本発明は、このような従来の実情に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、減衰性能を向上できるブレードテンショナ用ブレードスプリング組立体を提供することにある。
本発明によるブレードスプリング組立体が適用されるブレードテンショナは、回動自在に支持される一端側の基端部と、スライド自在に支持される他端側の先端部と、基端部および先端部間に延設されかつ弧状に湾曲するチェーン摺動面と、チェーン摺動面の逆側に形成され、チェーンにバネ力を作用させるブレードスプリング組立体を配設するための弧状に湾曲するブレードスプリング収容面とを有するブレードシューを備えている。
請求項1の発明に係るブレードスプリング組立体は、各々弧状に湾曲しかつ上下に積層された少なくとも2枚の板バネ状ブレードスプリングを備えている。そして、最も内側に配置される最下層の第1のブレードスプリングと、その上に重なり合う第2のブレードスプリングとが、それぞれの一端側においてのみ凹凸状の係合部を有するとともに、当該係合部を介して互いに係合している。
この場合には、ブレードスプリング組立体の長手方向中央部にチェーンからの押付荷重が作用して、曲率半径が大きくなる側にブレードスプリング組立体が弾性変形しようとしたとき、第1、第2のブレードスプリングのそれぞれの一端が係合部を介して互いに拘束されているため、各ブレードスプリングはそれぞれ他端側に向かって移動しようとし、各ブレードスプリングがそれぞれ中央部で互いに摺動することになる。これにより、ブレードスプリング全体の減衰性能を向上できる。また、請求項1の発明によれば、ブレードスプリングに設けた凹凸状の係合部を介して、各ブレードスプリングの長手方向の位置決めを簡単かつ確実に行えるようになる。
請求項2の発明では、請求項1において、第2のブレードスプリングの上に積層された第3のブレードスプリングをさらに備えており、第1のブレードスプリングおよび第3のブレードスプリングが、一端側と逆側の他端側においてのみ、当該各ブレードスプリングの間に挟持された第1のスペーサを有しており、第1、第3のブレードスプリングおよび第1のスペーサが凹凸状の係合部を有するとともに、当該係合部を介して互いに係合している。
この場合には、第1、第3のブレードスプリングのそれぞれの他端が第1のスペーサおよび係合部を介して互いに拘束されているため、ブレードスプリング組立体の長手方向中央部にチェーンからの押付荷重が作用して、曲率半径が大きくなる側にブレードスプリング組立体が弾性変形しようとしたとき、第3のブレードスプリングは一端側に向かって移動しようとし、その一方、第2のブレードスプリングは他端側に向かって移動しようとする。したがって、この場合には、第2、第3のブレードスプリングがそれぞれ中央部で互いに逆方向に摺動することになる。これにより、第1、第2のブレードスプリングのそれぞれの中央部での同方向の摺動と相俟って、ブレードスプリング全体の減衰性能を一層向上できる。
なお、この場合には、第1、第3のブレードスプリングが、それぞれの他端側において各ブレードスプリングの間に挟持された第1のスペーサを介して互いに係合しているので、第2のブレードスプリングが他端側に移動し得るスペースを第1、第3のブレードスプリング間に確保することができ、これにより、第1、第2のブレードスプリングの摺動、ならびに第2、第3のブレードスプリングの摺動がそれぞれ許容されることになる。
請求項3の発明では、請求項2において、第3のブレードスプリングの上に積層された第4のブレードスプリングをさらに備えており、第2のブレードスプリングおよび第4のブレードスプリングが、それぞれの一端側においてのみ、当該各ブレードスプリングの間に挟持された第2のスペーサを有しており、第2、第4のブレードスプリングおよび第2のスペーサが凹凸状の係合部を有するとともに、当該係合部を介して互いに係合している。
この場合には、第2、第4のブレードスプリングのそれぞれの一端が第2のスペーサおよび係合部を介して互いに拘束されているため、ブレードスプリング組立体の長手方向中央部にチェーンからの押付荷重が作用して、曲率半径が大きくなる側にブレードスプリング組立体が弾性変形しようとしたとき、第4のブレードスプリングは他端側に向かって移動しようとし、その一方、第3のブレードスプリングは一端側に向かって移動しようとする。したがって、この場合には、第3、第4のブレードスプリングがそれぞれ中央部で互いに逆方向に摺動することになる。これにより、第2、第3のブレードスプリングのそれぞれの中央部での逆方向の摺動と相俟って、ブレードスプリング全体の減衰性能を一層向上できる。
なお、この場合には、第2、第4のブレードスプリングが、それぞれの一端側において各ブレードスプリングの間に挟持された第2のスペーサを介して互いに係合しているので、第3のブレードスプリングが一端側に移動し得るスペースを第2、第4のブレードスプリング間に確保することができ、これにより、第2、第3のブレードスプリングの摺動、および第3、第4のブレードテンショナの摺動がそれぞれ許容されることになる。
請求項4の発明では、請求項3において、第4のブレードスプリングの上に積層された第5のブレードスプリングをさらに備えており、第3のブレードスプリングおよび第5のブレードスプリングが、それぞれの他端側においてのみ、当該各ブレードスプリングの間に挟持された第3のスペーサを有しており、第3、第5のブレードスプリングおよび第3のスペーサが凹凸状の係合部を有するとともに、当該係合部を介して互いに係合している。
この場合には、第3、第5のブレードスプリングのそれぞれの他端が第3のスペーサおよび係合部を介して互いに拘束されているため、ブレードスプリング組立体の長手方向中央部にチェーンからの押付荷重が作用して、曲率半径が大きくなる側にブレードスプリング組立体が弾性変形しようとしたとき、第5のブレードスプリングは一端側に向かって移動しようとし、その一方、第4のブレードスプリングは他端側に向かって移動しようとする。したがって、この場合には、第4、第5のブレードスプリングがそれぞれ中央部で互いに逆方向に摺動することになる。これにより、第3、第4のブレードスプリングのそれぞれの中央部での逆方向の摺動と相俟って、ブレードスプリング全体の減衰性能を一層向上できる。
なお、この場合には、第3、第5のブレードスプリングが、それぞれの他端側において各ブレードスプリングの間に挟持された第3のスペーサを介して互いに係合しているので、第4のブレードスプリングが他端側に移動し得るスペースを第3、第5のブレードスプリング間に確保することができ、これにより、第3、第4のブレードスプリングの摺動、および第4、第5のブレードテンショナの摺動がそれぞれ許容されることになる。
請求項5の発明では、請求項1において、第2のブレードスプリングの上に積層された第3のブレードスプリングをさらに備えており、第1のブレードスプリングまたは第3のブレードスプリングが、一端側と逆側の他端側においてのみ段違い部を有しており、第1、第3のブレードスプリングが他端側に凹凸状の係合部を有するとともに、当該係合部を介して互いに係合している。
この場合には、第1、第3のブレードスプリングの他端が段違い部および係合部を介して互いに拘束されているため、ブレードスプリング組立体の長手方向中央部にチェーンからの押付荷重が作用して、曲率半径が大きくなる側にブレードスプリング組立体が弾性変形しようとしたとき、第3のブレードスプリングは一端側に向かって移動しようとし、その一方、第2のブレードスプリングは他端側に向かって移動しようとする。したがって、この場合には、第2、第3のブレードスプリングがそれぞれ中央部で互いに逆方向に摺動することになる。これにより、第1、第2のブレードスプリングのそれぞれの中央部での同方向の摺動と相俟って、ブレードスプリング全体の減衰性能を一層向上できる
また、この場合には、スペーサを用いることなく、第1、第3のブレードスプリングをそれぞれの他端側で互いに係合するための合わせ面を段違い部によって確保できるとともに、第2のブレードスプリングが他端側に移動し得るスペースを段違い部によって第1、第3のブレードスプリング間に確保できる。
請求項6の発明では、請求項5において、第3のブレードスプリングの上に積層された第4のブレードスプリングをさらに備えており、第2のブレードスプリングまたは第4のブレードスプリングが、一端側においてのみ段違い部を有しており、第2、第4のブレードスプリングが一端側に凹凸状の係合部を有するとともに、当該係合部を介して互いに係合している。
