JP4772031B2 - 防滑板紙 - Google Patents

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Description

本発明は、防滑性及び耐摩耗性という相反する性質の両者に優れ、荷崩れ(荷滑り)が発生せず、かつ色落ちが発生しない防滑板紙に関する。
農産物、水産物をはじめとする種々の食品、あるいは各種工業製品などは、段ボール、カートンなどの紙器、種々の紙袋で包装されて輸送されている。
近年、各種包装ラインの自動化、輸送ラインのパレット化などによる物流の効率化が進んでいるが、その際、段ボールケースなどが滑ると荷崩れが発生し、非常に危険であると共に、運送の効率低下などの生じる原因となっている。
そこで、従来より、このような紙器、紙袋に防滑性を付与し、滑りを防止することが行われている。このような方法としては、水性印刷インキで図柄を印刷した後、粘着性を有する防滑剤(以下、「粘着タイプの防滑剤」と言う。)を塗工し、その粘着力によって防滑性を付与する方法、また、非粘着性の防滑剤で紙器などの表面に凹凸のある皮膜を形成し、この凹凸が物理的にかみ合うことによって防滑性を付与する方法、あるいはシリカなどの防滑填料を表層に被覆することによって防滑性を付与する方法が代表的である。
しかし、粘着タイプの防滑剤では、防滑効果が高くなればなるほど、接触面でブロッキングが発生しやすくなり、また輸送中にほこりやゴミなどが付着して、印刷物が汚損するなどの問題があり、防滑性、耐ブロッキング性、防汚染性を同時に得ることができなかった。さらに、粘着タイプの防滑剤は熱に弱いため、板紙の表面に防滑剤を塗工した後、コルゲートマシンにおいて段ボールに貼り合わせる場合において、防滑剤がコルゲートマシンの熱板にとられて汚損するという問題がある。
また、特許文献1に示されるように、非粘着性の熱発泡粒子を表面塗工して紙器などの表面に凹凸のある皮膜を形成し、この凹凸が物理的にかみ合うことによって防滑性を付与する方法は、滑りにくくなりすぎるため、段ボール加工のコルゲートマシンのカット後の積層時に原紙が滑らないため、紙詰まりが発生してしまう問題がある。
一方、特許文献2に示されるように、シリカ等の填料の防滑剤では、初期の防滑効果や耐熱性はある程度期待できるが、積み替え作業などが繰り返し行われると、接触面同士がこすり合わされて防滑効果が極端に低下する傾向が強く、滑り防止効果の持続性に欠けるものであった。また、防滑効果を高くするためには、無機粒子などを多量に含有させる必要があるが、耐摩擦性の低下、防滑剤の白化および光沢の低下による印刷面の美粧性の欠如などの多くの問題を有していた。
特開平10−204797号公報 特許第3587549号公報
本発明は、上述したような実情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、防滑性及び耐摩耗性という相反する性質の両者に優れ、荷崩れ(荷滑り)が発生せず、かつ濃色に着色されても色落ちが発生しない防滑板紙を提供することである。
本発明の上記目的は、基紙が単層又は複数層から構成され、少なくとも前記基紙の表面となる層に着色剤を含有させて、前記基紙の少なくとも表面が色付けされた防滑板紙であって、前記基紙の少なくとも片面に、少なくとも熱発泡性樹脂と顔料とを含有する塗工液を塗布して塗工層を設け、該塗工層を乾燥することにより前記熱発泡性樹脂を発泡させて前記基紙の表面を防滑層とし、前記塗工液が、固形分で片面当たり0.65〜6.15g/m 塗布され、前記顔料は、前記塗工液中に固形分で5〜30質量%配合され、前記顔料は平均粒子径が10〜30μmであり、JIS−P8147に規定する傾斜法による滑り角度が45〜55度であり、JIS−L0894に規定する染色堅牢度試験による耐摩耗性が、JIS−L0805に規定する汚染用グレースケールを使用して4級以上であることを特徴とする防滑板紙を提供することによって達成される。
