一実施の形態にかかる需要予測装置の構成を示すブロック図である。 ブロードバンドサービスに関する需要成長曲線を示す説明図である。 時間軸変換後の需要成長曲線を示す説明図である。 本発明の一実施の形態にかかる需要予測装置の需要予測処理を示すフローチャートである。 回帰直線列算出過程を示す説明図である。 収束評価値算出過程を示す説明図である。 需要予測結果を示す説明図である。
符号の説明
10…需要予測装置、11…操作入力部、12…画面表示部、13…主記憶部、14…時系列データ記憶部、15…処理データ記録部、16…出力データ保存部、17…データ入出力部、20…演算処理部、21…中央制御部、22…デフォルト設定部、23…需要成長曲線特定部、24…予測値算出部、25…データ評価部、31…時間軸変換部、32…回帰直線列算出部、33…収束判定部、33A…角度コサイン値算出部、33B…直線間距離算出部、33C…コーシー型判定部、34…負冪値チューニング部。

Claims (10)

  1. 記憶部と演算処理部とを有し、商品に関する実績購入数に基づいて、市場における商品の需要のうち当該需要を形成する先行者と後発者の需要が逆転する逆転時点以降の需要を予測する需要予測装置で用いられる需要予測方法であって、
    前記記憶部により、前記商品に関する実績購入数の時間的変化を示し、かつ前記逆転時点を含む時系列データを記憶する時系列データ記憶ステップと、
    前記演算処理部により、前記時系列データ記憶部から前記時系列データを読み出し、当該時系列データに対して時間軸変換処理および回帰分析処理を行うことにより前記逆転時点以降における前記商品の需要成長曲線を特定する需要成長曲線算出ステップと、
    前記演算処理部により、前記需要成長曲線に基づいて前記逆転時点以降の任意の時点における前記商品の需要予測値を算出して出力する需要予測ステップと
    を備え、
    前記需要成長曲線は、縦軸を前記商品の購入数で示すとともに横軸を対数または負冪積分関数の時間軸で示した場合、前記逆転時点以前の区間において時間の経過とともに単調増加する曲線であって、かつ前記逆転時点以降の区間において時間の経過とともに単調増加する直線となる関数からなり、
    前記需要成長曲線算出ステップは、
    前記時系列データの時間軸を対数または負冪積分関数の時間軸に変換する時間軸変換ステップと、
    この時間軸変換ステップで得られた変換後時系列データのうち任意の開始時点以降の変換時系列データの回帰直線を複数の開始時点列ごとに求める回帰直線列算出ステップと、
    この回帰直線列算出ステップで得られた回帰直線列について所定の収束条件に基づき所定の収束直線への収束有無を判定する収束判定ステップと
    を有し、
    前記収束判定ステップで収束有りと判定された最小の開始時点を前記逆転時点とし、前記収束直線を前記逆転時点以降の区間における前記需要成長曲線を示す関数とする
    ことを特徴とする需要予測方法。
  2. 請求項に記載の需要予測方法において、
    前記演算処理部により、前記予測値算出ステップで得られた需要予測値と前記時系列データの実績購入値とを比較し、その比較結果に基づいて前記商品の質的な変化または前記時系列データの欠損を示す警告を出力するデータ評価ステップをさらに備えることを特徴とする需要予測方法。
  3. 請求項に記載の需要予測方法において、
    前記演算処理部により、前記需要成長曲線が直線をなす区間において、前記予測値算出ステップで得られた需要予測値と前記時系列データの実績購入値とを比較し、前記需要予測値が前記実績購入値を下回る方向への変位を示す場合、前記商品の質的な変化を示す警告を出力するデータ評価ステップをさらに備えることを特徴とする需要予測方法。
  4. 請求項に記載の需要予測方法において、
    前記演算処理部により、前記需要成長曲線が直線をなす区間において、前記予測値算出ステップで得られた需要予測値と前記時系列データの実績購入値とを比較し、前記需要予測値が前記実績購入値を上回る方向への変位を示す場合、前記時系列データの欠損を示す警告を出力するデータ評価ステップをさらに備えることを特徴とする需要予測方法。
  5. 請求項に記載の需要予測方法において、
    前記収束条件は、任意の2つの回帰直線間の角度コサイン値の許容値と、所定時間軸区間におけるこれら回帰直線間の距離の許容値とからなることを特徴とする需要予測方法。
  6. 商品に関する実績購入数に基づいて、市場における商品の需要のうち当該需要を形成する先行者と後発者の需要が逆転する逆転時点以降の需要を予測する需要予測装置であって、
    商品に関する実績購入数の時間的変化を示し、かつ前記逆転時点を含む時系列データを記憶する時系列データ記憶部と、
    この時系列データ記憶部から前記時系列データを読み出し、当該時系列データに対して時間軸変換処理および回帰分析処理を行うことにより前記逆転時点以降における前記商品の需要成長曲線を特定する需要成長曲線特定部と、
    前記需要成長曲線に基づいて前記逆転時点以降の任意の時点における前記商品の需要予測値を算出して出力する予測値算出部と
    を備え、
    前記需要成長曲線は、縦軸を前記商品の購入数で示すとともに横軸を対数または負冪積分関数の時間軸で示した場合、前記逆転時点以前の区間において時間の経過とともに単調増加する曲線であって、かつ前記逆転時点以降の区間において時間の経過とともに単調増加する直線となる関数からなり、
    前記需要成長曲線特定部は、
    前記時系列データの時間軸を対数または負冪積分関数の時間軸に変換する時間軸変換部と、
    前記時間軸変換部で得られた変換後時系列データのうち任意の開始時点以降の変換時系列データの回帰直線を複数の開始時点列ごとに求める回帰直線列算出部と、
    前記回帰直線列算出部で得られた回帰直線列について所定の収束条件に基づき所定の収束直線への収束有無を判定する収束判定部と
    を有し、
    前記収束判定部で収束有りと判定された最小の開始時点を前記逆転時点とし、前記収束直線を前記逆転時点以降の区間における前記需要成長曲線を示す関数とする
    ことを特徴とする需要予測装置。
  7. 請求項に記載の需要予測装置において、
    前記予測値算出部で得られた需要予測値と前記時系列データの実績購入値とを比較し、その比較結果に基づいて前記商品の質的な変化または前記時系列データの欠損を示す警告を出力するデータ評価部をさらに備えることを特徴とする需要予測装置。
  8. 請求項に記載の需要予測装置において、
    前記需要成長曲線が直線をなす区間において、前記予測値算出部で得られた需要予測値と前記時系列データの実績購入値とを比較し、前記需要予測値が前記実績購入値を下回る方向への変位を示す場合、前記商品の質的な変化を示す警告を出力するデータ評価部をさらに備えることを特徴とする需要予測装置。
  9. 請求項に記載の需要予測装置において、
    前記需要成長曲線が直線をなす区間において、前記予測値算出部で得られた需要予測値と前記時系列データの実績購入値とを比較し、前記需要予測値が前記実績購入値を上回る方向への変位を示す場合、前記時系列データの欠損を示す警告を出力するデータ評価部をさらに備えることを特徴とする需要予測装置。
  10. 請求項に記載の需要予測装置において、
    前記収束条件は、任意の2つの回帰直線間の角度コサイン値の許容値と、所定時間軸区間におけるこれら回帰直線間の距離の許容値とからなることを特徴とする需要予測装置。
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