この場合には、第2、第4のブレードスプリングの一端が段違い部および係合部を介して互いに拘束されているため、ブレードスプリング組立体の長手方向中央部にチェーンからの押付荷重が作用して、曲率半径が大きくなる側にブレードスプリング組立体が弾性変形しようとしたとき、第4のブレードスプリングは他端側に向かって移動しようとし、その一方、第3のブレードスプリングは一端側に向かって移動しようとする。したがって、この場合には、第3、第4のブレードスプリングがそれぞれ中央部で互いに逆方向に摺動することになる。これにより、第2、第3のブレードスプリングのそれぞれの中央部での逆方向の摺動と相俟って、ブレードスプリング全体の減衰性能を一層向上できる。
また、この場合には、スペーサを用いることなく、第2、第4のブレードスプリングをそれぞれの一端側で互いに係合するための合わせ面を段違い部によって確保できるとともに、第3のブレードスプリングが一端側に移動し得るスペースを段違い部によって第2、第4のブレードスプリング間に確保できる。
請求項7の発明では、請求項6において、第4のブレードスプリングの上に積層された第5のブレードスプリングをさらに備えており、第3のブレードスプリングおよび第5のブレードスプリングが、他端側においてのみ段違い部を有しており、第3、第5のブレードスプリングが他端側にのみ凹凸状の係合部を有するとともに、当該係合部を介して互いに係合している。
この場合には、第3、第5のブレードスプリングの他端が段違い部および係合部を介して互いに拘束されているため、ブレードスプリング組立体の長手方向中央部にチェーンからの押付荷重が作用して、曲率半径が大きくなる側にブレードスプリング組立体が弾性変形しようとしたとき、第5のブレードスプリングは一端側に向かって移動しようとし、その一方、第4のブレードスプリングは他端側に向かって移動しようとする。したがって、この場合には、第4、第5のブレードスプリングがそれぞれ中央部で互いに逆方向に摺動することになる。これにより、第3、第4のブレードスプリングのそれぞれの中央部での摺動と相俟って、ブレードスプリング全体の減衰性能を一層向上できる。
また、この場合には、スペーサを用いることなく、第3、第5のブレードスプリングを他端側で互いに係合するための合わせ面を段違い部によって確保できるとともに、第4のブレードスプリングが他端側に移動し得るスペースを段違い部によって第3、第5のブレードスプリング間に確保できる。
請求項8の発明では、請求項1において、第2のブレードスプリングの上に積層された第3のブレードスプリングをさらに備えており、第1のブレードスプリングおよび第3のブレードスプリングが、一端側と逆側の他端側においてのみ、凹凸状の係合部を有するとともに、当該係合部を介して互いに係合している。
この場合には、第1、第3のブレードスプリング間のスペースが他端側に向かうにしたがい徐々に狭くなっており、これにより、第2のブレードスプリングが他端側に移動する際の摺動抵抗を大きくすることができ、また、その結果、第3のブレードスプリングが一端側に移動する際の摺動抵抗も大きくすることができる。
請求項9の発明では、請求項8において、第3のブレードスプリングの上に積層された第4のブレードスプリングをさらに備えており、第2のブレードスプリングおよび第4のブレードスプリングが一端側においてのみ凹凸状の係合部を有するとともに、当該係合部を介して互いに係合している。
この場合には、第2、第4のブレードスプリング間のスペースが一端側に向かうにしたがい徐々に狭くなっており、これにより、第3のブレードスプリングが一端側に移動する際の摺動抵抗を大きくすることができ、また、その結果、第4のブレードスプリングが他端側に移動する際の摺動抵抗も大きくすることができる。
請求項10の発明では、請求項9において、第4のブレードスプリングの上に積層された第5のブレードスプリングをさらに備えており、第3のブレードスプリングおよび第5のブレードスプリングが他端側においてのみ凹凸状の係合部を有するとともに、当該係合部を介して互いに係合している。
この場合には、第3、第5のブレードスプリング間のスペースが他端側に向かうにしたがい徐々に狭くなっており、これにより、第4のブレードスプリングが他端側に移動する際の摺動抵抗を大きくすることができ、また、その結果、第5のブレードスプリングが一端側に移動する際の摺動抵抗も大きくすることができる。
請求項11の発明に係るブレードテンショナ用ブレードスプリング組立体では、各々弧状に湾曲しかつ上下に積層された少なくとも5枚の板バネ状ブレードスプリングを備えている。そして、真中に配置される第1のブレードスプリングと、その上下にそれぞれ積層される第2および第3のブレードスプリングとがそれぞれの一端側においてのみ凹凸状の係合部を有しかつ当該係合部を介して互いに係合しており、第1のブレードスプリングと、第3のブレードスプリングの下に重なり合う第5のブレードスプリングとが、一端側と逆側の他端側においてのみ、各ブレードスプリングの間に挟持された第1のスペーサを有しており、第1、第5のブレードスプリングおよび第1のスペーサが凹凸状の係合部を有しかつ当該係合部を介して互いに係合しており、第1のブレードスプリングと、第2のブレードスプリングの上に重なり合う第4のブレードスプリングとが、一端側と逆側の他端側においてのみ、各ブレードスプリングの間に挟持された第2のスペーサを有しており、第1、第4のブレードスプリングおよび第2のスペーサが凹凸状の係合部を有しかつ当該係合部を介して互いに係合している。
この場合には、ブレードスプリング組立体の長手方向中央部にチェーンからの押付荷重が作用して、曲率半径が大きくなる側にブレードスプリング組立体が弾性変形しようとしたとき、第2、第3のブレードスプリングは他端側に向かって移動しようとし、その一方、第4、第5のブレードスプリングは一端側に向かって移動しようとする。したがって、この場合には、第2、第4のブレードスプリングならびに第3、第5のブレードスプリングがそれぞれ中央部で互いに逆方向に摺動することになる。これにより、第1のブレードスプリングと第2、第3のブレードスプリングとのそれぞれの中央部での摺動と相俟って、ブレードスプリング全体の減衰性能を一層向上できる。
なお、この場合には、第1、第4のブレードスプリングが、それぞれの他端側において各ブレードスプリングの間に挟持された第2のスペーサを介して互いに係合しているので、第2のブレードスプリングが他端側に移動し得るスペースを第1、第4のブレードスプリング間に確保することができ、これにより、第1、第2のブレードスプリングの摺動、および第2、第4のブレードテンショナの摺動がそれぞれ許容されることになる。
同様に、第1、第5のブレードスプリングが、それぞれの他端側において各ブレードスプリングの間に挟持された第1のスペーサを介して互いに係合しているので、第3のブレードスプリングが他端側に移動し得るスペースを第1、第5のブレードスプリング間に確保することができ、これにより、第1、第3のブレードスプリングの摺動、および第3、第5のブレードテンショナの摺動がそれぞれ許容されることになる。
このようにして、上下に重なり合う各ブレードスプリングがそれぞれ中央部で逆方向に互いに摺動することになる。これにより、ブレードスプリング全体の減衰性能を向上できる。また、請求項8の発明によれば、各ブレードスプリングに設けた凹凸状の係合部を介して、各ブレードスプリングの長手方向の位置決めを簡単かつ確実に行えるようになる。
請求項12の発明に係るブレードテンショナ用ブレードスプリング組立体では、各々弧状に湾曲しかつ上下に積層された少なくとも5枚の板バネ状ブレードスプリングを備えている。そして、真中に配置される第1のブレードスプリングと、その上下にそれぞれ積層される第2および第3のブレードスプリングとが、それぞれの一端側においてのみ凹凸状の係合部を有しかつ当該係合部を介して互いに係合しており、第2のブレードスプリングの上に重なり合う第4のブレードスプリングまたは第1のブレードスプリングが、一端側と逆側の他端側においてのみ段違い部を有し、第1、第4のブレードスプリングが当該段違い部において凹凸状の係合部を有しかつ当該係合部を介して互いに係合しており、第3のブレードスプリングの下に重なり合う第5のブレードスプリングまたは第1のブレードスプリングが、一端側と逆側の他端側においてのみ段違い部を有し、第1、第5のブレードスプリングが当該段違い部において凹凸状の係合部を有しかつ当該係合部を介して互いに係合している。
この場合には、ブレードスプリング組立体の長手方向中央部にチェーンからの押付荷重が作用して、曲率半径が大きくなる側にブレードスプリング組立体が弾性変形しようとしたとき、第1、第2のブレードスプリングのそれぞれの一端が互いに拘束されるとともに、第1、第4のブレードスプリングのそれぞれの他端が互いに拘束されているため、第2のブレードスプリングは他端側に向かって移動するとともに、第4のブレードスプリングは一端側に向かって移動しようとする。