さらにまた、本発明の上記目的は、JIS−B0601に規定する表面粗さ試験の高低値(Ry)が15.5〜18.5μmであることを特徴とする防滑板紙を提供することによってより効果的に達成される。
本発明に係る防滑板紙によれば、基紙の少なくとも片面に、少なくとも熱発泡性樹脂と顔料とを含有する塗工液を塗布して塗工層を設け、この塗工層を乾燥させることにより熱発泡性樹脂を発泡させて基紙の表面を防滑層としたので、防滑性に優れると共に、耐摩耗性にも優れるという相反する性質の両者を満足させることができる。
以下、本発明に係る防滑板紙について詳細に説明する。なお、本発明に係る防滑板紙は以下の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲を逸脱しない範囲において、適宜変更可能であることはいうまでもない。
本発明に係る防滑板紙(以下、「本防滑板紙」と言う。)は、表層及び裏層の2層で基紙を構成し、少なくとも基紙の表面となる層(本実施形態では表層)に着色剤を含有し、基紙の少なくとも表面を色付けしている。
本防滑板紙の基紙に使用される原料パルプは、広葉樹晒クラフトパルプ、針葉樹晒クラフトパルプ、広葉樹未晒クラフトパルプ、針葉樹未晒クラフトパルプ、広葉樹亜硫酸パルプ、針葉樹亜硫酸パルプ等の木材繊維を主原料として化学的に処理されたパルプやチップ、あるいは木材以外の繊維原料であるケナフ、麻、葦等非木材繊維を主原料として化学的に処理されたパルプやチップを機械的にパルプ化したグランドパルプ、木材またはチップに化学薬品を添加しながら機械的にパルプ化したケミグランドパルプ、及びチップを柔らかくなるまで蒸解した後、レファイナー等でパルプ化したセミケミカルパルプ等のバージンパルプ及びクラフトパルプ、セミケミカルパルプ、酵素漂白パルプを含むオフィス上物古紙を脱墨、漂白したパルプ、牛乳パック古紙上質断裁落ち古紙、コート断裁落ち古紙、上白、特白、中白等未印刷、地券、新段、新聞、クラフト封筒、模造、雑誌の古紙から得られる回収パルプ等をあげることができる。なお、古紙パルプを多く利用すると環境負荷が低減されるという利点がある。
また、基紙の少なくとも表面を色付けする着色剤としては、アニオン性直接染料やカチオン性直接染料とともに、色が美しく、色濃度が高い塩基性染料を用いることができる。なお、これらの染料を2種以上添加する場合の染料の添加順序は、初期の段階でアニオン性直接染料を添加し、硫酸バンドを添加してPH調整を行った後、塩基性染料とそれに必要な定着剤を添加し、インレットに近い場所で高速染着性を有し、吸尽性が高く、耐水堅牢度や日光堅牢度が良好なカチオン性直接染料を添加するのが好適である。さらに、顔料を添加することで、一層濃色でかつ一層耐候性の高い着色を実現できる。なお、顔料としては公知の種々のものを用いることができる。
なお、色付けされた本防滑板紙は、色付けされた表面のJIS−Z8722、及びJIS−Z8730に基づく明度L値が60以下の濃色であると、濃色であるだけに色落ちの問題が発生し易いので、本願発明による効果がより一層発揮される。
また、本防滑板紙の抄造においては、染料等の着色剤により着色された層の色落ちを防止するため、酸性ロジンサイズ剤、中性ロジンサイズ剤、アルキルケテンダイマーなど公知のサイズ剤を内添することにより、JIS−P8140に準じて測定された吸水度が接触時間120秒で15〜150g/m、好ましくは30〜100g/mとなるように調整されることが好ましい。吸水度が15g/m未満では、後工程の塗工液の塗布工程で、後述する塗工液を均一に塗布することができず、色落ち防止効果にムラが出てしまう。一方、吸水度が150g/mを超えると、塗布される塗工液が基紙の内部に浸透してしまい、塗工液を塗布する効果が低下してしまう。
なお、本防滑板紙の抄紙方法については、特に限定されるものではないので、酸性抄紙法、中性抄紙法、アルカリ性抄紙法のいずれであってもよい。また、抄紙機も特に限定されるものではなく、例えば長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機、円網抄紙機、円網短網コンビネーション抄紙機等、公知の種々の抄紙機を使用することができる。
以上のようにして色付けされて抄造された本防滑板紙の基紙の少なくとも一方の表面(少なくとも片面)に、抄紙機のドライヤー後の塗布工程で、少なくとも熱発泡性樹脂と顔料とを含有した塗工液を塗工ないしは塗布して塗工層を設ける。その後、この塗工層を乾燥させることで熱発泡性樹脂を膨張させ、基紙の表面に凹凸を形成して防滑層を形成する。
これにより、本防滑板紙の防滑性及び耐摩耗性(染色堅牢度)を向上させることができる。すなわち、滑り角度が高いため、本防滑板紙が重量物などに用いられるケース(例えばビールケース)に加工された場合であっても荷滑りが発生することがない。また、濃色に色付けされた本防滑板紙であっても、摩擦による色落ちの発生を防止することができるので、衣類や他の紙などに色移りすることがなくなる。さらにまた、本防滑板紙の塗工層は、熱発泡性樹脂を含む塗工液を塗布等することにより形成されるため、ゴムのような弾力を有するので、本防滑板紙を折り曲げて加工する際の表面割れや罫線割れなどの発生を防止することができる。具体的には、JIS−L0849に規定する染色堅牢度試験による耐摩耗性(染色堅牢度)が、JIS−L0805に規定する汚染用グレースケールを使用して4級以上とすることができる。なお、染色堅牢度が4級未満であると、摩擦により色落ちが発生し、接触した衣類や他の紙に色が移ってしまう場合がある。
本防滑板紙に使用することができる熱発泡性樹脂としては、熱可塑性合成樹脂で構成された微細粒子外殻内に低沸点溶剤を封入した熱発泡性粒子とエチレン−酢酸ビニル系のバインダからなるものである。なお、この熱発泡性粒子は、平均粒径が5〜30μmで、90〜200℃の加熱により直径が4〜5倍、体積が50〜130倍に膨張する。
外殻を構成する熱可塑性合成樹脂としては、例えば、アクリロニトリル、塩化ビニリデン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等の共重合体等を挙げることができる。
また、外殻内に封入される低沸点溶剤としては、例えば、イソブタン、ペンタン、石油エーテル、ヘキサン、低沸点ハロゲン化炭化水素、メチルシラン等を挙げることができる。
熱発泡性樹脂として、大日精化工業株式会社製のニューダイフォーム、例えばW−111,W−211,W−301,W−350,W−400,W−40NF,W−46NF,W−480,W−484,W−48NF,W−494,W−501,S−501,S−612(以上製品名)等を用いることができる。
熱発泡性粒子は、外殻を構成する熱可塑性合成樹脂の軟化点以上に加熱され、同時に封入されている低沸点溶剤が気化し蒸気圧が上昇し、外殻が膨張して粒子が膨張し、膨張時は、内圧と殻の張力・外圧が釣り合って膨張状態が保持される。熱発泡性粒子は、一般的にはこの状態まで膨張させ、軽量化剤、嵩高化剤、クッション剤、断熱剤などとして利用されている。この膨張状態の熱発泡性粒子にさらに熱を加えて、過剰に熱を加えた場合には、膨張して薄くなった殻からガスが透過拡散し、内圧よりも殻の張力・外圧が大きくなってしまい、発泡した粒子が収縮してしまう。
従って、本防滑板紙に使用される熱発泡粒子は、乾燥工程でドライヤーにより発泡させるが、一般的に紙乾燥工程の温度が130℃程度であることから、上記理由により、熱発泡性粒子の膨張開始温度は100〜130℃で発泡する低温膨張タイプが好ましい。すなわち、膨張開始温度が100℃未満の熱発泡性粒子であると、乾燥工程のドライヤーにより発泡させた場合、上述したように一旦膨張した粒子が再び収縮してしまい、紙表面の凹凸が形成されず、防滑機能を本防滑板紙に付与することが難しくなる。一方、膨張開始温度が130℃を超えると、乾燥・発泡工程における加熱温度、熱量不足による発泡不良という問題が発生する。また、適切な加熱温度、熱量とするためには、製造スピードを大幅に低下させる必要が生じ、生産効率が低下する。