同様に、第1、第3のブレードスプリングのそれぞれの一端が互いに拘束されるとともに、第1、第5のブレードスプリングのそれぞれの他端が互いに拘束されているため、第3のブレードスプリングは他端側に向かって移動するとともに、第5ブレードスプリングは一端側に向かって移動しようとする。
このようにして、上下に重なり合う各ブレードスプリングがそれぞれ中央部で逆方向に互いに摺動することになる。これにより、ブレードスプリング全体の減衰性能を向上できる。また、請求項9の発明によれば、各ブレードスプリングに設けた凹凸状の係合部を介して、各ブレードスプリングの長手方向の位置決めを簡単かつ確実に行えるようになる。
請求項13の発明では、請求項1ないし12のいずれかにおいて、係合部が、ブレードスプリングまたはスペーサの主面に形成された係合凸部または係合凹部と、ブレードスプリングまたはスペーサと重なり合うブレードスプリングまたはスペーサの主面に形成され、前記係合凸部または係合凹部が係合し得る係合凹部または係合凸部とから構成されている。
請求項14の発明では、請求項13において、係合部が円柱形状、円錐形状または半球形状を有している。
請求項15の発明では、請求項1ないし12のいずれかにおいて、ブレードシューには、ブレードスプリングまたはスペーサの主面に形成された係合凸部または係合凹部に係脱自在に係合し得る係合凹部または係合凸部が形成されている。
この場合には、ブレードスプリング組立体をブレードシューに対して位置決めすることができ、さらには、これら係合凸部および係合凹部間の係合により、ブレードスプリング組立体をブレードシューに対して抜け止めすることができるようになり、他の抜止め用部材が不要になる。
請求項16の発明では、請求項1ないし12のいずれかにおいて、係合部が、最下層または最上層のブレードスプリングの側面から張り出す張出部と、ブレードスプリングに重なり合うブレードスプリングまたはスペーサの側面に形成され、張出部が係合し得る係合凹部とから構成されており、前記張出部をブレードスプリングの主面に対して直角に折り曲げて前記係合凹部に係合させることにより、当該ブレードスプリング組立体が組み立てられている。
この場合には、ブレードスプリングの張出部を折り曲げて他のブレードスプリングまたはスペーサの係合凹部に係合させることで、ブレードスプリング組立体全体を一体化できる。
請求項17の発明では、請求項1ないし12のいずれかにおいて、ブレードスプリング組立体が、係合部の近傍において当該ブレードスプリング組立体の端部寄りの位置に配置された、当該ブレードスプリング組立体の外周に嵌合する嵌合部材を有している。
この場合には、嵌合部材が当該ブレードスプリング組立体の外周面に嵌合することによって、ブレードスプリング組立体全体を一体化できるとともに、係合部を介した各ブレードスプリングの係合状態を強固なものにすることができる。
請求項18の発明では、請求項17において、嵌合部材が、当該ブレードスプリング組立体の外周を囲繞する断面矩形状の部材である。
請求項19の発明では、請求項17において、嵌合部材が、当該ブレードスプリング組立体の外周を囲繞しかつ一部にスリットを有する断面C字状の部材である。
この場合には、嵌合部材に形成されたスリットが拡開することによって、ブレードスプリング組立体への嵌合部材の装着が容易になる。その一方、装着後は、拡開していたスリットが元に戻ろうとする復元力を利用して、嵌合部材をブレードスプリング組立体に弾性的に係合できる。
以上のように、本発明の第1の発明に係るブレードスプリング組立体によれば、各々弧状に湾曲しかつ上下に積層された少なくとも2枚の板バネ状ブレードスプリングを設け、最も内側に配置される最下層の第1のブレードスプリングとその上に重なり合う第2のブレードスプリングとをそれぞれの一端側においてのみ凹凸状の係合部を介して互いに係合するようにしたので、チェーンからの押付荷重の作用時にブレードスプリング組立体が曲率半径の大きくなる側に弾性変形する際には、第1、第2のブレードスプリングがそれぞれ他端側に向かって移動しようとして、各ブレードスプリングがそれぞれ中央部で互いに摺動することになり、これにより、ブレードスプリング全体の減衰性能を向上できる効果がある。
本発明の第2の発明に係るブレードスプリング組立体によれば、各々弧状に湾曲しかつ上下に積層された少なくとも5枚の板バネ状ブレードスプリングを設け、真中に配置される第1のブレードスプリングとその上下にそれぞれ積層される第2および第3のブレードスプリングとをそれぞれの一端側においてのみ凹凸状の係合部を介して互いに係合し、第1のブレードスプリングと第3のブレードスプリングの下に重なり合う第5のブレードスプリングとを一端側と逆側の他端側においてのみ第1のスペーサおよび凹凸状の係合部を介して互いに係合し、第1のブレードスプリングと第2のブレードスプリングの上に重なり合う第4のブレードスプリングとを一端側と逆側の他端側においてのみ第2のスペーサおよび凹凸状の係合部を介して互いに係合するようにしたので、チェーンからの押付荷重の作用時にブレードスプリング組立体が曲率半径の大きくなる側に弾性変形する際には、第2、第3のブレードスプリングは他端側に向かって移動しようとし、その一方、第4、第5のブレードスプリングは一端側に向かって移動しようとする。したがって、この場合には、第2、第4のブレードスプリングならびに第3、第5のブレードスプリングがそれぞれ中央部で互いに逆方向に摺動することになる。これにより、第1のブレードスプリングと第2、第3のブレードスプリングとのそれぞれの中央部での摺動と相俟って、ブレードスプリング全体の減衰性能を一層向上できる。
本発明の第3の発明に係るブレードスプリング組立体によれば、各々弧状に湾曲しかつ上下に積層された少なくとも5枚の板バネ状ブレードスプリングを設け、真中に配置される第1のブレードスプリングとその上下にそれぞれ積層される第2および第3のブレードスプリングとをそれぞれの一端側においてのみ凹凸状の係合部を介して互いに係合し、第1のブレードスプリングと第2のブレードスプリングの上に積層される重なり合う第4のブレードスプリングとを一端側と逆側の他端側においてのみ段違い部および凹凸状の係合部を介して互いに係合し、第1のブレードスプリングと第3のブレードスプリングの下に重なり合う第5のブレードスプリングとを一端側と逆側の他端側においてのみ段違い部および凹凸状の係合部を介して互いに係合するようにしたので、チェーンからの押付荷重の作用時にブレードスプリング組立体が曲率半径の大きくなる側に弾性変形する際には、第2のブレードスプリングが他端側に向かって移動するとともに、第4のブレードスプリングが一端側に向かって移動しようとし、また、第3のブレードスプリングが他端側に向かって移動するとともに、第5のブレードスプリングは一端側に向かって移動しようとする。これにより、上下に重なり合う各ブレードスプリングがそれぞれ中央部で逆方向に互いに摺動することになって、ブレードスプリング全体の減衰性能を向上できる効果がある。
また、本発明の第1ないし第3の発明によれば、ブレードスプリング全体の減衰性能が向上することにより、チェーンの挙動を小さなバネ力で制御できるようになる。さらに、本発明の第1ないし第3の発明によれば、ブレードスプリングに設けた凹凸状の係合部を介して、各ブレードスプリングの長手方向の位置決めを簡単かつ確実に行えるようになる。
以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。
まず、本発明によるブレードスプリング組立体が適用されるブレードテンショナについて図1および図2を用いて説明する。
図1は、自動車エンジンのオイルポンプなどの補機を駆動するためのチェーンに用いられるブレードテンショナの正面図である。同図に示すように、このブレードテンショナ10は、弧状に湾曲したチェーン摺動面11aを有するブレードシュー11と、ブレードシュー11のチェーン摺動面側と逆側に形成されたブレードスプリング収容面11bに装着され、板バネ状のブレードスプリングからなるブレードスプリング組立体Bと、ブレードシュー11を支持するブラケット15とから構成されている。
ブレードシュー11の基端側には、基端部12が一体に形成されている。基端部12は、ブラケット15に植設されたピン16の回りに回動自在に支持されている。ブレードシュー11の先端側には、先端部13が一体に形成されている。先端部13は、ブラケット15に設けられたスライド面15aにスライド自在に支持されている。基端部12および先端部13には、それぞれ切込み12a,13aが形成されており、ブレードスプリング組立体Bの両端は、それぞれ切込み12a,13a内に挿入されて係止されている。また、ブラケット15には、エンジン取付用のボルトが挿入される複数のボルト取付孔15bが形成されている。