また、顔料は固形分で5〜30質量%、より好ましくは15〜25質量%配合することが好ましい。これにより、本防滑板紙の防滑性をコントロールすることができ、本防滑板紙を段ボールに加工する際や、製袋加工の際のシートの走行時の紙詰まりの発生を抑えることができる。また、塗工液中に顔料を配合することにより、耐摩耗性をより向上させ、より色落ちが発生しにくくすることができるとともに、通常の紙とは異なる高級感を与えるスウェード調の素材感を与えることができる。
具体的には、JIS−P8147に規定する傾斜法による滑り角度が45〜55度、好ましくは48〜52度とすることができる。滑り角度が45度未満であると、防滑性が低く、輸送ラインのパレットなどによる物流の際に段ボールケースなどが滑ると荷崩れが発生する。一方、滑り角度が55度を超えると、コルゲーターで段ボールシートを加工した最終工程のアップスタッカや製袋加工のシート走行時の際に紙が滑らず、紙詰まりが多発する。
なお、顔料の配合量が5質量%未満では、防滑性が高くなりすぎ、コルゲーターで段ボールシートを加工した最終工程のアップスタッカや製袋加工の際のシートの走行時に紙詰まりが発生する可能性がある。一方、顔料の配合量が30質量%を超えると、防滑性及び染色堅牢度を本願の所望とする値まで向上させることができず、摩擦により色落ちが発生し、接触した衣類や他の紙に色が移ってしまう場合がある。
さらに、本防滑板紙に使用される塗工液に含有させる顔料は、平均粒径が10〜30μm、好ましくは15〜25μmのものが好ましい。これにより、防滑性を向上させながらも段ボール、製袋加工の加工適性に優れ、さらに染色堅牢度を向上させることができる。すなわち、防滑性(滑りにくさ)と、色落ちがないという相反する性質の両者を満足させることができる。
なお、顔料としては、タルク、炭酸カルシウム、カオリン、焼成カオリン、酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、硫化亜鉛、二酸化チタン、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、硫酸バリウム、サチンホワイト、シリカ等を主体に、さらに必要に応じてプラスチックピグメントと称される有機顔料を適宜使用することができる。
これらの顔料の中でも、本発明においては滑り角度をコントロールする顔料の粒径の点から、特にタルクを用いることが好ましい。具体的には、日本タルク社の汎用タルクシリーズのSW、SWE、MS、MS−Dを使用することができる。
上述したように、少なくとも熱発泡性樹脂と顔料とが含有された塗工液は、固形分で片面当り0.65〜6.15g/m、より好ましくは1.3〜3.9g/m塗布する。これにより、通常の紙とは異なる高級感のあるスウェード調の素材感を持たせることができ、これにより本防滑板紙を段ボールケース、ショッピングバッグに使用することで高級なイメージとすることができる。
塗工量が0.65g/m未満であると基紙表面に熱発泡性樹脂による凹凸を形成することができず、本願発明の所望とする防滑性を得ることができない。また、一般的な紙とは手触り感が異なる高級感を有するスウェード調の素材感が得られない。一方、塗工量が6.15g/mを超えると、紙とは手触りが異なる素材感は得られるが、コルゲーターで段ボールシートを加工した最終工程のアップスタッカや製袋加工の際のシートの走行時に紙詰まりが発生する場合がある。
これにより、本防滑板紙はJIS−B0601に規定する表面粗さ試験によるの表面粗さ(Ry)が15.5〜18.5μmとすることができる。なお、表面粗さが15.5μm未満であると、形成される凹凸の高低差が低くなるため通常の紙とは異なる高級な感覚を使用者に与える素材感が得られない。一方、表面粗さが18.5μmを超えると表面粗さの高低差(凹凸)が高くなり、紙とは異なる素材感を得られるが、滑り角度が高くなりすぎてしまい、コルゲーターで段ボールシートを加工した最終工程のアップスタッカや製袋加工の際のシートの走行時に紙詰まりが発生する可能性がある。