このようなブレードテンショナの運転時には、ブレードシュー11のチェーン摺動面11a上をチェーンが摺動しつつ走行し、このとき、ブレードスプリング組立体Bの変形に応じた弾性反発力がブレードシュー11を介してチェーンに作用することにより、チェーン張力が維持されている。
また、運転中に生じたチェーンのばたつきや張力変動による弦振動は、ブレードシュー11に伝搬され、それにともなって、ブレードシュー11およびブレードスプリング組立体Bは、曲率半径が大きくなる側に弾性圧縮変形するとともに、曲率半径が小さくなる側に戻り変形する。ブレードシュー11の変形時には、基端部12がブラケット15のピン16の周りを回動するとともに、先端部13がブラケット15のスライド面15a上を摺動する。
図2は、自動車エンジンのタイミングチェーンに用いられるブレードテンショナをエンジンタイミングシステムとともに示している。同図に示すタイミングシステム100は、クランクシャフト101に取り付けられるクランクスプロケット102と、カムシャフト103に取り付けられるカムスプロケット104と、各スプロケット102,104に巻き掛けられるチェーン105とを備えている。同図中、時計回りの矢印a,bは、それぞれクランクスプロケット102およびカムスプロケット104の回転方向を示している。
チェーン105の弛み側スパンには、ブレードテンショナ110が設けられている。ブレードテンショナ110は、ブラケットが設けられていない点を除いて、図1のブレードテンショナ10とほぼ同様の構成を有しているが、一般にタイミングチェーンの方が補機駆動用チェーンよりも芯間距離が長いために、ブレードテンショナ110の全長はブレードテンショナ10の全長よりも長くなっている。
また、図2のブレードテンショナ110の各部を示す参照符号において、下二桁の数字が図1のブレードテンショナ10の各部に対応している。なお、ブレードシュー111の先端部113は、エンジン側に設けられたスライド面115aにスライド自在に支持されている。ブレードシュー111の基端部112は、エンジン側に取り付けられたピン116に回動自在に支持されている。
この場合においても、図1のブレードテンショナの場合と同様に、ブレードテンショナの運転時には、ブレードシュー111のチェーン摺動面111a上をチェーンが摺動しつつ走行し、このとき、ブレードスプリング組立体Bの変形に応じた弾性反発力がブレードシュー111を介してチェーンに作用することにより、チェーン張力が維持されている。
また、運転中に生じたチェーンのばたつきや張力変動による弦振動は、ブレードシュー111に伝搬され、それにともなって、ブレードシュー111およびブレードスプリング組立体Bは、曲率半径が大きくなる側に弾性圧縮変形するとともに、曲率半径が小さくなる側に戻り変形する。ブレードシュー111の変形時には、基端部112がピン116の周りを回動するとともに、先端部113がスライド面115a上を摺動する。
次に、ブレードスプリング組立体Bの各種実施例について、図3ないし図18を用いて説明する。
<第1の実施例>
図3ないし図6は、本発明の第1の実施例によるブレードスプリング組立体を示している。図3(a)はブレードスプリング組立体の正面図、(b)は(a)の一部拡大図、(c)は(b)のC−C線断面図、(d)は(b)の斜視図、図4はブレードスプリング組立体が装着されるブレードシューの一部拡大図、図5(a)はブレードスプリング組立体に装着される嵌合部材の全体斜視図、(b)は(a)の変形例を示す図、図6(a)は、図3に示したブレードスプリング組立体の模式図であって、チェーンからの荷重が中央部下方に作用した状態を示す図、(b)はチェーン荷重の作用後に曲率半径が大きくなる側に弾性変形した状態を示す図である。
図3(a)に示すように、この第1の実施例では、ブレードスプリング組立体Bが、各々弧状に湾曲しかつ上下に積層された2枚の板バネ状ブレードスプリングB1,B2から構成されている。内側に配置される下層の第1のブレードスプリングB1と、その上に重なり合う第2のブレードスプリングB2とは、それぞれの一端T1側においてのみ、凹凸状の係合部20を介して互いに係合している。
図3(b)〜(d)に示すように、第1のブレードスプリングB1の一端T1近傍の上側の主面には、円柱形状の係合凸部21が突出形成されており、第2のブレードスプリングB2の一端T1近傍の主面において係合凸部21が対向する位置には、円柱形状の係合凸部22が突出形成されている。各係合凸部21,22は、たとえば、各ブレードスプリングのB1,B2の下側の主面にポンチを圧接するプレス圧縮加工を施すことにより形成されている。このようなプレス圧縮加工によって、各ブレードスプリングB1,B2の下側の主面には、係合凹部21a,22aが形成されており、第2のブレードスプリングB2の係合凹部22a内に第1のブレードスプリングB1の係合凸部21が係脱自在に係合している。なお、この場合の係合状態は、両者が容易に外れない圧入形式のものでもよい。
図3(a)に示すように、第1のブレードスプリングB1の他端T2側の上側の主面には、第2のブレードスプリングB2と同一の幅および板厚を有する第1のスペーサS1が載置されている。第1のスペーサS1および第1のブレードスプリングB1の他端T2側部分は、係合部20と同様の凹凸状の係合部20’を介して互いに係合している。また、第1のスペーサS1と第2のブレードスプリングB2との間には、第2のブレードスプリングB2の図左方への移動を許容し得る空隙C1が形成されている。
図4は、ブレードスプリング組立体Bが装着された図1のブレードシュー11を示している。ブレードシュー11のブレードスプリング収容面11bにおいて先端部13寄りの位置には、第2のブレードスプリングB2の係合凸部22が係脱自在に係合し得る係合凹部11cが形成されている。係合凹部11cは、係合凸部22の係合時において、係合凸部22との間にシュー長手方向(図4左右方向)および厚み方向(同図上下方向)のクリアランスを有しているのが好ましい(図4参照)。これは、ブレードテンショナの作動時にブレードスプリング組立体Bの長手方向の移動を許容するとともに、ブレードスプリング組立体Bを長手方向全体にわたってブレードシュー11のブレードスプリング収容面11bに装着させるためである。なお、図示していないが、ブレードシュー11のブレードスプリング収容面11bにおいて基端部12寄りの位置にも同様の係合凹部が形成されており、当該係合凹部には、第1のスペーサS1に形成された係合凸部が係合している。
このように、ブレードスプリング組立体Bのうちの最上位のブレードスプリングに設けられた係合凸部が係合し得る係合凹部をブレードシューに設けることによって、ブレードスプリング組立体Bをブレードシューのブレードスプリング収容面上の所望位置に位置決めすることができる。また、ブレードシューの係合凹部を、シュー幅方向の貫通溝ではなく、幅方向の一端に側壁を有する溝にすることにより、ブレードスプリング組立体Bの係合凸部をブレードシューの係合凹部に係合した際に、ブレードスプリング組立体Bをブレードシューに対して抜け止めすることができるようになり、他の抜止め用部材が不要になる。
なお、凹凸状の係合部20,20’は、凹凸の向きを上下逆向きに形成するようにしてもよい。すなわち、各ブレードスプリングB1,B2および第1のスペーサS1のそれぞれの上側の主面に係合凹部を形成するとともに下側の主面に係合凸部を形成して、これら係合凸部を係合凹部に係合するようにしてもよい。
この場合には、ブレードスプリング組立体Bのうちの最上位のブレードスプリングに形成された係合凹部に係合し得る係合凸部をブレードシューのブレードスプリング収容面に設けることによって、図4の場合と同様に、ブレードスプリング組立体Bをブレードシューのブレードスプリング収容面上の所望位置に位置決めすることができる。なお、この場合、ブレードスプリング組立体Bのうちの最下位のブレードスプリングに設けられた係合凸部が係合し得る係合凹部をブレードシューの先端部および基端部に形成することによっても、同様の効果を得ることができる。
図3(b)の一点鎖線に示すように、ブレードスプリング組立体Bは、係合部20の近傍において一端T1寄りの位置に嵌合部材30を有していてもよい。嵌合部材30は、図5(a)に示すように、矩形孔30aを有する断面矩形状の角筒状部材であって、ブレードスプリング組立体Bの外周を囲繞しつつ外周面に嵌合している。
この場合には、嵌合部材30により、ブレードスプリング組立体全体を一体化できるとともに、ブレードスプリング組立体Bの変形時においても各係合凸部および係合凹部間の係合が容易に外れないようにすることができ、係合部20を介した各ブレードスプリングB1,B2の係合状態を強固なものにすることができる。なお、嵌合部材30の嵌合状態は、ブレードスプリングBの外周に圧入される圧入形式のものでもよい。この場合には、嵌合部材30によりブレードスプリング組立体Bが締め付けられることによって、各ブレードスプリングB1,B2の係合凸部および係合凹部間の係合状態をより強固なものにすることができる。なお、ブレードスプリング組立体Bの係合部20’の近傍において他端T2寄りの位置に同様の嵌合部材30を設けるようにしてもよい。
嵌合部材は、図5(b)に示すように、矩形孔30’aの下部にスリット30’bを有する断面C字状の部材30’でもよい。
この場合には、嵌合部材30’に形成されたスリット30’bが拡開することによって、ブレードスプリング組立体Bへの嵌合部材30’の装着が容易になる。その一方、装着後は、拡開していたスリット30’bが元に戻ろうとする復元力を利用して、嵌合部材30’をブレードスプリング組立体Bに弾性的に係合できるようになる。
このような第1の実施例によれば、図6(a),(b)に示すように、ブレードスプリング組立体Bの長手方向中央部にチェーンからの押付荷重Wが作用して、曲率半径が大きくなる側にブレードスプリング組立体Bが弾性変形しようとしたとき、第1、第2のブレードスプリングB1,B2のそれぞれの一端T1が互いに拘束されているため、各ブレードスプリングB1,B2はそれぞれ他端T2側に向かって移動しようとし(図6(a)中の左方向の矢印参照)、これにより、各ブレードスプリングB1,B2がそれぞれ中央部で互いに摺動することになる。これにより、ブレードスプリング全体の減衰性能を向上できる。
<第2の実施例>
図7は、本発明の第2の実施例によるブレードスプリング組立体を示している。この第2の実施例では、ブレードスプリング組立体Bが、各々弧状に湾曲しかつ上下に積層された3枚の板バネ状ブレードスプリングB1,B2,B3から構成されている。最も内側に配置される最下層の第1のブレードスプリングB1と、その上に重なり合う第2のブレードスプリングB2とは、それぞれの一端T1側においてのみ凹凸状の係合部20を介して互いに係合している。第1のブレードスプリングB1と、第2のブレードスプリングB2の上に重なり合う第3のブレードスプリングB3とは、一端T1側と逆側の他端T2側においてのみ凹凸状の係合部20’を介して互いに係合している。
第2のブレードスプリングB2の一端T1側の上側の主面には、第2のブレードスプリングB2と同一の幅および板厚を有する第2のスペーサS2が載置されている。第2のスペーサS2は、前記第1の実施例の係合部20’における第1のスペーサS1と同様に、その下側のブレードスプリングに凹凸状の係合部20を介して係合している。また、第2のスペーサS2と第3のブレードスプリングB3との間には、第3のブレードスプリングB3の図右方への移動を許容し得る空隙C2が形成されている。
第1のブレードスプリングB1の他端T2側の上側の主面には、前記第1の実施例と同様の第1のスペーサS1が載置されている。この第1のスペーサS1の上には、第3のブレードスプリングB3が凹凸状の係合部20’を介して係合している。また、第1のスペーサS1と第2のブレードスプリングB2との間には、第2のブレードスプリングB2の図左方への移動を許容し得る空隙C1が形成されている。
なお、図示していないが、ブレードスプリング組立体Bの係合部20の近傍において一端T1寄りの位置および係合部20’の近傍において他端T2寄りの位置に前記第1の実施例と同様の嵌合部材30をそれぞれ設けるようにしてもよい(以下の各実施例においても同様)。
このような第2の実施例によれば、ブレードスプリング組立体Bの長手方向中央部にチェーンからの押付荷重Wが作用して、曲率半径が大きくなる側にブレードスプリング組立体Bが弾性変形しようとしたとき、第2のブレードスプリングB2はその一端T1が第1のブレードスプリングB1に拘束されているため、第2のブレードスプリングB2は他端T2側に向かって移動しようとし(図7(b)中の左方向の矢印参照)、これにより、各ブレードスプリングB1,B2がそれぞれ中央部で互いに摺動する。
また、この場合には、第1、第3のブレードスプリングB1,B3のそれぞれの他端T2が第1のスペーサS1を介して互いに拘束されているため、チェーンからの押付荷重Wが作用したとき、第3のブレードスプリングB3は一端T1側に向かって移動しようとする(図7(b)中の右方向の矢印参照)。その一方、第2のブレードスプリングB2が他端T2側に向かって移動しようとしているため、この場合には、第2、第3のブレードスプリングB2,B3がそれぞれ中央部で互いに逆方向に摺動することになる。これにより、第1、第2のブレードスプリングB1,B2のそれぞれの中央部での同方向の摺動と相俟って、ブレードスプリング全体の減衰性能を一層向上できる。
<第3の実施例>
図8は、本発明の第3の実施例によるブレードスプリング組立体を示している。この第3の実施例では、ブレードスプリング組立体Bが、各々弧状に湾曲しかつ上下に積層された4枚の板バネ状ブレードスプリングB1,B2,B3,B4から構成されている。最も内側に配置される最下層の第1のブレードスプリングB1と、その上に重なり合う第2のブレードスプリングB2とは、それぞれの一端T1側においてのみ凹凸状の係合部20を介して互いに係合している。第1のブレードスプリングB1と、第2のブレードスプリングB2の上に重なり合う第3のブレードスプリングB3とは、一端T1側と逆側の他端T2側においてのみ凹凸状の係合部20’を介して互いに係合している。第2のブレードスプリングB2と、第3のブレードスプリングB3の上に重なり合う第4のブレードスプリングB4とは、一端T1側においてのみ凹凸状の係合部20を介して互いに係合している。
第2のブレードスプリングB2の一端T1側の上側の主面には、第2のブレードスプリングB2と同一の幅および板厚を有する第2のスペーサS2が載置されている。第2のスペーサS2は、その下側の第2のブレードスプリングB2に凹凸状の係合部20を介して係合している。第2のスペーサS2と第3のブレードスプリングB3との間には、第3のブレードスプリングB3の図右方への移動を許容し得る空隙C2が形成されている。
第1のブレードスプリングB1の他端T2側の上側の主面には、第1のブレードスプリングB1と同一の幅および板厚を有する第1のスペーサS1が載置されている。第1のスペーサS1の上には、第3のブレードスプリングB3が凹凸状の係合部20’を介して係合している。第1のスペーサS1と第2のブレードスプリングB2との間には、第2のブレードスプリングB2の図左方への移動を許容し得る空隙C1が形成されている。
第3のブレードスプリングB3の他端T2側の上側の主面には、第3のブレードスプリングB3と同一の幅および板厚を有する第3のスペーサS3が載置されている。第3のスペーサS3は、その下側の第3のブレードスプリングB3に凹凸状の係合部20’を介して係合している。第3のスペーサS3と第4のブレードスプリングB4との間には、第4のブレードスプリングB4の図右方への移動を許容し得る空隙C3が形成されている。
このような第3の実施例によれば、ブレードスプリング組立体Bの長手方向中央部にチェーンからの押付荷重Wが作用して、曲率半径が大きくなる側にブレードスプリング組立体Bが弾性変形しようとしたとき、第2のブレードスプリングB2はその一端T1が第1のブレードスプリングB1に拘束されているため、第2のブレードスプリングB2は他端T2側に向かって移動しようとし(図8(b)中の左方向の矢印参照)、これにより、各ブレードスプリングB1,B2がそれぞれ中央部で互いに摺動する。
また、この場合には、第1、第3のブレードスプリングB1,B3のそれぞれの他端T2が第1のスペーサS1を介して互いに拘束されているため、チェーンからの押付荷重Wが作用したとき、第3のブレードスプリングB3は一端T1側に向かって移動しようとする(図8(b)中の右方向の矢印参照)。その一方、第2のブレードスプリングB2が他端T2側に向かって移動しようとしているため、この場合には、第2、第3のブレードスプリングB2,B3がそれぞれ中央部で互いに逆方向に摺動することになる。