また、上述した塗工液は、カレンダー塗工、バーコーター、ロッドコーター、エアナイフ、ゲートロールコーター、2ロールサイズプレスなどの公知の方法により基紙の表面に塗布・塗工することができる。また、グラビア印刷機、フレキソ印刷機等の公知の印刷手段により印刷することもできる。これらの中でも特に、塗工液の塗工量を任意に変更でき、しかも均一に塗布でき、さらに被膜形成しやすいロッドコーターが好ましい。また、既存設備を流用しやすい、被膜形成しやすい、塗工濃度の変更による塗工量の調整が容易である等の観点からカレンダー塗工も好ましい。
また、ドライヤー後の塗工工程で、基紙の少なくとも片面に塗工液を塗布することにより、熱発泡性樹脂を内添する方法と比べて薬品の歩留まりが向上するという利点もある。
以上のように、少なくとも基紙の片面に少なくとも熱発泡性樹脂を含有する塗工液を塗布して塗工層を形成し、この塗工層をドライヤーで乾燥することにより熱発泡性樹脂を発泡させて基紙の表面に防滑層を形成させることにより本防滑板紙は形成される。
さらにまた、上述したようにして形成された本防滑板紙は、JIS−P8129のワックスピック試験法に規定する表面強さ試験による表面強度が18A以上である。表面強度が18A未満であると、板紙の表面が擦れた場合、摩擦により色付けされた繊維が剥離して色落ちし、さらに接触した衣類や他の紙に色が移ってしまう場合がある。また、本防滑板紙は、従来の防滑剤が塗工された板紙等とは異なり、熱発泡性樹脂は耐熱性があるためコルゲーターの熱板で熱がかかっても防滑性が低下することがない。
本防滑板紙は、通常の紙とは異なる高級感のあるスウェード調の素材感を有するので、高級な見栄えが要求される段ボールケース、ショッピングバッグ等の輸送包装用途、またその他の各種包装用途に用いることができる。
以上、本発明に係る防滑板紙について、その基紙が表層及び裏層の2層から構成される場合について説明したが、本発明は、この他基紙が表層、中層、裏層の3層や、中層を複数層にして4層以上で構成されていても良く、さらには基紙が単層から構成されていても良い。
本発明に係る防滑板紙の効果を確認するため、以下のような各種の試料を作製し、これらの各試料に対する品質を評価する試験を行った。なお、本実施例において、配合、濃度等を示す数値は、固形分又は有効成分の質量基準の数値である。また、本実施例で示すパルプ・薬品等は一例にすぎないので、本発明はこれらの実施例によって制限を受けるものではなく、適宜選択可能であることはいうまでもない。
本発明に係る21種類の防滑板紙(これを「実施例1」ないし「実施例21」とする)と、これらの実施例1ないし実施例21と比較検討するために、6種類の防滑板紙(これを「参考例22」ないし「参考例27」とする)と、4種類の板紙(これを「比較例1」ないし「比較例4」とする)を、表1に示すような構成で作製した。なお、以下では実施例22〜実施例27を、それぞれ参考例22〜参考例27と読み替えるものとする。
Figure 0004772031
〔実施例1〕
<表層>
広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP、フリーネス450mlCSF)40質量%と上質古紙パルプ(フリーネス350mlCSF)60質量%とを配合して表層用の原料スラリーを調整し、この表層用の原料スラリーに、着色剤と定着剤とサイズ剤とを添加した。なお、着色剤としては、「TOAレッド2BP」(東亜化成株式会社製)、「カルタバイオレット3B70」(クラリアントジャパン株式会社製)のアニオン性直接染料を用いた。また、着色剤の添加量は、JIS−Z8722に基づく表層面の色相が(L,a,b)=(58.0,34.0,0.6)となるように調整した。定着剤として硫酸バンドを用い、4.0質量%添加した。また、サイズ剤として酸性ロジンサイズ剤を用い、0.4質量%添加した。
<中層>
地券古紙パルプ(フリーネス430ml CSF)100質量%を用い、中層用の原料スラリーを調整した。
<裏層>
地券古紙パルプ(フリーネス430ml CSF)100質量%を用い、裏層用の原料スラリーを調整し、この裏層用の原料スラリーに、定着剤及びサイズ剤を添加した。なお、定着剤として硫酸バンドを用い、4.0質量%添加した。また、サイズ剤として酸性ロジンサイズ剤を用い、0.25質量%添加した。