さらに、この場合には、第2、第4のブレードスプリングB2,B4のそれぞれの一端T1が第2のスペーサS2を介して互いに拘束されているため、チェーンからの押付荷重Wが作用したとき、第4のブレードスプリングB4は他端T2側に向かって移動しようとする(図8(b)中の左方向の矢印参照)。その一方、第3のブレードスプリングB3は一端T1側に向かって移動しようとしているため、この場合には、第3、第4のブレードスプリングB3,B4がそれぞれ中央部で互いに逆方向に摺動することになる。これにより、第1、第2のブレードスプリングB1,B2のそれぞれの中央部での摺動と相俟って、ブレードスプリング全体の減衰性能を一層向上できる。
<第4の実施例>
図9は、本発明の第4の実施例によるブレードスプリング組立体を示している。この第4の実施例では、ブレードスプリング組立体Bが、各々弧状に湾曲しかつ上下に積層された5枚の板バネ状ブレードスプリングB1,B2,B3,B4,B5から構成されている。最も内側に配置される最下層の第1のブレードスプリングB1と、その上に重なり合う第2のブレードスプリングB2とは、それぞれの一端T1側においてのみ凹凸状の係合部20を介して互いに係合している。第1のブレードスプリングB1と、第2のブレードスプリングB2の上に重なり合う第3のブレードスプリングB3とは、一端T1側と逆側の他端T2側においてのみ凹凸状の係合部20’を介して互いに係合している。第2のブレードスプリングB2と、第3のブレードスプリングB3の上に積層される第4のブレードスプリングB4とは、一端T1側においてのみ凹凸状の係合部20を介して互いに係合している。第3のブレードスプリングB3と、第4のブレードスプリングB4の上に重なり合う第5のブレードスプリングB5とは、他端T2側においてのみ凹凸状の係合部20’を介して互いに係合している。
第2のブレードスプリングB2の一端T1側の上側の主面には、第2のブレードスプリングB2と同一の幅および板厚を有する第2のスペーサS2が載置されている。第2のスペーサS2は、その下側の第2のブレードスプリングB2に凹凸状の係合部20を介して係合している。第2のスペーサS2と第3のブレードスプリングB3との間には、第3のブレードスプリングB3の図右方への移動を許容し得る空隙C2が形成されている。
第1のブレードスプリングB1の他端T2側の上側の主面には、第1のブレードスプリングB1と同一の幅および板厚を有する第1のスペーサS1が載置されている。第1のスペーサS1の上には、第3のブレードスプリングB3が凹凸状の係合部20’を介して係合している。第1のスペーサS1と第2のブレードスプリングB2との間には、第2のブレードスプリングB2の図左方への移動を許容し得る空隙C1が形成されている。
第3のブレードスプリングB3の他端T2側の上側の主面には、第3のブレードスプリングB3と同一の幅および板厚を有する第3のスペーサS3が載置されている。第3のスペーサS3は、その下側の第3のブレードスプリングB3に凹凸状の係合部20’を介して係合している。第3のスペーサS3と第4のブレードスプリングB4との間には、第4のブレードスプリングB4の図右方への移動を許容し得る空隙C3が形成されている。
第4のブレードスプリングB7の一端T1側の上側の主面には、第4のブレードスプリングB4と同一の幅および板厚を有する第4のスペーサS4が載置されている。第4のスペーサS4は、その下側の第4のブレードスプリングB4に凹凸状の係合部20を介して係合している。第4のスペーサS4と第5のブレードスプリングB5との間には、第5のブレードスプリングB5の図右方への移動を許容し得る空隙C4が形成されている。
このような第3の実施例によれば、ブレードスプリング組立体Bの長手方向中央部にチェーンからの押付荷重Wが作用して、曲率半径が大きくなる側にブレードスプリング組立体Bが弾性変形しようとしたとき、第2のブレードスプリングB2はその一端T1が第1のブレードスプリングB1に拘束されているため、第2のブレードスプリングB2は他端T2側に向かって移動しようとし(図9(b)中の左方向の矢印参照)、これにより、各ブレードスプリングB1,B2がそれぞれ中央部で互いに摺動する。
また、この場合には、第1、第3のブレードスプリングB1,B3のそれぞれの他端T2が第1のスペーサS1を介して互いに拘束されているため、チェーンからの押付荷重Wが作用したとき、第3のブレードスプリングは一端T1側に向かって移動しようとする(図9(b)中の右方向の矢印参照)。その一方、第2のブレードスプリングB2が他端T2側に向かって移動しようとしているため、この場合には、第2、第3のブレードスプリングB2,B3がそれぞれ中央部で互いに逆方向に摺動することになる。
さらに、この場合には、第2、第4のブレードスプリングB2,B4のそれぞれの一端T1が第1のスペーサS1を介して互いに拘束されているため、チェーンからの押付荷重Wが作用したとき、第4のブレードスプリングB4は他端T2側に向かって移動しようとする(図9(b)中の左方向の矢印参照)。その一方、第3のブレードスプリングB3は一端T1側に向かって移動しようとしているため、この場合には、第3、第4のブレードスプリングB3,B4がそれぞれ中央部で互いに逆方向に摺動することになる。
しかも、この場合には、第3、第5のブレードスプリングB3,B5のそれぞれの他端T2が第3のスペーサS3を介して互いに拘束されているため、チェーンからの押付荷重Wが作用したとき、第5のブレードスプリングB5は一端T1側に向かって移動しようとする(図9(b)中の右方向の矢印参照)。その一方、第4のブレードスプリングB4は他端T2側に向かって移動しようとしているため、この場合には、第4、第5のブレードスプリングB4,B5がそれぞれ中央部で互いに逆方向に摺動することになる。これにより、第1、第2のブレードスプリングB1,B2のそれぞれの中央部での摺動と相俟って、ブレードスプリング全体の減衰性能を一層向上できる。
<第5の実施例>
図10は、本発明の第5の実施例によるブレードスプリング組立体を示している。この第5の実施例では、ブレードスプリング組立体Bが、各々弧状に湾曲しかつ上下に積層された5枚の板バネ状ブレードスプリングB1,B2,B3,B4,B5から構成されている。真中に配置される第1のブレードスプリングB1と、その上下にそれぞれ重なり合う第2および第3のブレードスプリングB2,B3とが、それぞれの一端T1側においてのみ凹凸状の係合部20を介して互いに係合している。第1のブレードスプリングB1と、第2のブレードスプリングB2の上に重なり合う第4のブレードスプリングB4とが、一端T1側と逆側の他端T2側においてのみ凹凸状の係合部20’を介して互いに係合している。第1のブレードスプリングB1と、第3のブレードスプリングB3の下に重なり合う第5のブレードスプリングB5とが、一端T1側と逆側の他端T3側においてのみ凹凸状の係合部20’を介して互いに係合している。
第1のブレードスプリングB1の他端T2側の上側の主面には、第1のブレードスプリングB1と同一の幅および板厚を有する第2のスペーサS2が載置されている。第2のスペーサS2の上には、第4のブレードスプリングB4が凹凸状の係合部20’を介して係合している。第2のスペーサS2と第2のブレードスプリングB2との間には、第2のブレードスプリングB2の図左方への移動を許容し得る空隙C2が形成されている。
第1のブレードスプリングB1の他端T1側の下側の主面には、第1のブレードスプリングB1と同一の幅および板厚を有する第1のスペーサS1が載置されている。第1のスペーサS1は、その下側の第5のブレードスプリングB5に凹凸状の係合部20’を介して係合している。第3のスペーサS1と第3のブレードスプリングB3との間には、第3のブレードスプリングB3の図左方への移動を許容し得る空隙C1が形成されている。
このような第5の実施例によれば、ブレードスプリング組立体Bの長手方向中央部にチェーンからの押付荷重Wが作用して、曲率半径が大きくなる側にブレードスプリング組立体Bが弾性変形しようとしたとき、第1、第2、第3のブレードスプリングB1,B2,B3のそれぞれの一端T1が互いに拘束されるとともに、第1、第4のブレードスプリングB1,B4のそれぞれの他端T2が第2のスペーサS2を介して互いに拘束されているため、第2のブレードスプリングB2は他端T2側に向かって移動するとともに(図10(b)中の左方向の矢印参照)、第4のブレードスプリングB4は一端T1側に向かって移動しようとする(同図(b)中の右方向の矢印参照)。これにより、各ブレードスプリングB2,B4がそれぞれ中央部で互いに逆方向に摺動する。
同様に、第1、第5のブレードスプリングB1,B5のそれぞれの他端T2が第1のスペーサS1を介して互いに拘束されているため、第3のブレードスプリングB3は他端T2側に向かって移動するとともに(図10(b)中の左方向の矢印参照)、第5のブレードスプリングB5は一端T1側に向かって移動しようとする(同図(b)中の右方向の矢印参照)。これにより、各ブレードスプリングB3,B5がそれぞれ中央部で互いに逆方向に摺動する。このようにして、上下に重なり合う各ブレードスプリングがそれぞれ中央部で互いに摺動することになる。これにより、ブレードスプリング全体の減衰性能を向上できる。