これらの原料スラリーを用い、円網5層抄紙機にて表層、3層の中層、及び裏層の原料スラリーを抄き合わせ、坪量が170g/mの5層構造の基紙から成る色板紙を抄紙した。
<塗工液の調整>
まず、熱発泡性樹脂として、大日精化工業株式会社製のニューダイフォーム(W−40NF、発泡温度:120℃を用い、固形分濃度が15%になるように添加し、また、顔料として日本タルク株式会社製のタルク(SW)(平均粒径:20μm)を20質量%添加して塗工液を調整した。
このように調整した塗工液をプレドライヤー後の塗布パートで、固形分で1.95g/m、染料で着色した基紙の表層の表面に塗布して塗工層を形成し、アフタードライヤーで乾燥して熱発泡性樹脂を発泡させて、基紙の表層の表面に防滑層を形成した。その後、マシンカレンダーにてカレンダー処理を行って色付けされた防滑板紙を作製した。
(実施例2〜5)塗工液の塗工量を表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして得た防滑板紙。
(実施例6〜7)表1に示す発泡温度を有する熱発泡性樹脂に変更したこと以外は、実施例1と同様にして得た防滑板紙。
(実施例8〜11)塗工液に添加される顔料の添加量を表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして得た防滑板紙。
(実施例12)塗工液の塗工量と顔料の添加量を表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして得た防滑板紙。
(実施例13〜16)塗工液に添加される顔料の平均粒径を表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして得た防滑板紙。
(実施例17)顔料として炭酸カルシウムを用いたこと以外は実施例1と同様にして得た防滑板紙。
(実施例18〜21)顔料として炭酸カルシウムを用い、また顔料の添加量を表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして得た防滑板紙。
(実施例22〜23)塗工液の塗工量を表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして得た防滑板紙。
(実施例24〜25)塗工液に添加される顔料の添加量を表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして得た防滑板紙。
(実施例26〜27)塗工液に配合される顔料の平均粒径を表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして得た防滑板紙。
(比較例1)塗工液を塗布しなかったこと以外は、実施例1と同様にして得た防滑板紙。
(比較例2)塗工液に顔料を含有しなかったこと以外は、実施例1と同様にして得た防滑板紙。
(比較例3〜4)塗工液に熱発泡性樹脂を添加せず、また塗工液に添加する顔料の種類を表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして得た防滑板紙。
これら全実施例及び比較例についての品質評価、すなわち防滑板紙(全層)の明度、コルゲートマシンのコルゲーター(熱板)前の滑り角度、コルゲートマシンのコルゲーター(熱板)後の滑り角度、染色堅牢度、表面強度、表面粗さ、触感、防滑性、走行性、及び離解性について評価試験を行った。その結果は表2に示すとおりであった。なお、この品質評価はJIS−P8111に準拠して温度23±2℃、湿度50±2%の環境条件で行った。
なお、表2中の「明度」とは、JIS−Z8722、及びJIS−Z8730に基づいて測定した明度(L値)の値である。
また、「コルゲーター前の滑り角度(度)」とは、防滑性の効果を評価するもので、JIS−P8147に規定する傾斜法による滑り角度の値である。