<第6の実施例>
図11は、本発明の第6の実施例によるブレードスプリング組立体を示しており、前記第2の実施例(図7)の変形例に相当している。この第6の実施例では、スペーサが用いられておらず、第1、第3のブレードスプリングB1,B3のいずれか一方(図11の例では第1のブレードスプリングB1)に段違い部D1を形成し、当該段違い部D1において凹凸状の係合部20’を介して各ブレードスプリングB1,B3を係合している。
この場合には、ブレードスプリング組立体Bの長手方向中央部にチェーンからの押付荷重Wが作用して、曲率半径が大きくなる側にブレードスプリング組立体Bが弾性変形しようとしたとき、前記第2の実施例と同様に、第2のブレードスプリングB2は他端T2側に向かって移動しようとし(図11(b)中の左方向の矢印参照)、第3のブレードスプリングB3は一端T1側に向かって移動しようとする(同図(b)中の右方向の矢印参照)。これにより、各ブレードスプリングB1,B2,B3がそれぞれ中央部で互いに摺動して、ブレードスプリング全体の減衰性能を一層向上できる。
なお、他端T2側において、第1、第3のブレードスプリングB1,B3のいずれか一方に段違い部D1を設けたので、第2のブレードスプリングB2が他端T2側に移動し得る空隙C1を、スペーサを用いることなく、第1、第3のブレードスプリングB1,B3間に確保することができる。また、第1、第3のブレードスプリングB1,B3をそれぞれの他端T2側において互いに装着するための合わせ面を段違い部D1によって確保することができる。
<第7の実施例>
図12は、本発明の第7の実施例によるブレードスプリング組立体を示しており、前記第3の実施例(図8)の変形例に相当している。この第7の実施例では、スペーサが用いられておらず、第1、第3のブレードスプリングB1,B3のいずれか一方(図12の例では第1のブレードスプリングB1)に段違い部D1を形成し、当該段違い部D1において凹凸状の係合部20’を介して各ブレードスプリングB1,B3を係合するとともに、第2、第4のブレードスプリングB2,B4のいずれか一方(図12の例では第2のブレードスプリングB2)に段違い部D2を形成し、当該段違い部D2において凹凸状の係合部20を介して各ブレードスプリングB2,B4が係合している。
この場合には、ブレードスプリング組立体Bの長手方向中央部にチェーンからの押付荷重Wが作用して、曲率半径が大きくなる側にブレードスプリング組立体Bが弾性変形しようとしたとき、前記第3の実施例と同様に、第2、第4のブレードスプリングB2,B4は他端T2側に向かって移動しようとし(図12(b)中の左方向の矢印参照)、第3のブレードスプリングB3は一端T1側に向かって移動しようとする(同図(b)中の右方向の矢印参照)。これにより、各ブレードスプリングB1〜B4がそれぞれ中央部で互いに摺動して、ブレードスプリング全体の減衰性能を一層向上できる。
なお、他端T2側において第1、第3のブレードスプリングB1,B3のいずれか一方に段違い部D1を設けたので、第2のブレードスプリングB2が他端T2側に移動し得る空隙C1を、スペーサを用いることなく、第1、第3のブレードスプリングB1,B3間に確保することができるとともに、第1、第3のブレードスプリングB1,B3をそれぞれの他端T2側において互いに装着するための合わせ面を段違い部D1によって確保することができる。
また、一端T1側において第2、第4のブレードスプリングB2,B4のいずれか一方に段違い部D2を設けたので、第3のブレードスプリングB3が一端T1側に移動し得る空隙C2を、スペーサを用いることなく、第2、第4のブレードスプリングB2,B4間に確保することができるとともに、第2、第4のブレードスプリングB2,B4をそれぞれの一端T1側において互いに装着するための合わせ面を段違い部D2によって確保することができる。
<第8の実施例>
図13は、本発明の第8の実施例によるブレードスプリング組立体を示しており、前記第4の実施例(図9)の変形例に相当している。この第8の実施例では、スペーサは用いられておらず、第1、第3のブレードスプリングB1,B3のいずれか一方(図13の例では第1のブレードスプリングB1)に段違い部D1を形成し、当該段違い部D1において凹凸状の係合部20’を介して各ブレードスプリングB1,B3を係合し、第2、第4のブレードスプリングB2,B4のいずれか一方(図13の例では第2のブレードスプリングB2)に段違い部D2を形成し、当該段違い部D2において凹凸状の係合部20を介して、各ブレードスプリングB2,B4を係合するとともに、第3、第5のブレードスプリングB3,B5のいずれか一方(図13の例では第5のブレードスプリングB5)に段違い部D3を形成し、当該段違い部D3において凹凸状の係合部20’を介して、各ブレードスプリングB3,B5を係合している。
この場合には、ブレードスプリング組立体Bの長手方向中央部にチェーンからの押付荷重Wが作用して、曲率半径が大きくなる側にブレードスプリング組立体Bが弾性変形しようとしたとき、前記第4の実施例と同様に、第2、第4のブレードスプリングB2,B4は他端T2側に向かって移動しようとし(図13(b)中の左方向の矢印参照)、第3のブレードスプリングB3は一端T1側に向かって移動しようとするとともに(同図(b)中の右方向の矢印参照)、第5のブレードスプリングB5は一端T1側に向かって移動しようとする(同図(b)中の右方向の矢印参照)。これにより、各ブレードスプリングB1〜B5がそれぞれ中央部で互いに摺動して、ブレードスプリング全体の減衰性能を一層向上できる。
なお、他端T2側において第1、第3のブレードスプリングB1,B3のいずれか一方に段違い部D1を設けたので、第2のブレードスプリングB2が他端T2側に移動し得る空隙C1を、スペーサを用いることなく、第1、第3のブレードスプリングB1,B3間に確保することができるとともに、第1、第3のブレードスプリングB1,B3をそれぞれの他端T2側において互いに装着するための合わせ面を段違い部D1によって確保することができる。
また、一端T1側において第2、第4のブレードスプリングB2,B4のいずれか一方に段違い部D2を設けたので、第3のブレードスプリングB3が一端T1側に移動し得る空隙C2を、スペーサを用いることなく、第2、第4のブレードスプリングB2,B4間に確保することができるとともに、第2、第4のブレードスプリングB2,B4をそれぞれの一端T1側において互いに装着するための合わせ面を段違い部D2によって確保することができる。
さらに、他端T2側において第3、第5のブレードスプリングB3,B5のいずれか一方に段違い部D3を設けたので、第4のブレードスプリングB4が他端T2側に移動し得る空隙C3を、スペーサを用いることなく、第3、第5のブレードスプリングB3,B5間に確保することができるとともに、第3、第5のブレードスプリングB3,B5をそれぞれの他端T2側において互いに装着するための合わせ面を段違い部D3によって確保することができる。
<第9の実施例>
図14は、本発明の第9の実施例によるブレードスプリング組立体を示しており、前記第5の実施例(図10)の変形例に相当している。この第9の実施例では、スペーサは用いられておらず、第1、第5のブレードスプリングB1,B5のいずれか一方(図14の例では第5のブレードスプリングB5)に段違い部D1を形成し、当該段違い部D1において凹凸状の係合部20’を介して各ブレードスプリングB1,B5を係合するとともに、第1、第4のブレードスプリングB1,B4のいずれか一方(図14の例では第4のブレードスプリングB4)に段違い部D2を形成し、当該段違い部D2を介して各ブレードスプリングB1,B4を係合している。
この場合には、ブレードスプリング組立体Bの長手方向中央部にチェーンからの押付荷重Wが作用して、曲率半径が大きくなる側にブレードスプリング組立体Bが弾性変形しようとしたとき、前記第5の実施例と同様に、第2、第3のブレードスプリングB2,B3は他端T2側に向かって移動しようとし(図14(b)中の左方向の矢印参照)、第4、第5のブレードスプリングB4,B5は一端T1側に向かって移動しようとする(同図(b)中の右方向の矢印参照)。これにより、各ブレードスプリングB1〜B5がそれぞれ中央部で互いに摺動して、ブレードスプリング全体の減衰性能を一層向上できる。