また、「コルゲーター後の滑り角度(度)」とは、各試料に係る板紙をコルゲートマシンで段ボール加工時に糊を乾燥させる熱板に板紙が接触した後の防滑性の効果を評価するもので、JIS−P8147に規定する傾斜法による滑り角度の値である。
また、「染色堅牢度(級)」とは、耐摩耗性、すなわち色落ちの発生し易さを評価するもので、JIS−L0849に準拠して摩擦に対する染色堅牢度試験を行い、JIS−L0805に規定する汚染用グレースケールを使用して着色の等級を測定した値である。
また、「表面強度(A)」とは、各試料に係る防滑板紙の表面の強さをJIS−P8129のワックスピック試験法に準拠して測定した値である。
また、「表面粗さ(μm)」とは、各試料の表面に形成される凹凸の高低差を計測し、紙とは異なる素材感を有するか否かを評価するもので、株式会社ミツトヨ製の表面粗さ測定器SJ−201Pを使用し、JIS−B0601に準拠して測定した高低値(Ry)である。
さらにまた、「手触り感」とは、一般的な紙とは異なる高級感のあるスウェード調の素材感であり、触手で評価したものである。なお、その評価基準は下記の3段階とした。
(評価基準)
◎:紙とは全く異なる高級感のあるスウェード調の手触り感を持つ。
○:紙とは異なる高級感のある手触り感を持つ。
×:紙と同等の手触り感である。
また、「防滑性」とは、各試料に係る防滑板紙を段ボールケースに加工し、この段ボールケースを積層した時における段ボールケースの滑り易さを評価したものである。なお、その評価基準は下記の3段階とした。
(評価基準)
◎:段ボールケースは滑りにくく、荷崩れが発生しない。
○:段ボールケースは多少滑るが、荷崩れは発生しない。
×:段ボールケースが滑り、荷崩れが発生する。
また、「走行性」とは、各試料に係る板紙を製袋加工した後の袋走行時に、袋の詰まりを目視で評価したものである。なお、その評価基準は下記の3段階とした。
(評価基準)
◎:袋の詰まりが発生しない。
○:袋がやや詰まり気味だが問題なし。
×:袋が滑らず詰まりが発生する。
さらにまた、「離解性」とは、各試料がリサイクル(再生利用)できるか否かを評価したものである。その試験方法は、各試料をそれぞれ標準離解機で1分間分散して離解してス
ラリーを得て、このスラリーを用いて手抄きシートを作成する。この手抄きシートに未離
解の防滑板紙があるか否かを目視評価する。なお、その評価基準は下記の3段階とした。
(評価基準)
◎:未離解の防滑板紙は全く見られない。
○:未離解の防滑板紙は殆どみられない。
×:未離解の防滑板紙が散在する。
Figure 0004772031
表2に示すように、本発明に係る防滑板紙であると品質評価に優れることが分かる。すなわち、実施例1〜27に係る防滑板紙は、基紙表面が紙とは異なる触感を有し、有効な防滑性を有し、さらにまた耐摩耗性に優れ、色落ちしないことがわかる。

Claims (2)

  1. 基紙が単層又は複数層から構成され、少なくとも前記基紙の表面となる層に着色剤を含有させて、前記基紙の少なくとも表面が色付けされた防滑板紙であって、
    前記基紙の少なくとも片面に、少なくとも熱発泡性樹脂と顔料とを含有する塗工液を塗布して塗工層を設け、該塗工層を乾燥することにより前記熱発泡性樹脂を発泡させて前記基紙の表面を防滑層とし、
    前記塗工液が、固形分で片面当たり0.65〜6.15g/m 塗布され、
    前記顔料は、前記塗工液中に固形分で5〜30質量%配合され、
    前記顔料は平均粒子径が10〜30μmであり、
    JIS−P8147に規定する傾斜法による滑り角度が45〜55度であり、
    JIS−L0894に規定する染色堅牢度試験による耐摩耗性が、JIS−L0805に規定する汚染用グレースケールを使用して4級以上であることを特徴とする防滑板紙。
  2. JIS−B0601に規定する表面粗さ試験の高低値(Ry)が15.5〜18.5μmであることを特徴とする請求項1に記載の防滑板紙。
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