なお、他端T2側において第1、第5のブレードスプリングB1,B5のいずれか一方に段違い部D1を設けたので、第3のブレードスプリングB3が他端T2側に移動し得る空隙C1を、スペーサを用いることなく、第1、第5のブレードスプリングB1,B5間に確保することができるとともに、第1、第5のブレードスプリングB1,B5をそれぞれの他端T2側において互いに装着するための合わせ面を段違い部D1によって確保することができる。
また、他端T2側において第1、第4のブレードスプリングB1,B4のいずれか一方に段違い部D2を設けたので、第2のブレードスプリングB2が他端T2側に移動し得る空隙C2を、スペーサを用いることなく、第1、第4のブレードスプリングB1,B4間に確保することができるとともに、第1、第4のブレードスプリングB1,B4をそれぞれの他端T2側において互いに装着するための合わせ面を段違い部D2によって確保することができる。
<第10の実施例>
図15は、本発明の第10の実施例によるブレードスプリング組立体を示しており、前第2の実施例(図7)の変形例に相当している。この第10の実施例では、スペーサを用いることなく、第1、第3のブレードスプリングB1,B3が直接係合している。
図15に示すように、第1、第3のブレードスプリングB1,B3はそれぞれ他端T2側に延設されており、各ブレードスプリングB1,B3は他端T2で凹凸状の係合部20’を介して直接互いに係合している。このため、各ブレードスプリングB1,B3間に形成される空隙C1は、他端T2側に向かうにしたがい徐々に小さくなる楔状に形成されている。
この場合には、ブレードスプリング組立体Bの長手方向中央部にチェーンからの押付荷重Wが作用して、曲率半径が大きくなる側にブレードスプリング組立体Bが弾性変形しようとしたとき、第1、第3のブレードスプリングB1,B3間の空隙C1が他端T2側に向かうにしたがい徐々に小さくなっていることにより、第2のブレードスプリングB2が他端T2側に移動する際の摺動抵抗を大きくすることができ、また、その結果、第3のブレードスプリングB3が一端T1側に移動する際の摺動抵抗も大きくすることができる。
これにより、第1ないし第3のブレードスプリングB1〜B3のそれぞれの中央部での摺動と相俟って、ブレードスプリング全体の減衰抵抗を一層向上できる。
<第11の実施例>
図16は、本発明の第11の実施例によるブレードスプリング組立体を示しており、前第3の実施例(図8)の変形例に相当している。この第11の実施例では、スペーサを用いることなく、第1、第3のブレードスプリングB1,B3が直接係合するとともに、第2、第4のブレードスプリングB2,B4が直接係合している。
図16に示すように、第1、第3のブレードスプリングB1,B3はそれぞれ他端T2側に延設されており、各ブレードスプリングB1,B3は他端T2で凹凸状の係合部20’を介して直接互いに係合している。このため、各ブレードスプリングB1,B3間に形成される空隙C1は、他端T2側に向かうにしたがい徐々に小さくなる楔状に形成されている。
また、第2、第4のブレードスプリングB2,B4はそれぞれ一端T1側に延設されており、各ブレードスプリングB2,B4は一端T1で凹凸状の係合部20を介して直接互いに係合している。このため、各ブレードスプリングB2,B4間に形成される空隙C2は、一端T1側に向かうにしたがい徐々に小さくなる楔状に形成されている。
この場合には、ブレードスプリング組立体Bの長手方向中央部にチェーンからの押付荷重Wが作用して、曲率半径が大きくなる側にブレードスプリング組立体Bが弾性変形しようとしたとき、第1、第3のブレードスプリングB1,B3間の空隙C1が他端T2側に向かうにしたがい徐々に小さくなっていることにより、第2のブレードスプリングB2が他端T2側に移動する際の摺動抵抗を大きくすることができ、また、その結果、第3のブレードスプリングB3が一端T1側に移動する際の摺動抵抗も大きくすることができる。
また、第2、第4のブレードスプリングB2,B4間の空隙C2が一端T1側に向かうにしたがい徐々に小さくなっていることにより、第3のブレードスプリングB3が一端T1側に移動する際の摺動抵抗を大きくすることができ、また、その結果、第4のブレードスプリングB4が他端T2側に移動する際の摺動抵抗も大きくすることができる。
このようにして、第1ないし第4のブレードスプリングB1〜B4のそれぞれの中央部での摺動と相俟って、ブレードスプリング全体の減衰抵抗を一層向上できる。
<第12の実施例>
図17は、本発明の第12の実施例によるブレードスプリング組立体を示しており、前第4の実施例(図9)の変形例に相当している。この第12の実施例では、スペーサを用いることなく、第1、第3のブレードスプリングB1,B3が直接係合し、第2、第4のブレードスプリングB2,B4が直接係合するとともに、第3、第5のブレードスプリングB3,B5が直接係合している。
図17に示すように、第1、第3のブレードスプリングB1,B3はそれぞれ他端T2側に延設されており、各ブレードスプリングB1,B3は他端T2で凹凸状の係合部20’を介して直接互いに係合している。このため、各ブレードスプリングB1,B3間に形成される空隙C1は、他端T2側に向かうにしたがい徐々に小さくなる楔状に形成されている。
また、第2、第4のブレードスプリングB2,B4はそれぞれ一端T1側に延設されており、各ブレードスプリングB2,B4は一端T1で凹凸状の係合部20を介して直接互いに係合している。このため、各ブレードスプリングB2,B4間に形成される空隙C2は、一端T1側に向かうにしたがい徐々に小さくなる楔状に形成されている。
さらに、第3、第5のブレードスプリングB3,B5はそれぞれ他端T2側に延設されており、各ブレードスプリングB3,B5は他端T2で凹凸状の係合部20’を介して直接互いに係合している。このため、各ブレードスプリングB3,B5間に形成される空隙C3は、他端T2側に向かうにしたがい徐々に小さくなる楔状に形成されている。
この場合には、ブレードスプリング組立体Bの長手方向中央部にチェーンからの押付荷重Wが作用して、曲率半径が大きくなる側にブレードスプリング組立体Bが弾性変形しようとしたとき、第1、第3のブレードスプリングB1,B3間の空隙C1が他端T2側に向かうにしたがい徐々に小さくなっていることにより、第2のブレードスプリングB2が他端T2側に移動する際の摺動抵抗を大きくすることができ、また、その結果、第3のブレードスプリングB3が一端T1側に移動する際の摺動抵抗も大きくすることができる。
また、第2、第4のブレードスプリングB2,B4間の空隙C2が一端T1側に向かうにしたがい徐々に小さくなっていることにより、第3のブレードスプリングB3が一端T1側に移動する際の摺動抵抗を大きくすることができ、また、その結果、第4のブレードスプリングB4が他端T2側に移動する際の摺動抵抗も大きくすることができる。
さらに、第3、第5のブレードスプリングB3,B5間の空隙C3が他端T2側に向かうにしたがい徐々に小さくなっていることにより、第4のブレードスプリングB4が他端T2側に移動する際の摺動抵抗を大きくすることができ、また、その結果、第5のブレードスプリングB5が一端T1側に移動する際の摺動抵抗も大きくすることができる。
このようにして、第1ないし第5のブレードスプリングB1〜B5のそれぞれの中央部での摺動と相俟って、ブレードスプリング全体の減衰抵抗を一層向上できる。
なお、前記各実施例では、係合部20,20’が円柱形状を有している場合を例にとって説明したが、係合部20,20’の形状としては、円柱形状に限らず、図18に示すような円錐形状(第1の変形例)や、図19に示すような半球形状(第2の変形例)であってもよい。なお、これらの図において、前記各実施例と同一符号は同一または相当部分を示している。
また、前記各実施例では、係合部がいずれもブレードスプリングの主面に形成された例を示したが、本発明の適用はこれに限定されない。図20は、係合部の第3の変形例が適用されたブレードスプリング組立体の分解組立図であって、図7の変形例に対応している。なお、図20では、図示の便宜上、各ブレードスプリングが直線状に延設された状態を示している。
図20に示すように、第1のブレードスプリングB1の各端部の近傍位置には、両側方に張り出す一対の張出部(係合凸部)25が設けられている。一方、第2、第3のブレードスプリングB2,B3および第1、第2のスペーサS1,S2には、第1のブレードスプリングB1の各張出部25を主面に対して略直角に折り曲げた際に各張出部25が側方から係合し得る係合凹部26,27が形成されている(図21参照)。
このようなブレードスプリングの張出部およびこれが係合する係合凹部によっても、ブレードスプリング同士を拘束させることができ、前記各実施例と同様の作用効果を奏する。